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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037385
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】防水装置及びサッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240312BHJP
   E06B 9/52 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/52 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142214
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】加納 直人
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 厚二
(72)【発明者】
【氏名】水原 一也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正博
(72)【発明者】
【氏名】野末 嵩博
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置の提供。
【解決手段】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置1であって、開口部にパネル体SD1、SD2を設置するための枠体22に対して、パネル体SD1、SD2より室外側となる位置に、防水装置1を取り付けるための取り付け部11と、開口部の少なくとも下部側を覆うことで、開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する防水部材と、を備える、防水装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、
前記開口部にパネル体を設置するための枠体、前記パネル体、前記開口部の周囲の部材の何れかに対して、前記パネル体より室外側となる位置に、前記防水装置を取り付けるための取り付け部と、
前記開口部の少なくとも下部側を覆うことで、前記開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する防水部材と、
を備える、防水装置。
【請求項2】
前記防水部材が止水板であり、
前記止水板の前記枠体と対向する位置にシール部材が設けられており、
前記取り付け部が、前記枠体のリブ状部材に嵌合する嵌合部である、請求項1に記載の防水装置。
【請求項3】
前記リブ状部材が、前記枠体の下枠に形成されている、網戸を取り付けるためのレール部材である、請求項2に記載の防水装置。
【請求項4】
前記防水部材が、網戸がある側において前記網戸と前記パネル体との間に設置される第1止水板と、前記第1止水板と接合され、網戸がない側に設置される第2止水板と、を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項5】
前記第1止水板が、前記枠体の下枠と前記網戸若しくは前記パネル体の下端との間に挿入されて当該箇所の防水性を向上する下端止水部を備え、
前記第2止水板が、前記枠体と対向する位置に設けられたシール部材を備える、請求項4に記載の防水装置。
【請求項6】
前記パネル体の枠と対向する位置にシール部材が設けられ、前記パネル体に対してその室外側となる位置に取り付けられる止水パネルを備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項7】
前記防水部材が、下端に開口を有する中空の部材によって構成されている、請求項1に記載の防水装置。
【請求項8】
前記取り付け部が、室内側形成面と室外側形成面を有し、前記取り付け部が、前記室内側形成面の下部に形成され、当該取り付け部に対向する位置の前記室外側形成面の少なくとも一部が、着脱可能に構成されている、請求項7に記載の防水装置。
【請求項9】
前記防水部材と一体的若しくは別体で構成された浮き部材を備え、
前記防水部材が、水位上昇によって前記浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、
通常時は、前記開口部の下部に配置されている前記防水部材が、水位上昇時における前記上方向へ移動により、前記開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている、請求項1に記載の防水装置。
【請求項10】
前記パネル体の下端と係合する係合部を備える、請求項3に記載の防水装置。
【請求項11】
前記防水部材が、展開可能な折り畳み構造を有し、折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、前記枠体への嵌合が行われるように構成されている、請求項1に記載の防水装置。
【請求項12】
前記防水部材の幅方向の両端に弾性を有するシール部材が設けられており、前記両端のシール部材の外側までの幅が、前記枠体の内側の幅より大きく形成されていることにより、前記防水部材が前記枠体に嵌合された際に前記シール部材が弾性変形する、請求項11に記載の防水装置。
【請求項13】
請求項1から12の何れかに記載の防水装置を備えたサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置及び当該防水装置を備えたサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水害時における、建物等の開口部からの浸水を抑止若しくは低減させるための、開口部に設置する防水装置若しくは止水装置(以下「防水装置」という)が用いられている。
特許文献1には、このような防水装置として、止水シートを用いるものに関する技術が開示されており、特許文献2には、防水板若しくは止水板(以下「止水板」という)を用いるものに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-140563号公報
【特許文献2】特開2017-061793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防水装置は、建物等の開口部のうち、特に入口(即ち、基本的に開口の下端が地面である箇所)に設けられるものであり、建物等の窓(開口の下端が地面よりも高い位置に形成されている開口部)に対して設けられる防水装置はなかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、前記開口部にパネル体を設置するための枠体、前記パネル体、前記開口部の周囲の部材(外壁若しくは基礎又は、土台水切り等のこれらの周辺に設けられる部材)の何れかに対して、前記パネル体より室外側となる位置に、前記防水装置を取り付けるための取り付け部と、前記開口部の少なくとも下部側を覆うことで、前記開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する防水部材と、を備える、防水装置。
【0007】
(構成2)
前記防水部材が止水板であり、前記止水板の前記枠体と対向する位置にシール部材が設けられており、前記取り付け部が、前記枠体のリブ状部材に嵌合する嵌合部である、構成1に記載の防水装置。
【0008】
(構成3)
前記リブ状部材が、前記枠体の下枠に形成されている、網戸を取り付けるためのレール部材である、構成2に記載の防水装置。
【0009】
(構成4)
前記防水部材が、網戸がある側において前記網戸と前記パネル体との間に設置される第1止水板と、前記第1止水板と接合され、網戸がない側に設置される第2止水板と、を備える、構成1に記載の防水装置。
【0010】
(構成5)
前記第1止水板が、前記枠体の下枠と前記網戸若しくは前記パネル体の下端との間に挿入されて当該箇所の防水性を向上する下端止水部を備え、前記第2止水板が、前記枠体と対向する位置に設けられたシール部材を備える、構成4に記載の防水装置。
【0011】
(構成6)
前記パネル体の枠と対向する位置にシール部材が設けられ、前記パネル体に対してその室外側となる位置に取り付けられる止水パネルを備える、構成1から5の何れかに記載の防水装置。
【0012】
(構成7)
前記防水部材が、下端に開口を有する中空の部材によって構成されている、構成1から6の何れかに記載の防水装置。
【0013】
(構成8)
前記取り付け部が、室内側形成面と室外側形成面を有し、前記取り付け部が、前記防水部材の室内側形成面の下部に形成され、当該取り付け部に対向する位置の前記防水部材の室外側形成面の少なくとも一部が、着脱可能に構成されている、構成7に記載の防水装置。
【0014】
(構成9)
前記防水部材と一体的若しくは別体で構成された浮き部材を備え、前記防水部材が、水位上昇によって前記浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、通常時は、前記開口部の下部に配置されている前記防水部材が、水位上昇時における前記上方向へ移動により、前記開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている、構成1に記載の防水装置。
【0015】
(構成10)
前記パネル体の下端と係合する係合部を備える、構成3に記載の防水装置。
【0016】
(構成11)
前記防水部材が、展開可能な折り畳み構造を有し、折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、前記枠体への嵌合が行われるように構成されている、構成1から3の何れかに記載の防水装置。
【0017】
(構成12)
前記防水部材の幅方向の両端に弾性を有するシール部材が設けられており、前記両端のシール部材の外側までの幅が、前記枠体の内側の幅より大きく形成されていることにより、前記防水部材が前記枠体に嵌合された際に前記シール部材が弾性変形する、構成11に記載の防水装置。
【0018】
(構成13)
構成1から12の何れかに記載の防水装置を備えたサッシ。
【発明の効果】
【0019】
本発明の防水装置若しくはこれを備えたサッシによれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
図2】実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
図3】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
図4】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
図5】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
図6】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
図7】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
図8】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
図9】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
図10】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
図11】実施形態3の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
図12】実施形態3の防水装置の別の例を示す概略垂直断面図
図13】実施形態4の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
図14】実施形態4の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
図15】実施形態5の防水装置を示す概略垂直断面図
図16】実施形態5の防水装置の別の例を示す説明図
図17】サッシ枠の角の接合部の防水性を向上させるシール材に関する説明図
図18】実施形態1の防水装置の別の例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0022】
<実施形態1>
図1、2は、本発明に係る実施形態1の防水装置をサッシ窓に取り付けた状態を示す概略図であり、図1:概略垂直断面図、図2:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1は、サッシ窓に対して設置される防水装置であって、サッシ窓は「開口の下端が地面より高い位置にある開口部」である。
防水装置1は、開口部にガラス窓等のパネル体(外障子SD1、内障子SD2)を設置するための枠体であるサッシ枠に対して、パネル体より室外側となる位置に、防水装置1を取り付けるための取り付け部11と、サッシ窓(開口部)の少なくとも下部側を覆うことで、開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する防水部材と、を備えている。
なお、以下の説明における「幅方向」とは、窓の開閉方向(障子のスライド方向)に沿った方向であり、「幅寸法」とは幅方向にそった長さである。
【0023】
サッシ窓は、家屋の壁(外壁OWが取り付けられている壁面W)に形成された開口部に取り付けられた、上枠21、下枠22、及び左右一対の竪枠23によって構成されるサッシ枠に対して、ガラス窓等の外障子SD1と内障子SD2が設置されている、引き違い窓である。また、本実施形態におけるサッシ窓は、下枠22が、家屋の土台Bに対して設置され、窓の内側の額縁(化粧窓枠)Fの下側の額縁が、床面と同一レベル(或いは、下側の額縁Fがフローリング材等の床面そのもの)となる掃き出し窓である。
下枠22には、それぞれ下端に戸車を有する外障子SD1、内障子SD2、網戸(特に図示せず)の走行をそれぞれガイドするレール部材222、レール部材223、レール部材221が形成されている。
なお、サッシ窓自体は、網戸レール(若しくはこれに類するリブ状の部材)を有する任意のサッシ窓であってよく、リブ状部材を有する従来の任意のサッシ窓に対して、本実施形態の防水装置の概念を適用できるものであるため、サッシ窓自体に関するこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0024】
本実施形態の防水装置1は、止水板として、サッシ窓(開口部)の下部側を覆うものである。防水装置1の基本的な態様は、正面視で(図1の左側からみた場合、図2では上側から見た場合に)略矩形の部材であり、水圧に抗する強度を備えさせると共に軽量化のため、アルミ、スチール、鋼材、ステンレス等の金属、若しくはPVC(板、又は押出材を連結して板状にしたもの)、アクリル板、ポリカーボネート板などの樹脂部材、によって形成された中空のパネル体(又は中空の内部に発泡ウレタンなどの充填剤を充填したもの)の構成を有している。
防水装置1の、枠体(サッシ枠)と対向する位置には、シール部材が設けられている。より具体的には、図1に示されるように、防水装置1の下部の下枠22と対向する位置にシール部材113が設けられており、図2に示されるように、防水装置1の両サイドの竪枠23と対向する位置にシール部材122が設けられている。シール部材113とシール部材122は、防水装置1の両サイドと下部にわたって連続して設けられている(三方に設けられている)。これらの構成によって“開口部の少なくとも下部側の防水性を向上する防水部材”が構成される。シール部材は遮水性を有しており、また、弾性を有していることが好ましく、軟質ゴム、発泡ゴムやウレタンなどの樹脂を用いて形成される。また、水膨張材(水を吸うことで膨張して隙間をふさぎ、止水する部材)を用いてもよい。
【0025】
本実施形態の防水装置1は、サッシ枠のリブ状部材を利用して、サッシ枠に対して取り付けられる。防水装置1を取り付けるための取り付け部11は、サッシ枠のリブ状部材(下枠22に形成されている、網戸を取り付けるためのレール部材221)に嵌合する嵌合部であり、図1に示されるように、防水装置1の下端側に形成された、外側側壁111と、内側側壁112と、外側側壁111の内側に設けられたシール部材113とによって構成されている。なお、本実施形態の内側側壁112は、防水装置1の幅方向に防水装置1の両端まで延びる部材であるが、必ずしも連続的に形成されている必要は無く、例えば、防水装置1の幅方向に数か所形成された突起であってもよい。外側側壁111についても同様であるが、外側側壁111はシール部材113の後ろ支えとなる部材であるため、外側側壁111については、幅方向に防水装置1の両端まで連続的に延びる部材であるほうが好ましい。
シール部材113と内側側壁112の間隔は、レール部材221の厚さよりも小さく形成されており、シール部材113と内側側壁112の間にレール部材221を嵌入させる(防水装置1を上方から下方へスライドさせるようにして取り付ける)ことで、シール部材113が弾性変形して所定の係合力が得られると共にシールの密着が得られ、防水装置1の取り付けが行われる。
図1、2からも理解され得るように、水害時において水圧が外部からかかると、当該水圧によって防水装置1をサッシ枠に押し付ける力(即ち、シール部材113、シール部材122を密着させる力)が生じるため、防水性を向上することができる。
【0026】
以上のごとく、本実施形態の防水装置1によれば、既存のサッシ窓に対して、専用の取り付け部材などの設置等を要することなく、安価かつ手軽に止水対策を行うことができる。
近年の水害による被害の甚大化に伴い、床上浸水の被害も増大しており、床上浸水の被害を防止若しくは低減することのニーズが高まっている。床上浸水の被害を防止若しくは低減するためには、掃き出し窓における止水が不可欠であるが、引き違い窓等の引き戸式の窓においては、その構造上、止水をすることが容易でない面がある。これに対して、本実施形態の防水装置1によれば、既存のサッシ窓に対して、安価かつ手軽に止水対策を行うことができるため、非常に有用である。
【0027】
本実施形態では、防水装置の下端側に取り付け部が形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、防水装置の両側に取り付け部が形成されるもの等であってもよい。
図3にはこのようなものの一例を示した。
図3の防水装置1´は、その両サイドにおいて、外側側壁121と、内側側壁123と、外側側壁121の内側に設けられたシール部材122とによって構成された取り付け部12を有している。なお、当該取り付け部12の概念は、実施形態1の取り付け部11と同様の概念である。また、防水装置1´の下端側には、実施形態1の取り付け部11と同様のものが形成されている。
防水装置1´の取り付けは、図3(a)、(b)に示されるように、防水装置1´をやりおくり(いってこい)方式にて、防水装置1´の一方の側部を先に竪枠23(網戸(図示せず)の戸先と係合するリブ)にはめ込み、その後他方の側部をはめ込むようにして図3(b)の状態とする。両端部のシール部材122が弾性部材で形成されていることにより、この作業の作業性が向上される。
図3(a)、(b)の作業は、防水装置1´の下端が、下枠22に形成されているレール部材221より高くなる位置におい行われ、図3(a)、(b)の作業の後に、図3(c)に示されるように、防水装置1´を下方にスライドさせることで、取り付け部11の嵌合が行われ、これによって、防水装置1´の取り付けが行われる。
【0028】
図4には、また別の一例を示した。
図4の防水装置1´´は、その両サイドの上部において、弾性体によって付勢されて、両サイドから出没可能に構成された係合部124を有している。なお、防水装置1´´の下端側には、実施形態1の取り付け部11と同様のものが形成されている。
防水装置1´´の取り付けは、図4(a)に示されるように、防水装置1´´を少し室外側に傾けながら、下枠22に対する取り付け部11の嵌合を行い、次に、図4(b)に示されるように、室外側に傾けていた防水装置1´´を起こすようにすることで、係合部124が竪枠23(網戸(図示せず)の戸先と係合するリブ)に係合し、これによって、防水装置1´´の取り付けが行われる。
なお、係合部124は、必ずしも出没可能なものである必要は無い。
【0029】
本実施形態では、防水装置1が一枚の止水板として形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、防水装置が複数の止水板を用いて構成されるものであってよい。
図5にはこのようなものの一例を示した。
防水装置1-1は、2枚の止水板がヒンジHで接合されることにより、上下方向の軸に沿って左右に折り畳み及び展開可能な折り畳み構造を有している。2枚の止水板の接合部においては適宜止水構造(シール部材を備えさせること等による密着構造)が設けられる。
防水装置1-1の取り付けは、図5(a)、(b)に示されるように、防水装置1-1を少し折り畳んだ状態として左右一対の竪枠23の間に配し、折り畳みを展開することによって、左右の取り付け部12を竪枠23のリブ状部材231(網戸(図示せず)の戸先と係合するリブ)に嵌合させる。即ち、防水装置1-1は、「折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、枠体への嵌合が行われるように構成されている」ものである。
図5(a)、(b)の作業は、防水装置1-1の下端が、下枠22に形成されているレール部材221より高くなる位置におい行われ、図5(a)、(b)の作業の後に、図5(c)に示されるように、防水装置1-1を下方にスライドさせることで、取り付け部11の嵌合が行われ、これによって、防水装置1-1の取り付けが行われる。
図5の防水装置1-1によれば、実施形態1と同様の作用効果が得られると共に、防水装置の取り付けがより確実なものとなり、また、防水装置の収納時において折り畳みによってコンパクト化ができるという優れた作用効果を得ることができる。
なお、ここでは折り畳み箇所が1か所であるものを例としているが、図6にその一例を示したように、折り畳み箇所を複数とする(例えばアコーディオン状に折り畳めるようにする)ことで、収納時によりコンパクトにすることができるようにしてもよい。
【0030】
図5や6の折り畳み方式とする場合に、展開状態を保持するための補強部材を設けるようにしてもよい。
図7にはこのようなものの一例を示した。
図7の防水装置1-1´´では、かんぬきとして機能するバー部材15と、かすがい部材16によって補強部材が構成されている。図7(a)に示されるように、防水装置1-1´´の折り畳み状態において、その折り畳みの内側となる面に、バー部材15と各かすがい部材16が設けられている。図7(b)~(d)に示されるように、防水装置1-1´´の展開後に、バー部材15をスライドさせて各かすがい部材16に通し、折り畳み箇所の両サイドにわたってバー部材15を位置させることで(図7(d))、かんぬきがかかり、防水装置1-1´´の展開状態を維持するように補強される。図7(a)に示されるように、折り畳みの内側となる面にバー部材15と各かすがい部材16が設けられていることにより、収納状態(折り畳み状態)におけるコンパクト化が図られている。なお、当該構成は、図6の止水板1-1´のように複数の折り畳み箇所を有する物にも適用することができる。複数の折り畳み箇所がある場合においても、隣り合う板の関係において、図7と同様の構成を適用すればよいものであり、これによって、図7と同様に、収納状態(折り畳み状態)におけるコンパクト化を図ることができる。
【0031】
なお、図5や6の折り畳み方式とする場合に、以下で説明する実施形態2のシール部材1-223と同様に、防水部材の幅方向の両端に弾性を有するシール部材が設け、当該両端のシール部材の外側までの幅が、枠体の内側の幅(両脇の竪枠23のリブ状部材231の間の距離)より大きく形成されていることにより、防水装置が枠体に圧入されるようにしてもよい。
両端のシール部材の外側までの幅が、枠体の内側の幅より大きく形成され、防水装置が圧入される構成により、防水装置をはめ込んだ際に生じるシール部材の弾性力が、防水装置の取り付け状態を保持する係止力としても作用し、且つ止水機能を向上するように作用するものである。なお、このように変形を前提としたシール部材には、発泡シール材を用いるようにするとよい。上述の係止力としては低くなる傾向となるが、止水機能としてはより向上されることが期待できる。
【0032】
<実施形態2>
図8~10は、本発明に係る実施形態2の防水装置をサッシ窓に取り付けた状態を示す概略図であり、図8:概略水平断面図、図9:概略垂直断面図、図10:第1止水板1-21と第2止水板1-22のそれぞれの箇所における概略垂直断面図である。
本実施形態の防水装置1-2は、実施形態1と同様にサッシ窓に対して設置される防水装置である。サッシ窓に関しては実施形態1と同様であるため、実施形態1と同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
防水装置1-2は、網戸SD3がある側において網戸SD3と外障子SD1(パネル体)との間に設置される第1止水板1-21と、第1止水板1-21と接合され、網戸SD3がない側に設置される第2止水板1-22と、を備えている。
【0033】
第1止水板1-21は、図8,9に示されるように、網戸SD3と外障子SD1の間に配置できるような形状(サッシの種別に応じた形状に形成され得るものである)を有している。
図8に示されるように、第1止水板1-21の戸先側(図4における左側)には、上下方向に延びるシール部材1-212が形成されており、竪枠23と接して止水機能を発揮する(シール部材1-212は、「枠体と対向する位置に設けられたシール部材」に該当する)。また、図10(b)に示されるように、第1止水板1-21の下部側は、T字状(逆さま)に形成され、その底面に、幅方向に延びるシール部材1-211が形成されており、下枠22と接して止水機能を発揮する(シール部材1-211は、「枠体と対向する位置に設けられたシール部材」に該当する)。なお、各シール部材は、遮水性及び弾性(若しくは水膨張性)を有する部材で形成されている。シール部材1-211は、「枠体の下枠と網戸若しくは障子(パネル体)の下端との間に挿入されて当該箇所の防水性を向上する下端止水部」である。なお、ここでは第1止水板1-21の下部側がT字状(逆さま)に形成されることにより、網戸若しくは障子(パネル体)の何れか若しくは両方に係止され得るものを例としたが、例えば、第1止水板の下部側をL字状(逆さま)に形成することで、網戸若しくは障子(パネル体)の何れか一方にのみ係止されるような構成としてもよい。
また、図8に示されるように、第1止水板1-21の戸尻側(図8における右側)には、第2止水板1-22を接続させる接続部1-213が形成され、上下方向に延びるシール部材1-222が設けられている。なお、シール部材1-222は、第2止水板1-22の戸尻側(図8における左側)に設けられるものであってもよい。
接続部1-213の室外側は、網戸SD3の係合する係合部としてのフック形状を有している。
【0034】
第2止水板1-22は、その戸先側(図8における右側)において、竪枠23に対する取り付け部を有している。当該取り付け部は図3の防水装置1-1の取り付け部12と同様に、外側側壁121と、内側側壁123と、外側側壁121の内側に設けられたシール部材122と、を備え、さらに防水部材の戸先側の側面にシール部材1-223を備えている。また、図10(a)に示されるように、第2止水板1-22の底面には、幅方向に延びるシール部材1-221が形成されており、下枠22と接して止水機能を発揮する(シール部材1-221は、「枠体と対向する位置に設けられたシール部材」に該当する)。なお、第2止水板1-22の下部側に、実施形態1の防水装置1の取り付け部11と同様の構成を備えさせるようにしても良い。即ち、第2止水板1-22は、「枠体と対向する位置に設けられたシール部材と、枠体の網戸を取り付けるためのレール部材に嵌合する嵌合部と、を備える」ものとしてもよい。
【0035】
防水装置1-2の取り付けは、先ず、第1止水板1-21の設置から行う。第1止水板1-21の設置は、第1止水板1-21を幅方向にスライドさせるようにして、網戸SD3と外障子SD1の間に挿入することによって行う。その際に、図10(b)に示されるように、下端のシール部材1-211が、網戸若しくは障子の框部材の下端と、下枠22の間に入り込むようにして配置を行う。これにより、防水装置1-2の浮き上がりが防止され、止水効果を向上することができる。また、接続部1-213のフック形状が網戸SD3の戸尻側に係合することで、第1止水板1-21の取り付けが行われる。なお、当該作業において、外障子SD1の竪框(枠)が邪魔となる(外障子SD1の竪框と網戸SD3の竪框(枠)が対向する位置にあることにより隙間が小さい)場合には、外障子SD1を半開き状態として作業をするとよい。また、網戸SD3を外した上で、第1止水板1-21を設置する(その後網戸SD3を取り付ける)ものであっても構わない。
第1止水板1-21の設置ができたら、第2止水板1-22の設置を行う。第2止水板1-22の設置は、先にその戸先側の取り付け部を竪枠23に対して嵌合させつつ、その戸尻側を接続部1-213に接合させることにより行う。防水装置1-2の幅寸法は、両サイドの竪枠23の間の距離より僅かに大きく形成されており、第2止水板1-22を圧入する(シール部材が弾性変形する)ような形となる。これにより、シール部材1-212、シール部材1-222、シール部材1-223のそれぞれが、少し潰れるようにして各部材と密着し、止水機能がより向上される。
なお、第2止水板1-22は、圧入されるだけのもの(特に第1止水板1-21に対する固定はしない)ものであってもよいが、第1止水板1-21に対して固定若しくは接合するものであってもよい。両者の固定は、例えば金具を用いて相互に締結させるものや、接着、テープによる接合などであってよい。
第2止水板1-22の下端側の取り付けは、図5での説明と同様に、上記の圧入の作業において、防水装置の下端が、下枠のレール部材221より高くなる位置におい行われ、当該圧入作業の後に、図5(c)と同様に、防水装置1-2を下方にスライドさせることで行われる。
【0036】
本実施形態の防水装置1-2によれば、実施形態1と同様に、既存のサッシ窓に対して、専用の取り付け部材などの設置等を要することなく、安価かつ手軽に止水対策を行うことができる。また、実施形態1の防水装置1は、網戸を外した上で取り付けることを前提とするものであったが、本実施形態の防水装置1-2によれば、網戸を設置したまま防水装置を設置することが可能である。
【0037】
<実施形態3>
図11は、本発明に係る実施形態3の防水装置をサッシ窓に取り付けた状態(サッシ窓の障子の下部側の防水装置が設けられている部分)を示す概略垂直断面図である。
本実施形態の防水装置1-3は、サッシ窓の障子SD(外障子SD1若しくは内障子SD2の何れか若しくは両方)に対して設置される防水装置である。
防水装置1-3は、障子SD(パネル体)の框(枠)SD11と対向する位置にシール部材1-31が設けられ、障子SD(パネル体)に対してその室外側となる位置に取り付けられる止水パネルである。
【0038】
防水装置1-3は、障子SD(パネル体)の下端側を覆う、正面視で略矩形の部材であり、その三方(両側と下部)における、框(枠)SD11と対向する位置に、シール部材1-31が設けられている。
防水装置1-3は、障子SDに対して、接着や接続金具用いた固定等によって取り付けられ、これにより、障子SDの下端側を覆って止水を行う。
障子SDは、例えばビードSD12とガラスとの間などにおいて、水圧がかかると水が侵入し得るものであるが、防水装置1-3を、障子SD(パネル体)に対してその室外側となる位置に設けることにより、このような水の侵入を抑止若しくは低減することができる。
【0039】
以上のごとく、本実施形態の防水装置1-3によれば、既存のサッシ窓の障子に対して、専用の取り付け部材などの設置等を要することなく、安価かつ手軽に止水対策を行うことができる。
【0040】
なお、図12は、本実施形態の防水装置の障子SDに対する取り付け方法の例を示した。
図12(a)の防水装置1-3´は、止水パネルの外周を少し大きく形成することで、その外周部分(止水パネルの三辺(若しくは四辺))を取り付け部とし、当該取り付け部において、障子SDに対してネジ止めによって取り付けが行われるものである。
図12(b)は、本実施形態の防水装置1-3において、取付額縁1-31を使用して取り付けを行うものである。取付額縁1-31は、止水パネルの外周部分を押さえる押さえ面1-311と、障子SDに対する取り付け面となる取付面1-312を備えた、断面視でクランク状の部材である。取付額縁1-31によって防水装置1-3の三辺(若しくは四辺)が障子SDにネジ止めされる。
【0041】
<実施形態4>
図13、14は、本発明に係る実施形態4の防水装置をサッシ窓に取り付けた状態を示す概略図であり、図13:概略垂直断面図、図14:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1-4は、実施形態1と同様にサッシ窓の防水を行うための防水装置である。サッシ窓に関する構成については実施形態1と同様であるため、実施形態1と同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
【0042】
防水装置1-4は、正面視で略矩形の部材であり、室内側形成面1-41と室外側形成面1-42と上面1-43とを備えることにより、下端に開口を有する(底面が無い)中空の部材として構成されている。
図13に示されるように、室内側形成面1-41は、下枠22から外壁OWへ至る家屋の外径形状に沿うようにして、クランク状の形状を有している(なお、下枠から外壁へ至る家屋の形状の相違に応じて、適宜異なる形状に形成され得るものである)。室内側形成面1-41の下部側は、外壁OWに対する取り付け部としての機能を有し、シール部材1-411を介して、外壁OWに対して取り付けられる。なお、ここでは外壁OWに対して取り付けられるものを例としているが、建物の基礎(特に図示せず)や、土台水切り等の開口部の周辺に設けられる部材に対して取り付けられるものであってもよい。
また、図14に示されるように、室内側形成面1-41の両側部も、竪枠23から外壁OWへ至る家屋の外径形状に沿うようにして、クランク状の形状を有している(竪枠から外壁へ至る家屋の形状の相違に応じて、適宜異なる形状に形成され得るものである)。室内側形成面1-41の幅方向の両端部は、外壁OWに対する取り付け部としての機能を有し、シール部材1-441を介して、外壁OWに対して取り付けられる。
【0043】
図14に示されるように、室外側形成面1-42の幅方向の両端部1-44も、外壁OWに対する取り付け部としての機能を有し、室内側形成面1-41の取り付け部と共にシール部材1-441を介して、外壁OWに対して取り付けられる(図では簡略化しているが、室内側形成面1-41の両側部の取り付け部に、室外側形成面1-42の両端部1-44が重畳されるようにして取り付けられる)。
図13に示されるように、室内側形成面1-41の下部側の取り付け部に対向する位置における、室外側形成面1-45は、室外側形成面1-42に対して、着脱可能に構成されている。室外側形成面1-42と室外側形成面1-45の接合面にはシール部材1-451が設けられている。
室外側形成面1-45を着脱可能とすることにより、室内側形成面1-41の下部側の取り付け部における外壁への取り付け作業のアクセス性を向上すると共に、中空構造の上下方向の長さを長くしている(深さを深くしている)ものである。
【0044】
本実施形態の防水装置1-4によれば、下端に開口を有する中空の部材(逆さ箱型)として構成されていることにより、空気圧によりその内部に水が入り込むことが防止若しくは低減され、且つ、サッシ枠を囲うようにして防水装置が設けられるため、サッシ枠に水を触れさせいないように止水をすることが可能となる。
なお、本実施形態では、防水装置1-4を直接外壁に取り付けるものを例としているが、取付金具などの部材を介して外壁に取り付けるようにしてもよい。例えば、外壁に、防水装置1-4を締結させるためのねじ穴が形成された下地プレートを外壁との間で止水されるように取り付けておき、水害が予想される際等において、当該下地プレートに対して防水装置1-4を止水可能に取り付ける(シール部材を使用しつつネジで締結させる等)ようなものとするとよい。
【0045】
<実施形態5>
図15は、本発明に係る実施形態5の防水装置をサッシ窓に取り付けた状態を示す概略垂直断面図である。
本実施形態の防水装置1-5は、実施形態1と同様にサッシ窓の防水を行うための防水装置である。サッシ窓に関する構成については実施形態1と同様であるため、実施形態1と同一の符号を使用し、ここでの説明を省略する。
【0046】
防水装置1-5は、中空のパネル体であり浮き部材として機能する本体部1-51と、外壁OW及び/又は下枠22(若しくは基礎や、土台水切り等の開口部の周辺に設けられる部材)に対して取り付けられ、本体部1-51を回動可能に支持する取付部材1-52と、本体部1-51に取り付けられたシール部材1-53と、を備えている。
【0047】
本体部1-51は、取付部材1-52によって、幅方向を回転軸として回転可能に支持され、図15で示されるように、下方に垂れ下がった状態から、サッシ枠の下部に対向する位置となる起立状態へと移動可能である。
本体部1-51は、正面視で略矩形の部材であり、起立状態において、サッシ枠の下部側を覆う構成を有しており、起立状態でサッシ枠と対向する箇所(両側と下部の三方)において、シール部材1-53を有し、サッシ枠の下部側を止水する。
【0048】
防水装置1-5は、水害時に水位が上がってきた際に、中空の浮き部材である本体部1-51に浮力が生じ、これによって、本体部1-51が回動して起立状態へと移行し、サッシ枠の下部に当接する。即ち、「防水部材が、水位上昇によって浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、通常時は、開口部の下部に配置されている防水部材が、水位上昇時における上方向へ移動により、開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている」ものである。
防水装置1-5では、水圧によってシール部材1-53がサッシ枠に密着するような作用が得られるため、水位の上昇に伴って高い止水性能を得ることが可能となる。
【0049】
以上のごとく、本実施形態の防水装置1-5によれば、通常時はサッシ枠の下に配置されている防水部材が、水害時には自動的に起立して開口部の下部側を止水するように機能するため、急な水害時等においても止水対策をすることが可能である(止水対策が間に合わないといった問題を低減できる)。
【0050】
なお、本実施形態では、防水部材自体が浮き部材として機能するものを例としているが本発明をこれに限るものではなく、浮き部材が防水部材とは別に構成されるものであってもよい。また、防水部材の移動が回動動作によって行われるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、「通常時は、開口部の下部に配置されている防水部材が、水位上昇時における上方向へ移動により、開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている」ものであればよい。
図16には、そのような例としての防水装置1-5-1を示した。
防水装置1-5-1は、正面視で略矩形の部材であり、上昇時(図16(c))において、サッシ枠の下部側を覆う構成を有しており、上昇時にサッシ枠と対向する箇所(両側と下部の三方)において、シール部材1-5-11を有し、サッシ枠の下部側を止水する止水部材と、当該止水部材の下部に設けられた中空の浮き部材1-5-12と、竪枠23に対して取り付けられ、止水部材を上下方向にスライド可能に保持する係止部材1-5-13(アングル材)と、を備えている。
防水装置1-5-1は、図10からも理解されるように、水害時に水位が上がってきた際に、浮き部材1-5-12に浮力が生じ、これによって、止水部材が上方向にスライドしてサッシ枠の下部を覆い、止水機能を得ることができるものである。
【0051】
各実施形態においては、引き違いのサッシ窓について説明したが、本発明をこれに限るものでは無い。例えば、片開きのサッシ窓の他、任意の引き戸式の窓に対して、上記各実施形態で説明した概念を適用することができる。
また、掃き出し窓を例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、腰高窓等に対しても、上記各実施形態で説明した概念を適用することができる。
【0052】
また、各実施形態では、防水装置として、サッシ窓(開口部)の下部側(サッシ窓の一部)を覆うものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、サッシ窓(開口部)の全体を覆うようにするもの(止水部材を、サッシ窓の全体を覆う大きさで形成するもの)であってもよい。
【0053】
なお、実施形態4の防水装置1-4のように、サッシ窓の外側を覆うように外壁等に対して取り付けられる構造である場合には、サッシ枠自体の止水性が無くてもよいが、サッシ枠の外面に対して防水装置が接するような構成である場合には、サッシ枠自体の止水性も必要となる。
図17には、サッシ枠自体の止水性を向上させるために、下枠22と竪枠23の接合部となるコーナー部に、シール材Sを設置したもの(概略説明図)を示した。
下枠22や竪枠23には、レール部材等による凹凸があるため、シール材Sは、これらの凹凸を吸収し得るような、発泡材等の柔軟性の高い部材で形成されることが好ましい。柔軟性の高い部材で形成されることにより、障子を閉めること(シール材Sが竪枠と障子の間に挟まれた状態)が可能であり、これによりシール材Sがよりサッシ枠に密着し、下枠22と竪枠23の継ぎ目の止水性をより効果的にすることもできる。
図17では、下枠22と竪枠23の継ぎ目部分だけにシール材Sを設けるものを例としているが、上枠21と竪枠23の継ぎ目部分にもシール材Sを設けるものとしてもよい。また、下枠22には水抜き穴等が形成されている場合があるため、これを塞ぐようにシール材Sを設けるようにするとよい。それぞれ必要箇所にのみ部分的にシール材Sを設けるものであってもよいし、サッシ枠の全体にシール材Sを設けるものであってもよい。
【0054】
止水部材は、前述のごとく、水圧に抗する強度を備えさせると共に軽量化のために中空のパネル体の構成を有しているため、水害時の水位の上場に伴って浮力を受けることになる。従って、止水部材が浮いてしまうことを防止するための固定部材や係合部を設けるようにするとよい。
図18には、このような止水部材が浮いてしまうことを防止するための係合部として、パネル体(障子)の下端と係合する係合部13を備えるものの例を示した。
図18の防水装置1-1´´´は、外障子SD1の下端側に係合する係合部13を備え、取り付け部11の内側側壁112を有していない以外は、図5で説明した防水装置1-1と同様の構成である。
図5(a)、(b)で説明した取り付け方法において、係合部13が外障子SD1の下端に入り込むように取り付けることで、水害時の水位の上場に伴って浮力を受けた際にも、止水部材が浮いてしまうことを防止することができる。なお、係合部13は、幅方向に延在して設けられるリブ状の部材であってもよいし、幅方向に数か所(若しくは一つ)設けられる小片状の突起等であってもよい。
なお、ここでは係合部が止水板(防水部材)部分に形成されるものを例としたが、サッシ枠の構成の相違などに応じて、取り付け部の部分に形成されるもの等であってよい。
また、障子の下端側に係合する係合部に替えて、例えば、別途の固定金具等の固定部材を用いて防水装置をサッシ窓や外壁等に固定するものや、接着テープ等を用いて防水装置をサッシ窓や外壁等に固定するもの等であってもよい。
また、障子の下端側に係合する係合部に替えて、下枠(各レール部材等)に形成されている水抜き穴に対して係合する係合部としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1...防水装置
11...取り付け部
113...シール部材
1-21...第1止水板
1-211...下端止水部
1-22...第2止水板
13...係合部
1-41...室内側形成面
1-42...室外側形成面
21...上枠(枠体)
22...下枠(枠体)
221...レール部材(リブ状部材)
23...竪枠(枠体)
SD1、SD2...障子(パネル体)
SD3...網戸
OW...外壁
図1
図2
図3
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図6
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