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特開2024-37377エンジンのシリンダーヘッド及びディーゼルエンジンのDPF処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037377
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】エンジンのシリンダーヘッド及びディーゼルエンジンのDPF処理装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20240312BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20240312BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F01M13/00 K
F01M13/00 E
F01M13/04 Z
F01N3/02 201
F01M13/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142190
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 礼
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真司
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲司
(72)【発明者】
【氏名】福山 尚尋
(72)【発明者】
【氏名】金野 晃大
(72)【発明者】
【氏名】森本 宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 晋
(72)【発明者】
【氏名】坪田 健一
【テーマコード(参考)】
3G015
3G190
【Fターム(参考)】
3G015BD02
3G015BD12
3G015BD23
3G015BE03
3G015BE12
3G015DA04
3G015EA03
3G015EA26
3G015FC04
3G015FE01
3G190AA06
3G190AA12
3G190BA14
3G190CA01
3G190CB18
3G190CB23
3G190DB02
3G190DB05
3G190DB12
3G190DB74
3G190DB75
3G190DB76
3G190EA09
3G190EA12
3G190EA23
3G190EA32
(57)【要約】
【課題】本発明は、寒冷時におけるエンジンのブローバイガス循環不良を解消すること及びディーゼルエンジンのDPF処理装置の取付を安全にすることを課題とする。
【解決手段】シリンダーヘッド1のブローバイガス入口2からブリーザ3に通じるブリーザ入路4を通り、ブリーザ3からブリーザ出路5を通ってエンジン25への吸気通路21に排気するエンジンのシリンダーヘッドにおいて、ブローバイガス入口2の圧上昇で開く安全弁7と笛8を設け、ブリーザ入路4側に詰りが生じブローバイガス入口2の内圧が上昇すると前記安全弁7が開き笛8を鳴らして警報することを特徴とするエンジンのシリンダーヘッドとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーヘッド(1)のブローバイガス入口(2)からブリーザ(3)に通じるブリーザ入路(4)を通り、ブリーザ(3)からブリーザ出路(5)を通ってエンジン(25)への吸気通路(21)に排気するエンジンのシリンダーヘッドにおいて、ブローバイガス入口(2)の圧上昇で開く安全弁(7)と笛(8)を設け、ブリーザ入路(4)側に詰りが生じブローバイガス入口(2)の内圧が上昇すると前記安全弁(7)が開き笛(8)を鳴らして警報することを特徴とするエンジンのシリンダーヘッド。
【請求項2】
安全弁(7)の噴気口をエンジン(25)の吸気通路(21)に通じる排気路(20)に向けて設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダーヘッド。
【請求項3】
ブリーザ出路(5)から吸気通路(21)のスロットルバルブ(9)に至る間に流路膨らみ部(10)を設け、この流路膨らみ部(10)の下方にオイル溜り(12)を設けた請求項1に記載のエンジンのシリンダーヘッド。
【請求項4】
エンジン(25)に筒状のDPF処理装置(26)を上下締結リング(37A,37B)で挟んで取り付けるディーゼルエンジンのDPF処理装置において、上下締結リング(37A.37B)に外側へ突出する膨らみ部(38)を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンのDPF処理装置。
【請求項5】
上下締結リング(37A.37B)の内径をDPF処理装置(26)の外径よりもやや大径とし上下締結リング(37A.37B)の内周一部をDPF処理装置(26)に接触させて取り付けたことを特徴とする請求項4に記載のディーゼルエンジンのDPF処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシリンダーヘッド及びディーゼルエンジンのDPF処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許4597101号公報に記載の如く、エンジンはエンジンルーム内で発生するブローバイガス処理のために、ブローバイガスをエンジンルームからシリンダーヘッドを通してエンジンの吸気に合流してシリンダー内へ送り込んで燃焼するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4597101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブローバイガスのエンジン吸気への合流経路には、ブリーザを設けて内圧が異常に上昇しないようにしているが、ブローバイガス中には未燃焼ガスやオイルミストの他に水蒸気が含まれているために、寒冷地でエンジンを長時間停止させているとブローバイガスのブリーザに至るガス通路で水蒸気が氷凍して詰りを生じ、エンジンルームのブローバイガス内圧上昇でエンジン起動が困難になったりエンジン不調になったりすることがある。
【0005】
本発明は、寒冷時におけるエンジンのブローバイガス循環不良を解消すること及びディーゼルエンジンのDPF処理装置の取付を安全にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、シリンダーヘッド1のブローバイガス入口2からブリーザ3に通じるブリーザ入路4を通り、ブリーザ3からブリーザ出路5を通ってエンジン25への吸気通路21に排気するエンジンのシリンダーヘッドにおいて、ブローバイガス入口2の圧上昇で開く安全弁7と笛8を設け、ブリーザ入路4側に詰りが生じブローバイガス入口2の内圧が上昇すると前記安全弁7が開き笛8を鳴らして警報することを特徴とするエンジンのシリンダーヘッドとする。
【0008】
請求項2の発明は、安全弁7の噴気口をエンジン25の吸気通路21に通じる排気路20に向けて設けたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのシリンダーヘッドとする。
【0009】
請求項3の発明は、ブリーザ出路5から吸気通路21のスロットルバルブ9に至る間に流路膨らみ部10を設け、この流路膨らみ部10の下方にオイル溜り12を設けた請求項1に記載のエンジンのシリンダーヘッドとする。
【0010】
請求項4の発明は、エンジン25に筒状のDPF処理装置26を上下締結リング37A,37Bで挟んで取り付けるディーゼルエンジンのDPF処理装置において、上下締結リング37A.37Bに外側へ突出する膨らみ部38を設けたことを特徴とするディーゼルエンジンのDPF処理装置とする。
【0011】
請求項5の発明は、上下締結リング37A.37Bの内径をDPF処理装置26の外径よりもやや大径とし上下締結リング37A.37Bの内周一部をDPF処理装置26に接触させて取り付けたことを特徴とする請求項4に記載のディーゼルエンジンのDPF処理装置とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明で、エンジンルームで生じたブローバイガスは、ブローバイガス入口2からブリーザ入路4を通ってブリーザ3に流れて内圧上昇を防いでブリーザ出路5を通ってエンジン25の吸気通路6に流れるが、ブリーザ入路4やブリーザ3でブローバイガス中の水分が氷結して詰りが生じブローバイガス入口2でブローバイガスの内圧が上昇するとブローバイガス入口2に設ける安全弁7が開き笛8を鳴らして警報を発するので作業者に不具合を直ちに知らせることが出来、しばらくするとエンジン25の加熱によってシリンダーヘッド1が暖められてブリーザ入路4やブリーザ3やブリーザ出路5の凍った水が溶かされて、ブリーザ3が正常に機能するようになると共にエンジン25が正常に駆動される。
【0013】
請求項2の発明で、ブローバイガス入口2のガス内圧が異常に上昇すると安全弁7が開き、ブローバイガスがエンジン25の吸気通路6に噴出してシリンダーに供給されて燃焼され、外気を汚染することが無い。
【0014】
請求項3の発明で、ブリーザ3を通ってスロットルバルブ9に至るブローバイガスが流路膨らみ部10でブローバイガス中のオイル分が油滴となってオイル溜り12に滴下してオイル溜り12に溜められるので、エンジン25内のシリンダーで燃焼されることが少なく、オイルの消費を低減出来る。
【0015】
請求項4の発明で、DPF処理装置26を上下締結リング37A.37Bで挟んでエンジン本体35に取り付けるが、DPF処理装置26が熱膨張で膨らむことがあっても締結リング37A.37Bの膨らみ部38が上下締結リング37A.37Bの弾力変形を可能にしてDPF処理装置26を強く締め付け過ぎることなく破損を防止する。
【0016】
請求項5の発明で、上下締結リング37A.37Bの内径がDPF処理装置26の外径より大きいので、DPF装置26が熱膨張しても上下締結リング37A.37BがDPF装置26を包み込むように弾性変形してDPF装置26を強く締め付けることが無く、破損しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態におけるシリンダーヘッドの模式断面図である。
図2】本発明の実施形態における別実施例のシリンダーヘッドの模式断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるエンジンの吸気路を示す模式断面図である。
図4】本発明に関連するDPF装置の再生処理フローチャート図である。
図5】同上DPF装置のスート堆積経過グラフである。
図6】同上DPF装置の再生処理フローチャート図である。
図7】同上DPF装置の再生処理フローチャート図である。
図8】同上DPF装置の再生処理フローチャート図である。
図9】本発明の実施形態のコンバインにおけるDPF装置の配置を示す側面図である。
図10】本発明の実施形態のクランク軸の斜視図である。
図11】同実施形態のエンジンへのDPF装置の取付斜視図である。
図12】同上エンジンへのDPF装置の取付側面図である。
図13】同上コンバインのエンジン給気筒の側面図である。
図14】同上エンジンの吸気通路の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、エンジンルーム上に取り付けるシリンダーヘッド1を示している。
【0020】
シリンダーヘッド1は樹脂成型の塊であり、内部下方に設ける横長の溝状ブローバイガス入口2に対して側方からブリーザ入路4を穿設し、ブリーザ3に繋ぐパイプ15のプラグ14を取り付けている。
【0021】
また、ブリーザ入路4に対して直交してブリーザ出路5をシリンダーヘッド1に穿設し、このブリーザ出路5に通じるプラグ孔32を穿設し、ブリーザ3からのパイプ16をプラグ17で連結している。ブリーザ出路5の出口にはエンジンの吸気通路21に繋ぐパイプ6のプラグ18を取り付けている。
【0022】
また、ブローバイガス入口2に設ける排気路19には安全弁7と笛8を設けて、ブローバイガス入口2でブローバイガスの内圧が異常に上昇すると安全弁7が開きブローバイガスを外気に逃がすと共に笛8を鳴らして警報するようにしている。
【0023】
シリンダーヘッド1がやがて暖まり、ブローバイガス入口2に溜まるブローバイガスは、ブリーザ入路4からパイプ15を通ってブリーザ3に至り、さらに、ブリーザ3からパイプ16とブリーザ出路5を通ってパイプ6でエンジンの吸気通路21に流れる。
【0024】
従って、寒冷時にブリーザ3やパイプ15,16等内のブローバイガス中の水分が凍結して詰りが生じるとブローバイガス入口2でブローバイガス内圧が上昇して安全弁7が開き、笛8を鳴らして警報する。
【0025】
図2は、ブローバイガス入口2からブリーザ出路5へ排気路20を設け、ここに安全弁7を設けた構成で、ブローバイガス入口2内で内圧が上昇すると安全弁7が開いてガスを外気に放出することなくブリーザ出路5に逃がすようにしている。ここに笛8を設けると異常圧の上昇を警報出来る。
【0026】
図3は、エンジンの吸気通路21を示し、エアークリーナ11からスロットルバルブ9に至る間に流路膨らみ部10を設け、この流路膨らみ部10の前にブリーザ3からのブリーザ出路5からのパイプ6を繋ぎ、吸気通路21を流れるブローバイガスが流路膨らみ部10でオイル分を滴にして下方のオイル溜り12に滴下する。オイル溜り12は上下二室12A,12Bに分割し、下室12Bに溜まるオイルは栓13を外して適宜に抜いて回収できる。なお、オイル溜り12は吸気騒音を低減させるレゾネーターとしても機能する。
【0027】
次に、ディーゼルエンジンの排気ガスを処理するDPF処理装置の再生処理制御を説明する。
【0028】
図4は、後処理装置付きコモンレールエンジンを搭載した農業機械において、後処理装置に取り付けしている排温センサ値およびエンジン負荷率を常に監視し、DPF装置の再生完了後からの平均値を算出し、DPF装置内に堆積されている推定スート値が自動再生領域に達した時に、各平均値が条件を満たすとDOCが閉塞し始めていると判断し、自動再生実施を中止し、手動再生に移行させて、オペレータに手動再生を促す表示を行う制御のフローチャート図である。図5は、DPF装置に溜まるスートの時間経過に伴う溜り量変化を表すグラフである。DOCの再生処理とは排ガスの温度を上昇させてスートを焼却する処理である。
【0029】
この制御で、回転変動や負荷変動がある過渡運転が繰り返された場合、平均排温が高くないにもかかわらず、エンジン負荷率が上がっているという現象が見られる。このような時には、DOC閉塞が起きやすい状況であるため、自動再生のタイミングがやってきた時に、自動再生を実施させず、手動再生を行わせることで、排ガス流量が安定して少ない状態で再生を行わせることが出来る。そうすることで、DOC前面のスートをゆっくりと焼くことが出来るため、結果的に排圧上昇による燃費悪化やDPF再生不良を未然に防ぐことが出来る。
【0030】
図6は、後処理装置付きコモンレールエンジンを搭載した農業機械において、後処理装置に取り付けしている排温センサ値と運転時間を監視し、DPF装置内に堆積されている推定スート値が自動再生領域に達した時に、再生完了後からの排温平均値がX℃以下であり、なおかつDPFの再生完了後からの運転時間がAhr以下だった時、自動再生実施を中止し、手動再生に移行させて、オペレータに手動再生を促す表示を行う制御のフローチャート図である。
【0031】
この制御で、排温が低いにもかかわらず、回転変動や負荷変動のある過渡運転を繰り返された場合、DPF装置内に堆積するスート堆積速度が速くなる為、前回再生完了から次の再生開始までの運転時間が短くなる。この運転時間がある閾値よりも短かった場合、DPF装置の閉塞が起きやすい状況であるため、自動再生のタイミングがやってきた時に、自動再生を実施させず、手動再生を行わせることで、排ガス流量が安定して少ない状態で再生を行わせることが出来る。そうすると、DOC前面のスートをゆっくりと焼くことが出来るため、結果的に排圧上昇による燃費悪化やDPF再生不良を未然に防ぐことが出来る。
【0032】
図7は、後処理装置付きコモンレールエンジンを搭載した農業機械において、後処理装置に取り付けしている排温センサ値と、O2センサ値を監視し、排温がX℃以下であり、標準O2濃度に対する現在のO2濃度との差分△O2値が閾値A以下である、上記を同時に満たす時間を積算していき、積算時間TがYhr以上になった時に、自動再生実施を中止し、手動再生に移行させて、オペレータに手動再生を促す表示を行う制御のフローチャート図である。
【0033】
この制御で、O2濃度が標準濃度よりも低い場合は、エンジンから排出されるスート量は増加するが、標準O2濃度に対する現在のO2濃度との差分△O2値がA以下だった場合、大きく排出スートが増加しているため、DOC前にスートが堆積されやすくなる。この△O2以下の状態となっている時間を積算し、積算時間がある閾値A以上になった時、DOC前が閉塞し始めていると判断して、強制的に手動再生を行わせることで、排ガス流量が安定して少ない状態で再生を行わせることが出来、DOC前面の堆積物をゆっくりと焼くことが出来る。その結果、排圧上昇による燃費悪化やDPF再生不良を未然に防ぐことが出来る。
【0034】
図8は、後処理装置付きコモンレールエンジンを搭載した農業機械において、後処理装置に取り付けしている排温センサ値と、エンジン負荷率を監視し、排温がX℃以下であり、エンジン負荷率が閾値A以上である場合、上記条件を同時に満たす時間を積算していき、積算時間TがYhr以上になった時に、自動再生実施を中止し、手動再生に移行させて、オペレータに手動再生を促す表示を行う制御のフローチャート図である。
【0035】
この制御で、エンジン負荷率が高い場合は、エンジンから排出されるスート量は増加するが、排温が低くてスート排出量が多い場合は、DOC前にスートが堆積されやすくなる。よって排温が低くてエンジン負荷率が高くなっている時間を積算し、積算時間が閾値A以上になった時、DOC前が閉塞し始めていると判断して、強制的に手動再生を行わせることで、排ガス流量が安定して少ない状態で再生を行わせることが出来、DOC前面の堆積物をゆっくりと焼くことが出来る。その結果、排圧上昇による燃費悪化やDPF装置の再生不良を未然に防ぐことが出来る。
【0036】
ラムダセンサで吸気スロットルバルブの開度を制御する制御では、ラムダセンサの位置はエンジン排気通路後部となり制御が遅れる恐れがあるので、エアークリーナ後部に圧力センサを設けて、一定以上の負圧に達すると先に吸気スロットルバルブに補正し酸素不足を防止する。この補正制御を設けることにより燃焼状態を良くしたまま排気温度を上げることができる。なお、後処理装置付き過給機無電子制御エンジンで、噴射量の増加とともに排気温度を上げるため吸気スロットルバルブを閉じていく制御を行うと良い。
【0037】
また、エアークリーナの後部に圧力センサを設け、ある一定以下の負圧に達すると吸気スロットルバルブの開度を補正し、燃焼状態を良くして排気温度を上昇させると良い。
【0038】
また、DOC前に温度センサを設け、その検出温度でスロットルバルブを制御して排気温度を上昇させるのも良い。
【0039】
図9は、コンバイン30へのDPF装置26の配置を示し、DPF装置26をグレンタンク27より前寄りでなおかつエンジン25より後ろ寄りにDPF装置26の長手方向を垂直方向になるように配置して排気管28を上方へ向けて、排気を車体上方より排出する構成で、DPF装置26および排気管28を藁屑や籾などの少ない場所に配置したことで火災を防止する。
【0040】
図10は、エンジンのクランク軸22にバランスウエイト23A,23Bを追加した構成で、エンジンの駆動振動を低減出来る。
【0041】
また、3気筒のディーゼルエンジンでDPF装置26を搭載する場合、エンジンクランク軸とDPF装置26の長手方向を直交配置し、DPF装置26の長手中心位置が3気筒の中間シリンダーの真上になるように配置することで、駆動振動が最小となる。
【0042】
図11は、エンジン本体35にDPF装置26を取り付けた斜視図で、エンジン本体35に取り付けたブラケット36の半円弧状の下締結リング37Aと同じく半円弧状の上締結リング37Bで円筒状のDPF装置26を挟んで取り付ける。上下締結リング37A.37Bの内径はDPF装置26の外径よりやや大きく、DPF装置26が熱膨張で大径になっても弾性変形してDPF装置26の外周に沿って締め付けない。DPFホルダを変形させることでDPFの保持力を持たせる(均一な保持を行う)。また、図12の如く、下締結リング37Aと上締結リング37Bの合わせ面に隙間を持たせて弾性変形するようにしている。下締結リング37Aを鉄素材とし、上締結リング37Bを変形し易いステンレス素材とするのも良い。上下のホルダをDPFの径より大きく設計し、上下のホルダ間に隙間が発生するように設計することで、DPFの径が多少の上下した場合にもDPFの保持力を有する。
【0043】
なお、ブラケット36のエンジン本体35への取付は上下に対して斜めの長孔で、DPF装置26の取付位置を左右位置と高さを調整できるようにしている。また、DPF装置26の両側を取り付けるブラケット36は同一形状とすることで部品の共用化ができる。
【0044】
図13は、コンバイン30のエンジン給気筒40で、内部の上下に第一ガイド板41と第二ガイド板42を設け、外気を上方から吸い込むことで、上空から冷たい空気を吸い込み、藁屑等を吸い込まないようにしている。
【0045】
図14は、エンジンの吸気通路21を示し、エアークリーナ11の直後に設けるエアフロセンサ31の直後にサージタンク(ミキシング用吸気室)32’を設けた構成で、吸気の脈動を低減出来る。なお、サージタンク32’に代えて逆流防止弁や絞り通路でも同じ効果が期待できる。
【0046】
また、吸気通路21にサブ通路を設けてそこにアフロセンサ31を設ける構成でも吸気の脈動を低減出来る。
【0047】
さらに、アフロセンサ31の吸気側に桟状或いは格子状の整流板を設ける構成でも吸気の脈動を低減出来る。
【符号の説明】
【0048】
1 シリンダーヘッド
2 ブローバイガス入口
3 ブリーザ
4 ブリーザ入路
5 ブリーザ出路
7 安全弁
8 笛
9 スロットルバルブ
10 流路膨らみ部
12 オイル溜り
13 DPF処理装置
14 ホルダ
20 排気路
21 吸気通路
25 エンジン
6 DPF処理装置
37A 下締結リング
37B 上締結リング
38 膨らみ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14