(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037384
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】微酸性次亜塩素酸水の製造方法及び微酸性次亜塩素酸水の製造装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/76 20230101AFI20240312BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240312BHJP
C01B 11/04 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
C02F1/76 Z
C02F1/50 531M
C02F1/50 540B
C02F1/50 550D
C01B11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142209
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・ガスプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正之
(72)【発明者】
【氏名】篠▲崎▼ 亜希
【テーマコード(参考)】
4D050
【Fターム(参考)】
4D050AA20
4D050AB06
4D050BB04
4D050BD02
4D050BD04
4D050BD06
4D050BD08
(57)【要約】
【課題】低コストで所定の温度・濃度の微酸性次亜塩素酸を容易に供給することができる微酸性次亜塩素酸水の製造方法及び微酸性次亜塩素酸水の製造装置を提供すること。
【解決手段】次亜塩素酸ソーダ、水及び炭酸ガスを混合して塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成工程と、前記次亜塩素酸水生成工程で生成された前記次亜塩素酸水を塩素濃度が使用濃度の範囲内となるように所定温度の希釈水により希釈する希釈工程と、前記希釈工程で希釈された次亜塩素酸水をユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次亜塩素酸ソーダ、水及び炭酸ガスを混合して塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成工程と、前記次亜塩素酸水生成工程で生成された前記次亜塩素酸水を塩素濃度が使用濃度の範囲内となるように所定温度の希釈水により希釈する希釈工程と、前記希釈工程で希釈された次亜塩素酸水をユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給工程とを含む微酸性次亜塩素酸水の製造方法。
【請求項2】
前記次亜塩素酸水生成工程では、塩素濃度が100ppm乃至2000ppmの次亜塩素酸水を生成するものであり、前記希釈工程では、塩素濃度が20ppm乃至400ppmとなるように前記次亜塩素酸水を希釈することを特徴とする請求項1に記載の微酸性次亜塩素酸水の製造方法。
【請求項3】
次亜塩素酸水生成部に次亜塩素酸ソーダを供給する次亜塩素酸ソーダ供給ラインと、前記次亜塩素酸水生成部に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給ラインと、前記次亜塩素酸水生成部に水を供給する水供給ラインと、前記次亜塩素酸ソーダ、前記炭酸ガス及び前記水を混合し、塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する前記次亜塩素酸水生成部と、前記次亜塩素酸水生成部に接続され、希釈部に前記高濃度の次亜塩素酸水を供給する高濃度次亜塩素酸水供給ラインと、前記希釈部に所定の温度の希釈水を供給する希釈水供給ラインと、前記高濃度の次亜塩素酸水と前記希釈水を混合し、高濃度の次亜塩素酸水を希釈し、使用濃度の次亜塩素酸水とする前記希釈部と、前記希釈部に接続され、前記使用濃度の次亜塩素酸水をユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給ラインとで構成される微酸性次亜塩素酸水の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌水(殺菌水)として用いられる微酸性次亜塩素酸水を製造する微酸性次亜塩素酸水の製造方法及び微酸性次亜塩素酸水の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、次亜塩素酸水を製造する方法や装置としては、「塩素を有効成分とする弱酸性の塩素系殺菌水の製造方法であり、次亜塩素酸水溶液を炭酸ガスを使用してpH調整することを特徴とする弱酸性の塩素系殺菌水の製造方法」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような弱酸性の塩素系殺菌水の製造方法では、次亜塩素酸ソーダを希釈した水溶液を製造し、その後にpH調整して次亜塩素酸水を製造するため、次亜塩素酸水を製造するタンクが大きくなりイニシャルコストが大きくなるという問題があった。
【0004】
また、高温の次亜塩素酸水が必要な場合には、使用したい温度の次亜塩素酸水を予め生成する必要があり、次亜塩素酸水を生成した部位から下流の設備全てに対して耐食性と耐熱性を備える材料で形成する必要があり、コストが高くなるという欠点があった。
【0005】
さらに、使用したい温度の次亜塩素酸水を予め生成する必要があるため、生成した次亜塩素酸水を保温や加温のための設備がさらに必要になり、容易に適切な温度の次亜塩素酸水を供給することが困難であった。特に高温の次亜塩素酸水は分解速度が速く、数時間で濃度が半減してしまうため、供給時には適切な濃度とならないおそれがあり、混合後に加熱する場合では、加熱にかかる時間の分、使用時間が短くなってしまうという欠点があった。加えて金属に対する腐食性も高温では高くなるため、加熱器(ボイラー等)を傷めやすくなるという欠点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、低コストで所定の温度・濃度の微酸性次亜塩素酸を容易に供給することができる微酸性次亜塩素酸水の製造方法及び微酸性次亜塩素酸水の製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の微酸性次亜塩素酸水の製造方法は、次亜塩素酸ソーダ、水及び炭酸ガスを混合して塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成工程と、前記次亜塩素酸水生成工程で生成された前記次亜塩素酸水を塩素濃度が使用濃度の範囲内となるように所定温度の希釈水により希釈する希釈工程と、前記希釈工程で希釈された次亜塩素酸水をユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の微酸性次亜塩素酸水の製造方法の前記次亜塩素酸水生成工程では、塩素濃度が100乃至2000ppmの次亜塩素酸水を生成するものであり、前記希釈工程では、塩素濃度が20乃至400ppmとなるように前記次亜塩素酸水を希釈することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の微酸性次亜塩素酸水の製造装置は、次亜塩素酸水生成部に次亜塩素酸ソーダを供給する次亜塩素酸ソーダ供給ラインと、前記次亜塩素酸水生成部に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給ラインと、前記次亜塩素酸水生成部に水を供給する水供給ラインと、前記次亜塩素酸ソーダ、前記炭酸ガス及び前記水を混合し、塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する前記次亜塩素酸水生成部と、前記次亜塩素酸水生成部に接続され、希釈部に前記高濃度の次亜塩素酸水を供給する高濃度次亜塩素酸水供給ラインと、前記希釈部に所定の温度の希釈水を供給する希釈水供給ラインと、前記高濃度の次亜塩素酸水と前記希釈水を混合し、高濃度の次亜塩素酸水を希釈し、使用濃度の次亜塩素酸水とする前記希釈部と、前記希釈部に接続され、前記使用濃度の次亜塩素酸水をユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給ラインとで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1乃至請求項3に記載の各発明においては、塩素濃度が使用濃度よりも高濃度の微酸性次亜塩素酸水を生成し、その後希釈するので、予め使用濃度で次亜塩素酸水を混合する場合に比べて、次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成部を小さくすることができ、イニシャルコストを小さくすることができる。
(2)高濃度の次亜塩素酸水を生成し、その後希釈するので、高温(50度~70度程度)の次亜塩素酸水によって除菌を行いたい場合には、希釈する際に希釈部において所定の温度の希釈水を混合することで、高温の次亜塩素酸水を得ることができる。
したがって、高温の次亜塩素酸水が通過する部位のみに耐食性及び耐熱性を有する樹脂等を用いれば良く、その他の部位については耐食性のみを考慮すれば良いため、コストを削減することができる。
(3)また、所定の温度の希釈水で希釈して次亜塩素酸水を得るので、得られる次亜塩素酸水の温度を容易に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1及び
図2は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図3及び
図4は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1及び
図2に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は除菌や殺菌に用いられる微酸性次亜塩素酸水を製造する微酸性次亜塩素酸水の製造方法である。
【0014】
この微酸性次亜塩素酸水の製造方法1は、
図1に示すように、塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成工程2と、前記次亜塩素酸水生成工程2で生成された前記高濃度の次亜塩素酸水を塩素濃度が使用濃度の範囲内となるように所定温度の希釈水により希釈する希釈工程3と、前記希釈工程3で希釈された次亜塩素酸水を外部に供給する次亜塩素酸水供給工程4とで構成されている。
【0015】
さて、前記微酸性次亜塩素酸水の製造方法1に用いられる本発明の微酸性次亜塩素酸水の製造装置5は、
図2に示すように、次亜塩素酸水生成部6に次亜塩素酸ソーダを供給する次亜塩素酸ソーダ供給ライン7と、前記次亜塩素酸水生成部6に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給ライン8と、前記次亜塩素酸水生成部6に水を供給する水供給ライン9と、前記次亜塩素酸ソーダ、前記炭酸ガス及び前記水を混合し、塩素濃度が使用濃度より高濃度で、かつ、微酸性の次亜塩素酸水を生成する前記次亜塩素酸水生成部6と、前記次亜塩素酸水生成部6に接続され、希釈部10に前記高濃度の次亜塩素酸水を供給する高濃度次亜塩素酸水供給ライン11と、前記希釈部10に所定の温度の希釈水を供給する希釈水供給ライン12と、前記高濃度の次亜塩素酸水と前記希釈水を混合し、高濃度の次亜塩素酸水を希釈し、使用濃度の次亜塩素酸水とする前記希釈部10と、前記希釈部10に接続され、前記使用濃度の次亜塩素酸水を外部のユースポイントに供給する次亜塩素酸水供給ライン13とで構成されている。ここで、ユースポイントとしては、殺菌又は除菌(消毒)等が必要な本製造装置以外の外部の装置、物品、人体、動植物等で、例えば、食物の消毒、調理器具や家具その他什器等の消毒等や手指の消毒等も含まれる。なお、これらは一例であり、次亜塩素酸水によって殺菌等ができるものについては、本発明におけるユースポイントに該当する。
【0016】
次亜塩素酸水生成工程2では、次亜塩素酸水生成部6に次亜塩素酸ソーダ、炭酸ガス及び水を供給し、次亜塩素酸水生成部6でこれらを混合することで、塩素濃度が使用濃度より高濃度で、かつ、微酸性の次亜塩素酸水を生成する。ここで、塩素濃度が使用濃度より高濃度の次亜塩素酸水とは、本発明においては塩素濃度が100ppm乃至2000ppm程度の次亜塩素酸水をいう。本発明においては炭酸ガスを用いることによって次亜塩素酸水生成工程2で生成される高濃度の次亜塩素酸水が微酸性となる。
【0017】
次亜塩素酸ソーダは次亜塩素酸ソーダ供給ライン7から供給され、この次亜塩素酸ソーダ供給ライン7は、次亜塩素酸ソーダ供給源14と、次亜塩素酸ソーダ供給源14と次亜塩素酸水生成部6を接続する次亜塩素酸ソーダ供給管15と、次亜塩素酸ソーダ供給源14又は次亜塩素酸ソーダ供給管15のいずれかに設けられ、次亜塩素酸ソーダを圧送するポンプ16とで構成されている。本実施形態では、次亜塩素酸ソーダ供給源14として、容器に保存された高濃度の水溶液状の次亜塩素酸ソーダが用いられる。この容器にはフロートスイッチ14aが設けられている。
【0018】
炭酸ガスは炭酸ガス供給ライン8から供給され、この炭酸ガス供給ライン8は、炭酸減圧弁17を備える炭酸ガス供給源18と、炭酸ガス供給源18と次亜塩素酸水生成部6を接続する炭酸ガス供給管19とで構成されている。本実施形態では、炭酸ガス供給源18として、炭酸ガスを充填した大きなボンベやタンクが用いられている。なお、供給される炭酸ガスの状態は液ガスの状態であっても気体であってもよい。
【0019】
次亜塩素酸水を生成するための水は水供給ライン9から供給され、この水供給ライン9は、貯水用タンク又は水道等の水供給源20と、水供給源20と次亜塩素酸水生成部6を接続する水供給管21とで構成されている。
【0020】
なお、次亜塩素酸ソーダ供給ライン7、炭酸ガス供給ライン8及び水供給ライン9には、適宜バルブや逆止弁、流量計等が設けられる。具体的には、本実施形態では、次亜塩素酸ソーダ供給ライン7にはポンプ16のみ設けられており、炭酸ガス供給ライン8の炭酸ガス供給管19には、炭酸ガス供給源18側から下流に向かって第1の炭酸逆止弁8a、プレッシャースイッチ8b、炭酸供給弁8c、炭酸流量調整弁8d、第2の炭酸逆止弁8eが設けられており、水供給ライン9の水供給管21には、水供給源20側から下流に向かって水減圧弁9a、水供給弁9b、水逆止弁9cが設けられている。
【0021】
また、次亜塩素酸ソーダ供給ライン7、炭酸ガス供給ライン8及び水供給ライン9はそれぞれ独立した状態で次亜塩素酸水生成部6に接続してもよく、次亜塩素酸ソーダ供給ライン7と水供給ライン9を次亜塩素酸水生成部6よりも上流で接続して次亜塩素酸水生成部6に供給しても良い。このような場合には、次亜塩素酸水生成部6には次亜塩素酸ソーダ供給ライン7と水供給ライン9が合流した管から高濃度の次亜塩素酸水の状態で供給され、次亜塩素酸水生成部6において炭酸ガスが混合され、塩素濃度が高濃度の微酸性次亜塩素酸水となる。
【0022】
さらに炭酸ガス供給ライン8と水供給ライン9を次亜塩素酸水生成部6よりも上流で接続して次亜塩素酸水生成部6に供給しても良い。このような場合には、次亜塩素酸水生成部6には炭酸水と次亜塩素酸ソーダが供給され、次亜塩素酸水生成部6において炭酸水と次亜塩素酸ソーダが混合され、塩素濃度が高濃度の微酸性次亜塩素酸水となる。
ところで、次亜塩素酸水生成部6には安全弁6a等を設けることが望ましく、本実施形態では設定0.5MPaの安全弁6aが設けられている。
【0023】
次亜塩素酸水生成工程2で高濃度かつ微酸性の次亜塩素酸水が生成されると、希釈工程3が行われる。希釈工程3では、高濃度の微酸性次亜塩素酸水が高濃度次亜塩素酸水供給ライン11により希釈部10へ供給されるとともに、高濃度の次亜塩素酸水を使用する塩素濃度に希釈するための希釈水が希釈水供給ライン12から供給され、これらが混合されて使用される塩素濃度の微酸性次亜塩素酸水が生成される。なお、希釈工程では、塩素濃度が20ppm乃至400ppmとなるように高濃度かつ微酸性の次亜塩素酸水を希釈する。この塩素濃度は使用する対象によって適宜変更することができる。
【0024】
希釈水供給ライン12は、貯水用タンク又は水道等の希釈水供給源22と、希釈水供給源22と希釈部10を接続する希釈水供給管23とで構成されている。なお、温水を希釈水として供給する場合には、希釈水供給源22又は希釈水供給管23のいずれかに水温を調節することができる水温調節手段(図示せず)を備えることが望ましい。このような水温調節手段により所定の温度の温水とすることで、50度乃至70度の高温度の微酸性次亜塩素酸水を希釈部10にて生成することができる。調温装置はボイラーのような加熱装置であっても良いが、希釈水の加熱及び冷却ができる装置であることが望ましい。
【0025】
また、温水を希釈水として供給する場合には、水供給ライン9や高濃度次亜塩素酸水供給ライン11に流量計や温度計等を設けるとともに、希釈水供給ライン12にも水流量計や温度計等を設け、これらの流量を制御装置(図示せず)により制御して温度管理を行うとよい。
【0026】
ところで、高濃度次亜塩素酸水供給ライン11や希釈水供給ライン12にも適宜バルブや逆止弁、流量計等が設けられる。本実施形態では、高濃度次亜塩素酸水供給ライン11に次亜塩素酸水供給弁11aが設けられ、希釈水供給ライン12の希釈水供給管23には希釈水供給源22側から下流に向かって希釈水減圧弁12a、希釈水供給弁12bが設けられている。
【0027】
次亜塩素酸水を製造する場合、次亜塩素酸水の腐食されにくい素材として塩化ビニール等の樹脂を用いて配管等を形成するが、高温の次亜塩素酸水を製造する場合、60度以上では塩化ビニールの使用温度範囲を外れ、耐熱性樹脂などを使用する必要がある。
【0028】
しかし、希釈部10において高温の温水と高濃度の次亜塩素酸水を混合して希釈することで、たとえば、塩素濃度500ppm、20度で製造した次亜塩素酸水1容を70度の温水9容(塩素濃度500ppm、20度で製造した次亜塩素酸水と70度の温水を体積比1:9)で希釈部10において希釈すれば65度の微酸性次亜塩素酸水を得ることができ、耐食性及び耐熱性が必要な部分を希釈部10の下流のみに限定できる。
【0029】
このように希釈工程3において希釈部10で希釈された微酸性次亜塩素酸水は次亜塩素酸水供給工程4において、希釈部10に接続された次亜塩素酸水供給ライン13を介してユースポイントに供給される。
【0030】
次亜塩素酸水供給ライン13は、一端部が希釈部10に接続された次亜塩素酸水供給管24と次亜塩素酸水供給管24の他端部に設けられたノズル等の供給具25と、次亜塩素酸水供給管24に設けられた次亜塩素酸水供給弁26とで構成されている。なお、この次亜塩素酸水供給ライン13には、PH計や塩素濃度計を設けてもよい。
【0031】
微酸性次亜塩素酸水を供給したい場合には、ユースポイントに向けてノズル等の供給具25を向けるとともに、次亜塩素酸水供給弁26を開状態とすることにより、使用したいユースポイントに微酸性次亜塩素酸水を供給することができる。
【0032】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図3及び
図4に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
図3及び
図4に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、複数個のミニガスカートリッジを用いた炭酸ガス供給源18Aにした点で、このような炭酸ガス供給源18Aから炭酸ガスの供給を受けて高濃度の次亜塩素酸水を生成する次亜塩素酸水生成工程2Aを行う微酸性次亜塩素酸水の製造方法1Aや、このような炭酸ガス供給源18Aを備える炭酸ガス供給ライン8Aを用いた微酸性次亜塩素酸水の製造装置5Aにしても前記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
なお、本発明の実施形態においては、希釈部としてタンク状の希釈部を有する形態について説明したが、例えば次亜塩素酸水供給ラインの配管の一部を希釈部としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は微酸性次亜塩素酸水を製造する産業に利用される。
【符号の説明】
【0036】
1、1A:微酸性次亜塩素酸水の製造方法、
2:次亜塩素酸水生成工程、 3:希釈工程、
4:次亜塩素酸水供給工程、
5、5A:微酸性次亜塩素酸水の製造装置、
6:冷凍液供給工程、 7:次亜塩素酸ソーダ供給ライン、
8、8A:炭酸ガス供給ライン、 9:水供給ライン、
10:希釈部、 11:高濃度次亜塩素酸水供給ライン、
12:希釈水供給ライン、 13:次亜塩素酸水供給ライン、
14:次亜塩素酸ソーダ供給源、 15:次亜塩素酸ソーダ供給管、
16:ポンプ、 17:炭酸減圧弁、
18:炭酸ガス供給源、 19:炭酸ガス供給管、
20:水供給源、 21:水供給管、
22:希釈水供給源、 23:希釈水供給管、
24:次亜塩素酸水供給管、 25:供給具、
26:次亜塩素酸水供給弁。