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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037365
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】船舶における暖房システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 27/00 20060101AFI20240312BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20240312BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20240312BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20240312BHJP
   B63J 2/12 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F25B27/00 Z
F25B13/00 341A
F25B30/02 Z
F28D9/00
B63J2/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142170
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】313009051
【氏名又は名称】ダイキンMRエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔吾
【テーマコード(参考)】
3L092
3L103
【Fターム(参考)】
3L092MA04
3L092NA16
3L103AA12
3L103BB50
3L103CC03
3L103CC17
3L103DD12
3L103DD70
(57)【要約】
【課題】 ヒートポンプ式のユニットから薬品洗浄の対象となる部品を無くすことができる船舶における暖房システムを提案する。
【解決手段】 船舶における暖房システムは、第1ユニット10と、海水熱交換器101と、第2ユニット20と、第1ポンプ301を備える。第1ユニット10は、暖房対象空間に配置される。海水熱交換器101は、海水Sと第2熱搬送媒体C2とを熱交換させ、第2熱搬送媒体C2を加熱する。第2ユニット20は、冷媒回路RCを有し、第2熱搬送媒体C2の熱を使って第1熱搬送媒体C1を加熱する、ヒートポンプ式のユニットである。第1ポンプ301は、第2ユニット20から第1ユニット10に加熱された第1熱搬送媒体C1を送る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房対象空間に配置される第1ユニット(10)と、
海水(S)と第2熱搬送媒体(C2)とを熱交換させ、前記第2熱搬送媒体を加熱する、海水熱交換器(101)と、
冷媒回路(RC)を有し、前記第2熱搬送媒体の熱を使って第1熱搬送媒体(C1)を加熱する、ヒートポンプ式の第2ユニット(20)と、
前記第2ユニットから前記第1ユニットに加熱された前記第1熱搬送媒体を送る第1ポンプ(301)と、
を備える船舶における暖房システム。
【請求項2】
前記海水熱交換器から前記第2ユニットに向けて前記第2熱搬送媒体を送る第2ポンプ(302)を、さらに備える、
請求項1に記載の船舶における暖房システム。
【請求項3】
前記海水熱交換器と前記第2ユニットの間で、前記第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体(C3)とを熱交換させる中間熱交換器(102)を、さらに備え、
前記第2熱搬送媒体は、前記海水熱交換器と前記中間熱交換器とを通る循環路を循環し、
前記第3熱搬送媒体は、前記中間熱交換器と前記第2ユニットとを通る循環路を循環する、
請求項1又は請求項2に記載の船舶における暖房システム。
【請求項4】
冷暖切換用の循環路に設けられる冷暖切換弁(201)、をさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の船舶における暖房システム。
【請求項5】
前記第2熱搬送媒体が、前記海水熱交換器での前記海水との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水(WW)との熱交換を行うように、前記第2熱搬送媒体の流路を切り換える第1流路切換弁(501)を、さらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の船舶における暖房システム。
【請求項6】
前記第3熱搬送媒体が、前記中間熱交換器での前記第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水との熱交換を行うように、前記第3熱搬送媒体の流路を切り換える第2流路切換弁(601)を、さらに備える、
請求項3に記載の船舶における暖房システム。
【請求項7】
前記第3熱搬送媒体が、前記中間熱交換器での前記第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、ヒーターにより加熱されるように、前記第3熱搬送媒体の流路を切り換える第3流路切換弁(701)を、さらに備える、
請求項3に記載の船舶における暖房システム。
【請求項8】
前記海水熱交換器は、プレート式熱交換器である、
請求項1又は2に記載の船舶における暖房システム。
【請求項9】
前記第2ユニットの前記冷媒回路における熱交換機は、冷媒と清水との熱交換を行う、
請求項1又は2に記載の船舶における暖房システム。
【請求項10】
前記第2ユニットの前記冷媒回路における熱交換器は、多管式熱交換器(30)である、
請求項1又は2に記載の船舶における暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
船舶における暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶において暖房を行うため、海水とヒートポンプ式のユニットの冷媒と熱交換を行う場合がある。
【0003】
特許文献1(特開昭51-43号公報)は、船舶における海水熱源のヒートポンプ式空気調和機を開示している。特許文献1の空気調和機は、暖房運転時において、海水が機関を冷却して温度上昇した機関冷却水と海水との混合水を、冷媒との熱交換に用いる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気調和機は、冷媒回路上の熱交換器で海水が混合した混合水を用いる。このため、特許文献1の空気調和機の熱交換器は、薬品洗浄の対象となる。薬品洗浄を怠って熱交換器に腐食などが生じると、熱交換器の亀裂から冷媒が漏れ出る恐れがある。
【0005】
本開示は、ヒートポンプ式のユニットから薬品洗浄の対象となる部品を無くすことができる船舶における暖房システムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の船舶における暖房システムは、第1ユニットと、海水熱交換器と、第2ユニットと、第1ポンプを備える。第1ユニットは、暖房対象空間に配置される。海水熱交換器は、海水と第2熱搬送媒体とを熱交換させ、第2熱搬送媒体を加熱する。第2ユニットは、冷媒回路を有し、第2熱搬送媒体の熱を使って第1熱搬送媒体を加熱する、ヒートポンプ式のユニットである。第1ポンプは、第2ユニットから第1ユニットに加熱された第1熱搬送媒体を送る。
【0007】
本船舶における暖房システムは、第2ユニットとは別に海水熱交換器を備え、第2熱搬送媒体を介して海水の熱を第2ユニットに伝える。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニットから薬品洗浄の対象となる部品を無くすことができる。
【0008】
第2観点の船舶における暖房システムは、第1観点の船舶における暖房システムであって、第2ポンプをさらに備える。第2ポンプは、海水熱交換器から第2ユニットに向けて第2熱搬送媒体を送る。
【0009】
本船舶における暖房システムは、海水熱交換器から第2ユニットに向けて第2熱搬送媒体を送る第2ポンプをさらに備える。本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体の物性、第2熱搬送媒体の流れ方、海水熱交換器から第2ユニットまでの距離、海水熱交換器の大きさに関わらず、第2ユニットに第2熱搬送媒体を送ることができる。従って、本船舶における暖房システムは、様々な環境において、海水と熱交換を行った第2熱搬送媒体を利用できる。
【0010】
第3観点の船舶における暖房システムは、第1観点又は第2観点の船舶における暖房システムであって、中間熱交換器をさらに備える。中間熱交換器は、海水熱交換器と第2ユニットの間で、第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体とを熱交換させる。また、第2熱搬送媒体は、海水熱交換器と中間熱交換器とを通る循環路を循環する。さらに、第3熱搬送媒体は、中間熱交換器と第2ユニットとを通る循環路を循環する。
【0011】
本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体とを熱交換させる中間熱交換器をさらに備える。本船舶における暖房システムは、海水と第2熱搬送媒体との熱交換に加えて、第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体との熱交換も行う。従って、本船舶における暖房システムは、様々な第2熱搬送媒体の条件に対応できる。
【0012】
第4観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第3観点の何れかの船舶における暖房システムであって、冷暖切換弁をさらに備える。冷暖切換弁は、冷暖切換用の循環路に設けられる。
【0013】
本船舶における暖房システムは、冷暖切換用の循環路に設けられる冷暖切換弁をさらに備える。従って、本船舶における暖房システムは、冷房運転と暖房運転とを容易に切り換えることができる。
【0014】
第5観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第4観点の何れかの船舶における暖房システムであって、第1流路切換弁をさらに備える。第1流路切換弁は、第2熱搬送媒体が、海水熱交換器での海水との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水との熱交換を行うように、第2熱搬送媒体の流路を切り換える。
【0015】
本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体の流路を切り換える第1流路切換弁をさらに備える。第2熱搬送媒体は、海水との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水との熱交換を行うことができる。従って、本船舶における暖房システムは、海水と第2熱搬送媒体との熱交換が望ましくない場合、蒸気あるいは温水と第2熱搬送媒体の熱交換を行うことができる。
【0016】
第6観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第5観点の何れかの船舶における暖房システムであって、第2流路切換弁をさらに備える。第2流路切換弁は、第3熱搬送媒体が、中間熱交換器での第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水との熱交換を行うように、第3熱搬送媒体の流路を切り換える。
【0017】
本船舶における暖房システムは、第3熱搬送媒体の流路を切り換える第2流路切換弁をさらに備える。第3熱搬送媒体は、第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水との熱交換を行う。従って、本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体の熱交換が望ましくない場合、蒸気あるいは温水と第3熱搬送媒体の熱交換を行うことができる。
【0018】
第7観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第6観点の何れかの船舶における暖房システムであって、第3流路切換弁をさらに備える。第3流路切換弁は、第3熱搬送媒体が、中間熱交換器での第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、ヒーターにより加熱されるように、第3熱搬送媒体の流路を切り換える。
【0019】
本船舶における暖房システムは、第3熱搬送媒体の流路を切り換える第3流路切換弁をさらに備える。第3熱搬送媒体は、第2熱搬送媒体との熱交換に代えて、ヒーターにより加熱される。従って、本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体と第3熱搬送媒体の熱交換が望ましくない場合、第3熱搬送媒体がヒーターにより加熱され得る。
【0020】
第8観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第7観点の何れかの船舶における暖房システムであって、海水熱交換器がプレート式熱交換器である。
【0021】
本開示における海水熱交換器は、プレート式熱交換器である。プレート式熱交換器は、熱交換対象の媒体が流れる複数のプレートが積層されるため、小型でも効率よく熱交換できる。従って、本船舶における暖房システムは、船舶の狭小空間においても、効率よく熱交換を行うことができる。
【0022】
第9観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第8観点の何れかの船舶における暖房システムであって、第2ユニットの冷媒回路における熱交換機が、冷媒と清水との熱交換を行う。
【0023】
本開示における第2ユニットの冷媒回路における熱交換機は、冷媒と清水との熱交換を行う。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニットの冷媒回路における熱交換機の薬品洗浄を不要にする。
【0024】
第10観点の船舶における暖房システムは、第1観点から第9観点の何れかの船舶における暖房システムであって、第2ユニットの冷媒回路における熱交換器が、多管式熱交換器である。
【0025】
本開示における第2ユニットの冷媒回路における熱交換器は、多管式熱交換器である。多管式熱交換器は、他種類の熱交換器に比べて、シェルとチューブとによるシンプルな構造であり、洗浄が容易である。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニットの冷媒回路における熱交換器の洗浄を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
図2】多管式熱交換器30の断面CS及び構造を示す概略構成図である。
図3】第2ユニット20の制御ブロック図である。
図4】暖房運転時の船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
図5】冷房運転時の船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
図6】船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。
図7】非低温運転時の船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。
図8】低温運転時の船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。
図9】船舶における冷暖房システム3を示す概略構成図である。
図10】低温運転時の船舶における冷暖房システム3を示す概略構成図である。
図11】船舶における冷暖房システム4を示す概略構成図である。
図12】低温運転時の船舶における冷暖房システム4を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本開示の第1実施形態に係る船舶における冷暖房システム1について説明する。船舶における冷暖房システム1は、船舶における暖房システムの一例である。図1は、船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
【0028】
船舶における冷暖房システム1は、熱源装置と空気調和装置とを循環する熱搬送媒体を用いて、船舶の空調対象空間(図示省略)における空気調和を行う。空気調和の例としては、冷房、冷凍、暖房、加湿、除湿、空気清浄、送風などが挙げられる。空調対象空間は、暖房対象空間の一例である。熱搬送媒体とは、熱を搬送する媒体である。熱搬送媒体の例としては、空気、清水、清水に防錆剤を入れた水、不凍液などが挙げられる。本実施形態において、熱搬送媒体は清水である。なお、熱搬送媒体は、清水に、発錆成分(塩分など)以外の物質を入れた水であってもよい。
【0029】
船舶における冷暖房システム1は、第1ユニット10と、第2ユニット20と、海水熱交換器101と、中間熱交換器102と、第1ポンプ301と、第2ポンプ302と、第3ポンプ303と、配管Pと、弁とを備える。弁の詳細については後述する。
【0030】
第2ユニット20は、配管Pにより、第1ユニット10と、中間熱交換器102と、海水熱交換器101とに連通される。海水熱交換器101は、配管Pにより、中間熱交換器102と連通される。
【0031】
第2ユニット20と第1ユニット10とを連通させる配管Pにより、第2ユニット20と第1ユニット10とを通る循環路が形成される。第2ユニット20と中間熱交換器102とを連通させる配管Pにより、第2ユニット20と中間熱交換器102とを通る循環路が形成される。第2ユニット20と海水熱交換器101とを連通させる配管Pにより、第2ユニット20と海水熱交換器101とを通る循環路が形成される。海水熱交換器101と中間熱交換器102とを連通させる配管Pにより、海水熱交換器101と中間熱交換器102とを通る循環路が形成される。各循環路には、熱搬送媒体が循環する。
【0032】
第1ユニット10と第2ユニット20は、電気的に接続されてもよい。なお、第1ユニット10と第2ユニット20との少なくとも何れかは、海水熱交換器101と、中間熱交換器102と、第1ポンプ301と、第2ポンプ302と、第3ポンプ303の少なくとも何れかと電気的に接続されてもよい。
【0033】
(2)詳細構成
(2-1)第1ユニット
第1ユニット10は、空気を取り込み調和して空調対象空間に供給することで、空調対象空間における空気調和装置である。本実施形態の第1ユニット10は、空調対象空間に配置される。第1ユニット10が配置される場所は、空調対象空間に限定されない。
【0034】
第1ユニット10は、熱源装置からの熱媒体を用いて空気調和を行うため、2次側ユニット、負荷側ユニットに該当する。第1ユニット10は、エアハンドリングユニット(略して「エアハンユニット」又は「AHU」ともいう)である。なお、第1ユニット10は、ファンコイルユニット(略して「FCU」ともいう)であってもよい。第1ユニット10は、熱交換器11と、空調ファン12と、給気ダクト13を備える。
【0035】
(2-1-1)熱交換器
熱交換器11は、空気の冷却器又は加熱器として機能する。熱交換器11は、配管Pにより、第1ユニット10と連通される。熱交換器11は、配管Pに連通する伝熱管(図示省略)と、伝熱フィン(図示省略)とを備える。熱交換器11において、伝熱管及び伝熱フィンの周囲を通過する空気と、伝熱管を通過する熱搬送媒体との熱交換が行われる。
【0036】
(2-1-2)空調ファン
空調ファン12は、空気を第1ユニット10に取り込み、空気を給気ダクト13で空調対象空間へ送る送風機である。空調ファン12の型式の例としては、シロッコファンなどが挙げられる。空調ファン12は、ファンモータ(図示省略)を備える。空調ファン12は、ファンモータのインバータ制御若しくは定速運転で機械的な風量調整が行われる。
【0037】
(2-1-3)給気ダクト
給気ダクト13は、第1ユニット10が空調対象空間に供給する空気の流路を形成する部材である。空調対象空間に供給される空気の例としては、暖かい空気WAと、涼しい空気CAなどが挙げられる。暖かい空気WAは、空調対象空間の温度より高い温度をもつ空気である。涼しい空気CAは、空調対象空間の温度より低い温度をもつ空気である。なお、空調対象空間の温度と同程度の温度をもつ空気が、空調対象空間に供給されもよい。給気ダクト13は、空調ファン12の駆動で第1ユニット10から供給される空気が空調対象空間に送られるように、一端が第1ユニット10に接続され、他端が空調対象空間に形成られる。
【0038】
(2―2)第2ユニット
第2ユニット20は、冷媒回路RCにおいて冷凍サイクルを行い、熱搬送媒体の冷却又は加熱を行い、冷却後又は加熱後の熱搬送媒体を第1ユニット10に送る。冷媒の例としては、微燃性(A2L)を有するR32、R410Aなどのフルオロカーボン系の冷媒などが挙げられる。なお、冷媒は、可燃性又は毒性を有するものであってもよい。第2ユニット20は、第1ユニット10の熱源となるため、熱源装置と、チラーユニットとに該当する。本実施形態における第2ユニット20は、熱搬送媒体として水を用いるため、水冷式ユニットに該当する。
【0039】
第2ユニット20は、圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23と、蒸発器24と、内部配管IPと、制御装置25とを備える。圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23と、蒸発器24と、内部配管IPとは、冷媒回路RCを構成する。第2ユニット20は、ヒートポンプ式ユニットである。
【0040】
(2-2-1)圧縮機
圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機21の例としては、半密閉構造のスクリュー圧縮機などが挙げられる。圧縮機21は、スライド弁(図示省略)を備える。圧縮機21は、スライド弁により、所定範囲内で無段階に容量を制御できる。なお、圧縮機21は、スクリュー圧縮機とは異なる種類の圧縮機であってもよい。圧縮機21は、内部配管IPにより、凝縮器22と、蒸発器24に連通される。
【0041】
(2-2-2)凝縮器
凝縮器22は、熱搬送媒体と高圧の冷媒とを熱交換させて、熱搬送媒体を加熱する熱交換器である。本実施形態における熱搬送媒体が清水であるため、凝縮器22は、冷媒と清水との熱交換を行う。凝縮器22は、内部配管IPにより、圧縮機21と、膨張弁23に連通される。
【0042】
(2-2-2-1)多管式熱交換器
本実施形態の凝縮器22の種類は、シェル31とチューブバンドル32により構成される多管式熱交換器30である。なお、凝縮器22は、多管式熱交換器とは別種類の熱交換器であってもよい。本実施形態の多管式熱交換器30の形は、Uチューブ型である。なお、多管式熱交換器30の形は、遊動管板型と、固定管板型と、遊動頭型であってもよい。多管式熱交換器30は、シェル31とチューブバンドル32により構成されるため、「シェルアンドチューブ式熱交換器」ともいわれる。
【0043】
図2は、多管式熱交換器30の断面CS及び構造を示す概略構成図である。図2の多管式熱交換器30の形状は一例である。シェル31は、チューブバンドル32を収容する円筒型の胴体である。チューブバンドル32は、複数のチューブ33の束である。チューブ33は、細長い円筒型の伝熱管である。
【0044】
多管式熱交換器30には、第1媒体M1と、第2媒体M2が流れる。第1媒体M1は、シェル31の内側とチューブ33の外側により生成される空間を流れる。第2媒体M2は、チューブ33の内側の空間を流れる。本実施形態の第1媒体M1と第2媒体M2は、熱搬送媒体と第2ユニット20の冷媒回路RCの冷媒である。第1媒体M1と第2媒体M2は、チューブ33の壁面の伝熱により熱交換する。具体的には、第2媒体M2が熱搬送媒体であり、第1媒体M1が冷媒である。
【0045】
チューブ33とチューブ33との間には、隙間空間PSが形成される。多管式熱交換器30は、単一のチューブにより形成される熱交換面積に比べ、広い熱交換面積を有する。従って、多管式熱交換器30は、船舶などの狭い空間においても、広い熱交換面積により効率よく熱交換を行うことができる。
【0046】
多管式熱交換器30は、シェル31とチューブバンドル32によるシンプルな構造のため、定置洗浄が容易である。例えば、多管式熱交換器30は、薬品洗浄(化学洗浄)と、高圧水噴射による洗浄、ブラシによる洗浄などにより、洗浄できる。なお、多管式熱交換器30は、チューブバンドル32の抜き出し可能な構造であってもよい。この場合、多管式熱交換器30は、チューブバンドル32を抜き出して、洗浄できる。
【0047】
(2-2-3)膨張弁
膨張弁23は、冷媒の減圧手段又は流量調整手段として機能する弁である。本実施形態において、膨張弁23は、開度制御が可能な電動膨張弁などである。なお、膨張弁23は、感温式膨張弁であってもよい。膨張弁23は、内部配管IPにより、凝縮器22と、蒸発器24に連通される。
【0048】
(2-2-4)蒸発器
蒸発器24は、熱搬送媒体と低圧の冷媒を熱交換させて、熱搬送媒体を冷却する熱交換器である。本実施形態における熱搬送媒体が清水であるため、蒸発器24は、冷媒と清水との熱交換を行う。蒸発器24は、内部配管IPにより、膨張弁23と、圧縮機21に連通される。本実施形態の蒸発器24の種類は、凝縮器22と同様の多管式熱交換器30である。なお、蒸発器24は、凝縮器22とは別の形の多管式熱交換器であってもよい。なお、蒸発器24は、多管式熱交換器とは別種類の熱交換器であってもよい。
【0049】
(2-2-5)内部配管
内部配管IPは、圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23と、蒸発器24とを連通させて、冷媒回路RCを構成する配管である。内部配管IPには、冷媒が充填される。
【0050】
(2-2-6)制御装置
制御装置25は、第2ユニット20の動作を制御することにより、船舶における冷暖房システム1の動作を制御する。船舶における冷暖房システム1の動作の例としては、暖房運転と、冷房運転などが挙げられる。なお、船舶における冷暖房システム1の動作は、冷凍運転と、加湿運転と、除湿運転と、空気清浄運転と、送風運転の少なくとも何れかを含んでもよい。船舶における冷暖房システム1の動作の詳細については後述する。
【0051】
図3は、第2ユニット20の制御ブロック図である。制御装置25は、圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23と、蒸発器24と電気的に接続する。
【0052】
制御装置25は、コンピュータにより実現されるものである。制御装置25は、制御演算装置と記憶装置とを備える(いずれも図示省略)。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。記憶装置は、データベースとして用いることができる。制御装置25により実現される具体的な機能については後述する。
【0053】
なお、ここで説明する制御装置25の構成は一例に過ぎず、以下で説明する制御装置25の機能は、ソフトウェアで実現されても、ハードウェアで実現されても、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0054】
(2-3)海水熱交換器
海水熱交換器101は、海水Sと熱搬送媒体との熱交換を行う。本実施形態における海水熱交換器101の種類は、プレート式熱交換器(略して「プレート熱交換器」ともいう)である。なお、海水熱交換器101は、プレート式熱交換器とは別の種類の熱交換器であってもよい。
【0055】
プレート式熱交換器は、伝熱部に複雑なプレス形状をし、薄く加工して積層した熱交換器である。プレート式熱交換器は、複雑なプレス形状を有するため、熱交換流体に乱流が生じ、効率よく熱交換を行う。また、プレート式熱交換器は、薄く加工された板が積層されるため、熱交換面積が広くなり、効率よく熱交換を行う。従って、海水熱交換器101は、効率よく海水Sと熱搬送媒体との熱交換を行う。
【0056】
海水Sは、清水のほか、塩分(塩化ナトリウムなど)と、微量の金属、植物プランクトンなどが含まれる。従って、海水熱交換器101は、当塩分などを化学的に除去するため、定期的な薬品洗浄を要する。また、海水Sに含まれる塩分が、海水熱交換器101の発錆を促進する。海水熱交換器101の周辺には、犠牲陽極(図示省略)が配置される。犠牲陽極は、亜鉛を特殊モルタルで成形したガルバシールドなどを含む。ガルバシールドが含む亜鉛は、鉄よりもイオン化傾向が高いため、海水熱交換器101よりも錆びやすい。犠牲陽極が海水Sにより代わりに錆びることで、海水熱交換器101を防錆する。犠牲陽極は、海水熱交換器101の代わりに錆びるため、定期的な交換を要する。
【0057】
海水熱交換器101は、配管Pにより、第2ユニット20と中間熱交換器102と海水供給装置(図示省略)に連通される。海水供給装置は海水Sを海水熱交換器101に供給する。
【0058】
(2―4)中間熱交換器
中間熱交換器102は、海水熱交換器101と第2ユニット20との間で、熱搬送媒体と他の熱搬送媒体とを熱交換させる。本実施形態における中間熱交換器102の種類は、プレート式熱交換器である。なお、中間熱交換器102は、プレート式熱交換器とは別の種類の熱交換器であってもよい。中間熱交換器102はプレート式熱交換器であるため、効率よく熱搬送媒体と他の熱搬送媒体との熱交換を行う。中間熱交換器102は、配管Pにより、第2ユニット20と海水熱交換器101に連通される。
【0059】
(2-5)ポンプ
第1ポンプ301と、第2ポンプ302と、第3ポンプ303とは、熱搬送媒体を循環させる循環ポンプ(ラインポンプ)である。なお、第1ポンプ301と、第2ポンプ302と、第3ポンプ303は、循環ポンプとは別種類のポンプであってもよい。
【0060】
第1ポンプ301は、第2ユニット20から第1ユニット10に熱搬送媒体を送る。第2ポンプ302は、海水熱交換器101から中間熱交換器102に向けて熱搬送媒体を送る。中間熱交換器102が海水熱交換器101と第2ユニット20との間に配置されるため、第2ポンプ302が、海水熱交換器101から第2ユニット20に向けて熱搬送媒体を送るともいえる。第3ポンプ303は、中間熱交換器102から第2ユニット20に向けて熱搬送媒体を送る。
【0061】
(2-6)配管
配管Pは、第1ユニット10と、第2ユニット20と、海水熱交換器101と、中間熱交換器102とを連通させる。配管Pには熱搬送媒体が充填される。
【0062】
(2-6-1)熱搬送媒体
船舶における冷暖房システム1の熱搬送媒体は、第1熱搬送媒体C1と、第2熱搬送媒体C2と、第3熱搬送媒体C3と、第4熱搬送媒体C4と、第5熱搬送媒体C5を含む。本実施形態における第1熱搬送媒体C1と、第2熱搬送媒体C2と、第3熱搬送媒体C3と、第4熱搬送媒体C4と、第5熱搬送媒体C5は、清水である。熱搬送媒体の熱交換の詳細については後述する。
【0063】
(2-7)弁
船舶における冷暖房システム1が備える弁は、冷暖切換弁201と、バルブ401を含む。
【0064】
(2-7-1)冷暖切換弁
冷暖切換弁201は、第1ユニット10と第2ユニット20とを通る循環路及び、第2ユニット20と海水熱交換器101とを通る循環路に設けられる。第1ユニット10と第2ユニット20とを通る循環路及び、第2ユニット20と海水熱交換器101とを通る循環路においては、後述する暖房運転時と冷房運転時に、流れる熱搬送媒体が異なる。第1ユニット10と第2ユニット20とを通る循環路及び、第2ユニット20と海水熱交換器101とを通る循環路は、冷暖切換用の循環路に該当する。従って、冷暖切換弁201は、冷暖切換用の循環路に設けられるともいえる。
【0065】
本実施形態において、冷暖切換弁201の数は8つである。冷暖切換弁201は、冷暖切換弁201Aと、冷暖切換弁201Bと、冷暖切換弁201Cと、冷暖切換弁201Dと、冷暖切換弁201Eと、冷暖切換弁201Fと、冷暖切換弁201Gと、冷暖切換弁Hを含む。なお、船舶における冷暖房システム1に設けられる冷暖切換弁201の数は、8つより少なくても、8つより多くてもよい。
【0066】
本実施形態において、冷暖切換弁201の種類は三方弁である。なお、冷暖切換弁201の種類は三方弁でなくてもよい。船舶における冷暖房システム1の配管Pが形成する循環路の形により、冷暖切換弁201は多様な種類であり得る。
【0067】
(2-7-2)バルブ
バルブ401は、第2ユニット20からの熱搬送媒体の流れ及び第2ユニット20に向けての熱搬送媒体の流れを調整する。バルブ401は、配管P上に設けられる。バルブ401は、バルブ401Aと、バルブ401Bと、バルブ401Cと、バルブ401Dを含む。
【0068】
(3)動作
船舶における冷暖房システム1の動作について説明する。船舶における冷暖房システム1の動作として、暖房運転と、冷房運転がある。暖房運転は、空調対象空間の温度が適正温度より低い場合、空調対象空間に暖かい空気WAを供給する運転である。適正温度の例としては、空調対象空間の人又は物に適正な温度などが挙げられる。例えば、船舶の空調対象空間の人に適正な温度は、概ね18度から28度である。他方、冷房運転は、空調対象空間の温度が適正温度より高い場合、空調対象空間に涼しい空気CAを供給する運転である。
【0069】
(3-1)暖房運転時の動作
船舶における冷暖房システム1の暖房運転時の動作について説明する。図4は、暖房運転時の船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
【0070】
(3-1-1)海水の熱交換
海水供給装置は、配管Pを通じて、海水熱交換器101に海水Sを供給する。海水Sは、海水熱交換器101において、後述する第2熱搬送媒体C2と熱交換を行う。第2熱搬送媒体C2は、海水Sの放熱により加熱される。従って、海水熱交換器101は、海水Sと第2熱搬送媒体C2とを熱交換させ、第2熱搬送媒体C2を加熱する。海水熱交換器101での熱交換の後、海水Sは、配管Pを通じて海水供給装置に戻される。
【0071】
(3-1-2)第2熱搬送媒体の熱交換
海水熱交換器101で加熱された第2熱搬送媒体C2は、冷暖切換弁201Bを介して第2ポンプ302に向けて流れる。第2ポンプ302は、海水熱交換器101から中間熱交換器102に向けて、第2熱搬送媒体C2を送る。第2熱搬送媒体C2は、中間熱交換器102において、後述する第3熱搬送媒体C3と熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、第2熱搬送媒体C2の放熱により加熱される。従って、中間熱交換器102は、第2熱搬送媒体C2と第3熱搬送媒体C3とを熱交換させ、第3熱搬送媒体C3を加熱する。中間熱交換器102での熱交換の後、第2熱搬送媒体C2は、冷暖切換弁201Aを介して、再び海水熱交換器101に流れる。第2熱搬送媒体C2は、海水熱交換器101と中間熱交換器102とを通る循環路を循環する。
【0072】
(3-1-3)第3熱搬送媒体の熱交換
中間熱交換器102で加熱された第3熱搬送媒体C3は、第3ポンプ303に向けて流れる。第3ポンプ303は、中間熱交換器102から第2ユニット20に向けて、第3熱搬送媒体C3を送る。第3熱搬送媒体C3は、冷暖切換弁201Gと、バルブ401Aを介して、第2ユニット20の蒸発器24に流れる。蒸発器24において、第3熱搬送媒体C3と後述する冷媒は、熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、冷媒の蒸発により、熱を奪われて冷却される。蒸発器24での熱交換の後、第3熱搬送媒体C3は、バルブ401Bと、冷暖切換弁201Hを介して再び中間熱交換器102に流れる。第3熱搬送媒体C3は、中間熱交換器102と第2ユニット20とを通る循環路を循環する。
【0073】
海水Sの熱は、海水熱交換器101において、第2熱搬送媒体C2に搬送される。第2熱搬送媒体C2の熱は、中間熱交換器102において、第3熱搬送媒体C3に搬送される。第3熱搬送媒体C3の熱は、蒸発器24において、冷媒に搬送される。従って、海水Sの熱は、冷媒に搬送される。
【0074】
(3-1-4)冷媒の熱交換
冷媒は、蒸発器24において、第3熱搬送媒体C3の熱を奪う。低圧液体の冷媒は、蒸発して、低圧ガスとなる。低圧ガスの冷媒は、内部配管IPを通じて圧縮機21に流れる。圧縮機21は、低圧ガスの冷媒を高圧ガスに圧縮する。高圧ガスの冷媒は、内部配管IPを通じて凝縮器22に流れる。
【0075】
冷媒は、凝縮器22において、後述する第1熱搬送媒体C1と熱交換を行う。高圧ガスの冷媒は、凝縮して高圧液体となる。第1熱搬送媒体C1は、凝縮器22において、冷媒の凝縮による放熱により、加熱される。高圧液体の冷媒は、内部配管IPを通じて膨張弁23に流れる。
【0076】
膨張弁23は、高圧液体の冷媒を膨張させて低圧液体の冷媒とする。低圧液体の冷媒は、内部配管IPを通じて、蒸発器24に再び流れる。冷媒は、冷媒回路RCを構成する蒸発器24と、圧縮機21と、凝縮器22と、膨張弁23とを内部配管IPを通じて循環する。
【0077】
海水Sの熱は、第2熱搬送媒体C2と、第3熱搬送媒体C3を介して、冷媒に搬送される。冷媒の熱は、凝縮器22において、第1熱搬送媒体C1に搬送される。従って、海水Sの熱は、第1熱搬送媒体C1に搬送される。なお、第2ユニット20は、第2熱搬送媒体C2の熱を使って、第1熱搬送媒体C1を加熱するといえる。
【0078】
(3-1-5)第1熱搬送媒体及び空気の熱交換
第1熱搬送媒体C1は、凝縮器22において、冷媒により加熱される。第1熱搬送媒体C1は、配管Pを通じて、バルブ401Dと、冷暖切換弁201Cと、冷暖切換弁201Dを介して、第1ポンプ301に向けて流れる。第1ポンプ301は、第2ユニット20から第1ユニット10に、第1熱搬送媒体C1を送る。第1熱搬送媒体C1は、第1ポンプ301により、第1ユニット10の熱交換器11に流れる。
【0079】
第1熱搬送媒体C1は、熱交換器11において、空調ファン12により供給される空気と熱交換を行う。空調ファン12により供給される空気の温度は、気温と同程度である。第1熱搬送媒体C1の温度は、第1熱搬送媒体C1が加熱されたため、空気の温度より高い。従って、第1熱搬送媒体C1の熱は、熱交換器11において、空気に搬送される。空気は、第1熱搬送媒体C1により加熱され、暖かい空気WAとなる。暖かい空気WAは、空調ファン12により給気ダクト13を介して空調対象空間に供給される。
【0080】
熱交換器11での熱交換の後、第1熱搬送媒体C1は、配管Pを通じて、冷暖切換弁201Eと冷暖切換弁201Fとバルブ401Cを介して、再び凝縮器22に流れる。第1熱搬送媒体C1は、第2ユニット20と第1ユニット10とを通る循環路を循環する。
【0081】
(3-1-6)システム全体の熱交換
海水Sの熱は、第2熱搬送媒体C2と、第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体C1を介して、空気に搬送される。搬送された熱をもつ空気は、暖かい空気WAとして空調対象空間に供給される。暖かい空気WAは、空調対象空間を暖房する。従って、船舶における冷暖房システム1は、海水Sの熱を使って空調対象空間を暖房する。言い換えると、船舶における冷暖房システム1は、海水Sの熱を空調対象空間に搬送する。
【0082】
(3-2)冷房運転時の動作
船舶における冷暖房システム1の冷房運転時の動作について説明する。図5は、冷房運転時の船舶における冷暖房システム1を示す概略構成図である。
【0083】
(3-2-1)海水の熱交換
海水供給装置は、配管Pを通じて、海水熱交換器101に海水Sを供給する。海水Sは、海水熱交換器101において、後述する第4熱搬送媒体C4と熱交換を行う。第4熱搬送媒体C4は、海水Sに放熱して冷却される。言い換えれば、第4熱搬送媒体C4の熱は、海水Sに搬送される。従って、海水熱交換器101は、海水Sと第4熱搬送媒体C4とを熱交換させ、第4熱搬送媒体C4を冷却する。海水熱交換器101での熱交換の後、海水Sは、配管Pを通じて海水供給装置に戻される。
【0084】
(3-2-2)第4熱搬送媒体の熱交換
海水熱交換器101で冷却された第4熱搬送媒体C4は、冷暖切換弁201Bと、冷暖切換弁201Fと、バルブ401Cを介して、第2ユニット20の凝縮器22に流れる。凝縮器22において、第4熱搬送媒体C4と冷媒は、熱交換を行う。第4熱搬送媒体C4は、冷媒の凝縮により、加熱される。言い換えれば、冷媒の熱は、第4熱搬送媒体C4に搬送される。凝縮器22での熱交換の後、第4熱搬送媒体C4は、バルブ401Dと、冷暖切換弁201Cと、冷暖切換弁201Aを介して再び海水熱交換器101に流れる。第4熱搬送媒体C4は、海水熱交換器101と第2ユニット20とを通る循環路を循環する。
【0085】
(3-2-3)冷媒の熱交換
冷媒は、凝縮器22において、第4熱搬送媒体C4に放熱する。高圧ガスの冷媒は、凝縮して高圧液体となる。高圧液体の冷媒は、内部配管IPを通じて膨張弁23に流れる。膨張弁23は、高圧液体の冷媒を膨張させて低圧液体の冷媒とする。低圧液体の冷媒は、内部配管IPを通じて、蒸発器24に流れる。
【0086】
冷媒は、蒸発器24において、後述する第5熱搬送媒体C5と熱交換を行う。低圧液体の冷媒は、第5熱搬送媒体C5の熱を奪い、蒸発して低圧ガスとなる。言い換えれば、第5熱搬送媒体C5の熱は、冷媒に搬送される。低圧ガスの冷媒は、内部配管IPを通じて圧縮機21に流れる。圧縮機21は、低圧ガスの冷媒を高圧ガスに圧縮する。高圧ガスの冷媒は、内部配管IPを通じて凝縮器22に再び流れる。冷媒は、冷媒回路RCを構成する凝縮器22と、膨張弁23、蒸発器24と、圧縮機21とを内部配管IPを通じて循環する。
【0087】
(3-2-4)第5熱搬送媒体及び空気の熱交換
第5熱搬送媒体C5は、蒸発器24において、冷媒により冷却される。第5熱搬送媒体C5は、配管Pを通じて、バルブ401Bと、冷暖切換弁201Hと、冷暖切換弁201Dを介して、第1ポンプ301に向けて流れる。第1ポンプ301は、第2ユニット20から第1ユニット10に、第5熱搬送媒体C5を送る。第5熱搬送媒体C5は、第1ポンプ301により、第1ユニット10の熱交換器11に流れる。
【0088】
第5熱搬送媒体C5は、熱交換器11において、空調ファン12により供給される空気と熱交換を行う。空調ファン12により供給される空気の温度は、気温と同程度である。第5熱搬送媒体C5の温度は、第5熱搬送媒体C5が冷却されたため、空気の温度より低い。従って、空気の熱は、熱交換器11において、第5熱搬送媒体C5に搬送される。空気は、第5熱搬送媒体C5により冷却され、涼しい空気CAとなる。涼しい空気CAは、空調ファン12により給気ダクト13を介して空調対象空間に供給される。
【0089】
熱交換器11での熱交換の後、第5熱搬送媒体C5は、配管Pを通じて、冷暖切換弁201Eと、冷暖切換弁201Gと、バルブ401Aを介して、再び蒸発器24に流れる。第5熱搬送媒体C5は、第2ユニット20と第1ユニット10とを通る循環路を循環する。
【0090】
(3-2-5)システム全体の熱交換
空気の熱は、第5熱搬送媒体C5と、冷媒と、第4熱搬送媒体C4を介して、海水Sに搬送される。熱を搬送した空気は、涼しい空気CAとして空調対象空間に供給される。涼しい空気CAは、空調対象空間を冷房する。従って、船舶における冷暖房システム1は、海水Sに放熱して空調対象空間を冷房する。言い換えると、船舶における冷暖房システム1は、空調対象空間の熱を海水Sに搬送する。
【0091】
(4)特徴
(4-1)
船舶における暖房システムは、第1ユニット10と、海水熱交換器101と、第2ユニット20と、第1ポンプ301を備える。第1ユニット10は、暖房対象空間に配置される。海水熱交換器101は、海水Sと第2熱搬送媒体C2とを熱交換させ、第2熱搬送媒体C2を加熱する。第2ユニット20は、冷媒回路RCを有し、第2熱搬送媒体C2の熱を使って第1熱搬送媒体C1を加熱する、ヒートポンプ式のユニットである。第1ポンプ301は、第2ユニット20から第1ユニット10に加熱された第1熱搬送媒体C1を送る。
【0092】
海水Sと熱交換を行う装置は、海水Sの塩分などを化学的に除去するため、定期的な薬品洗浄を要する。本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2を介して海水Sの熱を第2ユニット20に伝える。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニット20から薬品洗浄の対象となる部品を無くすことができる。
【0093】
海水Sと熱交換を行う装置は、海水Sの塩分による発錆を防止するため、犠牲陽極の配置を要する。犠牲陽極は、海水Sの塩分により錆びるため、定期的な交換を要する。本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2を介して海水Sの熱を第2ユニット20に伝える。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニット20の周囲に犠牲陽極を配置し、交換する必要がない。
【0094】
本船舶における暖房システムは、海水Sによる薬品洗浄及び犠牲陽極の配置の負担を抑えつつ、海水Sの熱を第1ユニット10に送付できる。第1ユニット10は、送付された海水Sの熱を利用し、暖房対象空間を暖房できる。従って、本船舶における暖房システムは、海水Sによる薬品洗浄及び犠牲陽極の配置の負担を抑えつつ、海水Sの熱を利用して暖房対象空間を暖房できる。
【0095】
第1熱搬送媒体C1が流れる配管の配管抵抗は、第1熱搬送媒体C1の物性(粘度やレイノルズ数)や流れ方(層流か乱流)、配管Pの長さや熱交換器の規模により変わる。第1ポンプ301は、配管抵抗が大きい場合においても、第1熱搬送媒体C1を第2ユニット20から第1ユニット10に送付する。本船舶における暖房システムは、第1熱搬送媒体C1の物性や流れ方、第2ユニット20から第1ユニット10までの距離、第1ユニット10及び第2ユニット20の熱交換器の大きさに関わらず、第2ユニット20から第1ユニット10に第1熱搬送媒体C1を送ることができる。従って、本船舶における暖房システムは、様々な環境において、第1熱搬送媒体C1を利用できる。
【0096】
冷房運転及び暖房運転を切り換えて動作する本船舶における暖房システムは、ヒートポンプ式の第2のユニットとは別に、暖房対象空間の空気を直接加熱するヒーター等を設ける必要がないため、船舶内の空調設備を簡素化することができる。
【0097】
本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2を介して海水Sの熱を第2ユニット20に伝える構成であるため、海水温度に対する暖房能力の依存度を従来よりも低減させることができる。
【0098】
(4-2)
船舶における暖房システムは、第2ポンプ302をさらに備える。第2ポンプ302は、海水熱交換器101から第2ユニット20に向けて第2熱搬送媒体C2を送る。
【0099】
本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2の物性や流れ方、海水熱交換器101から第2ユニット20までの距離、海水熱交換器101の大きさに関わらず、第2ユニット20に第2熱搬送媒体C2を送ることができる。従って、本船舶における暖房システムは、様々な環境において、海水Sと熱交換を行った第2熱搬送媒体C2を利用できる。
【0100】
(4-3)
船舶における暖房システムは、中間熱交換器102をさらに備える。中間熱交換器102は、海水熱交換器101と第2ユニット20の間で、第2熱搬送媒体C2と第3熱搬送媒体C3とを熱交換させる。また、第2熱搬送媒体C2は、海水熱交換器101と中間熱交換器102とを通る循環路を循環する。さらに、第3熱搬送媒体C3は、中間熱交換器102と第2ユニット20とを通る循環路を循環する。
【0101】
本船舶における暖房システムは、海水Sと第2熱搬送媒体C2との熱交換に加えて、第2熱搬送媒体C2と第3熱搬送媒体C3との熱交換も行う。従って、本船舶における暖房システムは、様々な第2熱搬送媒体C2の条件に対応できる。
【0102】
(4-4)
船舶における暖房システムは、冷暖切換弁201をさらに備える。冷暖切換弁201は、冷暖切換用の循環路に設けられる。従って、本船舶における暖房システムは、冷房運転と暖房運転とを容易に切り換えることができる。
【0103】
(4-5)
船舶における暖房システムは、海水熱交換器101がプレート式熱交換器である。プレート式熱交換器は、複雑なプレス形状を有するため、熱交換流体に乱流が生じ、効率よく熱交換を行う。また、プレート式熱交換器は、薄く加工された板が積層されるため、熱交換面積が広くなり、効率よく熱交換を行う。従って、本船舶における暖房システムは、船舶の狭小空間においても、効率よく熱交換を行うことができる。
【0104】
(4-6)
船舶における暖房システムは、第2ユニット20の冷媒回路RCにおける熱交換機が、冷媒と清水との熱交換を行う。本熱交換器は海水Sと接しないため、薬品洗浄及び犠牲陽極の配置を要しない。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニット20の冷媒回路RCにおける熱交換機の薬品洗浄及び犠牲陽極の配置を不要にする。
【0105】
(4-7)
船舶における暖房システムは、第2ユニット20の冷媒回路RCにおける熱交換器が、多管式熱交換器30である。
【0106】
多管式熱交換器30は、シェル31とチューブバンドル32によるシンプルな構造のため、定置洗浄が容易である。また、多管式熱交換器30は、チューブバンドル32の抜き出し可能な構造である。多管式熱交換器30は、チューブバンドル32を抜き出して、洗浄できる。従って、本船舶における暖房システムは、第2ユニット20の冷媒回路RCにおける熱交換器の洗浄を容易にする。
【0107】
従来の第2ユニットの冷媒回路の熱交換器は、二重管熱交換器である場合がある。二重管熱交換器は、直径の異なる2つのチューブを外側と内側の二重に組み合わせた熱交換器である。二重管熱交換器は、単一のチューブにより形成される熱交換面積に比例する熱交換効率を有する。多管式熱交換器30は、チューブ33とチューブ33との間に、隙間空間PSを有する。多管式熱交換器30は、単一のチューブにより形成される熱交換面積に比べ、広い熱交換面積を有する。多管式熱交換器30は、従って、多管式熱交換器30は、船舶などの狭い空間においても、広い熱交換面積により効率よく熱交換を行うことができる。また、船舶における暖房システムは、より少ない数の多管式熱交換器30により、二重管熱交換器を使用する場合と同程度の暖房を行うことができる。
【0108】
<第2実施形態>
(1)全体構成
第2実施形態に係る船舶における冷暖房システム2について、第1実施形態に係る船舶における冷暖房システム1と相違を中心に説明する。船舶における冷暖房システム2は、暖房運転時の海水Sの温度に基づいて、第2熱搬送媒体C2の流路を切り換えて、第2熱搬送媒体C2と温水WWとの熱交換を行う。熱交換の詳細については後述する。
【0109】
図6は、船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。船舶における冷暖房システム2は、船舶における冷暖房システム1の構成要素に加え、代替熱交換器103と、第1流路切換弁501をさらに備える。
【0110】
中間熱交換器102は、配管Pにより、代替熱交換器103と連通される。中間熱交換器102と代替熱交換器103とを連通させる配管Pにより、中間熱交換器102と代替熱交換器103とを通る循環路が形成される。当循環路には、熱搬送媒体が循環する。
【0111】
なお、第1ユニット10と第2ユニット20との少なくとも何れかは、代替熱交換器103と電気的に接続されてもよい。
【0112】
(2)詳細構成
(2-1)代替熱交換器
代替熱交換器103は、熱搬送媒体と外部の発生機器(図示省略)の温水WWとを熱交換させる。なお、代替熱交換器103は、熱搬送媒体と外部の発生機器の蒸気とを熱交換させてもよい。外部の発生機器の例としては、蒸気の発生器と、温水WWを作る造水器などが挙げられる。蒸気は、清水が気化したものである。温水WWとは、代替熱交換器103で熱交換を行う熱搬送媒体の温度より高い温度を持つ清水である。なお、温水WWは、蒸気の発生器の蒸気により温められた清水であってもよい。
【0113】
本実施形態における代替熱交換器103の種類は、プレート式熱交換器である。なお、代替熱交換器103は、プレート式熱交換器とは別の種類の熱交換器であってもよい。代替熱交換器103はプレート式熱交換器であるため、効率よく熱搬送媒体と他の熱搬送媒体との熱交換を行う。代替熱交換器103は、配管Pにより、中間熱交換器102と外部の発生機器とに連通される。
【0114】
(2-2)第1流路切換弁
第1流路切換弁501は、第2熱搬送媒体C2の流路を切り換える。第1流路切換弁501は、第2熱搬送媒体C2が、海水熱交換器101での海水Sとの熱交換に代えて、外部の発生機器の温水WWとの熱交換を行うようにする。
【0115】
本実施形態において、第1流路切換弁501は、6つである。第1流路切換弁501は、第1流路切換弁501Aと、第1流路切換弁501Bと、第1流路切換弁501Cと、第1流路切換弁501Dと、第1流路切換弁501Eと、第1流路切換弁501Fとを含む。なお、船舶における冷暖房システム2に設けられる第1流路切換弁501の数は、6つより少なくても、6つより多くてもよい。
【0116】
本実施形態において、第1流路切換弁501の種類は仕切弁である。なお、第1流路切換弁501の種類は仕切弁でなくてもよい。船舶における冷暖房システム2の配管Pが形成する循環路の形により、第1流路切換弁501は多様な種類であり得る。
【0117】
(2-3)制御装置
制御装置25が制御する暖房運転の例としては、後述する非低温運転と、後述する低温運転などが挙げられる。
【0118】
(3)動作
暖房運転は、空調対象空間の温度が適正温度より低い状況で行われる。従って、暖房運転時の海水Sの温度が、第2熱搬送媒体C2を加熱できる温度より低くなり得る。従って、船舶における冷暖房システム2は、海水Sの熱を利用できない場合も生じ得る。
【0119】
船舶における冷暖房システム2は、海水Sの熱を利用できない場合にも暖房を行うため、暖房運転として、海水Sの温度が低くない場合の運転(「非低温運転」と称する)と、海水Sの温度が低い場合の運転(「低温運転」と称する)とを含む。なお、暖房運転は、非低温運転を含まず、低温運転のみ含んでもよい。「海水Sの温度が低い」とは、「海水Sの温度が第2熱搬送媒体C2を加熱できる温度より低い」などを意味する。「海水Sの温度が低い」の意味は、これに限定されない。海水Sが第2熱搬送媒体C2を加熱できる温度の例としては、10度などが挙げられる。
【0120】
(3-1)非低温運転の動作
船舶における冷暖房システム2の非低温運転時の動作について説明する。図7は、非低温運転時の船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。船舶における冷暖房システム2非低温運転時の動作は、船舶における冷暖房システム1の暖房運転時の動作と同様である。
【0121】
非低温運転において、船舶における冷暖房システム2は、海水Sにより第2熱搬送媒体C2を加熱できる。従って、船舶における冷暖房システム2は、海水Sの熱を利用して空調対象空間を暖房できる。
【0122】
第1流路切換弁501Aと、第1流路切換弁501Bと、第1流路切換弁501Dは、開放される。第1流路切換弁501Cと、第1流路切換弁501Eと、第1流路切換弁501Fは、閉鎖される。
【0123】
(3-2)低温運転の動作
船舶における冷暖房システム2の低温運転時の動作について説明する。図8は、低温運転時の船舶における冷暖房システム2を示す概略構成図である。
【0124】
第1流路切換弁501Cと、第1流路切換弁501Eと、第1流路切換弁501Fは、開放される。第1流路切換弁501Aと、第1流路切換弁501Bと、第1流路切換弁501Dは、閉鎖される。
【0125】
(3-1-1)温水の熱交換
発生機器は、配管Pを通じて、代替熱交換器103に温水WWを供給する。温水WWは、代替熱交換器103において、第2熱搬送媒体C2と熱交換を行う。第2熱搬送媒体C2は、温水WWの放熱により加熱される。従って、代替熱交換器103は、温水WWと第2熱搬送媒体C2とを熱交換させ、第2熱搬送媒体C2を加熱する。代替熱交換器103での熱交換の後、温水WWは、配管Pを通じて発生機器に戻される。
【0126】
(3-1-2)第2熱搬送媒体の熱交換
第1流路切換弁501により流路が切り換わった第2熱搬送媒体C2は、海水Sとの熱交換に代えて、温水WWとの熱交換を行う。代替熱交換器103で加熱された第2熱搬送媒体C2は、第1流路切換弁501Fと、第1流路切換弁501Cを介して第2ポンプ302に向けて流れる。第2ポンプ302は、代替熱交換器103から中間熱交換器102に向けて、第2熱搬送媒体C2を送る。第2熱搬送媒体C2は、中間熱交換器102において、第3熱搬送媒体C3と熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、第2熱搬送媒体C2の放熱により加熱される。中間熱交換器102での熱交換の後、第2熱搬送媒体C2は、第1流路切換弁501Eを介して、再び代替熱交換器103に流れる。第2熱搬送媒体C2は、中間熱交換器102と代替熱交換器103とを通る循環路を循環する。
【0127】
(3-1-3)他の熱交換
本実施形態の第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体と、空気の熱交換は、第1実施形態の第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体と、空気の熱交換と同様である。
【0128】
(3-1-4)システム全体の熱交換
温水WWの熱は、第2熱搬送媒体C2と、第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体C1を介して、空気に搬送される。搬送された熱をもつ空気は、暖かい空気WAとして空調対象空間に供給される。暖かい空気WAは、空調対象空間を暖房する。従って、船舶における冷暖房システム2は、温水WWの熱を使って空調対象空間を暖房する。言い換えると、船舶における冷暖房システム2は、温水WWの熱を空調対象空間に搬送する。
【0129】
(4)特徴
(4-1)
船舶における暖房システムは、第1流路切換弁501をさらに備える。第1流路切換弁501は、第2熱搬送媒体C2が、海水熱交換器101での海水Sとの熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水WWとの熱交換を行うように、第2熱搬送媒体C2の流路を切り換える。
【0130】
海水Sの温度が第2熱搬送媒体C2を加熱できる温度より低い場合、海水Sは、第2熱搬送媒体C2を加熱できない。船舶における暖房システムは、海水Sの熱を利用できない場合も生じ得る。第2熱搬送媒体C2は、海水Sとの熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水WWとの熱交換を行うことができる。従って、本船舶における暖房システムは、海水Sと第2熱搬送媒体C2との熱交換が望ましくない場合、蒸気あるいは温水WWと第2熱搬送媒体C2の熱交換を行うことができる。
【0131】
<第3実施形態>
(1)全体構成
第3実施形態に係る船舶における冷暖房システム3について、船舶における冷暖房システム2と相違を中心に説明する。図9は、船舶における冷暖房システム3を示す概略構成図である。船舶における冷暖房システム3は、船舶における冷暖房システム2とは異なる場所に、代替熱交換器103を備える。船舶における冷暖房システム3は、第1流路切換弁501を備えず、第2流路切換弁601を備える。
【0132】
(2)詳細構成
(2-1)第2流路切換弁
第2流路切換弁601は、第3熱搬送媒体C3の流路を切り換える。第2流路切換弁601は、第3熱搬送媒体C3が、中間熱交換器102での第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、外部の発生機器の温水WWとの熱交換を行うようにする。
【0133】
本実施形態において、第2流路切換弁601は、2つである。第2流路切換弁601は、第2流路切換弁601Aと、第2流路切換弁601Bとを含む。なお、船舶における冷暖房システム3に設けられる第2流路切換弁601の数は、2つより少なくても、2つより多くてもよい。
【0134】
本実施形態において、第2流路切換弁601の種類は三方弁である。なお、第2流路切換弁601の種類は三方弁でなくてもよい。船舶における冷暖房システム3の配管Pが形成する循環路の形により、第2流路切換弁601は多様な種類であり得る。
【0135】
(3)動作
本実施形態の非低温運転の動作は、第2実施形態の非低温運転の動作と同様である。従って、第2実施形態と異なる態様の低温運転のみ説明する。
【0136】
(3-1)低温運転の動作
船舶における冷暖房システム3の低温運転時の動作について説明する。図10は、低温運転時の船舶における冷暖房システム3を示す概略構成図である。
【0137】
(3-1-1)温水の熱交換
発生機器は、配管Pを通じて、代替熱交換器103に温水WWを供給する。温水WWは、代替熱交換器103において、第3熱搬送媒体C3と熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、温水WWの放熱により加熱される。従って、代替熱交換器103は、温水WWと第3熱搬送媒体C3とを熱交換させ、第3熱搬送媒体C3を加熱する。代替熱交換器103での熱交換の後、温水WWは、配管Pを通じて発生機器に戻される。
【0138】
(3-1-2)第3熱搬送媒体の熱交換
代替熱交換器103で加熱された第3熱搬送媒体C3は、第2流路切換弁601Aを介して、第3ポンプ303に向けて流れる。第3ポンプ303は、代替熱交換器103から第2ユニット20に向けて、第3熱搬送媒体C3を送る。第3熱搬送媒体C3は、冷暖切換弁201Gと、バルブ401Aを介して、第2ユニット20の蒸発器24に流れる。蒸発器24において、第3熱搬送媒体C3と冷媒は、熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、冷媒の蒸発により、熱を奪われて冷却される。蒸発器24での熱交換の後、第3熱搬送媒体C3は、バルブ401Bと、冷暖切換弁201Hと、第2流路切換弁601Bを介して再び代替熱交換器103に流れる。第3熱搬送媒体C3は、代替熱交換器103と第2ユニット20とを通る循環路を循環する。
【0139】
(3-1-3)他の熱交換
本実施形態の低温運転の冷媒と、第1熱搬送媒体C1と、空気の熱交換は、第2実施形態の低温運転の冷媒と、第1熱搬送媒体C1と、空気の熱交換と同様である。
【0140】
(3-1-4)システム全体の熱交換
温水WWの熱は、第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体C1を介して、空気に搬送される。搬送された熱をもつ空気は、暖かい空気WAとして空調対象空間に供給される。暖かい空気WAは、空調対象空間を暖房する。従って、船舶における冷暖房システム3は、温水WWの熱を使って空調対象空間を暖房する。言い換えると、船舶における冷暖房システム3は、温水WWの熱を空調対象空間に搬送する。
【0141】
(4)特徴
(4-1)
船舶における暖房システムは、第2流路切換弁601をさらに備える。第2流路切換弁601は、第3熱搬送媒体C3が、中間熱交換器102での第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水WWとの熱交換を行うように、第3熱搬送媒体C3の流路を切り換える。
【0142】
船舶における暖房システムは、海水Sの温度が低い場合、海水Sの熱を利用できない場合が生じ得る。第3熱搬送媒体C3は、第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、外部の発生機器の蒸気あるいは温水WWとの熱交換を行うことができる。本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2と第3熱搬送媒体C3との熱交換が望ましくない場合、蒸気あるいは温水WWと第3熱搬送媒体C3の熱交換を行うことができる。
【0143】
<第4実施形態>
(1)全体構成
第4実施形態に係る船舶における冷暖房システム4について、船舶における冷暖房システム3と相違を中心に説明する。図11は、船舶における冷暖房システム4を示す概略構成図である。船舶における冷暖房システム4は、代替熱交換器103と第2流路切換弁601を備えず、電気ヒーター104と第3流路切換弁701を備える。電気ヒーター104は、ヒーターの一例である。
【0144】
第2ユニット20は、配管Pにより、電気ヒーター104と連通される。第2ユニット20と電気ヒーター104とを連通させる配管Pにより、第2ユニット20と電気ヒーター104とを通る循環路が形成される。当循環路には、熱搬送媒体が循環する。
【0145】
なお、第1ユニット10と第2ユニット20との少なくとも何れかは、電気ヒーター104と電気的に接続されてもよい。
【0146】
(2)詳細構成
(2-1)電気ヒーター
電気ヒーター104は、渦電流と金属の電気抵抗により、ジュール熱を発生させる機器である。電気ヒーター104は、第3熱搬送媒体C3を加熱する。
【0147】
(2-2)第3流路切換弁
第3流路切換弁701は、第3熱搬送媒体C3の流路を切り換える。第3流路切換弁701は、第3熱搬送媒体C3が、中間熱交換器102での第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、電気ヒーター104により加熱されるようにする。
【0148】
本実施形態において、第3流路切換弁701は、2つである。第3流路切換弁701は、第3流路切換弁701Aと、第3流路切換弁701Bとを含む。なお、船舶における冷暖房システム4に設けられる第3流路切換弁701の数は、2つより少なくても、2つより多くてもよい。
【0149】
本実施形態において、第3流路切換弁701の種類は三方弁である。なお、第3流路切換弁701の種類は三方弁でなくてもよい。船舶における冷暖房システム4の配管Pが形成する循環路の形により、第3流路切換弁701は多様な種類であり得る。
【0150】
(3)動作
本実施形態の非低温運転の動作は、第3実施形態の非低温運転の動作と同様である。従って、第3実施形態と異なる態様の低温運転のみ説明する。
【0151】
(3-1)低温運転の動作
船舶における冷暖房システム4の低温運転時の動作について説明する。図12は、低温運転時の船舶における冷暖房システム4を示す概略構成図である。
【0152】
(3-1-1)第3熱搬送媒体の熱交換
第3熱搬送媒体C3は、電気ヒーター104に流れる。電気ヒーター104は、第3熱搬送媒体C3を加熱する。第3熱搬送媒体C3は、第3流路切換弁701Aを介して、第3ポンプ303に向けて流れる。第3ポンプ303は、電気ヒーター104から第2ユニット20に向けて、第3熱搬送媒体C3を送る。第3熱搬送媒体C3は、冷暖切換弁201Gと、バルブ401Aを介して、第2ユニット20の蒸発器24に流れる。蒸発器24において、第3熱搬送媒体C3と冷媒は、熱交換を行う。第3熱搬送媒体C3は、冷媒の蒸発により、熱を奪われて冷却される。蒸発器24での熱交換の後、第3熱搬送媒体C3は、バルブ401Bと、冷暖切換弁201Hと、第3流路切換弁701Bを介して再び電気ヒーター104に流れる。第3熱搬送媒体C3は、電気ヒーター104と第2ユニット20とを通る循環路を循環する。
【0153】
(3-1-2)他の熱交換
本実施形態の冷媒と、第1熱搬送媒体と、空気の熱交換は、第1実施形態の冷媒と、第1熱搬送媒体と、空気の熱交換と同様である。
【0154】
(3-1-3)システム全体の熱交換
電気ヒーター104の熱は、第3熱搬送媒体C3と、冷媒と、第1熱搬送媒体C1を介して、空気に搬送される。搬送された熱をもつ空気は、暖かい空気WAとして空調対象空間に供給される。暖かい空気WAは、空調対象空間を暖房する。従って、船舶における冷暖房システム4は、電気ヒーター104の熱を使って空調対象空間を暖房する。言い換えると、船舶における冷暖房システム4は、電気ヒーター104の熱を空調対象空間に搬送する。
【0155】
(4)特徴
(4-1)
船舶における暖房システムは、第3流路切換弁701をさらに備える。第3流路切換弁701は、第3熱搬送媒体C3が、中間熱交換器102での第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、ヒーターにより加熱されるように、第3熱搬送媒体C3の流路を切り換える。
【0156】
船舶における暖房システムは、海水Sの温度が低い場合、海水Sの熱を使用できない場合が生じ得る。第3熱搬送媒体C3は、第2熱搬送媒体C2との熱交換に代えて、ヒーターにより加熱される。本船舶における暖房システムは、第2熱搬送媒体C2と第3熱搬送媒体C3との熱交換が望ましくない場合、ヒーターにより第3熱搬送媒体C3を加熱できる。
【0157】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0158】
1 船舶における冷暖房システム
2 船舶における冷暖房システム
3 船舶における冷暖房システム
4 船舶における冷暖房システム
C1 第1熱搬送媒体
C2 第2熱搬送媒体
C3 第3熱搬送媒体
C4 第4熱搬送媒体
C5 第5熱搬送媒体
CA 涼しい空気
CS 断面
IP 内部配管
M1 第1媒体
M2 第2媒体
RC 冷媒回路
S 海水
P 配管
PS 隙間空間
WA 暖かい空気
WW 温水
10 第1ユニット
11 熱交換器
12 空調ファン
13 給気ダクト
20 第2ユニット
21 圧縮機
22 凝縮器
23 膨張弁
24 蒸発器
25 制御装置
30 多管式熱交換器
31 シェル
32 チューブバンドル
33 チューブ
101 海水熱交換器
102 中間熱交換器
103 代替熱交換器
104 電気ヒーター
201 冷暖切換弁
201A 冷暖切換弁
201B 冷暖切換弁
201C 冷暖切換弁
201D 冷暖切換弁
201E 冷暖切換弁
201F 冷暖切換弁
201G 冷暖切換弁
201H 冷暖切換弁
301 第1ポンプ
302 第2ポンプ
303 第3ポンプ
401 バルブ
401A バルブ
401B バルブ
401C バルブ
401D バルブ
501 第1流路切換弁
501A 第1流路切換弁
501B 第1流路切換弁
501C 第1流路切換弁
501D 第1流路切換弁
501E 第1流路切換弁
501F 第1流路切換弁
601 第2流路切換弁
601A 第2流路切換弁
601B 第2流路切換弁
701 第3流路切換弁
701A 第3流路切換弁
701B 第3流路切換弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0159】
【特許文献1】特開昭51-43号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12