(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003746
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】太陽電池および光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H01L31/04 262
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023018906
(22)【出願日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】202210745275.2
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512083920
【氏名又は名称】晶科能源股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】張彼克
(72)【発明者】
【氏名】金井昇
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】曹静宇
(72)【発明者】
【氏名】程海燕
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151DA03
5F151FA14
5F151FA17
5F151FA24
(57)【要約】
【課題】本願は、光起電力の分野に関し、太陽電池および光起電力モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池は、ベースと、ベースの表面に位置するトンネル誘電体層と、トンネル誘電体層の表面に位置するドープ導電層であって、第2方向に対して直交する第1方向に沿って配列された、第2方向に沿って延びる複数の突出部を有するドープ導電層と、隣り合う2つの突出部の間に位置し、突出部の側面に接触して接続される導電接続構造と、ドープ導電層および導電接続構造の表面を覆うパッシベーション層と、第2方向に沿って延び、パッシベーション層を通過して突出部と接続されている複数のサブゲート電極と、を備える。少なくとも太陽電池の性能を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの表面に位置するトンネル誘電体層と、
前記トンネル誘電体層の表面に位置するドープ導電層であって、第2方向に対して直交する第1方向に沿って配列された、第2方向に沿って延びる複数の突出部を有するドープ導電層と、
隣り合う2つの前記突出部の間に位置し、前記突出部の側面に接触して接続される導電接続構造と、
前記ドープ導電層および前記導電接続構造の表面を覆うパッシベーション層と、
前記第2方向に沿って延び、前記パッシベーション層を通過して前記突出部と接続されている複数のサブゲート電極と、
を備えることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記導電接続構造は、複数であり、
複数の前記導電接続構造は、前記第1方向に沿って間隔分布および/または前記第2方向に沿って間隔分布し、
前記第1方向において、隣り合う前記導電接続構造間は、少なくとも一本の前記サブゲート電極を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
隣り合う全ての前記サブゲート電極間は、前記導電接続構造を有している、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項4】
隣り合う前記サブゲート電極間は、複数の間隔分布した前記導電接続構造を有している、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2方向に沿って、前記複数の間隔分布した前記導電接続構造において、隣り合う前記導電接続構造の間のピッチは等しい、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2方向において、隣り合う前記導電接続構造の間のピッチは、0.01mm~20mmである、
ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
複数の前記導電接続構造は、アレイ状に配列されており、前記第1方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造と、前記第2方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造とを複数列備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1方向に沿って延び、前記第1方向に沿って配列された複数のサブゲート電極を電気的に接続するメインゲート電極をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記導電接続構造と前記メインゲート電極とは間隔を隔てている、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記導電接続構造の前記ベース上への投影と、前記メインゲート電極の前記ベース上への投影とは、少なくとも部分的に重なる、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
最も外側に位置する前記メインゲート電極の外側は、前記第1方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造を少なくとも2列備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第2方向において、前記導電接続構造の幅は10μm~500μmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記ベースに垂直な方向において、前記導電接続構造の上面は、前記突出部の上面よりも低くまたは面一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記導電接続構造の材料は、前記ドープ導電層の材料と同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記ドープ導電層の材料は、ドーピングアモルファスシリコン、ドーピングポリシリコン、またはドーピング微結晶シリコン材料のいずれかである、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記ドープ導電層のドーピングタイプは、前記ベースのドーピングタイプと同じである、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記ベースは、N型ベースであり、
前記ドープ導電層は、N型ポリシリコン層である、
ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、
前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、
前記封止層の前記セルストリングから離れた面を覆うためのカバープレートと、
を備えることを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光起電力の分野に関し、特に太陽電池および光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー欠如の情勢が深刻化するにつれ、再生可能エネルギーの開発と利用が迫るようになってきており、多くの再生可能エネルギーの中で、太陽エネルギーは枯渇のおそれが無く、安全で信頼性があり、騒音が無く、汚染の放出が無く、資源分布地域によって適用が制限されないなどの際立った優位性がある。
【0003】
太陽電池は、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換するためのものであるので、広く応用されている。太陽電池は、結晶シリコン電池と薄膜電池に分けることができ、その中でも結晶シリコン電池のうち、トンネル酸化層パッシベーションコンタクト構造電池は、より高い理論効率で広く好まれるため、より性能の良いトンネル酸化層パッシベーションコンタクト構造電池を検討する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願実施例は、少なくともトンネル酸化層パッシベーションコンタクト構造電池の性能を向上させるのに有利な太陽電池および光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の幾つかの実施例によれば、本願の一態様は太陽電池が提供され、ベースと、前記ベースの表面に位置するトンネル誘電体層と、前記トンネル誘電体層の表面に位置するドープ導電層であって、第2方向に対して直交する第1方向に沿って配列された、第2方向に沿って延びる複数の突出部を有するドープ導電層と、隣り合う2つの前記突出部の間に位置し、前記突出部の側面に接触して接続される導電接続構造と、前記ドープ導電層および前記導電接続構造の表面を覆うパッシベーション層と、前記第2方向に沿って延び、前記パッシベーション層を通過して前記突出部と接続されている複数のサブゲート電極とを備える。
【0006】
幾つかの実施例では、前記導電接続構造は複数であり、複数の前記導電接続構造は、前記第1方向に沿って間隔分布および/または前記第2方向に沿って間隔分布し、前記第1方向において、隣り合う前記導電接続構造間は、少なくとも一本の前記サブゲート電極を有している。
【0007】
幾つかの実施例では、隣り合う全ての前記サブゲート電極間は、前記導電接続構造を有している。
【0008】
幾つかの実施例では、隣り合う前記サブゲート電極間は、複数の間隔分布した前記導電接続構造を有している。
【0009】
幾つかの実施例では、前記第2方向に沿って、前記複数の間隔分布した前記導電接続構造において、隣り合う前記導電接続構造の間のピッチは等しい。
【0010】
幾つかの実施例では、前記第2方向において、隣り合う前記導電接続構造の間のピッチは、0.01mm~20mmである。
【0011】
幾つかの実施例では、複数の前記導電接続構造は、アレイ状に配列されており、前記第1方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造と、前記第2方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造とを複数列備える。
【0012】
幾つかの実施例では、前記第1方向に沿って延び、前記第1方向に沿って配列された複数のサブゲート電極を電気的に接続するメインゲート電極をさらに備える。
【0013】
幾つかの実施例では、前記導電接続構造と前記メインゲート電極とは間隔を隔てている。
【0014】
幾つかの実施例では、前記導電接続構造の前記ベース上への投影と、前記メインゲート電極の前記ベース上への投影とは、少なくとも部分的に重なる。
【0015】
幾つかの実施例では、最も外側に位置する前記メインゲート電極の外側は、前記第1方向に沿って配列された複数の前記導電接続構造を少なくとも2列備える。
【0016】
幾つかの実施例では、前記第2方向において、前記導電接続構造の幅は10μm~500μmである。
【0017】
幾つかの実施例では、前記ベースに垂直な方向において、前記導電接続構造の上面は、前記突出部の上面よりも低くまたは面一である。
【0018】
幾つかの実施例では、前記導電接続構造の材料は、前記ドープ導電層の材料と同じである。
【0019】
幾つかの実施例では、前記ドープ導電層の材料は、ドーピングアモルファスシリコン、ドーピングポリシリコン、またはドーピング微結晶シリコン材料のうちの一つであってもよい。
【0020】
幾つかの実施例では、前記ドープ導電層のドーピングタイプは、前記ベースのドーピングタイプと同じである。
【0021】
幾つかの実施例では、前記ベースは、N型ベースであり、前記ドープ導電層は、N型ポリシリコン層である。
【0022】
本願の幾つかの実施例によれば、本願の別の態様は光起電力モジュールが提供され、上記の太陽電池を複数接続してなるセルストリングと、前記セルストリングの表面を覆うための封止層と、前記封止層の前記セルストリングから離れた面を覆うためのカバープレートとを備える。
【発明の効果】
【0023】
本願実施例によって提供される太陽電池は、少なくとも以下の利点を有する。すなわち、ベースの表面を介してトンネル誘電体層及びドープ導電層を形成し、前記ドープ導電層が前記トンネル誘電体層の表面に位置し、かつドープ導電層が第1方向に沿って配列された突出部をさらに有し、第1方向に沿って配列された突出部を設けることにより、ドープ導電層の寄生吸光を低減することができ、隣り合う突出部の間に、突出部に接続された導電接続構造を設けることにより、ドープ導電層の横方向輸送能力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明されるが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は縮尺に制限されない。本願の実施例や従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例において使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、自明なように、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を伴わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることも可能である。
【
図1】
図1は、本願の一実施例による太陽電池の構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施例による太陽電池の断面図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例による第1種の太陽電池の平面図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施例による第2種の太陽電池の平面図である。
【
図5】
図5は、本願の一実施例による第3種の太陽電池の平面図である。
【
図6】
図6は、本願の一実施例による第4種の太陽電池の平面図である。
【
図7】
図7は、本願の一実施例による第5種の太陽電池の平面図である。
【
図8】
図8は、本願の一実施例による光起電力モジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
背景技術から明らかなように、従来のドープ導電層の寄生吸光能力は、太陽電池の光利用率の低下を招き、ドープ導電層の寄生吸光能力を解決するためにドープ導電層の厚さを薄くすることが一般的であるため、突出部を有するドープ導電層の構造が提案され、サブゲート電極が位置する領域に厚いドープ導電層を設け、サブゲート電極間の領域に薄いドープ導電層を設けることにより、ドープ導電層の寄生吸光を低減することができるが、この構造は、サブゲート電極間の領域のドープ導電層が薄く、大きなキャリアが横方向の転送経路が狭いため、輸送中にぶつかり合って消費され、キャリアの輸送レートに影響するという新たな問題をもたらす。
【0026】
本願実施例は、突出部の間に、突出部に接続された導電接触構造を設けることにより、キャリアが横方向に輸送される過程で導電接触構造により輸送されることができるため、キャリアの横方向輸送能力を高めることができ、かつ全層の厚いドープ導電層に比べて、本願が提供する太陽電池は、ドープ導電層の寄生吸光を低減させることもできる。
【0027】
以下、本願の各実施例について図面を結合して詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をより良く理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0028】
図1~
図7は、本願実施例による太陽電池の構造を示す図であり、
図1は、本願の一実施例による太陽電池の構造を示す図であり、
図2は、本願の一実施例による
図1の破線AA方向に沿った断面図であり、
図3は、本願の一実施例による第1種の太陽電池の平面図であり、
図4は、本願の一実施例による第2種の太陽電池の平面図であり、
図5は、本願の一実施例による第3種の太陽電池の平面図であり、
図6は、本願の一実施例による第4種の太陽電池の平面図であり、
図7は、本願の一実施例による第5種の太陽電池の平面図である。
【0029】
図1~
図7を参照して、太陽電池は、ベース100と、ベース100の表面に位置するトンネル誘電体層110と、トンネル誘電体層110の表面に位置するドープ導電層であって、第2方向Yに対して直交する第1方向Xに沿って配列された、第2方向Yに沿って延びる複数の突出部121を有するドープ導電層120と、隣り合う2つの突出部121の間に位置し、突出部121の側面に接触して接続される導電接続構造130と、ドープ導電層120および導電接続構造130の表面を覆うパッシベーション層140と、第2方向Yに沿って延び、パッシベーション層140を通過して突出部121と接続されている複数のサブゲート電極150とを備える。導電接続構造130を設けることで、隣り合う2つの突出部121間のキャリアを導電接続構造130により横方向輸送することができるため、太陽電池の横方向輸送能力を向上させることができる。
【0030】
幾つかの実施例では、ベース100は、シリコンベース100であり、単結晶シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、または微結晶シリコンのうちの一種または複数種を含み得る。他の幾つかの実施例では、ベース100の材料は、炭化ケイ素、有機材料、または多価化合物であってもよい。多価化合物は、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、セレン化銅インジウム等を含むことができるが、これらに限定されない。
【0031】
幾つかの実施例では、ベース100内はドーピング元素を有し、ドーピング元素の種類はN型またはP型であり、N型元素はリン(P)元素、ビスマス(Bi)元素、アンチモン(Sb)元素または砒素(As)元素などのV族元素であり、P型元素はホウ素(B)元素、アルミニウム(Al)元素、ガリウム(Ga)元素またはインジウム(In)元素などのIII族元素であってもよい。例えば、ベース100がP型ベースである場合、その内部のドーピング元素の種類はP型である。あるいは、ベース100がN型ベースである場合、その内部のドーピング元素の種類はN型である。
【0032】
幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110とドープ導電層120は、ベース100表面のパッシベーシヨンコンタクト構造を構成することができ、トンネル誘電体層110とドープ導電層120を形成することにより、電池表面でのキャリアの再結合を低減し、電池の開放電圧を高くすることができ、電池の効率を向上させることができる。幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110は、ベース100の第1面に位置してもよく、第1面は、太陽光に面する受光面である。幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110は、ベース100の第2面に位置してもよく、第2面は、第1面が対向するバックライト面である。幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110は、ベース100の第1面および第2面(
図1において図示せず)に同時に位置してもよい。トンネル誘電体層110の上に位置する他の層も、ベース100の第1面および/または第2面に同期して設けられていることが理解される。
【0033】
幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110は、ドープ導電層120のドーパントがベース100内に拡散するのを低減または阻止するために用いられてもよい。
【0034】
幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、真性アモルファスシリコン、および真性ポリシリコンなどのトンネル作用を有する誘電体材料を含み得るが、これらに限定されない。具体的なトンネル誘電体層110は、シリコン酸化物(SiOx)を含むシリコン酸化物層から形成することができ、シリコン酸化物は、良好なパッシベーション特性を有し、キャリアがシリコン酸化物層を容易にトンネルすることができる。
【0035】
幾つかの実施例では、トンネル誘電体層110の厚さは、0.5nm~2.5nmであってもよく、任意選択で、トンネル誘電体層110の厚さは、0.5nm~2nmであり、さらに、トンネル誘電体層110の厚さは、0.5nm~1.2nmである。トンネル誘電体層110の厚さが0.5mm未満であると、トンネル誘電体層110を形成するプロセスの難度が高く、トンネル誘電体層110の厚さが2.5mmを超えると、トンネル効果が弱い。
【0036】
幾つかの実施例では、導電接続構造130の材料は、ドープ導電層120の材料と同じであり、導電接続構造130をドープ導電層120の材料と同じにすることで、製造過程全体の材料の種類を低減し、管理を容易にすることができる。導電接続構造130の材料は、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンのうちの少なくとも一つを含む。
【0037】
幾つかの実施例では、ドープ導電層120の突出部121を形成すると同時に導電接続構造130を形成することができ、すなわち、ドープ導電層120を同一の工程でエッチングすることにより、突出部121及び導電接続構造130を形成し、一工程で突出部121及び導電接続構造130を形成することで、突出部121と導電接続構造130との接続信頼性を確保することができ、生成プロセスにおける製造工程を低減し、製造時間を短縮することができる。他の幾つかの実施例では、突出部を導電接続構造と別々に形成してもよい。
【0038】
幾つかの実施例では、ドープ導電層120の材料は、ドーピングアモルファスシリコン、ドーピングポリシリコン、またはドーピング微結晶シリコン材料のうちの一つであってもよい。他の幾つかの実施例では、ドープ導電層120は、他の材料であってもよく、実際の状況に応じて選択することができ、例えば炭化ケイ素である。
【0039】
幾つかの実施例では、ドープ導電層120は、トンネル誘電体層110の表面に先に導電層を形成し、その後導電層にドーピングを施して形成してもよい。
【0040】
幾つかの実施例では、ドープ導電層120の厚さは、40nm~150nmの範囲にあるが、任意選択で、ドープ導電層120の厚さは60nm~90nmの範囲にあり、ドープ導電層120の厚さ範囲は、ドープ導電層120の光学損失が小さく、トンネル誘電体層110の界面パッシベーション効果が良いことを確保でき、それによって電池効率を向上させることができる。本願実施例におけるドープ導電層の材料は、ポリシリコンであってもよい。
【0041】
幾つかの実施例では、ドープ導電層120のドーピングタイプは、ベース100のドーピングタイプと同じであり、ベース100のドーピングタイプがN型であり、ドープ導電層120のドーピングタイプがP型である場合、ベース100の多数キァリアは電子であり、ドープ導電層120の多数キァリアは正孔であり、両者の間は直接的に再結合アブレーションして、サブゲート電極150に収集されるキャリアが少なくなるため、ドープ導電層120のドーピングタイプをベース100のドーピングタイプと同じにして、サブゲート電極150に収集されるキャリアが少なくなることを回避できることが理解される。
【0042】
幾つかの実施例では、ベース100はN型ベースであり、ドープ導電層120はN型ポリシリコン層である。他の幾つかの実施例では、ベースはP型ベースであり、ドープ導電層はP型ポリシリコン層であってもよい。N型ベース及びN型ポリシリコン層は、高い光電変換効率を有し、P型ベース及びP型ポリシリコン層の形成プロセスは簡単であり、実際の状況に応じて選択できるが、本願実施例ではベース100及びドープ導電層120に制限はない。
【0043】
幾つかの実施例では、導電接続構造130及び突出部121は、共にドープ導電層120をエッチングして形成されており、ドープ導電層120の形状を設定した後、ドープ導電層120をエッチングすることにより、同一の工程で突起部121及び導電接続構造130を形成することができる。
【0044】
幾つかの実施例では、パッシベーション層140は反射防止膜層であってもよく、これにより、太陽電池の表面での反射光を低減させて太陽電池の光透過量を増加させることができ、パッシベーション層140は、単層構造または積層構造であってもよく、パッシベーション層140の材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸窒化炭化シリコン、酸化チタン、酸化ハフニウム、または酸化アルミニウムなどの材料の一種または複数種であってもよい。幾つかの実施例では、パッシベーション層140は、例えば、水素含有酸化シリコン、水素含有窒化シリコン、水素含有酸窒化シリコンなどの水素含有パッシベーション層である。
【0045】
幾つかの実施例では、サブゲート電極150は、太陽電池の電流を収集して集約するためのものである。サブゲート電極150は、ファイヤースルー型スラリーが焼結されてなるものであってもよい。サブゲート電極150の材料は、アルミニウム、銀、金、ニッケル、モリブデン、または銅のうちの一種または複数種であってもよい。場合によっては、サブゲート電極150は、メイングリッド線またはバスバーと区別するために、細いグリッド線またはフィンガーグリッド線を指す。
【0046】
図3~
図7を参照して、幾つかの実施例では、導電接続構造130は、複数であり、隣り合う導電接続構造130は、第1方向Xに沿って間隔を空けて分布し、および/または、第2方向Yに沿って間隔を空けて分布し、第1方向Xにおいて、隣り合う導電接続構造130間は、少なくとも一本のサブゲート電極150を有する。言い換えれば、複数の導電接続構造130は、第1方向Xに沿って間隔を空けて分布してもよいし、第2方向Yに沿って間隔を空けて分布してもよいし、第1方向Xに沿って間隔を空けて分布し且つ第2方向Yに沿って間隔を空けて分布してもよい。第1方向Xにおいて、隣り合う導電接続構造130の間に少なくとも一本のサブゲート電極150があり、隣り合う導電接続構造130の間に一本のサブゲート電極150がある場合、隣り合う2つの突出部同士の間に導電接続構造130があり、隣り合う導電接続構造130の間に複数本のサブゲート電極150がある場合、導電接続構造130は間隔分布であってもよく、例えば、第1方向において、1本目のサブゲート電極と2本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130があり、2本目のサブゲート電極と3本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130がなく、隣り合う導電接続構造130の間に少なくとも一本のサブゲート電極150が設けられることで、太陽電池の横方向輸送能力を向上させることができる。
【0047】
なお、上述の1本目のサブゲート電極、2本目のサブゲート電極、及び3本目のサブゲート電極は、説明の便宜上のものであり、サブゲート電極150を限定するものではない。
【0048】
図3及び
図4を参照して、幾つかの実施例では、隣り合う全てのサブゲート電極150間は導電接続構造130を有し、すなわち、2つのサブゲート電極150間は導電接続構造130を有しており、2つのサブゲート電極150の間に導電接続構造130を設けることにより、隣り合う突出部121間の横方向の輸送能力を向上させることができる。
【0049】
図6を参照して、幾つかの実施例では、一部の隣り合うサブゲート電極150の間に導電接続構造130が設けられ、一部の隣り合うサブゲート電極150の間に導電接続構造130が設けられておらず、第1方向において、導電接続構造130が規則正しく配置されていてもよい。例えば、1本目のサブゲート電極と2本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130があり、2本目のサブゲート電極と3本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130がなく、3本目のサブゲート電極と4本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130があり、順次類推する。あるいは、1本目のサブゲート電極と2本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130があり、2本目のサブゲート電極と3本目のサブゲート電極との間にも導電接続構造130があり、3本目のサブゲート電極と4本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130がなく、4本目のサブゲート電極と5本目のサブゲート電極との間に導電接続構造130があるなど、規則的な配列となっていてもよいし、導電接続構造130が規則的に配列されていなくてもよい。
【0050】
なお、上記の規則的な配列は、説明の便宜上の例示に過ぎず、他の規則的な配列であってもよい。
【0051】
図3を参照して、幾つかの実施例では、隣り合うサブゲート電極150の間に、複数の間隔分布した導電接続構造130を有し、すなわち、隣り合うサブゲート電極150の間に、第2方向に沿って間隔を空けて分布した複数の導電接続構造130を有しており、隣り合うサブゲート電極150の間に複数の導電接続構造130を設けることにより、隣り合うサブゲート電極150間の横方向の輸送能力を向上させることができ、隣り合うサブゲート電極150の間に導電接続構造130を一つだけ設けるのに比べて、複数の導電接続構造130を設けることによって強化された横方向の輸送能力も強くなる。
【0052】
幾つかの実施例では、第2方向Yに沿って、複数の間隔分布した導電接続構造130において、隣り合う導電接続構造130の間のピッチは等しく、ピッチが等しい導電接続構造130を設けることによって、形成過程におけるレーザアブレーション工程を容易にすることができ、すなわち、隣り合う導電接続構造間のピッチを調整する必要がなく、製造を容易にすることができる。
【0053】
幾つかの実施例では、第2方向において、隣り合う導電接続構造130の間のピッチは、0.01mm~20mmであり、例えば0.1mm、0.5mm、または10mmなどである。導電接続構造130の間のピッチが0.01mm未満であると、導電接続構造130の設置が密集しすぎてしまい、導電接続構造130の光吸収が深刻になり、太陽電池の光電変換効率の向上に寄与しなくなり、導電接続構造130の間のピッチが20mmを超えると、導電接続構造130の設置が少なくなりすぎてしまい、改善の効果が悪いことになる。他の幾つかの実施例では、隣り合う導電接続構造130の間のピッチは、他の数値であってもよく、実際の状況に応じて調整することができ、本願実施例は導電接続構造130の間のピッチを制限するものではない。
【0054】
図3、
図6および
図7を参照して、幾つかの実施例では、複数の導電接続構造130は、アレイ状に配列されており、第1方向Xに沿って配列された複数の導電接続構造130と、第2方向Yに沿って配列された複数の導電接続構造130とを複数列備え、すなわち、導電接続構造130は、第1方向Xおよび第2方向Yのいずれにも規則正しく配列されており、複数の導電接続構造130のアレイ配列により、太陽電池の横方向輸送能力を向上しつつ、複数の導電接続構造130を形成するプロセスの難度を低減することができる。
【0055】
一つの実施例では、複数列の第1方向Xに沿って配列された複数の導電接続構造130を4列とし、第1方向Xに沿って順に第1列の導電接続構造、第2列の導電接続構造、第3列の導電接続構造、及び第4列の導電接続構造であり、第1列の導電接続構造、第2列の導電接続構造、第3列の導電接続構造、及び第4列の導電接続構造の各導電接続構造は、第2方向において同じ行に配置されてもよい。他の幾つかの実施例では、第1列の導電接続構造と第2列の導電接続構造とは、同じ行に位置していなくてもよく、すなわち、第1列の導電接続構造と第2列の導電接続構造とは、第2方向において交互に配置されていてもよい。あるいは、一部の第1列の導電接続構造と一部の第2列の導電接続構造とは、同じ行に配置されており、本願は導電接続構造130を制限するものではなく、複数の導電接続構造130がアレイ状に配列されていることを満たせばよい。
【0056】
幾つかの実施例では、第2方向Yにおいて、導電接続構造130の幅は10μm~500μmであり、例えば50μm、80μm、または100μmなどである。導電接続構造130の幅が10μm未満であると、各導電接続構造130の横方向輸送能力が弱く、改善効果がよくない。導電接続構造130の幅が500μmを超えると、導電接続構造130自体は高い寄生吸光能力を有し、太陽電池の光電変換効率の向上に寄与しない可能性があることが理解される。他の幾つかの実施例では、導電接続構造130の幅は、他の寸法であってもよく、実際の状況に応じて調整することができる。
【0057】
幾つかの実施例では、導電接続構造130の上面は、突起部121の上面よりも低くまたは面一である。言い換えれば、ベース100の表面に垂直な方向において、導電接続構造130の厚さは、突出部121の厚さ以下となっており、導電接続構造130の上面が突出部121の上面よりも低いと、導電接続構造130の光吸収能力が低下し、太陽電池の光電変換効率を向上させるのに有利となる。導電接続構造130の上面が突起部121の上面と面一であると、太陽電池の製造過程を簡略化することができ、レーザアブレーションにより突起部121と導電接続構造130を同一の工程で形成することができる。他の幾つかの実施例では、導電接続構造の上面は、突出部の上面よりも高くてもよく、実際の状況に応じて調整することができる。
【0058】
幾つかの実施例では、ベース100の表面に垂直な方向において、導電接続構造130の高さは、突起部121の高さの0.5~1.2倍であってもよく、導電接続構造130の高さが突出部121の高さの0.5よりも低いと、導電接続構造130の厚さが薄いため、横方向輸送を改善する能力が弱く、改善が顕著ではない。導電接続構造130の高さが突起部121の高さの1.2倍よりも高いと、導電接続構造130の厚さが厚くなり、導電接続構造130の寄生吸光能力も強くなり、かえって太陽電池の光電変換効率に影響を及ぼす。
【0059】
幾つかの実施例では、第1方向Xに沿って延び、第1方向Xに沿って配列された複数のサブゲート電極150を電気的に接続するメインゲート電極160をさらに備える。メインゲート電極160を設けることにより、サブゲート電極150上に収集された電流を集め、太陽電池を導出することができる。
【0060】
幾つかの実施例では、導電接続構造130とメインゲート電極160とは間隔を隔てており、導電接続構造130とメインゲート電極160との間隔を設けることで、導電接続構造130によりメインゲート電極160を位置規制することができるため、後のメインゲート電極160の印刷を容易にすることができ、追加の位置決め処理を行うことなくメインゲート電極160の位置を特定でき、プロセス製造工程を容易にすることができることが理解される。
【0061】
幾つかの実施例では、隣り合うメインゲート電極160の間に、第1方向Xに沿って間隔分布した導電接続構造130が一列設けられてもよく、他の幾つかの実施例では、隣り合うメインゲート電極160の間に、第1方向Xに沿って間隔分布した導電接続構造130が複数列設けられてもよく、本願はメインゲート電極160間の導電接続構造130の数を制限するものではなく、実際の状況に応じて調整することができる。
【0062】
幾つかの実施例では、導電接続構造130のベース100上への投影と、メインゲート電極160のベース100上への投影とは、少なくとも部分的に重なっており、メインゲート電極160は、一般的に非焼結型であり、メインゲート電極160は、通常、サブゲート電極150上に収集された光生成キャリアを収集するためのものであり、すなわち、メインゲート電極160は、メインゲート電極160の底面に位置する構造を腐食することはないため、メインゲート電極160の底面に導電接続構造130を設けることにより、導電接続構造130に影響を与えることはなく、導電接続構造130の横方向の輸送能力に影響を与えることもなく、メインゲート電極160を設けて導電接続構造130の少なくとも一部を遮断することにより、導電接続構造130の寄生吸光能力を低減することができ、太陽電池の光電変換効率を向上させることができることが理解される。
【0063】
幾つかの実施例では、最も外側に位置するメインゲート電極160の外側に、第1方向Xに沿って配列された複数の導電接続構造130を少なくとも2列有するが、他の幾つかの実施例では、メインゲート電極の外側に、第1方向に沿って配列された複数の導電接続構造を設けなくてもよく、あるいは、メインゲート電極の外側に、第1方向に沿って配列された複数の導電接続構造を一列だけ設けてもよく、少なくとも2列の導電接続構造130を設けることにより、導電接続構造130の数を高め、太陽電池の横方向輸送能力を向上させることができる。
【0064】
幾つかの実施例では、太陽電池は、受光面で入射光を吸収する表面と、表面と対向する面である裏面とを有する。トンネル誘電体層110、ドープ導電層120、導電接続構造130、パッシベーション層140およびサブゲート電極150は、太陽電池の表面および裏面に設けられていてもよい。
【0065】
幾つかの実施例では、太陽電池の裏面におけるドープ導電層120のドーピングタイプは、ベース100のドーピングタイプと同じであり、太陽電池の表面におけるドープ導電層120のドーピングタイプは、ベース100のドーピングタイプとは逆であり、ベース100がN型のベースを例にとると、太陽電池の裏面におけるドープ導電層120のドーピングタイプはN型であり、太陽電池の表面におけるドープ導電層120のドーピングタイプはP型である。
【0066】
本願実施例は、ベース100表面にトンネル誘電体層110及びドープ導電層120を形成し、ドープ導電層120が突出部121を有し、ドープ導電層120に高さ差を形成することにより、サブゲート電極150とドープ導電層120との接触を確保しつつ、ドープ導電層120の寄生光吸収を低減させ、ドープ導電層120の突出部121間に導電接続構造130を設け、隣り合う2つの突出部121を導電接続構造130により接続することで、ドープ導電層120の横方向輸送能力を高めることができ、太陽電池の輸送レートを向上させることができる。
【0067】
これに応じて、本願実施例の他の態様では、受光した光エネルギーを電気エネルギーに変換して外部負荷に伝達するための光起電力モジュールを提供する。光起電力モジュールは、上記(例えば、
図1~
図4)のいずれかの太陽電池を複数接続してなる少なくとも1つのセルストリング10と、セルストリングの表面を覆うためのシーラントフィルム21と、シーラントフィルム21のセルストリングから離反した面を覆うためのカバープレート22とを備える。
【0068】
シーラントフィルム21は、EVAまたはPOEなどの有機シーラントフィルムであってもよく、シーラントフィルム21は、セルストリングの表面を覆ってセルストリングを封止して保護する。幾つかの実施例では、シーラントフィルム21は、セルストリングの表面の両側にそれぞれ覆われた上層シーラントフィルム及び下層シーラントフィルムを含んでいる。カバープレート22は、ガラスカバープレートまたはプラスチックカバープレートなど、セルストリングを保護するためのカバープレートであってもよく、カバープレート22は、シーラントフィルム21のセルストリングから離反した表面を覆っている。幾つかの実施例では、カバープレート22には、入射光の利用率を高めるための光トラップ構造が設けられている。光起電力モジュールは、高い電流収集能力と低いキャリア再結合率を有するため、高い光電変換効率を実現することができる。幾つかの実施例では、カバープレート22は、セルストリングの両側に位置する上部カバープレート及び下部カバープレートを含んでいる。
【0069】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願実施例の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願実施例の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことができるので、本願実施例の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。