(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037346
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】棒状体保持ベルト
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20240312BHJP
A61J 1/16 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
A61M5/14 532
A61J1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142139
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】394012245
【氏名又は名称】株式会社カーボーイ
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】廻本 一夫
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047EE04
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066GG10
4C066HH07
(57)【要約】
【課題】着脱が容易でかつ身体の大きさや体型にかかわらず点滴スタンドなどの棒状体を身体にしっかりと保持することができる新規な棒状体保持ベルトの提供。
【解決手段】胸部付近に巻き付ける横ベルト部10と、この横ベルト部10を肩部から支持する縦ベルト部20とを有すると共に、縦ベルト部20に、棒状体30を差し込んで保持するための縦長ポケット21を備える。これによって、縦ベルト部20を肩にかけるようにしながら横ベルト部10を胸部付近に巻き付けるだけで簡単かつしっかりと身体に装着できるため、縦長ポケット21に棒状体20を差し込んでもこれがぐらついたり倒れたりするおそれがなくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部付近に巻き付ける横ベルト部と、当該横ベルト部を肩部から支持する縦ベルト部とを有すると共に、前記縦ベルト部に、棒状体を差し込んで保持するための縦長ポケットを備えたことを特徴とする棒状体保持ベルト。
【請求項2】
請求項1に記載の棒状体保持ベルトにおいて、
前記横ベルト部はその両端同士が面ファスナーで連結・分離自在となっていることを特徴とする棒状体保持ベルト。
【請求項3】
請求項1に記載の棒状体保持ベルトにおいて、
前記縦長ポケットが面ファスナーからなることを特徴とする棒状体保持ベルト。
【請求項4】
請求項1に記載の棒状体保持ベルトにおいて、
前記棒状体が点滴スタンドまたは傘、カメラスタンド、照明スタンドのいずれかであることを特徴とする棒状体保持ベルト。
【請求項5】
請求項1に記載の棒状体保持ベルトにおいて、
前記縦ベルト部または横ベルトにカード又は診察券を入れるカードポケットを備えたことを特徴とする棒状体保持ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴スタンドや傘、カメラスタンドなどの棒状体を身体にしっかりと保持するための棒状体保持ベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に点滴中の患者らがトイレや売店などに行く場合には、その点滴バッグをキャスター付きの点滴スタンドに付け替え、患者自身がその点滴スタンドをガラガラと押しながら病院内を移動している。しかし、従来の点滴スタンドの多くは金属製で重量が重いことから段差や階段の上り下りなどがあるところの移動は容易ではない。
【0003】
そのため、例えば以下の特許文献1には、肩ベルトや胴ベルトを有する背中板に支柱とフックを備え、そのフックに点滴容器を吊り下げた状態で患者らがこの背中板を背負うように身体に装着することで移動を容易にするという身体装着用点滴容器吊り下げ具が開示されている。また、以下の特許文献2乃至4には、患者が脱着できるジャケットや衣服にポケットを設け、このポケットに直接あるいは支柱を介して点滴容器を吊り下げることで移動を容易にしたというジャケットや点滴容器保持衣服が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-137639号公報
【特許文献2】特許第3260115号公報
【特許文献3】実用新案登録第3221674号公報
【特許文献4】実用新案登録第3230543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記したような従来技術は、患者が脱着するジャケットや衣服に点滴容器やそれを吊り下げるための支柱を保持するようになっているため、装脱着にコツや手間がかかる。また、患者の身体の大きさや体型は様々であり、ジャケットや衣服ではその大きさがほぼ完全にフィットしていないと移動中に支柱がぐらついたり倒れたりして安定しない可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、これらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は、着脱が容易でかつ身体の大きさや体型にかかわらず点滴スタンドなどの棒状体を身体にしっかりと保持することができる新規な棒状体保持ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために第1の発明は、胸部付近に巻き付ける横ベルト部と、当該横ベルト部を肩部から支持する縦ベルト部とを有すると共に、前記縦ベルト部に、棒状体を差し込んで保持するための縦長ポケットを備えたことを特徴とする棒状体保持ベルトである。このような構成によれば、縦ベルト部を肩にかけるようにしながら横ベルト部を胸部付近に巻き付けるだけで簡単かつしっかりと身体に装着することができる。この状態でその縦ベルト部に設けられた縦長ポケットに棒状体を差し込んでもこれがぐらついたり倒れたりするおそれがなくなる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記横ベルト部はその両端同士が面ファスナーで連結・分離自在となっていることを特徴とする棒状体保持ベルトである。このような構成によれば、横ベルト部両端の面ファスナーを構成するフックとループ同士をくっつたり、剥がすだけの簡単な動作で簡単かつしっかりと横ベルト部を身体に装脱着することができる。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、前記縦長ポケットが面ファスナーからなることを特徴とする棒状体保持ベルトである。このような構成によれば、棒状体の太さや長さ、形状にかかわらず、棒状体をしっかりと縦ベルト部および横ベルト部で保持することができる。
【0010】
第4の発明は、第1の発明において、前記棒状体が点滴スタンドまたは傘、カメラスタンド、照明スタンドのいずれかであることを特徴とする棒状体保持ベルトである。このような構成によれば、点滴スタンドだけでなく、傘、カメラスタンド、照明スタンドのようなあらゆる棒状体をしっかりと身体で保持することができる。
【0011】
第5の発明は、第1の発明において、前記縦ベルト部または横ベルトにカード又は診察券を入れるカードポケットを備えたことを特徴とする棒状体保持ベルトである。このような構成によれば、棒状体だけでなく、買い物に必要なクレジットカードや検査に必要な診察券などもしっかりと保持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、縦ベルト部を肩にかけるようにしながら横ベルト部を胸部付近に巻き付けるだけで簡単かつしっかりと身体に装着することができる。そして、この状態でその縦ベルト部に設けられた縦長ポケットに棒状体を差し込んでもこれがぐらついたり倒れたりするおそれがなくなる。また、面ファスナーを構成するフックとループ同士をくっつけたり、剥がすだけの簡単な動作で簡単かつしっかりと横ベルト部を身体に装脱着することができる、などといった優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る棒状体保持ベルト100の実施の一形態を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る棒状体保持ベルト100の実施の一形態を示す展開図である。
【
図3】点滴スタンド200の一例を示す説明図である。
【
図4】点滴スタンド200の取り付け例を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る棒状体保持ベルト100の装着例を示す説明図である。
【
図6】本発明に係る棒状体保持ベルト100の装着例を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る棒状体保持ベルト100の他の実施の形態を示す正面図である。
【
図8】本発明に係る棒状体保持ベルト100の他の使用例を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る棒状体保持ベルト100の他の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1および
図2は本発明に係る棒状体保持ベルト100の実施の一形態を示したものである。図示するようにこの棒状体保持ベルト100は、患者らの胸部付近に巻き付ける横ベルト部10と、この横ベルト部10を患者らの肩部から支持する縦ベルト部20とが一体化した構造となっている。
【0015】
横ベルト部10は、例えばその幅が約8~10cm、長さが約80~115cmの大きさとなっており、その両端部には、その端部同士を連結するための面ファスナー11が設けられている。より具体的には、
図2に示すように患者らの胸部側に位置する横ベルト部10の一端部の外面側には面ファスナー11の一方を構成するフック11aがその長手方向に亘って約25cm程度の長さでその全面に設けられている。一方、この横ベルト部10の他端部の内面側には同じく面ファスナー11の他方を構成するループ11bがその長手方向に亘って約60cm程度の長さでその全面に設けられている。
【0016】
そして、この面ファスナー11を構成するフック11aとループ11bを重ね合わせて圧着させることで横ベルト部10を環状に連結させることができると共に、それらを剥がすようにして分離することで帯状に解除できるようになっている。また、このフック11aとループ11bの重ね合わせ量を変えることでその環状の大きさも自在に調節できるようになっている。
【0017】
一方、縦ベルト部20は、この横ベルト部10から連続するように上方に延びており、その端部が下方に折り返されて同じく横ベルト部10と連続するように設けられている。そして、この縦ベルト部20の前面側には、棒状体30を差し込んで保持するための縦長ポケット21が設けられている。この縦長ポケット21は例えば、幅約4~5cm、長さ25~30cm程度の大きさとなっており、その底部は横ベルト部10の下部にまで至っている。また、この縦長ポケット21の近傍には、例えば幅7~8cm、長さ4~7cm程度の大きさのカードポケット22が設けられている。
【0018】
なお、このように横ベルト部10と縦ベルト部20とからなる棒状体保持ベルト100を構成する材料、材質としては特に限定されるものでなく、布や皮革などの柔軟で患者らの身体にフィットするものであればよいが、なかでもより柔軟、軽量で比較的強度が高いナイロン素材などの合成繊維からなるものを用いることが望ましい。また、縦ベルト部20の背面側は通気性に優れたメッシュ材などで構成しても良い。
【0019】
この縦長ポケット21に差し込まれる棒状体30としては、例えば
図3に示すような点滴スタンド200が挙げられる。この点滴スタンド200は、例えば径約2cm、長さ20~25cm程度の棒状のハンドル部210と、点滴バッグを吊り下げるフックを備えた吊下部220を伸縮自在な連結管230で連結したものであり、
図4に示すようにこのハンドル部210をそのまま上方から縦長ポケット21に差し込むことでほぼ垂直状態に保持できるようになっている。
【0020】
図5および
図6はこのような構造をした本発明に係る棒状体保持ベルト100の使用例を示したものである。
図5に示すように縦ベルト部20を患者らの左肩にかけた後、横ベルト部10を背中から胸部付近に密着させて締め付けるようにしてその両端の面ファスナー11を患者らの身体の前側で連結するだけで簡単かつしっかりと身体に装着することができる。このとき
図2に示したようにその面ファスナー11、特にループ11b側が横ベルト部10の長手方向に沿って長く設けられていてその重ね合わせの長さを自在に調整できるため、患者らの体型や大きさにかかわらず、誰でも確実にフィットさせることができる。
【0021】
そして、
図6に示すように装着した棒状体保持ベルト100の縦ベルト部20に設けられた縦長ポケット21に点滴スタンド200を差し込み、これに点滴バック300を吊り下げた状態で使用することになるが、その棒状体保持ベルト100が患者らの身体にしっかりと装着されているため、そのまま立ち上がって歩いたり階段を上り下りしても点滴スタンド200がぐらついたり倒れたりすることはない。また、装着した棒状体保持ベルト100を外すときは、面ファスナー11のループ11b側を片手で持って一気に剥がすだけの簡単な動作で達成できる。
【0022】
図7は、本実施の形態の変形例を示したものであり、前述した縦長ポケット21を面ファスナーで構成したものである。すなわち、縦長ポケット21の表面を構成する縦長の生地21aの内側に面ファスナー11の一方を構成するループ11bを設けると共に、縦ベルト部20の表面にフック11aを設けたものである。このようにすれば、縦長ポケット21内の空隙を自由に調節できるため、棒状体30の太さや長さ、形状にかかわらず、しっかりと保持することができる。
【0023】
例えば、
図8(A)に示すようにカメラやスマホなどの撮影機器40を支持するカメラスタンド(支持棒)41の径が細い場合(例えば約10mm)であっても、そのカメラスタンド41に接していないループ11bがフック11aに密着して隙間がなくなるため、そのカメラスタンド41がぐらいついたりすることがなくしっかりと支持することができる。また、同図(B)に示すように照明ライト50を支持する照明スタンド(支持棒)51が太い場合(例えば約25mm)であっても、照明スタンド51と接する部分以外が同じく密着するため、これをしっかりと支持することができる。なお、この場合、縦長ポケット21の表面を構成する縦長の生地21aの片側だけを予め縦ベルト部20に縫い付けておくようにしてもよい。
【0024】
さらに、この縦長ポケット21の幅、特に下側の幅を広く(例えば約15cm)すれば、
図8のようにJ字状をした傘400の持ち手410全体と中棒420部分を覆うことができるため、手ぶら状態で傘400を身体にしっかりと保持することもできる。
【0025】
また、さらに
図1に示したように縦ベルト部20または横ベルト部10に幅7~8cm、長さ4~7cm程度の大きさのカードポケット22を備えたことにより棒状体30だけでなく、買い物に必要なクレジットカードや検査に必要な診察券などもしっかりと保持しておくことができる。
【符号の説明】
【0026】
10…横ベルト部
11…面ファスナー
11a…フック
11b…ループ
20…縦ベルト部
21…縦長ポケット
21a…生地
22…カードポケット
30…棒状体
40…撮影機器
41…カメラスタンド
50…照明ライト
51…照明スタンド
100…棒状体保持ベルト
200…点滴スタンド
210…ハンドル部
220…吊下部
230…連結管
300…点滴バック
400…傘
410…持ち手
420…中棒