(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037350
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20240312BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240312BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240312BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240312BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20240312BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240312BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240312BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/06
H01L27/32
G09F9/30 365
G09F9/30 330
G09F9/00 366A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142145
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英幸
(72)【発明者】
【氏名】原田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田畠 弘志
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC29
3K107CC33
3K107DD38
3K107DD39
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD92
3K107DD93
3K107EE48
3K107EE57
3K107FF15
5C094AA43
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094FB15
5C094JA08
5C094JA09
5G435AA17
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE49
(57)【要約】
【課題】新規な構造を有する表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】表示装置は、基板上の平坦化層と、平坦化層上の有機EL素子が設けられた画素と、画素を覆う封止層と、基板の端部に設けられた端子電極と、封止層の上に設けられ、端子電極と電気的に接続される第1配線と、を有し、平坦化層は、画素と端子電極との間に、基板上に段差部を形成する外側端部を有し、第1配線は、封止層上から段差部と交差するように延びており、段差部は、平面視において、平坦化層が、端子電極の方向に突出する第1突出部と、第1突出部に隣接し、端子電極の方向に突出する第2突出部と、第1突出部と第2突出部との間の中間領域と、を有し、平坦化層の前記外側端部は、平面視において、第1突出部から中間領域にかけて、及び、第2突出部から前記中間領域にかけて、湾曲する形状を有し、第1配線は、中間領域を交差して、端子電極の方向に延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の平坦化層と、
前記平坦化層上の有機EL素子が設けられた画素と、
前記画素を覆う封止層と、
前記基板の端部に設けられた端子電極と、
前記封止層の上に設けられ、前記端子電極と電気的に接続される第1配線と、
を有し、
前記平坦化層は、前記画素と前記端子電極との間に、前記基板上に段差部を形成する外側端部を有し、
前記第1配線は、前記封止層上から前記段差部と交差するように延びており、
前記段差部は、平面視において、前記平坦化層が、前記端子電極の方向に突出する第1突出部と、前記第1突出部に隣接し、前記端子電極の方向に突出する第2突出部と、前記第1突出部と前記第2突出部との間の中間領域と、を有し、
前記平坦化層の前記外側端部は、平面視において、前記第1突出部から前記中間領域にかけて、及び、前記第2突出部から前記中間領域にかけて、湾曲する形状を有し、
前記第1配線は、前記中間領域を交差して、前記端子電極の方向に延びている、
表示装置。
【請求項2】
前記封止層は、第1無機絶縁層と、第2無機絶縁層と、前記第1無機絶縁層と前記第2無機絶縁層との間の第1有機絶縁層と、を有し、
前記第1有機絶縁層は、前記平坦化層を超えないように、前記外側端部に沿って設けられ、
前記第1無機絶縁層及び前記第2無機絶縁層は、前記第1有機絶縁層の外側の領域で接触し、前記段差部を覆い、前記段差部の外側に延びている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記段差部は、前記基板と対向する第1面および前記第1面に対し傾斜する第2面を有し、
前記湾曲する形状は前記第1面において第1曲線を有し、
前記第1曲線は、第1点を含み、
断面視において、前記第1面と前記第2面は前記第1点にて交わり、
前記第1面と前記第2面とのなす角度は、10°以上60°以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記段差部は、前記基板と対向する第1面を有し、
前記湾曲する形状は前記第1面において第1曲線を有し、
前記第1曲線の曲率半径は、12μm以上220μm以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1配線と隣接する第2配線をさらに有し、
前記段差部は、平面視において、前記平坦化層が、前記第2突出部に隣接し、前記端子電極の方向に突出する第3突出部をさらに有し、
前記第2配線は、前記第2突出部と前記第3突出部との間に配置される、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント基板を貼り合わせた表示装置の一つとして、オンセル方式のタッチセンサを採用した表示装置が知られている(特許文献1参照)。タッチセンサには、封止層上にタッチセンサに用いる電極が形成され、表示装置には、電極からフレキシブルプリント基板へ信号伝送するための配線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチセンサに用いる電極からフレキシブルプリント基板へ信号を伝送するための配線は、画素とフレキシブルプリント基板との間に設けられる平坦化層の段差部を乗り越える際に、配線のパターニング不良による配線の膜残りによるショートが起きることがある。このショート対策として、段差部にくさび状の突出部を設けていた。
【0005】
しかしながら、くさび状の突出部を段差部に設けた場合、段差部の付け根の部分で段差部の傾斜が急峻となり、そこを起点に段差部を覆うように設けられる封止層、特に無機封止層から段差部が露出する場合がある。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、新規な構造を有する表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による表示装置は、基板上の平坦化層と、平坦化層上の有機EL素子が設けられた画素と、画素を覆う封止層と、基板の端部に設けられた端子電極と、封止層の上に設けられ、端子電極と電気的に接続される第1配線と、を有し、平坦化層は、画素と端子電極との間に、基板上に段差部を形成する外側端部を有し、第1配線は、封止層上から段差部と交差するように延びており、段差部は、平面視において、平坦化層が、端子電極の方向に突出する第1突出部と、第1突出部に隣接し、端子電極の方向に突出する第2突出部と、第1突出部と第2突出部との間の中間領域と、を有し、平坦化層の前記外側端部は、平面視において、第1突出部から中間領域にかけて、及び、第2突出部から前記中間領域にかけて、湾曲する形状を有し、第1配線は、中間領域を交差して、端子電極の方向に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素の回路図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図8a】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図8b】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図8c】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図8d】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【
図8e】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9a】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9b】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9c】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9d】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9e】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図9f】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的端面図である。
【
図10a】本発明の一実施形態の比較例に係る表示装置の模式的斜視図である。
【
図10b】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0010】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0011】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出するという」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。
【0013】
本明細書および請求項において、端面視という表現は、対象物を垂直に切断し、横から眺めたときを表す。端面図は、端面視したときの図を含むものとする。また、平面視という表現は、対象物を真上から眺めたときを表す。上面図または平面図は、平面視したときの図を含むものとする。
【0014】
<第1実施形態>
1.全体構造
本実施形態では、一実施形態に係る表示装置100の構造を記述する。
図1は、実施形態に係る表示装置の模式的上面図である。
【0015】
図1に示すように、表示装置100は、基板102を有し、基板102上にタッチセンサ106、センサ電極122、センサ配線126、コンタクト部134、配線138、端子配線150、実装パッド110、端子電極124、COF設置領域128、駆動回路108、第1段差部112、第2段差部114が設けられる。
【0016】
表示装置100は、表示領域116とそれを囲む周辺領域118を備える。表示領域116には、タッチセンサ106が配置され、周辺領域118には、駆動回路108、実装パッド110、コンタクト部134、第1段差部112、第2段差部114が配置される。
図1では省略されているが、表示装置100は、表示領域116および周辺領域118と重なるように、後述する
図5において点線で示すように、基板102と対となる対向基板120をさらに有する。
【0017】
タッチセンサ106には、センサ電極122が設けられる。センサ電極122は、センサ配線126と接続される。センサ配線126は、コンタクト部134に配置されるコンタクト132を介して、配線138と電気的に接続する。配線138は、端子配線150と電気的に接続する。端子配線150は、実装パッド110に設けられる端子電極124と接続される。これらにより、センサ電極122は、端子電極124と電気的に接続される。
【0018】
基板102の外形は、
図1に示すように、矩形であってもよく、多角形であってもよい。さらに、基板102の外形は、円弧状の部分を有することができる。ここで、基板102の外形は、一つの基板から複数の表示装置100を作製するときは、一つの基板から切り出した表示装置100の外形を基板102の外形とする。
【0019】
表示領域116には、さらに複数の画素を設けることができる。
図2は、表示領域116の模式的平面図を示す。
図2には、複数の画素が設けられる層の平面図を示す。
図2に示すように、複数の画素104は、表示領域116において、例えば行方向(X方向)及び列方向(Y方向)に配置される。各画素104には、複数の発光素子105、例えば、発光素子105R、発光素子105G、発光素子105Bを設けてもよい。発光素子105R、発光素子105G、発光素子105Bは、それぞれ異なる色の光を発光してもよい。例えば、発光素子105Rは、赤色に発光し、発光素子105Gは、緑色に発光し、発光素子105Bは、青色に発光することができる。発光素子105には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を設けることができる。
【0020】
各画素104に設けられるトランジスタと電気的に接続される。
図3は、画素104の回路構成を示す回路図を示す。画素回路400は、選択トランジスタ410、駆動トランジスタ420、キャパシタ430及び発光素子105を含む。
【0021】
選択トランジスタ410は、ゲート線412及びデータ線414に接続される。具体的には、ゲート線412は、選択トランジスタ410のゲートに接続される。データ線414は、選択トランジスタ410のソースに接続される。選択トランジスタ410は、画素回路400にデータ信号(映像信号Vs)を入力するか否かを選択するためのスイッチとして機能する。選択トランジスタ410のドレインは、駆動トランジスタ420のゲート及びキャパシタ430に接続される。
【0022】
駆動トランジスタ420は、アノード電源線422、発光素子105及びキャパシタ430に接続される。具体的には、アノード電源線422は、駆動トランジスタ420のドレインに接続される。発光素子105は、駆動トランジスタ420のソースに接続される。キャパシタ430は、駆動トランジスタ420のゲートとソースとの間に接続される。駆動トランジスタ420は、発光素子105に流れる電流量を制御する。アノード電源線422には、高電位の電源電圧(PVDD)が印加される。
【0023】
キャパシタ430は、選択トランジスタ410を経由して入力されたデータ信号を保持する。キャパシタ430に保持されたデータ信号に対応する電圧が駆動トランジスタ420のゲートに印加される。これにより、駆動トランジスタ420を経由して流れる電流量がデータ信号に応じて制御される。
【0024】
発光素子105は、駆動トランジスタ420とカソード電源線424との間に接続される。具体的には、発光素子105のアノードは、駆動トランジスタ420のソースに接続される。すなわち、発光素子105のアノードは、駆動トランジスタ420を介してアノード電源線422に接続される。発光素子105のカソードは、カソード電源線424に接続される。カソード電源線424には、低電位の電源電圧(PVSS)が印加される。
【0025】
画素回路400において、選択トランジスタ410がオン状態になると、データ線414からデータ信号が入力される。入力されたデータ信号に対応する電圧は、キャパシタ430によって保持される。その後、発光期間において、キャパシタ430に保持された電圧により駆動トランジスタ420のゲートが制御され、駆動トランジスタ420を介してデータ信号に応じた電流が流れる。発光素子105に電流が流れると、発光素子105は、電流量に応じた輝度で発光する。
【0026】
画素回路400に供給される信号は、画素回路400と電気的に接続する駆動回路108から供給される。駆動回路108は、表示領域116と第1段差部112との間に配置することができる。
図1では、複数の駆動回路108が表示領域116を挟むように配置する例を示すが、この配置に限定されない。
【0027】
駆動回路108は、図示しない配線を介して外部駆動回路と電気的接続することができ、外部駆動回路から供給される信号に応じて画素104を駆動することができる。外部駆動回路には、駆動用IC(Integrated Circuit)を用いることができる。
駆動用ICは、実装パッド110を介して駆動回路108に信号を供給することができる。
【0028】
駆動用ICは、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いたCOF(Chip On Film)によって基板102に実装されてもよい。この場合、実装パッド110の端子電極124には、例えば、異方性導電フィルムを用いて配線基板が実装されたFOG(Film On Glass)を用いることができる。FOGを用いた実装パッド110にCOFを設置する際には、
図1に示す実装パッド110を含むCOF設置領域128に、COFは実装パッド110との熱圧着により設置される。
【0029】
タッチセンサ106には、センサ電極122が設けられる。センサ電極122は、センサ配線126と接続される。センサ配線126は、コンタクト部134に配置されるコンタクト132を介して、配線138と電気的に接続する。配線138は、端子配線150と電気的に接続する。端子配線150は、実装パッド110に設けられる端子電極124と接続される。これらにより、センサ電極122は、端子電極124と電気的に接続される。
【0030】
タッチセンサ106は、
図1で示すように、複数のセンサ電極122で構成することができる。センサ電極122は、
図1では、X方向およびY方向に対角線を有するひし形で示されるが、この形に限定されない。
【0031】
タッチセンサ106は、静電容量方式や抵抗膜方式等を用いることができる。タッチセンサ106に静電容量方式を用いた場合、複数のセンサ電極122は、例えば、表示領域116においてマトリクス状に配置される。複数のセンサ電極122は、
図4に示すように、それぞれが行方向(X方向)または列方向(Y方向)に接続することができる。行方向に接続されたセンサ電極122と列方向に接続されたセンサ電極122は、互いに離隔している。行方向または列方向に接続されたセンサ電極122は、それぞれ送信用または受信用の電極として機能することができる。また、行方向または列方向に接続されたセンサ電極122は、外部駆動回路と電気的に接続される。行方向または列方向に接続されたセンサ電極122の一方は、外部駆動回路からの信号が供給され、他方は、外部駆動回路へ信号を供給することができる。
【0032】
センサ電極122を駆動する駆動回路は、画素104の外部駆動回路と同様に、駆動用ICを用いることができる。センサ電極122は、センサ配線126と電気的に接続する実装パッド110を介して、駆動用ICと電気的に接続する。実装パッド110および駆動用ICには、上述したFOGやCOFを用いることができる。
【0033】
センサ配線126と実装パッド110は、
図1に示すように、コンタクト132にてセンサ配線126と配線138が直接または電気的に接続される。さらに配線138が実装パッド110と直接または電気的に接続される。
【0034】
センサ配線126は、
図1および
図4に示すようにそれぞれ行方向または列方向に接続したセンサ電極122の片側から配される。センサ配線126は、
図1に示すように、コンタクト132にて、それぞれ配線138と直接または電気的に接続される。複数のコンタクト132は、コンタクト部134に含まれる。
【0035】
コンタクト部134は、表示領域116を囲む第1段差部112と第1段差部112を囲む第2段差部114との間に配置される。コンタクト部134は、実装パッド110が配置される基板102の端部と第1段差部112との間に位置する。
【0036】
コンタクト部134に電気的に接続されるセンサ配線126は、センサ電極122とコンタクト部134との間における第1段差部112と交差して延びる。さらに、コンタクト部134に電気的に接続される配線138は、実装パッド110とコンタクト部134との間における第2段差部114と交差して延びる。
【0037】
2.部分構造
2-1.部分構造
図4は、
図1で示す鎖線で囲む表示装置100の部分構造136の上面模式図を示す。以下、
図1と同一構成については説明を割愛することがある。
【0038】
図4に示すように、第1段差部112は、外側端部112eおよび複数の突出部142を有する。外側端部112eは、第1段差部112の基板102の端部に向いた外形である。複数の突出部142は、基板102端部の方向および周辺領域118に配置される端子電極124の方向に突出する。
【0039】
複数の突出部142の間には、センサ配線126が配置される。センサ配線126は、第1段差部112と交差するように配置される。センサ配線126は、上述したコンタクト132にて配線138と直接または電気的に接続される。配線138は、第2段差部114と交差するように配置される。
【0040】
さらに、第2段差部114と交差する配線138は、
図4に示すように、実装パッド110に実装される端子電極124と端子配線150を介して電気的に接続することができる。このとき、配線138と端子配線150は、コンタクト152にて直接または電気的に接続することができる。端子配線150は、コンタクト152から端子電極124までの間において、絶縁膜154に覆うことができる。
【0041】
センサ配線126は、上述したように複数の配線とコンタクトを介して端子電極124と電気的に接続されるが、端子電極124が配線としてコンタクト132まで延び、コンタクト132にてセンサ配線126と直接接続してもよい。
【0042】
2-2.断面構造
図5は、
図4で示す鎖線A1-A4に沿った模式的端面図を示す。以下、
図1から
図4と同一構成については説明を割愛することがある。
【0043】
表示装置100は、上述したように基板102を有し、基板102は、例えば、ガラスや石英基板、または有機樹脂基板を用いることができる。有機樹脂基板を用いる場合、基板102は可撓性を有することができる。
【0044】
基板102の上に、上述したように、下地膜156を設けることができる。下地膜156は、基板102からの汚染を防ぐことができ、例えば、無機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、およびこれらの複合体を用いることができる。
【0045】
下地膜156の上に、上述したように、絶縁膜158を設けることができる。表示領域116における絶縁膜158は、画素104および駆動回路108に備えられるトランジスタのゲート絶縁膜の機能を有することができる。絶縁膜158には、下地膜156と同様の材料を用いることができる。
【0046】
絶縁膜158の上に、表示領域116には信号線172、周辺領域には配線138を設けることができる。
図1に示される駆動回路108から各画素104へ供給される信号は、信号線172を介して行われる。または、信号線172は、各画素104へ一定電位を供給する電源線として機能することもできる。配線138は、上述したように、外部駆動回路と
図1に示すタッチセンサ106との間の信号を伝達する配線として機能することができる。信号線172および配線138には、例えば、チタン、アルミニウム、銅、モリブデン等を主成分とした材料を用いることができ、また、これらを単層または積層して用いることができる。
【0047】
信号線172および絶縁膜158の上に、層間膜160を信号線172および配線138を覆うように設けることができる。層間膜160は、信号線172や配線138の平坦化膜としても機能することができる。層間膜160には、下地膜156と同様の材料を用いることができる。
【0048】
配線138および層間膜160の上に、配線138とコンタクト152にて接続する端子配線150を設けることができる。端子配線150は、信号線172および配線138と同様の材料を用いることができる。
【0049】
層間膜160および信号線172の上に、表示領域116において、平坦化層174を設けることができる。さらに、周辺領域118における層間膜160の上に、第1段差部112および第2段差部114が設けられる。第1段差部112および第2段差部114は、表示領域116に位置する画素104と周辺領域118に位置する端子電極124との間に配置される。第1段差部112は、画素104と第2段差部114との間に配置される。第2段差部114は、層間膜160の上に配線138と重なりを有して設けられる。第2段差部114は、第1段差部112と端子電極124との間に配置される。
【0050】
第1段差部112は、積層構造で構成することができる。第1段差部112は、例えば、
図5に示すように平坦化層112-1および絶縁層113の積層構造で構成される。第1段差部112の膜厚または断面視における高さは、平坦化層112-1および絶縁層113の膜厚の合計となる。平坦化層112-1は、平坦化層174が表示領域116の外周に沿って除去されることにより形成することができる。ここで、平坦化層112-1の表示領域116と反対に向いている端部を外側端部112eとする。また、平坦化層174が表示領域116の外周に沿って除去されることにより形成される平坦化層112-1は、基板102上に段差を形成する。段差を形成した平坦化層112-1上に絶縁層113が積層され、第1段差部112が形成される。このように、積層された膜の合計を膜厚または高さとする第1段差部112は、基板102上の他の構造物と比べ高い構造物となる。したがって、第1段差部112は、後述する表示領域116を覆う第1有機絶縁層180を、表示領域116内に留めることができる。
【0051】
第2段差部114は、第1段差部112と同様に形成することができる。第2段差部114は、例えば
図5に示すように、平坦化層114-1および絶縁層115の積層により構成することができる。平坦化層114-1は、平坦化層174により形成することができる。ここで、平坦化層114-1の表示領域116と反対に向いている端部を外側端部114eとする。また、平坦化層112-1の外周に沿って除去されることにより形成される平坦化層114-1は、基板102上に段差を形成する。段差を形成した平坦化層114-1上に絶縁層115が積層され、第2段差部114が形成される。このように第2段差部114が形成されることで、オーバーコート層168を第2段差部114内に留めることができる。これにより、実装パッド110はオーバーコート層168に覆われていないため、オーバーコート層168の除去工程なしに円滑にCOF等の駆動用ICと接続することができる。
【0052】
さらに、第2段差部114と連続する絶縁膜154を端子配線150の上に設けることができる。絶縁膜154は、第2段差部114と同時に形成することができる。例えば、第2段差部114を形成する膜のうち平坦化層114-1を端子配線150の上まで設け、第2段差部114に相当する平坦化層114-1上には、フルトーンマスクを配置し、平坦化層114-1の外側端部114eから端子配線150上まではハーフトーンマスクを配置し露光を行い、現像および焼成することで形成することができる。ハーフトーンマスクとは、フルトーンマスクに比べ光透過率が不均一であり光透過率が低いフォトマスクである。
【0053】
ここで、絶縁膜154の下に配置される端子配線150は、COF設置領域128において絶縁膜154から露出する部分を有し、これを実装パッド110の端子電極124とすることができる。
【0054】
端子電極124および端子配線150に用いる材料としては、信号線172や配線138と同様の材料を用いることができる。また、平坦化層174、平坦化層112-1、平坦化層114-1、および絶縁膜154には、アクリル樹脂やポリシロキサン、ポリイミド、ポリエステルなどを含む感光性の有機樹脂材料を用いることができ、有機絶縁層として機能することができる。さらに、絶縁層113および絶縁層115は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などを含む感光性の有機樹脂材料を用いることができる。
【0055】
さらに、平坦化層174の上にスペーサ176および隔壁層170を設けることができる。隔壁層170は、画素104を定義する隔壁として機能を有する。また、隔壁層170は、画素104に設けられる発光素子の電極端部を覆うように配置される。スペーサ176は、隔壁層170上に配置することができ、画素104の発光素子の作製工程、例えば蒸着工程で用いられるファインマスクを支える機能を有することができる。
【0056】
隔壁層170およびスペーサ176は、同一層から形成することができる。
図6は、
図5に示す部分構造175の模式的端面図を示す。隔壁層170およびスペーサ176は、例えば、樹脂膜を平坦化層174上に形成し、
図6に示すように、フルトーンマスクFTとハーフトーンマスクHTを含むSPCマスクを用いて該樹脂膜を露光する。具体的には、スペーサ176に相当するパターンに対しフルトーンマスクFTを用いて露光し、隔壁層170に相当するパターンに対しハーフトーンマスクHTを用いて露光し、現像および焼成することで、同一層から膜厚の厚いスペーサ176と膜厚の薄い隔壁層170とをつくり分けることができる。スペーサ176および隔壁層170は、絶縁層113や絶縁層115に用いられるエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの有機樹脂材料を用いることができる。
【0057】
スペーサ176の上、および平面視における第1段差部112および第2段差部114に囲まれた領域にて、封止層166が設けられる。封止層166は、複数の絶縁層を有し、それぞれに異なる機能を設けることができる。例えば、
図5に示すように、封止層166は、第1無機絶縁層178、第1有機絶縁層180、第2無機絶縁層182を有する。
【0058】
第1段差部112および第2段差部114に囲まれる領域には、表示領域116は含まれ、画素104に有機EL素子が用いられる場合、第1無機絶縁層178がその領域を覆うことによって有機EL素子への不純物の侵入を抑制することができる。第1無機絶縁層178には、例えば、酸化シリコンや窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0059】
第1無機絶縁層178の上であり、平面視における第1段差部112に囲まれる領域において、第1有機絶縁層180が設けられる。第1有機絶縁層180は、平坦化層112-1または第1段差部112を超えないように、外側端部112eに沿って設けられる。また、第1有機絶縁層180は、画素104の上を平坦化することができ、また画素104に発光素子が設けられる場合、発光素子を不純物から保護することができる。第1有機絶縁層180には、絶縁膜154と同様の材料を用いることができる。
【0060】
第1有機絶縁層180の上であり、平面視における第1段差部112および第2段差部114に囲まれる領域において、第2無機絶縁層182を設けることができる。第2無機絶縁層182は、第1有機絶縁層の外側の領域で第1無機絶縁層178と接触する。これにより、第1無機絶縁層178と第2無機絶縁層182は、第1段差部112を覆い、第1段差部112の外側に延びる。このような構造とすることで、第1無機絶縁層178と第2無機絶縁層182とは、第1有機絶縁層180を封止することができる。第2無機絶縁層182は、例えば、窒化シリコン等の無機化合物を用いることができる。
【0061】
上述した第1有機絶縁層180および第2無機絶縁層182などの複数の異なる種類の膜は、画素104の上の平坦化および画素104に設けられる発光素子の不純物からの保護を行うことができるため、表示領域116において、画素104の上にタッチセンサ106等の構造物を設けることができる。
【0062】
第2無機絶縁層182の上に、表示領域116において、センサ電極122を設けることができる。センサ電極122は、表示領域116に配置されているため、例えば、導電性を有するインジウム-スズ酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、または酸化インジウム錫亜鉛(ITZO)などの、表示映像の視認性を確保できる透光性酸化物の透明導電膜を用いることができる。
【0063】
また、封止層166の上に、センサ電極122および配線138と接続するセンサ配線126が設けられる。具体的には、封止層166の第2無機絶縁層182の上に、センサ配線126が設けられる。第2無機絶縁層182は、第1段差部112の上にも配置されているため、センサ配線126も同様に、第1段差部112の上に配置される。センサ配線126は、信号線172および配線138と同様の材料を用いることができる。
【0064】
さらに、センサ電極122およびセンサ配線126の上に、それらを覆うようにオーバーコート層168は設けられる。オーバーコート層168は、平面視における第2段差部114に囲まれる領域に設けられる。オーバーコート層168は、第1有機絶縁層180と同様の材料を用いることができる。
【0065】
オーバーコート層168の上に、対向基板120を設けることができる。
図5において、対向基板120は、オーバーコート層168と重なるように配置される例を示したが、基板102の上に設けられる構造物の上に配置されればよい。対向基板120は、偏光板の機能を有するフィルムやガラス等を用いることができる。また、対向基板120は、基板102の上に設けられる構造物、例えば画素104やタッチセンサ106等を保護する機能を有する。さらに、対向基板120と基板102を貼り合わせる際には、対向基板120と基板102との間に接着層169を用いて貼り合わせることができる。接着層169には接着剤を用いることができる。接着剤には、例えばOCA(Optical Clear Adhesive)のような対向基板120の材料に近い屈折率を持った接着剤を用いることができる。そのような接着剤を基板102上の構造物に直面する面に加工することで、対向基板120と基板102との間に接着層169を用いて貼り合わせることができる。
【0066】
2-3.部分構造-1
図7は、
図1および
図4に示される複数のセンサ配線126および第1段差部112について拡大した模式的上面図を示す。以下、
図1から
図6と同一構成については説明を割愛することがある。
【0067】
第1段差部112における、少なくとも平坦化層112-1および絶縁層113の一方は、平面視において、端子電極124の方向に突出する複数の突出部142を有し、それらの間に中間領域140を有する。例えば、
図7に示すように、第1段差部112の少なくとも平坦化層112-1および絶縁層113の一方は、隣接する突出部142-1と突出部142-2との間に位置する中間領域140を有する。
【0068】
第1段差部112における、平坦化層112-1または絶縁層113の外側端部112eは、平面視において、突出部142-1から中間領域140にかけて、湾曲する形状186を有する。また、第1段差部112と交差するセンサ配線126は、中間領域140にて交差し、端子電極124の方向に延びる。
【0069】
複数のセンサ配線126は、第1段差部112を乗り越え、複数の突出部142の間にそれぞれ配置される。
図7に示すように、センサ配線126-1は、突出部142-1と突出部142-2との間に配置される。センサ配線126-2は、突出部142-2と突出部142-3との間に配置される。センサ配線126-3は、突出部142-3と突出部142-4との間に配置される。このような配置とすることで、センサ配線126の形成時の外側端部112eに残る膜によりセンサ配線126間のショートを防ぐことができる。
【0070】
2-4.部分構造-2
図8aから
図8eを参照し、複数の突出部142を有する第1段差部112の詳細を説明する。
図8aおよび
図8dは、第1段差部112について拡大した模式的上面図を示す。
図8bは、
図8aで示す鎖線N1-N2に沿った模式的端面図を示す。
図8cは、
図8aで示す鎖線で囲む表示装置100の部分構造184の上面模式図を示す。
図8eは、
図8aで示す直線C1-C2に沿った模式的端面図を示す。以下、
図1から
図7と同一構成については説明を割愛することがある。
【0071】
外側端部112eは、上述したように、突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状186を有し、湾曲する形状186は、第1曲線188により形成される。第1曲線188は、
図8aに示すように、平面視において外側端部112eに含まれる。第1曲線188は、円の一部として表すことができる。例えば、
図8aおよび
図8cに示すように、第1曲線188は、円r1から円r3の一部で表すことができる。3つの円のうち最小の円r1の半径は、例えば、12μmであり、円r2の半径は、80μmである。最大の円r3の半径は、220μmとして示すことができる。ここで、第1曲線188を一部として表すことができる円の好ましい半径は、12μm以上800μ以下であり、好ましい半径の範囲は、18μm以上420μ以下であり、さらに好ましい半径の範囲は40μm以上220μ以下である。別言すると、第1曲線188の好ましい曲率半径の範囲は、12μm以上800μ以下であり、好ましい曲率半径の範囲は、18μm以上420μ以下であり、さらに好ましい曲率半径の範囲は40μm以上220μ以下である。
【0072】
さらに、センサ配線126の幅や間隔に合わせて、突出部142の間隔も大きくしたり小さくしたりすることができる。例えば、
図8dに示すように、隣接する突出部142の間隔を大きくし、湾曲する形状186の間に位置する中間領域140を大きくすることができる。このとき、中間領域140における外側端部112eの形状は直線的な形状とすることができる。ただし、中間領域140における構造は、後述するC1-C2に沿った端面図(
図9a参照)に示される構造である。
【0073】
第1曲線188上の第1点190における第1段差部112は、断面視において、基板102と対向する第1面196に対し傾斜する面198を有する。傾斜する面198と第1面196は、断面視において、第1点190で交わる。断面視において、傾斜する面198と第1面196のなす角度θ1は、10°以上60°以下である。さらに好ましくは、傾斜する面198と第1面196のなす角度θ1は、断面視において、10°以上45°以下である。このとき、角度θ1は、傾斜する面198の最も急峻な角度で定義される。
【0074】
具体的には、
図8aおよび
図8bを参照して角度θ1について説明する。
図8aに示すN1-N2の鎖線は、例えば、円r1の中心192と円r1の接線194および第1曲線188上にある第1点190とを通る。角度θ1は、
図8bに示すように、傾斜する面198上の点200と第1点190を結ぶ直線202と断面視における第1面196とでなす角度のうち、最も大きい角度で定義される。
【0075】
図8aおよび
図8eを参照して、第1段差部112の作製方法について説明する。はじめに、平坦化層112-1は、上述したように平坦化層174と同層で形成される。このとき、平坦化層112-1は、平坦化層174と同様にフルトーンマスクを含むマスクPLNを用いてフルトーンで露光し、現像及び焼成され形成される。
【0076】
次に、絶縁層113は、平坦化層174上に形成されるスペーサ176および隔壁層170と同層で形成することができる。層間膜160および平坦化層112-1上に樹脂膜が形成され、マスクSPCを
図8eに示すように配置し、露光を行う。マスクSPCのうち、ハーフトーンHTで露光される部分とフルトーンFTで露光される部分では、露光量が異なるため、フルトーンFTで露光される部分にくらべハーフトーンHTで露光される部分は断面視において傾斜が緩やかな膜を形成する。ここで、スペーサ176および隔壁層170と同じマスクSPCを用いることができるが、絶縁層113に用いられるハーフトーンFTの光透過率と隔壁層170に用いられるハーフトーンHTの光透過率は異なることができる。具体的には、断面視において、第1段差部の角度θ1が隔壁層170の角度より緩やかであれば、絶縁層113に用いられるハーフトーンHTの光透過率を低くすることで第1段差部のθ1角度を制御することができる。
【0077】
2-5.傾斜面
図9aから
図9fおよび
図10aから
図10bを参照し、第1段差部112および突出部142の傾斜する面(傾斜面)の詳細を説明する。
【0078】
図9aから
図9fは、第1段差部112および突出部142について拡大した模式的端面図を示す。具体的には、
図9aは、
図8aに示すC1-C2に沿った模式的端面図を示す。
図9bは、
図8aに示すD1-D2に沿った模式的端面図を示す。
図9cは、
図8aに示すE1-E2に沿った模式的端面図を示す。
図9dは、
図8aに示すF1-F2に沿った模式的端面図を示す。
図9eは、
図8aに示すG1-G2に沿った模式的端面図を示す。
図9fは、
図8aに示すH1-H2に沿った模式的端面図を示す。ここで、
図9aから
図9fにおいて、平坦化層112-1の記載は割愛する。
図10aは、従来の突出部の模式的斜視図を示す。
図10bは、突出部142の模式的斜視図を示す。以下、
図1から
図8と同一構成については説明を割愛することがある。
【0079】
図9aは、中間領域140の外側端部112eおよび表示領域116に向く第1段差部112の端部に沿った端面の形状を示す端面図である。第1段差部112の両端部ともに、マスクSPCのHTにより角度を制御されるため、
図8bに示す角度θ1を有する。第1段差部112の高さは平坦化層112-1と絶縁層113の合計の膜厚である。このような膜厚を高さとする構造物は、その傾斜面は通常急峻になり易い。しかし、第1段差部112は、マスクSPCのHTを用いて形成されるため、傾斜する面は、緩やかとなる。これより、第1段差部112を乗り越えて形成される封止層166は、第1段差部112が露出されることなく、第1段差部112を覆うことができる。具体的には、第1段差部112を覆う封止層166は、第1無機絶縁層178及び第2無機絶縁層182であり、第1段差部112が露出されることなく、第1段差部112を覆うことができる。
【0080】
さらに、第1段差部112の外側端部112eだけでなく、その反対に位置する内側の端部も、第1段差部112が露出されることなく、封止層166は覆うことができる。具体的には、第1無機絶縁層178は、第1段差部112の内側の端部を覆うことができる。
【0081】
また、第1段差部112を覆う封止層166のうち第1段差部112と接する層は、第1段差部112の傾斜する面がなだらかであるため、無機化合物を用いた層であっても、第1段差部112を露出させることなく均一で膜質のよい層が第1段差部112を覆うことができる。
【0082】
このように、第1段差部112が露出されることなく、第1無機絶縁層178が第1段差部112の両側面または両端部を均一で膜質の良い状態で覆い、また第2無機絶縁層182が第1段差部112の外側端部112eを均一で膜質の良い状態で覆うことで、外部の水分が第2無機絶縁層182および第1無機絶縁層178を透過してパネル内部に侵入することを抑止し、発光素子への水分による寿命低下等の悪影響を抑止することができる。
【0083】
図9bは、表示領域116に向く第1段差部112の端部から突出部142の先端に沿ったの形状を示す端面図である。両端部ともにマスクSPCのHTにより角度を制御されるため、緩やかな傾斜を示すが、突出部142中央からの先端部向かう側面は先端部に向けてさらに緩やかな傾斜を示す。
【0084】
図9cは、表示領域116に向く第1段差部112の端部から第1段差部112の中央を通り、湾曲する形状を示す外側端部112eに沿った形状を示す端面図である。
図9cに示す第1段差部112は、
図9aに示す第1段差部112と同様に、両端部ともにマスクSPCのHTにより角度を制御され、さらに外側端部112eは湾曲する形状であるため、急峻な角度θ1とならず、
図8bに示す角度θ1を有する。
【0085】
ここで、
図10aおよび
図10bを参照し、突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状である外側端部112eと突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状でない外側端部112epとを比較する。
図10aは、突出部142pから中間領域140pにかけて湾曲する形状でない外側端部112epの形状を示す。
図10bは、突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状である外側端部112eを示す。
図10bに示すように、突出部142の根元部分204は、突出部142がその先端に向けて湾曲する形状186であるため、平面視および断面視においてなだらかな形状である。一方、
図10aに示す突出部142pの根元部分204pは、突出部142pがその先端に向けて直線的な形状であるため、平面視および断面視において急峻な形状である。
【0086】
したがって、外側端部112eが突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状を有するため、
図9cに示すように、湾曲する形状を有する外側端部112eの傾斜は、
図9aに示す第1段差部112の端部と同様な傾斜となる。
【0087】
図9dから
図9fは、突出部142の両側面の形状を示す端面図を示す。
図9dから
図9fに示すように、突出部142の幅は、先端に向けて徐々に狭くなり、突出部142の高さも徐々に低くなる。また、突出部142の両側面の傾斜も小さくなる。
【0088】
表示装置100では、基板102上の画素104と端子電極124との間に第1段差部112を有し、第1段差部112は平面視において端子電極124の方向に突出する複数の突出部142と、複数の突出部142間に中間領域140とを有し、第1段差部112の外側端部が突出部142から中間領域140にかけて湾曲する形状を有する。このため、本実施形態を適用することで、封止層166が第1段差部112を覆うとき、または、第1段差部112上を成膜されるときの段差被覆性を保つことができ、信頼性の高い表示装置が提供される。
【0089】
さらに、表示装置100では、センサ配線126が第1段差部112を突出部142と突出部142との間の中間領域140にて乗り越えるため、センサ配線126の形成時に残る膜によるセンサ配線126間ショートが起きることを抑制することができ、歩留まりが高く信頼性の高い表示装置が提供される。
【0090】
また、センサ電極122の微細化によりセンサ配線126が多く用いられる場合やセンサ配線126の微細化がさらに必要とされた場合、突出部142間の距離は短くなり中間領域140の外形が直線的ではなくなる。このような場合、湾曲する形状186を有する突出部142間であれば、第1段差部112を乗り越えた先の層間膜160と傾斜する面198との境界付近は湾曲する形状186でありかつ角度θ1が緩やかであるため、封止層166およびセンサ配線126の応力が集中しない。したがって、封止層166およびセンサ配線126は、第1段差部112上および層間膜160と傾斜する面198との境界付近においても、膜質がよく、またクラックも入りにくい。したがって、本実施形態を適用することで、表示装置100の不良や劣化を抑制することができ、歩留まりが高く信頼性の高い表示装置が提供される。
【0091】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0092】
100:表示装置、102:基板、104:画素、105:発光素子、105B:発光素子、105G:発光素子、105R:発光素子、106:タッチセンサ、108:駆動回路、110:実装パッド、112:第1段差部、112-1:平坦化層、112e:外側端部、112ep:外側端部、113:絶縁層、114:第2段差部、114-1:平坦化層、114e:外側端部、115:絶縁層、116:表示領域、118:周辺領域、120:対向基板、122:センサ電極、124:端子電極、126:センサ配線、126-1:センサ配線、126-2:センサ配線、126-3:センサ配線、128:設置領域、130:第1配線、132:コンタクト、134:コンタクト部、136:部分構造、138:配線、140:中間領域、140p:中間領域、142:突出部、142-1:突出部、142-2:突出部、142-3:突出部、142-4:突出部、142p:突出部、150:端子配線、152:コンタクト、154:絶縁膜、156:下地膜、158:絶縁膜、160:層間膜、166:封止層、168:オーバーコート層、169:接着層、170:隔壁層、172:信号線、174:平坦化層、175:部分構造、176:スペーサ、178:第1無機絶縁層、180:第1有機絶縁層、182:第2無機絶縁層、184:部分構造、186:湾曲する形状、188:第1曲線、190:第1点、192:中心、194:接線、196:第1面、198:面、200:点、202:直線、204:根元部分、204p:根元部分、400:画素回路、410:選択トランジスタ、412:ゲート線、414:データ線、420:駆動トランジスタ、422:アノード電源線、424:カソード電源線、430:キャパシタ