(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037378
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】保温部材と、それを備えるマッサージチェア
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A61H7/00 323T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142191
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】595084807
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津田 伸明
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD11
4C100BA01
4C100BB02
4C100CA05
4C100CA06
4C100CA07
4C100CA08
4C100CA09
4C100DA06
4C100DA08
4C100DA10
4C100EA06
(57)【要約】
【課題】マッサージチェアの使用者の、身体の正面側を温かくする。
【解決手段】本発明は、座部11と、背凭部12と、左右に1つずつ設けられた一対の肘掛部13,14とを有するチェア本体Bを備える、マッサージチェア10に取り付けられる、布状部材20に関する。布状部材20は、座部11の上方を覆うことができ、一端部20aが、マッサージチェア10の一方の肘掛部13の外側部13aに取り付けられ、使用時には座部11の上方に展開される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部を有するチェア本体を備えるマッサージチェアに取り付けられ、該座部の上方を覆うことができる保温部材であって、
一端部が、前記チェア本体の左右の側部のうち少なくともいずれか一方の側部に取り付けられ、
使用時には前記座部の上方に展開される、保温部材。
【請求項2】
請求項1に記載の保温部材において、
前記チェア本体は、左右に1つずつ設けられた一対の肘掛部を有し、
前記一端部は、前記一対の肘掛部のうちの少なくともいずれか一方の肘掛部の外側部に取り付けられる、保温部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保温部材において、
前記一端部と該一端部が取り付けられる前記側部との少なくとも一方において、前記一端部の取付け及び取外しを可能にする取付手段を有する、保温部材。
【請求項4】
請求項1に記載の保温部材において、
前記保温部材は、
一端部が前記チェア本体の左右の側部のうちいずれか一方の側部に取り付けられ、他端部が前記座部の上方に展開される第1部と、
一端部が前記チェア本体の左右の側部のうち他方の側部に取り付けられ、他端部が前記座部の上方に展開される第2部と
を有し、
前記第1部の前記他端部及び前記第2部の前記他端部の、少なくとも一方には、両他端部を互いに結合できる、結合手段が設けられている、保温部材。
【請求項5】
請求項1に記載の保温部材において、
一端部が前記チェア本体の左右の側部のうち少なくともいずれか一方の側部に取り付けられ、前記座部の上方に展開される左右展開部と、
前記左右展開部から、前記チェア本体の前後方向に展開される、前記左右展開部と一体の前後展開部と
を有する、保温部材。
【請求項6】
請求項1、2、4及び5のいずれか1項に記載の保温部材を備える、マッサージチェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温部材と、それを備えるマッサージチェアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マッサージチェアの着座者とチェア本体との間にヒータを配置するようにチェア本体に着脱自在に装着するマッサージチェア用ヒータ付カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、マッサージチェアの使用者は、使用中、チェア本体と接する身体の背面側は温かさを感じる反面、身体の正面側は寒さを感じやすい。使用者はマッサージチェアによりリラックス効果を得たいが、そのような身体の正面側に感じる寒さによってリラックス効果が阻害される場合がある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、マッサージチェアの使用者の、身体の正面側を温かくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の開示は、座部を有するチェア本体を備えるマッサージチェアに取り付けられ、該座部の上方を覆うことができる保温部材であって、一端部が、前記チェア本体の左右の側部のうち少なくともいずれか一方の側部に取り付けられ、使用時には前記座部の上方に展開される。
【0007】
この第1の開示では、保温部材は、チェア本体の座部の上方を覆うことができるので、座部に座った使用者の身体の身体の正面側を温かくすることができる。
【0008】
第2の開示は、第1の開示において、前記チェア本体は、左右に1つずつ設けられた一対の肘掛部を有し、前記一端部は、前記一対の肘掛部のうちの少なくともいずれか一方の肘掛部の外側部に取り付けられる。
【0009】
この第2の開示では、保温部材は、一端部が一方の肘掛部の外側部に取り付けられるので、不使用時には肘掛部の外側に配置しておくことで、マッサージチェアの使用の邪魔になりにくい。
【0010】
第3の開示は、第1又は第2の開示において、前記一端部と該一端部が取り付けられる前記側部との少なくとも一方において、前記一端部の取付け及び取外しを可能にする取付手段を有する。
【0011】
この第3の開示では、チェア本体の側部に対する保温部材の一端部の取付け及び取外しを可能にする取付手段を有するので、保温部材をチェア本体から取り外して使用でき、使用態様が広がる。また、保温部材は、チェア本体から取り外すことができるので、メンテナンスしやすくなる。
【0012】
第4の開示は、第1の開示において、前記保温部材は、一端部が前記チェア本体の左右の側部のうちいずれか一方の側部に取り付けられ、他端部が前記座部の上方に展開される第1部と、一端部が前記チェア本体の左右の側部のうち他方の側部に取り付けられ、他端部が前記座部の上方に展開される第2部とを有し、前記第1部の前記他端部及び前記第2部の前記他端部の、少なくとも一方には、両他端部を互いに結合できる、結合手段が設けられている。
【0013】
この第4の開示では、第1部及び第2部は、各一端部がチェア本体の左右の側部にそれぞれ取り付けられ、各他端部が互いに結合手段により結合できるので、第1部及び第2部により、座部の上方の幅方向全体を覆うことができる。その結果、使用者の身体の正面側を温かくすることができる。
【0014】
第5の開示は、第1の開示において、一端部が前記チェア本体の左右の側部のうちいずれか一方の側部に取り付けられ、前記座部の上方に展開される左右展開部と、前記左右展開部から、前記チェア本体の前後方向に展開される、前記左右展開部と一体の前後展開部とを有する。
【0015】
この第5の開示では、保温部材は、座部の上方に展開される左右展開部と、左右展開部からチェア本体の前後方向に展開される前後展開部とを有するので、使用者の身体の正面側の、長さ方向に広い範囲を温かくすることできる。
【0016】
第6の開示は、第1、第2、第4及び第5の開示のいずれか1つに係る保温部材を備える、マッサージチェアである。
【0017】
この第6の開示では、第1、第2、第4及び第5の開示について説明したような効果を奏するマッサージチェアが得られる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によると、マッサージチェアの使用者の、身体の正面側を温かくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係るマッサージチェアの、布状部材の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す布状部材の不使用時の状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す布状部材の、
図1とは異なる使用状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る布状部材を、上下方向及び左右方向に沿った切断面で切断した、断面図である。
【
図6】第3実施形態に係る布状部材の展開状態を示す上面図である。
【
図7】第3実施形態に係る布状部材の折畳状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物又はその用途を制限することを意図しない。なお、以下では、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」及び「右」は、各実施形態を図面との関係で方向を示すために用いる。
【0021】
[第1実施形態]
―マッサージチェア―
図1~3は第1実施形態に係るマッサージチェア10を示す。マッサージチェア10は、マッサージユニット(図示しない)を有する椅子形状のチェア本体Bを備える。チェア本体Bは、座部11と、座部11の後方に設けられた背凭部12と、座部11の左右に1つずつ設けられた一対の肘掛部13,14と、下腿支持部15(オットマン)とを有する。マッサージユニットは例えばもみ球を有する。チェア本体Bは、全体が布製のカバーで覆われている。
【0022】
マッサージチェア10の使用者U(以下、単に「使用者U」という。)がチェア本体Bに座った状態において、使用者Uの下半身(臀部及び脚部)は座部11及び下腿支持部15に載置され、上半身(胴体部及び頭部)は背凭部12に載置される。
【0023】
マッサージチェア10は、マッサージユニットの動作及び/若しくは動作の強弱調整並びに/又はチェア本体Bの姿勢の変更を操作するための、コントローラ(図示しない)を更に備える。チェア本体Bの姿勢の変更とは、例えば、背凭部12の傾き角度変更や、下腿支持部15の角度調整、位置調整等である。チェア本体Bには、コントローラを通じて行われる前記操作に基づき、マッサージユニットの動作及び/若しくは動作の強弱調整並びに/又はチェア本体Bの姿勢の変更を制御する制御部(図示しない)が内蔵されている。なお、コントローラは、使用者Uが操作して、当該操作に基づく電気信号が制御部に伝達されればよいので、チェア本体Bと一体に設けられていてもよく、又はチェア本体Bとは別体として設けられていてもよい。
【0024】
チェア本体Bは、右側の肘掛部13の外側部13aに、上向きに開口するポケット型の収容部16を有する。収容部16は、後述する布状部材20を収容するためのものである。収容部16には、布状部材20以外にも、例えば雑誌、新聞等を収容できる。収容部16は、例えばチェア本体Bのカバーと同じ材質の布製であり、
図1~3に示すように、矩形状のシート状に形成されている。収容部16は、開口する上部以外の周縁部が右側の肘掛部13の外側部13aに縫着され、肘掛部13に一体となっている。
【0025】
―布状部材―
マッサージチェア10は、座部11の上方を覆うことができる布状部材20(保温部材)を更に備える。布状部材20は、長方形状に平たく形成された可撓性を有する布形状のものであり、例えばブランケット(毛布)などの織物である。なお、「布状部材」とは、形状が布形状(すなわち平たい形状)であればよく、材質は布でなくてもよい。
【0026】
布状部材20の長さ方向(
図1では左右方向)の長さは、右側の肘掛部13の外側部13aから左側の肘掛部14の外側部に亘って、マッサージチェア10の左右方向全体(左右の肘掛部13,14の上面及び座部11の上方)を覆うことができる長さである。布状部材20の幅方向(
図1では前後方向)の長さは、使用者Uの下腹部周辺及び大腿部周辺(下腰部周辺乃至膝部周辺)を覆うことができる長さである。
【0027】
布状部材20は、長さ方向の一端部20a(
図1では右側端部)において、一端部20aに沿って延びる第1の線ファスナF1(取付手段)を有する。布状部材20は、第1の線ファスナF1によって、一端部20aが、右側の肘掛部13(一方の肘掛部)の外側部13aにおいて、収容部16の上方に取り付けられている。
【0028】
具体的には、右側の肘掛部13の外側部13aにおいて、収容部16の上方位置に、第1の線ファスナF1の一方側を構成する複数の第1の歯が前後方向に並んで設けられている。布状部材20の一端部20aには、第1の線ファスナF1の他方側を構成する複数の第2の歯が一端部20aの延びる方向に沿って並んで設けられている。複数の第2の歯には、第1のスライダS1(取付手段)が設けられており、第1のスライダS1をスライドさせて複数の第1の歯との噛み合い及び開放を行うことができる。すなわち、第1のスライダS1をスライドさせることにより、布状部材20の一端部20aは、右側の肘掛部13の外側部13aへの取付け及び外側部13aからの取外しが可能となっている。
【0029】
なお、布状部材20を肘掛部13に取り付ける取付手段は、第1の線ファスナF1に限られず、例えば面ファスナ、ボタン、ホック、スナップ等であってもよく、そのような取付手段が、布状部材20及び肘掛部13のいずれか一方に設けられていてもよい。
【0030】
布状部材20は、使用時には、
図1に示すように、他端部20bがマッサージチェア10の左側の肘掛部14側に位置付けられるように、肘掛部14の上方及び座部11の上方に展開される。これにより、布状部材20は、座部11の上方の空間(使用者Uの下腹部周辺及び大腿部周辺並びに肘部周辺乃至指先部周辺)を保温できる。布状部材20の他端部20bは、左側の肘掛部14には取り付けられておらず、自由に動かすことができる。
【0031】
布状部材20の他端部20bには錘部が設けられている。錘部は内部に錘部材(
図1~3には、図示しない)が設けられている。錘部は、その重みによって、布状部材20の他端部20bが
図1に示すように左側の肘掛部14の外側部に配置された状態が維持されすくするためのものである。これによって、布状部材20の長さ方向全体が座部11の上方の空間を覆った状態が維持されやすくなる。なお、錘部材の材質としては、金属製のもの、樹脂製のもの、砂等が挙げられるが、十分な重さを有しており前記の機能を発揮できるものであればこれらに限られない。
【0032】
布状部材20は、
図3に示すように、内部にヒータ22が設けられており、マッサージチェア10の周囲の気温が低い場合であっても、布状部材20を温かくすることができる。ヒータ22は、布状部材20の長さ方向中心部を含む領域(中央領域)に設けられている。具体的には、ヒータ22が設けられている領域は、
図3に示すように、長さ方向一端部20a側1/6乃至1/4と、他端部20b側1/6乃至1/4とを除いた領域とするのが好ましい。ヒータ22は、当該領域内を延びる金属線により構成されている。
図1に示すように布状部材20をチェア本体Bに取り付けて使用する状態において、ヒータ22は、布状部材20における、座部11の上方位置及び左右の肘掛部13,14の上方位置にそれぞれ配設される部位に設けられている。
【0033】
布状部材20は、
図1に示すようにヒータ22に電力を供給し且つヒータ22を制御する電気信号が送信されるためのケーブルCと接続されている。ケーブルCは、一端部がヒータ22に接続され、他端部がチェア本体B内部に接続されている。ケーブルCの一端部及び他端部のうち少なくとも一方は、チェア本体B又は布状部材20から、使用者Uが容易に取り外せるように構成されている。
【0034】
例えば、ケーブルCの一端部は布状部材20からの取外しができないように取り付けられており、ケーブルCの他端部はチェア本体Bに対して、チェア本体Bから取り外せるように取り付けられていることが好ましい。このような構成によると、布状部材20を使用しない場合に、布状部材20とともにケーブルCを収容部16に収納でき、布状部材20及びケーブルCが不要な場合にも整理整頓できるので、使い勝手がよい。また、布状部材20とケーブルCとを一体に管理でき、ケーブルCの紛失を防止できる。
【0035】
なお、ケーブルCの他端部は、
図1に示すように背凭部12の後方に延びてチェア本体B内部に接続されていてもよく、右側の肘掛部13と座部11との間に延びてチェア本体B内部に接続されていてもよい。
【0036】
チェア本体Bは、内部にヒータ22への電力供給源である内部電源(図示しない)を有している。ヒータ22を構成する前記金属線は、ケーブルCを介して内部電源から供給される電力によって発熱し、布状部材20を温かくするように構成されている。
【0037】
ヒータ22のオン/オフ、温度調整等は、前記したマッサージユニット等を操作するためのコントローラにより操作でき、当該操作の制御は前記したチェア本体Bに内蔵された制御部によりされる。
【0038】
―布状部材の使用態様―
布状部材20は、
図1に示すように左右に展開して使用され、不使用時には
図2に示すように折り畳まれた状態で、収容部16に収容される。布状部材20は、
図1及び2に示すように、一端部20aをチェア本体Bに取り付けたまま、使用時及び不使用時の状態を相互に変更できる。
図1に示す使用状態では、布状部材20により、座部11の上方の左右方向全体及び肘掛部13,14の上方が温かくなり、使用者Uは両手を布状部材20の下方に配置することで、両手も温かくすることができる。
【0039】
布状部材20は、
図3に示すように、マッサージチェア10から取り外して使用してもよい。本実施形態では、布状部材20は長方形状であるので、その長さ方向が身体の長さ方向と略平行となるように布状部材20を配置して、身体の広い領域に布状部材20を適用することができる。
【0040】
なお、
図3は、ケーブルCを取り外してヒータ22を使用していない状態を示しているが、布状部材20をマッサージチェア10から取り外した状態でも、
図1と同様に、ケーブルCによってヒータ22を内部電源に接続し、ヒータ22を使用してもよい。
【0041】
―作用・効果―
本実施形態では、布状部材20は、座部11の上方を覆うことができるので、座部11に座った使用者Uの身体の正面側を温かくすることができる。
【0042】
また、本実施形態では、布状部材20は、一端部20aが右側の肘掛部13の外側部13aに取り付けられるので、不使用時には肘掛部13の外側に配置しておくことで、使用者Uがチェア本体Bに座ったり、チェア本体Bから離れたりするのに邪魔になりにくい。
【0043】
また、本実施形態では、布状部材20の他端部20bは、左側の肘掛部14には取り付けられておらず、自由に動かすことができるので、布状部材20を展開させて使用中の使用者Uが、マッサージチェア10から離れるときには、使用者Uが前方に移動するための邪魔にならないように布状部材20を右側へ容易に移動させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、布状部材20は、マッサージチェア10の右側の肘掛部13に対して取付け及び取外しを可能にする第1の線ファスナF1を有するので、布状部材20をマッサージチェア10から取り外して使用でき、使用態様が広がる。また、布状部材20は、マッサージチェア10から取り外すことができるので、メンテナンスしやすくなる。
【0045】
また、本実施形態では、布状部材20の他端部20bに錘部が設けられているので、錘部(錘部材)の重みにより布状部材20の長さ方向全体が座部11の上方の空間を覆った状態が維持されやすくなる。
【0046】
また、本実施形態では、チェア本体Bがヒータ22への電力供給源としての内部電源を有するので、ケーブルCを家庭用電源コンセント等の外部電源に接続する手間を省くことができ、使い勝手が良い。
【0047】
[第1実施形態の変形例]
図4は、第1実施形態の変形例に係る布状部材20を、不使用時に折り畳んだ状態を示す断面図である。なお、
図4は、布状部材20の幅方向中央部において、長さ方向と平行な切断面に沿って切断した断面図である。
【0048】
以下、本変形例について、第1実施形態とは異なる構成について説明する。本変形例では、布状部材20は、一端部20aの近く及び他端部20bの近くに設けられた、略正方形状の一対の面ファスナ21a,21bを有する。一端部20a側の面ファスナ21aは、布状部材20の長さ方向中央部よりも一端部20aに近い位置(一端部20a近傍)に設けられ、他端部20b側の面ファスナ21bは、布状部材20の長さ方向中央部よりも他端部20bに近い位置(他端部20b近傍)に設けている。
【0049】
一対の面ファスナ21a,21bは、布状部材20を長さ方向中央部で折り畳んだときに、
図4に示すように、互いに表面同士が向かい合うように設けられている。一対の面ファスナ21a,21bは、互いに表面同士が接することで結合する。なお、
図4に示す一対の面ファスナ21a,21bは、
図4の切断面よりも後方(
図4の紙面の奥側)に設けられている。
【0050】
また、図示しないが、
図4の切断面よりも前方(
図4の紙面の手前側)にも、互いに結合する略正方形状の他の一対の面ファスナが設けられている。当該他の一対の面ファスナは、
図4の状態での上下方向の位置が、前記一対の面ファスナ21a,21bと同じ位置となるように設けられている。
【0051】
以上のように、本変形例では、布状部材30に合計4つの面ファスナが設けられ、そのうち2つずつが互いに結合することにより、
図4に示すように、布状部材30が折り畳まれた状態を維持できる。
【0052】
本変形例によると、チェア本体Bに、第1実施形態における収容部16が設けられていなくても、布状部材20を不使用時に肘掛部13の外側部13aで、コンパクトに折り畳んでおくことができて便利である。
【0053】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る布状部材30を備えるマッサージチェア10を示す。以下、本実施形態について、第1実施形態とは異なる構成について説明する。なお、
図5では、マッサージチェア10の構成には、第1実施形態と共通の符号を用いる。
【0054】
―布状部材―
本実施形態に係る布状部材30は、第1部31と第2部32とを有する。第1部31の一端部31aは、マッサージチェア10のチェア本体Bの右側の肘掛部13の外側部13aに取り付けられている。第2部32の一端部32aは、チェア本体Bの左側の肘掛部14の外側部14aに取り付けられている。なお、前記一端部31a,32aは、両肘掛部13,14の外側部13a,14aにそれぞれ縫着されていてもよく、又は両肘掛部13,14の外側部13a,14aに、線ファスナ、面ファスナ等により、それぞれ着脱自在に取着されていてもよい。
【0055】
第1部31及び第2部32は、いずれも第1実施形態の布状部材20と比較して、長さ方向の長さが略半分である長方形状に形成されている。第1部31及び第2部32は、
図5に示す使用状態において左右対称の形状に形成されている。
【0056】
使用状態では、
図5に示すように、第1部31の他端部31b及び第2部32の他端部32bが、いずれも座部11の上方に展開される。この状態で、両他端部31b,32bは、座部11上方の左右方向中央部に位置付けられている。
【0057】
第1部31の他端部31b及び第2部32の他端部32bには、両他端部31b,32bを互いに結合できる、第2の線ファスナF2(結合手段)が設けられている。
【0058】
具体的には、第1部31の他端部31bには、第2の線ファスナF2の一方側を構成する複数の歯が、この他端部31bに沿って延びている。第2部32の他端部32bには、第2の線ファスナF2の他方側を構成する複数の歯が、この他端部32bに沿って延びている。両他端部31b,32bそれぞれに設けられた複数の歯は、互いに噛み合って第2の線ファスナF2が閉じられる。両他端部31b,32bのいずれか一方には、第2の線ファスナF2を閉じ、また開放するための第2のスライダS2が設けられている。
【0059】
なお、両他端部31b,32bを互いに結合する結合手段は、第2の線ファスナF2に限られず、例えば面ファスナ、ボタン、ホック、スナップ等であってもよい。また、結合手段は、両他端部31b,32bのいずれか一方に設けられていてもよい。
【0060】
左側の肘掛部14の外側部14aには、右側の肘掛部13の外側部13aに設けられた収容部16と同様の収容部(図示しない)が設けられている。布状部材30の不使用時には、第1部31は右側の収容部16に収容され、第2部32は左側の収容部に収容される。なお、第1部31及び第2部32は、第1実施形態の変形例と同様に不使用時には折り畳んだ状態が維持されやすいように、第1部31及び第2部32にそれぞれ面ファスナが設けられていてもよい。
【0061】
―作用・効果―
本実施形態では、第1部31及び第2部32は、各一端部31a,32aが肘掛部13,14の外側部13a,14aにそれぞれ取り付けられ、各他端部31b,32bが互いに第2の線ファスナF2により結合できるので、第1部31及び第2部32により、座部11の上方の幅方向全体を覆うことができる。その結果、使用者Uの身体の正面側を温かくすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、使用状態において各他端部31b,32bは座部11上方の左右方向中央部に位置付けられるので、使用者Uが第2の線ファスナF2を簡単に開放できる。このため、使用者Uは、
図5の状態であっても、第2の線ファスナF2を開放してマッサージチェア10を離れるのに手間がかからない。
【0063】
[第3実施形態]
―布状部材―
図6及び7は、第3実施形態に係る布状部材40を示す。以下、本実施形態について、第1実施形態とは異なる構成について説明する。
図6は、布状部材40を展開した状態(以下「展開状態」という。)を示す。なお、
図6に示す「前」、「後」、「左」及び「右」は、布状部材40をマッサージチェア10に取り付けた場合に、
図1~3及び5の、「前」、「後」、「左」及び「右」に、それぞれ、概ね対応している。言い換えると、
図6における「前」、「後」、「左」及び「右」は、それぞれ使用者Uの頭部側、脚側、左手側及び右手側に対応する方向である。
【0064】
布状部材40は、チェア本体Bの左右方向であって座部11の上方に展開される左右展開部41と、左右展開部41から前方に展開される前方展開部42(前後展開部)と、左右展開部41から後方に展開される後方展開部43(前後展開部)とを有する。
【0065】
左右展開部41は、チェア本体Bに取り付けられた場合に、右側の肘掛部13の外側部13aから左側の肘掛部14の外側部14aに亘って、チェア本体Bの左右方向全体を覆うことができるように、左右方向に長い長方形状に形成されている。左右展開部41の前後方向の長さは、チェア本体Bに取り付けられた際に、使用者Uの下腹部周辺及び大腿部周辺を覆うことができる長さである。
【0066】
左右展開部41の内部には、第1実施形態のものと同じ構成のヒータ44aが設けられている。ヒータ44aは、
図6に破線で示すように長方形状の領域に配置されている。具体的には、ヒータ44aが設けられている領域は、
図6に示すように、左右展開部41の左右長さ全体のうち、左端部側1/8乃至1/4と右端部側1/8乃至1/4とを除いた領域であることが好ましく、左端部側1/6乃至1/4と右端部側1/6乃至1/4とを除いた領域であることがより好ましい。
【0067】
左右展開部41の右端部には、第3のファスナF3を構成する複数の歯が右端部に沿って並んで設けられている。当該複数の歯は、チェア本体Bの右側の肘掛部13の外側部13aに設けられた複数の歯と噛み合うことにより、左右展開部41の右端部が肘掛部13に取り付けられる。左右展開部41の右端部には、第3のファスナF3の歯を噛み合わせ、また開放するための、第3のスライダS3が設けられている。
【0068】
左右展開部41の左端部には、第1実施形態の錘部と同様の錘部45aが設けられている。錘部45aは前後方向に長い長尺状に形成されている。
【0069】
前方展開部42は、左右方向長さが、座部11の左右方向長さと略同じ長さであり、前後方向に長い長方形状に形成されている。前方展開部42の前後方向の長さは、左右展開部41の前後方向の長さの約1.5倍である。前方展開部42の右端部及び左端部には、前後方向に長い長尺状の錘部45b,45cがそれぞれ設けられている。前方展開部42に設けられた錘部45b,45cの長さは、いずれも左右展開部41に設けられた錘部45aの長さと同じである。錘部45b,45cは、前方展開部42の後端部側寄りの位置に設けられている。このため、前方展開部42の前端部側には、錘部45b,45cが設けられていない領域がある。前方展開部42の内部には、ヒータ44bが設けられている。ヒータ44bは、
図6に破線で示すように長方形状の領域に配置されている。
【0070】
後方展開部43は、左右方向長さが、座部11の左右方向長さと略同じ長さである、左右方向に長い長方形状に形成されている。後方展開部43前後方向の長さは、左右展開部41の前後方向の長さと同じである。後方展開部43の内部には、ヒータ44cが設けられている。ヒータ44cは、
図6に破線で示すように長方形状の領域に配置されている。
【0071】
左右展開部41の上面(
図6の紙面手前側の面)には、左右展開部41の右端部における前端部寄りの位置、及び左右展開部41の左端部における前端部寄りの位置に、正方形状の面ファスナ46a,46bがそれぞれ設けられている。前方展開部42の上面には、右端部における錘部45bの前端部、及び左端部における錘部45cの前端部に、正方形状の面ファスナ46c,46dがそれぞれ設けられている。後方展開部43の下面(
図6の紙面奥側の面)には、後方展開部43の右端部の前端部、及び後方展開部43の左端部の前端部に、正方形状の面ファスナ46e,46fがそれぞれ設けられている。後方展開部43の上面には、後方展開部43の右端部の後端部、及び後方展開部43の左端部の後端部に、正方形状の面ファスナ46g,46hがそれぞれ設けられている。
【0072】
図7は、
図6に示す布状部材40を、折り畳んだ状態(以下「折畳状態」という。)において、左右展開部41の長さ方向中央部(布状部材40の左右方向中心部)で切断した断面図である。具体的には、
図7は、後方展開部43を左右展開部41の上方に重ねて折り畳み、次いで前方展開部42を後方展開部43の更に上方に重ねて折り畳んだ状態を示している。
図7において、前方展開部42の錘部45b,45cが設けられていない先端部側(
図6における前端部側)は、折線FLに沿って上方に折り畳まれている。
【0073】
布状部材40は、折畳状態では、
図7に示すように左右展開部41の上面に位置する面ファスナ46a,46bと後方展開部43の下面(
図6では上面)に位置する面ファスナ46g,46hとが、それぞれ向かい合い、互いに表面同士が接することで結合する。また、後方展開部43の上面(
図6では下面)に位置する面ファスナ46e,46fと前方展開部42の下面(
図6では上面)に位置する面ファスナ46c,46dとが、それぞれ向かい合い、互いに表面同士が接することで結合する。このようにして、面ファスナ46a,…,46h同士の結合により、折畳状態が維持されやすくなっている。
【0074】
布状部材40は、展開状態で使用してもよく、折畳状態で使用してもよい。布状部材40を展開状態で使用すれば、使用者Uの身体の正面側を広い範囲を保温できる。例えば、布状部材40を展開状態で使用すれば、左右展開部41により、使用者Uの下腹部周辺及び大腿部周辺を覆って保温でき、前方展開部42により使用者Uの膝下周辺部乃至足先部周辺を覆って保温でき、後方展開部43により使用者Uの腹部周辺乃至胸部周辺を覆って保温できる。
【0075】
なお、
図6において、布状部材40の紙面の奥側の面は、使用状態において、使用者Uの身体に接する側の面であるが、
図6における紙面の手前側の面を、使用者Uの身体に接する側の面となるように、布状部材40を使用してもよい。
【0076】
また、第3実施形態に係る布状部材40が取り付けられるマッサージチェアは、図示しないが、第1実施形態と同様であってもよく、第1実施形態以外のものであってもよい。
【0077】
―作用・効果―
本実施形態では、布状部材40は、座部11の上方に展開される左右展開部41と、左右展開部41からマッサージチェア10の前後方向に展開される前方展開部42及び後方展開部43とを有するので、使用者Uの身体の正面側の、長さ方向に広い範囲を温かくすることできる。
【0078】
一方、布状部材40を折畳状態で使用すれば、例えば使用者Uの下腹部周辺乃至膝部周辺を覆うことができるので、これら身体の一部を集中的に保温できる。このことは、使用者Uが、例えば下腹部周辺が特に冷えないように注意したい場合に、便利である。
【0079】
また、本実施形態では、布状部材40には、面ファスナ46a,…,46hが設けられており、面ファスナ46a,…,46h同士の結合により、折畳状態が維持されやすくなっている。このため、使用者Uの身体の一部を集中的に保温するという効果を確実に奏することができる。
【0080】
また、本実施形態では、左右展開部41の錘部45aに加え、前方展開部42に錘部45b,45cが設けられているので、錘部45b,45cの重みにより、前方展開部42が使用者Uの身体に密着しやすくなる。その結果、使用者Uの身体の正面側を確実に温かくしやすくなる。
【0081】
[その他の実施形態]
―チェア本体―
本発明に係るマッサージチェア10のチェア本体Bは、少なくとも座部11を有していればよく、前記各実施形態の構成に限られない。前記各実施形態におけるチェア本体Bは背凭部12を後方に倒すことができる、いわゆるリクライニングシートであるが、必ずしもこれに限られない。また、チェア本体Bは座部11と背凭部12とが一体となって、ゆりかご又はロッキングチェアのように揺動するものであってもよい。
【0082】
―保温部材―
本発明に係るマッサージチェア10は、保温部材を備えるものである。保温部材の具体例は、前記各実施形態の説明に記載したとおり、
図1乃至7に示した布状部材20,30,40である。しかし、保温部材は図示の布状部材20,30,40に限られない。保温部材は、座部11の上方に展開されて、使用者Uの身体の正面側を保温できるものであればよい。
【0083】
なお、布状部材20,30,40の主となる材質(表面や裏面の使用者Uとの接触面の材質)としては、ブランケットなどの織物材が挙げられるが、これに限らず、例えば樹脂製のシート状部材、ニットなどの編物材、合成皮革材、天然皮革材等が挙げられ、更にこれら以外の、天然素材、人工素材等を材質とするものであってもよい。
【0084】
保温部材は、折畳み可能であることが好ましいが、折畳み可能でなくてもよい。保温部材は、必ずしもヒータを有していなくてもよい。
【0085】
前記各実施形態では、保温部材(布状部材20,30,40)は、肘掛部13の外側部13aに取り付けられるが、これに限られない。保温部材は、マッサージチェア10の左右の側部のうちいずれか一方の側部に対して取り付けられればよい。ここで、肘掛部13,14以外の「マッサージチェア10の側部」とは、座部11又は背凭部12の側部である。
【0086】
第1実施形態及び第3実施形態では、布状部材20,40に錘部45a~45cが設けられているが、布状部材20,40に錘部45a~45cを設けなくてもよい。また、布状部材20,40において、第1実施形態又は第3実施形態とは異なる位置に錘部45a~45cを設けてもよい。例えば、第1実施形態では、錘部の重みによって保温部材が使用者Uの身体の正面側に密着しやすいように、錘部を布状部材20の長さ方向中心部周辺(例えば長さ方向において一端部側1/4及び他端部側1/4を除く領域内)に設けてもよい。
【0087】
また、布状部材20,30,40内部にヒータ22,44a~44cを設けた場合において、布状部材20,30,40が使用者Uの身体に接触する側の面に、接触冷感素材を設けてもよい。そのような構成であれば、使用者Uが暑さを感じる夏場などでも、心地よく布状部材20,30,40を使用できる。なお、ヒータ22,44a~44cの有無にかかわらず、布状部材20,30,40の一方の面を保温可能な素材で構成し、他方の面に接触冷感素材を設け、室温や季節に応じて、保温と冷却とを選択的に使用者Uの好みに応じて使用できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、マッサージチェアのチェア本体に取り付けて用いる保温部材、及びそのような保温部材を備えるマッサージチェアとして有用である。
【符号の説明】
【0089】
U 使用者
10 マッサージチェア
B チェア本体
11 座部
13 右側の肘掛部(一方の肘掛部)
13a 右側の肘掛部の外側部
14 左側の肘掛部(他方の肘掛部)
14a 左側の肘掛部の外側部
20 第1実施形態の布状部材(保温部材)
20a 保温部材の一端部
20b 保温部材の他端部
F1 第1の線ファスナ(取付手段)
S1 第1のスライダ(取付手段)
30 第2実施形態の布状部材(保温部材)
31 第1部
31a 第1部の一端部
31b 第1部の他端部
32 第2部
32a 第2部の一端部
32b 第2部の他端部
40 第3実施形態の布状部材(保温部材)
41 左右展開部
42 前方展開部(前後展開部)
43 後方展開部(前後展開部)