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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037387
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】口腔内測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/24 20060101AFI20240312BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B1/24
A61B1/00 522
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142222
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大澤 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】岡本 義文
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 久
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA08
4C161BB06
4C161CC06
4C161FF40
4C161QQ02
4C161QQ03
(57)【要約】
【課題】従来技術よりも口腔内の検出精度を向上させること。
【解決手段】口内測定装置は、口腔内から偏向部材を介してケース内に取り込まれた光のうち第一経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第一結像素子と、口腔内から偏向部材を介してケース内に取り込まれた光のうち第二経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第二結像素子と、第一結像素子を通過してきた光が結像する第一撮像素子と、第一撮像素子が実装された第一回路基板と、第二結像素子を通過してきた光が結像する第二撮像素子と、第二撮像素子が実装された第二回路基板と、を有する。第一回路基板は、所定平面に対して、第一結像素子の光軸に対応した第一角度だけ傾いて配置されている。第二回路基板は、所定平面に対して、第二結像素子の光軸に対応した第二角度だけ傾いて配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの先端側に設けられた口腔内挿入部と、
前記口腔内挿入部に設けられた光の進行方向を偏向する偏向部材と、
前記偏向部材を通じて患者の口腔内を照明するための照明光を生成する光源と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第一経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第一結像素子と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第二経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第二結像素子と、
前記第一結像素子を通過してきた前記光が結像する第一撮像素子と、
前記第一撮像素子が実装された第一回路基板と、
前記第二結像素子を通過してきた前記光が結像する第二撮像素子と、
前記第二撮像素子が実装された第二回路基板と、
を有し、
前記第一回路基板は、前記ケースの長手方向または前記ケースの中心線を法線とする平面に対して、前記第一結像素子の光軸に対応した第一角度だけ傾いて配置されており、
前記第二回路基板は、前記平面に対して、前記第二結像素子の光軸に対応した第二角度だけ傾いて配置されている、ことを特徴とする口腔内測定装置。
【請求項2】
前記第一結像素子、前記第二結像素子、前記第一回路基板および前記第二回路基板を固定する固定部材をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内測定装置。
【請求項3】
前記固定部材は、さらに、前記光源を固定する、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔内測定装置。
【請求項4】
前記固定部材は、前記ケースの長手方向に突出した第一凸部と、前記ケースの長手方向に突出した第二凸部と、を有し、
前記第一回路基板は、前記第一凸部と嵌合する第一凹部を有し、
前記第二回路基板は、前記第二凸部と嵌合する第二凹部を有している、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔内測定装置。
【請求項5】
前記光源は、前記第一回路基板と前記第二回路基板との間に配置され、
前記固定部材は、前記光源から出力された前記照明光が通過する光導波路を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の口腔内測定装置。
【請求項6】
前記第一角度は、+α度であり、
前記第二角度は、-α度である、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、口腔内測定装置、とりわけ、三次元口腔スキャナに関する。
【0002】
口腔スキャナは、歯科患者の口腔内に挿入されて非接触式で歯をスキャニングすることで、歯列の三次元スキャニングモデルを生成する光学装置である。
【0003】
口腔スキャナとしては一台のカメラを使用する方式と二台以上のカメラを使用するステレオビジョン方式とが存在する。前者は、複数の異なるタイミングで取得された映像から三次元情報を生成する。後者は、二台のカメラを利用することで、前者よりも三次元情報の計算量を削減できるメリットを有する。しかし、ステレオビジョン方式では、原理的に二台以上のカメラを必要とするため、患者の口腔内にスキャナを入れにくなるという課題を有している。特許文献1によれば、ステレオビジョン方式の口腔スキャナにおいて、イメージングセンサの前段部に光経路変更部を配置することで、口腔内に挿入されるスキャナのカメラ部分を小さくすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2021-520979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のステレオビジョン方式の口腔スキャナでは、イメージングセンサとレンズとの間に光経路変更部が配置されなければならない。光経路変更部を通過すると光が減衰するため、イメージングセンサへの光量が減少し、検出精度が低下する。そこで、本発明は、従来技術よりも口腔内の検出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の口腔内測定装置は、
ケースと、
前記ケースの先端側に設けられた口腔内挿入部と、
前記口腔内挿入部に設けられた光の進行方向を偏向する偏向部材と、
前記偏向部材を通じて患者の口腔内を照明するための照明光を生成する光源と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第一経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第一結像素子と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第二経路を介して進行してきた光が通過するように配置された第二結像素子と、
前記第一結像素子を通過してきた前記光が結像する第一撮像素子と、
前記第一撮像素子が実装された第一回路基板と、
前記第二結像素子を通過してきた前記光が結像する第二撮像素子と、
前記第二撮像素子が実装された第二回路基板と、
を有し、
前記第一回路基板は、前記ケースの長手方向または前記ケースの中心線を法線とする平面に対して、前記第一結像素子の光軸に対応した第一角度だけ傾いて配置されており、
前記第二回路基板は、前記平面に対して、前記第二結像素子の光軸に対応した第二角度だけ傾いて配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、従来技術よりも口腔内の検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】三次元口腔スキャナを示す斜視図である。
図2】三次元口腔スキャナの断面図である。
図3】三次元口腔スキャナの断面図である。
図4】三次元口腔スキャナの斜視図である。
図5】三次元口腔スキャナの斜視図である
図6】イメージングボードの正面図である。
図7】イメージングボードとコントロールボードを説明する図である。
図8】三次元口腔スキャナのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1は三次元口腔スキャナ1の斜視図である。x方向は三次元口腔スキャナ1の長手方向を示す。z方向は三次元口腔スキャナ1の高さ方向を示す。y方向は三次元口腔スキャナ1の幅方向を示す。
【0011】
図1が示すように、実施形態に係る三次元口腔スキャナ1は、ケース10を含む。ケース10の一部である口腔内挿入部12が患者の口腔内へ挿入されたり、口腔から引き出されたりする。
【0012】
三次元口腔スキャナ1の、患者の口腔への挿入と口腔からの引き出しを容易とするために、口腔内挿入部12はできる限り長く且つスリムに形成されることが望ましいだろう。ケース10も最小の厚さで形成されることが好ましいだろう。本実施形態では、後述される構造が採用されるため、三次元口腔スキャナ1および口腔内挿入部12がスリム化される。
【0013】
このように、口腔内挿入部12が相対的にスリムに製作されているため、口腔内挿入部12の部分のみが患者の口腔内に挿入される。但し、喉側に近接した歯、または歯と唇との間の狭い空間に位置した歯の三次元データを確保しようとする場合、口腔内挿入部12の先端部が、測定対象となる歯の周辺に位置するように、口腔内挿入部12が挿入されてもよい。また、三次元口腔スキャナ1は、口腔内の何れか一地点にピントが合った2つのイメージデータを生成する。
【0014】
ケース10は、口腔内挿入部12と一体化されていてもよいが、ケース10と口腔内挿入部12とが分離可能に形成されていてもよい。後者の場合、ケース10の一端部に口腔内挿入部12が結合される。
【0015】
上部カバー11は、ケース10から着脱可能なカバーである。上部カバー11の中央には、パワースイッチ13が設けられている。パワースイッチ13は三次元口腔スキャナ1のオン/オフを切り替えるスイッチである。
【0016】
たとえば、ユーザがパワースイッチ13を指で押している状態では、三次元口腔スキャナ1の電源がオン状態となり、三次元口腔スキャナ1は患者の口腔内部のスキャニングを連続的に行う。ユーザがパワースイッチ13から指を離すと、電源がオフ状態となり、三次元口腔スキャナ1は、患者の口腔内部のスキャニングを中止する。
【0017】
図2が示すように、ケース10と上部カバー11とが三次元口腔スキャナ1の外装(筐体)を形成している。ケース10は、カメラマウンティング部50、カメラ制御ボード80、およびスキャニング制御ボード90を収容している。カメラマウンティング部50は、固定部材14を保持する。つまり、カメラマウンティング部50は、固定部材14を介して一対のレンズ20およびイメージングボード31a、32aを保持する。カメラ制御ボード80は、一対のレンズ20を制御するための電装部品(例:モータ)が実装された電子基板である。スキャニング制御ボード90は、イメージングボード31a、32aによりスキャニングされたイメージデータを処理するための電装部品(例:CPU)が実装された電子基板である。
【0018】
パワースイッチ13は、上部カバー11を貫通するように配置され、ケース10に収容されているカメラ制御ボード80に対する電源からの電力の供給をオン(ON)またはオフ(OFF)する。ケース10は、カメラ制御ボード80をさらに収容している。カメラ制御ボード80は、カメラマウンティング部50に結合されている。
【0019】
図2が示すように、三次元口腔スキャナ1の内部で生成された照明光は光経路17に沿って進行し、反射ミラー60によって偏向され、開口部16から出射して口腔内を照明する。反射ミラー60は、揺動可能なミラー(例:MEMSミラー)などであってもよい。MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略称である。
【0020】
図2が示すように、ケース10の内部には、一対のレンズ20が配置される。さらに、図3および図5が示すように、一対のレンズ20は、ケース10の幅方向(y方向)に離間して配置される二つのレンズ21、22を有する。一対のレンズ20は、ケース10の一端部(口腔内挿入部12の開口部16)から入射した光をそれぞれ異なる経路を通過させる。ここで、光とは、人の目で視ることができる可視光線領域の光である。また、光は、測定対象となる患者の口腔内部の様子を示す画像となる。しかし、「光」が必ずしも可視光線領域の光のみに限定される必要はない。「光」は、たとえば、赤外光であってもよい。赤外光は、一対のレンズ20により結像されて画像(赤外線イメージデータ)となる。
【0021】
図2および図3が示すように、反射ミラー60は、口腔内から開口部16を介して入射した光を偏向する。反射ミラー60からの光のうちある成分は第一経路51を通過してレンズ21に入射する。反射ミラー60からの光のうち別の成分は第二経路52を通過してレンズ22に入射する。レンズ21、22は、一対のレンズ20を形成している。
【0022】
光プロジェクタ70から出力される照明光は光経路17を通過して反射ミラー60に入射する。照明光は反射ミラー60により偏向されて、開口部16から出射して口腔内を照明する。光プロジェクタ70は、発光ダイオードなどの発光素子である。
【0023】
図3が示すように、レンズ21の光軸と、レンズ22の光軸とは反射ミラー60の付近で交差するように、ケース10の中心線に対して傾いている。そこで、本実施形態では、レンズ21の光軸とイメージングボード31aの法線とが略平行となるように、イメージングボード31aがy方向に対して+α度だけ傾いている。同様に、レンズ22の光軸とイメージングボード32aの法線とが略平行となるように、イメージングボード32aがy方向に対して-α度だけ傾いている。これにより、レンズ21とイメージングボード31aとの間に光経路変更部を設ける必要がなくなる。同様に、レンズ22とイメージングボード32aとの間に光経路変更部を設ける必要が無い。つまり、光を減衰させることなく、イメージングボード31a、32aに誘導することができるため、口腔内の測定精度が向上する。また、光経路変更部が不要となるため、三次元口腔スキャナ1をよりコンパクト化またはスリム化することが可能となろう。
【0024】
図3では、イメージングボード31a、32aが傾いて配置されているため、イメージングボード31a、32aが“>”の字形状を成しいているように見える。
【0025】
図4および図5は上部カバー11がケース10から取り外された状態を示している。ケース10の縁の上端部位には、多数のフック穴が形成されていてもよい。一方、上部カバー11の縁の内側面には、多数のフックが形成されていてもよい。フック穴にフックが嵌合することで、ケース10と上部カバー11とがしっかりと締結される。なお、上部カバー11にフック穴が形成され、ケース10にフックが形成されていてもよい。
【0026】
このように、ケース10に対して上部カバー11が簡便に着脱可能に形成されている。したがって、上部カバー11が外された状態であれば、カメラマウンティング部50の着脱及び組み立てが容易となる。上部カバー11を外すことで、三次元口腔スキャナ1の部品の交換と修理が容易となる。
【0027】
図4が示すように、固定部材14は、固定部材14から突出した凸部42を有している。イメージングボード31a、32aは、凸部42に対応した凹部36を有している。図4では、イメージングボード31a、32aは半円形状(三日月形状)をしており、まっすぐに伸びる弦の中央に凹部36が設けられている。凸部42が凹部36に嵌合することで、イメージングボード31a、32aが固定部材14に対して位置決めされる。イメージングボード31a、32aは、略x方向において、不図示のネジ等で固定部材14に固定されてもよい。ただし、図3が示すように、イメージングボード31a、32aは、x方向に対してα度だけ傾いて、固定部材14に対して固定される。これにより、レンズ21、22の光軸と、イメージングボード31a、32aとが直交する。
【0028】
図5が示すように、固定部材14の中央には光経路17が設けられていてもよい。これにより、光プロジェクタ70から出力された光が光経路17を通過して反射ミラー60へ誘導される。
【0029】
図5が示すように、固定部材14の端面に対して、レンズ21、22は突出していてもよい。つまり、レンズ21、22は棒状のレンズであってもよい。
【0030】
レンズ21、22が口腔内挿入部12の内側に重なるように配置されてもよい。この場合、口腔内挿入部12とケース10との間の隙間やケース10と上部カバー11との隙間を介した外部光が、一対のレンズ20に入射しにくくなる。これよりに、三次元口腔スキャナ1は外部光(外乱光)の影響を受けにくくなる。
【0031】
一対のレンズ20の他端部は、固定部材14を介して、カメラマウンティング部50に連結されてもよい。カメラマウンティング部50はケース10の内壁面に固定されている。
【0032】
図6が示すように、イメージングボード31a、32aはそれぞれイメージングセンサ31b、32bを有している。一対のレンズ20のうちレンズ21を通過してきた光はイメージングセンサ31bにより検出される。一対のレンズ20のうちレンズ22を通過してきた光はイメージングセンサ32bにより検出される。イメージングセンサ31b、32bはそれぞれ映像情報を作成する。レンズ21、22はレンズ21に対して結像素子として機能する。
【0033】
図6が示すように、イメージングボード31a、32aは独立している。イメージングボード31a、32aのほぼ中央にイメージングセンサ31b、32bが設けられている。コネクタ31c、32cはイメージングボード31a、32aをコントロールボード40(図7)に接続するためのコネクタである。
【0034】
イメージングボード31a、32aが離間しているのは、光プロジェクタ70からの出射光を通過させるための間隙を形成するためであってもよい。
【0035】
図7はイメージングボード31a、32aとコントロールボード40を横から見た図である。コントロールボード40は、カメラマウンティング部50、カメラ制御ボード80およびスキャニング制御ボード90の総称である。
【0036】
コネクタ31d、32dはコントロールボード40に実装されたコネクタであり、それぞれイメージングボード31a、32aのコネクタ31c、32cに嵌合し、電気的に導通する。CPU33は、三次元口腔スキャナ1の全体を統括的に制御するとともに、イメージングセンサ31b、32bから出力される映像信号に対して画像処理を施すプロセッサーである。測定者が、三次元口腔スキャナ1を用いて患者の口腔内を測定するために、ケース10の上部に備えられたパワースイッチ13を押すと、CPU33は、光プロジェクタ70に電力を供給し、光プロジェクタ70が発光を開始してもよい。光プロジェクタ70からの出射光は光経路17を通過し、さらに反射ミラー60により反射され、患者の口腔内に照射される。光経路17は、カメラマウンティング部50に形成された光導波管により実現されてもよい。
【0037】
ホストコネクタ34はCPU33で処理された画像(画像データ)をホストコンピュータ35(図8)に出力するコネクタである。画像データは、口腔内の三次元画像データであってもよいし、三次元画像データの元になる画像データであってもよい。後者の場合、ホストコンピュータ35が、口腔内の三次元画像データを生成する。
【0038】
図8は画像処理に関与する電子部品とホストコンピュータ35とを示すブロック図である。イメージングセンサ31b、32bは映像信号31e、32eをCPU33に出力する。CPU33は入力された映像信号31e、32eを処理してホストコンピュータ35へ出力する。ホストコネクタ34とホストコンピュータ35とはインターフェースケーブル37を介して接続されている。つまり、映像信号31e、32eは、ホストコネクタ34とインターフェースケーブル37を介してホストコンピュータ35へ送信される。
【0039】
三次元口腔スキャナ1は、ステレオビジョン方式を採用している。したがって、口腔内の画像は、一対のレンズ20(少なくとも2つのレンズ21、22)により同時に2つ以上のイメージデータとして確保される。CPU33またはホストコンピュータ35は、2つのレンズ21、22間の離隔距離と、2つのレンズ21、22により撮影された対象地点の距離または2つのレンズ21、22の焦点距離とから、口腔内の三次元映像データを作成できる。
【0040】
測定対象となる歯が、一対のレンズ20による画像のスキャン領域外である場合、CPU33がモータ71を駆動して一対のレンズ20の焦点距離を調整してもよい。あるいは、CPU33は、反射ミラー60の揺動角度を大きくしてもよい。これにより、測定が困難な部位の歯の画像をスキャンできるように、スキャン領域が拡大されてもよい。
【0041】
(その他)
2つのレンズ21、22は、焦点を調節可能なズームレンズであってもよい。CPU33は、モータ71等を駆動して2つのレンズ21、22の各焦点距離を調節するとともに、現在の焦点距離を管理してもよい。
【0042】
口腔内挿入部12の内部構造は、光ガイド構造を有してもよい。光ガイド構造は、入射光をレンズ21、22へ誘導したり、光プロジェクタ70からの出射光をケース10の外部へ誘導したりする。
【0043】
開口部16は、口腔内挿入部12の長さ方向(x方向)に直交する方向(+z方向または-z方向)に開口されるように形成されてもよい。図2では、開口部16に設けられた反射ミラー60によって、光軸がx方向から-z方向に曲げられている。そのため、開口部16の開口面の法線は、-z方向と平行である。
【0044】
本実施形態によれば、イメージングセンサ31b、32bがケース10の中心線(長手方向)に対して傾けて配置されている。そのため、イメージングセンサ31b、32bと一対のレンズ20との間に光経路変更部を設ける必要が無い。よって、光の減衰が起きにくくなり、口腔内の検出精度が向上する。また、光経路変更部がケース10内で占有していた内部空間を有効に活用することが可能となる。また、光経路変更部が不要となることで、部品コストが低減される。
【0045】
(実施形態から導き出される技術思想)
[観点1]
ケース(例:ケース10)と、
前記ケースの先端側に設けられた口腔内挿入部(例:口腔内挿入部12)と、
前記口腔内挿入部に設けられた光の進行方向を偏向する偏向部材(例:反射ミラー60)と、
前記偏向部材を通じて患者の口腔内を照明するための照明光を生成する光源(例:光プロジェクタ70)と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第一経路(例:第一経路51)を介して進行してきた光が通過するように配置された第一結像素子(例:レンズ21)と、
前記口腔内から前記偏向部材を介して前記ケース内に取り込まれた光のうち第二経路(例:第二経路52)を介して進行してきた光が通過するように配置された第二結像素子(例:レンズ22)と、
前記第一結像素子を通過してきた前記光が結像する第一撮像素子(例:イメージングセンサ31b)と、
前記第一撮像素子が実装された第一回路基板(例:イメージングボード31a)と、
前記第二結像素子を通過してきた前記光が結像する第二撮像素子(例:イメージングセンサ32b)と、
前記第二撮像素子が実装された第二回路基板(例:イメージングボード32a)と、
を有し、
前記第一回路基板は、前記ケースの長手方向または前記ケースの中心線を法線とする平面に対して、前記第一結像素子の光軸に対応した第一角度(例:+α度)だけ傾いて配置されており、
前記第二回路基板は、前記平面に対して、前記第二結像素子の光軸に対応した第二角度(例:-α度)だけ傾いて配置されている、ことを特徴とする口腔内測定装置。
【0046】
たとえば、図3が示すように、イメージングセンサ31b、32bがケース10の中心線(長手方向)に対して傾けて配置される。これにより、イメージングセンサ31b、32bと一対のレンズ20との間に光経路変更部を設ける必要がなくなる。よって、光の減衰が起きにくくなり、口腔内の検出精度が向上する。また、光経路変更部がケース10内で占有していた内部空間を有効に活用することが可能となる。また、光経路変更部が不要となることで、部品コストが低減される。
【0047】
[観点2]
前記第一結像素子、前記第二結像素子、前記第一回路基板および前記第二回路基板を固定する固定部材(例:固定部材14)をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内測定装置。
【0048】
固定部材14を採用することで、レンズ21、22に対するイメージングボード31a、32aの角度を安定的維持することが可能となる。
【0049】
[観点3]
前記固定部材は、さらに、前記光源を固定する、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔内測定装置。
【0050】
図4が示すように、固定部材14が光プロジェクタ70を固定してもよい。これにより、安定して口腔内を照明できるようになる。また、ケース10をスリム化することが可能となる。
【0051】
[観点4]
前記固定部材は、前記ケースの長手方向に突出した第一凸部(例:一方の凸部42)と、前記ケースの長手方向に突出した第二凸部(例:他方の凸部42)と、を有し、
前記第一回路基板は、前記第一凸部と嵌合する第一凹部(例:一方の凹部36)を有し、
前記第二回路基板は、前記第二凸部と嵌合する第二凹部(例:他方の凹部36)を有している、ことを特徴とする請求項2に記載の口腔内測定装置。
【0052】
これにより、精度よく、固定部材14に対してイメージングボード31a、32aを固定することが可能となる。つまり、光軸とイメージングセンサ31b、32bとの関係を理想状態に維持しやすくなる。
【0053】
[観点5]
前記光源は、前記第一回路基板と前記第二回路基板との間に配置され、
前記固定部材は、前記光源から出力された前記照明光が通過する光導波路(例:光経路17)を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の口腔内測定装置。
【0054】
光プロジェクタ70がイメージングボード31a、32bとの間に配置されるため、ケース10を小型化およびスリム化することが可能となる。
【0055】
[観点6]
前記第一角度は、+α度であり、
前記第二角度は、-α度である、ことを特徴とする請求項1に記載の口腔内測定装置。
【0056】
このような対称構造を採用することで、部品の共用化が実現され、製造コストが削減可能となる。
【0057】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。
【0058】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、かかる実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それらと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきであろう。
【0059】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1:三次元口腔スキャナ、10:ケース、12:口腔内挿入部、60:反射ミラー、70:光プロジェクタ、21,22:レンズ、31b,32b:イメージングセンサ、31a,32a:イメージングボード
図1
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図8