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特開2024-37433物件プログラム、物件紹介方法および情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037433
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】物件プログラム、物件紹介方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240312BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142301
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 佳純
(72)【発明者】
【氏名】田代 一平
(72)【発明者】
【氏名】坂田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 信幸
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】適切な物件の紹介を行うこと。
【解決手段】情報処理装置10は、記憶部11と処理部12とを有する。記憶部11は、対象者の口座の取引情報40を記憶する。処理部12は、取引情報40のうち第1の地域50aに関する取引情報を除く第1の取引情報41を特定する。処理部12は、物件情報51,52,53のうち、第1の取引情報41に基づいて、第1の物件を選択する。処理部12は、第1の物件に関する情報を対象者が操作する端末20に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の口座の取引情報のうち第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を特定し、
複数の物件情報のうち、前記第1の取引情報に基づいて、第1の物件を選択し、
前記第1の物件に関する情報を前記対象者が操作する端末に送信する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする物件プログラム。
【請求項2】
前記第1の物件の選択では、前記第1の取引情報に基づいて前記対象者の嗜好を特定し、特定した嗜好に応じた第1の施設または第2の地域を示す情報と前記複数の物件情報とに基づいて前記第1の物件を選択する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1記載の物件プログラム。
【請求項3】
前記対象者の嗜好の特定では、前記第1の取引情報における特定の施設または特定の地域に関連する取引の回数に基づいて、前記特定の施設または前記特定の地域に対する前記対象者の嗜好の有無を判定する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の物件プログラム。
【請求項4】
前記対象者の嗜好の特定では、前記第1の取引情報から前記対象者が取引を行った事業者を特定し、前記事業者の属性情報に基づいて前記対象者の嗜好を特定する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の物件プログラム。
【請求項5】
前記複数の物件情報のうち、前記第1の施設から所定距離以内にある物件、または、前記第1の施設を含む第3の地域に含まれる物件を前記第1の物件として選択する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の物件プログラム。
【請求項6】
前記複数の物件情報のうち、前記第2の地域に含まれる物件、または、前記第2の地域から所定距離以内にある物件を前記第1の物件として選択する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の物件プログラム。
【請求項7】
前記対象者の嗜好の特定では、前記第1の取引情報に基づいて、前記対象者の第1の嗜好と前記第1の嗜好よりも強い第2の嗜好とを特定し、
前記第2の嗜好に対して選択された前記第1の物件を前記対象者へ提示する第1の優先度を、前記第1の嗜好に対して選択された前記第1の物件に対応する第2の優先度よりも高くする、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項2記載の物件プログラム。
【請求項8】
前記複数の物件情報に第2の物件が追加されると、複数の対象者それぞれの口座の取引情報のうち、当該対象者に対応する前記第1の地域に関する取引情報を除く前記第1の取引情報を前記対象者ごとに特定し、
前記複数の対象者それぞれの前記第1の取引情報に基づいて、前記複数の対象者のうち、前記第2の物件の利用候補者を選択し、
前記第2の物件に関する情報を前記利用候補者が操作する前記端末に送信する、
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項1記載の物件プログラム。
【請求項9】
前記第1の地域は、前記対象者の自宅から第1距離以内の領域、前記対象者の自宅の最寄り駅から第2距離以内の領域、前記対象者の勤務先から第3距離以内の領域、および、前記対象者の勤務先の最寄り駅から第4距離以内の領域のうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする請求項1記載の物件プログラム。
【請求項10】
コンピュータが、
対象者の口座の取引情報のうち第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を特定し、
複数の物件情報のうち、前記第1の取引情報に基づいて、第1の物件を選択し、
前記第1の物件に関する情報を前記対象者が操作する端末に送信する、
ことを特徴とする物件紹介方法。
【請求項11】
対象者の口座の取引情報を記憶する記憶部と、
前記対象者の口座の取引情報のうち第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を特定し、複数の物件情報のうち、前記第1の取引情報に基づいて、第1の物件を選択し、前記第1の物件に関する情報を前記対象者が操作する端末に送信する処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物件プログラム、物件紹介方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物件の検索に情報処理技術が利用されている。例えば、各種センサによりセンシングされたユーザの感情、行動、および健康状態に関するデータに基づいて、各位置における幸福度スコアを算出し、幸福度スコアを用いて所定の物件情報を生成する情報処理装置の提案がある。提案の情報処理装置は、購入/借入者から指定された検索条件に合致した物件の情報を、各物件の所在地付近の幸福度スコア順に並べた物件情報を生成する。
【0003】
また、購入希望者であるユーザから、ユーザの嗜好を示すパラメータ(嗜好情報)の設定を受け取り、売却希望者が登録した不動産物件の情報を、それぞれの購入希望者の嗜好に合わせて提供する情報処理システムの提案もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/189908号
【特許文献2】特開2014-134966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記提案の装置およびシステムは、センサの装着やユーザ自身による嗜好情報の入力といった作業をユーザに強いる。上記提案の装置およびシステムは、当該作業がユーザにより行われなければ、ユーザに合った物件の紹介を行えない。
【0006】
1つの側面では、本発明は、適切な物件の紹介を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、物件プログラムが提供される。この物件プログラムは、コンピュータに、対象者の口座の取引情報のうち第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を特定し、複数の物件情報のうち、第1の取引情報に基づいて、第1の物件を選択し、第1の物件に関する情報を対象者が操作する端末に送信する、処理を実行させる。
【0008】
また、1つの態様では、物件紹介方法が提供される。また、1つの態様では、記憶部と処理部とを有する情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、適切な物件の紹介が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態の情報処理装置を説明する図である。
図2】第2の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。
図3】サーバのハードウェア例を示す図である。
図4】サーバの機能例を示す図である。
図5】顧客テーブルの例を示す図である。
図6】法人テーブルの例を示す図である。
図7】店舗テーブルの例を示す図である。
図8】空き物件テーブルの例を示す図である。
図9】口座取引テーブルの例を示す図である。
図10】クレジット取引テーブルの例を示す図である。
図11】物件紹介の第1の例を示すフローチャートである。
図12】物件紹介の第2の例を示すフローチャートである。
図13】口座取引履歴に基づく物件紹介例を示す図である。
図14】クレジット取引履歴に基づく物件紹介例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態が図面を用いて説明される。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の情報処理装置を説明する図である。情報処理装置10は、ユーザに対する物件の紹介を行う。物件の紹介の対象となるユーザは対象者と言われる。端末20は、対象者が使用するPC(Personal Computer)、スマートフォンおよびATM(Automatic Teller Machine)などの装置である。情報処理装置10および端末20は、ネットワーク30に接続される。
【0012】
情報処理装置10は、記憶部11および処理部12を有する。記憶部11は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶装置でもよいし、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置でもよい。処理部12は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含み得る。処理部12はプログラムを実行するプロセッサでもよい。「プロセッサ」には、複数のプロセッサの集合(マルチプロセッサ)も含まれ得る。
【0013】
記憶部11は、対象者の口座の取引情報40を記憶する。口座は、銀行の口座である。口座は、対象者による商品購入やサービス利用の代金の支払いに用いられる。例えば、代金の支払いは、口座からの代金の引き落としにより行われる。取引情報40は、対象者の口座から代金が引き落とされた取引の履歴を示す。
【0014】
ここで、取引情報40は、対象者により商品購入やサービス利用などの取引が行われた場所を示す情報と、取引内容を示す情報とを含む。場所を示す情報は、例えば住所に関連付けられる情報である。場所を示す情報は店舗名でもよい。例えば、記憶部11は、店舗名に対応する住所の情報を予め保持する。すると、当該情報に基づいて店舗名から店舗の住所が特定される。
【0015】
取引内容を示す情報は、取引の内容を示す。例えば取引内容を示す情報は、対象者と取引を行った事業者の名称を含み得る。事業者は例えば法人でもよいし自然人でもよい。取引内容を示す情報は、例えば対象者が利用したサービスや施設などを示す情報を含んでもよい。
【0016】
例えば、取引情報40は、ある対象者について、場所P1,P2,P3,P4,P5を示す情報に対し、それぞれ取引内容T1,T2,T3,T4,T5を示す情報を有する。なお、図示を省略しているが、取引情報40は場所および取引内容に対応して、取引が行われた日時の情報を含み得る。
【0017】
また、記憶部11は、複数の物件情報を記憶する。物件情報は、対象者に対して紹介可能な物件の情報である。物件は、賃貸物件でもよいし、売買物件でもよい。物件は、例えばマンションやアパートの部屋でもよいし、戸建てなどの建物でもよいし、土地でもよい。紹介可能な物件は、例えば借主を募集中の物件である。紹介可能な物件は、買主を募集中の物件でもよい。物件情報は、物件名と物件の位置を示す情報とを含む。物件の位置を示す情報は、例えば物件の住所である。物件の位置を示す情報は、最寄り駅の駅名など物件が存在する地域を特定可能な情報でもよい。地域は、住所に応じて特定される地図上の所定の領域である。記憶部11は、住所と地域との関係を示す情報を予め保持してもよい。
【0018】
例えば、記憶部11は、物件情報51,52,53を記憶する。物件情報51は、物件F1の情報である。物件情報51は、物件F1の位置Q1の情報を含む。物件情報52は、物件F2の情報である。物件情報52は、物件F2の位置Q2の情報を含む。物件情報53は、物件F3の情報である。物件情報53は、物件F3の位置Q3の情報を含む。なお、マップ50は、場所P1~P5それぞれに対応する位置、および、位置Q1~Q3との関係の一例を示す。
【0019】
処理部12は、対象者の口座の取引情報40のうち第1の地域50aに関する取引情報を除く第1の取引情報41を特定する。第1の地域50aは、例えば対象者の自宅の住所から第1距離以内の第1領域である。第1の地域50aは、対象者の自宅の最寄り駅の住所から第2距離以内の第2領域でもよい。第1の地域50aは、対象者の勤務先の住所から第3距離以内の第3領域でもよい。第1の地域50aは、対象者の勤務先の最寄り駅の住所から第4距離以内の第4領域でもよい。第1の地域50aは、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の何れか1つでもよいし、第1領域、第2領域、第3領域、第4領域のうちの2つ以上の組合せでもよい。なお、第1距離~第4距離は、全部または一部が同じ距離でもよいし、互いに異なってもよい。
【0020】
一例として、場所P1,P2は第1の地域50aに含まれると仮定する。この場合、処理部12は、取引情報40のうち、場所P1,P2に関する取引情報を除く第1の取引情報41を特定する。第1の取引情報41は、場所P3,P4,P5に対応する取引内容T3,T4,T5を有する。
【0021】
処理部12は、物件情報51,52,53のうち、第1の取引情報41に基づいて、第1の物件を選択する。例えば、処理部12は下記の第1~第3の方法を第1の物件の選択に用いてもよい。
【0022】
第1の方法では、処理部12は、対象者による取引が行われた各場所を基に対象者の利用頻度が高い地域を特定し、当該地域に存在する物件または当該地域に近い物件を、第1の物件として選択する。このように、処理部12は、対象者の利用頻度が高い地域を特定することで、対象者が当該地域を好んで利用するという対象者の嗜好を特定することができる。すなわち、第1の方法では、処理部12は、対象者による各取引内容を基に、対象者が特定の施設を好んで利用するという嗜好を特定し、当該嗜好に応じた施設に近い物件を、第1の物件として選択する。
【0023】
例えば、処理部12は、第1の取引情報41に基づいて直近の所定期間において特定の地域に含まれる場所で、対象者により所定回数以上取引が行われたことを検出すると、当該地域を対象者の利用頻度が高い地域と特定する。所定回数は、例えば2回以上の値に予め設定される。また、処理部12は、対象者の利用頻度が高い地域に近い物件を、例えば当該地域との距離が所定値以内であるか否かにより判定する。ここで、物件と地域との距離は、例えば地図上における物件の住所と当該地域の境界線上の各点とを結ぶ各直線の長さで示される距離のうちの最短距離である。
【0024】
具体的には、処理部12は、第1の取引情報41に含まれる場所P3,P4,P5に基づいて、場所P3,P4の両方が属する地域を対象者が利用する頻度が高い地域と特定する。この場合、処理部12は、物件F1,F2,F3のうち、場所P3,P4と同じ地域に存在する物件F2を、第1の物件として選択してもよい。
【0025】
第2の方法では、処理部12は、対象者による各取引内容を基に、対象者が特定の施設を好んで利用するという嗜好を特定し、当該嗜好に応じた施設に近い物件を、第1の物件として選択する。第2の方法における対象者の嗜好は、例えば、特定の百貨店を好むという嗜好でもよい。また、対象者の嗜好は、スポーツや語学や芸術などの趣味に関する特定の教室を好むという嗜好でもよい。対象者の嗜好は、特定の娯楽施設を好むという嗜好や特定の飲食店を好むという嗜好などの他の嗜好でもよい。
【0026】
例えば、処理部12は、第1の取引情報41に基づいて直近の所定期間において対象者が特定の百貨店または当該百貨店のクレジットカードを所定回数以上利用したことを検出すると、対象者が当該百貨店を好むと特定し得る。また、処理部12は、第1の取引情報41に基づいて直近の所定期間において対象者が特定の教室を所定回数以上利用したことや当該教室の利用会員であることを検出すると、対象者が当該教室を好むと特定し得る。
【0027】
具体的には、処理部12は、第1の取引情報41に含まれる取引内容T3,T4,T5に基づいて、対象者が特定の施設を好むという嗜好を特定する。より詳細には、例えば取引内容T3,T5が複数のチェーン店をもつ特定の百貨店や当該百貨店のクレジットカードの利用を示す場合、処理部12は、対象者が当該百貨店を好むと特定する。また、場所P3,P5は当該百貨店の店舗であるとする。すると、処理部12は、物件F1,F2,F3のうち、取引内容T3に対応する場所P3の位置から所定距離以内に存在する物件F2、または、場所P3と同じ地域に存在する物件F2を、第1の物件として選択する。なお、本例では場所P5の近傍には紹介可能な物件がないものとする。
【0028】
第2の方法では、処理部12は、上記の例における取引内容T3,T5それぞれの場所P3,P5に関わらずに、第1の物件を選択することもできる。記憶部11は、事業者などが運営する百貨店や教室などの施設の位置を示す施設情報を予め記憶してもよい。例えば、記憶部11に記憶される施設情報54は、施設G1の位置Q4を示す。施設G1は、例えば取引内容T3,T5に対応する特定の百貨店のチェーン店である。この場合、処理部12は、取引内容T3,T5に基づいて対象者が当該百貨店を好むという嗜好を特定すると、位置Q4から所定距離以内に存在する物件F3、または、位置Q4と同じ地域に存在する物件F3を、第1の物件として選択する。場所P3も当該百貨店のチェーン店の場合、処理部12は、物件F2,F3の両方を第1の物件として選択してもよい。
【0029】
更に第3の方法として、処理部12は、例えば第1の取引情報41の取引内容T3,T4,T5から、対象者が特定のスポーツやペットなどを好むという趣味に関する嗜好を特定してもよい。例えば、処理部12は、あるスポーツの会員の会費の支払いの取引がある場合には、対象者が該当のスポーツを好むという嗜好を特定し得る。また、処理部12は、ペット保険の支払いの取引がある場合には、対象者がペットを好むという嗜好を特定し得る。その場合、処理部12は、当該嗜好に応じた施設(例えば該当のスポーツを行えるスタジオやペット用品店など)を特定し、当該施設の近傍、すなわち、当該施設から所定距離以内の物件を第1の物件として選択してもよい。
【0030】
なお、取引内容T3~T5は、例えば事業者名を含むが、利用した百貨店や教室などの施設や支払いの名目などの詳細情報を含まないこともある。このようなケースに対応するため、記憶部11は、例えば事業者名に対して、当該事業者が提供する商品やサービスの内容や施設名などを含む事業の詳細情報を有する事業者属性情報を予め記憶してもよい。すると、処理部12は、第1の取引情報41の取引内容T3~T5に含まれる事業者名を基に、対象者の取引に関する詳細情報を事業者属性情報から取得し、取得した詳細情報から対象者の嗜好を特定することができる。
【0031】
また、処理部12は、上記の第1~第3の方法の少なくとも2つを組合せて用いて第1の物件を選択してもよい。例えば、処理部12は、各方法により選択される第1の物件の和集合に属する物件を最終的な第1の物件としてもよい。また、処理部12は、各方法により選択される第1の物件の集合の共通部分に属する物件を最終的な第1の物件としてもよい。
【0032】
そして、処理部12は、選択した第1の物件に関する情報を対象者が操作する端末20に送信する。例えば、端末20がPCやスマートフォンの場合、処理部12は、電子メール、インターネットバンキングなどを提供するブラウザまたは特定のアプリケーションの画面に表示されるメッセージや画像の情報を、第1の物件に関する情報として送信してもよい。また、端末20がATMの場合、処理部12は、ATMを操作する対象者に提示される画面(例えば、手続の待機画面など)に表示されるメッセージや画像の情報を、第1の物件に関する情報として送信してもよい。
【0033】
処理部12は、複数の第1の物件に関する情報を端末20に送信する場合、複数の第1の物件それぞれの優先順位の情報を端末20に送信してもよい。この場合、端末20は、優先順位に応じた順序で、複数の第1の物件を対象者に提示してもよい。
【0034】
例えば、上記の第1の方法に基づいて複数の第1の物件に関する情報を端末20に送信する場合、処理部12は、利用頻度がより高い地域に存在する第1の物件の優先順位を高くしてもよい。また、上記の第2の方法に基づいて複数の第1の物件に関する情報を端末20に送信する場合、処理部12は、対象者による特定の施設の利用頻度が高いほど、当該施設に対する嗜好が強いと判定してもよい。その場合、処理部12は、対象者が強い嗜好をもつ施設に関連する物件の優先順位を高くしてもよい。更に、上記の第1の方法および第2の方法を組合せる場合、処理部12は、これらの優先順位の決定方法を組合せてもよい。
【0035】
以上説明したように情報処理装置10によれば、対象者の口座の取引情報40のうち第1の地域50aに関する取引情報を除く第1の取引情報41が特定される。複数の物件情報(例えば、物件情報51~53)のうち、第1の取引情報41に基づいて、第1の物件が選択される。第1の物件に関する情報が、対象者が操作する端末20に送信される。これにより、ユーザ(対象者)に対して適切な物件の紹介が可能になる。
【0036】
対象者の口座の取引情報40には、対象者が生活する上で日常的に行う行動が反映される。このため、情報処理装置10は、取引情報40を用いることで、対象者の行動の傾向を適切に取得でき、対象者の行動の傾向に応じた適切な物件を対象者に紹介可能になる。
【0037】
また、情報処理装置10は、取引情報40から第1の地域50aに関する取引情報を除いた第1の取引情報41を用いる。例えば、対象者が現在の住所近傍などに引っ越す可能性は低いことがある。この場合、情報処理装置10は、第1の地域50aを対象者の現在の住所近傍の地域とすることで、より適切な物件を対象者に紹介できる。更に、取引情報40から第1の地域50aに関する取引情報を除いた第1の取引情報41は、対象者が第1の地域50aとは異なる地域へ積極的に赴いて行われた取引を含み得る。このため、第1の取引情報41には、対象者の比較的強い嗜好が反映されると推定される。よって、情報処理装置10は、第1の取引情報41を用いることで、対象者が気に入る可能性が高い物件を紹介できる。
【0038】
また、対象者の口座の取引情報40は、対象者自身が特別な作業を行わなくても蓄積される情報である。このため、情報処理装置10は、物件の紹介のために、対象者に装着されたセンサによりセンシングされたデータや、対象者自身により入力された嗜好情報を用いなくてもよい。すなわち、情報処理装置10は、対象者に装着されたセンサによりセンシングされたデータや、対象者自身により入力された嗜好情報が無い場合でも対象者に適切な物件の紹介を行える。
【0039】
更に、情報処理装置10は、センサの装着や対象者自身による嗜好情報の入力といった特別な作業を対象者に強いずに済む。よって、情報処理装置10は、不特定の対象者に対して物件を紹介する場合にも有用である。すなわち、情報処理装置10は、センサの装着や対象者自身による嗜好情報の入力といった特別な作業を行った対象者に限らず、より多くの対象者に対して、対象者に合った適切な物件の紹介を可能にする。
【0040】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態の情報処理システムの例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理システムは、サーバ100を含む。サーバ100は、ネットワーク60に接続される。ネットワーク60は、例えばインターネットである。ネットワーク60には、PC200、スマートフォン300およびATM400が接続される。
【0041】
サーバ100は、ユーザに対して物件の紹介を行うサーバコンピュータである。サーバ100は、ユーザの銀行の口座の取引情報に基づいて、ユーザに紹介する物件を選択する。サーバ100は、ユーザに紹介する物件の情報を、当該ユーザが操作するPC200、スマートフォン300およびATM400に送信する。サーバ100は、例えば銀行が有する情報処理システムに含まれてもよい。サーバ100は、第1の実施の形態の情報処理装置10の一例である。
【0042】
PC200、スマートフォン300およびATM400は、ユーザが操作するクライアントコンピュータである。例えば、ユーザはPC200が実行するWebブラウザを用いて、銀行が提供するインターネットバンキングのサービスを利用する。ユーザは、スマートフォン300が実行する所定のアプリケーションを用いて、インターネットバンキングのサービスを利用することもできる。また、ユーザは、ATM400を用いて、自身の口座への預金、口座からの出金や振込などを行える。PC200、スマートフォン300およびATM400は、第1の実施の形態の端末20の一例である。
【0043】
図3は、サーバのハードウェア例を示す図である。サーバ100は、CPU101、RAM102、HDD103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、媒体リーダ106およびNIC(Network Interface Card)107を有する。なお、CPU101は、第1の実施の形態の処理部12の一例である。RAM102またはHDD103は、第1の実施の形態の記憶部11の一例である。
【0044】
CPU101は、プログラムの命令を実行するプロセッサである。CPU101は、HDD103に記憶されたプログラムやデータの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。なお、CPU101は複数のプロセッサコアを含んでもよい。また、サーバ100は複数のプロセッサを有してもよい。以下で説明する処理は複数のプロセッサまたはプロセッサコアを用いて並列に実行されてもよい。また、複数のプロセッサの集合を「マルチプロセッサ」または単に「プロセッサ」と言うことがある。
【0045】
RAM102は、CPU101が実行するプログラムやCPU101が演算に用いるデータを一時的に記憶する揮発性の半導体メモリである。なお、サーバ100は、RAM以外の種類のメモリを備えてもよく、複数個のメモリを備えてもよい。
【0046】
HDD103は、OS(Operating System)やミドルウェアやアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアのプログラム、および、データを記憶する不揮発性の記憶装置である。なお、サーバ100は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの他の種類の記憶装置を備えてもよく、複数の不揮発性の記憶装置を備えてもよい。
【0047】
GPU104は、CPU101からの命令に従って、サーバ100に接続されたディスプレイ61に画像を出力する。ディスプレイ61としては、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ、有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなど、任意の種類のディスプレイを用いることができる。
【0048】
入力インタフェース105は、サーバ100に接続された入力デバイス62から入力信号を取得し、CPU101に出力する。入力デバイス62としては、マウス、タッチパネル、タッチパッド、トラックボールなどのポインティングデバイス、キーボード、リモートコントローラ、ボタンスイッチなどを用いることができる。また、サーバ100に、複数の種類の入力デバイスが接続されていてもよい。
【0049】
媒体リーダ106は、記録媒体63に記録されたプログラムやデータを読み取る読み取り装置である。記録媒体63として、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)、半導体メモリなどを使用できる。磁気ディスクには、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDが含まれる。光ディスクには、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)が含まれる。
【0050】
媒体リーダ106は、例えば、記録媒体63から読み取ったプログラムやデータを、RAM102やHDD103などの他の記録媒体にコピーする。読み取られたプログラムは、例えば、CPU101によって実行される。なお、記録媒体63は可搬型記録媒体であってもよく、プログラムやデータの配布に用いられることがある。また、記録媒体63やHDD103は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体と言われることがある。
【0051】
NIC107は、ネットワーク60に接続され、ネットワーク60を介して他のコンピュータと通信を行うインタフェースである。NIC107は、例えば、スイッチやルータなどの通信装置とケーブルで接続される。NIC107は、無線通信インタフェースでもよい。
【0052】
PC200、スマートフォン300およびATM400も、サーバ100と同様のハードウェアを用いて実現される。
図4は、サーバの機能例を示す図である。サーバ100は、記憶部110および制御部120を有する。記憶部110には、RAM102やHDD103の記憶領域が用いられる。制御部120は、RAM102に記憶されたプログラムがCPU101により実行されることで実現される。
【0053】
記憶部110は、顧客テーブル111、法人テーブル112、店舗テーブル113、空き物件テーブル114、口座取引テーブル115およびクレジット取引テーブル116を記憶する。
【0054】
顧客テーブル111は、銀行の口座を有するユーザ、すなわち、顧客のマスタデータである。本例では、銀行の顧客は、不動産仲介業務において物件の紹介の対象となる対象者である。法人テーブル112は、法人のマスタデータである。店舗テーブル113は、法人が運営する店舗のマスタデータである。空き物件テーブル114は、顧客に対して紹介可能な空き物件のマスタデータである。空き物件は、例えば借主を募集中の賃貸物件である。
【0055】
口座取引テーブル115は、顧客の口座における取引の履歴を示すデータである。口座取引テーブル115は、顧客の口座ごとに存在する。
クレジット取引テーブル116は、顧客が所有する銀行のクレジットカード、すなわち、銀行クレジットカードを用いたクレジット取引の履歴を示すデータである。銀行クレジットカードは、サーバ100を運用する銀行が発行するクレジットカードである。クレジット取引テーブル116は、顧客が所有する銀行クレジットカードごとに存在する。
【0056】
なお、顧客テーブル111、法人テーブル112、店舗テーブル113、空き物件テーブル114、口座取引テーブル115およびクレジット取引テーブル116は、記憶部110に常に記憶されていなくてもよい。例えば、これらのテーブルそれぞれは、銀行の情報処理システムが有する所定のDB(DataBase)から、サーバ100の処理に応じたタイミングで取得され、記憶部110に格納されてもよい。
【0057】
また、記憶部110は、駅などの公共施設の住所や各住所の地図上の位置を示す地図情報も予め記憶する。
制御部120は、顧客の口座の取引情報に応じた顧客への物件の紹介を制御する。制御部120は、取引情報取得部121、物件選択部122および通信部123を有する。
【0058】
取引情報取得部121は、物件の紹介対象の顧客の口座取引テーブル115を取得する。取引情報取得部121は、顧客テーブル111に基づいて、顧客の自宅の住所や顧客の勤務先の住所を特定し、特定した住所近傍における取引の履歴を、口座取引テーブル115から除いた取引情報を取得する。なお、取引情報取得部121は、口座取引テーブル115における直近の所定期間内(例えば、直近の3か月以内など)の取引情報を取得対象とし、当該所定期間よりも前の取引情報を取得対象としない。
【0059】
ここで、取引情報取得部121が何れの地域の取引情報を除外するかは、サーバ100の管理者などにより予め設定される。例えば、顧客が引っ越し先に選択する可能性の低い地域の傾向に応じて、除外対象の地域を特定する情報がサーバ100に設定される。一例では、顧客が自宅の住所近傍を引っ越し先とする可能性が低い場合、顧客の自宅住所から所定距離以内の地域が除外対象として設定される。
【0060】
物件選択部122は、取引情報取得部121により取得された取引情報や法人テーブル112に基づいて、該当の顧客の嗜好に沿った施設、すなわち、顧客嗜好施設を特定する。例えば、物件選択部122は、取引情報や法人テーブル112から、顧客が特定の施設を好んで利用するという嗜好を特定する。すると、物件選択部122は、当該施設を顧客嗜好施設とする。物件選択部122は、推定した顧客嗜好施設の利用に便利な物件を、店舗テーブル113および空き物件テーブル114に基づいて選択する。顧客嗜好施設の利用に便利な物件は、例えば顧客嗜好施設から所定距離以内(例えば、1Km以内)にある物件である。
【0061】
なお、顧客の自宅から該当の物件までの距離が離れ過ぎていると、当該物件が引っ越し先として選択される可能性が低くなり得る。このため、物件選択部122は、空き物件テーブル114に含まれる物件のうち、顧客の自宅からの距離が一定距離以内にある物件を顧客への紹介対象候補としてもよい。
【0062】
通信部123は、PC200、スマートフォン300およびATM400と通信する。通信部123は、物件選択部122により選択された物件の情報を該当の顧客が操作するPC200、スマートフォン300およびATM400などの端末に送信する。通信部123は、PC200、スマートフォン300およびATM400から、紹介した物件に関する資料請求、契約または契約の予約などのリクエストを受信してもよい。
【0063】
図5は、顧客テーブルの例を示す図である。顧客テーブル111は、顧客ID(IDentifier)、顧客名、自宅住所、電子メールアドレス、勤務先、勤務先住所および家族情報の項目を含む。顧客IDの項目には、顧客IDが登録される。顧客名の項目には、顧客の氏名が登録される。自宅住所の項目には、顧客の自宅の住所が登録される。電子メールアドレスの項目には、顧客の電子メールアドレスが登録される。勤務先の項目には、顧客の勤務先の名称が登録される。勤務先住所の項目には、顧客の勤務先の住所が登録される。家族情報の項目には、顧客と同居する家族の情報が登録される。
【0064】
例えば、顧客テーブル111は、顧客ID「U1」、顧客名「氏名a」、自宅住所「神奈川県川崎市…」、電子メールアドレス「aaa@aaa」、勤務先「法人P」、勤務先住所「神奈川県…」、家族情報「配偶者なし、子0人」のレコードを有する。顧客テーブル111には、他の顧客に関するレコードも登録される。
【0065】
図6は、法人テーブルの例を示す図である。法人テーブル112は、法人ID、法人名、法人住所および法人属性の項目を含む。法人IDの項目には、法人IDが登録される。法人名の項目には、法人の名称が登録される。法人住所の項目には、法人の住所が登録される。法人属性の項目には、法人の属性、すなわち、法人属性が登録される。法人属性は、例えば法人の業種および法人が行う事業の詳細(事業詳細)の情報を含む。
【0066】
例えば、法人テーブル112は、法人ID「C1」、法人名「法人X」、法人住所「東京都港区…」、業種「小売」、事業詳細「百貨店XX運営」のレコードを有する。このレコードは、法人Xが小売業者であり、百貨店XXを運営していることを示す。
【0067】
また、法人テーブル112には、ペット保険を提供する法人Yや、ペット用品の販売を行う法人Zや、ヨガ教室Aを運営する法人Aなど、他の法人のレコードも登録される。
図7は、店舗テーブルの例を示す図である。店舗テーブル113は、法人ID、店舗名、店舗住所および店舗詳細の項目を含む。法人IDの項目には、法人IDが登録される。店舗名の項目には、店舗の店舗名が登録される。店舗住所の項目には、店舗の住所が登録される。店舗詳細の項目には、該当の店舗に関する詳細情報が登録される。
【0068】
例えば、店舗テーブル113は、法人ID「C1」、店舗名「日本橋XX本店」、店舗住所「東京都中央区…」、店舗詳細「…」のレコードを有する。このレコードは、法人ID「C1」に対応する法人Xが運営する百貨店XXの店舗の1つである日本橋XX本店の住所が「東京都中央区…」であることを示す。
【0069】
また、店舗テーブル113には、法人ID「C3」、店舗名「町田ZZ店」、店舗住所「東京都町田市…」、店舗詳細「トリマー常駐」のレコードを有する。このレコードは、ペット用品店ZZを運営する法人Zの町田ZZ店の住所が「東京都町田市…」であり、町田ZZ店にトリマーが常駐していることを示す。
【0070】
図8は、空き物件テーブルの例を示す図である。空き物件テーブル114は、物件名、物件住所、築年数、間取り、賃料、仲介会社および連絡先の項目を含む。物件名の項目には、物件の名称が登録される。物件住所の項目には、物件の住所が登録される。築年数の項目には、築年数が登録される。間取りの項目には、物件の間取りが登録される。賃料の項目には、1か月当たりの賃料が登録される。仲介会社の項目には、空き物件の仲介会社の名称が登録される。連絡先の項目には、仲介会社の連絡先の電話番号が登録される。
【0071】
例えば、空き物件テーブル114は、物件名「SSビル」、物件住所「東京都中央区…」、築年数「43」、間取り「1K」、賃料「8万円」、仲介会社「MM不動産」、連絡先「…」のレコードを有する。空き物件テーブル114には、他の空き物件のレコードも登録される。
【0072】
図9は、口座取引テーブルの例を示す図である。口座取引テーブル115は、日付、取扱店、項目、預かり金額、支払い金額および残高の項目を有する。日付の項目には、取引の日付が登録される。取扱店の項目には、取引が行われた店舗の情報が登録される。項目の項目には、取引内容を示す項目が登録される。預かり金額の項目には、口座に入金された金額が登録される。支払い金額の項目には、口座から出金された金額が登録される。残高の項目には、口座の残高が登録される。
【0073】
例えば、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「登戸」、項目「入金」、預かり金額「***」、支払い金額「-」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、日付「***」に、銀行の登戸支店において、顧客の口座へ金額「***」の入金があり、口座の残高が「***」であることを示す。ここで、「***」の表記は、該当の項目に登録された任意の値を示す。ハイフン記号「-」は、値の設定が無いことを示す。
【0074】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「登戸」、項目「銀行クレジットカード」、預かり金額「-」、支払い金額「***」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、銀行クレジットカードによるクレジット取引に関する支払いが行われたことを示す。銀行クレジットカードによるクレジット取引が行われた場合、当該顧客の銀行クレジットカードに対応するクレジット取引テーブル116に基づいて、クレジット取引の詳細が特定される。
【0075】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「二子玉川」、項目「百貨店XXクレジットカード」、預かり金額「-」、支払い金額「***」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、百貨店XXクレジットカードを用いて、二子玉川の店舗で買い物などの取引が行われたことを示す。例えば百貨店XXの二子玉川店が存在する場合、顧客により百貨店XXの二子玉川店が利用されたものと推定される。ここで、百貨店XXクレジットカードは、百貨店XXが発行するクレジットカードである。特定の百貨店が発行する百貨店のクレジットカードは、百貨店クレジットカードと言われる。
【0076】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「溝の口」、項目「ヨガ教室A」、預かり金額「-」、支払い金額「***」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、ヨガ教室Aの溝の口店の利用に伴う口座からの支払いが行われたことを示す。
【0077】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「武蔵中原」、項目「給与」、預かり金額「***」、支払い金額「-」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、銀行の武蔵中原支店において、顧客の口座に対し、給与の名目で金額「***」の入金が行われたことを示す。
【0078】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「登戸」、項目「デビットカード」、預かり金額「-」、支払い金額「***」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、登戸の店舗で、デビットカードによる支払いが行われたことを示す。
【0079】
また、口座取引テーブル115は、日付「***」、取扱店「登戸」、項目「引出」、預かり金額「-」、支払い金額「***」、残高「***」のレコードを有する。このレコードは、銀行の登戸支店で、現金の引出が行われたことを示す。
【0080】
このように、口座取引テーブル115は、顧客の口座に関する種々の取引の履歴を有する。
図10は、クレジット取引テーブルの例を示す図である。クレジット取引テーブル116は、日付、取扱店、項目および利用金額の項目を含む。日付の項目には、日付が登録される。取扱店の項目には、取引が行われた店舗の情報が登録される。項目の項目には、取引内容を示す項目が登録される。利用金額の項目には、顧客によるクレジット取引の利用金額が登録される。
【0081】
例えば、クレジット取引テーブル116には、日付「***」、取扱店「二子玉川」、項目「法人Yへの支払い」、利用金額「XXX」のレコードを有する。このレコードは、銀行クレジットカードを用いたクレジット取引によって、法人Yの二子玉川店において法人Yへの支払いが行われたことを示す。なお、クレジット取引テーブル116における項目が単に支払い先の法人名のみを示す場合でも、物件選択部122は、法人テーブル112の法人属性に基づいて、当該支払いが、法人Yが提供するペット保険に関するものであることを特定できる。クレジット取引テーブル116には、該当の顧客が銀行クレジットカードを用いて行った他のクレジット取引の履歴を示すレコードも登録される。
【0082】
なお、図示を省略しているが、クレジット取引テーブル116のレコードは、口座取引テーブル115における項目「銀行クレジットカード」のレコードと対応付けられる。例えば、口座取引テーブル115およびクレジット取引テーブル116の各レコードは、クレジット取引を識別する識別番号の項目を有してもよく、当該識別番号により両テーブルのレコードが対応付けられてもよい。
【0083】
サーバ100は、次の処理手順を実行することで、不動産仲介業務において、顧客の銀行預金履歴(すなわち、口座取引履歴)から顧客嗜好に沿った施設を把握し、顧客嗜好に沿った施設近くの物件を紹介する。なお、各顧客よる銀行の口座からの引き落としや銀行クレジットカードの利用によるクレジット取引が行われた際に、当該顧客に対応する口座取引テーブル115やクレジット取引テーブル116に取引の履歴が予め記録される。
【0084】
図11は、物件紹介の第1の例を示すフローチャートである。下記の手順は、ある顧客に対して実行されるが、他の顧客に対しても同様の手順となる。例えば、サーバ100は、当該顧客によりPC200やスマートフォン300によるインターネットバンキングサービスへのログインや、ATM400による操作を受け付けた場合に、下記の手順を実行する。
【0085】
(S10)取引情報取得部121は、該当の顧客の口座引き落とし履歴およびクレジットカード利用履歴を取得する。具体的には、取引情報取得部121は、該当の顧客の直近の所定期間における口座取引テーブル115のレコードと、当該レコードに対応する、クレジット取引テーブル116のレコードとを取得する。所定期間は予め定められる。所定期間は、例えば3カ月である。
【0086】
(S11)取引情報取得部121は、ステップS10で取得した履歴から不要な情報を削除する。具体的には、取引情報取得部121は、顧客テーブル111から顧客の自宅住所や勤務先住所を取得する。取引情報取得部121は、ステップS10で取得したレコードのうち、顧客の自宅住所近傍および勤務先住所近傍での取引に関するレコードを削除する。自宅住所近傍とは、例えば自宅住所から5Km(キロメートル)以内の領域および自宅住所の最寄り駅の住所から1Km以内の領域である。自宅住所から5Km以内の領域は、自宅住所を中心とする半径5Kmの円の内側となる。勤務先住所近傍とは、例えば勤務先住所から1Km以内の領域および勤務先住所の最寄り駅の住所から1Km以内の領域である。
【0087】
例えば、取引情報取得部121は、記憶部110に予め記憶される地図情報に基づいて、自宅住所近傍の領域や勤務先住所近傍の領域を特定する。そして、取引情報取得部121は、ステップS10で取得したレコードのうち、取扱店が自宅住所近傍の領域や勤務先住所近傍の領域に含まれるレコードを削除する。なお、取引情報取得部121は、取扱店に対応する住所を、店舗テーブル113や上記の地図情報から特定してもよい。
【0088】
(S12)物件選択部122は、ステップS11における不要な情報の削除後の履歴を基に顧客嗜好施設を特定する。例えば、物件選択部122は、ステップS11で取得した各レコードを参照して、次のように顧客嗜好施設を特定し得る。
【0089】
第1の例では、物件選択部122は、特定の百貨店が発行する百貨店クレジットカードが所定回数以上利用されている場合、顧客が当該百貨店を嗜好すると特定し、当該百貨店を顧客嗜好施設と特定する。特定の百貨店クレジットカードの利用頻度が高い場合、顧客は当該百貨店のヘビーユーザであると推定されるためである。
【0090】
第2の例では、物件選択部122は、スポーツや芸術などの特定の教室が所定回数以上利用されている場合、顧客が当該教室を嗜好すると特定し、当該教室を顧客嗜好施設と特定する。あるいは、物件選択部122は、当該教室が全国または特定の地方においてチェーン展開されており、顧客が当該教室の会員である場合に、該当の教室を顧客嗜好施設と特定してもよい。例えば、物件選択部122は、全国チェーンのヨガ会員の会費に関する取引の履歴に応じて、当該全国チェーンのヨガスタジオを顧客嗜好施設としてもよい。第1の例および第2の例の所定回数は、例えば2以上の値として予め設定される。
【0091】
第3の例では、物件選択部122は、顧客がペット保険の加入者である場合に、顧客がペットの飼育を嗜好すると特定し、ペット関連施設を顧客嗜好施設と特定する。
なお、上記の第1~第3の例は一例である。物件選択部122は、第1~第3の例で挙げた施設以外の他の顧客嗜好施設を特定してもよい。
【0092】
(S13)物件選択部122は、ステップS12で特定した顧客嗜好施設の利用に便利な空き物件を空き物件テーブル114から検索する。例えば、顧客嗜好施設が特定の百貨店の場合、物件選択部122は、当該百貨店の住所から所定の距離以内に存在する空き物件を、空き物件テーブル114から検索する。また、顧客嗜好施設が特定の教室の場合、物件選択部122は、当該教室の住所から所定距離以内に存在する空き物件を、空き物件テーブル114から検索する。また、顧客嗜好施設がペット関連施設の場合、物件選択部122は、トリマー常駐のペット用品店の住所から所定距離以内に存在する空き物件を、空き物件テーブル114から検索する。ステップS13の所定距離は予め定められる。例えば、ステップS13の所定距離は1Kmである。
【0093】
(S14)通信部123は、顧客に空き物件を紹介する。具体的には、通信部123は、該当の顧客が操作するPC200、スマートフォン300またはATM400に、ステップS13で検索した空き物件の情報を送信する。また、通信部123は、該当の顧客の電子メールアドレス宛に、空き物件の情報を送信してもよい。
【0094】
(S15)通信部123は、PC200またはスマートフォン300などから、顧客による当該空き物件の契約を受け付ける。そして、サーバ100による物件紹介が終了する。
【0095】
なお、ステップS11において、直近の所定期間における取引の履歴を取得することで、顧客の現在の嗜好には無関係な古い取引の履歴を除去することができ、該当の顧客の最近の嗜好を適切に特定できる。
【0096】
また、ステップS14では、PC200、スマートフォン300は、空き物件の情報を受信すると、インターネットバンキングなどの銀行サービスのGUIを提供するWebブラウザや所定のアプリケーションの画面内に空き物件の情報を表示する。また、ATM400は、例えば顧客による手続きの待機画面に、受信した空き物件の情報を表示したり、取引後に顧客に提供する取引明細書に空き物件の情報を印字したりする。例えば、顧客は、空き物件の情報を確認し、PC200、スマートフォン300またはATM400を操作して、空き物件の資料請求、契約または契約の予約などの手続に進むこともできる。
【0097】
また、ステップS15は、ステップS14の空き物件の紹介に対して顧客が空き物件の契約に進む場合に実行される。顧客が空き物件の契約に進まない場合、ステップS15はスキップされ得る。更に、空き物件の契約は、サーバ100以外のサーバにより受け付けられてもよい。例えば、ステップS14において通信部123は、空き物件の情報に、仲介会社名や仲介会社の連絡先の情報を含めて顧客に提供し、顧客による仲介会社との契約を促してもよい。また、通信部123は、空き物件の情報に、顧客嗜好施設として特定した施設に近い旨の案内情報を含めることで、顧客による空き物件の契約を促してもよい。
【0098】
また、ステップS13では、物件選択部122は、検索結果として得られた空き物件に優先順位を設定してもよい。例えば、物件選択部122は、顧客嗜好施設の特定の際、顧客の利用頻度が高い施設ほど、顧客が嗜好する度合いが高いと評価し、顧客が嗜好する度合いが高い顧客嗜好施設に近い空き物件の優先度を上げてもよい。例えば、物件選択部122は、検索した空き物件のうち、優先度が高い方から所定数の空き物件を、顧客に紹介する空き物件として抽出してもよい。
【0099】
また、ステップS13では、物件選択部122は、顧客テーブル111に含まれる顧客の家族情報や、口座取引テーブル115に基づく顧客の給与に応じて、顧客に紹介する空き物件を更に絞り込んでもよい。例えば、物件選択部122は、顧客の家族情報から家族の構成員数を特定し、当該構成員数に応じた間取り(例えば、構成員数が3人以上であれば2LDK以上など)の空き物件に絞り込んでもよい。また、例えば、物件選択部122は、顧客の給与に応じた賃料(例えば、月額賃料が給与の2割以下など)の空き物件に絞り込んでもよい。
【0100】
また、記憶部110は、顧客嗜好施設と、顧客に紹介する物件に関連する関連施設とを関連付ける関連情報を予め保持してもよい。例えば、記憶部110は、顧客嗜好施設がペット関連施設の場合に、トリマー常駐のペット用品店を関連施設とすることを示す関連情報を予め保持してもよい。このようにすると、例えばサーバ100は、関連情報の内容を操作することで関連施設を容易に制御可能になる。例えば、関連情報において、顧客嗜好施設「ペット関連施設」に対し、関連施設「動物病院」が更に設定され得る。その場合、物件選択部122は、当該関連情報に基づき、顧客嗜好施設がペット関連施設の場合に、動物病院に近い空き物件を検索してもよい。
【0101】
更に、ステップS12,S13において、物件選択部122は、顧客嗜好施設を特定する方法に代えて、あるいは、当該方法と併せて、他の方法を用いてもよい。例えば、物件選択部122は、顧客の口座取引やクレジット取引が行われた各場所を基に顧客の利用頻度が高い地域を特定し、当該地域に存在する物件または当該地域に近い物件を、顧客への紹介対象の物件として選択してもよい。
【0102】
より具体的には、物件選択部122は、口座取引テーブル115およびクレジット取引テーブル116に基づいて直近の所定期間において特定の地域に含まれる1以上の場所で、対象者により所定回数以上取引が行われたことを検出する。すると、物件選択部122は、顧客が当該地域を好むという嗜好を特定し、当該地域を顧客嗜好地域と特定する。そして、物件選択部122は、顧客嗜好地域に含まれる空き物件や顧客嗜好地域との距離が所定値以内である空き物件を、顧客への紹介対象の物件として選択する。
【0103】
このように、サーバ100は、該当の顧客による取引の多い地域の物件を提示してもよい。また、サーバ100は、該当の顧客による取引回数が多い種別の取引が可能な地域を特定して、その地域の物件を提示してもよい。
【0104】
サーバ100は、次の処理手順を実行することで、不動産仲介業務において、賃貸物件に空き室が発生した際に、顧客嗜好に沿った施設近くの物件を紹介してもよい。
図12は、物件紹介の第2の例を示すフローチャートである。下記の手順は、空き物件テーブル114に新たな空き物件が登録された場合に実行される。
【0105】
(S20)物件選択部122は、空き物件を検出する。具体的には、物件選択部122は、新たな空き物件が空き物件テーブル114に登録されたことを検出する。
(S21)物件選択部122は、空き物件テーブル114から、新たな空き物件の情報を抽出する。
【0106】
(S22)取引情報取得部121は、口座引き落とし履歴およびクレジットカード利用履歴を顧客ごとに取得する。具体的には、取引情報取得部121は、各顧客の直近の所定期間における口座取引テーブル115のレコードと、当該レコードに対応する、クレジット取引テーブル116のレコードとを取得する。所定期間は予め定められる。所定期間は、例えば3カ月である。
【0107】
(S23)取引情報取得部121は、ステップS22で取得した顧客ごとの履歴から不要な情報を削除する。すなわち、取引情報取得部121は、ステップS11の処理を顧客ごとに行う。
【0108】
(S24)物件選択部122は、ステップS23における不要な情報の削除後の履歴を基に顧客嗜好施設を顧客ごとに特定する。すなわち、取引情報取得部121は、ステップS12の処理を顧客ごとに行う。
【0109】
(S25)物件選択部122は、顧客ごとの顧客嗜好施設と、ステップS23で抽出した空き物件の情報とを基に、当該空き物件の利用候補者を顧客から抽出する。具体的には、物件選択部122は、該当の空き物件から所定距離以内にある店舗を店舗テーブル113から特定する。そして、物件選択部122は、特定した店舗を顧客嗜好施設とする顧客を特定し、特定した顧客を該当の空き物件の利用候補者とする。物件選択部122は、ある空き物件に対して、複数の利用候補者を抽出してもよい。そして、通信部123は、利用候補者に該当の空き物件を紹介する。具体的には、通信部123は、利用候補者が操作するPC200、スマートフォン300またはATM400に、該当の空き物件の情報を送信する。また、通信部123は、該当の利用候補者の電子メールアドレス宛に、空き物件の情報を送信してもよい。ステップS25の所定距離は予め定められる。例えば、ステップS25の所定距離は1Kmである。
【0110】
(S26)通信部123は、PC200またはスマートフォン300などから、利用候補者による当該空き物件の契約を受け付ける。そして、サーバ100による物件紹介が終了する。
【0111】
なお、ステップS25では、PC200、スマートフォン300またはATM400は、空き物件の情報を受信すると、ステップS14と同様に、空き物件の情報を画面に表示する。例えば、顧客は、空き物件の情報を確認し、PC200、スマートフォン300またはATM400を操作して、空き物件の資料請求、契約または契約の予約などの手続に進むことができる。
【0112】
また、ステップS26は、ステップS15と同様に、ステップS25の空き物件の紹介に対して顧客が空き物件の契約に進む場合に実行される。顧客が空き物件の契約に進まない場合、ステップS26はスキップされ得る。更に、空き物件の契約は、サーバ100以外のサーバにより受け付けられてもよい。
【0113】
また、ステップS25では、物件選択部122は、顧客テーブル111に含まれる利用候補者の家族情報や、口座取引テーブル115に基づく利用候補者の給与に応じて、利用候補者を更に絞り込んでもよい。例えば、物件選択部122は、利用候補者の家族情報から家族の構成員数を特定し、該当の空き物件の間取りが、当該構成員数に応じた間取りの条件(例えば、構成員数が3人以上であれば2LDK以上など)に適合する利用候補者に絞り込んでもよい。また、例えば、物件選択部122は、給与に対する空き物件の賃料が条件(例えば、月額賃料が給与の2割以下など)に適合する利用候補者に絞り込んでもよい。
【0114】
更に、ステップS24,S25において、物件選択部122は、上記で例示した顧客嗜好施設を特定する方法に代えて、あるいは、当該方法と併せて、他の方法を用いてもよい。例えば、物件選択部122は、顧客の口座取引やクレジット取引が行われた各場所を基に顧客の利用頻度が高い顧客嗜好地域を特定し、特定した顧客嗜好地域と該当の空き物件との関係を基に、当該空き物件の利用候補者を選択してもよい。
【0115】
より具体的には、物件選択部122は、顧客の口座取引テーブル115およびクレジット取引テーブル116に基づき、直近の所定期間において特定の地域に含まれる場所で、対象者により所定回数以上取引が行われたことを検出する。すると、物件選択部122は、当該地域を、該当の顧客の顧客嗜好地域と特定する。そして、物件選択部122は、該当の空き物件が顧客嗜好地域に含まれる顧客や該当の空き物件と顧客嗜好地域との距離が所定値以内である顧客を、該当の空き物件の利用候補者として選択する。
【0116】
このように、サーバ100は、該当の空き物件が存在する地域での取引が多い顧客に、当該空き物件を提示してもよい。また、サーバ100は、各顧客に対して特定される、取引回数が多い種別の取引が可能な地域が、該当の空き物件が存在する地域に一致する顧客に、該当の空き物件を提示してもよい。
【0117】
図13は、口座取引履歴に基づく物件紹介例を示す図である。口座取引履歴115aは、ある顧客に対応する口座取引テーブル115における直近3カ月のレコード群の例である。図13では、口座取引履歴115aの各レコードに対するサーバ100の対応例が示されている。
【0118】
例えば、口座取引履歴115aは、取扱店「登戸」、項目「入金」のレコードを有する。入金が行われた銀行の登戸支店は、該当の顧客の住居近傍(自宅住所の近傍)であるとする。この場合、取引情報取得部121は、銀行の登戸支店における入金のレコードを削除する。このため、物件選択部122は、当該レコードを顧客嗜好施設の特定に用いない。
【0119】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「登戸」、項目「銀行クレジットカード」のレコードを有する。当該レコードは、顧客によるクレジット取引の履歴を示す。このため、取引情報取得部121は、当該レコードを削除せずに、当該レコードに関連付けられるクレジット取引テーブル116のレコードを参照して、クレジット取引に関する取引情報を取得する。クレジット取引テーブル116の参照例については後述される。
【0120】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「二子玉川」、項目「百貨店XXクレジットカード」のレコードを有する。百貨店XXクレジットカードが使用された二子玉川の百貨店XXの店舗は、顧客の住居近傍ではなく、かつ、勤務先近傍ではない。口座取引履歴115aによれば、該当の顧客は、直近3カ月に百貨店XXクレジットカードを3回使用している。このため、物件選択部122は、百貨店XXを顧客嗜好施設と特定する。物件選択部122は、百貨店XXのチェーン店から所定距離以内に存在する空き物件を、該当の顧客に対する紹介候補とする。
【0121】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「溝の口」、項目「ヨガ教室A」のレコードを有する。ヨガ教室Aの溝の口の店舗は、顧客の住居近傍ではなく、かつ、勤務先近傍ではない。口座取引履歴115aによれば、該当の顧客は、直近3カ月にヨガ教室Aを3回使用している。このため、物件選択部122は、ヨガ教室Aを顧客嗜好施設と特定する。物件選択部122は、ヨガ教室Aのチェーン店から所定距離以内に存在する空き物件を、該当の顧客に対する紹介候補とする。
【0122】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「武蔵中原」、項目「給与」のレコードを有する。給与振込が行われた銀行の武蔵中原支店は、該当の顧客の勤務先近傍であるとする。この場合、取引情報取得部121は、銀行の武蔵中原支店における給与のレコードを削除する。このため、物件選択部122は、当該レコードを顧客嗜好施設の特定に用いない。
【0123】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「登戸」、項目「デビットカード」のレコードを有する。デビットカードが使用された登戸の店舗は、該当の顧客の自宅の住所近傍である。この場合、取引情報取得部121は、登戸の店舗店におけるデビットカードのレコードを削除する。このため、物件選択部122は、当該レコードを顧客嗜好施設の特定に用いない。
【0124】
また、口座取引履歴115aは、取扱店「登戸」、項目「引出」のレコードや取扱店「武蔵中原」、項目「引出」のレコードを有する。現金の引出が行われた銀行の登戸支店は、該当の顧客の住居近傍である。また、現金の引出が行われた銀行の武蔵中原支店は、該当の顧客の勤務先近傍である。この場合、取引情報取得部121は、銀行の登戸支店や武蔵中原支店における引出のレコードを削除する。このため、物件選択部122は、当該レコードを顧客嗜好施設の特定に用いない。
【0125】
そして、通信部123は、物件選択部122により顧客への紹介候補として選択された空き物件の情報を、顧客が操作するPC200、スマートフォン300またはATM400などの端末に送信する。
【0126】
図14は、クレジット取引履歴に基づく物件紹介例を示す図である。取引情報取得部121は、口座取引履歴115aに含まれる銀行クレジットカードの使用履歴に基づいて、クレジット取引テーブル116を参照し、クレジット取引の取引情報を取得し得る。
【0127】
例えば、取引情報取得部121は、口座取引履歴115aの項目「銀行クレジットカード」に紐づくクレジット取引テーブル116のレコードを参照し、銀行クレジットカードを用いた取扱店「二子玉川」における「法人Yへの支払い」の取引情報を取得する。なお、「法人Yへの支払い」が行われた法人Yの「二子玉川」の店舗は、顧客の住居近傍ではなく、かつ、勤務先近傍ではない。
【0128】
物件選択部122は、「法人Yへの支払い」の取引情報を基に、法人テーブル112の法人属性を参照し、法人Yがペット保険を提供していることを特定する。物件選択部122は、該当の顧客がペット保険の保険料を支払っていることから、当該顧客がペットの飼育を好むという嗜好を特定し、当該顧客の顧客嗜好施設をペット関連施設とする。一例では、物件選択部122は、ペット関連施設をトリマー常駐のペット用品店とする。
【0129】
そこで、物件選択部122は、法人テーブル112に基づいて、法人Zが運営するトリマー常駐のペット用品店である町田ZZ店を特定する。そして、物件選択部122は、当該町田ZZ店の近傍(例えば町田ZZ店から所定距離以内)の空き物件を選択する。通信部123は、物件選択部122により選択された空き物件の情報を該当の顧客が操作するPC200、スマートフォン300またはATM400などの端末に送信する。
【0130】
このように、サーバ100は、口座取引の履歴に関連するクレジット取引の履歴に基づいて顧客への物件紹介を行ってもよい。また、サーバ100は、クレジット取引の履歴に含まれる法人の情報から、法人テーブル112における当該法人の法人属性を参照し、当該法人属性に基づいて顧客の嗜好や当該嗜好に応じた施設を特定してもよい。なお、図14では主にクレジット取引の履歴を例示したが、サーバ100は、口座取引の履歴に含まれる法人の情報から、法人テーブル112における当該法人の法人属性を参照し、当該法人属性に基づいて顧客の嗜好や当該嗜好に応じた施設を特定してもよい。
【0131】
こうして、サーバ100は、口座取引やクレジット取引の履歴の情報だけでは、顧客嗜好施設の特定には不十分である場合も、法人テーブル112の法人属性の情報を基に不足する情報を補充し、顧客嗜好施設を適切に特定可能になる。また、サーバ100は、口座取引やクレジット取引の履歴に加え、法人テーブル112の法人属性の情報を用いることで、顧客の嗜好の特定精度を向上できる。
【0132】
また、サーバ100によれば、ユーザ(顧客)に対して適切な物件の紹介が可能になる。口座取引テーブル115やクレジット取引テーブル116には、顧客が生活する上で日常的に行う行動が反映される。このため、サーバ100は、口座取引テーブル115やクレジット取引テーブル116を用いることで、顧客の行動の傾向を適切に取得でき、顧客の行動の傾向に応じた適切な物件を顧客に紹介可能になる。
【0133】
また、サーバ100は、口座取引テーブル115やクレジット取引テーブル116で示される取引情報から第1の地域に関する取引情報を除いた第1の取引情報を用いる。例えば、顧客が現在の住所近傍などに引っ越す可能性は低いことがある。この場合、サーバ100は、第1の地域を顧客の現在の住所近傍の地域とすることで、より適切な物件を顧客に紹介できる。更に、第1の取引情報は、顧客が第1の地域とは異なる地域へ積極的に赴いて行われた取引を含み得る。このため、第1の取引情報には、顧客の比較的強い嗜好が反映されると推定される。よって、サーバ100は、第1の取引情報を用いることで、顧客が気に入る可能性が高い物件を紹介できる。
【0134】
また、顧客がセンサを身に着けたり、自身で嗜好情報を入力したりするなどの特別な作業を行わなくても、口座取引テーブル115やクレジット取引テーブル116には取引履歴が蓄積される。このため、サーバ100は、物件の紹介のために特別な作業を強いずに済む。また、サーバ100は、顧客への適切な物件紹介の機会を増やせる。
【0135】
ここで、不動産仲介を行う事業者は、空き物件が出た場合、来店客に直接紹介したり、Webサイトや広告に空き物件を掲載したりして、顧客からのアクセスを待つ状態であることが多い。このため、どの顧客に、どのタイミングで、どのような物件を紹介するかの情報は無く、顧客からのアプローチに頼るのみで空き物件を迅速に埋めることが出来ていなかった。
【0136】
ところで、顧客が住みたいのは、顧客が買い物をするなど利用嗜好性の高い街・場所である場合が多い。したがって、顧客が買い物をした銀行口座情報、すなわち、口座の取引情報を活用できれば、顧客が住みたい街・場所を推測できる。
【0137】
そこで、サーバ100は、口座の取引情報に基づき顧客の利用嗜好を割り出すことで、顧客のニーズに沿った物件を紹介することを可能とした。なお、例えば顧客がいま住んでいる住所近傍など、顧客が引っ越し先に選ぶ可能性が低い地域が存在する。このため、サーバ100は、住所近傍などの地域での取引情報の除外を可能にする。
【0138】
このように、サーバ100は顧客の嗜好に基づき空き物件を紹介することで、空室を迅速に埋めることが可能となる。また、サーバ100は、顧客満足度の向上を図れる。更に、サーバ100は、不動産仲介業としての業績の向上を図れる。
【0139】
以上説明したように、サーバ100は次の処理を実行する。
制御部120は、対象者の口座の取引情報のうち第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を特定する。制御部120は、複数の物件情報のうち、第1の取引情報に基づいて、第1の物件を選択する。制御部120は、第1の物件に関する情報を対象者が操作する端末に送信する。
【0140】
これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。なお、口座取引テーブル115や口座取引テーブル115に関連するクレジット取引テーブル116は、取引情報の一例である。また、口座取引テーブル115の各レコードのうち直近の所定期間のレコードおよび当該レコードに関連するクレジット取引テーブル116のレコードは、取引情報の一例である。空き物件テーブル114において複数の空き物件を示す複数のレコードは、複数の物件情報の一例である。
【0141】
制御部120は、第1の取引情報に基づいて対象者の嗜好を特定し、特定した嗜好に応じた第1の施設または第2の地域を示す情報と複数の物件情報とに基づいて第1の物件を選択してもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、対象者が気に入る可能性が高い物件を対象者に紹介できる。
【0142】
例えば、制御部120は、第1の取引情報における特定の施設または特定の地域に関連する取引の回数に基づいて、特定の施設または特定の地域に対する対象者の嗜好の有無を判定することで、当該対象者の嗜好を特定してもよい。これにより、サーバ100は、対象者の嗜好を適切に特定できる。
【0143】
前述のように、制御部120は、直近の所定期間における、特定の施設または特定の地域に関連する取引の回数が所定回数以上である場合に、特定の施設または特定の地域に対して対象者の嗜好有りと判定する。一方、制御部120は、直近の所定期間における、特定の施設または特定の地域に関連する取引の回数が所定回数未満である場合に、特定の施設または特定の地域に対して対象者の嗜好無しと判定する。
【0144】
例えば、特定の施設が特定の百貨店であるとする。当該特定の百貨店に対して対象者の嗜好有りと判定される場合、制御部120は、対象者の嗜好に応じた第1の施設を、当該百貨店の何れかのチェーン店とする。また、当該特定の百貨店に対して対象者の嗜好有りと判定される場合、制御部120は、対象者の嗜好に応じた第2の地域を、当該百貨店の何れかのチェーン店を含む地域としてもよい。
【0145】
また、例えば、特定の地域に対して対象者の嗜好有りと判定される場合、制御部120は、対象者の試行に応じた第2の地域を、当該特定の地域とする。あるいは、特定の地域に対して対象者の嗜好有りと判定される場合、制御部120は、対象者の試行に応じた第2の地域を、当該特定の地域に隣接する地域としてもよい。
【0146】
制御部120は、第1の取引情報から対象者が取引を行った事業者を特定し、事業者の属性情報に基づいて対象者の嗜好を特定してもよい。これにより、サーバ100は、対象者の嗜好の特定精度を高められる。また、サーバ100は、対象者の嗜好の特定機会を増やすことができ、より多くの対象者への物件の紹介が可能になる。なお、法人テーブル112における法人属性の情報は、事業者の属性情報の一例である。事業者、すなわち、事業を行う主体は、自然人などの法人以外の主体でもよい。
【0147】
制御部120は、複数の物件情報のうち、第1の施設から所定距離以内にある物件、または、第1の施設を含む第3の地域に含まれる物件を第1の物件として選択してもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、第1の施設の利用に便利な物件を第1の物件として対象者に紹介可能になる。
【0148】
制御部120は、複数の物件情報のうち、第2の地域に含まれる物件、または、第2の地域から所定距離以内にある物件を第1の物件として選択してもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、第2の地域の利用に便利な物件を第1の物件として対象者に紹介可能になる。
【0149】
制御部120は、第1の取引情報に基づいて、対象者の第1の嗜好と第1の嗜好よりも強い第2の嗜好とを特定してもよい。制御部120は、第2の嗜好に対して選択された第1の物件を対象者へ提示する第1の優先度を、第1の嗜好に対して選択された第1の物件に対応する第2の優先度よりも高くしてもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、対象者が気に入る可能性が高い順序で、対象者に物件を効率的に紹介できる。
【0150】
制御部120は、複数の物件情報に第2の物件が追加されると、複数の対象者それぞれの口座の取引情報のうち、当該対象者に対応する第1の地域に関する取引情報を除く第1の取引情報を対象者ごとに特定してもよい。制御部120は、複数の対象者それぞれの第1の取引情報に基づいて、複数の対象者のうち、第2の物件の利用候補者を選択してもよい。制御部120は、第2の物件に関する情報を利用候補者が操作する端末に送信してもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、第2の物件を気に入る可能性が高い利用候補者に対して、当該第2の物件を効率的に紹介できる。
【0151】
また、第1の地域は、対象者の自宅から第1距離以内の領域、対象者の自宅の最寄り駅から第2距離以内の領域、対象者の勤務先から第3距離以内の領域および対象者の勤務先の最寄り駅から第4距離以内の領域のうちの少なくとも1つを含んでもよい。これにより、サーバ100は、対象者に対して適切な物件の紹介が可能になる。例えば、サーバ100は、対象者が引越し先として選択する可能性が低い地域を第1の地域とすることで、当該第1の地域の物件が対象者に紹介される可能性を低減できる。なお、第1距離~第4距離は、全部または一部が同じ距離でもよいし、互いに異なってもよい。
【0152】
なお、第1の実施の形態の情報処理は、処理部12がプログラムを実行することで実現されてもよい。また、第2の実施の形態の情報処理は、CPU101がプログラムを実行することで実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体63に記録される。
【0153】
例えば、プログラムを記録した記録媒体63が配布されることで、プログラムが流通される。プログラムは他のコンピュータに格納されてもよく、ネットワーク経由で配布されてもよい。コンピュータは、例えば、記録媒体63に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを、RAM102やHDD103などの記憶装置に格納し(インストールし)、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行してもよい。
【符号の説明】
【0154】
10 情報処理装置
11 記憶部
12 処理部
20 端末
30 ネットワーク
40 取引情報
41 第1の取引情報
50 マップ
50a 第1の地域
51,52,53 物件情報
54 施設情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14