(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003739
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240105BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240105BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189116
(22)【出願日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】111123854
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】111130975
(32)【優先日】2022-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501106263
【氏名又は名称】明安國際企業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蕭 徳福
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲ペイ▼瑤
(72)【発明者】
【氏名】陳 敏宗
(72)【発明者】
【氏名】蘇 明福
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002CH02
2C002CH03
2C002MM02
(57)【要約】
【課題】ヘッド部材を保護できるゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】
内側部分111と、内側部分111の外側で内側部分111と連接している外側部分112と、を含む収容空間11を画成したヘッド本体1と、内側部分111に嵌設されているヘッド部材2と、外側部分112に設置されていてヘッド部材2の外側を覆っている薄複合部材3と、を含み、薄複合部材3は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより構成され、且つ、ショアD硬さが40度~70度の範囲にある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部分と、前記内側部分の外側で前記内側部分と連通している外側部分と、を含む収容空間を画成したヘッド本体と、
前記内側部分に嵌設されているヘッド部材と、
前記外側部分に設置されていて前記ヘッド部材の外側を覆っている薄複合部材と、を含み、
前記薄複合部材は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより構成され、且つ、ショアD硬さが40度~70度の範囲にあることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド部材と前記薄複合部材との間に、前記ヘッド部材と前記薄複合部材とを接着するために設置されている接着層を更に含み、
且つ、前記ヘッド部材は、金属製のものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド部材は、フェース、クラウン、ソール、サイドのいずれかとしたものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド部材は、金属製または非金属製のものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記接着層は、熱反応性接着シートまたは二液反応性接着剤であることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記収容空間の前記内側部分の開口の範囲は、前記外側部分の開口の範囲を超えていないものであり、
前記接着層は、前記外側部分に位置していることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記収容空間の前記外側部分の深さは、0.3mm~2.3mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記薄複合部材の厚さは、0.3mm~2mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記接着層の厚さは、0.1mm~0.3mmの範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記収容空間の前記内側部分の開口の範囲は、前記外側部分の開口の範囲より小さいものであり、
前記薄複合部材は、前記ヘッド部材の外側を覆いながら周縁の範囲が前記ヘッド部材の周縁の範囲と同じである中央板部と、
前記中央板部の周縁から前記外側部分に沿って張り出して、前記ヘッド本体の前記外側部分に対応する外側に位置している外周板部と、を備えることを特徴とする請求項6に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記接着層は、前記ヘッド部材と前記薄複合部材の前記中央板部との間に挟まれている中央接着部と、
前記中央接着部と連接し且つ前記ヘッド本体と前記外周板部との間に挟まれている外周接着部と、を備え、
前記外周接着部は、前記外周板部の内表面及び周縁面に貼り付いていることを特徴とする請求項10に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドにおいて、一般的にウッドと称するタイプのクラブヘッドは、複数の収容槽を画成するヘッド本体と、接着や溶接などの方法で該複数の収容槽に固定されている複数のヘッド部材とを含むものや、特許文献1に示されるクラブヘッドなどがある。該複数のヘッド部材は、フェース(face)、クラウン(crown)、ソール(sole)、サイド(side)であり得る。
【0003】
しかし、それらのヘッド部材は、長期間における多数の打撃や、間違った打撃や、不意の衝突などにより、傷跡や破損が生じて、ゴルフクラブヘッドの外観に影響する上、構造強度が低減し、破壊される原因になる。更に、ヘッド部材が大きな破損により破片や砕けたブロックが飛ぶと、近くの人員が該破片やブロックにより怪我をする可能性が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許出願公開第200611734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題点に鑑みて、本発明は、ヘッド部材を保護できるゴルフクラブヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を実現するために、本発明は、
内側部分と、前記内側部分の外側で前記内側部分と連通している外側部分と、を含む収容空間を画成したヘッド本体と、
前記内側部分に嵌設されているヘッド部材と、
前記外側部分に設置されていて前記ヘッド部材の外側を覆っている薄複合部材と、を含み、
前記薄複合部材は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより構成され、且つ、ショアD硬さが40度~70度の範囲にあることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供する。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、本発明のゴルフクラブヘッドは、薄複合部材がヘッド部材の外側を覆っていることにより、該ヘッド部材に傷跡や破損が生じることを防止でき、該ヘッド部材が破損されて破片などが飛んで人を怪我させることも防止でき、また、炭素繊維を含有する薄複合部材には、外観を美化する効果もある。更に、該ヘッド部材がフェースの場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂は柔軟性があるので、ボールを打撃する際、薄複合部材がより多い圧縮及び変形量が生じることができて、ボールの反発とバックスピン、ボールを打つ感触、ボールの捕まえなどの効果を調整及び改善できる。また、薄複合部材は熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより製造されているので、外観的に優れた視覚効果をもたせる上、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)の靱性、強度及び耐久性を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のゴルフクラブヘッドの第1の実施形態の断面図である。
【
図2】上記第1の実施形態の部分拡大断面図である。
【
図3】本発明のゴルフクラブヘッドの第2の実施形態の断面図である。
【
図4】本発明のゴルフクラブヘッドの第3の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明のゴルフクラブヘッドの実施形態について詳しく説明する。
【0010】
なお、本実施形態に提供した図面は、要旨を表示する方法で本発明の基本構想を説明するものであり、即ち図面は、実際に実施する時の構成要件の数、形状、寸法に基づいて描いたものではなく、本発明に関わる構成要件のみを表すものである。実際に実施する時の各構成要件の形態、数量、比率は適宜に変更でき、構成要件の構成形態もより複雑であり得る。
【0011】
図1は、本発明のゴルフクラブヘッドの第1の実施形態の断面図である。
図2は、上記第1の実施形態の部分拡大断面図である。
【0012】
本発明のゴルフクラブヘッドは、
図1及び
図2に示されているように、収容空間11を画成したヘッド本体1と、収容空間11に嵌設されているヘッド部材2と、収容空間11に設置されていてヘッド部材2の外側に位置している薄複合部材3と、ヘッド部材2と薄複合部材3との間に、ヘッド部材2と薄複合部材3とを接着するために設置されている接着層4とを含む。
【0013】
収容空間11は、
図1及び
図2に示されているように、ヘッド本体1の内側に近い内側部分111と、内側部分111の外側で内側部分111と連通している外側部分112とを含む。この実施形態において、
図1及び
図2に示されているように、収容空間11は、ヘッド本体1の内外を連通する開口状となっている。また、他の実施形態として、内側部分111の内側にある開口が封じられて、槽状の収容空間11を画成することもできる。
内側部分111の開口の範囲(即ち、該開口が円形の場合は直径、非円形の場合は開口面積)は、外側部分112における開口の範囲を超えない。
【0014】
この実施形態において、
図2に示されているように、外側部分112の深さDは、0.4mm~2.3mmであり得る。
【0015】
図1、
図3及び
図4に示されているように、ヘッド部材2は、内側部分111に嵌設されており、必要に応じて
図1に示されているようにフェース、
図3に示されているようにクラウン、
図4に示されているようにソールまたはサイド、のいずれかとしたものであり得る。この実施形態において、ヘッド部材2は、軽さ及び高強度の利点を維持するために、金属製のものであることが好ましいが、必要に応じて非金属製のもの、例えばプラスチック、樹脂含浸の炭素繊維またはガラス繊維などであり得る。
【0016】
図1及び
図2に示されているように、薄複合部材3は、外側部分112に設置されていてヘッド部材2の外側を覆っている。この実施形態において、薄複合部材3は、ヘッド部材2の外側を完全に覆っている。
【0017】
この実施形態において、
図1及び
図2に示されているように、収容空間11の内側部分111の開口の範囲は、外側部分112の開口の範囲より小さいものであり、且つ、薄複合部材3は、ヘッド部材2の外側を覆いながら周縁の範囲(円形の場合は直径、非円形の場合は周縁が囲む面積)がヘッド部材2の周縁の範囲と同じである中央板部31と、中央板部31の周縁から外側部分112に沿って張り出して、ヘッド本体1の外側部分112に対応する外側に位置している外周板部32とを備える。
【0018】
また、この実施形態において、薄複合部材3は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(Thermoplastic Polyurethane、略称TPU)に含浸された炭素繊維織物シートにより製造され、且つ、ショアD硬さ(ShoreD)が40度~70度の範囲にあり、
図2に示されているように、厚さT1が0.3mm~2mmの範囲内にあるものである。
【0019】
接着層4は、外側部分112に位置している。この実施形態において、
図1及び
図2に示されているように、接着層4は、ヘッド部材2と薄複合部材3の中央板部31との間に挟まれている中央接着部41と、中央接着部41と連接し且つヘッド本体1と外周板部32との間に挟まれている外周接着部42とを含み、且つ、外周接着部42は、外周板部32の内表面及び周縁面に貼り付いている。
【0020】
この実施形態において、接着層4は、熱反応性接着シート、または、例えばエポキシ系の二液を混合して使用するタイプの接着剤である二液反応性接着剤であり、熱反応性接着シートを使用する場合、厚さがより均一になって、厚さの不均一によりボールの打撃効果に影響することを防止できる。また、
図2に示されているように、接着層4の厚さT2は、0.1mm~0.3mmの範囲内にある。
【0021】
なお、ヘッド部材2が非金属製のものである場合、プレスにより薄複合部材3を直接にヘッド部材2に接着することができるので、接着層4を設置しなくてもよく、その場合、薄複合部材3は、外側部分112に嵌設され、外側部分112の深さDは、薄複合部材3と同じく0.3mm~2.0mmとなり得る。
【0022】
上記の構成によれば、本発明のゴルフクラブヘッドは、薄複合部材3がヘッド部材2の外側を覆っていることにより保護効果が生じて、ヘッド部材2に傷跡や破損が生じることを防止でき、ヘッド部材2が破損して破片などが飛んで人を怪我させることも防止でき、また、薄複合部材3は熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより製造されているので、外観的に優れた視覚効果をもたせられる上、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)の靱性、強度及び耐久性を調整でき、ヘッド部材2がフェースの場合、熱可塑性ポリウレタン樹脂は柔軟性があるので、ボールを打撃する際、薄複合部材3がより多くの圧縮及び変形量を生じることができて、ボールの反発とバックスピン、ボールを打つ感触、ボールの捕まえなどの効果を調整及び改善でき、本発明の目的を確実に達成できる。
【0023】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能で有る。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明のゴルフクラブヘッドは、一般のゴルフクラブヘッドに適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 ヘッド本体
11 収容空間
111 内側部分
112 外側部分
2 ヘッド部材
3 薄複合部材
31 中央板部
32 外周板部
4 接着層
41 中央接着部
42 外周接着部
D 深さ
T1、T2 厚さ
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側部分と、前記内側部分の外側で前記内側部分と連通している外側部分と、を含む収容空間を画成したヘッド本体と、
前記内側部分に嵌設されているヘッド部材と、
前記外側部分に設置されていて前記ヘッド部材の外側を覆っている薄複合部材と、を含み、
前記薄複合部材は、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸された炭素繊維織物シートにより構成され、且つ、ショアD硬さが40度~70度の範囲にあることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド部材と前記薄複合部材との間に、前記ヘッド部材と前記薄複合部材とを接着するために設置されている接着層を更に含み、
且つ、前記ヘッド部材は、金属製のものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド部材は、フェース、クラウン、ソール、サイドのいずれかとしたものであることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記接着層は、熱反応性接着シートまたは二液反応性接着剤であることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記収容空間の前記内側部分の開口の範囲は、前記外側部分の開口の範囲を超えていないものであり、
前記接着層は、前記外側部分に位置していることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記収容空間の前記外側部分の深さは、0.3mm~2.3mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記薄複合部材の厚さは、0.3mm~2mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記接着層の厚さは、0.1mm~0.3mmの範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記収容空間の前記内側部分の開口の範囲は、前記外側部分の開口の範囲より小さいものであり、
前記薄複合部材は、前記ヘッド部材の外側を覆いながら周縁の範囲が前記ヘッド部材の周縁の範囲と同じである中央板部と、
前記中央板部の周縁から前記外側部分に沿って張り出して、前記ヘッド本体の前記外側部分に対応する外側に位置している外周板部と、を備えることを特徴とする請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記接着層は、前記ヘッド部材と前記薄複合部材の前記中央板部との間に挟まれている中央接着部と、
前記中央接着部と連接し且つ前記ヘッド本体と前記外周板部との間に挟まれている外周接着部と、を備え、
前記外周接着部は、前記外周板部の内表面及び周縁面に貼り付いていることを特徴とする請求項9に記載のゴルフクラブヘッド。