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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037328
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】油状泡沫性エアゾール用化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20240312BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20240312BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240312BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/31
A61K8/86
A61K8/19
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142104
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】591183935
【氏名又は名称】中央エアゾール化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】板橋 采女
(72)【発明者】
【氏名】飯田 将一
(72)【発明者】
【氏名】野村 祥吾
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB131
4C083AB132
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC181
4C083AC342
4C083AC422
4C083BB04
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】吐出時の泡立ち及び泡質に優れ、泡保持時間が長く、吐出時及び塗布時の液だれを防ぐとともに、クレンジング力に優れ、洗い流し後の残油感が改善された、油状泡沫性エアゾール用化粧料を提供する。
【解決手段】原液と噴射剤を含有する油状泡沫性エアゾール用化粧料であって、前記原液が、(A)油性原料成分と、(B)ノニオン性界面活性剤と、を含有し、前記(A)油性原料成分が、少なくとも(a)揮発性炭化水素油及び(b)ポリアルキレングリコールエーテルを含み、前記原液における前記(A)油性原料成分の割合が30質量%以上であり、前記(A)油性原料成分:前記(B)界面活性剤の質量比が30:70~85:15であり、前記噴射剤として二酸化炭素を5000ppm以上含有するようにした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液と噴射剤を含有する油状泡沫性エアゾール用化粧料であって、
前記原液が、(A)油性原料成分と、(B)ノニオン性界面活性剤と、を含有し、
前記(A)油性原料成分が、少なくとも(a)揮発性炭化水素油及び(b)ポリアルキレングリコールエーテルを含み、
前記原液における前記(A)油性原料成分の割合が30質量%以上であり、
前記(A)油性原料成分:前記(B)ノニオン性界面活性剤の質量比が30:70~85:15であり、
前記噴射剤として二酸化炭素を5000ppm以上含有することを特徴とする油状泡沫性エアゾール用化粧料。
【請求項2】
前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルが、アルキレンオキサイド付加モル数が20以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、請求項1記載の油状泡沫性エアゾール用化粧料。
【請求項3】
前記(B)ノニオン性界面活性剤が、常温で液状またはペースト状である、請求項1記載の油状泡沫性エアゾール用化粧料。
【請求項4】
前記(B)ノニオン性界面活性剤が、HLB値が13~20であるノニオン性界面活性剤を少なくとも1種類含有する、請求項1記載の油状泡沫性エアゾール用化粧料。
【請求項5】
エアゾール容器から吐出後の泡の保持時間が1分以上である、請求項1~4のいずれか1項記載の油状泡沫性エアゾール用化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール容器から吐出されて泡状になる油状泡沫性エアゾール用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、汗や皮脂に強いマスカラ、アイライナー、口紅などのウォータープルーフタイプのメイクアップ化粧料の需要が高まっており、従来のものに比べてさらに落ちにくいメイクアップ化粧料が開発されている。そういった化粧料を洗浄するためにはウォータープルーフ成分を溶解させるために多量の油性成分を含有した油系クレンジング料を使用する必要があるため、油系クレンジング料の需要も高まっている。
【0003】
しかしながら、従来の油系クレンジング料の課題点として、「液だれによる塗布の難しさ」「クレンジング力不足」「水で洗い流した後の残油感」が上げられる。特に液だれについては原液を増粘したり固形にすることでこの課題を解決することを目的とした特許文献1及び2がある。
【0004】
特許文献1は油性原料の増粘に関する特許であるが、従来のクレンジング料よりも液だれは改善されているものの防止することはできていない。また、特許文献2は原液を固形にすることで液だれの問題を解決したものだが、固形ではクレンジングに時間がかかる上に洗い流しにくいといった課題がある。
【0005】
そこで、原液を泡状に吐出することで上記のようなデメリットを解決し液だれを防止出来る。しかし、油性原料を多量に含有する処方は油が消泡傾向を示す為に泡状吐出させる事が難しく、従来技術では液だれを泡で防止する事は困難であった。また、泡をきめ細かくすることはさらに困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-150233
【特許文献2】特開2019-081740
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたもので、吐出時の泡立ち及び泡質に優れ、泡保持時間が長く、吐出時及び塗布時の液だれを防ぐとともに、クレンジング力に優れ、洗い流し後の残油感が改善された、油状泡沫性エアゾール用化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の油性原料を組み合わせ、噴射剤として二酸化炭素を含有することによってこれを解決した。
即ち、本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、
原液と噴射剤を含有する油状泡沫性エアゾール用化粧料であって、
前記原液が、(A)油性原料成分と、(B)ノニオン性界面活性剤と、を含有し、
前記(A)油性原料成分が、少なくとも(a)揮発性炭化水素油及び(b)ポリアルキレングリコールエーテルを含み、
前記原液における前記(A)油性原料成分の割合が30質量%以上であり、
前記(A)油性原料成分:前記(B)界面活性剤の質量比が30:70~85:15であり、
前記噴射剤として二酸化炭素を5000ppm以上含有することを特徴とする。
【0009】
前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルが、アルキレンオキサイド付加モル数が20以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることが好適である。
【0010】
前記(B)ノニオン性界面活性剤が、常温で液状またはペースト状であることが好適である。
【0011】
前記(B)ノニオン性界面活性剤が、HLB値が13~20であるノニオン性界面活性剤を少なくとも1種類含有することが好適である。
【0012】
エアゾール容器から吐出後の泡の保持時間が1分以上であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吐出時の泡立ち及び泡質に優れ、泡保持時間が長く、吐出時及び塗布時の液だれを防ぐとともに、クレンジング力が非常に優れており、洗い流し後の残油感が改善された、油状泡沫性エアゾール用化粧料を提供することができる。
【0014】
さらに、本願発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、1)泡質に優れているため、皮膚に塗布しやすく、肌なじみが良く、塗り広げやすい、2)メイクアップ化粧料除去効果が非常に優れているため、ウォータープルーフタイプのメイクアップ化粧料も容易に洗浄・除去することができる、3)洗い流し後の残油感が無いため、クレンジング料として使用した後に再度洗顔する必要が無い、4)二酸化炭素を高濃度に含有するため、二酸化炭素の効果を感じやすく、また、噴射剤が二酸化炭素のみの場合は、引火性が無く、安全性が非常に高い、という著大な効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0016】
本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、
原液と噴射剤を含有する油状泡沫性エアゾール用化粧料であって、
前記原液が、(A)油性原料成分と、(B)ノニオン性界面活性剤と、を含有し、
前記(A)油性原料成分が、少なくとも(a)揮発性炭化水素油及び(b)ポリアルキレングリコールエーテルを含み、
前記原液における前記(A)油性原料成分の割合が30質量%以上であり、
前記(A)油性原料成分:前記(B)界面活性剤の質量比が30:70~85:15であり、
前記噴射剤として二酸化炭素を5000ppm以上含有するものである。
【0017】
本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、前記(A)油性原料成分として、少なくとも(a)揮発性炭化水素油及び(b)ポリアルキレングリコールエーテルを含む特定の油性原料を、原液中に30質量%以上と多量に用いることにより、非常に優れたメイクアップ化粧料除去効果を奏することができ、ウォータープルーフタイプのメイクアップ化粧料であっても容易に洗浄・除去可能であり、さらに、前記(A)油性原料成分は乳化しやすい特徴があるため、洗い流し後の残油感も感じにくいという効果がある。
【0018】
前記(a)揮発性炭化水素油とは、沸点が50~260℃の炭化水素油を意味し、沸点が50℃以上260℃以下の公知の炭化水素油を広く使用可能であるが、例えば、軽質流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン等が好適な例として挙げられる。
前記(a)揮発性炭化水素油は、クレンジング力を高めるために、前記(A)油性原料成分中に1.5質量%以上42質量%以下含まれることが好ましく、8質量%以上42質量%以下含まれることがより好ましい。前記(a)揮発性炭化水素油は単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
【0019】
前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルは、前記(A)油性原料成分に対して起泡剤として作用する。前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルとしては、公知のポリアルキレングリコールエーテルを広く使用可能であるが、例えば、PPG-12ブチル(付加モル数:12)、PPG-17ブチル(付加モル数:17)、PPG-20ブチル(付加モル数:20)、PPG-24ブチル(付加モル数:24)、PPG-33ブチル(付加モル数:33)、PPG-40ブチル(付加モル数:40)、PPG-52ブチル(付加モル数:52)、PPG-90ブチルエーテル(付加モル数:90)等が挙げられ、泡持ちの点から、アルキレンオキサイド付加モル数が20以上のものが好ましく、付加モル数が24以上のものが、特に泡持ちを高めることができ、より好適である。
前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルは、泡持続力を良好にするために、前記(A)油性原料成分中に10質量%以上42質量%以下含まれることが好ましく、24質量%以上42質量%以下含まれることがより好ましい。
また、泡立ち及び泡持続力の点から、(a)揮発性炭化水素油:(b)ポリアルキレングリコールエーテルの質量比が5:95~60:40であることが好ましく、40:60~60:40であることがより好ましい。
前記(b)ポリアルキレングリコールエーテルは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
【0020】
前記(A)油性原料成分が、前記(a)揮発性炭化水素油及び前記(b)ポリアルキレングリコールエーテル以外の他の油性原料(c)を含んでいても良い。前記(c)他の油性原料としては、化粧料の原料として添加可能な公知の油性原料を用いることができる。前記(c)他の油性原料としては、例えば、塗布時の延びやクレンジング力を調節するために、(a)揮発性炭化水素油以外の炭化水素油やエステル油、エーテル油等が挙げられる。
【0021】
前記(a)揮発性炭化水素油以外の炭化水素油の例としては、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン等が挙げられる。
【0022】
前記エステル油としては、例えば、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、ゴマ種子油、アルガニアスピノサ核油、ツバキ種子油、アーモンド油等の植物油脂;ホホバ油等の液状ワックス;トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリイソステアリン等のトリグリセリド;パルミチン酸エチルヘキシル(IOP)、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、ネオペンタン酸イソデシル、(カプリル酸/カプリン酸)ヤシアルキル等の高級アルコールの脂肪酸エステル;ミリスチン酸イソプロピル、ジリノール酸ジイソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル;ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等の多価アルコールの脂肪酸エステル;テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル等の糖アルコールの脂肪酸エステル;イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸等のステロールの脂肪酸エステル;コハク酸ジエチルヘキシル、ジリノール酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル等の二塩基酸と高級アルコールまたは低級アルコールのエステル;乳酸ミリスチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のα-ヒドロキシ酸と高級アルコールまたは低級アルコールのエステル;安息香酸アルキル(C12-15)等の芳香族カルボン酸と高級アルコールまたは低級アルコールのエステル;炭酸ジカプリリル、炭酸ジアルキル(C14,15)等の炭酸と高級アルコールまたは低級アルコールのエステル等が挙げられる。
【0023】
前記エーテル油としては、例えば、ジカプリリルエーテル、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ジイソノニルエーテル等が挙げられる。
【0024】
前記原液における前記(A)油性原料成分の割合は30質量%以上であり、30質量%以上85質量%以下が好ましい。
【0025】
前記(B)ノニオン性界面活性剤としては、公知のノニオン性界面活性剤を広く使用することができ、特に制限はないが、常温(25℃)で液状またはペースト状であるノニオン性界面活性剤が好適である。また、前記(B)ノニオン性界面活性剤のHLB値が4~20のエステルまたはエーテルの活性剤が好ましく、HLB値が13~20のエステルまたはエーテルの活性剤がより好ましい。
前記(B)ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド等が挙げられる。前記ノニオン性界面活性剤は単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
【0026】
前記原液中の前記(B)ノニオン性界面活性剤の配合割合は、前記(A)油性原料成分:前記(B)ノニオン性界面活性剤の質量比が30:70~85:15であり、60:40~70:30が好適である。また、前記(B)ノニオン性界面活性剤は、洗い流し性を良好にするために、原液中に15質量%以上70質量%以下含まれることが好ましく、30質量%以上40質量%以下含まれることがより好ましい。
【0027】
前記原液には、上記(A)~(B)成分に加えて、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、油溶性高分子、油溶性被膜形成剤、多価アルコール、水、(B)成分以外の界面活性剤、増粘剤、油剤、抗炎症剤、保湿剤、乳化助剤、アルコール類、粉体、防腐剤、酸化防止剤、色素、pH調整剤、紫外線吸収剤、美白剤、抗菌剤、キレート剤、香料、血行促進剤等を配合してもよい。
【0028】
油溶性高分子や油溶性被膜形成剤を含有すると、より良好な泡質になる。油溶性高分子や油溶性被膜形成剤としては、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、粘土鉱物、シリル化シリカ、金属石ケン、イヌリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0029】
多価アルコールを含有することで水溶性ポリマーなどの水系メイクアップも除去することが可能になり、より幅広いメイクアップの除去が可能になる。多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、PG、DPG、BG、プロパンジオール、ペンチレングリコール、イソプレングリコール等が挙げられる。
【0030】
前記原液は、水非含有でもよく、水を含有していてもよい。本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、水非含有の原液を用いても吐出時に良好な泡を形成することができ、且つ洗い流し性やクレンジング力にも優れている。また、水溶性ポリマーなどの水系メイクアップを除去しやすくするためには水を配合することも有効である。
【0031】
前記原液の粘度は特に制限はないが、吐出時の泡立ちや液だれの防止の点から常温(25℃)において100mPa・s~3000mPa・sが好ましい。
【0032】
本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、前記噴射剤として、二酸化炭素(炭酸ガス)を5000ppm以上含有するものである。二酸化炭素の含有量を5000ppm以上とすることにより、ふっくらとした泡立ちの良い泡を形成することができる。泡質の点から、二酸化炭素の含有量が15000ppm以上であることがより好ましい。二酸化炭素の含有量の上限値は特に制限はないが、製品の安全性の観点から35000ppm以下が好適である。噴射剤として使用する炭酸ガスは不燃性であり、また温度上昇による圧力の上昇が液化石油ガスより緩やかであるため高温時の破裂の危険性も低くなり、安全性が非常に高い。また、噴射剤には、二酸化炭素の他に窒素、酸素、水素、液化石油ガス、ジメチルエーテル、フロンなどを任意の量で配合してもよい。
【0033】
前記原液と前記噴射剤との質量比は、原液/噴射剤=90/10~99.5/0.5の範囲が好ましく、96.5/3.5~98.5/1.5の範囲がより好ましい。上記範囲とすることにより、吐出時の飛散を防ぎ、良好な泡を形成することができる。
また、エアゾールの25℃での内圧は0.40MPa~0.90MPaが好ましく、0.50MPa~0.75MPaがより好ましい。上記範囲が泡の形成に有効である。
【0034】
本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料は、前述の(A)~(B)成分を所定の範囲で含む原液と、所定量の二酸化炭素を含む噴射剤とを含むものであり、エアゾール容器(耐圧容器)に原液と噴射剤を充填することにより製造される。エアゾール容器に充填された前記油状泡沫性エアゾール用化粧料は、クレンジング料、洗顔フォーム、シャンプー、ボディフォーム等の使用時には泡状に吐出される皮膚洗浄用化粧品として好適に用いられ、特に、クレンジング料として好適である。
【実施例0035】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0036】
(実施例1~9)
表1に示す配合割合(質量%)にて各成分を配合し、均一に混合して原液を調製した。調製した原液を用い、原液及び噴射剤(二酸化炭素:25000ppm)をエアゾール缶に充填し、本発明の油状泡沫性エアゾール用化粧料(本品)を調製した。
得られた油状泡沫性エアゾール用化粧料に対して、エアゾールとして下記方法により、各種評価試験を行った。結果を表2に示す。エアゾールの25℃での内圧は0.60MPaであった。
【0037】
<泡立ちの評価試験>
50mLメスシリンダーに本品を5g吐出し、その時の最大の泡の高さを測定した。評価基準は下記の通りである。
◎:50mm以上、○:10mm以上50mm未満、△:10mm未満、×:起泡しなかった。
【0038】
<泡のきめ細かさの評価試験>
本品を3g吐出した時の泡のきめ細かさを下記評価基準に従って目視で確認し、評価した。
◎:泡が細かく、かつ気泡のサイズが均一である。
○:泡は細かいが、大きい気泡も混じっている。
△:泡が荒い。
×:泡にならない。
【0039】
<泡保持続力の評価試験>
50mLメスシリンダーに本品を5g吐出し、その時の最大の泡の高さを測定し、初期最大高さとした。ただし液状化した部分を除いて測定した。
初期最大高さの測定から1分後、泡の部分の高さを測定し、初期最大高さに対する割合を算出し、下記評価基準にて評価した。
◎:50%以上、○:10%以上50%未満、△:10%未満、×:泡が残らない。
【0040】
<洗い流し性の評価試験>
前腕内側部に本品を0.15g吐出させ、指で擦りつけるように馴染ませた後、流水を当てながら、指で3回軽く擦りながら洗い流し、洗い流した後の肌の感触を指で触って評価した。評価基準は下記の通りである。
◎:油性のぬるつきを感じない。
○:わずかに油性のぬるつきを感じる。
△:油性のぬるつきを感じる。
×:洗い流すことができない。
【0041】
<クレンジング力(油系)の評価試験>
40mm×40mmの白色の人口皮革に下記メイク品を0.05g塗布し、10分乾燥させ、これを試験体とした。前記試験体を吐出させた本品に漬け、超音波洗浄機[(株)エスエヌディ製、型名:US-5]にて超音波をかけ、メイク品が落ち始めるまでの時間(分)を計測した。
メイク品(i):ボリュームUP マスカラ スーパーWP 01 ブラック、(株)伊勢半製。
メイク品(ii):スーパーステイマットインク、日本ロレアル(株)製。
評価基準は以下。
評価基準は下記の通りである。
◎:1分未満、○:1分以上5分未満、△:5分以上10分未満、×:10分以上。
【0042】
<総合評価>
前記全ての評価試験の結果に対し、下記評価基準して総合評価した。
◎:全項目中、◎が4つ以上、且つ△×を含まない。
○:全項目中、◎が3つ以下、且つ△×を含まない。
△:全項目中、1つ以上△が含まれ、かつ×を含まない。
×:全項目中、1つ以上×が含まれる。
【0043】
【表1】
【0044】
表中、各配合物質の詳細は下記の通りである。
*1)沸点210℃の揮発性の軽質流動イソパラフィン
*2)沸点176℃の揮発性の軽質イソパラフィン
*3)PPG-40ブチル(アルキレンオキサイド付加モル数:40)
*4)PPG-24ブチル(アルキレンオキサイド付加モル数:24)
*5)PPG-12ブチル(アルキレンオキサイド付加モル数:12)
*6)IOP(パルミチン酸エチルヘキシル、エステル油)
*7)ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル:HLB値13.7の液状のノニオン性界面活性剤
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示した如く、実施例1~9はいずれも、泡立ち、洗い流し性及びクレンジング力に優れており、特に、(b)成分としてアルキレンオキサイド付加モル数が20以上のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを用いた実施例1~4及び6~9は、泡質や泡保持時間も非常に優れていた。また、実施例1~9のいずれも、吐出時の飛散や液だれがなかった。
【0047】
(比較例1~7)
原液の調製を、表3に示す配合組成(質量%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により、原液及びエアゾールを調製し、評価試験を行った。結果を表4に示す。
【0048】
【表3】
【0049】
表中、表1に記載された配合物質は表1と同じであり、その他の各配合物質の詳細は下記の通りである。
*8)沸点200℃以上の不揮発性の流動イソパラフィン
*9)沸点310℃の不揮発性の流動パラフィン
【0050】
【表4】
【0051】
表4に示した如く、(b)成分を含有しない比較例1では、泡の状態が悪く、(a)成分及び不揮発性炭化水素油のいずれも含有していない比較例2では、クレンジング力が低くなり、(a)成分の代わりに不揮発性炭化水素油を含有させた比較例3及び4では、起泡しなくなり、原液中の(A)成分の含有量が30質量%未満の比較例5及び6では、クレンジング力が悪かった。また、(B)成分が規定値以下の比較例7では、泡が残らず、洗い流し後にぬるつきを感じた。
【0052】
(実施例10~50)
原液の調製を、表5、7、9、11及び13に示す配合組成(質量%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により、原液及びエアゾールを調製し、評価試験を行った。結果を表6、8、10、12及び14にそれぞれ示す。
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
【表10】
【0059】
【表11】
【0060】
表中、表1に記載された配合物質は表1と同じであり、その他の各配合物質の詳細は下記の通りである。
*10)トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル:HLB値10.9の液状のノニオン性界面活性剤
【0061】
【表12】
【0062】
【表13】
【0063】
表中、表1に記載された配合物質は表1と同じであり、その他の各配合物質の詳細は下記の通りである。
*11)アニオン性界面活性剤:ラウレス硫酸Na
*12)アミノ酸系界面活性剤:ココイルグルタミン酸TEA
*13)多価アルコール:プロピレングリコール(PG)
【0064】
【表14】
【0065】
表5~14に示した如く、実施例10~50はいずれも良好な結果が得られた。また、実施例10~50のいずれも、吐出時の飛散や液だれがなかった。
【0066】
(実施例51~53及び比較例8)
噴射剤(二酸化炭素)の量を下記の如く変更した以外は実施例1と同様の方法により原液及びエアゾールを調製し、評価試験を行った。結果を表15に示す。
実施例51:二酸化炭素 30000ppm
実施例52:二酸化炭素 15000ppm
実施例53:二酸化炭素 5000ppm
比較例8:二酸化炭素 4000ppm
【0067】
【表15】
【0068】
表15に示した如く、実施例51~53はいずれも良好な結果が得られた。また、実施例51~53のいずれも、吐出時の飛散や液だれがなかった。一方、二酸化炭素濃度が5000ppm未満の比較例8では、吐出時に起泡せず、泡にならなかった。