(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037421
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】棒状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20240312BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240312BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20240312BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240312BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q1/00
A61Q1/06
A61K8/37
A61K8/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142285
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】赤松 芳昇
(72)【発明者】
【氏名】百北 夏子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC442
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD212
4C083BB11
4C083BB12
4C083CC11
4C083DD05
4C083DD11
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】 異なる使用感で描き分けることができるとともに、使用時の引っ掛かり、減りの偏り及び欠けを十分抑制することができる棒状化粧料を提供すること。
【解決手段】 棒状化粧料は、油性成分を含む棒状化粧料であって、その長手方向に分割された2以上の領域を有し、2以上の領域は、(A1)融点が65℃以上のワックスを含有する第1の化粧料組成物から構成される第1領域と、(A1)融点が65℃以上のワックスと(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドとを含む第2の化粧料組成物から構成される第2領域と、を含み、第1領域と第2領域とが隣接しており、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における油性成分全量を基準とした(A1)成分の含有割合(質量%)をそれぞれM1及びM2としたときに、M1>M2の関係を満たす。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性成分を含む棒状化粧料であって、
前記棒状化粧料は、その長手方向に分割された2以上の領域を有し、
2以上の前記領域は、(A1)融点が65℃以上のワックスを含有する第1の化粧料組成物から構成される第1領域と、(A1)融点が65℃以上のワックスと(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドとを含む第2の化粧料組成物から構成される第2領域と、を含み、
前記第1領域と前記第2領域とが隣接しており、
前記第1の化粧料組成物及び前記第2の化粧料組成物における油性成分全量を基準とした(A1)成分の含有割合(質量%)をそれぞれM1及びM2としたときに、M1>M2の関係を満たす、棒状化粧料。
【請求項2】
前記第1の化粧料組成物及び前記第2の化粧料組成物の25℃における硬度(N)をそれぞれH1及びH2としたときに、H1>H2の関係を満たす、請求項1に記載の棒状化粧料。
【請求項3】
前記第1の化粧料組成物が、前記(A1)成分として水添ヒマシ油を含む、請求項1又は2に記載の棒状化粧料。
【請求項4】
前記第1の化粧料組成物が、(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドを含有する、請求項1又は2に記載の棒状化粧料。
【請求項5】
前記第1の化粧料組成物における前記(A1)成分の含有量及び前記(A2)成分の含有量がそれぞれ、前記第1の化粧料組成物の全量を基準として、30~37質量%及び3~7質量%であり、
前記第2の化粧料組成物における前記(A1)成分の含有量及び前記(A2)成分の含有量がそれぞれ、前記第2の化粧料組成物の全量を基準として、20~30質量%及び2~13質量%であり、
前記第1の化粧料組成物及び前記第2の化粧料組成物の25℃における硬度がそれぞれ、2.5~4.5N及び0.5~2.5Nである、請求項4に記載の棒状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アイブロウペンシル、口紅、リップライナー、ペンシルアイライナー、コンシーラー等のメイクアップ用の棒状化粧料は、固形油等の油性成分と色材等の粉体成分とを含んで構成されている。また、所望のメイクアップを施すために、色の異なる化粧料を複数組み合わせることも行われており、携帯性や操作性の観点から、色の異なる複数の層が分割して形成されているペンシル状化粧料が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、メイクアップでは、同じ部位に対して使用感の異なるアイテムを使い分けることがある。例えば、眉のメイクアップでは、アイブロウペンシルとアイブロウパウダーの併用が挙げられる。アイブロウペンシルは、油性成分と、顔料などの粉体成分とを含んで構成され、眉毛全体の輪郭を描いたり、眉毛1本1本を足すように描くことができる。一方、アイブロウパウダーは、マイカやタルク、シリカなどの体質顔料を多く含有させることで、眉全体にふんわりとぼかした仕上がりの化粧効果をもたらすことができる。本発明者は、これらのアイテムの組み合わせに着目し、異なる使用感で描き分けることができる棒状化粧料について検討を行ったところ、以下の問題があることを見出した。
【0005】
すなわち、1つの化粧料で異なる使用感を描き分けるために硬度が異なる層を一体化すると、引っ掛かりによって均一な線が描きにくくなること、硬度が小さい層の減りが早すぎて減りの偏りが大きくなること、及び、層の一部が脱落して欠けが生じること、などの問題が生じる場合があることが、本発明者の検討により判明した。なお、上記特許文献1に記載の芯材のように複数の色彩を描き分けることを目的とした従来の棒状化粧料は、各層の油性成分の構成が類似しており、使用感の違いが得られにくい。また、本発明者らの検討によると、硬度が異なる層を一体化しても、異なる使用感で描き分けることができない場合があることも明らかとなった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、異なる使用感で描き分けることができるとともに、使用時の引っ掛かり、減りの偏り及び欠けを十分抑制することができる棒状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、以下の発明を提供する。
【0008】
[1] 油性成分を含む棒状化粧料であって、棒状化粧料は、その長手方向に分割された2以上の領域を有し、2以上の領域は、(A1)融点が65℃以上のワックスを含有する第1の化粧料組成物から構成される第1領域と、(A1)融点が65℃以上のワックスと(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドとを含む第2の化粧料組成物から構成される第2領域と、を含み、第1領域と第2領域とが隣接しており、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における油性成分全量を基準とした(A1)成分の含有割合(質量%)をそれぞれM1及びM2としたときに、M1>M2の関係を満たす、棒状化粧料。
[2] 第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物の25℃における硬度(N)をそれぞれH1及びH2としたときに、H1>H2の関係を満たす、上記[1]に記載の棒状化粧料。
[3] 第1の化粧料組成物が、(A1)成分として水添ヒマシ油を含む、上記[1]又は[2]に記載の棒状化粧料。
[4] 第1の化粧料組成物が、(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドを含有する、上記[1]~[3]のいずれかに記載の棒状化粧料。
[5] 第1の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第1の化粧料組成物の全量を基準として、30~37質量%及び3~7質量%であり、第2の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第2の化粧料組成物の全量を基準として、20~30質量%及び2~13質量%であり、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物の25℃における硬度がそれぞれ、2.5~4.5N及び0.5~2.5Nである、上記[4]に記載の棒状化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異なる使用感で描き分けることができるとともに、使用時の引っ掛かり、減りの偏り及び欠けを十分抑制することができる棒状化粧料を提供することができる。
【0010】
本発明の棒状化粧料によれば、1本で、明瞭な描線とぼかしたような仕上がりとを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の棒状化粧料の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の棒状化粧料の別の実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[棒状化粧料]
本実施形態の棒状化粧料は、(A)油性成分(以下、(A)成分という場合もある。)及び(B)粉体成分(以下、(B)成分という場合もある。)を含み、その長手方向に分割された2以上の領域を有し、2以上の領域として、以下の第1領域及び第2領域を少なくとも含む。
第1領域:(A1)融点が65℃以上のワックス(以下、(A1)成分という場合もある。)を含有する第1の化粧料組成物から構成される。
第2領域:(A1)融点が65℃以上のワックスと、(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリド(以下、(A2)成分という場合もある。)と、を含む第2の化粧料組成物から構成される。
但し、第1領域と第2領域とが隣接しており、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における油性成分全量を基準とした(A1)成分の含有割合(質量%)をそれぞれM1及びM2としたときに、M1>M2の関係を満たす。なお、第1領域と第2領域とは一部分で接していてもよい。
【0013】
本実施形態の棒状化粧料によれば、上記の構成を有することにより、異なる使用感で描き分けることができるとともに、使用時の引っ掛かり、減りの偏り及び欠けを十分抑制することができる。すなわち、(A1)成分の配合差によって第2領域の硬度を小さくした場合(使用感を柔らかくした場合)であっても、第2領域が(A2)成分を含むことにより、適度な滑り性を得ることができ、これにより、引っ掛かりによって均一な線が描きにくくなること、減りが早すぎて減りの偏りが大きくなること、及び、一部が脱落して欠けが生じること、の問題が発生することを十分抑制できると考えられる。
【0014】
<(A)油性成分>
(A)成分としては、通常、化粧料に用いられる油剤であれば、固形油、ペースト状油及び液状油など、特に限定なく用いることができる。油性成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
(A)成分としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス、セレシン、ワセリン、スクワラン、オレフィンオリゴマー、水添ポリイソブテン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素類;水添ヒマシ油(硬化ヒマシ油)、水添ホホバ油、カルナウバロウ、ライスワックス、キャンデリラロウ、ヒマワリワックス等の植物由来油脂;ヒマワリ種子油、ホホバ種子油、オリーブ油、ヒマシ油等の植物油、トリベヘン酸グリセリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸水添ヒマシ油、オレイン酸フィトステリル、ヘキサ(オレイン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)スクロース、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のエステル類;ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;アクリル変性シリコーン、ジメチコン、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン類;パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の糖脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
(A1)融点が65℃以上のワックスとしては、上述したパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、合成ワックス、セレシン等の炭化水素類、水添ヒマシ油(硬化ヒマシ油)、カルナウバロウ、ヒマワリワックス、キャンデリラロウ、ミツロウ等が挙げられる。(A1)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
なお、本願明細書において、油性成分の融点は以下の方法によって測定される。
試料を約5mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れる。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「DSC7020」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)中に設置する。電気冷却ユニット「Polyscience」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて、窒素ガス流量30~35mL/minのもと、試料及び基準試料を-10℃で1分間保持した後、昇温速度10℃/minで0℃から120℃まで昇温させ、降温条件-10℃/minで120℃から-10℃まで降温させ、-10℃で5分間保持した後に再び昇温速度10℃/minで-10℃から120℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得る。このときの2回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点とする。なお、ピーク温度が複数ある場合、融解温度が最も高いピーク温度を融点とする。
【0018】
(A2)融点が30℃以上の脂肪酸トリグリセリドとしては、トリ脂肪酸(C10-18)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。(A2)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
減りの偏りの抑制や、塗布のしやすさ、パウダリー感のあるぼかした化粧効果の観点から、(A2)成分は、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、トリ脂肪酸(C10-18)グリセリル、及び、トリラウリン酸グリセリルのうちから選択される少なくとも1種であってもよい。
【0020】
(A2)成分は、減りの偏りの抑制、塗布のしやすさの観点から、脂肪酸由来の炭化水素基における炭素数が6~20であってもよく、8~18であってもよい。
【0021】
(A2)成分は、融点が60℃以下であってもよく、使用感の描き分けと描きやすさの観点から、融点が45℃以下であってもよい。
【0022】
本実施形態の棒状化粧料においては、(A2)成分と、(A3)25℃における粘度が50mPa・s以下の液状油(以下、(A3)という場合もある。)とを併用することができる。本明細書において、液状油の25℃における粘度は、25℃の試料について、B型粘度計を用いて、BLアダプタ、回転数12rpmの条件で測定したときの値を指す。
【0023】
(A3)成分としては、トリエチルヘキサノイン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸ヘキシルデシル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン類が挙げられる。
【0024】
<(B)粉体成分>
(B)成分としては、通常、化粧料に用いられる粉体であれば、特に限定なく用いることができ、例えば、着色顔料(以下、(B1)成分という場合もある。)、体質粉体(以下、(B2)成分という場合もある。)等が挙げられる。粉体の形状についても特に限定されず、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造を有していてもよい。
【0025】
着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機性着色顔料、赤色228号、赤色226号、青色404号、赤色202号、黄色4号アルミニウムレーキ等の有機性着色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、雲母チタン、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、アルミニウムフレーク等のパール顔料、カルミン、ベニバナ等の天然色素などが挙げられる。
【0026】
体質粉体としては、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の体質顔料類、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱剤類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、セルロースパウダー、N-アシルリジンパウダー等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化チタン被覆ナイロン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸が挙げられる。
【0027】
粉体成分は、発色、密着性の観点から、疎水性処理粉体を用いてもよい。疎水性処理としては、高級脂肪酸、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、デキストリン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0028】
粉体成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
本実施形態の油性棒状化粧料は、上記成分の他に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、キレート剤、消炎剤、保湿剤、などのその他の成分を含有することができる。
【0030】
<第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物>
第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物はそれぞれ、上述した油性成分及び粉体成分、並びに、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。
【0031】
第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における(A)成分の含有量はそれぞれ、組成物の全量を基準として、10~90質量%及び10~90質量%であってもよく、30~85質量%及び30~80質量%であってもよく、50~75質量%及び40~70質量%であってもよく、55~70質量%及び50~65質量%であってもよい。
【0032】
第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における(A1)成分の含有量はそれぞれ、組成物の全量を基準として、10~60質量%及び0.5~50質量%であってもよく、20~50質量%及び10~40質量%であってもよく、30~40質量%及び20~30質量%であってもよい。
【0033】
第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における(B)成分の含有量はそれぞれ、組成物の全量を基準として、10~90質量%及び10~90質量%であってもよく、20~70質量%及び20~70質量%であってもよく、35~50質量%及び30~60質量%であってもよく、着色効果や塗布のしやすさの観点から、30~45質量%及び35~50質量%であってもよい。
【0034】
本実施形態の油性棒状化粧料においては、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物における油性成分全量を基準とした(A1)成分の含有割合(質量%)をそれぞれM1及びM2としたときに、M1>M2の関係を満たすが、使用感の描き分けの観点から、M1及びM2はそれぞれ、35~70質量%及び5~60質量%であってもよく、40~65質量%及び20~55質量%であってもよく、45~58質量%及び40~50質量%であってもよい。
【0035】
第1の化粧料組成物は、異なる使用感の描き分けの観点から、(A1)成分として水添ヒマシ油を含むことができる。この場合、水添ヒマシ油の含有量は、第1の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、5~30質量%であってもよく、10~20質量%であってもよい。
【0036】
第1の化粧料組成物は、塗布のしやすさと減りの偏り抑制の観点から、(A2)成分を含有してもよい。この場合、(A2)成分の含有量は、第1の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、0.5~15質量%であってもよく、4~10質量%であってもよい。
【0037】
第1の化粧料組成物は、塗布のしやすさ、成型のしやすさの観点から、(A3)成分を含有してもよい。この場合、(A3)成分の含有量は、第1の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、15~45質量%であってもよく、20~32質量%であってもよい。
【0038】
第1の化粧料組成物は、塗布のしやすさ、成型のしやすさの観点から、(A2)成分及び(A3)成分を含有してもよい。この場合、(A2)成分及び(A3)成分の合計含有量は、塗布のしやすさの観点から、第1の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、20~60質量%であってもよく、25~45質量%であってもよい。また、(A2)成分の含有量が、塗布のしやすさの観点から、(A2)成分及び(A3)成分の合計100質量部に対して、5~55質量部であってもよく、15~50質量部であってもよい。
【0039】
第1の化粧料組成物は、塗布のしやすさ、パウダリー感のある仕上がりの観点から、(B2)体質粉体を含有することができる。この場合、(B2)成分の含有量は、第1の化粧料組成物における(B)成分の全量を基準として、5~30質量%であってもよく、10~20質量%であってもよい。更に、(B2)成分は、板状粉体であってもよく、マイカ、合成マイカ、セリサイト、及びタルクのうちの一種以上であってもよい。
【0040】
第2の化粧料組成物における(A2)成分の含有量は、塗布のしやすさ、異なる使用感の描き分けの観点から、第2の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、0.5~35質量%であってもよく、描きやすさの観点から、5~30質量%であってもよく、描きやすさと、減りの偏りの抑制とを高水準で両立する観点から、12~22質量%であってもよい。
【0041】
第2の化粧料組成物は、塗布のしやすさの観点から、(A2)成分及び(A3)成分を含有してもよい。この場合、(A2)成分及び(A3)成分の合計含有量は、塗布のしやすさの観点から、第2の化粧料組成物における(A)成分の全量を基準として、20~70質量%であってもよく、30~60質量%であってもよい。また、(A2)成分の含有量は、塗布のしやすさと減りの偏り抑制とを両立させる観点から、(A2)成分及び(A3)成分の合計100質量部に対して、10~60質量部であってもよく、15~40質量部であってもよい。
【0042】
第2の化粧料組成物は、塗布のしやすさ、異なる使用感の描き分けの観点から、(B2)体質粉体を含有することができる。この場合、(B2)成分の含有量は、第2の化粧料組成物における(B)成分の全量を基準として、30~70質量%であってもよく、35~60質量%であってもよく、40~55質量%であってもよい。更に、(B2)成分は、板状粉体であってもよく、マイカ、合成マイカ、セリサイト、及びタルクのうちの一種以上であってもよい。
【0043】
本実施形態の棒状化粧料は、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物の室温(25℃)における硬度(N)(以下、バルク硬度ともいう。)をそれぞれH1及びH2としたときに、H1>H2の関係を満たすことができる。この場合、第1領域をハード層及び第2領域をソフト層として機能し、異なる使用感が得られやすくなる。
【0044】
本明細書において、化粧料組成物のバルク硬度は、以下の測定方法により求められる。
まず、加熱により溶融した化粧料を容量20mLの軟膏ツボに充填し、25℃にて一晩放置した測定用サンプルを用意する。この測定用サンプルについて、レオメーター(レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸:直径1mmの円盤、針入速度:6cm/min、針入深度:10mmの条件で硬度を測定する。
【0045】
H1及びH2はそれぞれ、異なる使用感が得られやすくなる観点から、2.5~5.0N及び0.5~3.0Nであってもよく、3.5~4.5N及び1.5~2.5Nであってもよい。また、同様の観点から、H1/H2が、3.0/1~1.5/1であってもよく、2.5/1~2/1であってもよい。
【0046】
本実施形態の棒状化粧料は、異なる使用感が得られながらも、描きやすく、芯減りの偏りを抑制する観点から、第1の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第1の化粧料組成物の全量を基準として、30~40質量%及び0.5~10質量%であり、第2の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第2の化粧料組成物の全量を基準として、20~30質量%及び2~15質量%であり、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物の室温(25℃)における硬度がそれぞれ、2.5~4.5N及び0.5~2.5Nであってもよい。また、本実施形態の棒状化粧料は、上記と同様の観点から、第1の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第1の化粧料組成物の全量を基準として、30~37質量%及び3~7質量%であり、第2の化粧料組成物における(A1)成分の含有量及び(A2)成分の含有量がそれぞれ、第2の化粧料組成物の全量を基準として、20~30質量%及び2~13質量%であり、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物の25℃における硬度がそれぞれ、2.5~4.5N及び0.5~2.5Nであってもよい。
【0047】
本実施形態の棒状化粧料は、第1領域が、棒状化粧料の長手方向に延在し、第1の化粧料組成物からなる複数の層から構成されていてもよく、第2領域が、棒状化粧料の長手方向に延在し、第2の化粧料組成物からなる複数の層から構成されていてもよい。また、本実施形態の棒状化粧料は、第1領域を2以上含んでいてもよく、第2領域を2以上含んでいてもよい。
【0048】
本実施形態の棒状化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲であれば、第1領域及び第2領域以外の第3領域を1又は2以上更に含んでいてもよい。第3領域は、上述した油性成分、粉体成分及び必要に応じてその他の成分を含む化粧料組成物から構成することができる。第3領域は、棒状化粧料の補強又は外観の調整のために設けてもよい。第3領域を構成する化粧料組成物のバルク硬度は適宜設定することができる。
【0049】
本実施形態の棒状化粧料は、例えば以下の手順により製造することができる。先ず、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物をそれぞれ、上述した油性成分、粉体成分及び必要に応じてその他の成分を混合することにより調製する。調製方法としては、例えば、油性成分及び必要に応じてその他の成分を混合し、加熱溶解した後、粉体成分を混合し、得られた混合物を3本ロール機又は攪拌機で均一分散させてもよい。次に、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物を、金型に溶融充填する方法、押出成型する方法、又はこれらを組み合わせる方法によって、棒状化粧料を得ることができる。
【0050】
金型に溶融充填する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(i)第2領域を形成するための金型に、溶融した第2の化粧料組成物を充填し、固化する。
(ii)固化した第2の化粧料組成物が含まれている金型の一部を、第1領域を形成するための金型に付け替え、そこに溶融した第1の化粧料組成物を充填し、固化する。
(iii)次に、金型から棒状化粧料を取り出す。
上記の方法においては、充填のしやすさの観点から、第2領域を先に形成しているが、第1領域及び第2領域の順に変更してもよい。化粧料組成物の固化は、放冷又は冷却によって行うことができる。
【0051】
押出成型する場合、例えば、各領域を形成するための化粧料組成物(例えば、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物)を同時に所定の形状で押出成型して一体化することができる。
【0052】
押出成型と溶融充填とを組み合わせる場合、例えば、第1の化粧料組成物を第1領域の形状に押出成型したものを、第2領域を形成するための金型に配置し、金型内の隙間に溶融した第2の化粧料組成物を充填し、固化してもよい。
【0053】
上記の各方法において、化粧料組成物の固化は、放冷又は冷却によって行うことができる。また、成型後の棒状化粧料を熱処理してもよい。
【0054】
図1は、本発明の棒状化粧料の一実施形態を示す斜視図である。
図1に示される棒状化粧料10は、その長手方向に分割された第1領域1及び第2領域2を有する。第1領域1及び第2領域2はそれぞれ、上述した第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物から構成される。棒状化粧料10においては、例えば、第1領域をハード層及び第2領域をソフト層として、異なる使用感を得ることができる。
【0055】
図2は、本発明の棒状化粧料の別の実施形態を示す模式断面図であり、棒状化粧料の長手方向に直交する横断面を示す。
図2の(a)に示される棒状化粧料は、2つの層1a,1bによって構成される第1領域1と、第2領域2とを有している。
図2の(b)及び(c)に示される棒状化粧料は、第1領域1と、2つの層2a,2bによって構成される第2領域2とを有している。2つの層1a,1b及び2つの層2a,2bはそれぞれ、上述した第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物から形成することができる。これらの棒状化粧料においても、例えば、第1領域をハード層及び第2領域をソフト層として、異なる使用感を得ることができ、2つの層1a,1b及び2つの層2a,2bは、例えば、色違いの層にしてもよい。
【0056】
本実施形態の棒状化粧料において、第1領域及び/又は第2領域が、異なる色の2以上の層から構成されている場合、各層の描き分けがしやすい点で、
図2の(a)における層1a,1bや
図2の(b)における層2a,2bのように、第1領域を構成する層及び/又は第2領域を構成する層が、棒状化粧料の先端で角になる外面を一つのみ有していてもよい。また、本実施形態の棒状化粧料において、第2領域が、異なる色の2以上の層から構成されている場合、同時に塗布した場合でも立体感のある仕上がりが得られやすく、且つ、製造もしやすい点で、
図2の(c)に示されるように、第2領域が、第1領域と隣接する1つの層と、第1領域と隣接しない1つ以上の層とから構成されていてもよい。
【0057】
棒状化粧料10の横断面は略扇形状であるが、棒状化粧料の形状は特に限定されない。例えば、棒状化粧料の長手方向(長軸方向)に直交する横断面の形状が、円、楕円、三角形、矩形、又は多角形(角の数5以上)であってもよい。
【0058】
本実施形態の棒状化粧料は、その横断面における第1領域の面積をS1、第2領域の面積をS2としたときに、異なる使用感の描き分けの観点から、S1<S2の関係を満たしていてもよく、S1/S2が0.5/9.5~4.5/5.5であってもよく、1.0/9.0~4.0/6.0であってもよい。第1領域及び/又は第2領域が複数ある場合、第1領域の合計面積と第2領域の合計面積とが上記関係を満たしていてもよい。本実施形態の棒状化粧料が第3領域を含む場合、横断面における第3領域の面積S3は、例えば、S2よりも小さくてもよく、S1及びS2よりも小さくてもよい。
【0059】
本実施形態の棒状化粧料が、第1領域と、第1領域と隣接する層及び第1領域と隣接しない層によって構成される第2領域と、を有している場合、その横断面における第1領域の面積をS1a、第2領域の2つの層の面積をそれぞれS2a及びS2bとしたときに(但し、S2bが第1領域と隣接しない層の面積を指す)、S2a/S2bが、1.0/9.0~9.0/1.0、又は、3.0/7.0~5.0/5.0であってもよく、S1a/S2a/S2bが、0.5/1.5/8.0~4.5/4.5/1.0であってもよい。この場合、第2領域を異なる色の2つの層で構成してもよく、同時に塗布した場合でも立体感のある仕上がりが得られやすく、且つ、製造もしやすい。
【0060】
本実施形態の棒状化粧料は、最大径が1.0mm以上10.0mm以下であってもよく、2.0mm以上8.0mm以下であってもよく、3.0mm以上6.0mm以下であってもよい。
【0061】
本実施形態の棒状化粧料は、アイブロウペンシル、アイブロウパウダー、及びコンシーラーのうちの2以上の機能、特には、アイブロウペンシル及びアイブロウパウダーの両機能を有する眉用化粧料として好適に用いられる。また、本実施形態の棒状化粧料は、棒状の化粧料を繰り出して使用するペンシル型化粧製品に用いることができる。
【実施例0062】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。なお、表中の数値は、化粧料基材全量を基準とする含有量(質量%)を示す。
【0063】
実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
【0064】
<化粧料組成物のバルク硬度>
化粧料組成物のバルク硬度は、以下の測定方法により求めた。
まず、加熱により溶融した化粧料を容量20mLの軟膏ツボに充填し、25℃にて一晩放置した測定用サンプルを用意した。この測定用サンプルについて、レオメーター(レオテック製)を用い、25℃にて、感圧軸:直径1mmの円盤、針入速度:6cm/min、針入深度:10mmの条件で硬度を測定した。
【0065】
<描きやすさの評価>
化粧品評価専門パネル5名に、実施例及び比較例の棒状化粧料について、第1領域及び第2領域を一緒に肌へ塗布したときに、引っ掛かりなく、均一な描線が描けるかを評価してもらった。なお、描きやすさの評価は、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の合計点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
[判定基準(評点の合計点)]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
【0066】
<使用感の描き分けの評価>
化粧品評価専門パネル5名に、実施例及び比較例の棒状化粧料について、肌に当てる化粧料の角度を調整し、第1層及び第2層を分けて肌に塗布し、異なる使用感(第1層:明瞭な描線、第2層:ぼかしたような描線)が感じられるかを評価してもらった。なお、使用感の描き分けの評価は、下記の評価基準に従って5段階評価を行いサンプル毎に評点を付し、更に全パネルの評点の合計点を下記の判定基準に従って判定した。
[評点:評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
[判定基準(評点の合計点)]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
【0067】
<減りの偏りについての評価>
繰り出し芯長2mmにて、バイオスキン(ビューラックス社製)の表面に10cmの長さの線を10回描く筆記試験を実施し、芯の減り具合を下記の評価基準に従って評価した。
[評価基準]
◎:2つの層の減り方が同等で、欠けがない
○:2つの層の減り方に差異が若干見られるが、欠けがない
△:2つの層の減り方に差異が見られる
×:2つの層の減り方に差異が顕著に見られる
【0068】
(実施例1~13及び比較例1~4)
表1~4に示される第1層の組成(質量%)を有する第1の化粧料組成物と、表1~4に示される第2層の組成(質量%)を有する第2の化粧料組成物とを、下記の製法1により調製した。
[製法1]
油性成分を95~105℃で加熱溶解した混合物に、粉体成分を混合し、3本ロールを用いて均一に分散した。
【0069】
次に、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物を用いて、下記の製法2により、
図1に示す棒状化粧料と同様の形状(すなわち、横断面が略扇形状)を有し、最大径3.5mm、第1層の断面積S
1と第2層の断面積S
2との比S
1/S
2が2.2/7.8である棒状化粧料を作製した。
[製法2]
(i)第2層を形成するための金型に、溶融した第2の化粧料組成物を充填し、固化した。
(ii)第2層が含まれている金型の一部を、第1層を形成するための金型に付け替え、そこに溶融した第1の化粧料組成物を充填し、固化した。
(iii)第1層が固化したことを確認し、金型から棒状化粧料を取り出した。
【0070】
上記で得られた化粧料組成物及び棒状化粧料について、上記の評価を行った。その結果を表1~4に示す。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
表1~4中及び後述する表5中、各原料の詳細は下記のとおりである。
合成ワックス:融点83.8℃
ポリエチレンワックス:融点89.0℃
マイクロクリスタリンワックス:融点73.2℃
セレシン:融点67.0℃
水添ヒマシ油:融点86.0℃
脂肪酸トリグリセリド-1:「Lipocire A SG」(トリ脂肪酸(C10-18)グリセリル、GATTEFOSSE SAS社製、商品名)、融点31.2℃
脂肪酸トリグリセリド-2:「Lipocire DM SG」(トリ脂肪酸(C10-18)グリセリル、GATTEFOSSE SAS社製、商品名)、融点38.1℃
脂肪酸トリグリセリド-3:「サラコス334」(トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、日清オイリオグループ株式会社製、商品名)、融点40.0℃
脂肪酸トリグリセリド-4:「SYNCROWAX HRC」(トリベヘン酸グリセリル、クローダジャパン株式会社製、商品名)、融点58.1℃
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:粘度26mPa・s@25℃
トリエチルヘキサノイン:粘度31mPa・s@25℃
ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール:粘度12mPa・s@25℃
【0076】
なお、上記の融点は以下の方法によって測定した。
試料を約5mg秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、示差走査熱量計「DSC7020」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)中に設置した。電気冷却ユニット「Polyscience」(日立ハイテクサイエンス社製、製品名)を用いて、窒素ガス流量30~35mL/minのもと、試料及び基準試料を-10℃で1分間保持した後、昇温速度10℃/minで0℃から120℃まで昇温させ、降温条件-10℃/minで120℃から-10℃まで降温させ、-10℃で5分間保持した後に再び昇温速度10℃/minで-10℃から120℃まで昇温することにより、融解吸熱カーブを得た。このときの2回目の昇温における融解吸熱カーブのピーク温度を融点とした。なお、ピーク温度が複数ある場合、融解温度が最も高いピーク温度を融点とした。
【0077】
また、液状油の25℃における粘度は、25℃の試料について、B型粘度計を用いて、BLアダプタ、回転数12rpmの条件で測定した。
【0078】
(実施例14)
実施例4と同様にして第1の化粧料組成物を調製した。また、下記に示される第2層の組成(質量%)を有する第2の化粧料組成物を上記の製法1により調製した。
[第2層の組成]
(成分) (配合割合(質量%))
1. 合成ワックス(融点96.7℃) 8
2. パルミチン酸デキストリン 5
3. 脂肪酸トリグリセリド-1*1 10
4. トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル*2 10
5. トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 12.6
6. リンゴ酸ジイソステアリル 14.2
7. (アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/
メタクリル酸ジメチコン)コポリマー 20
8. セスキイソステアリン酸ソルビタン 1
9. 酸化チタン 7.2
10.ベンガラ 0.4
11.黒酸化鉄 0.1
12.黄酸化鉄 1.5
13.マイカ 10
*1:上述したものと同様である。
*2:粘度26mPa・s@25℃
【0079】
次に、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物を用いて、上記の製法2により、
図1に示す棒状化粧料と同様の形状(すなわち、横断面が略扇形状)を有し、最大径3.5mm、第1層の断面積S
1と第2層の断面積S
2との比S
1/S
2が4.5/5.5である棒状化粧料を作製した。
【0080】
上記で得られた第2の化粧料組成物及び棒状化粧料について、上記の評価を行ったところ、第2の化粧料組成物のバルク硬度は0.8N、「塗布のしやすさ」、「使用感の描き分け」及び「減りの偏り」において、全て「○」の評価であった。
【0081】
(実施例15)
実施例4と同様にして第1の化粧料組成物を調製した。また、下記に示される第2層の組成(質量%)を有する第2の化粧料組成物を上記の製法1により調製した。
[第2層の組成]
(成分) (配合割合(質量%))
1. 合成ワックス(融点96.7℃) 4
2. キャンデリラロウ(融点70℃) 4.5
3. カルナウバロウ(融点83℃) 1
4. 脂肪酸トリグリセリド-1*3 10
5. トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2 18
6. ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/
ロジン酸)ジペンタエリスリチル 4
7. ステアリン酸エチルヘキシル*4 15
8. セスキオレイン酸ソルビタン 1
9. 酸化チタン 25
10.ベンガラ 2.1
11.黒酸化鉄 0.1
12.黄酸化鉄 5.3
13.マイカ 10
*3:上述したものと同様である。
*4:粘度15mPa・s@25℃
【0082】
次に、第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物を用いて、上記の製法2により、
図1に示す棒状化粧料と同様の形状(すなわち、横断面が略扇形状)を有し、最大径3.5mm、第1層の断面積S
1と第2層の断面積S
2との比S
1/S
2が2.2/7.8である棒状化粧料を作製した。
【0083】
上記で得られた第2の化粧料組成物及び棒状化粧料について、上記の評価を行ったところ、第2の化粧料組成物のバルク硬度は1.1N、「塗布のしやすさ」、「使用感の描き分け」及び「減りの偏り」において、全て「○」の評価であった。
【0084】
(実施例16~17)
表5に示される第1層の組成(質量%)を有する第1の化粧料組成物と、表5に示される第2a層及び第2b層の組成(質量%)をそれぞれ有する第2の化粧料組成物a及び第2の化粧料組成物bと、を、上記の製法1と同様にして調製した。
【0085】
次に、第1の化粧料組成物、第2の化粧料組成物a及び第2の化粧料組成物bを用いて、下記の製法3により、
図2の(c)に示す棒状化粧料と同様の形状(すなわち、横断面が略扇形状)を有し、最大径4.0mm、第1層の断面積S
1と第2a層の断面積S
2aと第2b層の断面積S
2bの比S
1/S
2a/S
2bが2/3/5である棒状化粧料を作製した。
[製法3]
(i)第1層及び第2b層を形成するための金型に、第2a層に対応する型を嵌めた状態で、溶融した第1の化粧料組成物及び第2の化粧料組成物bをそれぞれ充填した。
(ii)第1層及び第2b層が固化したことを確認し、第2a層に対応する型を取り除いた後、空いた部分に溶融した第2の化粧料組成物aを充填した。
(iii)第2a層が固化したことを確認し、金型から棒状化粧料を取り出した。
【0086】
上記で得られた化粧料組成物及び棒状化粧料について、上記の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0087】