(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037369
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/02 20100101AFI20240312BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142174
(22)【出願日】2022-09-07
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】守安 悠
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA09
5J062BB05
5J062CC18
5J062DD24
(57)【要約】
【課題】送信機から送信された信号の対象における受信強度に基づいて簡易に当該対象の位置を推定できる位置推定装置を提供する。
【解決手段】送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する。受信強度と前回の位置の推定結果とを用いて、位置推定対象の新たな位置を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する特定手段と、
前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する位置推定手段と、
を備える位置推定装置。
【請求項2】
前記位置推定手段は、
前記受信強度に基づいて異なる複数位置それぞれにおいて前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を算出し、
前記前回の位置の推定結果が示す前記複数位置のうちの何れかの位置と、前記複数位置それぞれにおける尤度とに基づいて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記位置推定手段は、
前記前回の位置の推定結果が示す位置に基づいて、所定範囲内の新たな複数位置を特定し、その特定した複数位置のうち、前記尤度が高い位置を、前記位置推定対象の新たな位置と推定する
請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記特定手段は、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果が特定できるか否かを判定し、
前記位置推定手段は、前記位置推定対象の前回の位置推定結果が特定できない場合には、前記位置推定対象の前回の位置推定結果が特定できないと判定した後の複数回の前記送信機が送信した信号の前記位置推定対象における受信強度の検出結果に基づいて、異なる複数位置それぞれにおいて前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出し、当該尤度に基づいて前記位置推定対象の新たな位置を推定する
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記位置推定手段は、複数の異なる位置に設定された前記送信機が送信した各信号の前記位置推定対象における受信強度の検出結果を用いて、前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出する
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記位置推定手段は、複数の異なる位置に設定された前記送信機が送信した各信号の前記位置推定対象における受信強度と、学習モデルとを用いて、前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出する
請求項5に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記位置は範囲を示す請求項1から請求項4の何れか一項に記載の位置推定装置。
【請求項8】
送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定し、
前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する
位置推定方法。
【請求項9】
位置推定装置のコンピュータを、
送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する特定手段、
前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する位置推定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置、位置推定方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置推定対象の位置情報は、例えば、位置推定対象に設けられたGNSS(Global Navigation Satellite System)等の機能により特定できる。GNSSでは地球周回軌道に配置された複数の人工衛星が発信する電波を利用し、受信機の位置を高い精度で割り出すことができる。ここで、GNSSを利用せずに位置推定対象の位置を精度よく推定できる技術が求められている。特許文献1には、屋内環境において精度よく測位対象となる端末の位置を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような対象の位置を推定する場合に、送信機から送信された信号の対象における受信強度に基づいて簡易に当該対象の位置を推定できる技術が求められている。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する位置推定装置、位置推定方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、位置推定装置は、送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する特定手段と、前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する位置推定手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、位置推定方法は、送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定し、前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、位置推定装置のコンピュータを、送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する特定手段、前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する位置推定手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送信機から送信された信号の対象における受信強度に基づいて簡易に当該対象の位置を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による位置推定システムを示す図である。
【
図2】本実施形態による無線信号機とユーザ端末の移動する範囲に設けられたエリアとの関係を示す図である。
【
図3】本実施形態による各装置の機能ブロック図である。
【
図4】本実施形態による推定サーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】本実施形態による距離テーブルを示す図である。
【
図6】本実施形態による推定モデルを用いたニューラルネットワークの例を示す図である。
【
図7】本実施形態によるユーザ端末の処理フローを示す図である。
【
図8】本実施形態による推定サーバの処理フローを示す図である。
【
図9】本実施形態による推定サーバの最小構成を示す図である。
【
図10】本実施形態による最小構成の推定サーバの処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による位置推定システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による位置推定システムを示す図である。位置推定システム100は少なくとも位置推定装置を備える。本実施形態においては、位置推定装置の機能は推定サーバ1に設けられる。また本実施形態の位置推定システム100は、推定サーバ1と通信ネットワークで接続されたユーザ端末2を含んでよい。ユーザ端末2は位置推定対象の一例である。ユーザ端末2は、無線信号機3から送信された信号を受信する。
【0012】
本実施形態においては、推定サーバ1が、無線信号機3の送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、位置推定対象の前回の位置の推定結果とを用いて、位置推定対象の新たな位置を推定する。
【0013】
図2は、本実施形態による無線信号機とユーザ端末の移動する範囲に設けられたエリアとの関係を示す図である。
図2で示すように無線信号機3はユーザ端末2が移動する範囲内における複数の位置に設置されている。ユーザ端末2が移動する範囲は、屋内など閉空間の範囲であってよい。ユーザ端末2が移動する範囲は、閉空間でない範囲であってもよい。ユーザ端末2の移動する範囲には複数のエリアが設定される。一例として
図2においてユーザ端末2が移動する矩形の範囲を示し、その中に縦5、横5の小矩形状の複数のエリアを示す。左上の矩形のエリアをエリア(1,1)と呼ぶ。右下のエリアをエリア(5,5)と呼ぶ。
図2においては、現在のユーザ端末2の位置はエリア(3,2)であることを示している。推定サーバ1は、無線信号機3の送信した信号のユーザ端末2における受信強度の検出結果と、前回の位置の推定結果とを用いて、ユーザ端末2の新たな位置を推定する。位置は、範囲を示してよく、本実施形態において推定サーバ1は、ユーザ端末2がどのエリアに位置するかを推定する。
【0014】
図3は、本実施形態による各装置の機能ブロック図である。
図3で示すように、推定サーバ1は、制御部11、特定部12、位置推定部13、送受信部14の各機能を発揮する。制御部11は、推定サーバ1の各機能を制御する。特定部12は、無線信号機3が送信した信号のユーザ端末2における受信強度の検出結果と、ユーザ端末2の前回の位置の推定結果とを特定する。位置推定部13は、特定部12の特定した受信強度と前回のユーザ端末2の位置の推定結果とを用いて、ユーザ端末2の新たな位置を推定する。送受信部14は、ユーザ端末2の位置の推定結果をユーザ端末2へ送信する。記憶部15は推定サーバ1の処理に利用する各情報を記憶する。
【0015】
また
図3で示すように、ユーザ端末2は、制御部21、信号受信部22、処理部23、送受信部24の各機能を発揮する。制御部21は、ユーザ端末2の各機能を制御する。信号受信部22は、無線信号機3の発信した信号を受信してその受信強度を検出する。処理部23は、推定サーバ1の推定結果をディスプレイに表示するなどの処理を行う。送受信部24は、推定サーバ1との情報の送受信を行う。記憶部25はユーザ端末2の処理に利用する各情報を記憶する。
【0016】
無線信号機3は発信部31の機能を備える。発信部31は、一例としては、数秒~数十秒程度の間隔T2で定期的に信号を発信する。当該信号には、無線信号機3のIDや発信時刻などの情報が含まれてよい。無線信号機3は、例えばWi-Fiを用やBLE(Bluetooth Low Energy)の規格を用いて一定間隔で信号を発信する装置であり、その信号には無線信号機3の識別子であるIDが含まれている。
【0017】
図4は、本実施形態による推定サーバのハードウェア構成の例を示す図である。
この図が示すように推定サーバ1はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD104、通信モジュール105、データベース106等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。なお、ユーザ端末2も同様のハードウェア構成を備えているコンピュータである。
【0018】
図5は、本実施形態による距離テーブルを示す図である。
位置推定部13は、より具体的には、推定モデルと記憶部15の記憶する距離テーブルをさらに用いて、ユーザ端末2の位置するエリアを推定する。
図5で示すように、距離テーブルは、各エリア間の距離を記憶するデータテーブルである。複数のエリアであるエリア1~エリアYそれぞれの中心位置(代表の位置)を地点A,地点B,・・・,地点Zとすると、それら地点間の距離を記憶する。例えば
図5において、地点Aと地点Bに紐づくABは、地点Aと地点Bの間の距離を示す。各地点間の距離はエリア間の距離としてよい。
【0019】
図6は、本実施形態による推定モデルを用いたニューラルネットワークの例を示す図である。
推定サーバ1の位置推定部13は、ユーザ端末2で検出した1~Xの各無線信号機3の送信した信号それぞれの信号強度i1~iXをニューラルネットワークの入力層に入力する。推定サーバ1は、その結果、各エリア1~Yの代表の各地点においてユーザ端末2が位置する確からしさの度合を示す尤度a1~aYを出力層からの出力として算出する。
【0020】
ニューラルネットワークの中間層の数、各中間層のノード数、最適化手法、活性化関数、学習率、学習回数等の、入力層や、出力層以外のパラメータは推定モデル毎に任意で設定できるものとする。また推定モデルは事前に各エリアの代表の地点で観測できる各無線信号機3からの信号の電波強度と、観測した位置を示す番号とを1セットとして教師データを作成し、機械学習を行うものとする。
【0021】
図7は、本実施形態によるユーザ端末の処理フローを示す図である。
次にユーザ端末の処理フローについて説明する。
ユーザ端末2の信号受信部22は、各無線信号機3から信号を受信する(ステップS101)。信号受信部22は各信号の受信強度を検出する(ステップS102)。信号受信部22は、信号を発信した各無線信号機3のIDと、各無線信号機3の送信した信号の受信強度との関係を示す情報を処理部23へ出力する。処理部23は、前回の位置の推定要求から所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS103)。記憶部25は、ユーザ端末2の位置の推定が推定サーバ1で行われており、その位置推定結果を受信している場合には、記憶部25において位置推定結果である位置(エリアの識別子)と、その位置推定結果を要求した時刻を示す推定時刻とを紐づけて記憶しているものとする。処理部23は、前回の位置推定結果が記憶部25に記録されており、その位置推定結果の推定時刻と現在時刻とを比較して、前回の位置の推定要求から所定の時間が経過したか否かを判定する。
【0022】
処理部23は、前回の位置の推定要求から所定の時間が経過していないと判定した場合、前回の位置推定結果を含み、また無線信号機3のIDと対応する受信強度の対を各無線信号機3について含む第一推定要求を生成する(ステップS104)。処理部23は第一推定要求の送信を送受信部24に指示する。送受信部24は、第一推定要求を推定サーバ1へ送信する(ステップS105)。処理部23は、第一推定要求の送信時刻を、上述の推定時刻として記憶部25に記憶する。
【0023】
処理部23は、前回の位置の推定要求から所定の時間が経過していると判定した場合、各無線信号機3から所定回数の信号の受信を待機する。処理部23は、各無線信号機3から送信された信号の信号受信部22における所定回数分の各信号強度の検出結果を取得する(ステップS106)。処理部23は、所定回数分の信号強度とその信号強度の信号を送信した無線信号機3のIDとの対を複数含む第二推定要求を生成する(ステップS107)。同様に、送受信部24は、第二推定要求を推定サーバ1へ送信する(ステップS108)。処理部23は、第二推定要求の送信時刻を、上述の推定時刻として記憶部25に記憶する。
【0024】
図8は、本実施形態による推定サーバの処理フローを示す図である。
推定サーバ1は、第一推定要求または第二推定要求を受信する(ステップS201)。推定サーバ1の特定部12は、推定要求から前回の位置推定結果が特定できるか否かを判定する(ステップS202)。特定部12は、前回の位置推定結果が特定できた場合には、その前回の位置推定結果と、各信号強度とその信号強度の信号を送信した無線信号機3のIDとの関係複数を、位置推定部13へ出力する。特定部12は、前回の位置推定結果が特定できない場合には、各信号強度とその信号強度の信号を送信した無線信号機3のIDとの関係複数を、位置推定部13へ出力する。
【0025】
推定サーバ1の位置推定部13は、前回の位置推定結果を取得した場合には、第一の推定処理を行う(ステップS203)。第一の推定処理において、位置推定部13は、各無線信号機3から送信された信号の信号強度i1~iXを、学習モデルを用いて構築したニューラルネットワークに入力する。なお、ある無線信号機3から送信された信号をユーザ端末2で受信できない場合には、その信号の受信強度は0とすればよい。位置推定部13は、その結果、各エリア1~Yにおいてユーザ端末2が位置する確からしさを示す尤度a1~aYを算出する(ステップS204)。
【0026】
位置推定部13は、前回の位置推定結果に基づいて、前回位置したエリアの代表の地点から所定距離以内の他のエリアの代表の地点を、距離テーブルに基づいて特定する(ステップS205)。例えば、ユーザ端末2の前回の位置推定結果が、地点Aを示す場合には、その地点Aから所定距離以内に位置する他の地点を、距離テーブルに基づいて特定する。この処理は、前回の位置の推定結果が示す位置に基づいて、所定範囲内の新たな複数位置を特定する処理の一例である。位置推定部13は、特定した他の地点の尤度のうち、最も値の高い尤度を特定する(ステップS206)。位置推定部13はその尤度に対応するエリアまたはそのエリアの代表の地点を、ユーザ端末2の現在の位置と推定する(ステップS207)。
【0027】
または位置推定部13は、各エリア1~Yにおいてユーザ端末2が位置する確からしさを示す尤度a1~aYのうち、閾値以上の1つまたは複数の尤度を特定し、その尤度の中から、距離テーブルに基づいて同様に特定した地点に対応する尤度のうち最も値の高い尤度を特定してもよい。そして位置推定部13は、その尤度に対応するエリアまたはそのエリアの代表の地点を、ユーザ端末2の現在の位置と推定する。
【0028】
推定サーバ1の位置推定部13は、前回の位置推定結果を取得しなかった場合には、第二の推定処理を行う(ステップS208)。第二の推定処理において、位置推定部13は、各無線信号機3から送信された信号の信号強度i1~iXを、学習モデルを用いて構築したニューラルネットワークに入力する。位置推定部13は、その結果、各エリア1~Yにおいてユーザ端末2が位置する確からしさを示す尤度a1~aYを算出する(ステップS209)。位置推定部13は、尤度a1~aYのうち、最も高い値の尤度を特定する(ステップS210)。また位置推定部13はその尤度に対応するエリアまたはそのエリアの代表の地点を、ユーザ端末2の現在の位置の候補とする(ステップS211)。位置推定部13は同様の処理を、ユーザ端末2において信号強度を検出した所定回数分繰り返す。位置推定部13は、その所定回数の繰り返しにおいて、最も多く候補として特定した現在の位置の候補(エリアやその代表の地点)を現在の位置と推定する(ステップS212)。
【0029】
位置推定部13は推定した位置の情報(エリアや代表の地点の情報)を示す位置推定結果を送受信部14へ出力する。送受信部14は、位置推定結果をユーザ端末2へ送信する(ステップS213)。ユーザ端末2の送受信部24は、位置推定結果を受信する(ステップS109)。処理部23は、位置推定結果に基づいて、ユーザ端末2が位置するエリアや地点の情報を示す地図情報などをユーザ端末2のディスプレイに表示する(ステップS110)。なお処理部23は、位置推定結果の受信時刻を、上述の推定時刻として記憶部25に記録してもよい。
【0030】
上述の位置推定部13の処理は、受信強度に基づいて異なる複数位置それぞれにおいてユーザ端末2が位置する確からしさの度合を示す尤度を算出し、前回の位置の推定結果が示す複数位置のうちの何れかの位置と、複数位置それぞれにおける尤度とに基づいて、ユーザ端末2の新たな位置を推定する処理の一例である。
【0031】
また上述の位置推定部13の処理は、前回の位置の推定結果が示す位置に基づいて、所定範囲内の新たな複数位置を特定し、その特定した複数位置のうち、尤度が高い位置を、ユーザ端末2の新たな位置と推定する処理の一例である。
【0032】
また上述の特定部12の処理は、ユーザ端末2の前回の位置の推定結果が特定できるか否かを判定する処理の一態様である。
また上述の位置推定部13の処理は、ユーザ端末2の前回の位置推定結果が特定できない場合には、ユーザ端末2の前回の位置推定結果が特定できないと判定した後の複数回の無線信号機3が送信した信号のユーザ端末2における受信強度の検出結果に基づいて、異なる複数位置それぞれにおいてユーザ端末2が位置する確からしさの度合を示す尤度を複数位置それぞれについて算出し、当該尤度に基づいてユーザ端末2の新たな位置を推定する処理の一態様である。
【0033】
また上述の位置推定部13の処理は、複数の異なる位置に設定された無線信号機3が送信した各信号のユーザ端末2における受信強度の検出結果を用いて、ユーザ端末2が位置する確からしさの度合を示す尤度を複数位置それぞれについて算出する処理の一態様である。
【0034】
また上述の位置推定部13の処理は、複数の異なる位置に設定された無線信号機3の送信した各信号のユーザ端末2における受信強度と、学習モデルとを用いて、ユーザ端末2が位置する確からしさの度合を示す尤度を複数位置それぞれについて算出する処理の一態様である。
【0035】
上述の処理によれば、前回の位置推定結果を用いて、現在の位置推定対象であるユーザ端末2の位置を精度よく算出することができる。
【0036】
上述の処理を行う推定サーバによれば、屋内の環境においても、前回の位置推定結果を用いて、あるユーザ端末2のある程度が移動したであろうとする範囲を絞り込むことで、現在の位置推定対象であるユーザ端末2の位置を精度よく算出することができる。
【0037】
図9は、本実施形態による推定サーバの最小構成を示す図である。
図10は、本実施形態による最小構成の推定サーバの処理フローを示す図である。
図9が示すように推定サーバは、少なくとも、特定手段91と、位置推定手段92とを備える。
特定手段91は、送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する(ステップS901)。
位置推定手段92は、受信強度と前回の位置の推定結果とを用いて、位置推定対象の新たな位置を推定する(ステップS902)。
【0038】
上述の推定サーバ1やユーザ端末2は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
【0039】
上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0040】
なお、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0041】
(付記1)
送信機が送信した信号の位置推定対象における受信強度の検出結果と、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果とを特定する特定手段と、
前記受信強度と前記前回の位置の推定結果とを用いて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する位置推定手段と、
を備える位置推定装置。
【0042】
(付記2)
前記位置推定手段は、
前記受信強度に基づいて異なる複数位置それぞれにおいて前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を算出し、
前記前回の位置の推定結果が示す前記複数位置のうちの何れかの位置と、前記複数位置それぞれにおける尤度とに基づいて、前記位置推定対象の新たな位置を推定する
付記1に記載の位置推定装置。
【0043】
(付記3)
前記位置推定手段は、
前記前回の位置の推定結果が示す位置に基づいて、所定範囲内の新たな複数位置を特定し、その特定した複数位置のうち、前記尤度が高い位置を、前記位置推定対象の新たな位置と推定する
付記2に記載の位置推定装置。
【0044】
(付記4)
前記特定手段は、前記位置推定対象の前回の位置の推定結果が特定できるか否かを判定し、
前記位置推定手段は、前記位置推定対象の前回の位置推定結果が特定できない場合には、前記位置推定対象の前回の位置推定結果が特定できないと判定した後の複数回の前記送信機が送信した信号の前記位置推定対象における受信強度の検出結果に基づいて、異なる複数位置それぞれにおいて前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出し、当該尤度に基づいて前記位置推定対象の新たな位置を推定する
付記2または付記3に記載の位置推定装置。
【0045】
(付記5)
前記位置推定手段は、複数の異なる位置に設定された前記送信機が送信した各信号の前記位置推定対象における受信強度の検出結果を用いて、前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出する
付記2から付記4の何れか一つに記載の位置推定装置。
【0046】
(付記6)
前記位置推定手段は、複数の異なる位置に設定された前記送信機が送信した各信号の前記位置推定対象における受信強度と、学習モデルとを用いて、前記位置推定対象が位置する確からしさの度合を示す尤度を前記複数位置それぞれについて算出する
付記2から付記5の何れか一つに記載の位置推定装置。
【0047】
(付記7)
前記位置は範囲を示す付記1から付記6の何れか一つに記載の位置推定装置。
【符号の説明】
【0048】
1・・・推定サーバ
2・・・ユーザ端末
3・・・無線信号機
11,21・・・制御部
12・・・特定部
13・・・位置推定部
14,24・・・送受信部
15,25・・・記憶部
22・・・信号受信部
23・・・処理部
31・・・発信部