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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037395
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240312BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B65D77/04 E
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142238
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
【Fターム(参考)】
3E013BA05
3E013BA06
3E013BA09
3E013BA11
3E013BA20
3E013BA22
3E013BA26
3E013BB06
3E013BB12
3E013BC01
3E013BC04
3E013BC14
3E013BC17
3E013BD12
3E013BD13
3E013BD15
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF23
3E013BF26
3E013BF36
3E013BG04
3E013BG15
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA10B
3E067BA12C
3E067BA15B
3E067BB03B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BB15C
3E067BB16C
3E067BB25C
3E067BB26B
3E067BC02B
3E067BC04B
3E067CA01
3E067CA04
3E067CA07
3E067CA12
3E067EA06
3E067EC32
3E067EE48
3E067FA04
3E067FB11
3E067FC01
3E067GB02
3E067GD02
3E067GD05
(57)【要約】
【課題】包装容器ごと加熱が可能であって、調理と同時に内容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には加熱で発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器を提供すること。
【解決手段】内容物をその内部に収納して、加熱が可能な包装容器であって、包装容器は内容物を支える台紙と外装袋からなり、台紙は板紙に熱収縮フィルムを、内容物側に面して貼り合わせて構成され、外装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有した積層体で構成され、内容物を配置した台紙を包み、密封することが可能であって、外装袋は、加熱の際に生じた蒸気を排出することのできる、通蒸機構を設けてあることを特徴とする包装容器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物をその内部に収納して、加熱が可能な包装容器であって、
包装容器は内容物を支える台紙と外装袋からなり、
台紙は板紙に熱収縮フィルムを、内容物側に面して貼り合わせて構成され、
外装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有した積層体で構成され、内容物を配置した台紙を包み、密封することが可能であって、
外装袋は、加熱の際に生じた蒸気を排出することのできる、通蒸機構を設けてあることを特徴とする、包装容器。
【請求項2】
前記外装袋は、内容物を収納後、真空包装もしくは脱気包装によって、密封されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記台紙は、熱収縮フィルムが収縮した際に、隅の部分および側面が立ち上がって、熱収縮フィルムとともにトレー形状を形成することを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項4】
前記熱収縮フィルムは、板紙の隅の部分にのみ選択的に貼り合わせてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項5】
前記外装袋の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧によって開口し通蒸可能な脆弱部を設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項6】
前記外装袋は、背シール部を有して製袋されており、背シール部の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧により剥離可能なシール部が設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【請求項7】
前記外装袋は、それを構成する積層体中にガスバリア層を有していることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関するものである。この包装容器は、プラスチックフィルムからなる積層体から形成される包装容器外側の外袋と、内側の板紙からなるトレーとの間に内容物を収納可能な包装容器であって、特に内部のトレーはシュリンクフィルムを積層した板紙であり、加熱によって板紙の側部が立ち上がり、加熱調理と同時に内容物のトレーが形成されるとともに、外袋は加熱調理によって発生した蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装容器は、内容物を収納するほか、保護したり、携帯したり、また輸送したりする目的で用いられてきた。その歴史は古く、草木の葉を利用することに始まり、ガラス瓶や金属、あるいは陶器製のものが包装容器として使われてきた。
【0003】
近年になって紙容器が広く使われるようになり、一方でプラスチックフィルムを基材とした容器も開発されてきた。
【0004】
例えば紙製の液体容器を例にとれば、1960年代になって、紙への液体の浸透性を低くする技術が進み、1970年代になってさらに浸透性を小さくした紙パックが開発され、アルコール飲料等にも用いられるようになり、スーパーやコンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。
【0005】
紙容器が広範に用いられるようになった背景には、紙容器にはたとえば下記のような特徴、利便性があることがあげられる。
・軽量かつ安価であり、折りたたみも可能で輸送コストが少ない。
・表面に各種印刷が可能であり、意匠性向上、内容物に関する情報表示が容易である。
・一定の耐衝撃性、機械的強度を有し、持ち運びにも便利である。
・木材もしくは植物由来の素材であり、廃棄に際して減容性、焼却性にも優れ、環境適合型である。
【0006】
一方で、紙容器として、要求品質も内容液や用途に対応して多岐にわたっており、たとえば、下記のような機能が求められている。
・内容物が液体の場合でも、液漏れがしない。
・微生物からの保護、密封性に優れる。
・保存性の向上を目的とした、遮光性、ガスバリア性を有する。
・内容物の外力からの保護を目的とした、剛性や強靭性を有する。
などである。
【0007】
また紙容器は、スーパーマーケットや、コンビニエンスストアなどの小売りの場面で、例えば食品の包装容器として紙トレーなどとしても使用されている。その形態はさまざまであるが、紙を基材としていることから、上記のように価格面などのメリットに加えて、環境適合型の包装容器として、広く使われている。
【0008】
一方のプラスチックフィルムを基材とする包装容器は、単体または積層体から構成されるものが広く普及しており、さまざまな形態のものが、幅広い用途に用いられており、現代生活にとっては不可欠なものとなっている。
【0009】
このような包装容器は、例えば液体容器としても用いられ、飲料のほかレトルト食品な
どの食品分野でも広く用いられているほか、日用品やトイレタリーの分野でも、さまざまな商品がスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアの商品棚をにぎわしている。液体容器のほかにも、様々な用途展開がなされている。
【0010】
プラスチックフィルムを基材とする包装容器の利点は、缶や瓶などの容器に比べて、価格が安いことや、要求品質によってきめ細かい材料設計で対応できる点、あるいは内容物充填前および流通や保管においても軽量で省スペースであることが挙げられる。またプラスチックフィルムを基材とする包装容器は、廃棄物を減らすという観点からは環境適応型であるといえる。
【0011】
このような、紙トレーとプラスチックフィルムを基材とする包装容器組み合わせた、自動成形紙トレーも開発されており、冷凍食品などの包装容器として商品化されている。この容器は密封機能やガスバリア性などの機能性に加え、加熱前はフラットで吊り下げ陳列が可能であり、利便性が高い。
【0012】
あるいは、食品等を充填したプラスチックフィルムを基材とする包装容器の電子レンジによる加熱調理において、消費者の使い勝手のよさという視点からは、加熱調理に際してプラスチックフィルムを基材とする包装容器の内部で発生した水蒸気が、内圧の急激な上昇を招くために、通蒸機構を有していることが好適とされる。
【0013】
特許文献1には、底面及び底面の少なくとも一つの辺に折り罫線を介して連接する側片を有する台紙と、少なくとも一枚の熱収縮フィルムを有し、少なくとも側片の上端にて台紙に重ね合わせた状態で固定されるフィルム部を備え、熱収縮フィルムの収縮に伴って側片が起立する提案がなされている。
【0014】
しかしながら、この提案は単に紙製のトレーであって、例えば食品を対象とした包装容器に必要な、内容物の充填、保存、調理などに関してまで考慮されているものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2012-111547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、包装容器ごと加熱が可能であって、調理と同時に内容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には加熱で発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
内容物をその内部に収納して、加熱が可能な包装容器であって、
包装容器は内容物を支える台紙と外装袋からなり、
台紙は板紙に熱収縮フィルムを、内容物側に面して貼り合わせて構成され、
外装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有した積層体で構成され、内容物を配置した台紙を包み、密封することが可能であって、
外装袋は、加熱の際に生じた蒸気を排出することのできる、通蒸機構を設けてあることを特徴とする、包装容器である。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、
前記外装袋は、内容物を収納後、真空包装もしくは脱気包装によって、密封されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、
前記台紙は、熱収縮フィルムが収縮した際に、隅の部分および側面が立ち上がって、熱収縮フィルムとともにトレー形状を形成することを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、
前記熱収縮フィルムは、板紙の隅の部分にのみ選択的に貼り合わせてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、
前記外装袋の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧によって開口し通蒸可能な脆弱部を設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、
前記外装袋は、背シール部を有して製袋されており、背シール部の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧により剥離可能なシール部が設けてあることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【0023】
また、請求項7に記載の発明は、
前記外装袋は、それを構成する積層体中にガスバリア層を有していることを特徴とする、請求項1に記載の包装容器である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、包装容器ごと加熱が可能であって、加熱と同時に内容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器を提供することが可能である。
【0025】
本発明による包装容器は、内容物を支える台紙と外装袋からなることによって、簡単な構成による省スペースは、取り扱い、陳列、販売、輸送、保管などの場面において効果的である。
【0026】
また、台紙は板紙に熱収縮フィルムを、内容物側に面して貼り合わせて構成されていることによって、包装容器が加熱された場合には、熱収縮フィルムの収縮によって台紙は熱収縮フィルム側に引っ張られ、その結果凹みを有したトレー形状になり容器として機能する。すなわち、容器を作るための絞り加工や製函、組み立て工程は不要であり、金型も不要である。
【0027】
外装袋は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有した積層体で構成され、ヒートシールなどによって製袋することが可能である。また、内容物を配置した台紙を包み、密封することが可能であることによって、取り扱い、陳列、販売、輸送、保管などにおいて省スペースであり、その利便性は高い。
【0028】
また、外装袋は、加熱の際に生じた蒸気を排出することのできる、通蒸機構を設けてあることによって、例えば電子レンジを用いた加熱調理などの場合においても、発生した水蒸気による予期せぬ破袋や、それによるやけどの恐れがなく、加えて一定の水蒸気が残留することによって内容物の風味が保たれる利点も有する。
【0029】
また特に請求項2に記載の発明によれば、外装袋は内容物を収納後、真空包装もしくは脱気包装によって、密封されていることによって、包装容器内部の空間を減らすことが可能であり、取り扱い、陳列、販売、輸送、保管などにおいてより利便性が高い。また内容物の乾燥を防止することにも効果的であり、所謂冷凍焼けなどの品質劣化を回避することが可能である。
【0030】
また特に請求項3に記載の発明によれば、台紙は、熱収縮フィルムが収縮した際に、隅の部分および側面が立ち上がって、熱収縮フィルムとともにトレー形状を形成することによって、包装容器は当初はフラットでコンパクトでありながら、例えば加熱調理を経て包装容器がトレー形状となり、内容物を囲むように収納して、容器としての機能や食器としての機能を増大させることが可能である。
【0031】
また特に請求項4に記載の発明によれば、熱収縮フィルムは、板紙の隅の部分にのみ選択的に貼り合わせてあることによって、台紙のトレー形状の形成に影響を与えることなく、熱収縮フィルムの使用面積を減らすことができる。これは特にコスト面においても有利である。
【0032】
また特に請求項5に記載の発明によれば、外装袋の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧によって開口し、通蒸可能な脆弱部を設けてあることによって、加熱による予期せぬ破袋を防止することが可能であり、手指の火傷も防止することに効果的である。また、例えば食品の加熱調理において、一定の水蒸気が残留して蒸らされることによって風味が保たれる利点も有する。
【0033】
また特に請求項6に記載の発明によれば、外装袋は、背シール部を有して製袋されており、背シール部の一部には、加熱された際に発生する水蒸気の内圧により剥離可能なシール部が設けてあることによって、加熱した際には通蒸機構として機能して、予期せぬ破袋を防止することが可能であり、手指の火傷も防止することに効果的である。
【0034】
また、例えば食品の加熱調理において、一定の水蒸気が残留して蒸らされることによって風味が保たれる利点も有する。またこのシール部の剥離による通蒸機構は、この部分のシール条件の加減によって制御することが可能である。
【0035】
また特に請求項7に記載の発明によれば、外装袋は、それを構成する積層体中にガスバリア層を有していることによって、包装容器として内容物を保護し、環境による変化や劣化を抑えることが可能である。
【0036】
またこの包装容器が長期にわたって保管される場合においても、内容物の成分のうち、例えば揮発成分やにおい成分などが、包装容器外部に散逸することを抑制することができる包装容器とすることができる。
【0037】
特にガスバリア層が無機化合物からなるガスバリア層である場合には、内容物が包装容器の外側から可視であり、また電子レンジによる加熱調理に好適で、かつ内容物の保存性にも優れる包装容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明に係る包装容器の、一実施態様を説明するための断面模式図である。
図2図2は、本発明に係る包装容器の一実施態様の構成要素のうち、台紙を説明するための平面模式図である。
図3図3は、本発明に係る包装容器の一実施態様の構成要素のうち、台紙がトレー形状を形成する様子を説明するための斜視模式図である。
図4図4は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、加熱調理中の様子を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
図5図5は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、通蒸機構の一実施態様を説明するための斜視模式図である。
図6図6は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、通蒸機構の他の実施態様を説明するための斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を図1図6を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0040】
図1は、本発明に係る包装容器の、一実施態様を説明するための断面模式図である。
【0041】
本発明は、内容物(10)をその内部に収納して、加熱が可能な包装容器(100)である。その意図するところは、包装容器(100)ごと加熱が可能であって、加熱と同時に内容物(10)を支えるトレーが内容物(10)を囲んで収納する凹型に形成されるとともに、外装袋(5)には発生した水蒸気を自動的に排出する通蒸機構を備えた、包装容器(100)を提供することにある。
【0042】
これは例えば、冷凍や冷蔵食品を内容物(10)として、電子レンジで加熱して調理する際などに使用することができるものである。
【0043】
包装容器(100)は内容物(10)を支える台紙(3)と外装袋(5)からなり、台紙(3)は板紙(1)に熱収縮フィルム(2)を、内容物(10)側に貼り合わせて構成される。この段階では、台紙(3)は平面である。台紙(3)については、図2を用いてさらに説明を加える。
【0044】
台紙(3)は、包装容器(100)が例えば加熱調理などに供される場合には、熱収縮フィルム(2)が収縮して、台紙(3)は熱収縮フィルム側に湾曲して、中央に凹みを有して内容物(10)を囲んで収納するトレー形状を形成する。この様子については、図3を用いてさらに説明を加える。
【0045】
外装袋(5)は、プラスチックフィルムを基材としてシーラント層を有した積層体で構成され、内容物(10)を配置した台紙(3)を包み、密封することが可能である。シーラントを有していることから、例えばヒートシールなどのシールによって製袋することが可能である。
【0046】
積層体を構成するプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
【0047】
特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルムとする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。そのほか延伸ポリアミドフィルムを用いる場合には、積層体に突き刺しに対する強靭性や、衝撃に対する強靭性を付与することができる。
【0048】
またプラスチックフィルムは、接着剤層を介して他の層と積層して積層体とすることができる。したがって積層体の層構成やその材料構成、厚さなどは、包装容器(100)に対する要求品質に応じて適宜設計することができる。
【0049】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0050】
シーラント層の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、積層体上に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、積層体の表面にシーラント層を形成することも可能である。
【0051】
本発明による包装容器(100)の外装袋(5)には、加熱の際に生じた水蒸気が包装容器の内部において一定の内圧を超えたときに、包装容器(100)の外部に排出することのできる、通蒸機構を設けてある。
【0052】
これによって、例えば電子レンジを用いた食品などの加熱、調理などの場合においても、発生した水蒸気による予期せぬ破袋や、それによるやけどの恐れがなく、加えて一定の水蒸気が残留することによって内容物の風味が保たれる利点を有する。通蒸機構の例については、図5及び図6を用いて改めて説明を加える。
【0053】
また、図1に示す例は、外装袋(5)は、内容物(10)収納後、真空包装もしくは脱気包装によって、密封されている例である。
【0054】
外装袋(5)は内容物(10)を収納後、真空包装もしくは脱気包装によって、密封されていることによって、包装容器(100)内部の空間を減らすことが可能であり、取り扱い、陳列、販売、輸送、保管などにおいて利便性が高い。
【0055】
また内容物(10)の乾燥を防止することにも効果的であり、例えば所謂冷凍焼けといわれる品質劣化等を回避することが可能である。
【0056】
図2は、本発明に係る包装容器の一実施態様の構成要素のうち、台紙を説明するための平面模式図である。
【0057】
本発明において、包装容器(100)は内容物(10)を支える台紙(3)と外装袋(5)からなり、台紙(3)は板紙(1)に熱収縮フィルム(2)を、内容物(10)側に貼り合わせて構成される。
【0058】
図2に示す例は、台紙(3)を熱収縮フィルム側(2)から見た平面図であって、板紙(1)には折り罫線(6)が谷折りに施されており、図2中砂目を入れてある部分は、板紙と熱収縮フィルムを接着している部分(7)を示している。
【0059】
熱収縮フィルム(2)は、板紙(1)全体を覆っており、熱が加わった際には、熱収縮フィルム(2)の収縮によって、折り罫線(6)を谷折りに折曲げようとする力が加わり
、トレーが形成される。
【0060】
すなわち折り罫線(6)を挟んで、熱収縮フィルム(2)が板紙(1)に接着していない部分が設けられており、この部分の収縮によって折り罫線(6)が折曲げられて、ここで示す例において、矩形の台紙(3)の4箇所の隅の部分および側面が立ち上がってトレー形状が形成される。
【0061】
或いは、熱収縮フィルム(2)は、板紙(1)の隅の部分にのみ選択的に貼り合わせることも可能である。図2に示す例においては矩形の台紙(3)の4隅である。
【0062】
これによって、台紙(3)隅の部分において熱収縮フィルムの加熱による収縮によって、折り罫線(6)を折り曲げようとする力が加わって、矩形の台紙(3)の4箇所の隅の部分および側面が立ち上がってトレー形状を形成することができる。
【0063】
熱収縮フィルム(2)が、板紙(1)の隅の部分にのみ選択的に貼り合わせてあることによって、台紙(3)のトレー形状の形成に影響を与えることなく、熱収縮フィルム(2)の使用面積を減らすことができる。これは特にコスト面においても有利である。
【0064】
板紙(1)と熱収縮フィルム(2)の接着は、特段の制約を設けるものではなく、例えば接着剤を用いてもよく、両面テープを用いて両者を接着することもできる。
【0065】
図3は、本発明に係る包装容器の一実施態様の構成要素のうち、台紙がトレー形状を形成する様子を説明するための斜視模式図である。
【0066】
前述のように台紙(3)は、熱収縮フィルム(2)が加熱によって収縮した際に、隅の部分および側面が立ち上がって、トレー(4)形状を形成することができる。隅の部分の立ち上がりは、図3に示す4箇所の矢印で示してある。
【0067】
図3に示す例において、矩形の台紙(3)の4隅が立ち上がり、トレー(4)のコーナー部分を形成するとともに、トレー(4)の4面の側面が形成され、形成された凹部に内容物(10)を取り囲むようにして収納可能な、トレー(4)が形成されている。
【0068】
この台紙(3)の立ち上がりによるトレー(4)の形成は、本発明による包装容器(100)が加熱された際に起こるものであり、包装容器(100)の外装袋(5)の内部でトレー(4)形成されるものである。
【0069】
図4は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、加熱調理中の様子を説明するための、斜視(一部透視)模式図である。
【0070】
前述のように包装容器(100)が、加熱された際には、包装容器(100)の外装袋(5)の内部でトレー(4)が形成される。この加熱は例えば食品の電子レンジでの加熱調理などであって、内容物(10)も調理よって加熱され、それに伴って水蒸気が発生する。水蒸気は包装容器(100)の外装袋(5)の中に充満して、外装袋(5)はその内圧によって膨満する。
【0071】
図5は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、通蒸機構の一実施態様を説明するための斜視模式図である。
【0072】
本発明においては外装袋(5)の一部に、加熱された際に発生する水蒸気(11)の内圧によって開口し通蒸可能な通蒸機構(8)を設けてある。図5に示す例では、通蒸機構
(8)は外装袋(5)に脆弱部分を設けて通蒸機構(8)としたものである
【0073】
すなわちこの脆弱部分は、外装袋(5)内部の水蒸気(11)の内圧が、一定以上に達した時にこの部分が開口して通蒸を可能とするものである。
【0074】
脆弱部分の形成は、例えば外装袋(5)を構成する積層体に対して、ハーフカットを施して実現することが可能である。ハーフカットは、例えば刃物を用いて形成することが可能であり、レーザー光の照射による方法によっても可能である。
【0075】
図6は、本発明に係る包装容器の一実施態様において、通蒸機構の他の実施態様を説明するための斜視模式図である。
【0076】
図6に示す例において、外装袋(5)は、背シール部(12)を有して製袋されており、背シール部(12)の一部には、加熱された際に発生する水蒸気(11)の内圧により剥離可能なシール部(9)が設けてある例である。
【0077】
すなわちこの背シール部(12)の一部が脆弱部分であって通蒸機構(9)である。外装袋(5)内部の水蒸気(11)の内圧が、一定以上に達した時にこの部分が開口して通蒸を可能とするものである。
【0078】
シール部(9)による脆弱部分の形成は、背シール部(12)のシール条件の調整によって実現することが可能である。
【0079】
また、たとえば内容物の保存性を向上させることなどを目的として、積層体中にガスバリア層を設けることができる。ガスバリア層は、ガスバリア性の高い樹脂層のコーティングやラミネートのほか、たとえば、プラスチックフィルムの表面にガスバリア層を設けてなるガスバリアフィルムを用いることができる。
【0080】
またアルミニウムなどの金属箔もガスバリア層として有効ではあるが、電子レンジでの調理の場合には、高周波によるスパークなどが発生するために不適当である。
【0081】
ガスバリアフィルムの場合には、用いられるプラスチックフィルムは、高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。特にポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートをプラスチックフィルム基材とする場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
【0082】
ガスバリアフィルムの場合、ガスバリア層は無機化合物の蒸着層、コーティング層で構成することができ、プラスチックフィルムにアンカーコートを設けた後、蒸着層、コーティング層を順次設ける。
【0083】
ガスバリアフィルムのアンカーコート層には、例えばウレタンアクリレートを用いることができる。アンカーコート層の形成には、樹脂を溶媒に溶解した塗料をグラビアコーティングなど印刷手法を応用したコーティング方法を用いるほか、一般に知られているコーティング方法を用いて塗膜を形成することができる。
【0084】
蒸着層を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、アンカーコート層を設けたプラスチックフィルム上にコーティングし、真空蒸着法に
よる無機化合物層を形成することができる。ちなみに蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
【0085】
コーティング層を形成する方法としては、水溶性高分子と、(a)一種以上のアルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の、少なくともいずれかひとつを含む水溶液あるいは水/アルコール混合水溶液を主剤とするコーティング剤をフィルム上に塗布し、加熱乾燥してコーティング法による無機化合物層を形成しコーティング層とすることができる。このときコーティング剤にはシランモノマーを添加しておくことによってアンカーコート層との密着の向上を図ることができる。
【0086】
無機化合物層は真空蒸着法による塗膜のみでもガスバリア性を有するが、コーティング法による無機化合物層であるコーティング層を真空蒸着法による無機化合物層である蒸着層に重ねて形成し、ガスバリア層とすることができる。
【0087】
これら2層の複合により、真空蒸着法による無機化合物層とコーティング法による無機化合物層との界面に両層の反応層を生じるか、或いはコーティング法による無機化合物層が真空蒸着法による無機化合物層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥あるいは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成される。
【0088】
そのため、ガスバリアフィルムとしてより高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、外力による変形に耐えられる可撓性を有するため、包装容器(100)としての適性も具備することができる。
【0089】
またガスバリア層として、たとえばSiOを用いる場合にはその被膜は透明であるために、内容物を改装袋(5)の外側から目で見ることが可能である。これらは、用途、要求品質によって適宜使い分けをすればよい。
【0090】
続いて印刷層について説明を加える。すなわち必要に応じて、商品としてのイメージアップ、内容物についての必要な情報表示、また意匠性の向上などを目的として、プラスチックフィルムを基材とする積層フィルム中の、包装容器(100)外側から見える層に印刷層を設けることができる。印刷層は包装容器(100)の最外層になる面に設けるのでも構わない。
【0091】
また印刷層は、包装容器(100)の一部に設けるのでもよく、また包装容器(100)の全面にわたって設けるのでもよい。あるいは、印刷層を用いずに表示部を設ける方法としては、たとえば包装容器(100)の表面に、印刷されたシールを貼着することも可能である。
【0092】
ここで、印刷方法、及び印刷インキには、とくに制約を設けるものではないが、既知の印刷方法、材料の中からプラスチックフィルムへの印刷適性、色調などの意匠性、密着性、特に内容物が食品に関係する場合には人体への安全性などを考慮すれば、適宜選択することができる。
【0093】
印刷方法はたとえば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの既知の印刷方法から適宜選択して用いることができる。これらの中でも特にグラビア印刷法は、生産性、プラスチックフィルムへの印刷適性、及び絵柄の高精細度において好ましく用いることができる。
【0094】
このようにして、本発明によれば、包装容器ごと加熱が可能であって、調理と同時に内
容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には加熱で発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器を提供することが可能である。
【実施例0095】
以下本発明を、実施例を示して更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例によってのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0096】
<実施例1>
外装袋の構成は下記のとおりである。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(厚さ40μm)
【0097】
また、外装袋の一部には、レーザーによるハーフカットで形成した通蒸機構を設けた。
【0098】
台紙の構成は下記のとおりである。
板紙:三菱製紙製 N三菱耐水 260g/m
熱収縮フィルム:グンゼ製 ポリエチレンテレフタレートTNB(厚さ25μm)
【0099】
内容物は下記のとおりである。
湿らせたクッキングペーパーを用いた。
【0100】
上記構成の包装容器の電子レンジ加熱をおこなった。
加熱条件は600Wで、30秒~60秒とした。
上記構成の包装容器(100)を加熱し、目視で観察したところ、トレー(4)の形成は問題なく行われ、レーザーによるハーフカットで形成した通蒸機構(8)も、問題なく作動することが確認できた。
【0101】
このようにして、本発明によれば、包装容器ごと加熱が可能であって、調理と同時に内容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には加熱で発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器を提供することが可能であることを検証することができた。
【0102】
すなわち、本発明が課題とするところの、包装容器ごと加熱が可能であって、調理と同時に内容物を支えるトレーが形成されるとともに、外装袋には加熱で発生した水蒸気を自動的に排出する機構を備えた、包装容器の提供が可能である
【符号の説明】
【0103】
1・・・板紙
2・・・熱収縮フィルム
3・・・台紙
4・・・トレー
5・・・外装袋
6・・・折り罫線
7・・・板紙と熱収縮フィルムを接着している部分
8・・・通蒸機構
9・・・通蒸機構
10・・・内容物
11・・・水蒸気
12・・・背シール部
100・・・包装容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6