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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037381
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240312BHJP
   G04G 17/04 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H05K9/00 R
H05K9/00 T
G04G17/04
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142205
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 允資
【テーマコード(参考)】
2F002
5E321
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB02
2F002AC01
2F002AC02
5E321AA02
5E321GH10
(57)【要約】
【課題】表示部を接着固定等することなく機器内部に安定して保持することができる。
【解決手段】表示部である表示ユニット4を固定する固定構造としてのモジュールが、平板状の表示部である表示ユニット4と、表示ユニット4の下方に表示ユニット4と重畳して配置され、表示ユニット4と対向する面上に回路素子61を覆うシールド部材7が搭載された回路基板6と、シールド部材7の上面に配置され、表示ユニット4部の下面に当接する緩衝部材8と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の表示部と、
前記表示部の下方に前記表示部と重畳して配置され、前記表示部と対向する面上に回路素子を覆うシールド部材が搭載された回路基板と、
前記シールド部材の上面に配置され、前記表示部の下面に当接する緩衝部材と、
を備えている、
ことを特徴とするモジュール。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記表示部の外周側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記緩衝部材は、前記表示部の下面及び前記シールド部材の上面に面で接触している、
ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
前記緩衝部材は、前記表示部の中央部を避けて対称位置又はその近傍に複数配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記シールド部材は、前記回路基板上に固定された保持部により保持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記シールド部材は複数設けられており、
前記緩衝部材は、複数の前記シールド部材の夫々に対応して設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のモジュールを有し、
前記表示部、及び前記シールド部材を有する前記回路基板、を収容する機器ケースを備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記表示部及び前記緩衝部材は、前記シールド部材を有する前記回路基板と前記機器ケースとによって挟み込んで固定されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
平面視して、前記機器ケースの内周面と前記表示部の外周面との間には、緩衝部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器ケースの内部に表示パネル等を含む表示部(特許文献1において「LCD」)を備えるウェアラブル機器(電子時計等の電子機器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のように、機器が表示部(LCD)を備える場合、表示部(LCD)は、例えば機器表面をカバーする部材(風防部材、特許文献1において「カバーガラス」)に接着固定等される。これにより、表示部(LCD)は移動不能に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-134925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示部(LCD)を、風防部材(カバーガラス)等に接着等することで固定してしまうと、表示部(LCD)に何らかの不具合が生じたときに、表示部(LCD)だけを取り外して修理や交換等を行うことができない。
このため、表示部(LCD)が固定されている風防部材(カバーガラス)等も含めた多くの部品をともに交換するか、機器自体を交換することが必要となってしまう。
【0005】
本発明はこうした課題を解決するためのものであり、表示部を接着固定等することなく機器内部に安定して保持することができるモジュール及び電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るモジュールは、
平板状の表示部と、
前記表示部の下方に前記表示部と重畳して配置され、前記表示部と対向する面上に回路素子を覆うシールド部材が搭載された回路基板と、
前記シールド部材の上面に配置され、前記表示部の下面に当接する緩衝部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示部を接着固定等することなく機器内部に安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における時計の要部正面図である。
図2図1におけるII-II線に沿う時計の断面図である。
図3】実施形態におけるベゼル、風防部材及び表示ユニットの組立状態を示す要部斜視図である。
図4】実施形態におけるベゼル、風防部材及び表示ユニットの要部分解斜視図である。
図5図4に示す風防部材及び表示ユニットの要部分解斜視図である。
図6】実施形態における回路基板及びその上に配置されるシールド部材の斜視図である。
図7図6において破線で囲んで示すVII部分の要部拡大断面図である。
図8】実施形態において上面にシールド部材が配置された回路基板の斜視図である。
図9図8において破線で囲んで示すIX部分の要部拡大断面図である。
図10】実施形態における回路基板を視認側から見た平面図である。
図11】実施形態における回路基板の一変形例を視認側から見た平面図である。
図12】一変形例における時計の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しつつ、本発明に係るモジュール及び当該モジュールを備える電子機器の一実施形態について説明する。本実施形態では電子機器が使用者の腕に装着して用いられる電子時計である場合を例示して説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0010】
[構成]
図1は、本実施形態における電子時計(以下単に「時計」とする。)の内部要部構成を示す平面図であり、図2は、図1に示す時計の断面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態における時計100は、機器ケース1を有している。
本実施形態の機器ケース1は、上下が開口した中空の短柱形状に形成されており、内部の中空部分が各種部品を収納する収納空間を構成している。
機器ケース1は、例えばエンジニアリング・プラスチックやスーパーエンジニアリング・プラスチック等の比較的硬質の合成樹脂によって形成されている。なお、機器ケース1を形成する材料はここに例示したものに限定されない。機器ケース1は、例えばSUS等の金属材料で形成されていてもよい。
【0012】
機器ケース1の外側面であって図2における上下位置(アナログ時計における12時位置と6時位置)には、図示しないバンドが取り付けられる一対のバンド取付け部11(図1参照)が設けられている。
また、機器ケース1の図2における左右側部等には、ユーザが各種入力操作を行う各種操作ボタン12(押ボタンやりゅうず等)が設けられている。
また図示は省略するが、機器ケース1の裏面側(時計における非視認側)の開口部分は、図示しない裏蓋部材により閉塞されている。なお、裏蓋部材は機器ケース1と一体的に形成されていてもよい。
また、図2に示すように、ソーラーパネル(図示せず)と回路基板6とを接続するコイルばね50が設けられている。
【0013】
図3は、機器ケースの表面側(時計における視認側)に設けられるベゼル、風防部材及び表示ユニットを示す斜視図であり、図4は、図3に示すベゼルと、風防部材及び表示ユニットの分解斜視図であり、図5は、風防部材及び表示ユニットの分解斜視図である。なお、図1及び図2では、内部の構成を見やすくするためにベゼル2及び風防部材3を取り外した状態を示している。図3に示すベゼル2及び風防部材3は、例えば図2に示す機器ケース1の上(図2における上側、表示ユニット4の上側、視認側)に配置される。
【0014】
機器ケース1の表面側(時計における視認側)には、開口部分を囲むように外装部材としてのベゼル2が設けられている。ベゼル2は、例えば図示しないねじにより機器ケース1に固定される。
図3及び図4に示すように、ベゼル2は、時計100を視認側から見た場合に、ほぼ環状に形成された部材である。ベゼル2は、例えば各種の樹脂材料により形成されている。なおベゼル2を形成する材料は特に限定されない。
【0015】
機器ケース1の表面側(時計における視認側)の開口部分は、風防部材3により閉塞されている。風防部材3は、例えばガラス材料や透明な樹脂材料等により形成された透明な部材である。風防部材3は風防用ガスケット9等を介して機器ケース1や機器ケース1に装着されるベゼル2に取り付けられている。機器ケース1やベゼル2に風防用ガスケットを介して風防部材3が取り付けられることにより、機器ケース1内の防水性(気密性)を確保した状態で、機器ケース1の表面側(時計における視認側)の開口部分を閉塞することができる。
【0016】
本実施形態の風防部材3には、タッチパネルが一体に形成されており、図4及び図5に示すように、フレキシブルプリント配線板(以下これを「FPC31」という)が接続されている。FPC31の他端側は後述する回路基板6と電気的に接続されており、ユーザ等によるタッチ操作を読み取り、タッチパネルとして機能させることができるようになっている。なお、風防部材3にタッチパネルが一体に構成されていることは必須ではない。風防部材3は単なるガラス等の板部材のみであってもよい。この場合にはFPC31も設ける必要がない。
【0017】
さらに風防部材3の下方(非視認側)には表示部としての表示ユニット4が設けられている。
図5等に示すように、表示ユニット4は平板状の表示部であり、液晶(Liquid Crystal)表示パネル41、導光板42及び反射板44(反射部材)等を有している。液晶表示パネル41と導光板42とは、例えば両面テープ43により貼着固定され、一体化されている。
なお、表示ユニット4の表示パネルは液晶表示パネルに限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等であってもよい。
【0018】
液晶表示パネル41は、例えば以下のような構成を有する。すなわち、上下一対の透明基板の各対向面に、図示しない一対の透明な電極が設けられ、これら一対の透明基板の間に図示しない液晶が封入されている。そして上側の透明基板の上面に上側偏光板が設けられ、下側の透明基板の下面に下側偏光板が設けられた積層構造となっている。
また導光板42は、機器ケース1内に設けられた図示しない光源(LED等)からの光を液晶表示パネル41に導く。
液晶表示パネル41には、フレキシブルプリント配線板(以下これを「FPC411」という)が接続されており、導光板42には、フレキシブルプリント配線板(以下これを「FPC421」という)が接続されている。FPC411及びFPC421の他端側は後述する回路基板6と電気的に接続され、適宜制御される。
【0019】
すなわち表示ユニット4は、導光板42により光源からの光を液晶表示パネル41に導くとともに、図示しない一対の透明な電極に選択的に電圧を印加し、液晶表示パネル41の液晶(図示せず)の配向状態を変化させて、液晶による光の透過状態を制御する。これにより、表示ユニット4は、制御にしたがった時刻等の情報を適宜表示するように構成されている。
【0020】
風防部材3のタッチパネルに接続されているFPC31、表示ユニット4の液晶表示パネル41に接続されているFPC411、及び導光板42に接続されているFPC421は、重ねられて1つに纏められている。そして、ベゼル2、風防部材3及び表示ユニット4を機器ケース1に組み付ける際には、例えば図3に示すように、機器ケース1に収容しやすい形状、大きさに折り畳まれた状態とされる。
【0021】
機器ケース1内であって、表示ユニット4の下方(図2において下方、非視認側)には、表示ユニット4と重畳して回路基板6が配置されている。
本実施形態では回路基板6の上面(すなわち表示ユニット4に対向する側の面)にシールド部材7が配置されている。図6は、本実施形態における回路基板及びその上に配置されるシールド部材の斜視図である。図6では、太矢印でシールド部材7の回路基板6への取り付け方向を示している。
図6等に示すように、回路基板6は、少なくともその上面に、電気回路を構成する要素である各種回路素子61を搭載している。そして回路基板6には、これらの回路素子61のうちの少なくとも一部を覆うシールド部材7が載置されている。シールド部材7によって覆われた回路素子61は外部からの衝撃等から保護される。
【0022】
シールド部材7は、図6等に示すように、平板状の上面部71と、上面部71の端縁から垂設された側面部72とを有している。シールド部材7は、例えばSUS等の板金によりほぼ箱状に形成されている。なおシールド部材7の材料や形状等はここに例示したものに限定されない。
回路基板6上であって、シールド部材7の側面部72が配置される部分には、1以上の基板クリップ62が設けられている。基板クリップ62は金属材料で形成されており、例えばはんだ付け等の手段により回路基板6上に固定された保持部である。なお、基板クリップ62を回路基板6上に固定する手法ははんだ付けに限定されず各種の手法を適用可能である。また1つのシールド部材7に対してどの位置にいくつの基板クリップ62を配置するかは回路素子61の位置や各部材の実装状況に応じて適宜定められる。
なお、シールド部材7はグランド(GND)となる回路基板6と側面で(金属製の基板クリップ62を介して間接的に)接触し、グランドと同じ電位となる。
【0023】
表示ユニット4及び緩衝部材8は、シールド部材7を有する回路基板6と、固定部材である機器ケース1(特に機器ケース1の開口部分において内方に張り出す内向きのフランジ部等)と、で挟み込むことによって固定されている。このように、図2に示す断面図における高さ方向(Z方向)は、緩衝部材8を介して挟み込むことで位置規制されている。
【0024】
また、図1に示すように、固定部材である機器ケース1には、表示ユニット4より大きく、且つ表示ユニット4と同形状の一点鎖線で示した壁15が設けられている。
本実施形態では、表示ユニット4及び機器ケース1の壁15は、機器ケース1の正面視(図1参照)において、ほぼ八角形となっている。そしてこのほぼ八角形の表示ユニット4の外周面の二辺に位置する箇所と、機器ケース1の内周面の壁15と、の間の隙間には、緩衝部材8(8d、8e)が配置されている。
【0025】
これにより表示ユニット4の、図2に示す断面図における横方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)は、この異なる面に配置された2つの緩衝部材8(8d、8e)によって、当該面と対向する機器ケース1の内周面の壁15に押し当てられて固定されている。図1に示すように、本実施形態において2つの緩衝部材8(8d、8e)は、八角形の表示ユニット4の8つの外周面のうち、互いに隣接する外周面に配置されている。
なお2つの緩衝部材8(8d、8e)の配置位置はこれに限定されない。例えば、図2に示す断面図における横方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)に相当する、図1の正面図(平面図)における、八角形の表示ユニット4の一つの外周面を跨いだ両隣りの外周面の一方に緩衝部材8dを配置し、他方に緩衝部材8eを配置しても良い。このような配置にすることで、緩衝部材8dが配置された箇所における機器ケース1の内周面の壁15と向かい合う壁15とを結ぶ線が、緩衝部材8eが配置された箇所における機器ケース1の内周面の壁15と向かい合う壁15とを結ぶ線と、互いに直交する。このため、表示ユニット4をより安定して機器ケース1の内周面の壁15に押し当てて固定することができる。
【0026】
図7は、図6において破線で囲んで示すVII部分の要部拡大断面図である。
図7に示すように、基板クリップ62は、シールド部材7の側面部72の厚みに対応する隙間621を有する保持部622を備えている。
図8は、実施形態において上面にシールド部材が配置された回路基板の斜視図であり、図9は、図8において破線で囲んで示すIX部分の要部拡大断面図である。
図8及び図9に示すように、保持部622の隙間621にシールド部材7の側面部72を嵌め込むことで、シールド部材7(シールド部材7の側面部72)が基板クリップ62に保持され、回路基板6上に係止される。
【0027】
基板クリップ62の保持部622は、板ばねのように多少撓むことが可能となっており、隙間621に嵌め込まれた側面部72を挟持(把持)する構成となっていてもよいし、単に隙間621に側面部72を受け入れるだけのものであってもよい。
いずれの場合でも、シールド部材7を直接回路基板6上にはんだ付け等により固定する場合と異なり、シールド部材7は基板クリップ62の保持部622に嵌め込まれた後であっても取り外すことが可能となっている。このようにシールド部材7を、基板クリップ62を介して回路基板6に固定することにより、シールド部材7に覆われた回路基板6上の回路素子61の一部に不具合等が生じた場合には、シールド部材7を取り外して内部の回路素子61の修理、交換等が可能な構成とすることができる。
【0028】
シールド部材7の形状や設ける数、高さ等は、図示例に限定されない。図6及び図8では、回路基板6の上に一繋がりに形成されたシールド部材7が1つ配置されている場合を例示したが、シールド部材7は、例えば図10のように複数に分割されていてもよい。
図10は、シールド部材を備える回路基板を視認側から見た平面図である。図10に示す例では、回路基板6上に、大小2つのシールド部材7(図10中、小さいシールド部材を7a、大きいシールド部材を7bとする。)が配置されている場合を図示している。
図10に示すように回路基板6上に複数のシールド部材7を設ける場合には、全てのシールド部材7の高さ(ケース厚み方向の寸法)を揃えるようにすることが好ましい。
なお、表示ユニット4の導光板42の下側には反射板44(反射部材)が設けられている。このため、導光板42の下側に反射板44(反射部材)を介して位置する緩衝部材8及びシールド部材7が、ユーザから視認されることは無い。
【0029】
シールド部材7の上面(上面部71)には、緩衝部材(クッション材)8が配置されている。図10において緩衝部材8をグレーの網掛けで示している。また図10において、シールド部材7aに配置される緩衝部材8を緩衝部材8aとし、シールド部材7bに配置される緩衝部材8を緩衝部材8bとする。
緩衝部材8は、シールド部材7の上面部71に配置されるとともに、表示部である表示ユニット4の下面に当接している(図2参照)。
緩衝部材8は、衝撃吸収性に優れ、滑り止め効果も期待することのできる各種樹脂等で形成される。緩衝部材8の材料としては、例えばマイクロセルポリマーシート(例えば株式会社ロジャースイノアック製の「PORON」(登録商標)等)のような高機能ウレタンフォームが好適に用いられる。なお緩衝部材8を形成する材料はこれに限定されない。
【0030】
緩衝部材8は、表示ユニット4の下面及びシールド部材7の上面に面で接触している。緩衝部材8(8a,8b)の形状、大きさ等は特に限定されないが、できるだけ均一に圧力を分散させることができるように、ある程度の面積を有することが好ましい。
例えば図10に示すように、大小2つのシールド部材7(7a,7b)が設けられている場合に、図10の左側の小さいシールド部材7aには、上面の全面に緩衝部材8aを配置する。また、大きいシールド部材7bには、その外周縁であって回路基板6の面内中心を中心とした場合に、小さいシールド部材7a上に配置された緩衝部材8aとほぼ対称となるような位置に緩衝部材8bを配置する。図10及び図11に示すように、シールド部材7(7a,7b)が複数設けられている場合、緩衝部材8(8a、8b又は8c)は、複数のシールド部材7(7a,7b)の夫々に対応して設けられる。
【0031】
緩衝部材8の配置位置は特に限定されないが、本実施形態では、図1に示すように、表示ユニット4の外周側に配置されている。緩衝部材8は、表示ユニット4の中央部を避けて対称位置又はその近傍に複数配置されることが好ましい。緩衝部材8を、表示ユニット4の外周側にほぼ対称に配置することで、一部のみに圧力が集中してかかるのを避けることができる。
【0032】
また緩衝部材8a及び緩衝部材8bは同じ形状であることが好ましい。緩衝部材8を複数設ける場合に同じ形状のものを用いることで、共通の部品で対応することができ、製造コストを抑えることができる。
なお、複数設けられたシールド部材7の(ケース厚み方向の寸法)が揃っておらず、ばらつきがあるような場合には、各シールド部材7の上面に設ける緩衝部材8の厚みを調整することで高さを合わせることが好ましい。このようにすることで、がたつきのない、ほぼ平坦な面で表示ユニット4を受けることができる。
なおシールド部材7が、図6図8に示すように一つながりのものである場合にも、緩衝部材8は、表示ユニット4の中央部を避けて対称位置又はその近傍に複数配置することが好ましい。
【0033】
また緩衝部材8を複数設ける場合、その形状や大きさは同じでなくてもよい。
例えば、図11に示すように、大きいシールド部材7bの上面部71に設ける緩衝部材8cは小さいシールド部材7a上に配置される緩衝部材8aよりも面積の大きなものであってもよい。この場合も緩衝部材8cは、回路基板6に重畳配置される表示ユニット4の中央部を避けるとともに、シールド部材7bの外周縁であって回路基板6の面内中心を中心とした場合に、シールド部材7a上に配置された緩衝部材8aとほぼ対称となるような位置に配置することが好ましい。
【0034】
なお、機器ケース1や表示ユニット4の形状は本実施形態で図示したものに限定されない。
図12に、機器ケースや表示ユニットの形状が異なる時計の変形例を示す。
例えば図12に模式的に示すように、時計100aの機器ケース1aを正面視した場合に、機器ケース1a及び表示ユニット4aの外形形状がともに矩形等であってもよい。
機器ケース1a及び表示ユニット4aの外形形状が矩形である場合には、例えば表示ユニット4aの外周辺のうち互いに隣接する二辺のそれぞれと、機器ケース1aの内周面の壁15aのうち表示ユニット4aの当該二辺に対向している箇所と、の間の隙間に緩衝部材8(8f、8g)を配置する。これにより、図12における横方向(X方向)及び奥行き方向(Y方向)では、機器ケース1の互いに隣接した内周面と、対応する表示ユニット4aの互いに隣接した外周面と、の間に配置された緩衝部材8f及び緩衝部材8gにより、表示ユニット4aが対向する機器ケース1の内周面の壁15に押し当てられて固定される。
【0035】
また、このように機器ケース1a及び表示ユニット4aの外形形状がともに矩形等である場合にも、表示ユニット4は緩衝部材8(図12において緩衝部材8a、8b)を介して回路基板6上に設けられたシールド部材7の上面に配置される。そして緩衝部材8a、8bは、回路基板6に重畳配置される表示ユニット4の中央部を避けるとともに、シールド部材7の外周縁であって回路基板6の面内中心を中心とした場合に、互いにほぼ対称となるような位置に配置することが好ましい。
【0036】
[作用]
前述のように本実施形態では、表示部である表示ユニット4を機器ケース1内等に保持させる場合、表示ユニット4を、機器ケース1内であって風防部材3の下方に配置する。回路基板6における表示ユニット4と対向する面の上にシールド部材7を配置し、このシールド部材7の上面に緩衝部材8を配置した上で表示ユニット4の裏面側(すなわち裏蓋部材の側)から回路基板6を機器ケース1内に配置する。これにより、裏面側から表示ユニット4が押し上げられて所定位置に固定される。
本実施形態では、シールド部材7と表示ユニット4との間に緩衝部材8を介在させることで、緩衝部材8の滑り止め効果により、表示ユニット4が所定の位置に保持され、移動したり外れたりしにくくなる。また、時計100に外部から衝撃が加わった際等にも、緩衝部材8が衝撃を吸収するため、表示ユニット4が破損するのを防ぐことができる。
【0037】
また図1に示すように、シールド部材7と表示ユニット4との間に介在させる緩衝部材8を、表示ユニット4の面内方向における中央部を避けて表示ユニット4の外周側に配置すれば、圧力に弱い表示ユニット4の液晶表示パネル41の中央部に大きな圧力がかかるのを防ぐことができる。そしてシールド部材7についても、緩衝部材8によって衝撃が吸収されることで変形等を防ぐことができ、内部の回路素子61との接触、ショート等を避けることができる。
また、表示ユニット4の中央部を中心とした対称位置又はそれに近い位置に複数の緩衝部材8(本実施形態では緩衝部材8a,8bの2つ)を配置すれば、時計100に外力が加えられた際にも、圧力や衝撃を均一に分散させることができ、より確実に表示ユニット4を破損等から保護することができる。
【0038】
そして、本実施形態のモジュール(表示部の保持構造)によれば、表示ユニット4について、接着やねじ止め等による固定を行う必要がなく、部品点数や組立工数の削減に資するほか、表示ユニット4に不具合が生じた場合にも表示ユニット4だけを修理、交換すればよく、容易に対応することができる。
また表示ユニット4が上方に配置されることでシールド部材7も上方向に外れなくなり、はんだ付け等による固定を行わなくてもシールド部材7を回路基板6に上に安定して配置することができる。
【0039】
[効果]
以上のように本実施形態におけるモジュール(表示部の保持構造)は、平板状の表示部としての表示ユニット4と、表示ユニット4の下方に表示ユニット4と重畳して配置され、表示部と対向する面上に少なくとも一部の回路素子61を覆うシールド部材7が搭載された回路基板6と、シールド部材7の上面(上面部71の上)に配置され、表示ユニット4の下面に当接する緩衝部材8と、を備えている。
これにより、表示ユニット4をシールド部材7の上に配置するだけで表示ユニット4が所定の位置に保持され、かつ緩衝部材8を介して載置されるため外部からの衝撃等に対しても優れた耐久性を有する。また表示ユニット4が上方に配置されることでシールド部材も上方向に外れなくなり、はんだ付け等による固定を行わなくても回路基板6に上に安定して配置することができる。
【0040】
このように、本実施形態では、表示ユニット4もシールド部材7も重畳配置するだけで接着やねじ止め等の固定を行わない。このため、機器ケース1内等に組み付けた後でも、表示ユニット4やシールド部材7を容易に取り外すことができる。これにより、表示ユニット4に不具合が生じた場合や、シールド部材7下の回路素子に不具合が生じた場合には、機器自体を破損することなく、不具合のある部分のみを取り外して、修理、交換等を行うことが可能となる。このため、表示ユニット4等、一部部品に不具合がある場合に最低限の範囲の交換で足り、無駄なく長く機器(時計100)の使用を継続することができる。
さらに表示ユニット4は表示を行う電子機器であれば通常備えているものである。このため、新たに固定のための部品を別途設ける必要がなく、部品点数の削減、組立工数の低減等によるコスト削減の効果も有する。
【0041】
また本実施形態では、緩衝部材8が表示部である表示ユニット4の外周側に配置されている。
液晶表示パネル41等を含む表示ユニット4は、その面内方向の中央部に圧力が加わると液晶部分が破損するおそれがある。この点本実施形態のように、表示ユニット4とシールド部材7との間に介在する緩衝部材8を表示ユニット4の外周側に配置することで、表示ユニット4の液晶表示パネル41等の中央部に圧力が加わるのを回避して表示ユニット4に不具合が生じるのを防ぐことができる。
【0042】
また本実施形態において緩衝部材8は、表示部である表示ユニット4の下面及びシールド部材7の上面に面で接触している。
このように、表示ユニット4及びシールド部材7を点ではなく、面で接触させることで、圧力を分散させて、一部分だけに強く圧力がかかるのを防ぐことができる。
このため、表示ユニット4が破損しにくい。またシールド部材7が凹んだり変形するのを回避するため、シールド部材7の下方の各種の回路素子61を保護することができるとともに、金属部品であるシールド部材7が撓んで回路素子61と接触しショートするような事態を防ぐことができる。
【0043】
また本実施形態では、緩衝部材8が表示部である表示ユニット4の中央部を避けて対称位置又はその近傍に複数配置されている。
前述のように、液晶表示パネル41等を含む表示ユニット4は、その面内方向の中央部に圧力が加わると液晶部分が破損するおそれがある。この点緩衝部材8を、中央部を避け、かつ対称位置等に複数配置することで、圧力がかかった場合にも効果的に力を分散して、ある一点に集中して力がかかるような事態を避けることができる。
これにより、表示ユニット4の液晶表示パネル41等の破損や、シールド部材の変形等をより確実に回避することができる。
【0044】
また本実施形態では、シールド部材7が回路基板6上に固定された保持部である基板クリップ62により保持されている。
シールド部材7を直接回路基板6にはんだ付けする場合、はんだ付けをするスペースを確保する必要が生じ、基板上の実装面積が減少してしまう。この点シールド部材7を基板クリップ62によって保持させれば、実装面積の減少を抑えることができる。
また、シールド部材7を回路基板6にはんだ付けしてしまうと、シールド部材7に覆われた回路素子61にアクセスする場合には回路基板6ごと取り外さなければならない。これに対して本実施形態では、シールド部材7を基板クリップ62によって保持させるだけである。このため、シールド部材7の組付け後でも、不具合等が生じれば容易にシールド部材7を取り外して回路素子61にアクセスし、必要な部分だけ修理や交換を行うことができる。このため、回路基板6ごと交換する等の手間やコストを省くことができる。
【0045】
またシールド部材7を複数設ける場合には、緩衝部材8も複数のシールド部材7の夫々に対応して複数設ける。
これにより、安定して表示ユニット4を受けることができ、表示ユニット4の液晶表示パネル41等の破損や、シールド部材の変形等を効果的に防ぐことができる。
【0046】
そして本実施形態のモジュール(表示ユニット4等の表示部を保持する保持構造)を、各種時計(電子時計)100等の電子機器に適用した場合には、表示ユニット4等の表示部を、機器ケース1や風防部材3等に接着等により固定する必要がない。
このため、表示ユニット4に不具合が生じた場合には、表示ユニット4だけを修理、交換することができ、機器ケース1や風防部材3等、他の部材を共に交換する場合と比較して修理コストを軽減することができる。
また表示ユニット4等の表示部を機器ケース1等にねじ止めすることで固定する場合には、ねじ止めのためのスペースを要し、固定後もねじ頭分の空きスペースを確保しなければならない。このため、機器ケース1内の実装面積、実装容量が小さくなってしまう。この点、本実施形態のように表示ユニット4等の表示部をシールド部材7の上に緩衝部材8を介して保持した場合には、表示ユニット4を固定するための部品やスペースを確保する必要がなく、コストを削減できるとともに、機器全体の軽量化を実現でき、広い実装面積を確保することも可能となる。そして広い実装面積を確保できることで、回路基板6自体を小さくすることも可能となり、時計100等の電子機器全体の小型化にも資する。
【0047】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0048】
例えば本実施形態は、電子時計が時計100である場合を例示し、表示ユニット4等の表示部を保持する保持構造が、時計100に搭載された場合を例示したが、表示部を保持する保持構造を適用可能な機器はこれに限定されない。
例えば各種のスマートウォッチ、スポーツウォッチ等のウェアラブル機器、時刻の他、心拍や血流の情報等の生体情報を表示させる心拍計や血圧計、気温や気圧等の環境情報を表示させる機器等、各種データを表示させるような電子機器に広く適用することが可能である。
【0049】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0050】
1 機器ケース
3 風防部材
4 表示ユニット(表示部)
41 液晶表示パネル
42 導光板
44 反射板(反射部材)
50 コイルばね
6 回路基板
61 回路素子
62 基板クリップ(保持部)
7 シールド部材
71 上面部
72 側面部
8 緩衝部材
100 時計(電子時計、電子機器)
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