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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037420
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】定置式燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04089 20160101AFI20240312BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240312BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240312BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20240312BHJP
【FI】
H01M8/04089
H01M8/04 J
H01M8/04313
H01M8/04 Z
H01M8/04694
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142284
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】垣見 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】明本 斉
(72)【発明者】
【氏名】富本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】立川 克之
(72)【発明者】
【氏名】中村 健
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AC02
5H127BA02
5H127BA22
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127CC07
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】燃料電池スタックの発電を安定させることができる定置式燃料電池ユニットを提供する。
【解決手段】定置式燃料電池ユニット10は、発電装置11と、発電装置11が載置され、発電装置11と一体的に回転するターンテーブル12と、風向を検出する風向検出手段と、風向検出手段が検出した風向に応じてターンテーブル12を回転させる駆動装置とを備えている。発電装置11は、燃料電池スタック31と、燃料電池スタック31を収容する筐体20とを有している。筐体20は、筐体20外から筐体20内に空気を導入するための導入口24を有している。駆動装置は、導入口24が風上に位置するようにターンテーブル12を回転させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、
前記発電装置が載置され、前記発電装置と一体的に回転するターンテーブルと、
風向を検出する風向検出手段と、
前記風向検出手段が検出した風向に応じて前記ターンテーブルを回転させる回転手段と、
を備え、
前記発電装置は、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを収容する筐体とを有し、
前記筐体は、前記筐体外から前記筐体内に空気を導入するための導入口を有し、
前記回転手段は、前記導入口が風上に位置するように前記ターンテーブルを回転させることを特徴とする定置式燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記燃料電池スタックが前記筐体内に排出したガスを前記筐体外に排出するための排出口を有し、
前記排出口は、前記燃料電池スタックを挟んで前記導入口の反対側に位置している請求項1に記載の定置式燃料電池ユニット。
【請求項3】
前記ターンテーブルには、5つの前記発電装置が市松模様状に載置されており、
5つの前記発電装置のうち、1つの前記発電装置は、前記ターンテーブルの回転中心に配置され、
前記導入口から前記排出口に向かう方向は、5つの前記発電装置で同じである請求項2に記載の定置式燃料電池ユニット。
【請求項4】
前記燃料電池スタックに水素を供給するための水素供給配管と、
前記燃料電池スタックが発電した電気を取り出すための電気取出手段と、
を備え、
前記水素供給配管及び前記電気取出手段のうちの一方は、上下方向において前記燃料電池スタックよりも上側に配置され、前記水素供給配管及び前記電気取出手段のうちの他方は、前記上下方向において前記燃料電池スタックよりも下側に配置されている請求項1~3の何れか一項に記載の定置式燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置式燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された定置式燃料電池ユニットは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを収容する筐体とを備えている。燃料電池スタックは、水素と酸素との化学反応によって発電する。筐体は、筐体外から筐体内に空気を導入するための導入口を有している。燃料電池スタックは、導入口から筐体内に導入された空気に含まれる酸素を用いて発電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-193963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定置式燃料電池ユニットでは、筐体内に新しい空気、すなわち酸素が十分含まれている空気が導入されにくい。このため、燃料電池スタックに供給される空気の酸素濃度が低下することによって、燃料電池スタックの電圧が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための定置式燃料電池ユニットは、発電装置と、前記発電装置が載置され、前記発電装置と一体的に回転するターンテーブルと、風向を検出する風向検出手段と、前記風向検出手段が検出した風向に応じて前記ターンテーブルを回転させる回転手段と、を備え、前記発電装置は、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを収容する筐体とを有し、前記筐体は、前記筐体外から前記筐体内に空気を導入するための導入口を有し、前記回転手段は、前記導入口が風上に位置するように前記ターンテーブルを回転させることを要旨とする。
【0006】
上記構成によれば、発電装置は、導入口が風上に位置するように回転される。このため、風の流れによって、筐体内には新しい空気が導入されやすくなる。したがって、燃料電池スタックの発電を安定させることができる。
【0007】
上記定置式燃料電池ユニットにおいて、前記筐体は、前記燃料電池スタックが前記筐体内に排出したガスを前記筐体外に排出するための排出口を有し、前記排出口は、前記燃料電池スタックを挟んで前記導入口の反対側に位置していてもよい。
【0008】
上記構成によれば、排出口は、導入口の反対側に位置している。このため、燃料電池スタックが筐体内に排出したガスは、風の流れによって、排出口から筐体外に排出されやすくなる。つまり、筐体内の換気が行われやすくなる。したがって、燃料電池スタックの発電をより安定させることができる。
【0009】
上記定置式燃料電池ユニットにおいて、前記ターンテーブルには、5つの前記発電装置が市松模様状に載置されており、5つの前記発電装置のうち、1つの前記発電装置は、前記ターンテーブルの回転中心に配置され、前記導入口から前記排出口に向かう方向は、5つの前記発電装置で同じであってもよい。
【0010】
上記構成によれば、各発電装置は、他の発電装置から排出されたガスを筐体内に導入しにくくなる。したがって、燃料電池スタックの発電をより安定させることができる。また、5つの発電装置が一列に並ぶようにターンテーブルに載置されている場合と比較して、定置式燃料電池ユニットの回転半径は小さくなる。したがって、定置式燃料電池ユニットの設置スペースを削減できる。
【0011】
上記定置式燃料電池ユニットにおいて、前記燃料電池スタックに水素を供給するための水素供給配管と、前記燃料電池スタックが発電した電気を取り出すための電気取出手段と、を備え、前記水素供給配管及び前記電気取出手段のうちの一方は、上下方向において前記燃料電池スタックよりも上側に配置され、前記水素供給配管及び前記電気取出手段のうちの他方は、前記上下方向において前記燃料電池スタックよりも下側に配置されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、水素供給配管と電気取出手段とが互いに干渉しにくくなる。したがって、水素供給配管及び電気取出手段の取り回しが容易になる。また、水素供給配管及び電気取出手段を堅牢な構成にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、燃料電池スタックの発電を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における定置式燃料電池ユニットを示す斜視図である。
図2】実施形態における定置式燃料電池ユニットを示す側面図である。
図3】実施形態における発電装置を示す断面図である。
図4】実施形態における定置式燃料電池ユニットを示す平面図である。
図5】実施形態における定置式燃料電池ユニットを示す底面図である。
図6】作用を説明するための平面図である。
図7】変更例における定置式燃料電池ユニットを示す平面図である。
図8】変更例における定置式燃料電池ユニットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、定置式燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、定置式燃料電池ユニット10は、発電装置11と、ターンテーブル12と、風向検出手段13と、回転手段としての駆動装置14と、水素供給配管15と、電気取出手段16とを備えている。本実施形態の定置式燃料電池ユニット10は、発電装置11を5つ備えている。
【0016】
<発電装置>
図3に示すように、発電装置11は、筐体20と、燃料電池スタック31と、防塵フィルタ32と、ラジエータ33と、循環流路34と、ラジエータファン35とを備えている。また、図示しないが、発電装置11は、コンプレッサを備えている。筐体20は、燃料電池スタック31、ラジエータ33、循環流路34、及びコンプレッサを収容している。
【0017】
図1に示すように、筐体20は、直方体状の箱である。筐体20は、矩形状の上壁21と、矩形状の下壁22と、上壁21と下壁22とを接続する第1側壁23a、第2側壁23b、第3側壁23c、及び第4側壁23dとを有している。第1側壁23aと第2側壁23bは、対向している。第3側壁23cと第4側壁23dは、対向している。
【0018】
図3に示すように、筐体20は、導入口24と排出口25とを有している。導入口24は、第1側壁23aに設けられている。導入口24は、筐体20外から筐体20内に空気を導入するための部分である。本実施形態では、導入口24には、防塵フィルタ32が嵌め込まれている。防塵フィルタ32は、塵が空気とともに筐体20内に侵入することを抑制するためのフィルタである。排出口25は、第2側壁23bに設けられている。排出口25は、燃料電池スタック31を挟んで導入口24の反対側に位置している。排出口25は、筐体20内の流体を筐体20外に排出するための部分である。本実施形態では、排出口25には、ラジエータファン35が嵌め込まれている。
【0019】
筐体20は、配管挿通孔26と第1配線挿通孔27とを有している。配管挿通孔26は、上壁21を貫通している。配管挿通孔26は、筐体20の内外を連通させている。第1配線挿通孔27は、下壁22を貫通している。第1配線挿通孔27は、筐体20の内外を連通させている。
【0020】
燃料電池スタック31は、水素と酸素との化学反応によって発電する。
図1及び図3に示すように、燃料電池スタック31と水素タンク17は、水素供給配管15によって接続されている。水素は、水素タンク17から水素供給配管15を通って燃料電池スタック31に供給される。したがって、水素供給配管15は、燃料電池スタック31に水素を供給するための配管である。コンプレッサは、導入口24から筐体20内に導入された空気を燃料電池スタック31に供給する。燃料電池スタック31は、コンプレッサから供給された空気に含まれる酸素を用いて発電を行う。
【0021】
図2及び図3に示すように、燃料電池スタック31と電源設備18は、電気取出手段16によって接続されている。燃料電池スタック31が発電した電気は、電気取出手段16を介して電源設備18に送られる。つまり、電気取出手段16は、燃料電池スタック31が発電した電気を取り出す。
【0022】
燃料電池スタック31は、発電に伴って筐体20内にガスを排出する。この排ガスには、主に、燃料電池スタック31で未反応の酸素を含む空気と、燃料電池スタック31で未反応の水素と、酸素と水素との化学反応によって生じた水とが含まれている。したがって、排ガスの酸素濃度は、筐体20外の空気の酸素濃度よりも低い。排ガスを含む筐体20内の流体は、排出口25から筐体20外に排出される。
【0023】
ラジエータ33は、筐体20内の流体と熱交換媒体との間で熱交換を行う。熱交換媒体は、例えば、冷却水である。本実施形態のラジエータ33は、筐体20内において燃料電池スタック31とラジエータファン35との間に配置されている。
【0024】
循環流路34は、熱交換媒体を燃料電池スタック31とラジエータ33との間で循環させる。循環流路34は、往路34aと、復路34bと、第1熱交換流路34cと、第2熱交換流路34dとを有している。往路34aは、ラジエータ33から燃料電池スタック31に向けて冷却水を流すための流路である。復路34bは、燃料電池スタック31からラジエータ33に向けて冷却水を流すための流路である。第1熱交換流路34cは、燃料電池スタック31内に設けられている。第2熱交換流路34dは、ラジエータ33内に設けられている。冷却水は、図示しないポンプによって、循環流路34内で循環される。
【0025】
往路34aを通って第1熱交換流路34cに流れ込んだ冷却水は、燃料電池スタック31で発生した熱を吸収することによって燃料電池スタック31を冷却する。燃料電池スタック31の熱を吸収することによって温度が上昇した冷却水は、復路34bを通って第2熱交換流路34dに流れ込む。第2熱交換流路34dに流れ込んだ冷却水は、筐体20内の流体と熱交換されることによって冷却される。
【0026】
ラジエータファン35は、筐体20内の流体を吸い込んで筐体20外に吐き出すように構成されている。したがって、ラジエータファン35が作動すると、導入口24から筐体20内に空気が吸い込まれるとともに、筐体20内の流体が排出口25から筐体20外に吐き出されることによって、筐体20内は換気される。このとき、筐体20内の流体がラジエータ33を通過することによって、第2熱交換流路34dを流れる冷却水の冷却効率が高められる。
【0027】
<ターンテーブル>
ターンテーブル12は、定置式燃料電池ユニット10の設置面に対して回転可能に設けられている。ターンテーブル12には、発電装置11が載置されている。ターンテーブル12は、発電装置11と一定的に回転する。
【0028】
図4に示すように、本実施形態のターンテーブル12は矩形状である。本実施形態のターンテーブル12には、5つの発電装置11が載置されている。以下の説明では、5つの発電装置11を区別するため、第1発電装置11a、第2発電装置11b、第3発電装置11c、第4発電装置11d、第5発電装置11eとする。
【0029】
本実施形態では、第1~第5発電装置11a~11eは、市松模様状に配置されている。第1発電装置11aは、ターンテーブル12の回転中心Cに配置されている。第2~第5発電装置11b~11eは、ターンテーブル12の四隅に配置されている。
【0030】
発電装置11において第1側壁23aと第2側壁23bとが対向する方向を第1方向Xとする。発電装置11において第3側壁23cと第4側壁23dとが対向する方向を第2方向Yとする。第1方向X及び第2方向Yは、第1~第5発電装置11a~11eで同じである。また、第1方向Xにおける第1側壁23aから第2側壁23bが向かう方向、すなわち導入口24から排出口25に向かう方向は、第1~第5発電装置11a~11eで同じである。
【0031】
第2発電装置11b及び第3発電装置11cは、第1方向Xにおいて第1発電装置11aよりも一端側に位置しているとともに、第4発電装置11d及び第5発電装置11eは、第1方向Xにおいて第1発電装置11aよりも他端側に位置している。第2発電装置11b及び第4発電装置11dは、第2方向Yにおいて第1発電装置11aよりも一端側に位置しているとともに、第3発電装置11c及び第5発電装置11eは、第2方向Yにおいて第1発電装置11aよりも他端側に位置している。
【0032】
第2発電装置11bの第2側壁23bと第4発電装置11dの第1側壁23aは、第1方向Xにおいて対向している。したがって、第2発電装置11bの排出口25と第4発電装置11dの導入口24は、第1方向Xにおいて対向している。第3発電装置11cの第2側壁23bと第5発電装置11eの第1側壁23aは、第1方向Xにおいて対向している。したがって、第3発電装置11cの排出口25と第5発電装置11eの導入口24は、第1方向Xにおいて対向している。第2発電装置11bの第4側壁23dと第3発電装置11cの第3側壁23cは、第2方向Yにおいて対向している。第4発電装置11dの第4側壁23dと第5発電装置11eの第3側壁23cは、第2方向Yにおいて対向している。
【0033】
図5に示すように、本実施形態のターンテーブル12は、5つの第2配線挿通孔12aを有している。各第2配線挿通孔12aは、ターンテーブル12を板厚方向に貫通している。
【0034】
図3に示すように、発電装置11がターンテーブル12に載置された状態において、発電装置11の筐体20の第1配線挿通孔27は、ターンテーブル12の第2配線挿通孔12aと連通している。
【0035】
<風向検出手段>
図1に示すように、風向検出手段13は、胴体13a及び垂直尾翼13bを有している。風向検出手段13は、垂直尾翼13bが風下に位置するように回転する。風向検出手段13は、垂直尾翼13bが向く方向によって風向を検出する。本実施形態の風向検出手段13は、発電装置11及びターンテーブル12の近傍に配置されている。風向検出手段13は、定置式燃料電池ユニット10が設置された環境の風向を検出する。
【0036】
<駆動装置>
図2に示すように、駆動装置14は、回転軸14aと、モータ14bと、制御部14cとを有している。回転軸14aは、ターンテーブル12の下面に対して固定されている。ターンテーブル12は、回転軸14aと一体的に回転する。ターンテーブル12の回転中心Cは、回転軸14aの軸線上に位置している。モータ14bは、回転軸14aを回転させる。制御部14cは、モータ14bを制御する。制御部14cは、風向検出手段13と接続されている。制御部14cは、風向検出手段13の検出結果を取得する。駆動装置14は、風向検出手段13が検出した風向に応じてターンテーブル12を回転させる回転手段である。駆動装置14は、発電装置11の導入口24が風上に位置するようにターンテーブル12を回転させる。
【0037】
<水素供給配管>
図1に示すように、水素供給配管15は、主配管51と、分岐配管52と、回転継手53とを有している。主配管51の第1端部は、水素タンク17に接続されている。分岐配管52は、1つの入口部52aと、5つ出口部52bとを有している。主配管51の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、回転継手53を介して分岐配管52の入口部52aに接続されている。分岐配管52は、回転継手53によって、主配管51に対して回転可能に接続されている。
【0038】
本実施形態では、水素供給配管15は、上下方向において燃料電池スタック31よりも上側に配置されている。回転継手53は、回転軸14aの軸線上に位置している。分岐配管52の5つの出口部52bは、5つの筐体20の配管挿通孔26に挿通されている。分岐配管52の5つの出口部52bは、5つの燃料電池スタック31に接続されている。
【0039】
<電気取出手段>
図2及び図5に示すように、電気取出手段16は、スリップリング60と、第1配線61と、第2配線62とを有している。なお、図2では、第1配線61の図示を省略しているとともに、第2配線62を1本の線で図示している。図5では、駆動装置14の図示を省略している。本実施形態の電気取出手段16は、上下方向において燃料電池スタック31よりも下側に配置されている。電気取出手段16は、ターンテーブル12の下方に配置されている。
【0040】
スリップリング60は、円筒状のリング部材60aと、ブラシ60bとを有している。駆動装置14の回転軸14aは、リング部材60aの内側に挿通されている。リング部材60aの軸線は、回転軸14aの軸線と一致している。リング部材60aは、回転軸14aに固定されている。リング部材60aは、回転軸14aと一体的に回転する。ブラシ60bは、リング部材60aの外周において、リング部材60aの外周面に対して摺動可能に設けられている。ブラシ60bがリング部材60aに接触することによって、リング部材60aとブラシ60bとは電気的に接続されている。
【0041】
第1配線61は、燃料電池スタック31とリング部材60aとを電気的に接続している。
図3に示すように、燃料電池スタック31に接続された第1配線61は、筐体20の第1配線挿通孔27及びターンテーブル12の第2配線挿通孔12aを通ってターンテーブル12の下方に引き出されている。そして、第1配線61は、ターンテーブル12の下方においてリング部材60aに接続されている。
【0042】
図2及び図5に示すように、第2配線62は、ブラシ60bと電源設備18とを電気的に接続している。これにより、燃料電池スタック31と電源設備18とは、電気取出手段16を介して電気的に接続されている。
【0043】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
図6に示すように、定置式燃料電池ユニット10が設置された環境の風向が矢印Wで示す風向であるとする。風向検出手段13は、風向を検出する。駆動装置14は、風向検出手段13が検出した風向に応じてターンテーブル12を回転させる。駆動装置14は、各発電装置11の導入口24が風上に位置するようにターンテーブル12を回転させる。
【0044】
このとき、水素供給配管15では、分岐配管52は発電装置11及びターンテーブル12とともに回転するが、主配管51は回転しない。また、スリップリング60では、リング部材60aは発電装置11及びターンテーブル12とともに回転するが、ブラシ60bは回転しない。
【0045】
各発電装置11は、導入口24が風上に位置するように回転される。このため、風の流れによって、筐体20内には新しい空気が導入されやすくなる。筐体20内に導入される新しい空気の酸素濃度は、燃料電池スタック31の発電に使用された後の空気の酸素濃度よりも高い。したがって、燃料電池スタック31には、酸素濃度の高い空気が供給される。また、導入口24が風上に位置するとき、導入口24とは反対側に設けられた排出口25は風下に位置する。このため、筐体20内の排ガスは、風の流れによって、排出口25から筐体20外に排出されやすくなる。したがって、酸素濃度の低い空気を含む排ガスは、燃料電池スタック31に供給されにくくなる。このように、風の流れにより筐体20内が換気されることによって、燃料電池スタック31の電圧が低下することが抑制される。
【0046】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)定置式燃料電池ユニット10は、発電装置11と、発電装置11が載置されたターンテーブル12と、風向を検出する風向検出手段13と、風向に応じてターンテーブル12を回転させる駆動装置14とを備えている。発電装置11は、燃料電池スタック31と、燃料電池スタック31を収容する筐体20とを有している。筐体20は、筐体20外から筐体20内に空気を吸入するための導入口24を有している。駆動装置14は、導入口24が風上に位置するようにターンテーブル12を回転させる。導入口24が風上に位置することにより、風の流れによって、筐体20内には新しい空気が導入されやすくなる。したがって、燃料電池スタック31の電圧が低下することが抑制されるため、燃料電池スタック31の発電を安定させることができる。また、燃料電池スタック31の発電効率を高めることができる。
【0047】
(2)筐体20は、燃料電池スタック31が筐体20内に排出したガスを筐体20外に排出するための排出口25を有している。排出口25は、燃料電池スタック31を挟んで導入口24の反対側に位置している。このため、筐体20内の排ガスは、風の流れによって、排出口25から筐体20外に排出されやすくなる。つまり、筐体20内の換気が行われやすくなる。したがって、燃料電池スタック31の発電をより安定させることができる。また、燃料電池スタック31の発電効率をより高めることができる。また、筐体20内が換気されることによって、燃料電池スタック31を冷却できるとともに、第2熱交換流路34dを流れる冷却水の冷却効率を高めることができる。
【0048】
(3)ターンテーブル12には、第1~第5発電装置11a~11eが市松模様状に載置されている。第1発電装置11aは、ターンテーブル12の回転中心Cに配置されている。導入口24から排出口25に向かう方向は、第1~第5発電装置11a~11eで同じである。この配置により、各発電装置11は、他の発電装置11から排出されたガスを筐体20内に導入しにくくなる。
【0049】
詳しくは、第1発電装置11a、第2発電装置11b、及び第3発電装置11cの導入口24は、他の発電装置11の排出口25と対向していない。したがって、第1発電装置11a、第2発電装置11b、及び第3発電装置11cは、他の発電装置11から排出されたガスを筐体20内に導入しにくい。また、第4発電装置11dの導入口24は、第2発電装置11bの排出口25と対向しているものの、第4発電装置11dの導入口24と第2発電装置11bの排出口25との間隔は、第1発電装置11aの分だけ離されている。したがって、第4発電装置11dは、第2発電装置11bから排出されたガスを筐体20内に導入しにくい。同様に、第5発電装置11eの導入口24は、第3発電装置11cの排出口25と対向しているものの、第5発電装置11eの導入口24と第3発電装置11cの排出口25との間隔は、第1発電装置11aの分だけ離されている。したがって、第5発電装置11eは、第3発電装置11cから排出されたガスを筐体20内に導入しにくい。
【0050】
各発電装置11が他の発電装置11から排出されたガスを筐体20内に導入しにくいことによって、燃料電池スタック31の発電をより安定させることができる。また、燃料電池スタック31の発電効率をより向上できる。
【0051】
また、5つの発電装置11が一列に並ぶようにターンテーブル12に載置されている場合と比較して、定置式燃料電池ユニット10の回転半径は小さくなる。したがって、定置式燃料電池ユニット10の設置スペースを削減できる。
【0052】
(4)定置式燃料電池ユニット10は、燃料電池スタック31に水素を供給するための水素供給配管15と、燃料電池スタック31が発電した電気を取り出すための電気取出手段16とを備えている。水素供給配管15は、上下方向において燃料電池スタック31よりも上側に配置されている。電気取出手段16は、上下方向において燃料電池スタック31よりも下側に配置されている。このため、水素供給配管15と電気取出手段16とが互いに干渉しにくくなる。したがって、水素供給配管15及び電気取出手段16の取り回しが容易になる。また、水素供給配管15及び電気取出手段16を堅牢な構成にすることができる。
【0053】
(5)筐体20は、導入口24及び排出口25の両方を有している。このため、筐体20内には、筐体20外から供給された空気と、燃料電池スタック31が排出したガスとが混在している。この構成では、燃料電池スタック31の発電に使用された後の酸素濃度の低い空気が燃料電池スタック31に供給されやすい。したがって、本実施形態の構成を採用することによって、筐体20内の換気を行うことが特に効果的である。
【0054】
(6)水素供給配管15は、回転継手53を有している。したがって、発電装置11及びターンテーブル12が回転した際に水素供給配管15が捻れることを回避できる。
(7)電気取出手段16は、スリップリング60を有している。したがって、発電装置11及びターンテーブル12が回転した際に電気取出手段16が捻れることを回避できる。
【0055】
(8)5つの発電装置11が1つのターンテーブル12に載置されている。したがって、1つの発電装置11が1つのターンテーブル12に載置される場合と比較して、駆動装置14、回転継手53、及びスリップリング60の数を削減できる。
【0056】
(9)導入口24が風上に位置するように発電装置11が回転されることによって、風の流れにより、筐体20内は換気される。このため、ラジエータファン35が作動していないときであっても、筐体20内を換気できる。また、ラジエータファン35が作動しているときには、筐体20内の換気を促進することができる。
【0057】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0058】
○ 定置式燃料電池ユニット10が備える発電装置11の数は、5つに限定されない。発電装置11の数は、発電装置11の発電量と必要電力とに応じて設定される。また、ターンテーブル12における発電装置11の配置は、市松模様状に限定されず、適宜変更されてもよい。
【0059】
例えば、図7に示すように、定置式燃料電池ユニット10は、3つの発電装置11を備えていてもよい。3つの発電装置11は、一列に並ぶように配置されている。中央に位置する発電装置11の第3側壁23cは、一方の端に位置する発電装置11の第4側壁23dと対向し、中央に位置する発電装置11の第4側壁23dは、他方の端に位置する発電装置11の第3側壁23cと対向している。導入口24から排出口25に向かう方向は、3つの発電装置11で同じである。
【0060】
例えば、図8に示すように、定置式燃料電池ユニット10は、4つの発電装置11を備えていてもよい。4つの発電装置11は、上記実施形態の第2~第5発電装置11b~11eのように、ターンテーブル12の四隅に配置されている。この場合、4つの発電装置11が一列に並ぶように配置されている場合と比較して、定置式燃料電池ユニット10の回転半径は小さくなる。したがって、定置式燃料電池ユニット10の設置スペースを削減できる。
【0061】
○ 発電装置11は、筐体20に設けられた排出口25の代わりに、燃料電池スタック31が排出したガスを筐体20外に排出するための配管を有していてもよい。この場合、燃料電池スタック31が排出したガスは、筐体20内に排出されない。
【0062】
○ 排出口25は、筐体20の第2側壁23b以外の壁に形成されていてもよい。
○ 防塵フィルタ32は省略されてもよい。
○ ラジエータファン35は、排出口25に嵌め込まれていなくてもよい。ラジエータファン35は、例えば、燃料電池スタック31とラジエータ33との間に配置されていてもよい。この場合、ラジエータファン35は、ラジエータ33に向けて送風する。
【0063】
○ ターンテーブル12は、矩形状でなくてもよい。ターンテーブル12は、例えば、円板状でもよい。
○ 風向検出手段13は、発電装置11に取り付けられていてもよい。風向検出手段13は、例えば、垂直尾翼13bが導入口24とは反対側、すなわち排出口25側に位置するように筐体20に取り付けられる。発電装置11は、風向検出手段13と一体的に回転する。
【0064】
この場合、垂直尾翼13bが風下に位置するように風向検出手段13が回転することによって、風向検出手段13が取り付けられた発電装置11は、導入口24が風上に位置し、かつ排出口25が風下に位置するように回転する。発電装置11が回転すると、発電装置11が載置されたターンテーブル12も回転する。
【0065】
なお、風向検出手段13は、ターンテーブル12に取り付けられていてもよい。具体的には、風向検出手段13は、垂直尾翼13bが導入口24とは反対側、すなわち排出口25側に位置するようにターンテーブル12に取り付けられる。ターンテーブル12は、風向検出手段13と一体的に回転する。
【0066】
この場合も、垂直尾翼13bが風下に位置するように風向検出手段13が回転することによって、風向検出手段13が取り付けられたターンテーブル12は、導入口24が風上に位置し、かつ排出口25が風下に位置するように発電装置11とともに回転する。
【0067】
このように風向検出手段13が発電装置11やターンテーブル12に取り付けられている場合、風向検出手段13は、風向に応じてターンテーブル12を回転させる回転手段を兼ねている。この場合、上記実施形態の駆動装置14は不要である。
【0068】
○ 水素供給配管15は、上下方向において発電装置11よりも下側に位置し、かつ電気取出手段16は、上下方向において発電装置11よりも上側に位置していてもよい。
○ 水素供給配管15及び電気取出手段16は、上下方向において発電装置11よりも上側又は下側にまとめて設けられていてもよい。
【0069】
○ 水素タンク17は、発電装置11とともにターンテーブル12に載置されていてもよい。この場合、水素供給配管15は、回転継手53を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…定置式燃料電池ユニット、11…発電装置、12…ターンテーブル、13…風向検出手段、14…回転手段としての駆動装置、15…水素供給配管、16…電気取出手段、20…筐体、24…導入口、25…排出口、31…燃料電池スタック、C…回転中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8