(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037394
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】カードホルダー
(51)【国際特許分類】
G09F 1/10 20060101AFI20240312BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240312BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240312BHJP
G02F 1/1334 20060101ALN20240312BHJP
B42D 25/23 20140101ALN20240312BHJP
【FI】
G09F1/10 V
G02F1/13 505
G07B15/00 M
G02F1/1334
B42D25/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142237
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小松 佑里子
(72)【発明者】
【氏名】道 浩之
【テーマコード(参考)】
2C005
2H088
2H189
3E127
【Fターム(参考)】
2C005HA06
2C005HB01
2C005JC06
2C005LC01
2H088EA33
2H088GA10
2H088HA01
2H088HA02
2H088MA20
2H189AA04
2H189AA05
2H189HA16
2H189LA01
2H189LA03
2H189MA15
3E127AA02
3E127CA02
3E127FA03
3E127FA50
(57)【要約】
【課題】カード表面に記載された個人情報などを視認できる状態と、視認できない状態を容易に切り替えられるカードホルダーを提供する。
【解決手段】透光性の第一基材と、カードを収納する収納部を間に挟んで第一基材と対向する第二基材とを有するカードホルダーであって、第1透明電極層を支持する第1透明支持基材と、第2透明電極層を支持する第2透明支持基材と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を有して透明不透明を切り替え可能な調光フィルムと、前記調光フィルムを駆動する駆動部と、前記駆動部に繋がり、前記調光フィルムの透明不透明を切り替える切り替え部と、駆動のための電力を供給する電源部と、を備え、前記調光フィルムを前記第一基材表面に備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の第一基材と、カードを収納する収納部を間に挟んで第一基材と対向する第二基材とを有するカードホルダーであって、
第1透明電極層を支持する第1透明支持基材と、
第2透明電極層を支持する第2透明支持基材と、
前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を有して透明不透明を切り替え可能な調光フィルムと、
前記調光フィルムを駆動する駆動部と、
前記駆動部に繋がり、前記調光フィルムの透明不透明を切り替える切り替え部と、
駆動のための電力を供給する電源部と、を備え、
前記調光フィルムを前記第一基材表面に備えることを特徴としたカードホルダー。
【請求項2】
前記切り替え部がスイッチであることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項3】
前記切り替え部が外部との情報通信を行う通信部であることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項4】
前記第一基材が前記第1透明支持基材を兼ねるものであることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項5】
前記第1透明電極層と前記調光層の間、および前記第2透明電極層と前記調光層の間にそれぞれ配向膜を備えていることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項6】
カードが収納されたときに前記カードの前記調光フィルム側の面と想定される仮想面と、前記調光層間の間隔が、1mm以上1cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項7】
前記電源部は充電池であることを特徴とする請求項1に記載のカードホルダー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のカードホルダーにカードを入れて保持するカードホルダー保持者がゲートを入退出する際、カードホルダーの表示を切り替えるシステムであって、
前記カードホルダー保持者のゲート通過時に入場か退出を判断する入退出判断ステップと、
前記調光フィルムが透明か不透明かを判断する透明判断ステップと、
前記入退出判断ステップにおいて退出と判断し、かつ前記透明判断ステップにおいて前記調光フィルムが透明と判断した際に、前記調光フィルムを不透明に切り替え、
前記入退出判断ステップにおいて入場と判断し、かつ前記透明判断ステップにおいて前記調光フィルムが不透明と判断した際に、前記調光フィルムを透明に切り替える、
切り替えステップと、
を備えることを特徴とする表示切替制御システム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載のカードホルダーにカードを入れて保持するカードホルダー保持者がゲートを入退出する際、カードホルダーの表示を切り替える表示切替制御装置であって、
前記ゲートに配置されたゲート装置を有し、該ゲート装置は、ゲートを通過する際に入場か退出を判断する入退出判断部と、前記カードホルダーが透明か不透明かを判断する透明判断部とを有し、
前記透明判断部の判断結果に基づき、前記調光フィルムを透明から不透明に、または不透
明から透明に切り替える切り替え制御部、
を備えることを特徴とする表示切替制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードホルダーに関し、特に、カード表面に記載された個人情報の隠ぺいが可能なカードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード等のカードは、その表面に、印刷やエンボス加工によって形成された種々の情報を有している。カードの表面が有する情報には、例えば、カードの所有者に関する情報や、カードの利用に要する情報が含まれる。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カードの表面が有する情報には、カードの所有者のみが把握できることが望ましい情報であって、所有者以外の人物である第三者への漏洩が望ましくない情報である秘密情報が含まれる場合がある。秘密情報は、例えば、クレジットカードの表面が有するクレジットカード番号であり、また例えば、社員証などの個人番号カードの表面が有する個人番号である。これらの秘密情報は、カードの表面において常に視認可能であるため、カードの所有者にとっては把握しやすい一方で、第三者から盗み見られることが避け難い。
【0005】
例えば、オフィスや店舗に勤務する従業員、社員が、このようなカードである社員証をカードホルダーにいれて首からぶら下げて一時的に外出することがある。その際に社員証に明記されている「会社名」「名前」等の情報が公共の場で不特定多数の人に見られてしまい、プライバシーが十分に確保されないという問題があった。社員証を鞄に仕舞う等の対策も可能だが、鞄を持たない場合もあるほか、うっかり忘れてしまうことも多く、簡便で効果的な手段が望まれていた。
【0006】
そこで本発明は、カード表面に記載された個人情報などを視認できる状態と、視認できない状態を容易に切り替えられるカードホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、
透光性の第一基材と、カードを収納する収納部を間に挟んで第一基材と対向する第二基材とを有するカードホルダーであって、
第1透明電極層を支持する第1透明支持基材と、
第2透明電極層を支持する第2透明支持基材と、
前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、を有して透明不透明を切り替え可能な調光フィルムと、
前記調光フィルムを駆動する駆動部と、
前記駆動部に繋がり、前記調光フィルムの透明不透明を切り替える切り替え部と、
駆動のための電力を供給する電源部と、を備え、
前記調光フィルムを前記第一基材表面に備えることを特徴としたカードホルダーである。
【0008】
上記カードホルダーにおいて、
前記切り替え部がスイッチであって良い。
【0009】
上記カードホルダーにおいて、
前記切り替え部が外部との情報通信を行う通信部であって良い。
【0010】
上記カードホルダーにおいて、
前記第一基材が前記第1透明支持基材を兼ねるものであって良い。
【0011】
上記カードホルダーにおいて、
前記第1透明電極層と前記調光層の間、および前記第2透明電極層と前記調光層の間にそれぞれ配向膜を備えていて良い。
【0012】
上記カードホルダーにおいて、
カードが収納されたときに前記カードの前記調光フィルム側の面と想定される仮想面と、前記調光層間の間隔が、1mm以上1cm以下であって良い。
【0013】
上記カードホルダーにおいて、
前記電源部は充電池であって良い。
【0014】
本発明の別側面は、
上記のいずれかのカードホルダーにカードを入れて保持するカードホルダー保持者がゲートを入退出する際、カードホルダーの表示を切り替えるシステムであって、
前記カードホルダー保持者のゲート通過時に入場か退出を判断する入退出判断ステップと、
前記調光フィルムが透明か不透明かを判断する透明判断ステップと、
前記入退出判断ステップにおいて退出と判断し、かつ前記透明判断ステップにおいて前記調光フィルムが透明と判断した際に、前記調光フィルムを不透明に切り替え、
前記入退出判断ステップにおいて入場と判断し、かつ前記透明判断ステップにおいて前記調光フィルムが不透明と判断した際に、前記調光フィルムを透明に切り替える、
切り替えステップと、
を備えることを特徴とする表示切替制御システムである。
【0015】
本発明の別側面は、
上記のいずれかのカードホルダーにカードを入れて保持するカードホルダー保持者がゲートを入退出する際、カードホルダーの表示を切り替える表示切替制御装置であって、
前記ゲートに配置されたゲート装置を有し、該ゲート装置は、ゲートを通過する際に入場か退出を判断する入退出判断部と、前記カードホルダーが透明か不透明かを判断する透明判断部とを有し、
前記透明判断部の判断結果に基づき、前記調光フィルムを透明から不透明に、または不透明から透明に切り替える切り替え制御部、
を備えることを特徴とする表示切替制御装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカードホルダーによれば、
透明不透明を容易に切り替えることができることで、例えばオフィスからの一時的な外出時、社員証から不特定多数の他者から個人情報等を読み取られる虞がなく、プライバシー保護ができるカードホルダーが得られる。また、カードホルダー所持者が入退出の際に自動的に透明不透明を切り替えることができる表示切替制御システムおよび装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のカードホルダーの一実施形態の断面模式図である。
【
図2】調光フィルムに配光膜を備えた構成とした一実施形態の断面模式図である。
【
図3】カードホルダーの一実施形態にカードを収納した態様の説明図である。
【
図4】本発明のカードホルダーの第二の実施形態の断面模式図である。
【
図5】本発明のカードホルダーの第二の実施形態の変形例の説明図である。
【
図6】本発明のカードホルダーの所有者がゲート装置を通過する態様の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0019】
図1は、本発明のカードホルダーの一実施形態の断面模式図である。本実施形態のカードホルダー10は、透光性の第一基材11と、カードを挿入して収納する部位である収納部13を間に挟んで第一基材11と対向する第二基材12とを有するカードホルダー本体14の、第一基材11の第二基材12と反対側の表面に、調光フィルム20が積層されて構成されている。
【0020】
第一基材11は、透明な基材であり、第一基材11としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン等からなる高分子フィルムが用いられる。なかでも、ポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0021】
第二基材12は、第一基材11と同等の材料を用いることができるが、透明であっても、透明でなくても良い。第一基材11と第二基材12は、周縁部で連結されて薄い袋状となっており、間にスリット状の空間が形成され、カードを収納する収納部13となっている。カードホルダー本体14は、シート状の第一基材11と第二基材12とをその周縁で貼り合わせて形成されても良く、また成型加工により一体的に形成されても良い。
【0022】
調光フィルム20は、第1透明電極層22を支持する第1透明支持基材21と、第2透明電極層24を支持する第2透明支持基材25と、第1透明電極層22と第2透明電極層24との間に位置する調光層23とを有しており、第1透明電極層22と第2透明電極層24との間に電圧をかけたり、切ったりすることで、調光層23の透明不透明を切り替えることが可能となっている。
【0023】
調光層23の透明不透明を切り替えるために、すなわち調光フィルム20を駆動するために、駆動部16を備え、また必要な電圧を印加するための電力を供給する電源部15を備えている。電源部15は典型的には再充電が可能な充電池であるが、それに限定されるわけではない。充電池は、USB端子などの公知の充電用の端子、または非接触充電のための受電部材を有していて良い。また、調光層23の透明不透明を切り替える信号をゲート装置などの外部の機器あるいは収納したカードと通信するための通信部17を有していてもよい。通信部17は調光フィルム20の透明不透明を切り替える切り替え部の一例であり、典型的には外部機器などと非接触での通信を行うためのアンテナ17であり、駆動部16に接続して調光フィルム20の駆動に関わる信号の通信を行う。また、電源部15の駆動状態を切り替えるスイッチ(不図示)を備えていてもよい。スイッチは調光フィルム20の透明不透明を切り替える切り替え部の一例であり、スイッチにより電源部15の駆動状態を切り替えることで、調光フィルム20の透明不透明を切り替えることが可能である。スイッチにはボタン式、スライド式、静電容量式など公知のものを使用することが
できる。
【0024】
さらに、
図2に示したカードホルダー10aのように、調光フィルム20aの第1透明電極層22と調光層23の間、および第2透明電極層24と調光層23の間にそれぞれ配向膜26、26を備えた構成としても良い。配光膜26を備えることで、電圧印加時に白濁して不透明になるリバースモードの調光層23とすることができる。なお
図2以下の図ではアンテナ17を省略している。
【0025】
調光フィルム20、20aは、通常は不透明で、電圧印加時に透明になるノーマルモードの調光層を採用しても、逆に、通常は透明で、電圧印加時に白濁して不透明になるリバースモードの調光層を採用しても、いずれであっても良く、実際の使用状況に合わせて好ましいもの選択すればよい。例えば社員証などの様に、通常は事務所内などで仕事をし、昼休みなどに限って外出するような場合であれば、外出時のみ白濁させたほうが電力消費の点から好ましいので、リバースモードのものとすると好ましい。以下に説明する実施形態においても同様である。ただし、どの様な場合に透明とし、また不透明とするかは任意であり、適宜決めればよい。
【0026】
調光層23は、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造を有する高分子ネットワーク型の液晶を含むものとして良い。高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークが有する空隙に液晶分子を保持する。調光層23が含む液晶分子は、例えば、誘電率異方性が正であって、液晶分子の長軸方向の誘電率が液晶分子の短軸方向の誘電率よりも大きい。液晶分子は、例えば、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系の液晶分子である。
【0027】
調光層23は、PNLC構造とは異なる構造を有していてもよい。例えば、調光フィルム20が液晶型の調光フィルムである場合、調光層23の含む液晶の種類としては、PNLC構造を有する高分子ネットワーク型液晶の他に、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)や、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)が挙げられる。
【0028】
カードホルダー10が収納するカードは、各種のIDカード、例えば社員証であるが、その他のIDカードやマイナンバーカードなど、カード自体に個人情報が記載されているカードが想定される。これらのカードにおいては、外部の機器との非接触での通信機能を有する非接触ICカードの採用が進んでおり、本発明のカードホルダーはその様な非接触ICカードに対応することができる。
【0029】
第1透明電極層22および第2透明電極層24は、導電性を有する透明な層である。第1透明電極層22および第2透明電極層24を構成する材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0030】
第1透明支持基材21および第2透明支持基材25は、透明な基材であり、第1透明支持基材21および第2透明支持基材25としては、例えば、ガラス基板やシリコン基板、あるいは、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリサルホン等からなる高分子フィルムが用いられる。
【0031】
なお、調光フィルム20、20aの調光層23と、カード18を収納したときのカード
18の調光層23側の表面の間隔が小さすぎると、白濁によるカード表面の隠ぺいが十分に行えなく場合がある。そのため、収納されたカードの調光フィルム20、20a側の表面となると想定される仮想面と、調光層23の間の間隔dは1mm以上とすると好ましい。ただし、大きくしすぎると、全体の厚さが厚くなってしまい、嵩張るので、この間隔は1cm以下とすると好ましい。第1透明電極層22および配光膜26は比較的薄い層であり、スリット13の間隔がカード18の厚さとほぼ同等か若干大きい程度でカード18の位置があまり動かないのであれば、実質的には第1透明支持基材21および第一基材11の厚さの合計がこの範囲内に相当の余裕を持って収まっていれば良いことになる。
【0032】
図3は、本実施形態のカードホルダーにカードを収納した態様の説明図である。カードホルダー10にはカード18、ここでは社員証18を収納している。カードホルダー10にはカードを収納部に挿入するためのスリット13aが上端部に設けられている。スリット13aは側端部に設けても良い。また、カードホルダー本体14の第一基材11と第二基材12とをヒンジ構造で連結し、ヒンジを開いて第一基材11と第二基材12を離間させ、カードを挿入する構造としても良い。
【0033】
図3の上側の図は、調光フィルム20が透明な状態であり、収納された社員証18の表面を透視することができ、社員証18の表面に記載された情報を外部から見ることができる。そして、外出時などには調光フィルム20を白濁した状態にすることで、
図3の下側の図の様に社員証18の表面は外部から見えない状態となる。
【0034】
図4は、本発明のカードホルダーの第二の実施形態の断面模式図である。本実施形態のカードホルダー30は、第一基材11が第1透明支持基材を兼ねた構成となっている。第一基材11は透明であり、第1透明支持基材と同等の材料を選択することができるので、このようなより単純な構成を採用できる。この場合においても、収納されたカード18の調光フィルム20b側の面と、調光層23の間の間隔dは1mm以上1cm以下とすると好ましいのは前述の実施形態と同様である。
【0035】
図5は、本発明のカードホルダーの第二の実施形態の変形例の説明図である。本実施形態のカードホルダー40では、カードホルダー本体14の第1基材11のスリット13側の表面に調光フィルム20bが備えられている。調光フィルム20bがカードホルダー本体14内に収納された態様となるので、調光フィルム20bに何かがぶつかるなどしてダメージを受ける可能性を削減できる。
【0036】
調光フィルム20を、透明な状態と不透明な状態との間で切り替える手段としては、上述したスイッチ操作の他、例えば入退出管理用のゲート装置を利用することが想定される。入退出ゲート装置は、入場側と退出側の両方に非接触のカード読み取り装置を装備しているものが一般的に普及している。
【0037】
図6は、本発明のカードホルダーの所有者がオフィスから退出するときにゲート装置を通過する態様の説明図である。なおオフィス内では調光フィルムは透明であって、退出時に不透明化する想定であり、またカードホルダー110は、リバースタイプの調光フィルムが装備されている場合で説明する。
【0038】
ゲート装置200は、退出用のカード読み取り装置210、入場用のカード読み取り装置220、入退出判断部201、透明判断部202、切り替え制御部203を有し、カードホルダー110の透明不透明を切り替える表示切替制御装置となっており、表示切替制御システムを構成している。
【0039】
切り替え制御は以下の様なステップで行われる。
・カードホルダーの保持者100は、非接触ICカードタイプの社員証カードを収納したカードホルダー110をゲート装置200の退出用のカード読み取り装置210にかざし、オフィス等から退出する。
・入退出判断部201は、社員証カードが退出用のカード読み取り装置210にかざされたことで、社員証カードから情報を取得すると共にカードホルダーの保持者100が退出すると判定する(入退出判断ステップ)。
・判定結果をサーバーシステム230に記録することもできる。
・同時に、透明判断部202はカードホルダー110と通信を行い、カードホルダー110の電源がONの状態かOFFの状態かを検出する。
・調光フィルムがリバースタイプであれば、カードホルダー110を退出用のカード読み取り装置210にかざしたときのカードホルダー110の電源はOFFとなっているので透明であると判定する(透明判断ステップ)。
・ただし、保持者100がスイッチを用いてカードホルダー110を不透明(電源ON)に切り替えるなど、何らかの理由でカードホルダー110の電源がONになっている場合も考えられるので、その場合は不透明と判定する。
・判定結果から、切り替え制御部203はカード読み取り装置210を通してカードホルダー110に起動信号を送り、その電源をONにして調光フィルムを不透明にする。電源が既にONであれば、その状態を維持する(切り替えステップ)。
・退出後のカードホルダー110は調光フィルムが不透明となり、社員証カード表面に記録された情報を隠ぺいすることができる。
【0040】
退出したカードホルダーの保持者100が入場するときは、逆の動作となる。
・カードホルダーの保持者100はカードホルダー110をゲート装置200の入場用のカード読み取り装置220にかざし、オフィス等に入場する。
・入退出判断部201は、社員証カードが入場用のカード読み取り装置220にかざされたことで、社員証カードから情報を取得すると共にカードホルダーの保持者100が入場すると判定する(入退出判断ステップ)。
・判定結果をサーバーシステム230に記録することもできる。
・同時に、透明判断部202はカードホルダー110と通信を行い、カードホルダー110の電源がONの状態かOFFの状態かを検出する。
・調光フィルムがリバースタイプであれば、カードホルダー110を入場側のカード読み取り装置210にかざしたときのカードホルダー110の電源はONとなっているので不透明であると判定する(透明判断ステップ)。
・ただし、何らかの理由でカードホルダー110の電源がOFFになっている場合も考えられるので、その場合は透明と判定する。
・判定結果から、ゲート装置200の切り替え制御部203はカード読み取り装置220を通してカードホルダー110に信号を送り、その電源をOFFにして調光フィルムを透明にする。電源が既にOFFであれば、その状態を維持する(切り替えステップ)。
・入場後のカードホルダー110は調光フィルムが透明となり、社員証カード表面に記録された情報が外部から見える様になる。
【0041】
以上の結果をまとめたのが表1である。入退出に際して、ゲート装置を通過する際に自動的に透明不透明が切り替えられるため、切り替え忘れがなく、カード情報の秘密保持が的確に行える。以上の様にして、カードホルダー110の切替制御が行われるが、これ以外の手法を用いることもできる。例えば、透明判断ステップにおいて、電源のON/OFFの代わりに、カードホルダー110の調光フィルムの状態を検出するセンサをゲート装置200に装備して、直接センサで調光フィルムの状態を検出して、透明か不透明か判定することもできる。
【0042】
【符号の説明】
【0043】
10、10a、30、40、110・・・カードホルダー
11・・・第一基材
12・・・第二基材
13・・・収納部
13a・・・スリット
14・・・カードホルダー本体
15・・・電源部
16・・・駆動部
17・・・通信部(アンテナ)
18・・・カード(社員証)
20、20a、20b・・・調光フィルム
21・・・第1透明支持基材
22・・・第1透明電極層
23・・・調光層
24・・・第2透明電極層
25・・・第2透明支持基材
26・・・配向膜
200・・・ゲート装置
201・・・入退出判断部
202・・・透明判断部
203・・・切り替え制御部
210、220・・・カード読み取り装置