(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003735
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20240105BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20240105BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20240105BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/213
H01M50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132591
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022102961
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂内 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】池田 順一
(72)【発明者】
【氏名】川村 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮島 良太
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H012AA01
5H012BB11
5H012JJ10
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS07
5H040AS11
5H040AS19
5H040AT01
5H040AY08
5H040DD03
5H040NN01
5H043AA04
5H043AA11
5H043AA13
5H043CA03
5H043CA21
5H043FA04
5H043JA01F
5H043JA02F
5H043JA09F
5H043LA03F
(57)【要約】
【課題】複数の二次電池を有する電池パックにおいて、一の二次電池から噴出したガスが、他の二次電池に吹きかかることを抑制すること。
【解決手段】電池パック1は、円筒形状であり、並列に配置されている2以上の二次電池41と、2以上の二次電池41を電気的に接続する第1リード板50と、を備え、第1リード板50は、第1貫通孔53と、二次電池41の端子と接続する接続面52a1を有する板面と反対側の板面に設けられている第1壁部54と、を有し、第1壁部54は、第1貫通孔53の内周面と連続している第1壁面54aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状であり、並列に配置されている2以上の二次電池と、
2以上の前記二次電池を電気的に接続するリード板と、を備え、
前記リード板は、
第1貫通孔と、
前記二次電池の端子と接続する接続面を有する板面と反対側の板面に設けられている第1壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記第1貫通孔の内周面と連続している第1壁面を有する、
電池パック。
【請求項2】
前記端子側から見た平面視において、前記第1貫通孔は、前記二次電池と重なる前記リード板の部位にある、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記端子側から見た平面視において、前記第1貫通孔は、さらに、前記二次電池と重なる前記リード板の部位以外の部位にある、
請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記リード板は、前記第1貫通孔を複数有し、
前記端子側から見た平面視において、複数の前記第1貫通孔は、前記端子を中心として放射状に配置されている、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1貫通孔の内径は、0.2mm以上0.8mm以下である、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記リード板は、平板形状の主板部と、前記端子側に向けて凹む凹部と、を有し、
前記凹部は、
前記接続面を底面に有する底壁部と、
前記底壁部と前記主板部とを接続し、前記端子側から見た平面視において、前記主板部側の端が前記底壁部側の端より外側に位置する傾斜壁部と、
前記主板部から離れた位置で前記傾斜壁部を貫通する第2貫通孔と、を有する、
請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記底面と直交する平面によって切断した前記第2貫通孔の断面視において、前記第2貫通孔の内周面における前記主板部側の端部は、前記底壁部側を向いて傾斜している、
請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記凹部は、前記接続面を有する板面と反対側の板面に設けられている第2壁部をさらに有し、
前記第2壁部は、前記第2貫通孔の内周面と連続している第2壁面を有している、
請求項6または7に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開裂弁を有する二次電池が開示されている。開裂弁は、二次電池内部での短絡および二次電池外部からの加熱などに起因して、二次電池の内圧が上昇することで開裂し、開状態となる。開裂弁が開状態となると、ガスなどが噴出し、二次電池の内圧が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の二次電池を有する電池パックにおいて、1つの二次電池の開裂弁が開状態となると、開裂弁から噴出するガスが他の二次電池に吹きかかり、他の二次電池の内圧が上昇する可能性がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の二次電池を有する電池パックにおいて、一の二次電池から噴出したガスが、他の二次電池に吹きかかることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池パックは、円筒形状であり、並列に配置されている2以上の二次電池と、2以上の二次電池を電気的に接続するリード板と、を備え、リード板は、第1貫通孔と、二次電池の端子と接続する接続面を有する板面と反対側の板面に設けられている第1壁部と、を有し、第1壁部は、第1貫通孔の内周面と連続している第1壁面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、複数の二次電池を有する電池パックにおいて、一の二次電池から噴出したガスが、他の二次電池に吹きかかることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の第1実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、電池ユニットにおける二次電池およびリード板の縦断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例に係る第1リード板の平面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例に係る第3リード板の平面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る第3リード板の平面図である。
【
図11】
図11は、凹部の底面と直交する平面によって切断した第2貫通孔の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本開示が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る電池パック1の分解斜視図である。電池パック1は、電子機器、電動車両および電動工具などの外部装置(不図示)に電源として適用可能である。電池パック1は、外装ケース10、コネクタ20、制御基板30、および、電池ユニット40を備えている。
【0011】
外装ケース10は、箱状であり、制御基板30および電池ユニット40を収容する。外装ケース10は、第1ケース部11および第2ケース部12を有している。
【0012】
コネクタ20は、外装ケース10に取り付けられる。コネクタ20は、外部装置と電池ユニット40とを制御基板30を介して電気的に接続し、電池ユニット40の電力を外部装置に供給(放電)する。また、コネクタ20は、電源(例えば商用電源)と電池ユニット40とを制御基板30を介して電気的に接続し、電源からの電力を電池ユニット40に供給(充電)する。制御基板30は、電池ユニット40の充放電を制御する。
【0013】
図2は、電池ユニット40の分解斜視図である。電池ユニット40は、複数の二次電池41、ホルダ42、および、複数のリード板43を備えている。
【0014】
二次電池41は、例えばリチウムイオン電池である。二次電池41は円筒形状である。第1実施形態において二次電池41の個数は、8個であるが、この個数に限定されないことは言うまでもない。
【0015】
複数の二次電池41は、並列に配置されている。つまり、複数の二次電池41の軸線は、互いにほぼ平行である。また、複数の二次電池41は、正極端子41aの向きと負極端子41bの向きとが予め定められている向きに並べられている。
【0016】
図3は、電池ユニット40における二次電池41およびリード板43の縦断面図である。
図3において、ホルダ42は図示されていない。二次電池41は、電極組立体41c、缶41d、および、蓋41eを備えている。缶41dおよび蓋41eは、例えば鉄やSUS、アルミニウム製であり、導電性を有する。
【0017】
電極組立体41cは、複数のシート状の正極(不図示)と複数のシート状の負極(不図示)とがセパレータ(不図示)を介して積層されて巻かれたものである。
【0018】
缶41dは、一端側に開口部を有する筒状である。缶41dは、電極組立体41cの負極と集電箔(不図示)を介して電気的に接続されている。缶41dの他端側端面の中央部は、二次電池41の負極端子41bである。
【0019】
蓋41eは、板状であり、缶41dの開口部を覆う。蓋41eは、電極組立体41cの正極と集電箔を介して電気的に接続されている。蓋41eと缶41dとは、絶縁部材(不図示)によって電気的に絶縁されている。
【0020】
蓋41eは、凸部41f、および、開裂弁41gを有している。凸部41fは、蓋41eの中央部にある。凸部41fの突出端面は、二次電池41の正極端子41aである。また、凸部41fの側壁には、二次電池41の内部と外部とを連通する穴41f1が設けられている。なお、穴41f1は、複数あってもよい。
【0021】
開裂弁41gは、二次電池41の内部において、凸部41fの内側に配置されている。具体的には、開裂弁41gは、穴41f1と連通している空間と、電極組立体41cが位置する空間と、を区画する位置に配置されている。開裂弁41gは、二次電池41の内圧が予め定められている値以上となると開裂して開状態となる。
【0022】
また、缶41dの他端側側壁には、薄肉部41hが設けられている。薄肉部41hは、缶41dの他端側側壁において、厚みが薄くなっている部分である。缶41dの他端側側壁は、二次電池41の内圧が高くなると、薄肉部41hから開裂する。例えば、二次電池41の内圧が予め定められている値以上となっても開裂弁41gが開状態とならない場合において、二次電池41の内圧がさらに高くなると、缶41dの他端側側壁が薄肉部41hから開裂する。
【0023】
ホルダ42は、複数の二次電池41を保持する。ホルダ42は、主として二次電池41の周側面を保持する。ホルダ42は、正極端子41a、負極端子41b、凸部41f、および、薄肉部41hが設けられている缶41dの部位以外の二次電池41の部位を保持する。
【0024】
リード板43は、複数の二次電池41を電気的に接続する。
図2に示すように、リード板43には、第1リード板50、第2リード板60および第3リード板70がある。第1リード板50および第2リード板60は、互いに同じ形状であり、2つの二次電池41を電気的に接続する。第3リード板70は、4つの二次電池41を電気的に接続する。第1リード板50、第2リード板60および第3リード板70それぞれにおいて電気的に接続される二次電池41の個数がこの個数に限定されないことは言うまでもない。
【0025】
第1リード板50、第2リード板60および第3リード板70は、ほぼ一定の肉厚を有する金属製であり、プレス加工によって形成される。
【0026】
次に、第1リード板50について説明する。なお、第1リード板50と同じ形状の第2リード板60の説明を省略する。
【0027】
図4は、第1リード板50の斜視図である。第1リード板50は、断面L字状に形成されている。第1リード板50の第1片50aは、コネクタ20と制御基板30を介して電気的に接続する接続端子Tである。第1リード板50および第2リード板60それぞれの接続端子Tの間で、複数の二次電池41は、第1リード板50、第2リード板60および第3リード板70を介して、直列または並列に電気的に接続される。
【0028】
第1リード板50の第2片50bは、主板部51、2つの凹部52、および、複数の第1貫通孔53を有している。主板部51と2つの凹部52とは連続しており、一体である。
【0029】
主板部51は、平板形状であり、平面視で矩形状である。
図3に示すように、主板部51は、二次電池41の端面とほぼ平行に配置される。
【0030】
凹部52は、正極端子41a側または負極端子41b側に向けて凹む。凹部52は、平面視で円形状である。凹部52は、底壁部52aおよび傾斜壁部52bを有する。
【0031】
底壁部52aは、二次電池41の正極端子41aおよび負極端子41bの一方と電気的に接続する接続面52a1を底面に有する。正極端子41aおよび負極端子41bの一方と接続面52a1とは、抵抗溶接によって電気的に接続される。底壁部52aは、平面視で円形状である。
【0032】
傾斜壁部52bは、底壁部52aの周囲にあり、底壁部52aと主板部51とを接続する。傾斜壁部52bは、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、主板部51側の端が底壁部52a側の端より外側に位置する。つまり、傾斜壁部52bは、主板部51側から底壁部52a側に向けて径が小さくなる勾配で傾斜している。
【0033】
図3に示すように、底壁部52aが正極端子41aと接続している場合、凹部52があることで、主板部51は、正極端子41aおよび穴41f1から離れた位置にある。一方、底壁部52aが負極端子41bと接続している場合、主板部51は、負極端子41bおよび薄肉部41hが設けられている缶41dの部位から離れた位置にある。
【0034】
第1貫通孔53は、主板部51に複数配置され、主板部51を貫通している。第1貫通孔53は、凹部52には配置されていない。
【0035】
図5は、第1リード板50の平面図である。複数の第1貫通孔53のうちの一部は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と主板部51とが重なる部位にある。これにより、凹部52の周囲にある主板部51は、二次電池41の端面と対向する。また、薄肉部41hが設けられている缶41dの部位と主板部51が対向する場合、複数の第1貫通孔53のうちの一部は、薄肉部41hが設けられている缶41dの部位と対向する。
【0036】
また、複数の第1貫通孔53のうちの他の一部は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と重なる部位以外の部位にある。なお、第1貫通孔53は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と重なる部位および二次電池41と重なる部位以外の部位の一方にあってもよい。なお、接続端子Tを構成する第1リード板50の第1片50aには、第1貫通孔53は配置されていない。
【0037】
さらに、主板部51の平面視において、単位面積あたりの第1貫通孔53の個数は、凹部52に近いほど多い。具体的には、複数の第1貫通孔53は、平面視において、凹部52の中心部を中心として放射状に配置されている。つまり、複数の第1貫通孔53は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、正極端子41aまたは負極端子41bを中心として放射状に配置されている。
【0038】
図6は、第1貫通孔53の断面図である。第1貫通孔53の軸線53aは、主板部51の板面、ひいては、二次電池41の端面とほぼ直交する。第1貫通孔53の内径は、0.2mm以上0.8mm以下である。第1貫通孔53の内径は、0.5mm以上、0.8mm以下でもよい。なお、第1貫通孔53の内径がこの値に限定されないことは言うまでもない。
【0039】
二次電池41の端面と対向する主板部51の板面(以下、対向面51aと称する。)側において、第1貫通孔53の周縁部は、断面弧状の弧状部53bを有している。第1リード板50において、対向面51aは、接続面52a1を有する板面と同じ板面にある。
【0040】
一方、第1リード板50における対向面51aおよび接続面52a1を有する板面と反対側の板面(以下、反対面51bと称する。)には、第1壁部54が設けられている。第1壁部54は、第1貫通孔53の周縁部にあり、主板部51と連続している。第1壁部54は、反対面51bから軸線53aに沿って延びている。第1壁部54は、第1貫通孔53の内周面と連続している第1壁面54aを有している。なお、第1壁部54は、第1貫通孔53の周縁部から軸線53aに近づく方向に傾斜して延びていても良い。もしくは、第1壁部54は、第1貫通孔53の周縁部から軸線53aから離れる方向に傾斜して延びていても良い。
【0041】
弧状部53bおよび第1壁部54は、第1リード板50のプレス加工の際に形成される。第1壁部54は、いわゆるバリである。
【0042】
図7は、第3リード板70の平面図である。第3リード板70は、コネクタ20と電気的に接続せず、接続端子Tを有していない。第3リード板70は、主板部71、4つの凹部72および複数の第1貫通孔73を有している。
【0043】
第3リード板70の主板部71は、平面視正方形状であること以外、第1リード板50の主板部51と同様に形成されている。また、4つの凹部72および複数の第1貫通孔73は、上記の第1リード板50の凹部52および第1貫通孔53と同様に形成されている。
【0044】
つまり、4つの凹部72の底面は、それぞれ、正極端子41aおよび負極端子41bの一方と電気的に接続する。4つの凹部72それぞれは、底壁部72aおよび傾斜壁部72bを有する(
図3)。
【0045】
また、主板部71を貫通する第1貫通孔73の内径は、0.2mm以上0.8mm以下である。さらに、主板部71の平面視において、単位面積あたりの第1貫通孔73の個数は、凹部72に近いほど多く、凹部72の中心部を中心として放射状に配置されている。
【0046】
次に、第1リード板50の底壁部52aが正極端子41aと接続している場合において、開裂弁41gが開裂したときの電池パック1の動作について説明する。開裂弁41gが開裂すると、ガスおよび火花が穴41f1から主板部51に向けて噴出する。火花は、例えば集電箔および電極などの一部から生じたものである。
【0047】
ガスは、主板部51に向けて噴出する。主板部51にある第1貫通孔53は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と重なる部位に配置されている。よって、ガスは、第1貫通孔53を通り、第1リード板50を挟んで二次電池41の反対側に流出する。したがって、開裂弁41gが開裂した二次電池41と第1リード板50との間をガスが流れて、他の二次電池41にガスが吹きかかることを抑制することができる。
【0048】
また、主板部51の平面視において、単位面積あたりの第1貫通孔53の個数は、凹部52に近いほど、すなわち、二次電池41に近いほど多い。つまり、第1リード板50のうち二次電池41から噴出したガスが吹きかかりやすい箇所ほど、多くの第1貫通孔53が設けられる。よって、ガスは、より第1貫通孔53を通りやすくなる。したがって、他の二次電池41にガスが吹きかかることをより抑制することができる。
【0049】
さらに、第1貫通孔53は、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と重なる部位以外の部位にも配置されている。ガスは、平面視において開裂弁41gが開裂した二次電池41と他の二次電池41との間にある第1貫通孔53を通る。したがって、他の二次電池41にガスが吹きかかることをより抑制することができる。
【0050】
また、第1貫通孔53の内径が0.5mm以上である場合、第1貫通孔53の内径が0.2mm以上0.5mm未満である場合と比べて、第1貫通孔53を流れるガスの流量が増大する。よって、他の二次電池41にガスが吹きかかることをより抑制することができる。
【0051】
また、第1壁部54は、二次電池41の端面と対向する対向面51aを有する板面と反対側の反対面51bに設けられている。よって、第1壁部54は、ガスが第1貫通孔53に流入することを妨げない。したがって、他の二次電池41にガスが吹きかかることをより抑制することができる。また、第1壁部54は、反対面51bにあり、第1貫通孔53の内周面と連続している第1壁面54aを有していることで、第1貫通孔53から流出するガスが二次電池41の端面とほぼ直交する軸線53a(
図6)に沿うように案内する。よって、他の二次電池41にガスが吹きかかることをより抑制することができる。
【0052】
また、穴41f1から噴出する火花は、粒体であり、その大きさは、およそ0.05mmから1.2mmの間である。大きさが0.8mmを超える火花が他の二次電池41に当たると、その二次電池41の温度ひいては二次電池41の内圧が上昇する可能性がある。
【0053】
上記のように第1貫通孔53の内径は、0.8mm以下である。これにより、大きさが0.8mmを超える火花は、第1貫通孔53に引っかかる。つまり、第1貫通孔53は、大きさが0.8mmを超える火花を捕捉する。よって、大きさが0.8mmを超える火花が他の二次電池41に当たることを抑制することができる。
【0054】
また、主板部51の平面視において、単位面積あたりの第1貫通孔53の個数は、凹部52に近いほど多い。よって、穴41f1に近い主板部51の部位にある複数の第1貫通孔53の個数は、比較的多い。したがって、第1貫通孔53は、開裂弁41gから噴出した火花を効率よく捕捉することができる。
【0055】
さらに、凹部52に比較的近い第1貫通孔53が火花を捕捉して目詰まりした場合においても、電池ユニット40を正極端子41aおよび負極端子41bの一方から見た平面視において、二次電池41と重なる部位以外の部位において、目詰まりしていない第1貫通孔53を確保することができる。したがって、ガスの流れを確保することができる。
【0056】
また、第1リード板50の底壁部52aが負極端子41bと接続している場合において、缶41dの他端側側壁が薄肉部41hから開裂した場合、その開裂した部位から噴出したガスが、主板部51に向けて噴出する。この場合においても、ガスは、第1貫通孔53を通り、第1リード板50を挟んで二次電池41の反対側に流出する。したがって、缶41dの他端側側壁が開裂した二次電池41と第1リード板50との間をガスが流れて、他の二次電池41にガスが吹きかかることを抑制することができる。
【0057】
なお、第2リード板60の第1貫通孔53および第3リード板70の第1貫通孔73においても、第1リード板50の第1貫通孔53と同様にガスを通す。
【0058】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る電池パック1について、主として上記の第1実施形態の電池パック1と異なる点を説明する。
【0059】
第1実施形態の変形例に係る電池パック1は、第1貫通孔53,73の配置が上記の第1実施形態と異なる。具体的には、主板部51,71の平面視において、単位面積あたりの第1貫通孔53,73の個数は、主板部51,71を流れる電流の大きさに基づいて定められている。
【0060】
図8は、第1実施形態の変形例に係る第1リード板50の平面図である。主板部51において、電流は、2つの凹部52の間、および、凹部52と接続端子Tとの間を流れる。一方、電流は、接続端子T側とは反対側の主板部51の端部51cを流れない。
【0061】
主板部51において、2つの凹部52の間、および、凹部52と接続端子Tとの間の単位面積あたりの第1貫通孔53の個数は、主板部51の端部51cの単位面積あたりの第1貫通孔53の個数より少ない。つまり、電流が流れる部位における単位面積あたりの第1貫通孔53の個数は、電流が流れない部位における単位面積あたりの第1貫通孔53の個数より少なく定められている。これにより、第1貫通孔53があることで電気抵抗が増大し、電流の流れを妨げることを抑制することができる。
【0062】
図9は、第1実施形態の変形例に係る第3リード板70の平面図である。第3リード板70の主板部71においては、二次電池41の配置により、2つの第1の凹部72cの間、および、2つの第2の凹部72dの間を流れる電流は、第1の凹部72cと第2の凹部72dとの間を流れる電流より多い。第1の凹部72cおよび第2の凹部72dは、第1実施形態の凹部72と同様に形成されている。
【0063】
第3リード板70の主板部71において、2つの第1の凹部72cの間、および、2つの第2の凹部72dの間それぞれの単位面積あたりの第1貫通孔73の個数は、第1の凹部72cと第2の凹部72dとの間の単位面積あたりの第1貫通孔73の個数より少ない。つまり、主板部71において電流の大きさが小さい部位ほど、単位面積あたりの第1貫通孔73の個数が多くなるように定められている。よって、第3リード板70においても、第1貫通孔73があることで電気抵抗が増大し、電流の流れを妨げることを抑制することができる。
【0064】
なお、第1貫通孔53は、凹部52に配置されてもよい。また、第1貫通孔53は、第1リード板50の第1片50aに配置されてもよい。
【0065】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電池パック1について、主として上記の第1実施形態の電池パック1と異なる点を説明する。
【0066】
図10は、第2実施形態に係る第3リード板170の平面図である。第2実施形態に係る第3リード板170は、第2貫通孔175および第2壁部176をさらに有している。なお、第3リード板170は、上記の第1実施形態と同様に、複数の第1貫通孔173を有している。
【0067】
第2貫通孔175は、凹部172にあり、主板部171から離れた位置で、傾斜壁部172bを貫通する。平面視において、第2貫通孔175は、底壁部172aの周縁に沿って全周に亘って複数配置されている。このように、複数の第2貫通孔175は、平面視において、底壁部172aの中心部を挟んで対向している。
【0068】
第2貫通孔175は、平面視円状の底壁部172aの径方向に沿って延びる平面視長穴状である。また、平面視において、第2貫通孔175の底壁部172a側の端部は、底壁部172aに位置し、第2貫通孔175の主板部171側の端部は、傾斜壁部172bに位置する。
【0069】
図11は、凹部172の底面と直交する平面によって切断した第2貫通孔175の断面図である。底面と直交する平面によって切断した第2貫通孔175の断面視において、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、底壁部172a側を向いて傾斜している。具体的には、
図11において、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、傾斜壁部172bの厚み方向に沿って延びており、傾斜壁部172bの板面とほぼ直交している。
【0070】
一方、
図11において、第2貫通孔175の内周面における底壁部172a側の端部175bは、底壁部172aの厚み方向に沿って延びており、底壁部172aの板面と直交している。つまり、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、第2貫通孔175の内周面における底壁部172a側の端部175bに対して傾斜している。
【0071】
また、第2貫通孔175の幅は、0.2mm以上0.8mm以下である。なお、第2貫通孔175の幅は、0.5mm以上0.8mm以下でもよい。なお、第2貫通孔175の幅がこの値に限定されないことは言うまでもない。
【0072】
第2貫通孔175は、凹部172が形成される前に、プレス加工によって形成される。平板形状の第3リード板170の厚み方向に沿って貫通する第2貫通孔175が形成された後に、凹部172が形成されることで、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、底壁部172a側を向いて傾斜する。
【0073】
図12は、第2貫通孔175の断面図である。第2壁部176は、対向面171aおよび接続面172a1を有する板面と反対側の板面である反対面171bに設けられている。第2壁部176は、第2貫通孔175の周縁部にあり、凹部172と連続している。傾斜壁部172bにある第2壁部176は、第2貫通孔175の周縁部から、二次電池41の中心軸である軸線41iに近づく方向に延びている。底壁部172aにある第2壁部176は、第2貫通孔175の周縁部から軸線41iに沿って延びている。なお、底壁部172aにある第2壁部176は、第2貫通孔175の周縁部から軸線41iに近づく方向に傾斜して延びていても良い。
【0074】
第2壁部176は、第2貫通孔175の内周面と連続している第2壁面176aを有している。第2壁部176は、第3リード板170のプレス加工の際に形成される。第2壁部176は、いわゆるバリである。
【0075】
第2壁部176は、二次電池41の端面と対向する対向面171aを有する板面と反対側の反対面171bを有する板面にある。よって、第2壁部176は、開裂弁41gから噴出したガスが第2貫通孔175に流入することを妨げない。したがって、他の二次電池41にガスが吹きかかることを抑制することができる。
【0076】
第2貫通孔175は、上記のように、底壁部172aから傾斜壁部172bにかけて、底壁部172aの径方向に沿って延びている。さらに、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、底壁部172a側を向いて傾斜している。よって、第2貫通孔175を通ったガスは、平面視において底壁部172aの中心部に向かって流れる。
【0077】
また、平面視において、複数の第2貫通孔175が底壁部172aの中心部を挟んで対向している。したがって、複数の第2貫通孔175を通ったガスは、平面視において底壁部172aの中央でぶつかり合い、第3リード板170の板面に沿う方向のガスの勢いが減少する。よって、第2貫通孔175を通ったガスが他の二次電池41に吹きかかることを抑制することができる。
【0078】
<第2実施形態の変形例>
なお、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、底壁部52aの底面とほぼ直交しており、第2貫通孔175の内周面における底壁部52a側の端部175bとほぼ平行でもよい。この場合、凹部172が形成された後に、プレス加工によって第2貫通孔175が形成される。
【0079】
また、第2貫通孔175は、底壁部172aから主板部171まで延びる形状でもよい。
【0080】
また、第2貫通孔175は、底壁部172aおよび主板部171に形成されておらず、傾斜壁部172bのみに形成されてもよい。この場合、第2貫通孔175の内周面における底壁部172a側の端部175bは、傾斜壁部172bの厚み方向に沿って延びており、傾斜壁部172bの板面とほぼ直交している。つまり、この場合、第2貫通孔175の内周面における主板部171側の端部175aは、第2貫通孔175の内周面における底壁部172a側の端部175bとほぼ平行である。また、この場合、第2貫通孔175は、平面視長穴状でなく、平面視円状でもよい。
【0081】
また、複数の第2貫通孔175は、複数の第2貫通孔175から通ったガスがぶつかり合う位置にあれば、底壁部172aの周縁の一部に配置されてもよい。例えば、2つの第2貫通孔175が、平面視において、底壁部172aの中心部を挟んで対向する位置にあればよい。
【0082】
<他の変形例>
例えば、第1リード板50、第2リード板60および第3リード板70,170は、インジェクション成形および切削加工などのプレス加工以外の工法によって形成されてもよい。この場合、第1壁部54および第2壁部176は、バリではなく側壁状である。
【0083】
また、第1リード板50は、第1壁部54を有さなくてもよく、第3リード板170は、第2壁部176を有さなくてもよい。この場合、第1貫通孔53および第2貫通孔175は、例えばレーザ加工によって形成される。また、この場合、第1貫通孔53の内径および第2貫通孔175の幅は、0.2mm未満でもよい。
【0084】
また、二次電池41は、開裂弁41gを有さなくてもよい。二次電池41の端面からガスが噴出した場合でも、噴出したガスが第1貫通孔53,73および第2貫通孔175を通ることで、他の二次電池41にガスが吹きかかることを抑制することができる。
【0085】
<本開示の構成例>
なお、本開示は、以下のような構成の組み合わせであってもよい。
【0086】
(1)
円筒形状であり、並列に配置されている2以上の二次電池と、
2以上の前記二次電池を電気的に接続するリード板と、を備え、
前記リード板は、
第1貫通孔と、
前記二次電池の端子と接続する接続面を有する板面と反対側の板面に設けられている第1壁部と、を有し、
前記第1壁部は、前記第1貫通孔の内周面と連続している第1壁面を有する、
電池パック。
【0087】
(2)
前記端子側から見た平面視において、前記第1貫通孔は、前記二次電池と重なる前記リード板の部位にある、
(1)に記載の電池パック。
【0088】
(3)
前記端子側から見た平面視において、前記第1貫通孔は、前記二次電池と重なる前記リード板の部位以外の部位にある、
(1)または(2)に記載の電池パック。
【0089】
(4)
前記リード板は、前記第1貫通孔を複数有し、
前記端子側から見た平面視において、複数の前記第1貫通孔は、前記端子を中心として放射状に配置されている、
(1)から(3)のいずれか1つに記載の電池パック。
【0090】
(5)
前記第1貫通孔の内径は、0.2mm以上0.8mm以下である、
(1)から(4)のいずれか1つに記載の電池パック。
【0091】
(6)
前記リード板は、平板形状の主板部と、前記端子側に向けて凹む凹部と、を有し、
前記凹部は、
前記接続面を底面に有する底壁部と、
前記底壁部と前記主板部とを接続し、前記端子側から見た平面視において、前記主板部側の端が前記底壁部側の端より外側に位置する傾斜壁部と、
前記主板部から離れた位置で前記傾斜壁部を貫通する第2貫通孔と、を有する、
(1)から(5)のいずれか1つに記載の電池パック。
【0092】
(7)
前記底面と直交する平面によって切断した前記第2貫通孔の断面視において、前記第2貫通孔の内周面における前記主板部側の端部は、前記底壁部側を向いて傾斜している、
(6)に記載の電池パック。
【0093】
(8)
前記凹部は、前記接続面を有する板面と反対側の板面に設けられている第2壁部をさらに有し、
前記第2壁部は、前記第2貫通孔の内周面と連続している第2壁面を有している、
(6)または(7)に記載の電池パック。
【0094】
なお、上記した実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1 電池パック
41 二次電池
41a 正極端子(端子)
41b 負極端子(端子)
50 第1リード板(リード板)
51 主板部
52 凹部
52a 底壁部
52a1 接続面
52b 傾斜壁部
53 第1貫通孔
54 第1壁部
54a 第1壁面
60 第2リード板(リード板)
70 第3リード板(リード板)
175 第2貫通孔
176 第2壁部
176a 第2壁面