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特開2024-37452重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037452
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/62 20060101AFI20240312BHJP
   A22C 7/00 20060101ALI20240312BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240312BHJP
   G01G 19/42 20060101ALI20240312BHJP
   A23P 20/25 20160101ALI20240312BHJP
   A23L 17/00 20160101ALN20240312BHJP
【FI】
G01G19/62
A22C7/00 Z
A23L5/00 Z
G01G19/42 Z
A23P20/25
A23L17/00 101H
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142333
(22)【出願日】2022-09-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 洸一
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 竜治
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠介
【テーマコード(参考)】
4B011
4B034
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B011AA05
4B034LP02
4B034LP20
4B034LT24
4B034LT48
4B035LC16
4B035LE02
4B035LP31
4B035LP46
4B035LT20
4B048PE13
4B048PP01
(57)【要約】
【課題】製造される食品の平均重量を算出し、当該算出した平均重量と目標値を比較することで、自動で重量調整を行うことができる重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラムの提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)複数個の食品についての重量の平均値を算出し、(2)前記算出した平均値から目標値を減じた値が、比較用値以上となるか否かを、値の大きい比較用値から順に判定し、(3)前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える重量調整装置であって、
前記記憶部には、
重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、
前記制御部は、
複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出手段と、
前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定手段と、
前記判定手段で前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整手段と、
を備えること、
を特徴とする重量調整装置。
【請求項2】
前記重量調整手段は、前記同一レベルの前記調整値の分だけ、前記食品を製造する製造装置を構成する部品に対して前記調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整すること、
を特徴とする請求項1に記載の重量調整装置。
【請求項3】
前記記憶部には、
標準偏差の範囲毎の目標値を含む第二目標値管理データが更に格納されており、
前記制御部は、
所定個数の食品を1グループとしてグループ単位の標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、
前記算出したグループ単位の標準偏差の平均値を算出する偏差平均算出手段と、
前記算出した標準偏差の平均値が、前記第二目標値管理データに含まれるどの標準偏差の範囲に属するかを特定する特定手段と、
前記第一目標値管理データに含まれる前記目標値を、前記特定した標準偏差の範囲に対応する前記第二目標値管理データに含まれる前記目標値に変更する目標値変更手段と、
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の重量調整装置。
【請求項4】
前記標準偏差算出手段および前記偏差平均算出手段において前記算出の対象とする前記食品の集団が、前記算出の度に新しく設定される集団であること、
を特徴とする請求項3に記載の重量調整装置。
【請求項5】
前記標準偏差算出手段および前記偏差平均算出手段において前記算出の対象とする前記食品の集団が、1つ前の算出の対象となった集団に新しいグループを1つ追加し、かつ、1つ前の算出の対象となった当該集団から最も古いグループを1つ削除することで構成される集団であること、
を特徴とする請求項3に記載の重量調整装置。
【請求項6】
前記食品が、ペースト状の原料を一定の重量ずつ成型することで製造されるものまたは液状の原料を充填することで製造されるものであること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の重量調整装置。
【請求項7】
前記食品が、包餡食品、成型挽肉加工食品、フライ食品またはデザート類であること、
を特徴とする請求項6に記載の重量調整装置。
【請求項8】
前記食品が、焼売、餃子、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、メンチカツ、素揚げ、ケーキ、ゼリーまたはプリンであること、
を特徴とする請求項6に記載の重量調整装置。
【請求項9】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される重量調整方法であって、
前記記憶部には、
重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、
前記制御部で実行される、
複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出ステップと、
前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整ステップと、
を含むこと、
を特徴とする重量調整方法。
【請求項10】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための重量調整プログラムであって、
前記記憶部には、
重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、
前記制御部に実行させるための、
複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出ステップと、
前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定ステップと、
前記判定ステップで前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整ステップと、
を含むこと、
を特徴とする重量調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペースト状原料からなる練り製品の製造工程において、加熱処理後の成形品の不特定個数単位での計量に基づいて、より効率的で正確な量目調整を自動で行うことができる機構が開示されている(特許文献1の0011段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5869645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような食品の製造の分野においては、収率(製品個数÷原料投入量)を最大化することが重要である。収率を最大化するためには、原料を使いすぎることなく(原料を使い込むことなく)、1つ1つの食品を適切な重量で製造することで、製造される食品の数を最大化することが重要である。
【0005】
このような原料の使い込みを防ぐために、従来においては、担当者が手動で食品の重量の調整を行っていたが、担当者の重量調整の仕方は、状況認識、感覚および頻度等によって担当者間で異なるため、重量調整の統一性および精度が低くなり、また、担当者の負担も大きいという問題があった。更に、このような問題に起因して、軽量によるリスクを避けるために、製造される食品の重量は重ために管理されるという問題もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、製造される食品の平均重量を算出し、当該算出した平均重量と目標値を比較することで、自動で重量調整を行うことができる重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る重量調整装置は、制御部および記憶部を備える重量調整装置であって、前記記憶部には、重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、前記制御部は、複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出手段と、前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定手段と、前記判定手段で前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記重量調整手段は、前記同一レベルの前記調整値の分だけ、前記食品を製造する製造装置を構成する部品に対して前記調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記記憶部には、標準偏差の範囲毎の目標値を含む第二目標値管理データが更に格納されており、前記制御部は、所定個数の食品を1グループとしてグループ単位の標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、前記算出したグループ単位の標準偏差の平均値を算出する偏差平均算出手段と、前記算出した標準偏差の平均値が、前記第二目標値管理データに含まれるどの標準偏差の範囲に属するかを特定する特定手段と、前記第一目標値管理データに含まれる前記目標値を、前記特定した標準偏差の範囲に対応する前記第二目標値管理データに含まれる前記目標値に変更する目標値変更手段と、を更に備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記標準偏差算出手段および前記偏差平均算出手段において前記算出の対象とする前記食品の集団が、前記算出の度に新しく設定される集団であること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記標準偏差算出手段および前記偏差平均算出手段において前記算出の対象とする前記食品の集団が、1つ前の算出の対象となった集団に新しいグループを1つ追加し、かつ、1つ前の算出の対象となった当該集団から最も古いグループを1つ削除することで構成される集団であること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記食品が、ペースト状の原料を一定の重量ずつ成型することで製造されるものまたは液状の原料を充填することで製造されるものであること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記食品が、包餡食品、成型挽肉加工食品、フライ食品またはデザート類であること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る重量調整装置においては、前記食品が、焼売、餃子、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、メンチカツ、素揚げ、ケーキ、ゼリーまたはプリンであること、を特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る重量調整方法においては、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される重量調整方法であって、前記記憶部には、重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、前記制御部で実行される、複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出ステップと、前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る重量調整プログラムにおいては、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための重量調整プログラムであって、前記記憶部には、重量に関する目標値とレベル毎の比較用値とレベル毎の調整値とを含む第一目標値管理データが格納されており、前記制御部に実行させるための、複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出ステップと、前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定ステップと、前記判定ステップで前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、製造される食品の平均重量を算出し、当該算出した平均重量と目標値を比較することで、自動で重量調整を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、重量調整装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、適切な重量で製品を製造した場合と原料の使い込みがあった場合とで、製造される製品の個数を比較したイラストの一例を示す図である。
図3図3は、平均重量の算出に基づく重量調整のフローチャートの一例を示す図である。
図4図4は、標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整のフローチャートの一例を示す図である。
図5図5は、第一目標値管理データの一例を示す図である。
図6図6は、第二目標値管理データの一例を示す図である。
図7図7は、平均重量の算出に基づく重量調整を行った場合における食品の重量分布の理想的な変化を描いたグラフの一例を示す図である。
図8図8は、標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整を行った場合における食品の重量分布の理想的な変化を描いたグラフの一例を示す図である。
図9図9は、手動による重量調整を行った場合の重量分布を描いたグラフおよび本実施形態に係る重量自動調整を行った場合の重量分布を描いたグラフの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、重量調整装置、重量調整方法および重量調整プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0020】
[1.概要]
食品の製造においては、収率(製品個数÷原料投入量)を最大化することが重要である。収率を最大化するためには、原料を使いすぎることなく(原料を使い込むことなく)、1つ1つの食品を適切な重量で製造することで、製造される食品の数を最大化することが重要である。
【0021】
例えば、焼売を製造する場合の例について、図2用いて説明する。原料の量が同じだとすると、図2の下の例に示すように適切な重量で製造した場合には、10個の焼売を製造できるのに対して、図2の上の例に示すように原料の使い込みがあった場合には、8個の焼売しか製造できないといったことが起こり得る。
【0022】
このような原料の使い込みを防ぐために、従来においては、担当者が手動で食品の重量の調整を行っていたが、担当者の重量調整の仕方は、状況認識、感覚および頻度等によって担当者間で異なるため、重量調整の統一性および精度が低くなり、また、担当者の負担も大きいという問題があった。更に、このような問題に起因して、軽量によるリスクを避けるために、製造される食品の重量は重ために管理されるという問題もあった。
【0023】
そこで、本実施形態においては、製造される食品の平均重量を算出し、当該算出した平均重量と目標値を比較することで、自動で重量調整を行えるようにした。これにより、重量調整の統一性および精度が高くなり、また、担当者の負担を小さくすることができる。
【0024】
また、設備が同じであっても、製造される食品の重量は、日にちや時間帯によってバラツキがあるという問題もあった。前述した平均重量の算出による重量調整では、このバラツキまでは考慮できていなかった。
【0025】
そこで、本実施形態においては、製造される食品の平均重量を用いて標準偏差の平均値を算出し、当該算出した標準偏差の平均値に基づいて、新たな目標値(通常は、より軽い目標値)を設定することができるようにした。これにより、製造される食品の重量の、日にちや時間帯によるバラツキを考慮した上での重量調整を行うことができる。
【0026】
ここで、本実施形態において、製造される食品は特に制限されないが、例えば、ペースト状の原料を一定の重量ずつ成型することで製造されるものまたは液状の原料を充填することで製造されるものである。製造される食品は、具体的には、包餡食品、成型挽肉加工食品、フライ食品またはデザート類等である。製造される食品は、より具体的には、焼売、餃子、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、メンチカツ、素揚げ、ケーキ、ゼリーまたはプリン等である。以下、具体的な構成および処理について説明する。
【0027】
[2.構成]
本実施形態に係る重量調整装置100の構成の一例について、図1を参照して説明する。図1は、重量調整装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
重量調整装置100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)であってもよいし、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータであってもよい。なお、重量調整装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0029】
重量調整装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。重量調整装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0030】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、重量調整装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、重量調整装置100と製造装置200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0031】
製造装置200は、前記食品を製造する製造装置であり、例えば、成型機である。後述する重量調整部102cは、製造装置200を構成する部品(例えば、モーター)に対して前記調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する。なお、製造装置200(例えば、成型機)の後ろにはウェイトチェッカーを設置してもよく、ウェイトチェッカーにより、製造された食品の重量を計測することができる。
【0032】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0033】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0034】
記憶部106は、例えば、第一目標値管理データ106aと、第二目標値管理データ106bと、を備えている。
【0035】
第一目標値管理データ106aは、本実施形態に係る重量調整を行うために必要となる、重量に関する目標値を管理するためのデータである。
【0036】
第一目標値管理データ106aは、図5に示すように、例えば、重量に関する目標値(目標値の設定値)と、レベル毎の比較用値(上限制御Lvの設定値)と、レベル毎の調整値(制御Lv移動量の設定値)と、等を含む。詳細は以下の[3-1]で説明するが、重量の平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上である場合、当該比較用値に対応する上限制御Lvと同一の制御Lvの前記調整値の分だけ、製造される食品の重量が調整される。
【0037】
第一目標値管理データ106aが含む項目についての詳細は、以下のとおりである。
・上限制御Lv1・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以上となる場合に、制御Lv1移動量だけモーターを動かす。
・下限制御Lv1・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以下となる場合に、制御Lv1移動量だけモーターを動かす。
・上限制御Lv2・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以上となる場合に、制御Lv2移動量だけモーターを動かす。
・下限制御Lv2・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以下となる場合に、制御Lv2移動量だけモーターを動かす。
・上限停止Lv・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以上となる場合が連続して発生した場合に、成型機を停止させる(連続回数は、別項目で設定)。
・下限停止Lv・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以下となる場合が連続して発生した場合に、成型機を停止させる(連続回数は、別項目で設定)。
・外れ値(上限)・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以上となる場合に、当該重量の平均の算出に用いた重量については、異常値として、重量自動調整の計算対象から除外する。
・外れ値(下限)・・・重量の平均値が、「目標値+この数値」以下となる場合に、当該重量の平均の算出に用いた重量については、異常値として、重量自動調整の計算対象から除外する。
・平均個数・・・重量の平均値の算出に必要となる食品の個数。
・初期移動位置・・・重量自動調整をONにしたときに、初期移動するモーターの位置(自動更新)。
・制御Lv1移動量・・・上限制御Lv1または下限制御Lv1に対応する、モーターの移動量。
・制御Lv2移動量・・・上限制御Lv2または下限制御Lv2に対応する、モーターの移動量。
【0038】
記憶部106が備えるデータの説明に戻り、第二目標値管理データ106bは、変更先となる新たな目標値を管理するためのデータである。
【0039】
第二目標値管理データ106bは、図6に示すように、例えば、トレンド計測数と、トレンド平均数と、標準偏差の範囲毎の目標値と、等を含む。詳細は以下の[3-2]で説明するが、第一目標値管理データ106a中の前記目標値が、第二目標値管理データ106b中の目標値(通常は、より軽い目標値)へと変更されることにより、次回の計測からは、より軽い目標値を用いて重量調整を行うことができる。
【0040】
第二目標値管理データ106bが含む項目についての詳細は、以下のとおりである。
・トレンド計測数・・・標準偏差の算出に必要となる食品の個数。いわば、1グループあたりの食品の個数。
・トレンド平均数・・・標準偏差の平均値の算出に必要となるグループの数。
・標準偏差の範囲毎の目標値・・・標準偏差の範囲毎に設定された、重量に関する目標値。この目標値が、次回からの新たな目標値となる。
【0041】
制御部102は、重量調整装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0042】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)複数個の食品についての重量の平均値を算出する重量平均算出手段としての重量平均算出部102aと、(2)前記算出した平均値から前記目標値を減じた値が、前記比較用値以上となるか否かを、値の大きい前記比較用値から順に判定する判定手段としての判定部102bと、(3)前記判定手段で前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する重量調整手段としての重量調整部102cと、(4)所定個数の食品を1グループとしてグループ単位の標準偏差を算出する標準偏差算出手段としての標準偏差算出部102dと、(5)前記算出したグループ単位の標準偏差の平均値を算出する偏差平均算出手段としての偏差平均算出部102eと、(6)前記算出した標準偏差の平均値が、前記第二目標値管理データに含まれるどの標準偏差の範囲に属するかを特定する特定手段としての特定部102fと、(7)前記第一目標値管理データに含まれる前記目標値を、前記特定した標準偏差の範囲に対応する前記第二目標値管理データに含まれる前記目標値に変更する目標値変更手段としての目標値変更部102gと、を備えている。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理]で説明する。
【0043】
[3.処理]
本項目では、本実施形態に係る処理をフローチャートに沿って説明する。以下の[3-1]では平均重量の算出に基づく重量調整について説明し、以下の[3-2]では標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整について説明する。なお、本項目[3.処理]において製造される食品は、焼売であるものとする。
【0044】
[3-1.平均重量の算出に基づく重量調整]
本項目では、平均重量の算出に基づく重量調整について、図3のフローチャートに沿って説明する。なお、第一目標値管理データ106aは、図5に示す内容で予め登録されているものとする。
【0045】
ここで、具体的な処理の説明に入る前に、平均重量の算出に基づく重量調整についての特徴を説明する。平均重量の算出に基づく重量調整は、製造される食品の平均重量(平均値)を目標重量(目標値)に近づけていく重量調整である。この重量調整によれば、人のスポット測定による誤差を解消し、データに基づいた調整を自動で行うことができる。
【0046】
(1)重量の計測
処理が開始されると(図3のスタート)、まず、複数個の食品についての重量がウェイトチェッカーにより計測される(図3のステップSA1)。
【0047】
(2)重量の平均値の算出
次に、重量平均算出部102aは、重量を計測した前記複数個の食品についての重量の平均値を算出する(図3のステップSA2)。言い換えると、重量平均算出部102aは、重量を計測した前記複数個の食品について、N点の平均値を算出する。
【0048】
(3)比較用値との比較による判定
次に、判定部102bは、前記算出した平均値から、第一目標値管理データ106a中の目標値を減じた値が、第一目標値管理データ106a中の比較用値以上となるか否かを、値の大きい比較用値から順に判定する(図3のステップSA3)。
【0049】
例えば、図5の第一目標値管理データ106aを参照すると、目標値は278gであり、値が一番目に大きい比較用値(上限制御Lvの設定値)は、上限制御Lv2の4gである。この場合、判定部102bは、前記算出した平均値から278gを減じた値が、4g以上となるか否かを判定する(図3のステップSA3)。
【0050】
4g以上となる場合(図3のステップSA3:Yes)、次の(4)で説明する処理へと進み、上限制御Lv2に応じた重量調整が行われる。
【0051】
これに対して、4g未満の場合(図3のステップSA3:No)、判定に用いた上限制御Lvが、Lv1であるか否かが判定される(図3のステップSA4)。今回の場合、判定に用いた上限制御Lvは上限制御Lv2なので(図3のステップSA4:No)、続けて、上限制御Lv2より一つ小さい上限制御である上限制御Lv1について、次段落で説明する判定が行われる。
【0052】
図5の第一目標値管理データ106aを参照すると、値が二番目に大きい比較用値(上限制御Lvの設定値)は、上限制御Lv1の2gである。この場合、判定部102bは、前記算出した平均値から278gを減じた値が、2g以上となるか否かを判定する(図3のステップSA3)。
【0053】
2g以上となる場合(図3のステップSA3:Yes)、次の(4)で説明する処理へと進み、上限制御Lv1に応じた重量調整が行われる。
【0054】
これに対して、2g未満の場合(図3のステップSA3:No)、判定に用いた上限制御Lvが、Lv1であるか否かが判定される(図3のステップSA4)。今回の場合、判定に用いた上限制御Lvは上限制御Lv1なので(図3のステップSA4:Yes)、重量調整は行われず、処理は終了する(図3のエンド)。
【0055】
(4)重量の調整
最後に、重量調整部102cは、判定部102bで前記以上となると最初に判定した前記比較用値に対応するレベルと同一レベルの前記調整値の分だけ調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する(図3のステップSA5)。具体的には、重量調整部102cは、前記同一レベルの前記調整値の分だけ、前記食品を製造する製造装置(例えば、成型機)を構成する部品(例えば、モーター)に対して前記調整をすることで、製造される前記食品の重量を調整する。
【0056】
例えば、判定部102bで前記以上となると最初に判定した前記比較用値が4g(上限制御Lv2に対応)である場合、図5の第一目標値管理データ106aを参照すると、上限制御Lv2に対応する調整値(制御Lv2移動量)は、1mmである。この場合、重量調整部102cは、成型機を構成するモーターの移動量を1mmだけ調整することで、製造される食品の重量を調整する。
【0057】
一方で、例えば、判定部102bで前記以上となると最初に判定した前記比較用値が2g(上限制御Lv1に対応)である場合、図5の第一目標値管理データ106aを参照すると、上限制御Lv1に対応する調整値(制御Lv1移動量)は、0.4mmである。この場合、重量調整部102cは、成型機を構成するモーターの移動量を0.4mmだけ調整することで、製造される食品の重量を調整する。
【0058】
このように重量調整が行われると、処理は終了する(図3のエンド)。
【0059】
以上、本項目[3-1]で説明してきたように、平均重量の算出に基づく重量調整によれば、平均値を、予め決められた一つの目標値に近づけるように重量調整を行うことができる。イメージとしては、例えば標準偏差4.0の場合の理想的な平均重量を270gとした場合に、図7に示すように、現状の標準偏差4.0/平均275gのグラフの分布を、理想の標準偏差4.0/平均270gのグラフの分布に動かすことができる。
【0060】
このような平均重量の算出に基づく重量調整は、制御がシンプルであるため、作業者が、作業や制御の内容を理解しやすいというメリットがある。しかし一方で、製造される食品についての日付や時間帯による重量のバラツキを考慮していないため、成型のバラツキに応じて目標値を変動させることができず、また、収率および精緻さにも向上の余地がある。このため、バラツキ(標準偏差)を考慮できる、次項目[3-2]で説明する標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整を行うことが好ましい。
【0061】
[3-2.標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整]
本項目では、標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整について、図4のフローチャートに沿って説明する。なお、第二目標値管理データ106bは、図6に示す内容で予め登録されているものとする。
【0062】
ここで、具体的な処理の説明に入る前に、標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整についての特徴を説明する。標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整は、標準偏差の平均値に基づいて、第一目標値管理データ106aに含まれる目標値を変更していく重量調整である。この重量調整によれば、スポット測定では判断できないトレンド(標準偏差)変化に自動で対応することができる。
【0063】
(1)トレンド計測
処理が開始されると(図4のスタート)、まず、1グループにつきトレンド計測数の数分、食品の重量がウェイトチェッカーにより計測される(図4のステップSB1)。例えば、図6の第二目標値管理データ106bを参照すると、トレンド計測数は15であるため、1グループにつき15個の食品の重量が計測される。
【0064】
ここで、重量計測は、トレンド平均数のグループ数分、行われる(図4のステップSB1)。例えば、図6の第二目標値管理データ106bを参照すると、トレンド平均数は10であるため、重量計測は、10グループ分、行われる。
【0065】
つまり、1グループにつき15個の重量計測が、10グループ分行われたこととなるので、合計で150個の食品の重量が計測されたこととなる。
【0066】
(2)標準偏差の算出
次に、標準偏差算出部102dは、所定個数の食品を1グループとしてグループ単位の標準偏差を算出する(図4のステップSB2)。
【0067】
例えば、標準偏差算出部102dは、10グループそれぞれについての標準偏差を算出する。なお、各グループの標準偏差は、例えば、以下に示す数式1により算出することができる。
【0068】
【数1】
【0069】
上記の数式1において、各記号の意味は、以下のとおりである。
N データ点数(すなわち、トレンド計測数の15個)
各データの値(すなわち、計測された食品一つ一つの重量)
X-(エックスバー) データの平均値(すなわち、トレンド計測数(15個)の食品の重量の平均値)
【0070】
(3)標準偏差の平均値の算出
次に、偏差平均算出部102eは、前記算出したグループ単位の標準偏差の平均値を算出する(図4のステップSB3)。
【0071】
例えば、偏差平均算出部102eは、(2)で算出した10グループそれぞれについての標準偏差の平均値を算出する。
【0072】
ここで、(1)~(3)で説明した処理の対象とするグループの設定の仕方として、以下の2通りの方法が存在する。
【0073】
一つ目は、標準偏差算出部102dおよび偏差平均算出部102eにおいて算出の対象とする食品の集団を、前記算出の度に新しく設定される集団とする方法である。言い換えると、(1)~(3)の処理を行う度に、使用したデータはすべてリセットして新しいデータを一から計測するという方法である。いわば、バッチ式の考え方である。
【0074】
このバッチ式の考え方によれば、計測の度に一からデータを収集しなければならないというデメリットはあるものの、一方で、過去に計測したデータを記憶しておかなくてよいため、コンピュータの「記憶部」への負荷が少ないというメリットがある。
【0075】
二つ目は、標準偏差算出部102dおよび偏差平均算出部102eにおいて算出の対象とする食品の集団を、1つ前の算出の対象となった集団に新しいグループを1つ追加し、かつ、1つ前の算出の対象となった当該集団から最も古いグループを1つ削除することで構成される集団とする方法である。例えば、1つ前の計測でグループ1~10の重量を計測したとすると、今回の計測では、グループ11を新たに追加し、一方で、最も古いグループであるグループ1を削除するという方法である(グループの数は、10のまま変わらない)。いわば、連続式の考え方である。
【0076】
この連続式の考え方によれば、過去に計測したデータを記憶しておかなければならないというデメリットはあるものの、一方で、今回の計測では最も新しいグループのデータのみを収集すればよいため、コンピュータの「制御部」への負荷が少ないというメリットがある。
【0077】
(4)標準偏差の平均値が属する範囲の特定
次に、特定部102fは、前記算出した標準偏差の平均値が、第二目標値管理データ106bに含まれるどの標準偏差の範囲に属するかを特定する(図4のステップSB4)。
【0078】
例えば、前記(3)で算出した標準偏差の平均値が、仮に2.1であるとする。この場合、特定部102fは、当該平均値2.1が、図6の第二目標値管理データ106bに含まれる「2.00~2.29」の範囲に属すると特定する。
【0079】
(5)目標値の変更
最後に、目標値変更部102gは、第一目標値管理データ106aに含まれる前記目標値を、前記特定した標準偏差の範囲に対応する第二目標値管理データ106bに含まれる前記目標値に変更する(図4のステップSB5)。
【0080】
例えば、図6の第二目標値管理データ106bを参照すると、前記(4)で特定した標準偏差の範囲「2.00~2.29」に対応する目標値は、274gである。このため、目標値変更部102gは、図5の第一目標値管理データ106aに含まれる目標値278gを274gに変更する。これにより、次回の計測からは、より軽い目標値を用いて[3-1]で説明した重量調整を行うことができるため、結果として、収率をより向上させることができる。
【0081】
以上、本項目[3-2]で説明してきたように、標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整によれば、平均値を、事前に設定した標準偏差毎の目標値に近づけるように重量調整を行うことができる。イメージとしては、例えば標準偏差4.0の場合の理想的な重量を270gとして管理していたとする。この場合、図8に示すように、標準偏差が3.0になったとすると平均重量268gに目標を自動的に変えることができ、また、標準偏差が2.5になったとすると平均重量266gに目標を自動的に変えることができる。
【0082】
[4.本実施形態のまとめ]
以上、[3-1]で説明したように、本実施形態に係る重量調整装置100によれば、製造される食品の平均重量を算出し、当該算出した平均重量と目標値を比較することで、自動で重量調整を行うことができる。これにより、例えば、重量調整の統一性および精度を高くし、また、担当者の負担も減らすことができる。
【0083】
また、本実施形態に係る重量調整装置100によれば、主に[3-2]で説明したように、製造される食品の平均重量を用いて標準偏差の平均値を算出し、当該算出した標準偏差の平均値に基づいて、新たな目標値(通常は、より軽い目標値)を設定することができる。これにより、次回からは、新たな目標値(通常は、より軽い目標値)を用いて重量調整を行うことになるので、収率をより向上させることができる。なお、補足すると、[3-2]で説明したように算出した標準偏差の平均値が小さい場合には、より軽い目標値を選択することで収率を高めることができるが、逆に、算出した標準偏差の平均値が大きい場合には、より重い目標値を選択することで軽量リスクを避けることができる。
【0084】
ここで、手動による重量調整を行った場合の重量分布を描いたグラフおよび本実施形態に係る重量自動調整(標準偏差の平均値の算出に基づく重量調整)を行った場合の重量分布を描いたグラフを図9に示す。図9のグラフにおいて、縦軸は確率密度を示し、横軸は重量を示す。図9に示すように、本実施形態に係る重量自動調整後においては、手動による重量調整後と比べて、重量の分布は軽い方に固まっており、また、グラフの勾配が急(=重量の分布の範囲が限定的)であった。
【0085】
図9のグラフについてより具体的に見ると、手動による重量調整後は、1パックあたりの平均重量は283.0g(標準偏差4.18)であったのに対して、本実施形態に係る重量自動調整後は、1パックあたりの平均重量は276.1g(標準偏差3.03)であった。すなわち、本実施形態に係る重量自動調整を行うことで、1パックあたりの平均重量は6.9g削減し、また、収率は2.5%向上した。
【0086】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0087】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0088】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0089】
また、重量調整装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0090】
例えば、重量調整装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて重量調整装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0091】
また、このコンピュータプログラムは、重量調整装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0092】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0093】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0094】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0095】
また、重量調整装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、重量調整装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0096】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、例えば、食品の製造の分野において有用である。
【符号の説明】
【0098】
100 重量調整装置
102 制御部
102a 重量平均算出部
102b 判定部
102c 重量調整部
102d 標準偏差算出部
102e 偏差平均算出部
102f 特定部
102g 目標値変更部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 第一目標値管理データ
106b 第二目標値管理データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 製造装置
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9