(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037388
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電池、および電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/553 20210101AFI20240312BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20240312BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240312BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20240312BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/567
H01M50/531
H01M50/557
H01M50/566
H01M50/55 101
H01G11/74
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142223
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山元 翔太
【テーマコード(参考)】
5E078
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AB02
5E078HA05
5E078KA01
5E078KA03
5E078KA04
5E078KA08
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA04
5H043EA15
5H043EA18
5H043HA08E
5H043HA13D
5H043HA13E
5H043HA16D
5H043HA16E
5H043HA17D
5H043HA17E
5H043JA01D
5H043JA02D
5H043KA07E
5H043KA08E
5H043LA22D
5H043LA22E
(57)【要約】
【課題】端子と他の導電部材との接続部の信頼性をより向上させる技術を提供する。
【解決手段】ここで開示される技術によると、第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、上記端子に接続される第3導電部材と、を備える電池が提供される。上記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有している。上記カシメ部は、上記第3導電部材に対してかしめられている。上記第1導電部材は、貫通孔を有している。上記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、上記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、
前記端子に接続される第3導電部材と、
を備える電池であって、
前記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有しており、
前記カシメ部は、前記第3導電部材に対してかしめられており、
前記第1導電部材は、貫通孔を有しており、
前記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、前記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている、電池。
【請求項2】
前記第1導電部材は、板状であり、
前記第2導電部材は、フランジ部を有しており、
前記端子は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とが機械的に固定された締結部を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記端子は、前記締結部から離れた位置に、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とが金属接合された金属接合部を有する、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1導電部材は、前記第2導電部材の前記フランジ部の少なくとも一部を収容する凹部を有しており、
前記締結部では、前記凹部の内壁が、前記第2導電部材のうちの、該凹部に収容された部分で固定されている、請求項2または3に記載の電池。
【請求項5】
前記位置決め部は、凸部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、
前記端子に接続される第3導電部材と、
を備える電池の製造方法であって、
前記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有しており、
該製造方法は、
前記カシメ部を、前記第3導電部材に設けられた貫通孔に挿入することと、
前記挿入の後、前記位置決め部を位置決め治具と当接させた状態で、前記カシメ部を前記第3導電部材に対してかしめることと、
を包含する、製造方法。
【請求項7】
前記第1導電部材は、貫通孔を有しており、
前記第1導電部材の前記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、前記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1導電部材は、板状であり、
前記第2導電部材は、フランジ部を有しており、
該製造方法は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを機械的に固定して締結部を形成することを包含する、請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記締結部から離れた位置に、前記第1導電部材と前記フランジ部とを接合して金属接合部を形成することを包含する、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1導電部材は、前記第2導電部材の前記フランジの少なくとも一部を収容する凹部を有しており、該凹部に前記第2導電部材の一部を挿入し、該凹部の内壁を、第2導電部材のうちの当該凹部に収容された部分で固定することによって前記締結部を形成する、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記金属接合部は、平面視において、前記締結部よりも前記フランジ部の中心側に形成される、請求項9に記載の製造方法。
【請求項12】
前記位置決め部は、凸部である、請求項6または7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池、および電池の製造方法および電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等の二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)等の車両に搭載される駆動用電源として好適に用いられている。
【0003】
これに関して、二次電池は、例えば、発電要素としての電極体の電極に接続される端子を備えている。端子は、例えば、2つ以上の部材を組み合わせることによって形成されることがある。例えば特許文献1では、板状の第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続されるフランジ部を有する第2導電部材と、を有する端子を備える二次電池が開示されている。かかる端子として、1導電部材と第2導電部材のフランジ部とを機械的に固定する締結部と、締結部から離れた位置で、第1導電部材と第2導電部材のフランジ部とを金属接合する金属接合部と、を有する端子を用いることが提案されている。同公報には、連結方法が相互に異なる締結部と金属接合部とを備えることによって、外部からの振動や衝撃等が加わってもひずみが生じにくくなるため、第1導電部材と第2導電部材との導通信頼性が向上し得ると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、端子と電極体との接続には、他の導電部材(上記公報では、正極リード部材および負極リード部材)を介することがある。本発明者は、端子と他の導電部材との接続部の信頼性をより高めたいと考えた。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、端子と他の導電部材との接続部の信頼性をより向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される技術によると、第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、上記端子に接続される第3導電部材と、を備える電池が提供される。上記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有している。上記カシメ部は、上記第3導電部材に対してかしめられている。上記第1導電部材は、貫通孔を有している。上記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、上記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている。
【0008】
かかる構成の電池では、第2導電部材が位置決め部を有することによって、カシメ部を所望する位置に保持することができる。この状態で、第3導電部材に対してカシメ部をかしめることができるため、カシメ部で望まない変形が生じるのを抑制することができる。このため、端子と他の導電部材との接続部の信頼性を向上させることができる。
【0009】
また、ここで開示される技術によると、第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、上記端子に接続される第3導電部材と、を備える電池の製造方法が提供される。上記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有している。該製造方法は、上記カシメ部を、上記第3導電部材に設けられた貫通孔に挿入することと、上記挿入の後、上記位置決め部を位置決め治具と当接させた状態で、上記カシメ部を上記第3導電部材に対してかしめることと、を包含する。
【0010】
かかる構成の製造方法では、位置決め部を位置決め治具と当接させた状態で、該カシメ部を第3導電部材に対してかしめている。位置決め部を位置決め治具と当接させることによって、カシメ部を押圧する押圧部材に対して、カシメ部の位置を定めやすくなる。このため、カシメ部で望まない変形が生じるのを抑制することができ、延いては、端子と他の導電部材との接続部の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3は、負極端子40の近傍の部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、取付工程における負極端子40近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、ここで開示される電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特にここで開示される技術を限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、数値範囲を示す「A~B」の表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。
【0013】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタをも包含する。以下では、上述した二次電池の一例として、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、二次電池を単に「電池」とも称する。
【0014】
図1は、電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。なお、以下の説明において、図面中の符号L、R、U、Dは、左、右、上、下を表す。また、図面中の符号Xは、電池100の幅広面の長辺方向を示し、符号Yは、電池100の幅広面の短辺方向を示し、符号Zは、電池100の上下方向を示す。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0015】
図2に示されているように、電池100は、電極体10と、電池ケース20と、正極端子30と、負極端子40と、を備えている。電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解質を備えている。電池100は、電極体10と図示しない電解質とが電池ケース20に収容されて構成されている。
【0016】
電極体10は従来と同様でよく、特に制限はない。電極体10は、図示されない正極および負極を有する。電極体10は、例えば、帯状の正極と帯状の負極とが帯状のセパレータを介して絶縁された状態で積層され、捲回軸を中心として捲回されてなる扁平な捲回電極体である。ただし、電極体10は、方形状(例えば、矩形状)の正極と方形状(例えば、矩形状)の負極とが絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。正極は、正極集電体11と、正極集電体11上に固着された、図示されない正極合剤層と、を有する。正極集電体11は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成され得る。正極合剤層は、正極活物質(例えば、リチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。負極は、負極集電体12と、負極集電体12上に固着された、図示されない負極合剤層と、を有する。負極集電体は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成され得る。負極合剤層は、負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。
【0017】
図2に示されているように、電極体10の長辺方向Xの中央部分には、正極合剤層と負極合剤層とが絶縁された状態で積層された積層部分が形成されている。一方、電極体10の長辺方向Xの左端部には、正極合剤層の形成されていない正極集電体11の一部分(正極集電体露出部)が積層部分からはみ出している。正極集電体露出部には、正極リード部材13が付設されている。正極リード部材13は、正極集電体11と同じ金属材料、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成されてもよい。また、電極体10の長辺方向Xの右端部には、負極合剤層の形成されていない負極集電体12の一部分(負極集電体露出部)が積層部分からはみ出している。負極集電体露出部には、負極リード部材14が付設されている。負極リード部材14の材質(金属種)は正極リード部材13と異なっていてもよい。負極リード部材14は、負極集電体12と同じ金属種、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成されてもよい。
【0018】
電解質は従来と同様でよく、特に制限はない。電解質は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水系の液状電解質(非水電解液)である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解質は固体状(固体電解質)で、電極体10と一体化されていてもよい。
【0019】
電池ケース20は、電極体10を収容する筐体である。電池ケース20は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)に形成されている。ただし、電池ケース20の形状は角形に限定されず、円柱等の任意の形状であってよい。電池ケース20の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース20は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の軽量で熱伝導性の良い金属材料で構成されている。
図2に示されているように、電池ケース20は、開口部22hを有するケース本体22と、開口部22hを塞ぐ蓋体(封口板)24と、を備えている。電池ケース20は、ケース本体22の開口部22hの周縁に蓋体24が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース20は、気密に封止(密閉)されている。
【0020】
ケース本体22は、平板状の底面22dを有する。蓋体24は、ケース本体22の底面22dに対向している。蓋体24は、ケース本体22の開口部22hを塞ぐようにケース本体22に取り付けられている。蓋体24は、ここでは略矩形状である。なお、本明細書において「略矩形状」とは、完全な矩形状(長方形状)に加えて、例えば、矩形状の長辺と短辺とを接続する角部がR状になっている形状や、角部に切り欠きを有する形状等をも包含する用語である。
【0021】
図1に示されているように、正極端子30および負極端子40は、電池ケース20の外部に突出している。正極端子30および負極端子40は、ここでは、電池ケース20の同じ面(ここでは、蓋体24)からそれぞれ突出している。ただし、正極端子30および負極端子40は、電池ケース20の異なる面からそれぞれ突出していてもよい。正極端子30および負極端子40は、蓋体24の長辺方向Xの両端部分に配置されている。
【0022】
正極端子30は、電池ケース20の内部で正極リード部材13を介して電極体10の正極と電気的に接続されている。負極端子40は、電池ケース20の内部で、負極リード部材14を介して電極体10の負極と電気的に接続されている。正極端子30および負極端子40は、それぞれ、蓋体24に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、それぞれ、ガスケット50(
図3参照)とインシュレータ60(
図3参照)とを介して蓋体24とは絶縁されている。
【0023】
図3は、負極端子40の近傍の部分拡大断面図である。以下では、負極端子40の側の端子構造を例に挙げて説明するが、正極端子30の側の端子構造についても同様であってよい。その場合、以下の記載において、「負極」の箇所を適宜「正極」と読み替えることができる。
【0024】
図3に示されているように、蓋体24には、上下方向Zに貫通した端子引出孔24hが形成されている。平面視において、端子引出孔24hは、例えばリング状である。端子引出孔24hは、後述する負極端子40のかしめ加工前の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。端子引出孔24hは、後述する負極端子40のフランジ部42fよりも小さく形成されている。
【0025】
負極リード部材14は、負極集電体12の負極集電体露出部に付設され、負極と負極端子40とを電気的に接続する導通経路を構成している。負極リード部材14は、蓋体24の内側の表面に沿って水平に広がった平板状部分14fを有する。平板状部分14fには、端子引出孔24hに対応する位置に、貫通孔14hが形成されている。貫通孔14hは、後述する負極端子40のかしめ加工前の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。負極リード部材14は、かしめ加工によって、インシュレータ60を介して絶縁された状態で蓋体24に固定されている。なお、負極リード部材14は、ここで開示される電池における「第3導電部材」の一例である。以下の説明において、「負極リード部材14」を「第3導電部材14」とも称することがある。
【0026】
ガスケット50は、蓋体24の上面(外側の面)と負極端子40との間に配置される絶縁部材である。ガスケット50は、ここでは蓋体24と負極端子40とを絶縁するとともに、端子引出孔24hを閉じる機能を有する。ガスケット50は、電気絶縁性を有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS);脂肪族ポリアミド;等で構成されている。
【0027】
ガスケット50は、筒部51と基部52とを有する。筒部51は、蓋体24と負極端子40の軸柱部42sとの直接接触を防止する部位である。筒部51は、中空の円筒形状である。筒部51は、上下方向Zに貫通した貫通孔51hを有する。貫通孔51hは、かしめ加工前の負極端子40の軸柱部42sを挿通可能なように形成されている。筒部51は、蓋体24の端子引出孔24hに挿通されている。基部52は、蓋体24と、後述する負極端子40のフランジ部42fと、の直接接触を防止する部位である。基部52は、筒部51の上端に連結している。基部52は、筒部51の上端から水平方向に延びている。基部52は、蓋体24の端子引出孔24hを囲むように、例えばリング状に形成されている。基部52は、蓋体24の上面に沿って延びている。基部52は、負極端子40のフランジ部42fの下面42dと、蓋体24の上面との間に挟み込まれ、かしめ加工によって上下方向Zに圧縮されている。
【0028】
インシュレータ60は、蓋体24の下面(内側の面)と負極リード部材14との間に配置される絶縁部材である。インシュレータ60は、蓋体24と負極リード部材14とを絶縁する機能を有する。インシュレータ60は、蓋体24の内面に沿って水平に広がった平板状部分を有する。この平板状部分には、端子引出孔24hに対応する位置に貫通孔60hが形成されている。貫通孔60hは、負極端子40の軸柱部42sを挿通可能な大きさの内径を有する。インシュレータ60は、使用する電解質に対する耐性と電気絶縁性とを有し、弾性変形が可能な樹脂材料、例えば、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素化樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS);等で構成されている。インシュレータ60の平板状部分は、蓋体24の下面と負極リード部材14の上面との間に挟み込まれ、かしめ加工によって、上下方向Zに圧縮されている。
【0029】
負極端子40は、端子引出孔24hを挿通して電池ケース20の内部から外部へと延びている。
図3に示されているように、負極端子40は、かしめ加工によって、蓋体24と絶縁された状態で、蓋体24の端子引出孔24hを囲む周縁部分にかしめられている。負極端子40は、かしめ加工により、蓋体24に固定されるとともに、負極リード部材14(第3導電部材14)と電気的に接続されている。
【0030】
図4は、負極端子40の平面図である。
図5は、
図4のV-V断面図である。
図4および
図5には、蓋体24に取り付けられる前の負極端子40の構成が模式的に示されている。
図3~
図5に示されているように、負極端子40は、第1導電部材41と、第2導電部材42とを有している。
【0031】
第1導電部材41は、電池ケース20の外部に配置される部材である。第1導電部材41は、ここでは金属製である。第1導電部材41は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成されている。第1導電部材41は、ここではアルミニウム製、または、アルミニウム合金製である。
図3~
図5に示されているように、第1導電部材41は、板状(例えば平板状)である。第1導電部材41は、ここでは略矩形状である。
図5に示されているように、第1導電部材41は、下面41dと、上面41uと、を有する。下面41dは、電池ケース20(ここでは蓋体24)と対向する側の面である。上面41uは、電池ケース20(ここでは蓋体24)と反対側の面であり、下面41dの反対側の面である。
図4に示されているように、第1導電部材41は、接続部41aと、延伸部41bと、を有する。接続部41aと延伸部41bは、長辺方向Xに、同方向の中央線CL1によって区分けされた部位である。
【0032】
接続部41aは、例えば、第2導電部材42と電気的に接続される部位である。
図4および
図5に示されているように、接続部41aは、薄肉部41tと、貫通孔41hと、凹部41rと、を有している。
図4に示されているように、薄肉部41tは、平面視においてリング状に設けられている。薄肉部41tは、延伸部41bよりも厚みが薄く形成された部位である。薄肉部41tは、ここでは、金属接合部45を有している。
図5に示されているように、貫通孔41hは、上下方向Zに貫通した部位であり、平面視においてリング状に設けられている(
図4参照)。第1導電部材41の上面41uには、貫通孔41hから第2導電部材42(ここでは、フランジ部42f)が露出している。
図5に示されているように、貫通孔41hは、薄肉部41tの中央に設けられている。
図5に示されているように、貫通孔41hは、締結部43および金属接合部45よりも内周側に設けられている。貫通孔41hは、溶接の際に発生するガス、熱等の逃げ道として機能し得る。凹部41rは、下面41dから凹んだ部位である。図示は省略しているが、凹部41rは、平面視においてリング状に設けられている。凹部41rは、金属接合部45よりも外周側に設けられている。凹部41rは、ここでは、下面41dに向かって(言い換えれば、第2導電部材42に近づくほど)縮径するテーパ形状に形成されている。凹部41rには、後述する第2導電部材42のくびれ部42nが挿入されている。
【0033】
延伸部41bは、例えば、接続部41aから長辺方向Xの一方側(
図3~
図5の左方)に延びた部位である。延伸部41bは、例えば、複数の電池100を相互に電気的に接続して組電池)を作製する場合に、バスバーが付設される部位である。
【0034】
第2導電部材42は、電池ケース20の内部から外部へと延びる部材である。第2導電 部材42は、ここでは金属製である。第2導電部材42は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属で構成されている。第2導電部材42は、ここでは銅製、または、銅合金製である。
図5に示されているように、第2導電部材42は、フランジ部42fと、軸柱部42sと、を有している。フランジ部42fと軸柱部42sとは、例えば、上下方向Zに区分けされた部位である。ここでは、第2導電部材42は、上下方向Zの一方の端部に軸柱部42sを有し、他方の端部にフランジ部42fを有している。
【0035】
フランジ部42fは、例えば、第1導電部材41と電気的に接続される部位である。
図5に示されているように、フランジ部42fは、軸柱部42sよりも外形が大きい。また、フランジ部42fは、蓋体24の端子引出孔24hよりも外形が大きい。フランジ部42fは、蓋体24の端子引出孔24hから電池ケース20の外部に突出している。
図5に示されているように、フランジ部42fは、略円柱形状である。ここでは、フランジ部42fの軸心は、第2導電部材42の軸心と一致している。また、フランジ部42fは、上面42uと、下面42dと、下面42dから上方に延びる側面(外周面)42oと、側面42oの一部がくびれたくびれ部42nと、を有する。上面42uは、ここでは、フランジ部42fの上端部である。下面42dは、ここでは、フランジ部42fの下端部である。なお、フランジ部42fは、ここで開示される電池における「他方の端部」の一例である。また、フランジ部42fの上面42uは、ここで開示される電池における「他方の端部の外面」の一例である。
【0036】
図5に示されているように、くびれ部42nは、フランジ部42fの側面42oの一部に、連続的あるいは間欠的に設けられている。図示は省略しているが、くびれ部42nは、平面視においてリング状である。くびれ部42nがリング状に設けられていると、例えば、締結部43の強度を高めることができる。くびれ部42nは、フランジ部42fの軸心に対して、対称に設けられている。くびれ部42nは、上面41uに向かって(言い換えれば、軸柱部42sから離れるほど)拡径するテーパ形状に形成されている。くびれ部42nは、第1導電部材41の凹部41rに挿入されている。ここでは、くびれ部42nは、第1導電部材41の凹部41rに嵌入され、凹部41rと嵌合している。くびれ部42nは、ここで開示される電池における「凹部41rに収容された部分」の一例である。
【0037】
軸柱部42sは、例えば、フランジ部42fの下端部に連結する部位である。
図5に示されているように、軸柱部42sは、フランジ部42fの下端部から下方に延びている。軸柱部42sは、ここでは、下端部にカシメ部42cを有している。ここでは、軸柱部42sの軸心は、フランジ部42fの軸心と一致している。かしめ加工前では、カシメ部42cは、中空状である。カシメ部42cは、ここでは、フランジ部42fと反対側の端部である。
図3に示されているように、軸柱部42sは、負極端子40が蓋体24に取り付けられる際に、蓋体24の端子引出孔24hに挿通される。カシメ部42cは、例えば、負極端子40が蓋体24に取り付けられる際に、かしめ加工によって押し広げられ、第3導電部材14に固定される。軸柱部42sは、かしめ加工によって、電池ケース20の内部で第3導電部材14と電気的に接続される。なお、軸柱部42sは、ここで開示される電池における「一方の端部」の一例である。
【0038】
図5に示されているように、負極端子40は、締結部43を有している。締結部43は、例えば、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを機械的に固定する連結部である。締結部43は、ここでは、平面視において金属接合部45よりもフランジ部42fの外周側に設けられている。締結部43は、平面視においてリング状に形成されている。締結部43は、ここでは、連続的に形成されている。特に限定されるものではないが、締結部43は、ここでは、第1導電部材41の下面41dに設けられている。例えば、締結部43は、第1導電部材41の凹部41rの内壁が第2導電部材42のくびれ部42nで固定(例えば押圧固定)されることによって構成されている。締結部43を設けることによって、第1導電部材41と第2導電部材42との接続をより強固なものとすることができる。このため、負極端子40の導通信頼性を向上させることができる。
【0039】
締結部43の形成方法は、力学的エネルギーによる機械的接合であれば特に限定されず、例えば、圧入、焼きばめ、かしめ、リベット、折り込み、ボルト接合等であってよい。締結部43は、第1導電部材41の凹部41rと第2導電部材42のくびれ部42nとが嵌合された嵌合部である。締結部43は、例えば、第2導電部材42のくびれ部42nが圧入によって第1導電部材41の凹部41rに嵌合された圧入嵌合部であってもよい。
【0040】
図5に示されているように、負極端子40は、締結部43から離れた位置に、金属接合部45を有する。金属接合部45は、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとが金属接合された部位である。金属接合部45は、ここでは第1導電部材41の上面41uに設けられている。金属接合部45は、貫通孔41hから離れた位置に設けられている。金属接合部45は、貫通孔41hよりも外周側に設けられている。金属接合部45は、例えば締結部43に比べて、相対的に剛性が高い接合部であり得る。金属接合部45を設けることによって、第1導電部材41と第2導電部材42との接続をより強固なものとすることができる。このため、負極端子40の導通信頼性を向上させることができる。
【0041】
金属接合部45は、ここでは、平面視において締結部43よりもフランジ部42fの内周側(中心側)に設けられている。金属接合部45は、光エネルギー、電子エネルギー、熱エネルギー等を用いて形成され得る。このため、締結部43に比べて相対的に強度が低い(脆い)接合部であり得る。金属接合部45を締結部43の内周側に配設することで、金属接合部45を安定して維持し、長期にわたって負極端子40の導通信頼性を高めることができる。金属接合部45は、ここでは、薄肉部41tに設けられている。金属接合部45は、連続的あるいは間欠的に形成されている。金属接合部45は、フランジ部42fの軸心に対して、軸対称に形成されている。金属接合部45は、ここでは、平面視においてリング状に形成されている。
【0042】
金属接合部45は、特に限定するものではないが、例えば、融接、圧接、ろう接等によって形成され得る。接合強度を高める観点から、金属接合部45は、例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接、超音波溶接、抵抗溶接、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接等によって形成された溶接接合部であることが好ましい。ただし、金属接合部45は、溶接以外の方法、例えば、熱圧着、超音波圧接、蝋付け等で形成されていてもよい。
【0043】
ところで負極端子40と第3導電部材14との接続では、例えば、まず、第2導電部材42が取り付けられた第1導電部材41を治具で保持し、蓋体24の端子引出孔24h、ガスケット50の貫通孔51h、インシュレータ60の貫通孔60h、および、第3導電部材14の貫通孔14hの順にカシメ部42cを挿入する。次いで、カシメ部42cを押圧部材で押圧して、負極端子40を第3導電部材14に対してかしめる。かしめでは、例えば、第1導電部材41の貫通孔14hの中心線(
図5中の中心軸C参照)に沿ってカシメ部42cを押圧する場合がある。このとき、第1導電部材41の貫通孔14hの中心線と、軸柱部42sの中心線(ここでは、軸心)とがずれた状態で押圧を行うと、カシメ部42cに望まない変形が生じてしまい、かしめ加工が適切に施されないことがある。かしめ加工が適切に施されないと、負極端子40と第3導電部材14との接続の信頼性が低下し、延いては、負極端子40と電極体10の負極との接続の信頼性が低下する懸念がある。このため、本発明者は、負極端子40の構成について検討を重ねた。
【0044】
図5に示されているように、フランジ部42fは、上端部の外面(ここでは、上面42u)に位置決め部42pを有している。位置決め部42pは、例えば、負極端子40を第3導電部材14に対してかしめる際に、第3導電部材14を保持する位置決め治具P(
図6参照)と連携する部位である。位置決め部42pは、軸柱部42sの軸心上に設けられていることが好ましい。位置決め部42pは、フランジ部42fの軸心上(第2導電部材の軸心上)に設けられていることが好ましい。
【0045】
第1導電部材41の貫通孔41hの中心軸C方向に沿って見たとき、例えば、位置決め部42pは、貫通孔41hと重なるように設けられている。例えば、位置決め部42pは、貫通孔41hの中心軸C上に設けられている。ここでは、位置決め部42pの軸心と、貫通孔41hの中心軸Cとが一致している。貫通孔14hの中心軸、フランジ部42fの軸心、位置決め部42pの軸心、および、軸柱部42sは、例えば、
図4に示された中央線CL2上にあるとよい。中央線CL2は、第1導電部材41の短辺方向Yの中央線である。
【0046】
位置決め部42pは、
図3および
図5に示されているように、凸部である。ここでは、位置決め部42pは、上面42uから電池ケース20の外に向かって突出している。位置決め部42pを凸状とすることによって、後述する位置決め治具Pの第1支持部P2(
図6参照)を凹部とすることができる。このため、第1支持部P2が破損するリスクを低減することができる。延いては、より安定的に、負極端子40と第3導電部材14との接続部の信頼性が高められた電池を製造することができる。
【0047】
特に限定するものではないが、電池高さが大きくなりすぎないようにする観点、位置決め部42pに外部負荷がかかりにくくする観点、電池100を単電池として備える組電池の成形性(例えば、バスバーの取り付け容易性)の観点等から、
図3および
図5に示されているように、凸状の位置決め部42pは、第1導電部材の上面41uから飛び出していないことが好ましい。ただし、他の実施形態において、凸状の位置決め部42pは、第1導電部材の上面41uから飛び出していてもよい。位置決め部42pが第1導電部材41の上面41uから飛びだしていると、例えば、位置決め部42pを位置決め治具P(
図6参照)の第1支持部P2に嵌め込みやすくなる。
【0048】
また、特に限定するものではないが、第1導電部材41による干渉を抑制する観点から、位置決め部42pと第1導電部材41(例えば、貫通孔41hの内壁)とが接触していないことが好ましい。かかる観点から、貫通孔41hの内径を1としたときに、位置決め部42pの径は、例えば0.8以下であり、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましい。一方で、位置決め部42pの径が小さすぎると、例えば負極端子40を位置決め治具P(
図6参照)に取り付けにくくなる虞がある。かかる観点から、貫通孔41hの内径を1としたときに、位置決め部42pの径は、例えば0.2以上であり、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。ただし、他の実施形態において、貫通孔41hの内径と位置決め部42pの径とが同じであってもよい。この場合、位置決め治具P(
図6参照)と連携しやすくする観点から、凸状の位置決め部42pは、第1導電部材の上面41uから飛び出していることが好ましい。
【0049】
位置決め部42pの形状は、ここでは、平面視において真円である。これによって、負極端子40を位置決め治具P(
図6参照)に取り付けやすくすることができる。一方で、負極端子40を位置決め治具P(
図6参照)に取り付けた後の安定性を高める観点から、位置決め部42pの形状は、例えば、平面視において、楕円;長穴;四角形;五角形、六角形、七角形、八角形等の多角形;等であってもよい。
【0050】
また、特に限定するものではないが、位置決め治具に負極端子40を取り付けた際に、かかる取り付けを安定的なものとする観点から、位置決め部42pは、ストレート部STを有することが好ましい(
図5参照)。ストレート部STは、例えば、位置決め部42pの基端Bから位置決め部42pが延びた方向に沿って設けられた部位である。ストレート部STは、例えば、凸部、凹部等が設けられていない平坦な部位であるとよい。位置決め部42pが延びた方向における位置決め部42pの長さを1としたときに、ストレート部STの長さは、例えば、0.8~0.9であるとよい。また、負極端子40を位置決め治具P(
図6参照)により容易に取り付ける観点から、位置決め部42pの先端には、C面あるいはR面が形成されていてもよい。
【0051】
以下、電池100を製造する方法について説明する。電池100の製造方法は、ここでは、カシメ部42cを、第3導電部材14に設けられた貫通孔14hに挿入することと、挿入の後、位置決め部42pを位置決め治具P(
図6参照)と当接させた状態で、カシメ部42cを第3導電部材14に対してかしめることと、を包含する。電池100の製造方法は、例えば、用意工程と、取付工程と、接合工程と、を包含する。用意工程では、例えば、負極端子40を用意する。用意工程は、例えば、締結工程と、金属接合工程とのサブステップをこの順序で含み得る。
【0052】
締結工程では、例えば、第1導電部材41と第2導電部材42のフランジ部42fとを、機械的に固定して、締結部43を形成する。締結部43は、例えば、第1導電部材41の凹部41rに第2導電部材42のくびれ部42nを挿入し、第2導電部材42のくびれ部42nの外形に沿って第1導電部材41の凹部41rを変形させることで、凹部41rの内壁を第2導電部材42で固定することにより形成することができる。これによって、締結部43の強度を向上させることができる。締結部43は、第1導電部材41の凹部41rと第2導電部材42のくびれ部42nとを嵌合することで形成されるとよい。例えば、第1導電部材41の凹部41rに第2導電部材42のくびれ部42nを水平圧入することで形成することができる。これにより、締結工程の作業性を向上することができる。
【0053】
金属接合工程では、例えば、第1導電部材41の薄肉部41tと第2導電部材42のフランジ部42fとを金属接合して、金属接合部45を形成する。締結工程の後に金属接合工程を行うことで、形状の安定した金属接合部45を精度よく形成することができる。金属接合部45は、例えば、第1導電部材41の薄肉部41tと第2導電部材42のフランジ部42fとが積層された箇所を、薄肉部41tを貫通するように溶接することによって形成することができる。溶接により、高強度の金属接合部45を安定して形成することができる。なお、溶接の際に発生したガスや熱は、貫通孔41hから放出・拡散され得る。貫通孔41hによって、薄肉部41tとフランジ部42fとの間にガス、熱等が滞留するのを抑制することができる。
【0054】
例えば、金属接合部45は、平面視において、締結部43よりもフランジ部42fの中心側に形成されることが好ましい。これによって、接合箇所がずれにくくなり、金属接合工程の作業性を向上することができる。また、溶接によって金属接合部45を形成する場合には、溶接箇所がぐらつきにくくなり、溶接性を向上することができる。さらに、薄肉部41tを溶接する場合には、エネルギーが少なくて済み、溶接性を向上することができる。
【0055】
取付工程では、例えば、蓋体24に、正極端子30と、正極リード部材13と、負極端子40と、負極リード部材14(第3導電部材14)と、を取り付ける。負極端子40と第3導電部材14とは、例えば、かしめ加工(リベッティング)によって蓋体24に固定する。例えば、カシメ部42cを、蓋体24の端子引出孔24h、ガスケット50の貫通孔51h、インシュレータ60の貫通孔60h、および、第3導電部材14の貫通孔14hに、この順で挿入し、かつ、貫通孔14hの外部に突出させる。そして、貫通孔14hから突出したカシメ部42cに対して、上下方向Zから圧縮力を加える。
【0056】
図6は、取付工程における負極端子40近傍の断面図である。
図6には、カシメ部42cを第3導電部材14に対してかしめる前の断面図が示されている。
図6に示されているように、カシメ部42cを上記各部材の各貫通孔に挿入した状態の負極端子40について、第1導電部材41を位置決め治具P上に配置する。位置決め治具Pとしては、例えば、凹部P1と、第1支持部P2と、第2支持部P3と、を有する治具を用いるとよい。位置決め治具Pは、例えば、強度、硬度、耐摩耗性、耐食性等に優れた材料(例えば、金属材料)で構成されることが好ましい。かかる材料としては、SUS440C、SKD11等が例示される。
【0057】
凹部P1は、例えば、かしめ加工時に第1導電部材41を収容する部位である。
図6に示されているように、上面41uが凹部P1の底面と当接するように、第1導電部材41が配置されるとよい。特に限定するものではないが、安定性を高める観点から、第1導電部材41の側面と凹部P1の内壁面とが当接することが好ましい。第1支持部P2は、例えば、第2導電部材42の位置決め部42pを支持する部位である。ここでは、第1支持部P2は凹状である。第1支持部P2は、ここでは、第2支持部P3から凹んだ形状である。例えば、凸状の位置決め部42pの突出先端が第1支持部P2に収容されることによって、位置決め部42pが位置決め治具Pに安定的に保持され得る。第2支持部P3は、例えば、第1導電部材41を支持する部位である。
図6に示されているように、第2支持部P3は、凸状である。第2支持部P3は、ここでは、凹部P1の底面から突出している。例えば、第2支持部P3の上面が薄肉部41t(
図4参照)に当接することによって、第1導電部材41が位置決め治具Pに安定的に保持され得る。
【0058】
図6に示されているように、位置決め治具P上に配置された負極端子40のカシメ部42cを、上方から、押圧部材Qによって押圧することによって、第3導電部材14に対してかしめることができる。上記のとおり、ここでは、カシメ部42cを第3導電部材14に設けられた貫通孔14hに挿入して、該挿入の後、位置決め部42pを位置決め治具Pと当接させた状態で、該カシメ部42cを第3導電部材14に対してかしめている。位置決め部42pを位置決め治具Pと当接させることによって、押圧部材Qに対してカシメ部42cの位置を定めやすくなる。このため、かしめ加工によって、カシメ部42cに望まない変形が生じるのを抑制することができる。これによって、負極端子40と第3導電部材14との接続部の信頼性を高めることができる。
【0059】
ここでは、上記のとおり、第1導電部材41の貫通孔14hの中心軸C方向に沿って見たとき、位置決め部42pが貫通孔14hと重なるように設けられている(
図5参照)。これによって、カシメ部42cに押圧部材Qを当てる際、押圧部材Qを所望の位置に当てやすくすることができる。このため、負極端子40と第3導電部材14との接続部の信頼性をより高めることができる。また、貫通孔14hと重なるように位置決め部42pが設けられることによって、負極端子40を位置決め治具Pにより安定的に保持させることができる。
【0060】
上記のようなかしめ加工を行うことによって、ガスケット50の基部52とインシュレータ60の平板状部分とが圧縮され、ガスケット50と蓋体24とインシュレータ60と第3導電部材14(負極リード部材14)とが蓋体24に一体に固定されるとともに、端子引出孔24hがシールされる。正極端子30と正極リード部材13との取付方法も、上記した負極端子40と負極リード部材14との取付方法と同様であってよい。負極リード部材14は、負極集電体12の負極集電体露出部に溶接され、電極体10の負極と負極端子40とが電気的に接続される。正極リード部材13は、正極集電体11の正極集電体露出部に溶接され、電極体10の正極と正極端子30とが電気的に接続される。これにより、蓋体24と、正極端子30と、負極端子40と、電極体10と、が一体化される。
【0061】
接合工程では、蓋体24と一体化された電極体10をケース本体22の内部空間に収容し、ケース本体22と蓋体24とを封止する。封止は、例えばレーザ溶接等の溶接によって行うことができる。その後、図示しない注液口から非水電解液を注入し、注液口を塞ぐことによって、電池100を密閉する。以上のようにして、電池100を製造することができる。
【0062】
電池100は各種用途に利用可能であるが、使用時に振動や衝撃等の外力が加わり得る用途、例えば、乗用車、トラック等の各種の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(BEV)等が挙げられる。
【0063】
以上、ここで開示される技術の実施形態について説明したが、ここで開示される技術を上記実施形態に限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、他の実施形態においても実施され得る。特許請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、位置決め部42pが凸部であった。しかし、これに限定されない。位置決め部は、例えば、凹部であってもよい。位置決め部を凹状とすることによって、例えば、電池高さが大きくなりすぎないようにすることができる。また、組電池を構成させる際、バスバーの取り付けをより容易とすることができる。また、位置決め部に変形が生じるのを抑制することができる。なお、凹部である位置決め部の内径は、貫通孔14hの内径と同じであってもよく、貫通孔14hの内径よりも小さくてもよい。また、位置決め部が凹状である場合、位置決め治具Pの第1支持部P2を凸状とするとよい。
【0065】
以上のとおり、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:
第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、
前記端子に接続される第3導電部材と、
を備える電池であって、
前記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有しており、
前記カシメ部は、前記第3導電部材に対してかしめられており、
前記第1導電部材は、貫通孔を有しており、
前記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、前記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている、電池。
項2:
前記第1導電部材は、板状であり、
前記第2導電部材は、フランジ部を有しており、
前記端子は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とが機械的に固定された締結部を有する、項1に記載の電池。
項3:
前記端子は、前記締結部から離れた位置に、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とが金属接合された金属接合部を有する、項2に記載の電池。
項4:
前記第1導電部材は、前記第2導電部材の前記フランジ部の少なくとも一部を収容する凹部を有しており、
前記締結部では、前記凹部の内壁が、前記第2導電部材のうちの、該凹部に収容された部分で固定されている、項2または3に記載の電池。
項5:
前記位置決め部は、凸部である、項1~4のいずれか一項に記載の電池。
項6:
第1導電部材と、該第1導電部材と電気的に接続される第2導電部材と、を有する端子と、
前記端子に接続される第3導電部材と、
を備える電池の製造方法であって、
前記第2導電部材は、一方の端部にカシメ部を有し、他方の端部の外面に位置決め部を有しており、
該製造方法は、
前記カシメ部を、前記第3導電部材に設けられた貫通孔に挿入することと、
前記挿入の後、前記位置決め部を位置決め治具と当接させた状態で、前記カシメ部を前記第3導電部材に対してかしめることと、
を包含する、製造方法。
項7:
前記第1導電部材は、貫通孔を有しており、
前記第1導電部材の前記貫通孔の中心軸方向に沿って見たとき、前記位置決め部が該貫通孔と重なるように設けられている、項6に記載の製造方法。
項8:
前記第1導電部材は、板状であり、
前記第2導電部材は、フランジ部を有しており、
該製造方法は、前記第1導電部材と前記第2導電部材の前記フランジ部とを機械的に固定して締結部を形成することを包含する、項6または7に記載の製造方法。
項9:
さらに、前記締結部から離れた位置に、前記第1導電部材と前記フランジ部とを接合して金属接合部を形成することを包含する、項8に記載の製造方法。
項10:
前記第1導電部材は、前記第2導電部材の前記フランジの少なくとも一部を収容する凹部を有しており、該凹部に前記第2導電部材の一部を挿入し、該凹部の内壁を、第2導電部材のうちの当該凹部に収容された部分で固定することによって前記締結部を形成する、項8または9に記載の製造方法。
項11:
前記金属接合部は、平面視において、前記締結部よりも前記フランジ部の中心側に形成される、項9または10に記載の製造方法。
項12:
前記位置決め部は、凸部である、項6~11のいずれか一項に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0066】
100 電池
10 電極体
11 正極集電体
12 負極集電体
13 正極リード部材
14 負極リード部材(第3導電部材)
20 電池ケース
22 ケース本体
30 正極端子
40 負極端子
41 第1導電部材
42 第2導電部材
50 ガスケット
52 基部
60 インシュレータ