(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037401
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電源装置、および軸受装置
(51)【国際特許分類】
F16C 41/00 20060101AFI20240312BHJP
F16C 33/76 20060101ALI20240312BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20240312BHJP
H02K 11/225 20160101ALI20240312BHJP
H02K 11/35 20160101ALI20240312BHJP
H02P 9/04 20060101ALI20240312BHJP
H02M 7/10 20060101ALI20240312BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C33/76 Z
F16C19/06
H02K11/225
H02K11/35
H02P9/04 Z
H02M7/10 A
H02M3/155 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142245
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 明生
【テーマコード(参考)】
3J216
3J217
3J701
5H006
5H590
5H611
5H730
【Fターム(参考)】
3J216AA02
3J216AA12
3J216AB23
3J216BA30
3J216CA01
3J216CA04
3J216CB03
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3J216CC03
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3J216EA03
3J216EA05
3J217JA02
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3J217JA36
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3J217JA47
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3J217JB26
3J217JB34
3J217JB56
3J217JB68
3J217JB86
3J701AA02
3J701AA32
3J701AA42
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3J701AA62
3J701BA80
3J701FA26
3J701GA31
5H006CA07
5H006CB04
5H006CC02
5H006DA04
5H006FA01
5H006HA05
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5H590HA02
5H611AA01
5H611BB02
5H611BB07
5H611PP07
5H611QQ01
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5H611UB01
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB15
5H730BB86
5H730XX03
5H730XX12
5H730XX23
5H730XX32
5H730ZZ01
(57)【要約】
【課題】規定された電圧範囲での電圧を電子回路に供給する電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置17は、第1回路61と、コンバータ53とを備える。第1回路61は、交流電圧を第1直流電圧に変換して出力する。コンバータ53は、第1直流電圧を第1電圧範囲に調整した第2直流電圧を電子回路54に出力する。コンバータ53の入力電圧は、第2電圧範囲に定められている。第1回路61は、交流電圧を第2電圧範囲に調整した第1直流電圧に変換する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を駆動する電源装置において、
前記電子回路の入力電圧は、第1電圧範囲に定められており、
前記電源装置は、
発電機からの交流電圧を第1直流電圧に変換して出力する第1回路と、
前記第1直流電圧を前記第1電圧範囲に調整した第2直流電圧を前記電子回路に出力する第2回路とを備え、
前記第2回路の入力電圧は、第2電圧範囲に定められており、
前記第1回路は、前記交流電圧を前記第2電圧範囲に調整した前記第1直流電圧に変換する、電源装置。
【請求項2】
前記第1回路は、制限回路を含み、
前記制限回路は、該制限回路に入力された直流電圧を前記第2電圧範囲の前記第1直流電圧に調整する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1回路は、前記交流電圧を昇圧された直流電圧に変換して出力する倍電圧整流回路を含む、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1回路は、前記倍電圧整流回路から出力された直流電圧を降圧して前記制限回路に出力する降圧回路を有し、
前記降圧回路は、前記倍電圧整流回路から出力された直流電圧が大きいほど大きく降圧する、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記第2電圧範囲は、15V以上20V以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電源装置と、
回転部材と、
前記回転部材の回転に応じて交流電圧を生成する前記発電機とを備える、軸受装置。
【請求項7】
前記軸受装置は、
軸受と、
該軸受の状態を監視するセンサと、
前記センサの検出値を外部装置に無線送信する通信回路とを備え、
前記電子回路は、前記センサと前記通信回路とを含む、請求項6に記載の軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置、および軸受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-127831号公報(特許文献1)には、軸受と、回転部材と、該回転部材の回転に応じて電力を生成する発電機とを備える軸受装置が開示されている。この軸受装置は、さらに、軸受の状態を監視するセンサと、ワイヤレス通信回路とを備える。ワイヤレス通信回路は、センサの出力をワイヤレスで外部装置に送信する。発電機により生成された電力は、センサおよびワイヤレス回路の駆動に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のセンサおよびワイヤレス回路などの電子回路では、該電子回路が駆動するために必要な電圧範囲が規定されている。また、発電機による交流電圧の実効値は、回転軸の回転速度などに応じて変動する。上述の軸受装置では、規定された電圧範囲での電圧を電子回路に供給できないという問題が生じ得る。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、規定された電圧範囲での電圧を電子回路に供給する電源装置および軸受装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源装置は、軸受装置に搭載され、電子回路を駆動する。軸受装置は、回転部材と、回転部材の回転に応じて交流電圧を生成する発電機とを備える。電子回路の入力電圧は、第1電圧範囲に定められている。電源装置は、第1回路と、第2回路とを備える。第1回路は、交流電圧を第1直流電圧に変換して出力する。第2回路は、第1直流電圧を第1電圧範囲に調整した第2直流電圧を電子回路に出力する。第2回路の入力電圧は、第2電圧範囲に定められている。第1回路は、交流電圧を第2電圧範囲に調整した第1直流電圧に変換する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、規定された電圧範囲での電圧を電子回路に供給する電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の軸受装置全体の斜視図である。
【
図4】軸受装置をセンサユニット側から見た図である。
【
図5】電源装置の構成例を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2の電源装置の構成例を示す図である。
【
図10】発電機と負荷との等価回路を示す図である。
【
図11】回転部材の回転速度と、発電電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されている。また、本実施の形態では、電圧範囲等の表現において用いられる「A~B」は、「A以上B以下である」、「Aよりも大きくB以下である」、「A以上B未満である」、「Aよりも大きくB未満である」のいずれかを示す。
【0010】
<実施の形態1>
[軸受装置の構成]
図1は、実施の形態1の軸受装置1全体の斜視図である。この軸受装置1は、如何なる装置に搭載されてもよく、たとえば、工作機械に搭載される。軸受装置1は、軸受2と、センサユニット6と、磁気リング7とを備える。軸受2は、外輪3と、内輪4とを含む。軸受2は、例えば、外輪3が静止輪となり、内輪4が回転輪となる。軸受2は、深溝玉軸受を一例として説明するが、軸受2の種類は深溝玉軸受に限定されない。
【0011】
ここで、軸受2は、軸受の主要寸法(内径、外径、幅など)が特定の規格に記載の標準軸受である。標準軸受とは、例えば、ISO規格・JIS規格に記載がある寸法の軸受である。軸受2は、ラジアル軸受であり、軸受2の主要寸法は、ISO15またはJISB1512-1に規定される寸法である。
【0012】
センサユニット6は、ステータ5と、蓋14とを含む。蓋14は、非金属の樹脂製部材であり、センサユニット6の内部を保護する。磁気リング7は、N極とS極とを周方向に交互に着磁した磁性体部材である。ステータ5は、外輪3に固定され、磁気リング7は、内輪4に固定される。ステータ5と磁気リング7とによって交流発電機(以下、単に、「発電機G」とも称される。)が構成される。発電機Gは、クローポール型の発電機であるが、他の構造の発電機であってもよい。
図1の一点鎖線は、軸受2の回転軸Oである。
【0013】
図2は、軸受2の回転軸Oを含む平面における断面図である。軸受2は、外輪3と、内輪4と、転動体8と、保持器9と、シール10とを含む。軸受2は、軸受2の端面11と転動体8との距離Wがセンサユニット6および磁気リング7を収納可能な標準軸受の型番のサイズから選択すればよい。端面11は、外輪3の端面でもある。
【0014】
外輪3の一方端の内周面には、外輪3の端部の凹部としての段付きの第1の切欠き部3aが形成される。内輪4の一方端の外周面には、第1の切欠き部3aと対向するように内輪4の端部の凹部としての段付きの第2の切欠き部4aが形成される。軸受2の軸方向(アキシャル方向とも称する)において、外輪3から内輪4に亘り、第1の切欠き部3aおよび第2の切欠き部4aにより転動体8へ向けて切欠いた環状の凹部50による環状空間が形成される。
【0015】
センサユニット6は、保持部材12と、回路基板13と、ステータ5と、蓋14とを含む。保持部材12は、軸受2の径方向(ラジアル方向とも称する)に第1の領域12bと第2の領域12cとに保持部材12を隔てる隔壁12aを有する磁性体材料である。第1の領域12bの内底面12dには回路基板13が固定され、第2の領域12cにはステータ5が配置される。蓋14は、内底面12dに固定される回路基板13を保護する。蓋14の代わりに樹脂封止材を用いて回路基板13を封止してもよい。
【0016】
保持部材12の第1の領域12b側の外径面は、外輪3に形成された第1の切欠き部3aに嵌合して固定される。保持部材12は、外輪3の端面11からはみ出さないように、圧入または接着される。なお、保持部材12は、圧入と接着とを併用して固定されてもよいし、これら以外の方法で固定されてもよい。保持部材12を第1の切欠き部3aに固定した際、転動体8と保持部材12との間には一定の隙間が確保される。これにより、転動体8と保持部材12とは、アキシャル方向の変位が生じた場合も隙間により転動体8と保持部材12とが接触しないようにすることができる。
【0017】
ステータ5は、2つの磁性体部材21,22と、ボビン23と、コイル24とを含む。第2の領域12cを含む保持部材12の部分が、ステータ5の磁性体部材21として用いられる。
【0018】
磁気リング7は、芯金7aと、多極磁石7bとを含む。多極磁石7bは、例えば、磁性粉とゴムとを混錬した磁性体材料を芯金7aに加硫接着してから、N極とS極とを軸受2の周方向に交互に着磁したものである。磁気リング7の芯金7aは、剛性を高めるためにフランジ部7cを有している。磁気リング7は、内輪4の外径面4bに圧入等により固定される。フランジ部7cは、内輪4に形成される第2の切欠き部4aに収まる。磁気リング7は、内輪4の端面20からはみ出さないように配置される。
【0019】
環状の凹部50の内部には、磁気リング7、ステータ5、および回路基板13が軸受2の軸方向に互いに重ならないように配置される。これにより、環状の凹部50の内部に各部品を配置できるため軸受2の寸法を抑えることができる。さらに、軸受装置1は、例えば、磁気リング7が内輪4に固定され、対向する位置の外輪3にステータ5が固定される。発電機Gは、回転部材(本実施の形態においては、内輪4)の回転の回転速度に応じて、交流電力を生成する。たとえば、回転部材の回転速度が大きいほど、交流電力の実効値は大きくなる。また、内輪4および外輪3は、軸受2の軸方向への変動が保持器9と比較し小さいため、発電機Gによって安定した発電量を確保し、軸受装置の寸法を抑えつつも正常に機能することができる。
【0020】
図3は、保持器9を説明するための図である。保持器9には、環状の保持器本体の軸方向の端面91の周方向に沿って所定ピッチで凹部93が形成される。凹部93の周方向に対向する開口端から突出するように一対の爪部94,94が形成される。凹部93と一対の爪部94,94とによって
図2に示す転動体8が収納されるポケット95が形成される。このように、保持器9の形状は、一方の端面91側が開放され、他方の端面92が連結された形状である。保持器9は、樹脂製部材であり、開放側にセンサユニット6と磁気リング7とが端面11および端面20からはみ出さないように配置される。
【0021】
図4は、軸受装置1をセンサユニット6側から見た図である。
図4では、センサユニット6の内部が分かるように蓋14の一部を省略して図示している。回路基板13には、軸受2の状態を監視する1つ以上のセンサなどが実装されている。例えば、回路基板13には、加速度センサ15および温度センサ16などが実装される。なお、温度センサ16は、保持部材12の内底面12dに設けた図示しない孔から挿入され、外輪3の第1の切欠き部3aの端面に近接(または接触)させるように、回路基板13の裏面に実装してもよい。これにより、温度センサ16が外輪3に近づき、軸受2の温度を正確に測定することができる。
【0022】
また、回路基板13には、さらに、電源装置17と、ワイヤレス通信回路18とが実装されている。
【0023】
電源装置17は、発電機Gで生成される交流電力を整流して直流電力に変換する。電子回路54(加速度センサ15、温度センサ16、およびワイヤレス通信回路18)では、電源装置17によって変換された直流電力が使用される。回路基板13には、端子25が配置されている。
【0024】
ワイヤレス通信回路18は、アンテナ部18aを含む。ワイヤレス通信回路18は、軸受2の状態を監視する加速度センサ15および温度センサ16の出力をアンテナ部18aを用いて無線で外部に送信する。回路基板13は、複数のねじ19により保持部材12に固定されている。なお、回路基板13は、保持部材12に対し接着固定されてもよい。ワイヤレス通信回路18を実装した回路基板13は、樹脂製の蓋14と対向して配置される。これにより、ワイヤレス通信回路18は、金属などの導電性材料で密閉されない構造となる。このため、ワイヤレス通信回路18内のアンテナ部18aを用いて無線通信が可能となる。以上のように、本実施の形態においては、電源装置17は、軸受装置1の内部に搭載される。また、電源装置17は、軸受装置1の外部に搭載されるようにしてもよい。
【0025】
[電源装置の構成]
図5は、電源装置17の構成例を説明するための図である。上述のように、回路基板13には、電源装置17と、電子回路54とが実装される。また、電子回路54には、加速度センサ15、温度センサ16、およびワイヤレス通信回路18が実装される。つまり、電子回路54は、加速度センサ15、および温度センサ16で軸受2の状態を監視し、これらのセンサの検出値をワイヤレス通信回路18で外部に送信する。また、電子回路54が駆動するために必要な電圧範囲(第1電圧範囲)が規定されている。本実施の形態においては、第1電圧範囲は、3.3V以上5V以下である。
【0026】
電源装置17は、第1回路61と、昇降圧DC(Direct Current)DCコンバータとを有する。昇降圧DCDCコンバータは、単に、「コンバータ53」とも称される。コンバータ53は、本開示の「第2回路」に対応する。コンバータ53の入力電圧には、耐圧に基づく電圧範囲が規定されている。該電圧範囲は、本開示の「第2電圧範囲」に対応する。第2電圧範囲は、本実施形態においては、15V以上20V以下である。また、第2電圧範囲は、下限値と上限値とより構成され、該上限値は、「耐圧」とも称される。
【0027】
第1回路61は、発電機Gからの交流電圧を直流電圧に変換して、該直流電圧をコンバータ53に出力する。また、第1回路61は、倍電圧整流回路51と、制限回路52とを含む。
【0028】
倍電圧整流回路51は、交流電圧を昇圧された直流電圧に変換して、該直流電圧を出力する。該出力された直流電圧は、制限回路52に供給される。具体的には、倍電圧整流回路51は、交流電圧の実効値をN(Nは2以上の整数)倍に昇圧しかつ整流して制限回路52に供給する。本実施の形態においては、Nは2であるとする。なお、倍電圧整流回路51は、交流電圧の実効値を昇圧できる回路であれば他の回路としてもよい。
【0029】
次に、制限回路52は、倍電圧整流回路51からの直流電圧の電圧値を低下させることにより、該倍電圧整流回路51からの直流電圧を第2電圧範囲の直流電圧に調整して出力する。第2電圧範囲の直流電圧は、本開示の「第1直流電圧」に対応する。
【0030】
コンバータ53は、第1直流電圧(制限回路52からの直流電圧)を第1電圧範囲に調整する。そして、コンバータ53は、該調整された直流電圧(第2直流電圧)を電子回路54に出力する。電子回路54は、該直流電圧により駆動する。
【0031】
上述のように、電子回路54が駆動するために必要な電圧範囲(第1電圧範囲)が規定されている。第1電圧範囲は、3.3V以上5V以下である。そのため、コンバータ53の出力電圧は第1電圧範囲である3.3V以上5V以下が適している。
【0032】
また、上述のように、発電機Gが生成する交流電圧の実効値は、回転部材の回転速度に応じて異なる。たとえば、交流電圧の実効値は、回転部材の回転速度が遅い場合には、2V以下となり、回転部材の回転速度が速い場合には、50V以上になることがある。コンバータ53では、ある程度、昇圧できるが、交流電圧の実効値が過度に小さい場合には、コンバータ53からの電圧が、第1電圧範囲に到達しない場合がある。そこで、コンバータ53の他に、倍電圧整流回路が交流電圧を昇圧させる。したがって、たとえば、発電機Gからの交流電圧の実効値が過度に小さい場合であっても、コンバータ53からの電圧を、第1電圧範囲に到達させることができる。
【0033】
また、電源装置17が、制限回路52を有しておらずコンバータ53を有している構成(第1比較例の構成)が考えられる。この第1比較例の構成においては、発電機Gからの交流電圧の実効値が過度に大きくなる場合を想定する必要がある。この想定において、第1比較例の構成では、コンバータ53の第2電圧範囲の上限値を、発電機Gの交流電圧の実効値の最大値以上とする必要がある。したがって、第1比較例の構成では、コンバータ53のコストが増大してしまう。よって、電源装置17が、制限回路52を有することにより、第1比較例の構成と比較して、安価なコンバータ53を用いることができる。
【0034】
また、電源装置17が、制限回路52を有しておりコンバータ53を有していない構成(第2比較例の構成)が考えられる。この第2比較例の構成においては、制限回路52の入力電圧が過度に大きい場合には、制限回路52の出力電圧を電子回路54の第1電圧範囲の上限値以下とするために、制限回路52のみで入出力電位差の電圧を消費させる必要がある。たとえば、制限回路52の入力電圧が、50Vであり、第1電圧範囲の上限値が5Vである場合には、入出力電位差の電圧45Vを消費させる必要がある。したがって、第2比較例の構成では、入出力電位差の電圧消費で発生する熱を放出する放熱部材を備える必要があり、コスト増となる。
【0035】
また、一般的に、放熱部材が必要な素子(つまり、制限回路52)の発熱は消費電力に比例する。また、制限回路52の入力電流と、制限回路52の出力電流とはほぼ等しい。このため、消費電力は上記入出力電位差と入力電流とを乗算した値となる。したがって、制限回路52への入力電圧が大きくなれば制限回路52での消費電力も大きくなる。
【0036】
また、コンバータ53の消費電力はコンバータ53の効率による。ここでは、コンバータ53の効率が100%である場合を考える。この場合には、コンバータ53の消費電力は発生しない。したがって、この場合には、コンバータ53において、入力電流×入力電圧=出力電流×出力電圧となる。出力電流×出力電圧が一定値であると考えると、コンバータ53への入力電圧が大きくなれば、コンバータ53への入力電流は小さくなる。
【0037】
ここで、制限回路52の出力電圧が大きい場合を説明する。この場合とは、たとえば、制限回路52の出力電圧がコンバータ53の第2電圧範囲の上限値(耐圧)近傍かつ該上限値未満の値である場合である。この場合において、コンバータ53に入力される電力(コンバータ53の入力電流とコンバータ53の入力電圧との積)が一定であると考える。制限回路52の出力電圧が大きい場合、つまり、コンバータ53の入力電圧が大きい場合には、コンバータ53の入力電流は小さくなる。コンバータ53の入力電流が小さいということは、制限回路52の出力電流が小さいということである。上述のように、制限回路52の入力電流と、制限回路52の出力電流とはほぼ等しい。したがって、制限回路52の入力電流は小さくなる。また、制限回路52の入出力電位差が小さくなれば、消費電力は電流の2乗値に応じて小さくなる。よって、制限回路52での消費電力を大きく低減できる。このように、制限回路52の出力電圧をコンバータ53の第2電圧範囲の上限値(上限値近傍)とすることにより、制限回路52の消費電力を低減できる。
【0038】
次に、具体的な数値を用いて電源装置17の処理を説明する。本実施の形態においては、発電機Gにより生成される交流電圧(振幅)が2V~30Vであるとする。この場合には、倍電圧整流回路51に含まれる部材(たとえば、後述の2つのダイオード)での損失を0.5V×2とすれば、倍電圧整流回路51の出力電圧は、3V~59Vとなる。また、制限回路52の損失電圧を1Vとし、制限回路52で設定されている制限電圧を20Vとする。この場合には、制限回路52の出力は、2~19Vとなる。したがって、耐圧20Vであるコンバータ53が使用可能となる。上述のように、コンバータ53は、出力電圧が3.3V~5Vであり、かつ軸受装置1に組込める小型サイズとされる。一般的に、このようなコンバータ53の耐圧は15V~20Vである。また、制限回路52の出力電圧は、15V~20Vとなる。
【0039】
以上のように、電源装置17は、第1回路61と、コンバータ53とを有する。第1回路61は、発電機Gからの交流電圧を、第1直流電圧に変換してコンバータ53に出力する。そして、コンバータ53は、第1電圧範囲に調整した第2直流電圧を電子回路54に出力する。したがって、電源装置17は、電子回路54で規定されている第1電圧範囲に調整された直流電圧(第2直流電圧)を該電子回路54に供給できる。よって、電源装置17は、電子回路54で規定されている電圧範囲での直流電圧を電子回路54に供給することができる。また、第1回路61は、コンバータ53で規定されている電圧範囲(第2電圧範囲)に調整した第1直流電圧を供給する。したがって、第1回路61は、コンバータ53で規定されている電圧範囲での直流電圧をコンバータ53に供給することができる。
【0040】
また、第1回路61は、制限回路52を含む。該制限回路52は、該制限回路52に入力された直流電圧を第2電圧範囲の第1直流電圧に調整する(降圧する)。そして、制限回路52は、第1直流電圧を、コンバータ53に出力する。したがって、発電機Gにより生成された交流電圧が過度に大きい場合であっても適切な電圧をコンバータ53に供給できる。
【0041】
また、第1回路61は、制限回路52の前段に倍電圧整流回路51が配置される。倍電圧整流回路51は、発電機Gにより生成された交流電圧を、昇圧された直流電圧に変換して出力する。したがって、発電機Gにより生成された交流電圧が過度に小さい場合であっても適切な電圧をコンバータ53に供給できる。つまり、電源装置17が、倍電圧整流回路51、制限回路52、およびコンバータ53を備えることにより、回転部材が高速回転および低速回転のいずれであっても、安定した電圧を電子回路54に供給できる。さらに、電源装置17の回路構成が簡単で小型化が可能となり、電源装置17での発熱量も少なくできるため、軸受装置1の内部といった小さなスペースに回路基板13を搭載することができる。
【0042】
また、コンバータ53の第2電圧範囲(制限回路52の出力)は、15V以上20V以下とされる。したがって、設計者によるコンバータ53の選択自由度を向上できるとともに、制限回路52での発熱量を少なくできる。
【0043】
また、電子回路54は、軸受2の状態を監視するセンサ(本実施の形態においては、加速度センサ15と温度センサ16)と、センサの検出値を外部装置に無線送信するワイヤレス通信回路18とが実装される。したがって、電源装置17は、発電機Gにより生成された交流電力を適切な電圧範囲の直流電力に変換して、加速度センサ15、温度センサ16、およびワイヤレス通信回路18に供給できる。
【0044】
図6は、倍電圧整流回路51の一例を示す回路図である。倍電圧整流回路51は、ダイオードD1、ダイオードD2、キャパシタC1、および該キャパシタC1に直列接続されているキャパシタC2を備える。
【0045】
倍電圧整流回路51の第1入力端子511とダイオードD1のアノードとが接続されている。ダイオードD1のカソードおよびキャパシタC1と、倍電圧整流回路51の出力端子513とが接続されている。ダイオードD2のアノードとキャパシタC2とが接続されている。ダイオードD2のカソードと第1入力端子511とが接続されている。キャパシタC1と、キャパシタC2との接続ノードと、倍電圧整流回路51の第2入力端子512とが接続されている。
【0046】
交流電圧が正である場合には、ダイオードD1がオンおよびダイオードD2がオフとなり、キャパシタC1が充電される。また、交流電圧が負である場合には、ダイオードD1がオフおよびダイオードD2がオンとなり、キャパシタC2が充電される。このように、キャパシタC1とキャパシタC2とが交互に充電されることで、キャパシタC1とキャパシタC2とに電荷が蓄えられる。キャパシタC1とキャパシタC2とが直列接続されていることから、倍電圧整流回路51は、交流電圧のピークピーク値の2倍の直流電圧を出力できる。
【0047】
図7は、制限回路52の一例を示す回路図である。制限回路52は、抵抗R1と、ツェナダイオードD3と、トランジスタQ1と、トランジスタQ2とを備える。制限回路52の入力端子521は、抵抗R1の一端、トランジスタQ1のコレクタ、およびトランジスタQ2のコレクタに接続されている。また、ツェナダイオードD3のアノードは接地されており、ツェナダイオードD3のカソードは抵抗R1の他端およびトランジスタQ2のベースに接続されている。また、トランジスタQ2のエミッタは、トランジスタQ1のベースに接続されている。また、トランジスタQ1のエミッタは、制限回路52の出力端子522に接続されている。
【0048】
制限回路52に入力された電圧が、ツェナダイオードD3のツェナ電圧以下である場合には、抵抗R1とツェナダイオードD3の接続ノードからの電圧が、トランジスタQ2のベースに印可される。さらに、トランジスタQ2のエミッタからトランジスタQ1のベースに電圧が供給される。これにより、入力された直流電圧が出力される。
【0049】
また、制限回路52に入力された電圧が、ツェナ電圧よりも大きくなると、ツェナダイオードD3のアノードが接地されていることから、トランジスタQ2のベースに印可される電圧が制限される。よって、トランジスタQ1のベースに印可される電圧も制限される。これにより、制限回路52から出力される電圧が制限される。なお、
図7では、トランジスタQ1と、トランジスタQ2とによりダーリントントランジスタが構成されている例が示された。しかしながら、制限回路52は、ダーリントンランジスタではない1つのトランジスタを使用した回路、または電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)で構成されてもよい。また、制限回路52は、専用の電圧制限IC(Integrated Circuit)としてもよく、LDO(Low Dropout)リニアレギュレータでもよい。
【0050】
図8は、コンバータ53の一例を示す回路図である。
図8の例では、コンバータ53が昇降圧チョッパである構成が示されている。
図8の例では、スイッチ素子S1と、スイッチ素子S2と、スイッチ素子S3と、スイッチ素子S4と、リアクトルLとを有する。また、コンバータ53は、特に図示しないが、コンバータ53の入力電圧を検出するセンサ、コンバータ53の出力電圧を検出するセンサ、および制御回路を備える。制御回路は、入力電圧および出力電圧に基づいて、スイッチ素子S1~S4のオンおよびオフを切替える。
【0051】
図8の例では、スイッチ素子S1の一端と、コンバータ53の入力端子531とが接続されている。スイッチ素子S1の他端と、スイッチ素子S2の一端とが接続されている。スイッチ素子S2の他端が接地されている。
【0052】
スイッチ素子S3の一端と、コンバータ53の出力端子532とが接続されている。スイッチ素子S3の他端と、スイッチ素子S4の一端とが接続されている。スイッチ素子S4の他端が接地されている。
【0053】
たとえば、入力電圧が出力電圧よりも大きい場合には、入力電圧を降圧させる降圧モードとなり、制御回路は、スイッチ素子S3をオンとし、スイッチ素子S4をオフとする。これとともに、制御回路は、以下の第1状態および第2状態に繰り返し移行させる。第1状態は、スイッチ素子S1がオンであり、スイッチ素子S2がオフとなる状態である。第2状態は、スイッチ素子S1がオフであり、スイッチ素子S2がオンとなる状態である。
【0054】
また、入力電圧が出力電圧よりも小さい場合には、入力電圧を昇圧させる昇圧モードとなり、制御回路は、スイッチ素子S1をオンとし、スイッチ素子S2をオフとする。これとともに、制御回路は、以下の第3状態および第4状態に繰り返し移行させる。第3状態は、スイッチ素子S3がオンであり、スイッチ素子S4がオフとなる状態である。第4状態は、スイッチ素子S3がオフであり、スイッチ素子S4がオンとなる状態である。これにより、コンバータ53は、コンバータ53の入力電圧を第1電圧範囲の直流電圧に調整して、電子回路54に供給できる。
【0055】
<実施の形態2>
図9は、実施の形態2の電源装置17Aの構成例が示されている。
図9においては、電源装置17Aは、第1回路61の代わりに第1回路61Aを備える。第1回路61Aは、降圧回路55を備える。
図9においては、倍電圧整流回路51と、制限回路52との間に降圧回路55が配置されている。降圧回路55は、倍電圧整流回路51から出力された直流電圧が大きいほど大きくする降圧する。降圧回路55により降圧された直流電圧は、制限回路52に出力される。
【0056】
次に、制限回路52を配置させる理由を説明する。
図10は、発電機Gと負荷26との等価回路である。負荷26は、たとえば、回路基板13に対応する。
図10中のV2は発電機Gの無負荷起電力を示し、回転部材(内輪4)の回転数に比例した電圧が発生する。R2は巻線抵抗を示し、L1は巻線のインダクタンスを示す。Voは負荷26を接続した場合の発電電圧である。
【0057】
図11は、回転部材の回転速度と、発電電圧Voとの関係を示す図である。横軸は、回転部材の回転速度を示し、縦軸は発電電圧Voを示す。
図11の例では、実線が負荷26が無負荷である場合を示し、破線が負荷26が軽負荷である場合を示し、一点鎖線が負荷26が重負荷である場合を示す。
【0058】
図11の例では、負荷26が無負荷である場合には、発電電圧Voは無負荷起電力V2となり、実線に示すように、ほぼ回転速度に比例した電圧となる。次に、負荷26が重負荷である場合を説明する。この場合とは、L2とR2との合成インピーダンスに比べてR3のインピーダンスが小さい(負荷としては重い)場合である。この場合には、
図11の一点鎖線で示されるように、回転速度が速くなっても発電電圧Voは大きくならない。次に、負荷26が軽負荷である場合を説明する。この場合とは、L2とR2との合成インピーダンスに比べてR3のインピーダンスが大きい(負荷としては軽い)場合である。この場合には、
図11の破線で示されるように、回転速度が速くなるにつれて発電電圧Voも大きくなる。
【0059】
図11の例では、回転速度が5000rpmである場合において、負荷26が重負荷であるときよりも、負荷26が軽負荷であるときの方が発電電圧Voが約2倍となる。設計者が発電機Gを設計するにあたり、遅い回転速度で高い発電電圧を実現しようとすると、速い回転速度では過度に大きな電圧が生成されてしまい、回路基板13の耐圧以上の電圧が回路基板13に供給されてしまう可能性がある。より特定的には、回転部材の回転速度が最高回転速度である場合でも、制限回路52に入力される電圧は小さい方がよい。
【0060】
そこで、発明者は、
図9に示すように、倍電圧整流回路51と、制限回路52との間に降圧回路55を配置させた。降圧回路55は、回転部材の回転速度が遅い場合には電圧低下を抑制し、回転部材の回転速度が速い場合には電圧低下を増大させる。
【0061】
図12は、降圧回路55の一例を示す回路図である。
図12の例では、降圧回路55は、抵抗R4と、ツェナダイオードD4とを備える。降圧回路55の入力端子551および出力端子552が抵抗R4の一端に接続されている。また、該抵抗R4の他端とツェナダイオードD4のカソードとが接続されている。また、ツェナダイオードD4のアノードが接地されている。
【0062】
図12の例では、降圧回路55への入力電圧が多大になり、該入力電圧がツェナダイオードD4のツェナ電圧を超えた場合に抵抗R4に多大な電流が流れ、抵抗R4とツェナダイオードD4で電力が消費される。
【0063】
以上のように、電源装置17Aは、降圧回路55を備える。これにより、電源装置17Aは、倍電圧整流回路から出力された直流電圧が小さい場合(回転部材の回転速度が遅い場合)には電圧低下を抑制する。また、電源装置17Aは、倍電圧整流回路から出力された直流電圧が大きい場合(回転部材の回転速度が速い場合)には電圧低下を増大させる。したがって、回路基板13において耐圧の低い部品を使用することができる。また、一般的に、耐圧の低い部品を使用すると、その部品の電圧降下も小さくなる。したがって、電源装置17Aは、回転部材の回転速度が遅い場合では電圧が確保でき、より回転速度が遅い場合での電子回路54の駆動が実現できる。
【0064】
図13は、他の降圧回路55Aの一例を示す回路図である。降圧回路55Aは、抵抗R5と、各々が直列接続された複数個のダイオード(
図13の例では、3個のダイオードD11,D12,D13)とを備える。
【0065】
降圧回路55Aの入力端子551および出力端子552が抵抗R5の一端に接続されている。また、抵抗R5の他端が、ダイオードD11のアノードに接続されている。また、ダイオードD13のカソードが接地されている。
【0066】
降圧回路55Aにおいては、ダイオードD11,D12,D13の順方向電圧の合計値が使用される。たとえば、ダイオードD11,D12,D13の順方向電圧が0.6Vである場合には、合計値は1.8Vとなる。
【0067】
図13の例では、降圧回路55Aへの入力電圧が多大になり、該入力電圧が合計値を越えた場合にのみ、ダイオードの静特性によりダイオードD11,D12,D13に多大な電流が流れる。したがって、この場合に、降圧回路55Aは、抵抗R5とダイオードD11,D12,D13とで電力を消費させることができる。
【0068】
図14は、他の降圧回路55Bの一例を示す回路図である。降圧回路55Bは、抵抗R6,R7,R8と、トランジスタQ4とを備える。抵抗R6の一端と抵抗R8の一端とは、降圧回路55Aの入力端子551および出力端子552に接続されている。抵抗R6の他端と、抵抗R7の一端とが接続されている。抵抗R7の他端は、接地されている。
【0069】
抵抗R6と、抵抗R7との接続ノードは、トランジスタQ4のベースに接続されており、トランジスタQ4のエミッタは接地されており、トランジスタQ4のコレクタは抵抗R8の他端に接続されている。
【0070】
降圧回路55Bへの入力電圧が多大になった場合には、トランジスタQ4のベースに電圧Vbがかかる。これにより、トランジスタQ4がオンになることから、抵抗R4と、トランジスタQ4とで電力が消費される。なお、トランジスタQ4のベースに印可される電圧Vbは、抵抗R6と、抵抗R7との比率により定まる。たとえば、Vbが0.6Vを越えた場合に、トランジスタQ4はオンとなる。
【0071】
<変形例>
(1) 第1回路61は、「交流電圧を第2電圧範囲に調整した第1直流電圧に変換する回路」であれば他の回路であってもよい。たとえば、第1回路61は、倍電圧整流回路51を有さずに、制限回路52のみを有する構成としてもよい。また、第1回路61は、制限回路52を有さずに、倍電圧整流回路51のみを有する構成としてもよい。
【0072】
また、上述の例では、コンバータ53は、昇降圧コンバータである構成を説明したが、コンバータ53は、昇圧コンバータとしてもよく、降圧コンバータとしてもよい。
【0073】
(2) 上述の実施の形態においては、電源装置17が、軸受装置1に搭載される構成が説明された。しかしながら、電源装置17は、発電機Gを有する他の装置に搭載されるようにしてもよい。このような構成であっても、発電機Gによる交流電圧の実効値が変動する場合には、電源装置17は、規定された電圧範囲での電圧を電子回路に供給することができる。
【0074】
[付記]
(第1項) 本開示の電源装置は、電子回路を駆動する。電子回路の入力電圧は、第1電圧範囲に定められている。電源装置は、第1回路と、第2回路とを備える。第1回路は、発電機からの交流電圧を第1直流電圧に変換して出力する。第2回路は、第1直流電圧を第1電圧範囲に調整した第2直流電圧を電子回路に出力する。第2回路の入力電圧は、第2電圧範囲に定められている。第1回路は、交流電圧を第2電圧範囲に調整した第1直流電圧に変換する。
【0075】
(第2項) 第1項に記載の電源装置において、第1回路は、制限回路を含む。制限回路は、該制限回路に入力された直流電圧を第2電圧範囲の第1直流電圧に調整する。
【0076】
(第3項) 第2項に記載の電源装置において、第1回路は、交流電圧を昇圧された直流電圧に変換して出力する倍電圧整流回路を含む。
【0077】
(第4項) 第3項に記載の電源装置において、第1回路は、倍電圧整流回路から出力された直流電圧を降圧して制限回路に出力する降圧回路を有する。降圧回路は、倍電圧整流回路から出力された直流電圧が大きいほど大きく降圧する。
【0078】
(第5項) 第1項~第4項のいずれか1項に記載の電源装置において、第2電圧範囲は、15V以上20V以下である。
【0079】
(第6項) 本開示の軸受装置は、第1項~第4項のいずれか1項に記載の電源装置と、回転部材と、回転部材の回転に応じて交流電圧を生成する発電機とを備える。
【0080】
(第7項) 第6項に記載の軸受装置は、軸受と、該軸受の状態を監視するセンサと、センサの検出値を外部装置に無線送信する通信回路とを備える。電子回路は、センサと通信回路とを含む。
【0081】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 軸受装置、2 軸受、3 外輪、4 内輪、5 ステータ、6 センサユニット、7 磁気リング、7a 芯金、7b 多極磁石、7c フランジ部、8 転動体、9 保持器、10 シール、12 保持部材、13 回路基板、14 蓋、15 加速度センサ、16 温度センサ、17,17A 電源装置、18 ワイヤレス通信回路、18a アンテナ部、19 ねじ、26 負荷、51 倍電圧整流回路、52 制限回路、53 コンバータ、54 電子回路、55,55A,55B 降圧回路、61,61A 第1回路。