(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037371
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】コンクリート打設管理システム及びコンクリート打設管理方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20240312BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240312BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20240312BHJP
【FI】
E04G21/02 103Z
G06Q50/08
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142177
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508169476
【氏名又は名称】株式会社ベクトル総研
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】石田 靖
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 陽
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和規
【テーマコード(参考)】
2E172
5L049
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172DE01
5L049AA06
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援できるコンクリート打設管理システム10及びコンクリート打設管理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート打設管理システム10であって、コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データ57を記憶するサーバー記憶部52と、施工範囲を撮像して動画像を出力するカメラ20と、コンクリートを搬送する筒先4の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、動画像における筒先4の位置を検出する第1学習モデル55と、検出された筒先4の位置を示す筒先位置情報を、施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に変換する座標変換手段(サーバー制御部53)と、打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けるマッピング手段(サーバー制御部53)とが備えられたことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システムであって、
前記コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データを記憶する記憶手段と、
前記施工範囲を定点で撮像して撮像情報を出力するカメラと、
前記コンクリートを搬送する管状体の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、前記撮像情報における前記管状体の筒先の位置を検出する筒先検出手段と、
検出された前記筒先の位置を示す筒先位置情報を、前記施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に変換する座標変換手段と、
前記打設座標情報を打設位置として前記図面データに関連付けるマッピング手段とが備えられた
コンクリート打設管理システム。
【請求項2】
前記撮像情報における前記筒先以外の動体を識別する動体識別手段と、
該動体識別手段によって識別された複数の前記動体のうち、相対的に密集している複数の前記動体の位置に基づいて、前記筒先位置情報を補正する補正手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項3】
前記補正手段を、
前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出が可能な場合に、前記筒先位置情報を前記動体の位置で補正する構成とし、
前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出が不可の場合に、前記動体識別手段によって識別された複数の前記動体のうち、相対的に密集している複数の前記動体の位置に基づいて、前記筒先位置情報を推定する筒先位置推定手段が備えられた
請求項2に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項4】
前記筒先につながるホースを前記撮像情報から識別するホース識別手段と、
該ホース識別手段によって識別された前記ホースの位置に基づいて、前記筒先位置情報を補正する位置情報補正手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項5】
前記動体識別手段が、
作業員に装着した目印に基づいて、前記撮像情報の前記作業員を識別する構成である
請求項2に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項6】
前記動体に装着した装置から送信された送信情報を受信する受信手段を備え、
前記動体識別手段が、
前記受信手段で受信した前記送信情報に基づいて前記動体を識別する構成である
請求項2に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項7】
前記動体に装着した装置が、位置情報受信機であり、
前記送信情報が、前記位置情報受信機が受信した位置情報である
請求項6に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項8】
前記動体に装着した装置が、加速度センサーを備え、
前記送信情報が、前記位置情報及び前記加速度センサーが検知した加速度を示す加速度情報である
請求項7に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項9】
打設作業の開始に関する情報及び打設作業の終了に関する情報を取得する打設情報取得手段と、
前記打設作業の開始に関する情報に基づいて、少なくとも前記カメラによる前記施工範囲の撮像、前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出、前記座標変換手段による前記筒先位置情報の前記打設座標情報への変換、及び前記マッピング手段による前記打設座標情報の前記図面データへの関連付けを開始させる開始手段と、
前記打設作業の終了に関する情報に基づいて、前記開始手段が開始した前記施工範囲の撮像、前記筒先の位置の検出、前記筒先位置情報の前記打設座標情報への変換、及び前記打設座標情報の前記図面データへの関連付けを終了する終了手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項10】
前記筒先検出手段が、
前記管状体の形状、色、及び動きのうち少なくとも1つを教師データとする学習モデルで構築された
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項11】
前記打設座標情報を前記打設位置として関連付けた前記図面データを表示する表示手段が備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項12】
前記打設位置が関連付けられた前記図面データに基づいて、打設終了見込み時刻を推定する終了時刻推定手段と、
前記打設終了見込み時刻を利用者に通知する時刻通知手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項13】
打設開始予定日時及び打設終了予定日時を取得する予定日時取得手段と、
前記打設開始予定日時及び前記打設終了予定日時に基づいて進捗率の閾値を算出する閾値算出手段と、
前記打設座標情報が関連付けられた前記図面データに基づいて、現在の進捗率を算出する進捗率算出手段と、
前記進捗率の閾値に対して現在の進捗率が下回る場合に、打設作業の遅れを利用者に通知する遅延通知手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項14】
打重ね許容時間を上回る前記打設位置がある場合に、コールドジョイントが発生し易い状態であることを示す警告情報を出力する打重ね判定手段と、
前記警告情報を利用者に通知するコールドジョイント通知手段とが備えられた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項15】
前記図面データが、所定の大きさの打設区画で区画分けされた構成である
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項16】
前記撮像情報を表示する撮像情報表示手段と、
前記撮像情報における前記施工範囲を取得する範囲取得手段と、
所定の大きさの前記打設区画で区画分けされた前記図面データを出力する図面データ出力手段とが備えられ、
前記範囲取得手段が、
前記撮像情報における前記施工範囲の起点位置と、前記起点位置からの長さとを取得する構成であり、
前記図面データ出力手段が、
前記起点位置と前記起点位置からの長さとに基づいて、前記撮像情報における施工範囲の位置と、前記図面データの位置とを関連付ける構成である
請求項15に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項17】
前記打設座標情報を前記打設位置として関連付けた前記図面データを表示する表示手段と、
通信回線を介して前記カメラ及び前記表示手段に接続されたサーバーとが備えられ、
該サーバーが、
少なくとも前記記憶手段、前記筒先検出手段、前記座標変換手段、及び前記マッピング手段を備えた
請求項1に記載のコンクリート打設管理システム。
【請求項18】
コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理方法であって、
前記コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データを記憶手段が記憶する記憶工程と、
カメラが前記施工範囲を定点で撮像して撮像情報を出力する撮像工程と、
前記コンクリートを搬送する管状体の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、前記撮像情報における前記管状体の筒先の位置を筒先検出手段が検出する筒先検出工程と、
検出された前記筒先の位置を示す筒先位置情報を、前記施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に座標変換手段が変換する座標変換工程と、
マッピング手段が前記打設座標情報を打設位置として前記図面データに関連付けるマッピング工程とを行う
コンクリート打設管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコンクリートの打設作業の進捗管理を支援するようなコンクリート打設管理システム及びコンクリート打設管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートの打設現場では、アジテータトラック(ミキサー車ともいう)で運搬されたコンクリート(フレッシュコンクリート)を、コンクリートポンプ車などを用いて型枠に流し込んで打設している。
【0003】
この際、コンクリートの打設現場では、例えばコールドジョイントの発生を防止するため、打設作業を計画的かつ効率よく行う必要があった。
そこで、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システムが提案されている。
【0004】
例えば特許文献1では、表計算ソフトで作成された設計データの各セルを、コンクリートの打設範囲を区画分けした打設ブロックとし、各セルに打設開始時刻などの各種情報を入力することで、打設作業の進捗を管理している。
【0005】
ところが、特許文献1では、打設作業に関わる利用者が設計データの各セルに対して各種情報を入力する必要があるため、利用者の手間がかかるという問題があった。このため、特許文献1のコンクリート打設管理システムには、打設作業に関わる利用者に対する利便性の観点で改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援できるコンクリート打設管理システム及びコンクリート打設管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システムであって、前記コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データを記憶する記憶手段と、前記施工範囲を定点で撮像して撮像情報を出力するカメラと、前記コンクリートを搬送する管状体の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、前記撮像情報における前記管状体の筒先の位置を検出する筒先検出手段と、検出された前記筒先の位置を示す筒先位置情報を、前記施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に変換する座標変換手段と、前記打設座標情報を打設位置として前記図面データに関連付けるマッピング手段とが備えられたことを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理方法であって、前記コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データを記憶手段が記憶する記憶工程と、カメラが前記施工範囲を定点で撮像して撮像情報を出力する撮像工程と、前記コンクリートを搬送する管状体の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、前記撮像情報における前記管状体の筒先の位置を筒先検出手段が検出する筒先検出工程と、検出された前記筒先の位置を示す筒先位置情報を、前記施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に座標変換手段が変換する座標変換工程と、マッピング手段が前記打設座標情報を打設位置として前記図面データに関連付けるマッピング工程とを行うことを特徴とする。
【0010】
上記撮像情報とは、動画像、または所定時間間隔で施工範囲を撮像した連続する静止画像などのことをいう。
上記管状体は、例えばコンクリートが吐出される吐出口となる筒先、筒先につながるホース、筒先及びホースを組み合わせた搬送管、あるいは鋼管のような配管、ホース及び筒先を組み合わせた搬送管などのことをいう。
【0011】
上記筒先の位置を検出するとは、撮像情報における筒先を識別して筒先の位置を直接的に検出する、あるいは撮像情報における管状体や作業員を識別し、識別した管状体や動体の位置に基づいて筒先の位置を推定することをいう。
この発明によれば、打設作業に関わる利用者による打設位置の入力作業を不要にできるため、利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0012】
具体的には、施工範囲を撮像した撮像情報における筒先の位置を検出する筒先検出手段により、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進行に伴って施工範囲を移動する筒先に追従して、撮像情報中の筒先の位置を検出することができる。
【0013】
さらに、座標変換手段及びマッピング手段により、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データに関連付けることで、コンクリート打設管理システムは、コンクリートの打設位置を図面データに逐次マッピングすることができる。
【0014】
これにより、コンクリート打設管理システムは、打設作業に関わる利用者による打設位置の入力作業を不要にできるとともに、コンクリートの打設状況をリアルタイムで把握することができる。
よって、コンクリート打設管理システム及びこれを用いたコンクリート打設管理方法は、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記撮像情報における前記筒先以外の動体を識別する動体識別手段と、該動体識別手段によって識別された複数の前記動体のうち、相対的に密集している複数の前記動体の位置に基づいて、前記筒先位置情報を補正する補正手段とが備えられてもよい。
【0016】
上記動体とは、例えば作業員、筒先よりも上流のホース、コンクリートポンプ車のブーム、あるいは作業員の操作によって移動するバイブレーターなどの機器のことをいう。
この構成によれば、動体の位置に基づいて筒先位置情報を補正する補正手段により、筒先位置情報の位置精度を向上できるため、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0017】
具体的には、撮像情報における筒先以外の動体を識別する動体識別手段により、コンクリート打設管理システムは、施工現場で各種作業に携わる作業員、作業員の操作によって移動する機器などを撮像情報から抽出することができる。
【0018】
さらに、施工現場の打設位置付近では、筒先を保持する作業員や締固めする作業員が必要となるため、打設位置以外の場所に比べて動体が集まり易い。
そこで、相対的に密集している複数の動体の位置に基づいて、筒先位置情報を補正することで、コンクリート打設管理システムは、筒先検出手段で検出した筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0019】
これにより、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データに関連付けた際、コンクリート打設管理システムは、実際の打設位置と、図面データの打設位置との位置ズレを抑えることができる。
よって、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記補正手段を、前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出が可能な場合に、前記筒先位置情報を前記動体の位置で補正する構成とし、前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出が不可の場合に、前記動体識別手段によって識別された複数の前記動体のうち、相対的に密集している複数の前記動体の位置に基づいて、前記筒先位置情報を推定する筒先位置推定手段が備えられてもよい。
【0021】
この構成によれば、現在の打設位置を示す打設座標情報を途切れることなく取得できるため、打設作業の進捗管理を安定して支援することができる。
具体的には、施工現場の日照条件によって筒先が不鮮明に撮像された場合、あるいは施工現場の建設機械や足場などの死角に筒先が隠れた場合、筒先検出手段が筒先の位置を撮像情報から検出できないおそれがある。
【0022】
そこで、相対的に密集している複数の動体の位置に基づいて筒先位置情報を推定する筒先位置推定手段を備えたことにより、コンクリート打設管理システムは、筒先の位置の検出が困難な場合であっても、現在の打設位置を示す打設座標情報を途切れることなく取得することができる。
【0023】
これにより、コンクリート打設管理システムは、打設座標情報を打設位置として図面データに途切れなく関連付けできるため、打設作業の進捗管理を安定して支援することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記筒先につながるホースを前記撮像情報から識別するホース識別手段と、該ホース識別手段によって識別された前記ホースの位置に基づいて、前記筒先位置情報を補正する位置情報補正手段とが備えられてもよい。
【0025】
この構成によれば、ホースの位置に基づいて筒先位置情報を補正する位置情報補正手段により、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
このため、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データに関連付けた際、コンクリート打設管理システムは、実際の打設位置と、図面データの打設位置との位置ズレを抑えることができる。
よって、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記動体識別手段が、作業員に装着した目印に基づいて、前記撮像情報の前記作業員を識別する構成であってもよい。
上記目印は、例えばヘルメットや作業服に装着した所定形状の目印、ヘルメットや作業服に貼付したテープ状の目印、所定間隔で点滅する目印などであって、担当する作業に関わらず同色または担当する作業によって異なる色の目印のことをいう。
【0027】
この構成によれば、作業員に装着した目印に基づいて動体識別手段が作業員を識別するため、撮像情報中の動体である作業員をより精度よく、かつ効率よく識別することができる。
さらに、例えば打設作業に関わる筒先作業員の目印の色を異ならせることで、コンクリート打設管理システムは、筒先作業員と筒先作業員以外の作業員とを容易に識別することができる。
【0028】
これにより、補正手段によって筒先位置情報を補正する際、補正手段は、位置精度の高い作業員の位置に基づいて、筒先位置情報をより精度よく補正することができる。このため、コンクリート打設管理システムは、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記動体に装着した装置から送信された送信情報を受信する受信手段を備え、前記動体識別手段が、前記受信手段で受信した前記送信情報に基づいて前記動体を識別する構成であってもよい。
【0030】
この構成によれば、動体に装着した装置から送信された送信情報に基づいて動体を識別するため、撮像情報の動体の位置をより精度よく、かつ効率よく検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、筒先位置情報をより精度よく補正できるため、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記動体に装着した装置が、位置情報受信機であり、前記送信情報が、前記位置情報受信機が受信した位置情報であってもよい。
上記位置情報受信機とは、衛星測位システムの測位衛星からの信号を受信して位置情報を取得する機器のことをいう。なお、衛星測位システムとしては、例えば全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite
System)などのことをいう。
【0032】
この構成によれば、位置情報受信機からの位置情報に基づいて動体の位置を識別することができる。このため、コンクリート打設管理システムは、例えば日照条件、建機や足場などによって撮像情報の動体を識別困難な場合であっても、動体の位置を精度よく検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、筒先位置情報をより精度よく補正できるため、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記動体に装着した装置が、加速度センサーを備え、前記送信情報が、前記位置情報及び前記加速度センサーが検知した加速度を示す加速度情報であってもよい。
この構成によれば、例えばバイブレーターの振動を作業員に装着した装置で検知する、あるいは打設時の先端ホースの脈動を先端ホースに装着した装置で検知することができる
【0034】
このため、コンクリート打設管理システムは、位置情報及び加速度情報に基づいて、締固めに携わる作業員などの動体の位置を容易に検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、打設位置に密集する作業員などの動体を容易に特定できるため、筒先位置情報を確実に補正することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、打設作業の開始に関する情報及び打設作業の終了に関する情報を取得する打設情報取得手段と、前記打設作業の開始に関する情報に基づいて、少なくとも前記カメラによる前記施工範囲の撮像、前記筒先検出手段による前記筒先の位置の検出、前記座標変換手段による前記筒先位置情報の前記打設座標情報への変換、及び前記マッピング手段による前記打設座標情報の前記図面データへの関連付けを開始させる開始手段と、前記打設作業の終了に関する情報に基づいて、前記開始手段が開始した前記施工範囲の撮像、前記筒先の位置の検出、前記筒先位置情報の前記打設座標情報への変換、及び前記打設座標情報の前記図面データへの関連付けを終了する終了手段とが備えられてもよい。
【0036】
上記打設作業の開始に関する情報とは、打設開始予定日時を示す情報、あるいは施工現場の明るさが作業開始可能な明るさであることを示す情報などのことをいう。
上記打設作業の終了に関する情報とは、打設作業の進捗率が100%を示す情報、打設終了予定日時を示す情報、あるいは施工現場の明るさが作業続行不可な明るさであることを示す情報などのことをいう。
【0037】
上記打設情報取得手段とは、利用者による入力操作を受け付けて打設作業の開始に関する情報及び打設作業の終了に関する情報を取得する手段、予めサーバーなどの別の端末から読み込むための操作を受け付けて打設作業の開始に関する情報及び打設作業の終了に関する情報を取得する手段、あるいはサーバーなどの別の端末に定期的にアクセスし、別の端末に登録された打設作業の開始に関する情報及び打設作業の終了に関する情報を自動取得する手段のことをいう。
【0038】
この構成によれば、例えば打設情報取得手段が予め設定された打設開始予定日時を取得することで、現在の日時が打設開始予定日時になった際、少なくともカメラによる施工範囲の撮像、筒先検出手段による筒先の位置の検出、座標変換手段による筒先位置情報の打設座標情報への変換、及びマッピング手段による打設座標情報の図面データへの関連付けを開始することができる。
【0039】
さらに、例えば打設情報取得手段が現在の進捗率を取得することで、現在の進捗率が100%になった際、少なくともカメラによる施工範囲の撮像、筒先検出手段による筒先の位置の検出、座標変換手段による筒先位置情報の打設座標情報への変換、及びマッピング手段による打設座標情報の図面データへの関連付けを終了することができる。
【0040】
このため、コンクリート打設管理システムは、例えば作業員が打設開始予定日時及び打設終了予定日時にカメラなどを操作することを不要にできる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記筒先検出手段が、前記管状体の形状、色、及び動きのうち少なくとも1つを教師データとする学習モデルで構築されてもよい。
この構成によれば、筒先検出手段が学習モデルで構築されているため、筒先の位置をより精度よく、かつ効率よく検出することができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記打設座標情報を前記打設位置として関連付けた前記図面データを表示する表示手段が備えられてもよい。
この構成によれば、例えば現在の進捗状況を可視化して現場担当者に提供することができる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、現場担当者に対する利便性を向上して、現場担当者による打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0043】
またこの発明の態様として、前記打設位置が関連付けられた前記図面データに基づいて、打設終了見込み時刻を推定する終了時刻推定手段と、前記打設終了見込み時刻を利用者に通知する時刻通知手段とが備えられてもよい。
上記時刻通知手段は、打設終了見込み時刻を可視化して通知する手段、打設終了見込み時刻を音声によって通知する手段などのことをいう。
【0044】
この構成によれば、打設終了見込み時刻を現場担当者や打設作業に関わる作業員に容易に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進捗管理をより確実に支援することができる。
【0045】
またこの発明の態様として、打設開始予定日時及び打設終了予定日時を取得する予定日時取得手段と、前記打設開始予定日時及び前記打設終了予定日時に基づいて進捗率の閾値を算出する閾値算出手段と、前記打設座標情報が関連付けられた前記図面データに基づいて、現在の進捗率を算出する進捗率算出手段と、前記進捗率の閾値に対して現在の進捗率が下回る場合に、打設作業の遅れを利用者に通知する遅延通知手段とが備えられてもよい。
【0046】
予定日時取得手段とは、利用者による入力操作を受け付けて打設開始予定日時及び打設終了予定日時を取得する手段、予めサーバーなどの別の端末から読み込むための操作を受け付けて打設開始予定日時及び打設終了予定日時を取得する手段、あるいはサーバーなどの別の端末に定期的にアクセスし、別の端末に登録された打設開始予定日時及び打設終了予定日時を自動取得する手段のことをいう。
【0047】
この構成によれば、打設作業の遅れを現場担当者や打設作業に関わる作業員に容易に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進捗管理をより確実に支援することができる。
【0048】
またこの発明の態様として、打重ね許容時間を上回る前記打設位置がある場合に、コールドジョイントが発生し易い状態であることを示す警告情報を出力する打重ね判定手段と、前記警告情報を利用者に通知するコールドジョイント通知手段とが備えられてもよい。
上記打重ね許容時間とは、コンクリートを2層以上重ねて打ち込む場合、下層のコンクリートに上層のコンクリートを打ち重ねる時間間隔の許容値であって、所謂、許容打重ね時間間隔のことをいう。
【0049】
この構成によれば、コールドジョイントが発生し易い状態を早期に発見して、作業員や現場担当者に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システムは、コールドジョイントの発生を防止しながら、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記図面データが、所定の大きさの打設区画で区画分けされた構成であってもよい。
この構成によれば、打設作業の進捗状況を打設区画で容易に判別することができる。このため、例えば図面データを表示手段に表示した際、コンクリート打設管理システムは、現場担当者による打設作業の進捗確認を容易にすることができる。
【0051】
またこの発明の態様として、前記撮像情報を表示する撮像情報表示手段と、前記撮像情報における前記施工範囲を取得する範囲取得手段と、所定の大きさの前記打設区画で区画分けされた前記図面データを出力する図面データ出力手段とが備えられ、前記範囲取得手段が、前記撮像情報における前記施工範囲の起点位置と、前記起点位置からの長さとを取得する構成であり、前記図面データ出力手段が、前記起点位置と前記起点位置からの長さとに基づいて、前記撮像情報における施工範囲の位置と、前記図面データの位置とを関連付ける構成であってもよい。
【0052】
上記範囲取得手段は、利用者による入力操作によって施工範囲の起点位置及び起点位置からの長さを取得する手段、あるいは撮像情報を解析して施工範囲の起点位置及び起点位置からの長さを取得する手段などのことをいう。
【0053】
この構成によれば、撮像情報における施工範囲の位置と図面データの位置とを予め関連付けできるため、マッピング手段による打設座標情報の関連付けを容易に、かつ効率よく行うことができる。
【0054】
またこの発明の態様として、前記打設座標情報を前記打設位置として関連付けた前記図面データを表示する表示手段と、通信回線を介して前記カメラ及び前記表示手段に接続されたサーバーとが備えられ、該サーバーが、少なくとも前記記憶手段、前記筒先検出手段、前記座標変換手段、及び前記マッピング手段を備えてもよい。
この構成によれば、例えば施工現場にカメラを配置し、施工現場から離間した場所にある管理事務所に表示手段を配置できるため、現場担当者が打設作業の進捗を遠隔で確認することができる。
【0055】
さらに、例えば打設作業の進捗管理に関する各種情報をサーバーに保管できるため、コンクリート打設管理システムは、打設作業後に進捗状況を振り返って確認する、あるいは経験の浅い作業員に対する教材として活用することができる。
これにより、コンクリート打設管理システムは、打設作業の進捗を管理するだけでなく、様々な用途において有効活用することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明により、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援できるコンクリート打設管理システム及びコンクリート打設管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図2】コンクリート打設管理システムの構成を示す構成図。
【
図3】コンクリート打設管理システムの内部構成を示すブロック図。
【
図6】コンクリート打設管理システムの処理動作を示すシーケンス図。
【
図12】進捗管理処理の動作を示すフローチャート。
【
図17】打設完了区画画面の概略を説明する説明図。
【
図18】打設終了見込み画面の概略を説明する説明図。
【
図19】打設ペース警告画面の概略を説明する説明図。
【
図20】コールドジョイント警告画面の概略を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態では、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システム10について、
図1から
図5を用いて説明する。
【0059】
なお、
図1はコンクリート打設現場の概略図を示し、
図2はコンクリート打設管理システム10の構成図を示し、
図3はコンクリート打設管理システム10のブロック図を示し、
図4は図面データ57の概略を説明する説明図を示し、
図5は学習モデルの概略を説明する説明図を示している。
【0060】
まず、コンクリートの打設作業は、
図1に示すように、アジテータトラック(図示省略)がフレッシュコンクリート(以下、コンクリートと呼ぶ)を施工現場まで運搬し、コンクリートポンプ車1が運搬されたコンクリートを所望される打設箇所へ向けて圧送している。
【0061】
なお、コンクリートポンプ車1は、ブーム2から延びるホース3と、ホース3の先端に設けられた吐出口となる筒先4とで構成された管状体(符号省略)を介して、コンクリートを圧送している。
【0062】
この際、施工現場で様々な作業に携わる複数の作業員Mのうち、筒先作業員M1が、筒先4を保持しながら移動させることで、コンクリートを所望される箇所に打設する。
さらに、別の作業員M2が、打設箇所に流し込んだコンクリートを、バイブレーター5を用いて振動を与えることで締固めを行いながら、打設作業を進めている。
【0063】
このようなコンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システム10は、
図2に示すように、打設現場に配置されたカメラ20及びウェアラブル端末30と、打設現場から離れた場所に配置されたユーザー端末40及びサーバー50とを備えている。
【0064】
カメラ20は、
図1に示すように、コンクリートの打設現場において、コンクリートを打設する施工範囲を定点で撮像可能な状態に固定されている。このカメラ20は、通信回線11を介してサーバー50に接続されている。
【0065】
また、ウェアラブル端末30は、
図2に示すように、腕時計型の端末であって、コンクリートの打設現場において、作業員Mが装着している。このウェアラブル端末30は、通信回線11を介してサーバー50に接続されている。
【0066】
また、ユーザー端末40は、
図1及び
図2に示すように、例えば打設現場から離れた管理事務所6に配置された端末であって、通信回線11を介してサーバー50に接続されている。このユーザー端末40は、例えば打設作業の進捗状況に応じて、作業員Mへ指示する現場担当者が使用する。
【0067】
また、サーバー50は、
図2に示すように、例えば打設現場から離れた遠隔地に配置され、通信回線11を介してカメラ20、ウェアラブル端末30及びユーザー端末40と通信可能に接続されている。このサーバー50は、カメラ20、ウェアラブル端末30及びユーザー端末40との間で各種情報を授受する機能と、各種情報を処理して打設管理を支援する機能とを有している。
【0068】
詳述すると、カメラ20は、
図3に示すように、施工箇所を撮像してカラーの動画像を取得するカメラ本体21と、カメラ本体21を通信回線11に無線接続または有線接続する回線接続部22と、これらの動作を制御する制御部(図示省略)とを備えている。
【0069】
このカメラ20は、通信回線11を介したサーバー50からの信号に基づいて、撮像の開始及び撮像の停止が可能に構成されるとともに、撮像した動画像を、通信回線11を介してサーバー50に出力可能に構成されている。
【0070】
また、ウェアラブル端末30は、
図3に示すように、通信回線11に無線接続する回線接続部31と、GNSS受信部32及び加速度センサー33と、図示を省略した記憶部及び制御部などを備えている。
【0071】
具体的には、ウェアラブル端末30のGNSS受信部32は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite
System)の信号を受信して、ウェアラブル端末30の現在位置を示す位置情報を取得する機能を有している。
なお、全地球航法衛星システムの一例としては、全地球測位システム(Global Positioning System)や準天頂衛星システム(quasi-zenith satellite system)である。
【0072】
一方、ウェアラブル端末30の加速度センサー33は、作業員Mに加わる振動または作業員Mの動作による振動を加速度で計測する機能と、計測した加速度を加速度情報として取得する機能とを有している。
【0073】
このウェアラブル端末30は、電源オンの状態において、位置情報及び加速度情報を、ウェアラブル端末30ごとに固有の端末識別情報に関連付けるとともに、関連付けた位置情報、加速度情報、及び端末識別情報を所定の時間間隔でサーバー50に送信する。
【0074】
また、ユーザー端末40は、
図3に示すように、ユーザーの各種操作を受付ける操作受付部41と、各種情報を表示する表示部42と、各種情報を記憶する端末記憶部43と、通信回線11に接続する回線接続部44と、これらの動作を制御する端末制御部45とを備えている。
【0075】
具体的には、ユーザー端末40の操作受付部41は、
図2に示すように、例えばキーボード41aやマウス41bなどで構成され、ユーザーによる入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す情報を端末制御部45に出力する機能とを有している。
また、ユーザー端末40の表示部42は、
図2に示すように、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、端末制御部45からの制御信号により、各種情報を表示する機能を有している。
【0076】
また、ユーザー端末40の端末記憶部43は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この端末記憶部43には、サーバー50と協働して各種情報を処理するクライアントプログラム(図示省略)などが記憶されている。
【0077】
また、ユーザー端末40の回線接続部44は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線11に接続する機能と、通信回線11を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
【0078】
また、ユーザー端末40の端末制御部45は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
この端末制御部45は、サーバー50との各種情報の授受に係る処理機能と、操作受付部41、表示部42、端末記憶部43及び回線接続部44との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0079】
また、サーバー50は、
図3に示すように、通信回線11に接続する回線接続部51と、各種情報を記憶するサーバー記憶部52と、これらの動作を制御するサーバー制御部53とを備えている。
具体的には、サーバー50の回線接続部51は、例えば有線LANボードなどで構成され、通信回線11に接続する機能と、通信回線11を介して各種情報の受送信を行う機能とを有している。
【0080】
また、サーバー50のサーバー記憶部52は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。
このサーバー記憶部52には、ユーザー端末40と協働して各種情報を処理するサーバープログラム(図示省略)が記憶されている。
【0081】
さらに、サーバー記憶部52には、
図3に示すように、施工現場ごとに設定登録されたプロジェクトデータ54と、動画像を解析して筒先4やホース3を識別する第1学習モデル55と、動画像を解析して作業員Mを識別する第2学習モデル56などが記憶されている。
【0082】
より詳しくは、プロジェクトデータ54は、施工範囲の平面図と、打設区画57aで構成された図面データ57と、打設開始予定日時、打設終了予定日時、及び後述する打設完了区画57bの打設完了日時などを示す各種情報とが、後述するプロジェクト名を示す情報に関連付けられたデータ群である。
【0083】
このうち、図面データ57は、
図4に示すように、所定の大きさの打設区画57aを複数並置して生成した施工範囲Eの平面図である。この図面データ57は、複数の打設区画57aのうち、コンクリートの打設が完了した打設区画57aを打設完了区画57bとして色付きで図示している。
【0084】
また、第1学習モデル55及び第2学習モデル56は、
図5に示すように、例えば入力情報が入力される入力層55a,56aと、中間層55b,56bと、出力情報が出力される出力層55c,56cからなるニューラルネットワークを用いた推定アルゴリズムである。
【0085】
このうち、第1学習モデル55は、
図5(a)に示すように、カメラ20から取得した動画像を入力情報とし、入力情報に対する出力情報として、動画像中の筒先4の位置座標を示す筒先位置情報、及び動画像中のホース3の位置座標を示すホース位置情報が得られるように構築されている。
【0086】
このような第1学習モデル55は、筒先4の特徴を示す情報、及びホース3の特徴を示す情報を入力情報に対する教師データT1として繰り返し学習して構築されている。
この際、第1学習モデル55は、入力情報に対する出力情報が、筒先位置情報及びホース位置情報となるように、教師データT1に基づいて重み付けや判定閾値を繰り返し調整して学習している。
【0087】
なお、筒先4の特徴を示す情報は、筒先4の形状、筒先4の色、過去の打設作業で得られた打設作業時における筒先4の相対位置や動きなどを示す情報である。
また、ホース3の特徴を示す情報は、ホース3の形状、ホース3の色、過去の打設作業で得られた打設作業時におけるホース3の相対位置や動きなどを示す情報である。
【0088】
一方、第2学習モデル56は、
図5(b)に示すように、カメラ20から取得した動画像、及びウェアラブル端末30から取得した位置情報及び加速度情報などを入力情報とし、入力情報に対する出力情報として、動画像中の作業員Mの位置座標を示す作業員位置情報が得られるように構築されている。
【0089】
このような第2学習モデル56は、作業員Mの特徴を示す情報を、入力情報に対する教師データT2として繰り返し学習して構築されている。
この際、第2学習モデル56は、入力情報に対する出力情報が、作業員位置情報となるように、教師データT2に基づいて重み付けや判定閾値を繰り返し調整して学習している。
【0090】
なお、作業員Mの特徴を示す情報は、作業員Mが着用するヘルメットに設けたマーカーの形状、マーカーの色、過去の打設作業で得られた打設作業時における作業員Mの相対位置や動きなどを示す情報である。
【0091】
また、サーバー50のサーバー制御部53は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。
このサーバー制御部53は、カメラ20、ウェアラブル端末30及びユーザー端末40との各種情報の授受に係る処理機能と、サーバー記憶部52及び回線接続部51との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0092】
次に、上述した構成のコンクリート打設管理システム10に用いたコンクリート打設管理方法について、
図6から
図20を用いて説明する。
なお、
図6はコンクリート打設管理システム10の処理動作のシーケンス図を示し、
図7はメニュー画面200の概略を説明する説明図を示し、
図8は新規作成処理のフローチャートを示し、
図9は第1入力画面210の概略を説明する説明図を示し、
図10は第2入力画面220の概略を説明する説明図を示している。
【0093】
さらに、
図11は登録処理のフローチャートを示し、
図12は進捗管理処理のフローチャートを示し、
図13は補正処理のフローチャートを示し、
図14は画像解析処理の概略で説明する説明図を示し、
図15は補正処理の概略を説明する説明図を示している。
【0094】
加えて、
図16は進捗管理画面230の概略を説明する説明図を示し、
図17は打設完了区画画面240の概略を説明する説明図を示し、
図18は打設終了見込み画面250の概略を説明する説明図を示し、
図19は打設ペース警告画面260の概略を説明する説明図を示し、
図20はコールドジョイント警告画面270の概略を説明する説明図を示している。
【0095】
まず、打設管理に必要な各種情報を予め登録するために、例えば現場担当者などの利用者は、ユーザー端末40を操作してクライアントプログラムを実行する。利用者の操作によってクライアントプログラムが実行されると、ユーザー端末40の端末制御部45は、
図6に示すように、利用者による選択操作を受付けるメニュー画面200を表示部42に表示させる(ステップS101)。
【0096】
このメニュー画面200には、
図7に示すように、画面上部に「メニュー」というタイトルが表示され、その下方にプロジェクト新規作成ボタン201と、「プロジェクト呼出し」というメッセージと、プルダウンメニュー欄202と、プルダウンメニュー欄202のプロジェクト名に対応するプロジェクトデータ54を呼び出すOKボタン203とが表示されている。
【0097】
具体的には、プロジェクト新規作成ボタン201は、コンクリートの打設開始前に、打設管理に必要な各種情報を、利用者がプロジェクトとしてサーバー50に登録開始するためのボタンである。
一方、プルダウンメニュー欄202は、利用者が打設作業の進捗状況などを確認するために、プロジェクトデータ54のプロジェクト名を選択するための選択欄である。
【0098】
ステップS101において、メニュー画面200を表示すると、端末制御部45は、プロジェクト新規作成ボタン201が押下されたか否かを判定し(ステップS102)、プロジェクト新規作成ボタン201が押下された場合(ステップS102:Yes)、新規作成処理を開始する(ステップS103)。
【0099】
なお、プロジェクト新規作成ボタン201ではなく、OKボタン203が押下された場合(ステップS102:No)、端末制御部45は、後述する表示処理(ステップS115)を開始する。
【0100】
詳述すると、新規作成処理を開始したユーザー端末40の端末制御部45は、
図8に示すように、静止画像要求処理を開始して(ステップS121)、施工箇所の静止画像の送信を要求する要求情報を、通信回線11を介してサーバー50に送信する。
【0101】
この際、要求情報を受信したサーバー50のサーバー制御部53は、
図6に示すように、応答処理を開始して(ステップS104)、所定時間だけ施工箇所を撮像する撮像信号を、通信回線11を介してカメラ20に送信する。
【0102】
一方、撮像信号を取得したカメラ20は、撮像信号に基づいて所定時間だけ施工箇所を撮像した動画像を、通信回線11を介してサーバー50に送信する(ステップS105)。
そして、カメラ20からの動画像を受信すると、サーバー制御部53は、動画像から切り出した1コマを静止画像として、通信回線11を介してユーザー端末40に送信する。
【0103】
図8のステップS121に戻って、サーバー50から静止画像を受信すると、ユーザー端末40の端末制御部45は、静止画像を一時記憶するとともに、打設管理に必要な各種情報の入力を促す第1入力画面210を表示部42に表示させる(ステップS122)。
【0104】
この第1入力画面210は、
図9に示すように、画面上部に「プロジェクト新規作成」というタイトルが表示され、その下方にプロジェクト名を入力する第1入力欄211と、施工開始日を入力する第2入力欄212と、施工終了日を入力する第3入力欄213と、打設開始予定時刻を入力する第4入力欄214と、打設終了予定時刻を入力する第5入力欄215と、第2入力画面220を表示させる進むボタン216とが表示されている。
【0105】
ここで、利用者は、第1入力画面210の案内にしたがって、第1入力欄211に新しいプロジェクト名の名称を入力し、第2入力欄212に打設開始予定日を入力し、第3入力欄213に打設終了予定日を入力する。
さらに、利用者は、第4入力欄214に打設開始予定時刻を入力し、第5入力欄215に打設終了予定時刻を入力したのち、進むボタン216を押下する。
【0106】
図8のステップS122に戻り、第1入力画面210を表示すると、端末制御部45は、利用者によって進むボタン216が押下されたか否かを判定する(ステップS123)。
進むボタン216が押下されていない場合(ステップS123:No)、端末制御部45は、利用者によって進むボタン216が押下されるまで処理を待機する。
【0107】
一方、進むボタン216が押下された場合(ステップS123:Yes)、端末制御部45は、第1入力画面210の第1入力欄211から第5入力欄215に入力された各種情報を関連付けて一時記憶したのち、第2入力画面220を表示部42に表示させる(ステップS124)。
【0108】
この第2入力画面220には、
図10に示すように、画面上部に「プロジェクト新規作成」というタイトルが表示され、その下方の左側に「起点を設定」というメッセージ及び設定ボタン221と、奥行き方向の長さを入力する第1入力欄222と、幅方向の長さを入力する第2入力欄223とが表示されている。
さらに、第2入力画面220の右側には、ステップS121で取得した静止画像を表示する画像表示欄224と、登録ボタン225とが表示されている。
【0109】
ここで、利用者は、第2入力画面220の案内にしたがって、画像表示欄224の静止画像における施工範囲Eの起点を指定するとともに、起点からの施工範囲Eの寸法を入力する。
【0110】
具体的には、利用者は、設定ボタン221を押下したのち、静止画像における施工範囲Eの起点となる起点位置Pを押下する。この際、端末制御部45は、
図10に示すように、画像表示欄224の押下箇所に黒丸で示した起点位置Pを、静止画像に重ね合わせて表示する。
【0111】
その後、利用者は、起点位置Pから見て静止画像の奥行き方向Dにおける施工範囲Eの端点を押下することで、起点位置Pを頂点とする奥行き方向Dの辺を指定したのち、奥行き方向Dにおける施工範囲Eの長さを第1入力欄222に入力する。
【0112】
さらに、利用者は、起点位置Pから見て奥行き方向Dに交差する静止画像の幅方向Wにおける施工範囲Eの端点を押下することで、起点位置Pを頂点とする幅方向Wの辺を指定したのち、幅方向Wにおける施工範囲Eの長さを第2入力欄223に入力する。そして、第1入力欄222及び第2入力欄223への入力が完了すると、利用者は、登録ボタン225を押下する。
【0113】
図8のステップS124に戻り、第2入力画面220を表示すると、端末制御部45は、利用者によって登録ボタン225が押下されたか否かを判定する(ステップS125)。
登録ボタン225が押下されていない場合(ステップS125:No)、端末制御部45は、登録ボタン225が押下されるまで処理を待機する。
【0114】
一方、登録ボタン225が押下された場合(ステップS125:Yes)、端末制御部45は、第1入力画面210の案内にしたがって利用者が入力した各種情報と、第2入力画面220の案内にしたがって利用者が入力した各種情報とを関連付けた登録情報を生成する(ステップS126)。
【0115】
より詳しくは、登録情報には、第1入力画面210の第1入力欄211から第5入力欄215に入力された各種情報と、第2入力画面220の第1入力欄211及び第2入力欄223に入力された各種情報とが関連付けて登録されている。
【0116】
さらに、登録情報には、第2入力画面220の画像表示欄224に表示した静止画像と、静止画像における起点位置Pを示す座標情報と、奥行き方向Dにおける施工範囲Eの端点を示す座標情報と、幅方向Wにおける施工範囲Eの端点を示す座標情報とが関連付けて登録されている。
その後、端末制御部45は、作成した登録情報を、通信回線11を介してサーバー50に送信したのち(ステップS127)、新規作成処理を終了して、
図6のステップS103に戻る。
【0117】
図6のステップS103において、ユーザー端末40が登録情報を送信すると、サーバー50のサーバー制御部53は、ユーザー端末40から取得した登録情報に基づいて、プロジェクトデータ54を登録する登録処理を開始する(ステップS106)。
【0118】
詳述すると、登録処理を開始したサーバー制御部53は、
図11に示すように、ユーザー端末40から取得した登録情報を一時記憶したのち(ステップS131)、施工範囲Eの図面データ57を生成する(ステップS132)。
【0119】
具体的には、サーバー制御部53は、サーバー記憶部52に記憶した平面図における施工範囲Eを、例えば1m四方の大きさの打設区画57aで区画分けして区画データを生成するとともに、生成した区画データを図面データ57として一時記憶する。
【0120】
その後、サーバー制御部53は、静止画像における起点位置P、奥行き方向Dにおける施工範囲Eの端点、及び幅方向Wにおける施工範囲Eの端点を示す座標情報、奥行き方向Dの長さ、及び幅方向Wの長さに基づいて、静止画像の施工範囲Eにおける位置座標と、図面データ57における各打設区画57aの位置座標とを関連付けて一時記憶する(ステップS133)。
【0121】
この際、サーバー制御部53は、静止画像の施工範囲Eにおける四隅の位置座標が、図面データ57における四隅の位置座標に対応するように、静止画像の施工範囲Eにおける位置座標と、図面データ57における位置座標とを関連付ける。
【0122】
図面データ57を生成すると、サーバー制御部53は、登録情報から取得したプロジェクト名、打設開始予定日、打設終了予定日、打設開始予定時刻、及び打設終了予定時刻と、ステップS133で記憶した図面データ57などとを関連付けて、プロジェクトデータ54としてサーバー記憶部52に記憶する(ステップS134)。
その後、サーバー制御部53は、登録処理を終了して、処理を
図6のステップS106に戻す。
【0123】
次に、コンクリート打設管理システム10において、現在の日時が打設開始予定日時になった際のサーバー50及びユーザー端末40の処理動作について説明する。
まず、サーバー制御部53は、
図6に示すように、現在の日時がプロジェクトデータ54に登録された打設開始予定日時か否かを判定する(ステップS111)。
【0124】
この際、サーバー制御部53は、プロジェクトデータ54に登録された打設開始予定時刻よりも所定時間だけ早い時刻と現在の時刻とを比較判定する。
現在の日時がプロジェクトデータ54に登録された打設開始予定日時でない場合(ステップS111:No)、サーバー制御部53は、現在の日時が打設開始予定日時となるまで処理を待機する。
【0125】
一方、現在の日時がプロジェクトデータ54に登録された打設開始予定日時の場合(ステップS111:Yes)、サーバー制御部53は、打設作業の進捗管理を支援する進捗管理処理を開始する(ステップS112)。
【0126】
詳述すると、進捗管理処理を開始したサーバー制御部53は、
図12に示すように、施工箇所の撮像を開始させる撮像信号を、通信回線11を介してカメラ20に送信する(ステップS141)。
【0127】
この際、撮像信号を取得したカメラ20は、
図6に示すように、施工箇所を撮像した動画像を、通信回線11を介してサーバー50に送信する(ステップS113)。
なお、カメラ20は、施工箇所の撮像の停止を示す信号をサーバー50から取得するまで、施工箇所の撮像と撮像された動画像の送信とを行う。
【0128】
図12のステップS141に戻り、カメラ20からの動画像を取得開始すると、サーバー制御部53は、ウェアラブル端末30が送信する位置情報及び加速度情報の取得を開始する(ステップS142)。
【0129】
この位置情報及び加速度情報は、
図6に示すように、電源オン状態のウェアラブル端末30から常に通信回線11を介してサーバー50に送信されている(ステップS114)。
なお、位置情報及び加速度情報には、上述したように、ウェアラブル端末30ごとに固有の端末識別情報が関連付けられている。
【0130】
図12のステップS142に戻り、カメラ20及びウェアラブル端末30からの各種情報を取得開始すると、サーバー制御部53は、動画像における筒先4及び作業員Mを、学習モデルによって識別する画像解析処理を開始する(ステップS143)。
【0131】
この際、サーバー制御部53は、
図12に示すように、第1学習モデル55によって筒先4及びホース3を識別する筒先検出処理(ステップS144)と、第2学習モデル56によって作業員Mを識別する動体検出処理(ステップS145)とを並列処理で行う。
【0132】
具体的には、筒先検出処理(
図12のステップS144)において、サーバー制御部53は、カメラ20から取得した動画像を、サーバー記憶部52から読み込んだ第1学習モデル55の入力層55aに入力情報として入力する。
【0133】
この際、第1学習モデル55は、入力情報を入力層55aから中間層55bへ、中間層55bから出力層55cへ受け渡しながら、予め学習した重みや閾値との比較判定などを行って動画像中の筒先4及びホース3をそれぞれ識別する。
【0134】
その後、第1学習モデル55は、筒先4の位置座標を示す筒先位置情報と、動画像中のホース3の位置座標を示すホース位置情報とを出力情報として出力する(
図5(a)参照)。
なお、第1学習モデル55は、入力層55aに入力された動画像を、入力層55aから中間層55bへ、中間層55bから出力層55cへ受け渡しても、動画像中の筒先4を識別できない場合、筒先4の未検出を示す筒先未検出情報を出力情報として出力する。
【0135】
同様に、第1学習モデル55は、入力層55aに入力された動画像を、入力層55aから中間層55bへ、中間層55bから出力層55cへ受け渡しても、動画像中のホース3を識別できない場合、ホース3の未検出を示すホース未検出情報を出力情報として出力する。
【0136】
より詳しくは、第1学習モデル55は、教師データT1でもある筒先4の特徴を示す情報、例えば筒先4の形状、筒先4の色や、打設作業時における筒先4の動きなどの少なくとも1つが近似する動画像中の物体を、動画像中の筒先4として識別する。
【0137】
この際、第1学習モデル55は、
図14(a)に示すように、動画像中の筒先4を、太実線で図示した所定の大きさの四角枠F1で識別し、四角枠F1の位置座標を筒先4の位置座標を示す筒先位置情報として検出する。
【0138】
さらに、第1学習モデル55は、教師データT1でもあるホース3の特徴を示す情報、例えばホース3の形状、ホース3の色や、打設作業時におけるホース3の動きなどの少なくとも1つが近似する動画像中の物体を、動画像中のホース3として識別する。
【0139】
この際、第1学習モデル55は、動画像中のホース3を、所定の大きさの四角枠(図示省略)で識別し、四角枠の位置座標をホース3の位置座標を示すホース位置情報として検出する。
【0140】
一方、動体検出処理(ステップS145)において、サーバー制御部53は、カメラ20から取得した動画像と、ウェアラブル端末30から取得した位置情報及び加速度情報とを、サーバー記憶部52から読み込んだ第2学習モデル56の入力層56aに入力情報として入力する。
【0141】
この際、第2学習モデル56は、入力情報を入力層56aから中間層56bへ、中間層56bから出力層56cへ受け渡しながら、予め学習した重みや閾値との比較判定などを行って動画像中の作業員Mを識別する。
その後、第2学習モデル56は、作業員Mの位置座標を示す作業員位置情報を出力情報として出力する(
図5(b)参照)。
【0142】
より詳しくは、第2学習モデル56は、教師データT2でもある作業員Mの特徴を示す情報、例えば作業員Mが着用するヘルメットに設けたマーカーの形状、マーカーの色、打設作業時における作業員Mの動きなどの少なくとも1つが近似する動画像中の物体を、動画像中の作業員Mとして識別する。
【0143】
さらに、第2学習モデル56は、ウェアラブル端末30の位置情報、位置情報から算出される作業員Mの移動速度、及び作業員Mがその場に留まっている滞在時間などの少なくとも1つに基づいて、識別した作業員Mの位置を補正する。
【0144】
加えて、第2学習モデル56は、位置情報に関連付けられたウェアラブル端末30の加速度情報に基づいて、識別した作業員Mのうち、バイブレーター5を保持する作業員M2を識別する。
【0145】
この際、第2学習モデル56は、
図14(b)に示すように、動画像中の作業員Mを、太実線で図示した所定の大きさの四角枠F2で識別し、四角枠F2の位置座標を作業員Mの位置座標を示す作業員位置情報として検出する。
なお、動画像中の複数の作業員Mは、第2学習モデル56によって個別に識別されている。
【0146】
ステップS143の画像解析処理を完了すると、サーバー制御部53は、上述したステップS144で取得した筒先位置情報を、ステップS145で取得した作業員位置情報で補正する補正処理を開始する(ステップS146)。
【0147】
具体的には、補正処理を開始したサーバー制御部53は、
図13に示すように、筒先4及びホース3の双方の位置を検出したか否か、すなわち筒先位置情報及びホース位置情報の双方を取得しているか否かを判定する(ステップS161)。
【0148】
筒先4及びホース3の双方の位置を検出した場合(ステップS161:Yes)、サーバー制御部53は、ステップS145で検出した複数の作業員Mのうち、筒先4を中心とする所定半径の範囲内に、バイブレーター5を保持する作業員M2が位置し、かつ相対的に作業員Mが密集しているか否かを、筒先位置情報及び作業員位置情報に基づいて判定する(ステップS162)。
【0149】
バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集している場合(ステップS162:Yes)、サーバー制御部53は、筒先位置情報が示す筒先4の位置を、作業員位置情報が示す作業員Mの位置と、ホース位置情報が示すホース3の位置とで補正する(ステップS163)。
【0150】
この際、サーバー制御部53は、筒先4を示す四角枠F1(
図14(a)参照)における下端中央の位置座標と、作業員Mを示す四角枠F2(
図14(b)参照)における下端中央の位置座標と、ホース3を示す四角枠(図示省略)における下端中央の位置座標との平均値を算出し、算出した位置座標の平均値を補正後の筒先4の位置座標とする。
【0151】
これにより、筒先4を示す四角枠F1は、
図15に示すように、破線で図示した位置から太実線で図示した位置に移動する。この移動後の四角枠F1における下端中央の位置座標が、補正後の筒先4の位置座標となる。
その後、サーバー制御部53は、補正処理を終了して、処理を
図12のステップS147に進める。
【0152】
一方、バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集していない場合(ステップS162:No)、サーバー制御部53は、筒先位置情報が示す筒先4の位置を、ホース位置情報が示すホース3の位置で補正する(ステップS164)。
【0153】
この際、サーバー制御部53は、上述したステップS163と同様に、筒先4を示す四角枠F1(
図14(a)参照)における下端中央の位置座標と、ホース3を示す四角枠(図示省略)における下端中央の位置座標との平均値を算出し、算出した位置座標の平均値を補正後の筒先4の位置座標とする。
その後、サーバー制御部53は、補正処理を終了して、処理を
図12のステップS147に進める。
【0154】
また、補正処理のステップS161において、筒先4またはホース3のいずれか一方の位置を検出した場合、あるいは筒先4及びホース3の双方の位置を検出できない場合(ステップS161:No)、サーバー制御部53は、ステップS145で検出した複数の作業員Mのうち、バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集しているか否かを、作業員位置情報に基づいて判定する(ステップS165)。
【0155】
バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集している場合(ステップS165:Yes)、サーバー制御部53は、筒先4の位置だけを検出しているか否かを判定する(ステップS166)。
筒先4の位置だけを検出している場合(ステップS166:Yes)、サーバー制御部53は、筒先位置情報が示す筒先4の位置を、作業員位置情報が示す作業員Mの位置で補正する(ステップS167)。
【0156】
この際、サーバー制御部53は、筒先4を示す四角枠F1(
図14(a)参照)における下端中央の位置座標と、作業員Mを示す四角枠F2(
図14(b)参照)における下端中央の位置座標との平均値を算出し、算出した位置座標の平均値を補正後の筒先4の位置座標とする。
その後、サーバー制御部53は、補正処理を終了して、処理を
図12のステップS147に進める。
【0157】
一方、ステップS166において、ホース3の位置だけを検出している場合、あるいは筒先4及びホース3の双方の位置を検出できない場合(ステップS166:No)、サーバー制御部53は、複数の作業員位置情報が示す作業員Mの位置で、筒先4の位置を推定する(ステップS168)。
【0158】
この際、サーバー制御部53は、作業員Mを示す四角枠F2(
図14(b)参照)における下端中央の位置座標の平均値を算出し、算出した位置座標の平均値を筒先4の推定位置を示す位置座標とする。
その後、サーバー制御部53は、補正処理を終了して、処理を
図12のステップS147に進める。
【0159】
なお、補正処理のステップS165において、バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集していない場合(ステップS165:No)、サーバー制御部53は、後述する
図12のステップS155に処理を進める。
【0160】
図12のステップS146において補正処理が完了すると、サーバー制御部53は、座標変換処理を開始して(ステップS147)、ステップS146で取得した筒先位置情報を、図面データ57に対応する位置座標に変換し、変換した位置座標を打設位置の位置座標を示す打設座標情報とする。
【0161】
その後、サーバー制御部53は、マッピング処理を開始して(ステップS148)、打設座標情報に対応する図面データ57の打設区画57aを、打設完了区画57bに変更するとともに、打設完了区画57bに現在の時刻を関連付けてサーバー記憶部52に記憶する。
【0162】
この際、サーバー制御部53は、例えば筒先位置情報が示す筒先4がその場に留まっている滞在時間が所定時間を上回る場合に、打設座標情報に対応する図面データ57の打設区画57aを、打設完了区画57bに変更する。
【0163】
マッピング処理が完了すると、サーバー制御部53は、
図12に示すように、ユーザー端末40に提供する出力情報を生成するために、打設作業の遅延判定と、打設終了見込み時刻の算出と、コールドジョイント判定とを並列処理で行う。
【0164】
具体的には、打設作業の遅延判定として、サーバー制御部53は、
図12に示すように、打設区画57aの総数に対する打設完了区画57bの数の比率を進捗率として算出する(ステップS149)。
【0165】
その後、サーバー制御部53は、ステップS149で算出した進捗率と、進捗率の閾値である注意進捗率及び警告進捗率とを比較判定する(ステップS150)。
この際、現在の進捗率が注意進捗率以上であれば、サーバー制御部53は、現在の進捗率に現在の時刻を関連付けてサーバー記憶部52に記憶する。
【0166】
一方、現在の進捗率が注意進捗率または警告進捗率のいずれかを下回る場合、サーバー制御部53は、現在の進捗率に、現在の時刻及び打設作業の遅れを示す遅延情報を関連付けてサーバー記憶部52に記憶する。
【0167】
なお、注意進捗率は、打設開始予定時刻及び打設終了予定時刻からサーバー制御部53が算出した進捗率であって、例えば打設開始予定時刻の進捗率が0%であり、打設終了予定時刻の進捗率が100%となる進捗率とする(
図19参照)。
一方、警告進捗率は、打設開始予定時刻及び打設終了予定時刻からサーバー制御部53が算出した進捗率であって、例えば打設開始予定時刻の進捗率が0%であり、打設終了予定時刻の進捗率が25%となる進捗率とする(
図19参照)。
【0168】
また、打設終了見込み時刻の算出として、サーバー制御部53は、
図12に示すように、打設開始予定時刻から時間経過に対する打設完了区画57bの数の比率を打設速度として算出する(ステップS151)。
その後、サーバー制御部53は、ステップS151で算出した打設速度に基づいて打設終了見込み時刻を算出する(ステップS152)。
【0169】
具体的には、サーバー制御部53は、ステップS151で算出した打設速度のまま打設作業を進捗率100%まで進めた場合の時刻を、打設終了見込み時刻として算出する。
打設終了見込み時刻を算出すると、サーバー制御部53は、算出した打設速度及び打設終了見込み時刻に、現在の時刻を関連付けてサーバー記憶部52に記憶する。
【0170】
また、コールドジョイント判定として、サーバー制御部53は、
図12に示すように、打設完了区画57bに関連付けた打設時刻と現在の時刻とに基づいて、コールドジョイントの判定を行う(ステップS153)。
【0171】
具体的には、サーバー制御部53は、打設完了区画57bに関連付けた打設時刻と現在の時刻とに基づいて、打重ね許容時間を上回る打設完了区画57bがあるか否かを判定する。
なお、打重ね許容時間は、コンクリートを2層以上重ねて打ち込む場合、下層のコンクリートに上層のコンクリートを打ち重ねる時間間隔の許容値であって、例えば2時間とする。
【0172】
そして、打重ね許容時間を上回る打設完了区画57bがある場合、サーバー制御部53は、打重ね許容時間を上回る打設完了区画57bに、打設完了区画57bとは異なる色の警告区画57c(
図20参照)を関連付けた図面データ57を生成する。その後、サーバー制御部53は、図面データ57に現在の時刻を関連付けてサーバー記憶部52に記憶する。
【0173】
上述した打設作業の遅延判定、打設終了見込み時刻の算出、及びコールドジョイント判定を並列処理で行ったのち、サーバー制御部53は、
図12に示すように、ユーザー端末40からの要求に応じて送信する応答情報を生成する(ステップS154)。
【0174】
具体的には、サーバー制御部53は、ステップS150で記憶した時刻ごとの進捗率と、ステップS150で記憶した現在の時刻での遅延情報と、ステップS152で記憶した打設速度及び打設終了見込み時刻と、ステップS153で記憶した図面データ57とを関連付けて応答情報を生成する。
【0175】
応答情報を生成すると、サーバー制御部53は、現在の進捗率が100%か否かを判定する(ステップS155)。
現在の進捗率が100%でない場合(ステップS155:No)、サーバー制御部53は、進捗率が100%になるまでステップS143からステップS155の処理を所定の時間間隔で繰り返す。
【0176】
一方、現在の進捗率が100%の場合(ステップS155:Yes)、サーバー制御部53は、プロジェクト名に対応した進捗管理処理を終了するとともに、施工箇所の撮像の停止を示す信号を、通信回線11を介してカメラ20に送信する。
【0177】
次に、コンクリートの打設開始後に、コンクリートの打設作業の進捗状況を確認する現場担当者などの利用者が、上述した
図6のステップS102において、メニュー画面200(
図7参照)のプルダウンメニュー欄202から登録済みのプロジェクト名を選択押下した際のユーザー端末40の処理動作について説明する。
【0178】
具体的には、メニュー画面200(
図7参照)のプルダウンメニュー欄202から登録済みのプロジェクト名が選択され、かつOKボタン203が押下された場合(ステップS102:No)、端末制御部45は、
図6に示すように、施工箇所を撮像した動画像、及び応答情報の送信を要求する要求情報を、サーバー50に送信する。
【0179】
この際、要求情報を受信したサーバー50は、上述した進捗管理処理のステップS141で取得開始した動画像と、ステップS154で生成した応答情報とを関連付けてユーザー端末40に送信する。
なお、要求情報は、後述する進捗管理画面230が閉じられるまで、所定の時間間隔でサーバー50に繰返し送信される。
【0180】
要求情報を送信すると、端末制御部45は、進捗管理画面230を表示部42に表示させる表示処理を開始する(ステップS115)。
この進捗管理画面230には、
図16に示すように、画面上部にプロジェクト名が表示され、その下方に打設完了区画ボタン231と、打設終了見込みボタン232と、打設ペース警告ボタン233と、コールドジョイント警告ボタン234と、メニュー画面200に戻るための戻るボタン235とが表示されている。
【0181】
詳述すると、進捗管理画面230の打設完了区画ボタン231は、利用者が施工範囲の平面図に打設完了区画57bを図示した図面データ57を確認する際に押下するボタンである。
この打設完了区画ボタン231が押下された場合、端末制御部45は、
図17に示すように、サーバー50から取得した応答情報及び動画像に基づいて、打設完了区画画面240を表示部42に表示させる。
【0182】
この打設完了区画画面240には、
図17に示すように、画面上部に「打設完了区画」というタイトルが表示され、その下方左側に図面データ57を表示する図面表示欄241が表示されている。
【0183】
さらに、打設完了区画画面240には、図面表示欄241の右側に、サーバー50を介して取得した施工箇所の動画像を表示する画像表示欄242と、進捗管理画面230に戻るための戻るボタン243とが表示されている。
【0184】
なお、図面表示欄241には、上述した進捗管理処理のステップS148で打設座標情報に対応する打設区画57aを、打設完了区画57bに変更した図面データ57を表示している。
【0185】
また、進捗管理画面230の打設終了見込みボタン232は、利用者が打設作業の進捗率、及び打設終了見込み時刻を確認する際に押下するボタンである。
この打設終了見込みボタン232が押下された場合、端末制御部45は、
図18に示すように、サーバー50から取得した応答情報及び動画像に基づいて、打設終了見込み画面250を表示部42に表示させる。
【0186】
この打設終了見込み画面250には、
図18に示すように、画面上部に「打設終了見込み」というタイトルが表示され、その下方左側に横軸を時刻、縦軸を進捗率とするグラフを表示する進捗率表示欄251と、上述した進捗管理処理のステップS152で算出した打設終了見込み時刻を表示する打設終了見込み時刻欄252とが表示されている。
【0187】
さらに、打設終了見込み画面250には、進捗率表示欄251の右側に、サーバー50を介して取得した施工箇所の動画像を表示する画像表示欄253と、進捗管理画面230に戻るための戻るボタン254とが表示されている。
【0188】
なお、進捗率表示欄251には、打設開始予定時刻の進捗率が0%で、打設終了予定時刻の進捗率が100%となる進捗率の計画値を示す計画進捗率と、上述した進捗管理処理のステップS149で算出した進捗率の実績値を示す実績進捗率と、ステップS151で算出した打設速度で打設作業を進めた場合の予測進捗率とが表示されている。
【0189】
また、進捗管理画面230の打設ペース警告ボタン233は、利用者が打設作業のペースを確認する際に押下するボタンである。
この打設ペース警告ボタン233が押下された場合、端末制御部45は、
図19に示すように、サーバー50から取得した応答情報及び動画像に基づいて、打設ペース警告画面260を表示部42に表示させる。
【0190】
この打設ペース警告画面260には、
図19に示すように、画面上部に「打設ペース警告」というタイトルが表示され、その下方左側に横軸を時刻、縦軸を進捗率とするグラフを表示する作業ペース欄261と、上述した進捗管理処理のステップS150で判定した判定結果を表示する判定表示欄262とが表示されている。
【0191】
さらに、打設ペース警告画面260には、作業ペース欄261の右側に、サーバー50を介して取得した施工箇所の動画像を表示する画像表示欄263と、進捗管理画面230に戻るための戻るボタン264とが表示されている。
【0192】
なお、作業ペース欄261には、打設開始予定時刻の進捗率が0%で、打設終了予定時刻の進捗率が100%となる注意進捗率と、打設開始予定時刻の進捗率が0%で、打設終了予定時刻の進捗率が25%となる警告進捗率と、上述した進捗管理処理のステップS149で算出した進捗率の実績値を示す実績進捗率とが表示されている。
【0193】
一方、判定表示欄262には、打設ペースに遅れがないことを示す「正常」、または打設ペースに遅れがあることを示す「遅延」が表示される。
具体的には、サーバー制御部53は、打設作業の遅れを示す遅延情報をサーバー50から取得していない場合、判定表示欄262に「正常」を表示させ、遅延情報を取得している場合、判定表示欄262に「遅延」を表示させる。
【0194】
また、進捗管理画面230のコールドジョイント警告ボタン234は、利用者がコールドジョイントの可能性がある打設完了区画57bを確認する際に押下するボタンである。
このコールドジョイント警告ボタン234が押下された場合、端末制御部45は、
図20に示すように、サーバー50から取得した応答情報及び動画像に基づいて、コールドジョイント警告画面270を表示部42に表示させる。
【0195】
このコールドジョイント警告画面270には、
図20に示すように、画面上部に「コールドジョイント警告」というタイトルが表示され、その下方左側に図面データ57を表示する警告表示欄271と、警告表示欄271の右側に、サーバー50を介して取得した施工箇所の動画像を表示する画像表示欄272と、進捗管理画面230に戻るための戻るボタン273とが表示されている。
【0196】
なお、警告表示欄271には、上述した進捗管理処理のステップS153で判定した打重ね許容時間を上回る打設完了区画57bを、打設完了区画57bとは異なる色の警告区画57cに置き換えた図面データ57を表示している。
【0197】
このようにして、本実施形態のコンクリート打設管理システム10、及びこれを用いたコンクリート打設管理方法は、カメラ20及びウェアラブル端末30から取得した情報に基づいて、打設作業の進捗状況を示す情報をユーザー端末40に提供する。
【0198】
そして、利用者がユーザー端末40を操作して、サーバー50から提供された各種情報を確認可能にすることで、コンクリート打設管理システム10、及びこれを用いたコンクリート打設管理方法は、打設作業の進捗管理を支援している。
【0199】
以上のように、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理システム10は、コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データ57を記憶する記憶手段(サーバー記憶部52)と、施工範囲の動画像を定点で撮像するカメラ20とが備えられている。
【0200】
さらに、コンクリート打設管理システム10は、コンクリートを搬送する管状体(筒先4)の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、動画像における筒先4の位置を検出する筒先検出手段(第1学習モデル55)が備えられている。
【0201】
そして、コンクリート打設管理システム10は、検出された筒先4の位置を示す筒先位置情報を、施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に変換する座標変換手段(サーバー制御部53)と、打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けるマッピング手段(サーバー制御部53)とが備えられている。
【0202】
また、コンクリートの打設作業の進捗管理を支援するコンクリート打設管理方法は、コンクリートを打設する施工範囲の平面図を示す図面データ57を記憶手段が記憶する記憶工程(ステップS134)と、カメラ20が施工範囲の動画像を定点で撮像する撮像工程(ステップS113)とを行う。
【0203】
さらに、コンクリート打設管理方法は、コンクリートを搬送する管状体(筒先4)の形状、色、及び動きのうち、少なくとも1つに基づいて、動画像における筒先4の位置を筒先検出手段が検出する筒先検出工程(ステップS144)を行う。
【0204】
そして、コンクリート打設管理方法は、検出された筒先4の位置を示す筒先位置情報を、施工範囲の平面図における位置座標を示す打設座標情報に座標変換手段が変換する座標変換工程(ステップS147)と、マッピング手段が打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けるマッピング工程(ステップS148)とを行う。
【0205】
この構成によれば、打設作業に関わる利用者による打設位置の入力作業を不要にできるため、利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0206】
具体的には、施工範囲を撮像した動画像における筒先4の位置を検出する筒先検出手段により、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進行に伴って施工範囲を移動する筒先4に追従して、動画像中の筒先4の位置を検出することができる。
【0207】
さらに、座標変換手段及びマッピング手段により、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けることで、コンクリート打設管理システム10は、コンクリートの打設位置を図面データ57に逐次マッピングすることができる。
【0208】
これにより、コンクリート打設管理システム10は、打設作業に関わる利用者による打設位置の入力作業を不要にできるとともに、コンクリートの打設状況をリアルタイムで把握することができる。
よって、コンクリート打設管理システム10及びこれを用いたコンクリート打設管理方法は、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0209】
また、コンクリート打設管理システム10は、動画像における作業員Mを識別する動体識別手段(第2学習モデル56)と、動体識別手段によって識別された複数の作業員Mのうち、相対的に密集している複数の作業員Mの位置に基づいて、筒先位置情報を補正する補正手段(サーバー制御部53)とが備えらえている。
【0210】
この構成によれば、作業員Mの位置に基づいて筒先位置情報を補正する補正手段により、筒先位置情報の位置精度を向上できるため、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0211】
具体的には、作業員Mを識別する動体識別手段により、コンクリート打設管理システム10は、施工現場で各種作業に携わる作業員M、作業員Mの操作によって移動する機器などを動画像から抽出することができる。
【0212】
さらに、施工現場の打設位置付近では、筒先4を保持する作業員Mや締固めする作業員Mが必要となるため、打設位置以外の場所に比べて作業員Mが集まり易い。
そこで、相対的に密集している複数の作業員Mの位置に基づいて、筒先位置情報を補正することで、コンクリート打設管理システム10は、筒先検出手段で検出した筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0213】
これにより、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けた際、コンクリート打設管理システム10は、実際の打設位置と、図面データ57の打設位置との位置ズレを抑えることができる。
よって、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0214】
また、補正手段が、筒先検出手段による筒先4の位置の検出が可能な場合に、筒先位置情報を作業員Mの位置で補正する構成である。
そして、コンクリート打設管理システム10は、筒先検出手段による筒先位置の検出が不可の場合に、動体識別手段によって識別された複数の作業員Mのうち、相対的に密集している複数の作業員Mの位置に基づいて、筒先位置情報を推定する筒先位置推定手段(サーバー制御部53)が備えられている。
【0215】
この構成によれば、現在の打設位置を示す打設座標情報を途切れることなく取得できるため、打設作業の進捗管理を安定して支援することができる。
具体的には、施工現場の日照条件によって筒先4が不鮮明に撮像された場合、あるいは施工現場の建設機械や足場などの死角に筒先4が隠れた場合、筒先検出手段が筒先4の位置を動画像から検出できないおそれがある。
【0216】
そこで、相対的に密集している複数の作業員Mの位置に基づいて筒先位置情報を推定する筒先位置推定手段を備えたことにより、コンクリート打設管理システム10は、筒先4の位置の検出が困難な場合であっても、現在の打設位置を示す打設座標情報を途切れることなく取得することができる。
【0217】
これにより、コンクリート打設管理システム10は、打設座標情報を打設位置として図面データ57に途切れなく関連付けできるため、打設作業の進捗管理を安定して支援することができる。
【0218】
また、コンクリート打設管理システム10は、筒先4につながるホース3を動画像から識別するホース識別手段(第1学習モデル55)と、ホース識別手段によって識別されたホース3の位置に基づいて、筒先位置情報を補正する位置情報補正手段(サーバー制御部53)とが備えられている。
【0219】
この構成によれば、ホース3の位置に基づいて筒先位置情報を補正する位置情報補正手段により、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
このため、筒先位置情報を変換した打設座標情報を打設位置として図面データ57に関連付けた際、コンクリート打設管理システム10は、実際の打設位置と、図面データ57の打設位置との位置ズレを抑えることができる。
よって、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗管理を精度よく支援することができる。
【0220】
また、作業員Mに装着したヘルメットのマーカーに基づいて、動体識別手段(第2学習モデル56)が動画像の作業員Mを識別するため、コンクリート打設管理システム10は、動画像中の動体である作業員Mをより精度よく、かつ効率よく識別することができる。
【0221】
さらに、例えば打設作業に関わる筒先作業員M1のヘルメットのマーカーの色を異ならせることで、コンクリート打設管理システム10は、打設作業に関わる筒先作業員M1と筒先作業員M1以外の作業員Mとを容易に識別することができる。
【0222】
これにより、補正手段によって筒先位置情報を補正する際、補正手段は、位置精度の高い作業員Mの位置に基づいて、筒先位置情報をより精度よく補正することができる。このため、コンクリート打設管理システム10は、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0223】
また、コンクリート打設管理システム10は、作業員Mに装着したウェアラブル端末30から送信された送信情報(位置情報及び加速度情報)を受信する受信手段(回線接続部51)を備えている。そして、動体識別手段(第2学習モデル56)が、受信手段で受信した送信情報に基づいて作業員Mを識別する構成である。
【0224】
この構成によれば、作業員Mに装着したウェアラブル端末30から送信された送信情報(位置情報及び加速度情報)に基づいて作業員Mを識別するため、動画像の作業員Mの位置をより精度よく、かつ効率よく検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、筒先位置情報をより精度よく補正できるため、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0225】
また、作業員Mに装着したウェアラブル端末30がGNSS受信部32を備え、GNSS受信部32で受信した位置情報を送信するため、コンクリート打設管理システム10は、GNSS受信部32からの位置情報に基づいて作業員Mの位置を識別することができる。
【0226】
このため、コンクリート打設管理システム10は、例えば日照条件、建機や足場などによって動画像の作業員Mを識別困難な場合であっても、作業員Mの位置を精度よく検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、筒先位置情報をより精度よく補正できるため、筒先位置情報の位置精度を向上することができる。
【0227】
また、作業員Mに装着したウェアラブル端末30が、加速度センサー33を備え、位置情報及び加速度センサー33で検知した加速度を示す加速度情報を送信するため、バイブレーター5の振動をウェアラブル端末30で検知することができる。
【0228】
このため、コンクリート打設管理システム10は、位置情報及び加速度情報に基づいて、締固めに携わる作業員Mの位置を容易に検出することができる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、打設位置に密集する作業員Mを容易に特定できるため、筒先位置情報を確実に補正することができる。
【0229】
また、コンクリート打設管理システム10は、打設開始予定日時及び打設終了予定日時の入力操作を受け付けて取得する打設情報取得手段(操作受付部41、端末制御部45及び第1入力画面210)と、打設開始予定日時になった際、少なくともカメラ20による施工範囲の撮像、筒先検出手段による筒先4の位置の検出、座標変換手段による筒先位置情報の打設座標情報への変換、及びマッピング手段による打設座標情報の図面データ57への関連付けを開始させる開始手段(サーバー制御部53)とが備えられている。
【0230】
さらに、コンクリート打設管理システム10は、現在の進捗率が100%となった際、開始手段が開始した施工範囲の撮像、筒先4の位置の検出、筒先位置情報の打設座標情報への変換、及び打設座標情報の図面データ57への関連付けを終了する終了手段(サーバー制御部53)が備えられている。
【0231】
この構成によれば、予め打設開始予定日時を設定することで、現在の日時が打設開始予定日時になった際、少なくともカメラ20による施工範囲の撮像、筒先検出手段による筒先4の位置の検出、座標変換手段による筒先位置情報の打設座標情報への変換、及びマッピング手段による打設座標情報の図面データ57への関連付けを開始することができる。
【0232】
さらに、打設情報取得手段が現在の進捗率を取得することで、現在の進捗率が100%になった際、少なくともカメラ20による施工範囲の撮像、筒先検出手段による筒先4の位置の検出、座標変換手段による筒先位置情報の打設座標情報への変換、及びマッピング手段による打設座標情報の図面データ57への関連付けを終了することができる。
【0233】
このため、コンクリート打設管理システム10は、例えば作業員Mが打設開始予定日時及び打設終了予定日時にカメラ20などを操作することを不要にできる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、打設作業に関わる利用者に対する利便性を向上して、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0234】
また、筒先検出手段が、筒先4の形状、色、及び動きのうち少なくとも1つを教師データT1とする第1学習モデル55で構築されているため、コンクリート打設管理システム10は、筒先4の位置をより精度よく、かつ効率よく検出することができる。
【0235】
また、打設座標情報を打設位置として関連付けた図面データ57を表示する表示手段(表示部42)を備えているため、コンクリート打設管理システム10は、例えば現在の進捗状況を可視化して現場担当者に提供することができる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、現場担当者に対する利便性を向上して、現場担当者による打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0236】
また、打設位置が関連付けられた図面データ57に基づいて、打設終了見込み時刻を推定する終了時刻推定手段(サーバー制御部53)と、打設終了見込み時刻を利用者に通知する時刻通知手段(端末制御部45及び表示部42)とを備えているため、コンクリート打設管理システム10は、打設終了見込み時刻を現場担当者や打設作業に関わる作業員Mに容易に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗管理をより確実に支援することができる。
【0237】
また、コンクリート打設管理システム10は、打設開始予定日時及び打設終了予定日時を取得する予定日時取得手段(操作受付部41、端末制御部45及び第1入力画面210)と、打設開始予定日時及び打設終了予定日時に基づいて進捗率の閾値(注意進捗率及び警告進捗率)を算出する閾値算出手段(サーバー制御部53)とが備えられている。
【0238】
さらに、コンクリート打設管理システム10は、打設座標情報が関連付けられた図面データ57に基づいて、現在の進捗率を算出する進捗率算出手段(サーバー制御部53)と、進捗率の閾値に対して現在の進捗率が下回る場合に、打設作業の遅れを利用者に通知する遅延通知手段(端末制御部45及び表示部42)とが備えられている。
【0239】
この構成によれば、打設作業の遅れを現場担当者や打設作業に関わる作業員Mに容易に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗管理をより確実に支援することができる。
【0240】
また、コンクリート打設管理システム10は、打重ね許容時間を上回る打設位置がある場合に、コールドジョイントが発生し易い状態であることを示す警告情報(警告区画57c)を出力する打重ね判定手段(サーバー制御部53)と、警告情報を利用者に通知するコールドジョイント通知手段(端末制御部45及び表示部42)とが備えられている。
【0241】
この構成によれば、コールドジョイントが発生し易い状態を早期に発見して、作業員Mや現場担当者に知らせることができる。このため、コンクリート打設管理システム10は、コールドジョイントの発生を防止しながら、打設作業の進捗管理を支援することができる。
【0242】
また、図面データ57が、所定の大きさの打設区画57aで区画分けされた構成であるため、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗状況を打設区画57aで容易に判別することができる。このため、図面データ57を表示部42に表示した際、コンクリート打設管理システム10は、現場担当者による打設作業の進捗確認を容易にすることができる。
【0243】
また、コンクリート打設管理システム10は、静止画像を表示する撮像情報表示手段(表示部42及び第2入力画面220)と、利用者による操作を受け付けて静止画像における施工範囲Eを取得する範囲取得手段(操作受付部41、端末制御部45及び第2入力画面220)と、所定の大きさの打設区画57aで区画分けされた図面データ57を出力する図面データ出力手段(サーバー制御部53)とが備えられている。
【0244】
そして、範囲取得手段が、静止画像における施工範囲Eの起点位置Pと、起点位置Pからの長さとを取得する構成であり、図面データ出力手段が、起点位置Pと起点位置Pからの長さとに基づいて、静止画像における施工範囲Eの位置と、図面データ57の位置とを関連付ける構成である。
【0245】
この構成によれば、静止画像における施工範囲Eの位置と図面データ57の位置とを予め関連付けできるため、マッピング手段による打設座標情報の関連付けを容易に、かつ効率よく行うことができる。
【0246】
また、コンクリート打設管理システム10は、打設座標情報を打設位置として関連付けられた図面データ57を表示する表示手段(表示部42)と、通信回線11を介してカメラ20及び表示手段に接続されたサーバー50とが備えられている。
【0247】
そして、サーバー50が、少なくとも記憶手段(サーバー記憶部52)、筒先検出手段(第1学習モデル55)、座標変換手段(サーバー制御部53)、及びマッピング手段(サーバー制御部53)を備えている。
【0248】
この構成によれば、例えば施工現場にカメラ20を配置し、施工現場から離間した場所に表示手段を配置できるため、現場担当者が打設作業の進捗を遠隔で確認することができる。
【0249】
さらに、例えば打設作業の進捗管理に関する各種情報をサーバー50に保管できるため、コンクリート打設管理システム10は、打設作業後に進捗状況を振り返って確認する、あるいは経験の浅い作業員Mに対する教材として活用することができる。
これにより、コンクリート打設管理システム10は、打設作業の進捗を管理するだけでなく、様々な用途において有効活用することができる。
【0250】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の記憶手段は、実施形態のサーバー記憶部52に対応し、
以下同様に、
撮像情報は、動画像及び静止画像に対応し、
管状体は、筒先4に対応し、
筒先検出手段、ホース識別手段、及び学習モデルは、第1学習モデル55に対応し、
座標変換手段、マッピング手段、補正手段、筒先位置推定手段、位置情報補正手段、開始手段、終了手段、終了時刻推定手段、閾値算出手段、進捗率算出手段、及び打重ね判定手段、及び図面データ出力手段は、サーバー制御部53に対応し、
筒先以外の動体は、作業員Mに対応し、
動体識別手段は、第2学習モデル56に対応し、
目印は、ヘルメットのマーカーに対応し、
作業員に装着した機器は、ウェアラブル端末30に対応し、
送信情報は、位置情報及び加速度情報に対応し、
受信手段は、回線接続部51に対応し、
位置情報受信機は、GNSS受信部32に対応し、
打設情報取得手段及び予定日時取得手段は、操作受付部41、端末制御部45及び第1入力画面210に対応し、
範囲取得手段は、操作受付部41、端末制御部45及び第2入力画面220に対応し、
表示手段及び撮像情報表示手段は、表示部42に対応し、
時刻通知手段、遅延通知手段、及びコールドジョイント通知手段は、端末制御部45及び表示部42に対応し、
進捗率の閾値は、注意進捗率及び警告進捗率に対応し、
警告情報は、警告区画57cに対応し、
起点位置からの長さは、奥行き方向Dの長さ及び幅方向Wの長さに対応し、
記憶工程は、ステップS134に対応し、
撮像工程は、ステップS113に対応し、
筒先検出工程は、ステップS144に対応し、
座標変換工程は、ステップS147に対応し、
マッピング工程は、ステップS148に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0251】
例えば上述した実施形態において、コンクリートが搬送される管状体を、ホース3と筒先4とで構成したが、これに限定せず、例えばブーム2から延びるホースと筒先4から延びるホースとの間に、鋼管などの配管が設けられた管状体であってもよい。
また、カメラ20が施工箇所を撮像した動画像をサーバー50に送信するとしたが、これに限定せず、施工箇所を撮像した静止画像を所定の時間間隔でサーバー50に送信するカメラであってもよい。
【0252】
また、1つのカメラ20を備えたコンクリート打設管理システム10としたが、これに限定せず、複数のカメラ20を備えたコンクリート打設管理システム10であってもよい。
この場合、
図8の新規作成処理において、ステップS124の第2入力画面220の案内にしたがって、施工範囲Eの起点位置Pと、起点位置Pからの奥行き方向Dの長さ及び幅方向Wの長さとを利用者が入力した後、別のカメラ20で撮像した静止画像を画像表示欄224に表示して、指定した施工範囲が正しいか利用者に確認させてもよい。
【0253】
また、
図8のステップS124において、施工範囲Eの起点位置Pと、起点位置Pからの奥行き方向Dの長さ及び幅方向Wの長さとに基づいて、施工範囲Eを示す枠線を画像表示欄224の静止画像に重ねて表示してもよい。
【0254】
また、第2入力画面220において、ステップS121で取得した静止画像を画像表示欄224に表示したが、これに限定せず、カメラ20から取得した動画像を画像表示欄224に表示してもよい。もしくは、第2入力画面220に画像切換ボタンを設けて、静止画像または動画像のいずれか一方を択一的に画像表示欄224に表示可能にしてもよい。
【0255】
また、サーバー50からの信号に基づいて施工現場を撮像するカメラ20としたが、これに限定せず、電源がオン状態の間、常時、施工現場を撮像して動画像をサーバー50に送信するカメラであってもよい。
また、腕時計型のウェアラブル端末30としたが、これに限定せず、作業員Mが装着可能な端末であれば、作業服のベルトなどに装着可能な端末や指輪型のウェアラブル端末などの適宜の端末であってもよい。
【0256】
また、ウェアラブル端末30によって位置情報及び加速度情報を取得したが、これに限定せず、GNSS受信機によって位置情報を取得し、GNSS受信機とは別体の加速度センサーで加速度情報を取得してもよい。
【0257】
また、現在位置を示す位置情報をウェアラブル端末30のGNSS受信部32で取得したが、衛星測位システムの測位衛星からの信号を受信して位置情報を取得する機器であれば、これに限定しない。例えば複数の衛星測位システムからの信号を受信して現在位置を示す位置情報を取得する機器であってもよい。
【0258】
また、作業員Mにウェアラブル端末30を装着したが、これに限定せず、ホース3に加速度センサーを装着して、打設時のホース3の脈動を検出する、あるいは筒先4にGNSS受信機を装着して、筒先4の位置を検出してもよい。
【0259】
また、コンクリート打設管理システム10を、通信回線11を介して接続されたカメラ20、ウェアラブル端末30、ユーザー端末40、及びサーバー50で構成したが、これに限定せず、カメラ20、ウェアラブル端末30、及びユーザー端末40で構成されたコンクリート打設管理システムであってもよい。
この際、ウェアラブル端末30を通信回線11または無線でユーザー端末40に接続し、カメラ20を有線または無線でユーザー端末40に接続する。
【0260】
このようなコンクリート打設管理システムの場合、上述した
図6のステップS104の応答処理、ステップS106の登録処理、ステップS111、及びステップS112の進捗管理処理をユーザー端末40で実行する。
これにより、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0261】
また、ユーザー端末40を操作受付部41及び表示部42を有するデスクトップ型の端末として図示したが、これに限定せず、ノート型の端末、タブレット型の端末をユーザー端末としてもよい。
【0262】
また、
図7のメニュー画面200において、プルダウンメニュー欄202から登録済みのプロジェクト名が選択押下され、かつOKボタン203が押下された場合、進捗管理画面230を表示部42に表示させる表示処理を開始したが、これに限定しない。
例えば登録済みのプロジェクト名が選択押下され、かつOKボタン203が押下された場合、プロジェクトデータ54に対応する進捗管理画面230を表示するための管理画面ボタンと、プロジェクトデータ54の編集を開始するための編集ボタンと、プロジェクトデータ54を削除するための削除ボタンとが表示された画面を表示部42に表示してもよい。
【0263】
また、
図9の第1入力画面210及び
図10の第2入力画面220は、一例であって、これに限定しない。例えば第2入力画面220において、第1入力画面210に戻るための戻るボタンが、登録ボタン225の左側に隣接して設けられてもよい。
【0264】
また、
図8の新規作成処理において、第1入力画面210にしたがって利用者が打設開始予定日時及び打設終了予定日時を入力したが、これに限定しない。例えばサーバー50や別の端末などに予め登録された打設開始予定日時及び打設終了予定日時を読み出すとともに、読み出した打設開始予定日時及び打設終了予定日時をプロジェクトデータ54に登録する構成であってもよい。
【0265】
この場合、例えばサーバー50や別の端末に登録された情報を読み出すための操作画面を、ユーザー端末40の表示部42に表示して、利用者による操作を受け付けるようにする。あるいは例えばサーバー制御部53が、別の端末に登録された打設開始予定日時及び打設終了予定日時の情報を定期的に確認して、新規の情報や更新された情報がある場合、新規の情報や更新された情報を自動的に取得するとともに、プロジェクトデータ54に登録してもよい。
【0266】
さらにまた、
図8の新規作成処理において、第1入力画面210及び第2入力画面220にしたがって利用者が打設管理に必要な各種情報を入力してプロジェクトデータを登録したが、これに限定しない。
例えばサーバー50や別の端末などに予め登録された打設管理に必要な各種情報を、利用者による操作によって読み出すとともに、読み出した打設管理に必要な各種情報をプロジェクトデータ54として登録する構成であってもよい。
【0267】
あるいは、サーバー制御部53が、別の端末に登録された打設管理に必要な各種情報を定期的に確認して、新規の情報や更新された情報がある場合、新規の情報や更新された情報を自動的に取得するとともに、プロジェクトデータ54として登録してもよい。
【0268】
また、
図8の新規作成処理において、静止画像における施工範囲を指定する工程は、上述した実施形態に限定せず、施工範囲を精度よく指定できるのであれば、適宜の工程であってもよい。
【0269】
例えば、施工現場において、施工範囲の隅部を識別する目印を設け、サーバー制御部53が、静止画像中の目印に基づいて施工範囲を自動的に特定し、図面データ57を生成してもよい。この際、サーバー制御部53が、静止画像中の目印に基づいて施工範囲の起点位置と、起点位置からの長さとを算出してもよい。
あるいは、静止画像の施工範囲Eを直接的に選択押下してもよい。この場合、より複雑な形状の施工範囲を容易に指定することができる。
【0270】
また、
図6のステップS106の登録処理において、サーバー制御部53が、図面データ57を生成したが、これに限定せず、サーバー50とは別端末で予め生成した図面データ57をサーバー記憶部52に記憶してもよい。
【0271】
また、
図6のステップS106の登録処理を、サーバー50で行ったが、これに限定せず、上述した登録処理のステップS131からステップS134をユーザー端末40で行い、生成したプロジェクトデータ54をサーバー50に送信する構成であってもよい。
【0272】
また、
図6のステップS111において、現在の日時が打設開始予定日時になった際、進捗管理処理(
図6のステップS112)を開始したが、これに限定せず、例えば現場担当者がユーザー端末40を操作して、サーバー50に進捗管理処理を開始させてもよい。
あるいはカメラ20から取得した動画像または静止画像の明るさ、もしくは施工現場に配置した照度計から取得した施工現場の明るさが、作業開始可能な明るさの場合、サーバー50が進捗管理処理を開始してもよい。
【0273】
また、
図12のステップS155において、現在の進捗率が100%の場合、プロジェクト名に対応した進捗管理処理を終了したが、これに限定せず、例えば現場担当者がユーザー端末40を操作して、サーバー50に進捗管理処理を終了させてもよい。
あるいはカメラ20から取得した動画像または静止画像の明るさ、もしくは施工現場に配置した照度計から取得した施工現場の明るさが、作業続行不可な明るさの場合、サーバー50が進捗管理処理を終了してもよい。
【0274】
また、
図6のステップS111で進捗管理処理が開始された後、プロジェクトデータ54に登録された打設開始予定時刻や打設終了予定時刻を、ユーザー端末40などから変更可能にしてもよい。
これにより、コンクリート搬入の遅れなどに応じて、予定時刻を適宜変更できるため、例えば打設作業の遅れをより正しいタイミングで通知することができる。
【0275】
また、
図12の進捗管理処理において、第1学習モデル55によって筒先4及びホース3を識別し、第2学習モデル56によって作業員Mを識別したが、これに限定せず、筒先4、ホース3、及び作業員Mを1つの学習モデルで識別する、あるいは学習モデルを用いずに識別してもよい。
さらに、ステップS144の筒先検出処理、及びステップS145の動体検出処理に加えて、ステップS146の補正処理を学習モデルで行う構成であってもよい。
【0276】
また、ニューラルネットワークを用いた第1学習モデル55及び第2学習モデル56としたが、これに限定せず、筒先4、ホース3、及び作業員Mを識別できる適宜の推定アルゴリズムであってよい。なお、適宜の推定アルゴリズムは、1つに限定せず、複数組み合わせてもよい。
【0277】
また、作業員Mの特徴を示す情報として、作業員Mが着用するヘルメットに設けたマーカーの形状及びマーカーの色としたが、これに限定せず、作業員Mが着用する作業服の色、作業覆に装着したテープ状の目印、所定間隔で点滅する目印を、作業員Mの特徴を示す情報としてもよい。
【0278】
また、上述した実施形態では言及しなかったが、ヘルメットのマーカーの色や作業服の色など目印は、担当する作業に関わらず同色または担当する作業によって異なる色の目印であってもよい。
【0279】
また、
図12の進捗管理処理のステップS144において、第1学習モデル55がホース3を識別して、ホース3の位置座標を検出したが、これに限定せず、例えばブーム2から垂れ下がるホース3が筒先4まで連続する状態であるか、あるいは作業員Mや足場などの遮蔽物によってホース3が筒先4まで連続しない状態であるかを、第1学習モデル55が識別してもよい。
【0280】
この際、例えば
図13の補正処理のステップS165において、バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集していない場合(ステップS165:No)、ホース3の状態が検出できていれば、ホース3の状態から筒先4の位置を推定してもよい。
【0281】
あるいは、
図13の補正処理において、ホース3が筒先4から連続して識別されていない場合、サーバー制御部53によって筒先4の位置の補正を行い、ホース3が筒先4から連続して識別されている場合、筒先位置情報の位置精度が高いため、サーバー制御部53による筒先4の位置の補正を省略する処理動作を加えてもよい。
【0282】
また、
図13の補正処理のステップS162において、バイブレーター5を保持する作業員M2を中心に作業員Mが密集していない場合、筒先位置情報が示す筒先4の位置を、ホース位置情報が示すホース3の位置で補正したが、これに限定せず、筒先位置情報が示す筒先4の位置を、ホース位置情報が示すホース3の位置で補正せずに、
図12のステップS155に処理を進めてもよい。
【0283】
また、
図13の補正処理のステップS168において、複数の作業員位置情報が示す作業員Mの位置で、筒先4の位置を推定したが、これに限定せず、作業員Mの位置に加えて、ホース3やバイブレーター5の位置で筒先4の位置を推定してもよい。
【0284】
また、
図13の補正処理における処理の流れは、一例であって、作業員位置情報及びホース位置情報に基づいて、筒先位置情報が示す筒先の位置を補正できる処理の流れであれば、適宜の処理動作であってもよい。
【0285】
また、
図12のマッピング処理(ステップS148)において、筒先位置情報が示す筒先4がその場に留まっている滞在時間が所定時間を上回る場合に、打設座標情報に対応する図面データ57の打設区画57aを、打設完了区画57bに変更したが、これに限定しない。
例えば、動画像中における筒先位置情報に対応する位置の色変化によって、コンクリートの打設を識別することで、図面データ57の打設区画57aを打設完了区画57bに変更してもよい。
【0286】
また、
図12の進捗管理処理において、打設作業の遅延判定(ステップS149及びステップS150)、打設終了見込み時刻の算出(ステップS151及びステップS152)、及びコールドジョイント判定(ステップS153)を、サーバー50で行ったが、これに限定せず、ユーザー端末40で行ってもよい。
【0287】
また、打設開始予定時刻の進捗率が0%であり、打設終了予定時刻の進捗率が100%となる注意進捗率と、打設開始予定時刻の進捗率が0%であり、打設終了予定時刻の進捗率が25%となる警告進捗率とを、進捗率の閾値としたが、これに限定せず、進捗率の閾値は、適宜の進捗率であってもよい。
【0288】
また、
図6のステップS115の表示処理において、打設ペース警告ボタン233が押下された場合、打設ペース警告画面260を表示部42に表示して、打設ペースに遅れがあることを示す「遅延」を利用者に通知したが、これに限定しない。
【0289】
例えば打設作業の遅れを示す遅延情報をサーバー50から取得した場合、打設ペース警告ボタン233の押下に関わらず、打設ペース警告画面260を自動的に表示部42に表示して利用者に通知する、あるいは音声や警告音によって利用者に通知してもよい。
【0290】
また、
図6のステップS115の表示処理において、コールドジョイント警告ボタン234が押下された場合、コールドジョイント警告画面270を表示部42に表示して警告区画57cを利用者に通知したが、これに限定しない。
【0291】
例えばサーバー50から取得した図面データ57に警告区画57cが含まれる場合、コールドジョイント警告ボタン234の押下に関わらず、コールドジョイント警告画面270を自動的に表示部42に表示して利用者に通知する、あるいは音声や警告音によって利用者に通知してもよい。
【0292】
また、
図6のステップS115の表示処理を、ユーザー端末40で行ったが、これに限定せず、例えば施工現場で作業員Mが所有するモバイル端末で行ってもよい。これにより、作業員Mが携帯性に優れたモバイル端末で打設作業の進捗状況を確認することができる。
【符号の説明】
【0293】
3…ホース
4…筒先
10…コンクリート打設管理システム
11…通信回線
20…カメラ
30…ウェアラブル端末
32…GNSS受信部
33…加速度センサー
41…操作受付部
42…表示部
45…端末制御部
50…サーバー
51…回線接続部
52…サーバー記憶部
53…サーバー制御部
55…第1学習モデル
56…第2学習モデル
57…図面データ
57c…警告区画
M…作業員
T1…教師データ
P…起点位置