(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037354
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240312BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240312BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240312BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/10
B60W50/14
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142156
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】金 海燕
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA60
3D241BB16
3D241CA18
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DD12Z
5H181AA01
5H181AA07
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】斜線変更中の他の車両の接近を良好に運転者に伝えることができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置50は、車両を自動的に車線変更させるレーンチェンジ制御を行う自動運転制御部51と、運転者が視認可能な車両内の位置に配置された発光素子30を発光させる発光制御部53と、を備え、発光制御部53は、車両の車線変更中に発光素子30を発光させると共に車線変更が終了したら発光素子30の発光を停止させ、車線変更中に車両の前方に他の車両が侵入したと判定した場合、車線変更の終了後も発光素子30の発光を継続する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を自動的に車線変更させるレーンチェンジ制御を行う自動運転制御部と、
運転者が視認可能な車両内の位置に配置された発光素子を発光させる発光制御部と、
を備え、
前記発光制御部は、
前記車両の車線変更中に前記発光素子を発光させると共に車線変更が終了したら前記発光素子の発光を停止させ、
前記車線変更中に前記車両の前方に他の車両が侵入したと判定した場合、前記車線変更の終了後も前記発光素子の発光を継続する、
車両制御装置。
【請求項2】
前記車両から前記他の車両までの距離が所定の閾値以下の場合に、前記発光素子が発光している状態で、前記車両の前方に前記他の車両が存在することを前記運転者に通知すると共に、前記運転者に前記車両の操縦を開始することを促すアラートを出力するアラート出力部をさらに備える、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、
前記車両の前方の前記他の車両を前記運転者が確認したことを示す入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させる、
請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記発光制御部は、
前記車両のハンドルに設けられたスイッチを介して前記入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させる、
請求項3に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の自動運転において、車線変更の際に他の車両の接近を検出した場合に、車線変更の禁止を促す音声メッセージを出力する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声メッセージは有用であるが車両の走行中に頻繁に音声メッセージが発せられると運転の快適性が損なわれるという問題がある。一方で、他の車両の接近などの事象は運転車に知らせる必要がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、斜線変更中の他の車両の接近を良好に運転者に伝えることができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の車両制御装置は、車両を自動的に車線変更させるレーンチェンジ制御を行う自動運転制御部と、運転者が視認可能な車両内の位置に配置された発光素子を発光させる発光制御部と、を備え、前記発光制御部は、前記車両の車線変更中に前記発光素子を発光させると共に車線変更が終了したら前記発光素子の発光を停止させ、前記車線変更中に前記車両の前方に他の車両が侵入したと判定した場合、前記車線変更の終了後も前記発光素子の発光を継続する。
【0007】
前記車両から前記他の車両までの距離が所定の閾値以下の場合に、前記発光素子が発光している状態で、前記車両の前方に前記他の車両が存在することを前記運転者に通知すると共に、前記運転者に前記車両の操縦を開始することを促すアラートを出力するアラート出力部をさらに備えてもよい。
【0008】
前記発光制御部は、前記車両の前方の前記他の車両を前記運転者が確認したことを示す入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させてもよい。
【0009】
前記発光制御部は、前記車両のハンドルに設けられたスイッチを介して前記入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動運転のモードの変更を運転者に良好に伝えることができる車両制御装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】車線変更時の制御を説明するための模式図である。
【
図4】車両制御システムの動作の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、車両制御システムの構成を示す図である。
図2は、発光素子の配置の一例を示す図である。
【0013】
車両制御システムS100は、一例としてトラック等の商用車に搭載されたシステムであり、
図1に示すように、センサ部10、車内カメラ20、発光素子30、記憶部40、車両制御装置50、及び入力部60を備えている。
【0014】
センサ部10は、車両の周辺状況を検知する。センサ部10は、例えば、車両の前方を撮像するカメラ、後方を撮像するカメラ、及びミリ波レーダを備える。センサ部10は、さらに、レーザレーダ、超音波センサ、又はGNSS(Global Navigation Satellite System)センサを備えていてもよい。
【0015】
車内カメラ20は、車内に配置され、運転中の運転者を撮影するカメラである。車内カメラ20は、一例として、赤外光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器を有する。車内カメラ20は、本実施形態では、例えば運転者の上半身を撮影するように配置されている。車内カメラ20は、所定の撮影周期(例えば1/30秒)ごとに運転者を撮影し、運転者が写った撮像画像を出力する。
【0016】
発光素子30は、例えば、車内に配置されたLED(Light Emitting Diode)である。発光素子30は、運転者が視認可能な車両内の位置に配置されている。発光素子30は、具体的には、例えば運転者の座席よりも前方に配置されている。発光素子30の数は任意であり、
図2に示すように、複数の発光素子30が設けられていてもよい。
【0017】
図2の例では、具体的には、インストルメントパネル62と同等の高さ又はそれより上方に配置された上部側発光素子31と、インストルメントパネル62より低い位置に配置された下部側発光素子32とが設けられている。上部側発光素子31は、例えばインストルメントパネル62の内部に配置されてもよいし、ダッシュボード61上に配置されてもよい。
【0018】
下部側発光素子32は、車両の走行中、前方ではなく下方を見ている運転者が発光を認識できるような位置に配置されていればよい。具体的には、一例として、運転席の左右の位置に第1の下部側発光素子32と第2の下部側発光素子32とが配置されていてもよい。上部側発光素子31についても同様に運転席の左右の位置に配置されていてもよい。
【0019】
記憶部40は、車両制御装置50を機能させるための各種のプログラムを格納する。記憶部40は、例えば地図情報を記憶している。記憶部40は、また、発光制御部53が、発光素子30を発光させる場合の発光素子の色、発光パターン、及び発光時間を、発光素子30を発光させる条件に関連付けて記憶している。
【0020】
車両制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。車両制御装置50は、記憶部40に記憶されているプログラムを実行することによって、自動運転制御部51、判定部52、発光制御部53、及びアラート出力部54として機能する。
【0021】
自動運転制御部51は、車両を自動運転させるための制御を行う。自動運転制御部51は、具体的には、エンジン若しくはモータの出力を制御する、又は、ブレーキを作動させることにより、車両の速度を変化させる。自動運転制御部51は、検出した車両の周辺状況、及び、記憶部40に格納された地図情報等に基づきステアリング機構の動作を制御することにより、車両が進む方向を変化させる。
【0022】
自動運転制御部51は、車両を自動的に車線変更させるレーンチェンジ制御を行う。自動運転制御部51は、例えば、センサ部10からの撮像画像に基づき、既知の自動運転技術を用いて車線を変更するための制御を行う。自動運転制御部51は、一例として、周辺を走行する車両を検出する。自動運転制御部51は、また、車両の前方に他の車両が侵入したか否かを判定する。自動運転制御部51は、一例として、上記判定を車線変更中に行う。
【0023】
判定部52は、入力部60を介して運転者から所定の入力がされたか否かを判定する。入力部60は、例えば、車両のハンドルに設けられたスイッチである。判定部52は、具体的には、運転者が車両前方の他の車両の存在を確認したことを示す入力が、上記スイッチを介して入力されたか否かを判定する。
【0024】
判定部52は、また、次のような機能を有していてもよい。具体的には、判定部52は、一例として、車内カメラ20によって撮影された運転者の撮像画像に基づき、運転者の視線が所定の向きを向いているか否かを判定する。視線方向は、車両の進行方向と運転者の視線との間の水平方向又は鉛直方向との角度により表される。判定部52は、一例として、自動運転モードが切り替わったことに応じて発光制御部53が発光素子を発光させた後、所定の時間内(例えば予め設定されたX秒以内)に、上記判定を行う。判定部52は、また、車内カメラ20からの撮像画像に映っている運転者の手又は腕の移動量が所定の閾値以下である状態が所定時間継続したか否かを判定する。判定部52は、例えば、運転車の上腕の画像から推定した骨格モデルの経時的な移動量に基づいて上記判定を行う。
【0025】
発光制御部53は、発光素子30の発光を制御する。発光制御部53は、具体的には、車両の車線変更中に発光素子30を発光させ、車線変更が終了したら発光素子30の発光を停止させる。発光制御部53は、車線変更中に車両の前方の所定の距離内に他の車両が侵入したと自動運転制御部51が判定した場合、前記車線変更の終了後も前記発光素子の発光を継続する。
【0026】
このような構成によれば、通常、車線変更が終了したら消灯する発光素子30が、他の車両が前方に割り込んできた場合には、発光を継続することとなる。したがって、運転者が前方の他の車両の存在に注意を払うことを促すことができる。
【0027】
なお、発光制御部53は、車線変更中の発光素子30の発光色及び/又は発光パターンとは異なる発光色及び/又は発光パターンで、車線変更終了後において、発光素子30を発光させてもよい。
【0028】
発光制御部53は、車両の前方の他の車両を前記運転者が確認したことを示す入力があった場合に、発光素子の発光を停止させる。具体例として、発光制御部53は、車両のハンドルに設けられたスイッチを介して前記入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させる。
【0029】
なお、発光制御部53は、例えば、自動運転のモードが切り替わった場合に、上部側発光素子31及び/又は下部側発光素子32を、所定の色及び所定の発光パターンで、所定の時間に亘って発光させてもよい。発光制御部53は、例えば、自動運転のモードが、自動運転の「レベル3」(第1自動運転レベル)から「レベル2」(第2自動運転レベル)に切り替わった場合に、発光素子30を発光させてもよい。「レベル3」とは、運転者が周辺監視義務を有しない第1自動運転レベルである。「レベル2」とは、運転者が周辺監視義務を有する第2自動運転レベルである。
【0030】
アラート出力部54は、所定のアラートを発生させる。アラート出力部54は、具体的には、車両T1(
図3)から他の車両T2までの距離dが所定の閾値以下の場合に、発光素子が発光している状態で、車両T1の前方に他の車両T2が存在することを運転者に通知する。この通知は、一例として、音声メッセージであってもよい。アラート出力部54は、また、運転者に前記車両の操縦を開始することを促すアラートを出力する。例えば、アラート出力部54は、ハンドルを握って車両の操縦を開始するように促す音声メッセージを出力してもよい。
【0031】
[車両制御システムS100の動作例]
以下、車両制御システムS100の動作の一例について説明する。
図3は、車線変更時の制御を説明するための模式図である。
図4は、車両制御システムS100の動作の一例のフローチャートである。
【0032】
以下の説明の初期状態としては、
図3(a)に示すように車両T1の前方に他の車両T2が走行しており、車両T1は車両制御システムS100が搭載された車両であるものとする。
【0033】
まず、ステップS1において、走行している車両T1の周辺状況に応じて、自動運転制御部51が車両T1の車線を変更するためにレーンチェンジ制御を行う。
【0034】
次いで、ステップS2において、発光制御部53が、車両の車線変更中に発光素子30を発光させる。発光素子30が運転席の左右両側に配置されている場合、発光制御部53は、一例として、斜線変更のために車両が移動する側(
図3の例では右側)の発光素子30を発光させてもよい。このように、発光素子30が発光することで、車線変更中であることを運転者に知らせることができる。
【0035】
次いで、ステップS3において、車線変更中(
図3(b))に前方に他の車両T2が侵入したか否かが判定され、ステップS3でNoの場合、ステップS4において車線変更が終了したか否かが判定される。車線変更が終了するまでステップS4が繰り返され、車線変更が終了したらステップS7において、発光制御部53は発光素子30を消灯させる。
【0036】
一方で、ステップS3でYesの場合、ステップS5において車線変更が終了したか否かが判定される。車線変更が終了するまでステップS5が繰り返され、車線変更が終了したらステップS6において、発光制御部53は、発光素子30の発光を継続させる。発光制御部53は、例えば予め設定された所定の発光時間が経過したら、発光制御部53は発光素子30を消灯させる(ステップS7)。
【0037】
発光制御部53は、前述したように、例えばハンドルのスイッチを介して運転者から入力があったことを条件に、発光を停止させてもよい。
【0038】
[実施の形態の効果]
以上説明した本実施形態の構成では、車線変更中に車両前方に他の車両T2が侵入したと判定された場合、車線変更の終了後も発光素子の発光が継続する。したがって、したがって、発光素子の発光によって、運転者が前方の他の車両T2の存在に注意を払うことを促すことができる。
【0039】
また、車両T1から他の車両T2までの距離dが所定の閾値以下の場合に、発光素子の発光に加えて、運転者に車両T1の操縦を開始することを促すアラートが出力されるため、運転者に対して車両T1の操縦を効果的に促すことができる。
【0040】
また、前方の他の車両T2を運転者が確認したことを示す入力があった場合に、発光素子30の発光が停止される構成によれば、発光停止の契機が運転者による入力であるため、運転者に他の車両T2をより確実に認識させることができる。
【0041】
また、ハンドルに設けられたスイッチを介して上記入力があった場合に、発光素子30が発光が停止される構成によれば、運転者がハンドルを触っている状態であるため、自動運転での対応が困難であることが想定される複雑な周囲状況においても運転者自身が車両T1を操縦して対応することができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0043】
10 センサ部
20 車内カメラ
30 発光素子
31 上部側発光素子
32 下部側発光素子
40 記憶部
50 車両制御装置
51 自動運転制御部
52 判定部
53 発光制御部
54 アラート出力部
61 ダッシュボード
62 インストルメントパネル
S100 車両制御システム
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を自動的に車線変更させるレーンチェンジ制御を行う自動運転制御部と、
運転者が視認可能な車両内の位置に配置された発光素子を発光させる発光制御部と、
を備え、
前記発光制御部は、
前記車両の車線変更中に前記発光素子を発光させると共に車線変更が終了したら前記発光素子の発光を停止させ、
前記車線変更中に前記車両の前方に他の車両が侵入したと判定した場合、前記車線変更の終了後も前記発光素子の発光を継続するものであり、
前記車両から前記他の車両までの距離が所定の閾値以下の場合に、前記発光素子が発光している状態で、前記車両の前方に前記他の車両が存在することを前記運転者に通知すると共に、前記運転者に前記車両の操縦を開始することを促すアラートを出力するアラート出力部をさらに備え、
前記発光制御部は、前記車両の前方の前記他の車両を前記運転者が確認したことを示す入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させる、
車両制御装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、
前記車両のハンドルに設けられたスイッチを介して前記入力があった場合に、前記発光素子の発光を停止させる、
請求項1に記載の車両制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
[実施の形態の効果]
以上説明した本実施形態の構成では、車線変更中に車両前方に他の車両T2が侵入したと判定された場合、車線変更の終了後も発光素子の発光が継続する。したがって、発光素子の発光によって、運転者が前方の他の車両T2の存在に注意を払うことを促すことができる。