(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037469
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】廃棄物処理設備及び廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/04 20060101AFI20240312BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
F23J15/04 ZAB
F23G5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142359
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松井 朗
(72)【発明者】
【氏名】島村 育幸
(72)【発明者】
【氏名】中原 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】玉置 将吾
【テーマコード(参考)】
3K065
3K070
【Fターム(参考)】
3K065AA02
3K065AA11
3K065AB01
3K065JA05
3K065JA15
3K070DA07
3K070DA37
3K070DA42
3K070DA50
3K070DA72
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で熱交換器の腐食を抑制することができる廃棄物処理設備を提供する。
【解決手段】廃棄物処理設備は、廃棄物を焼却する焼却炉と、焼却炉から排出される排ガスに含まれる塵を捕集する集塵装置と、集塵装置よりも排ガスの排ガス流通方向の下流側に設けられ、排ガスを浄化する洗煙処理を行う洗煙装置60と、集塵装置と洗煙装置60との間に設けられ、排ガスと熱交換気体との間で熱交換を行うことにより、排ガスの熱を回収する低温熱交換器50と、を備え、低温熱交換器50は、熱交換気体が流れる熱交換気体路と排ガスが流れる排ガス路とを仕切る複数の仕切り部材522と、仕切り部材522を洗浄液L1で洗浄する洗浄装置53と、を有し、仕切り部材522を洗浄した後の洗浄廃液L11が洗煙装置60へと導かれる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉から排出される排ガスに含まれる塵を捕集する集塵装置と、
前記集塵装置よりも前記排ガスの排ガス流通方向の下流側に設けられ、前記排ガスを浄化する洗煙処理を行う洗煙装置と、
前記集塵装置と前記洗煙装置との間に設けられ、前記排ガスと熱交換気体との間で熱交換を行うことにより、前記排ガスの熱を回収する低温熱交換器と、を備え、
前記低温熱交換器は、前記熱交換気体が流れる熱交換気体路と前記排ガスが流れる排ガス路とを仕切る複数の仕切り部材と、前記仕切り部材を洗浄液で洗浄する洗浄装置と、を有し、
前記仕切り部材を洗浄した後の洗浄廃液は、前記洗煙装置へと導かれる、廃棄物処理設備。
【請求項2】
前記低温熱交換器は、前記洗煙装置に接続され、前記排ガスが前記洗煙装置へ向けて排出される煙道を更に有し、
前記洗浄廃液は、前記煙道を介して前記洗煙装置へと導かれる、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
【請求項3】
前記低温熱交換器は、前記洗浄廃液を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留された前記洗浄廃液を移送するポンプと、を有し、
前記洗浄廃液は、前記ポンプによって前記洗煙装置へと導かれる、請求項1に記載の廃棄物処理設備。
【請求項4】
前記仕切り部材は、伝熱面が平担な平板状のプレート部材を含み、
前記排ガス路は、一対の前記プレート部材の間に形成され、
前記熱交換気体路は、互いに隣り合う前記排ガス路の間に形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の廃棄物処理設備。
【請求項5】
廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理設備における廃棄物処理方法であって、
前記焼却炉から排出される排ガスに含まれる塵を捕集する集塵ステップと、
集塵された前記排ガスと熱交換気体との間で熱交換を行うことにより、前記排ガスの熱を回収する熱回収ステップと、
熱回収された前記排ガスを浄化する洗煙ステップと、を含み、
前記熱回収ステップは、前記熱交換気体が流れる熱交換気体路と前記排ガスが流れる排ガス路とを仕切る仕切り部材を洗浄装置によって洗浄する洗浄ステップを含み、
前記洗浄ステップにおいて、前記仕切り部材を洗浄した後の洗浄廃液は、前記洗煙ステップを実行する洗煙装置へと導かれる、廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理設備及び廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却して処理する廃棄物処理設備の中には、排ガスと熱媒との間で熱交換を行う熱交換器を備えている設備がある(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に開示の加圧流動炉システムは、被処理物を燃焼する加圧流動炉と、加圧流動炉から排出された燃焼排ガスによって加圧流動炉に供給する燃焼ガスを加熱する空気予熱器と、加圧流動炉から排出された燃焼排ガス中の粉塵等を除去する集塵機と、燃焼排ガスによって駆動され加圧流動炉に燃焼空気を供給する過給機と、過給機から供給された燃焼排ガスによって白煙防止用空気を加熱する白煙防止用熱交換器と、燃焼排ガス内の不純物を除去する排煙処理装置とを備えている。白煙防止用熱交換器は、過給機のタービンから排出された燃焼排ガスと白煙防止ブロワから供給される白煙防止用空気とを間接的に熱交換することにより、白煙防止用空気を昇温し、燃焼排ガスを降温する。
【0004】
特許文献2に開示の設備は、ボイラ或いは塵芥焼却炉(以下、「焼却炉」という)と、空気予熱器と、高温熱交換器と、湿式排煙処理装置と、低温熱交換器とを備え、焼却炉で発生した燃焼ガスが流れるガスダクトにこの順で接続されている。低温熱交換器と高温熱交換器とは、押込送風機によって供給される空気が流れる空気ダクトで接続されている。燃焼ガスは、ガスダクトを通って、高温熱交換器に入り、低温熱交換器からの空気と熱交換を行う。高温熱交換器を出た燃焼ガスは、湿式排煙装置で脱硫もしくは脱硝されて、低温熱交換器に導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-15485号公報
【特許文献2】特開昭52―74133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に開示されるような排ガスと熱媒との間で熱交換を行う熱交換器では、排ガスと熱媒との伝熱面の温度が硫酸露点以下になる部分が存在する場合がある。熱交換器の伝熱面の温度が硫酸露点以下になる部分では、排ガス中のSOxに含まれる三酸化硫黄等が凝縮して熱交換器の伝熱面に付着する。この凝縮物が熱交換器の伝熱面に付着すると、熱交換器の伝熱面の腐食が問題となる。特に、廃棄物のように性状が安定しない被燃焼物を燃焼した場合に発生する排ガスは、様々な成分を含むため、様々な成分の凝縮物が伝熱面に付着し、熱交換器の伝熱面の腐食が発生する。このような現象は、排ガスの流通方向において集塵装置よりも下流側を流れる比較的低温の排ガスで発生しやすい。
【0007】
このような理由から、簡便な構成で熱交換器の腐食を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る廃棄物処理設備の特徴は、廃棄物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉から排出される排ガスに含まれる塵を捕集する集塵装置と、前記集塵装置よりも前記排ガスの排ガス流通方向の下流側に設けられ、前記排ガスを浄化する洗煙処理を行う洗煙装置と、前記集塵装置と前記洗煙装置との間に設けられ、前記排ガスと熱交換気体との間で熱交換を行うことにより、前記排ガスの熱を回収する低温熱交換器と、を備え、前記低温熱交換器は、前記熱交換気体が流れる熱交換気体路と前記排ガスが流れる排ガス路とを仕切る複数の仕切り部材と、前記仕切り部材を洗浄液で洗浄する洗浄装置と、を有し、前記仕切り部材を洗浄した後の洗浄廃液が前記洗煙装置へと導かれる点にある。
【0009】
本構成によれば、洗浄廃液が洗煙装置へと導かれるため、洗浄廃液を排水処理するための排水処理設備を別途設ける必要がなくなる。この洗浄廃液には、凝縮物が混入しているため、洗煙装置にて一括で処分することが可能となる。この結果、廃棄物処理設備の構成の複雑化を抑制することができる。
【0010】
また、本構成によれば、排ガスの流通方向において集塵装置よりも下流側に低温熱交換器が設けられるため、より低温の排ガスの熱エネルギを回収することができる。これにより、排ガスの熱を無駄なく回収することができ排ガスの熱回収率が向上する。しかも、低温熱交換器が仕切り部材を介して排ガスの熱により加熱される気体間熱交換を行うため、清浄な熱交換気体の温度を上昇させて発電等の様々な用途に用いることが可能となる。
【0011】
また、低温熱交換器における排ガスの熱回収では仕切り部材の伝熱面の温度が低下し、伝熱面の温度低下によって排ガスに含まれる成分の凝縮物が仕切り部材に付着しやすい。本構成によれば、仕切り部材に付着した凝縮物は、洗浄装置によって洗浄液で洗浄されることにより除去される。この洗浄装置は廃棄物処理設備に組み込まれているため、凝縮物が付着した仕切り部材を運転中に洗浄することが可能となり、仕切り部材に凝縮物が長時間付着し続ける事態を防止することができる。この結果、仕切り部材の酸腐食を抑制することができる。したがって、簡便な構成で熱交換器の腐食を抑制することができる。
【0012】
他の特徴として、前記低温熱交換器は、前記洗煙装置に接続され、前記排ガスが前記洗煙装置へ向けて排出される煙道を更に有し、前記洗浄廃液は、前記煙道を介して前記洗煙装置へと導かれてもよい。
【0013】
本構成によれば、洗浄廃液が、洗煙装置へ向けて排ガスが排出される煙道を利用して洗煙装置へ導かれるため、洗浄廃液を排水するための排水路を別途設ける必要がなくなり、廃棄物処理設備の構成の複雑化を抑制することができる。
【0014】
他の特徴として、前記低温熱交換器は、前記洗浄廃液を貯留するタンクと、前記タンクに貯留された前記洗浄廃液を移送するポンプと、を有し、前記洗浄廃液は、前記ポンプによって前記洗煙装置へと導かれてもよい。
【0015】
本構成によれば、タンクに貯留された洗浄廃液がポンプで移送されて洗煙装置へと導かれるため、低温熱交換器と洗煙装置との位置関係の制約が無くなり、廃棄物処理設備の設計の自由度が向上する。
【0016】
他の特徴として、前記仕切り部材は、伝熱面が平担な平板状のプレート部材を含み、前記排ガス路は、一対の前記プレート部材の間に形成され、前記熱交換気体路は、互いに隣り合う前記排ガス路の間に形成されていてもよい。
【0017】
本構成によれば、排ガスの熱と熱交換気体の熱とを平板状のプレート部材の平担な伝熱面で熱交換することができ、低温熱交換器の熱回収率を向上させることができる。また、洗浄液が円滑に流れ、洗浄液が伝熱面に均一に接触することができるため、洗浄効率を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る廃棄物処理方法の特徴は、廃棄物を焼却する焼却炉を備える廃棄物処理設備における廃棄物処理方法であって、前記焼却炉から排出される排ガスに含まれる塵を捕集する集塵ステップと、集塵された前記排ガスと熱交換気体との間で熱交換を行うことにより、前記排ガスの熱を回収する熱回収ステップと、熱回収された前記排ガスを浄化する洗煙ステップと、を含み、前記熱回収ステップは、前記熱交換気体が流れる熱交換気体路と前記排ガスが流れる排ガス路とを仕切る仕切り部材を洗浄装置によって洗浄する洗浄ステップを含み、前記洗浄ステップにおいて、前記仕切り部材を洗浄した後の洗浄液は、前記洗煙ステップを実行する洗煙装置へと導かれる点にある。
【0019】
本方法によれば、上述した廃棄物処理設備と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係る廃棄物処理設備の模式図である。
【
図2】実施形態に係る白煙防止予備熱交換器の構成を示す模式図である。
【
図3】実施形態に係る熱交換部及び洗浄部の構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係るプレート部材を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る洗浄部の構成を示す図である。
【
図6】実施形態に係る白煙防止予備熱交換器の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る白煙防止予備熱交換器と湿式洗煙装置との構成を示す図である。
【
図8】別実施形態に係る白煙防止予備熱交換器と湿式洗煙装置との構成を示す図である。
【
図9】別実施形態に係る白煙防止予備熱交換器と湿式洗煙装置との構成を示す図である。
【
図10】別実施形態に係る白煙防止予備熱交換器と湿式洗煙装置との構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る低温熱交換器としての白煙防止予備熱交換器を備える廃棄物処理設備及び廃棄物処理方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0022】
〔廃棄物処理設備の概要〕
図1に示すように、廃棄物処理設備100は、焼却炉10と、燃焼用空気供給装置20と、白煙防止主熱交換器30と、集塵装置40と、白煙防止予備熱交換器50(低温熱交換器の一例)と、湿式洗煙装置60と、発電設備70とを備える。
【0023】
また、廃棄物処理設備100は、焼却炉10で廃棄物を燃焼する際に発生する排ガスが流れる排ガス路R1(煙道の一例)を更に備える。焼却炉10と、燃焼用空気供給装置20と、白煙防止主熱交換器30と、集塵装置40と、白煙防止予備熱交換器50と、湿式洗煙装置60と、煙突(不図示)とは、排ガス路R1を介して接続する。以下では、排ガス路R1を流れる排ガスの流通方向を「排ガス流通方向D1」という。
【0024】
〔排ガス路〕
焼却炉10は、脱水汚泥等の廃棄物を焼却する。廃棄物を燃焼することにより発生した排ガスは、排ガス路R1を介して燃焼用空気供給装置20へ向けて排出される。排ガスには、塩化水素といった塩素化合物、硫黄酸化物等の腐食性物質が含まれる。本実施形態では、焼却炉10は、流動床式の焼却炉である。ただし、焼却炉10は、流動床式以外の焼却炉(例えばストーカ式焼却炉)であってもよい。
【0025】
燃焼用空気供給装置20は、焼却炉10で廃棄物を燃焼する際に利用される燃焼用空気を焼却炉10に供給する。燃焼用空気供給装置20は、排ガス流通方向D1において焼却炉10の下流側に設けられ、燃焼用空気供給装置20には、焼却炉10から排出される排ガスが導入される。
【0026】
燃焼用空気供給装置20は、燃焼用空気熱交換器21と、過給機22とを有する。なお、燃焼用空気供給装置20は、過給機22に代えて流動ブロアを有していてもよい。
【0027】
燃焼用空気熱交換器21は、焼却炉10から排出される排ガスと燃焼用空気との間で熱交換を行う。これにより、排ガスが冷却され、燃焼用空気が加熱される。燃焼用空気供給装置20によって加熱された燃焼用空気は、過給機22を介して焼却炉10に供給される。
【0028】
過給機22は、燃焼用空気熱交換器21へ圧縮した燃焼用空気を供給する。過給機22は、タービン221と、軸222と、圧縮機223とを含む。タービン221は、燃焼用空気熱交換器21で加熱された空気の圧力及び熱エネルギにより回転する。軸222は、タービン221の回転力を圧縮機223へ伝達する。圧縮機223は、軸222によって伝達された回転力を利用して燃焼用空気を圧縮する。圧縮機223によって圧縮された燃焼用空気は、燃焼用空気熱交換器21に導入される。
【0029】
白煙防止主熱交換器30は、排ガス流通方向D1において燃焼用空気供給装置20の下流側に設けられ、白煙防止主熱交換器30には、燃焼用空気供給装置20で熱交換が行われた後の排ガスが導入される。白煙防止主熱交換器30は、熱交換器の一種であって、多管式熱交換器又はプレート式熱交換器である。
【0030】
白煙防止主熱交換器30は、煙突から排出される排ガスが大気中で冷却されて白煙となることを防止するために設けられる。白煙防止主熱交換器30は、燃焼用空気供給装置20から導入された排ガスと空気(以下、「白煙防止空気」という)との間で熱交換を行う。これにより、排ガスが冷却され、白煙防止空気が加熱される。白煙防止空気は、廃棄物処理設備100が更に備えるブロアBから押し出されることにより導入される。なお、白煙防止空気が流れる経路(以下、「白煙防止空気経路R2」という)については後述する。
【0031】
集塵装置40は、排ガス流通方向D1において白煙防止主熱交換器30の下流側に設けられ、集塵装置40には、白煙防止主熱交換器30で熱交換が行われた後の排ガスが導入される。集塵装置40は、排ガスに含まれる塵を捕集する(集塵ステップ)。本実施形態では、集塵装置40は、バグフィルタで構成される。ただし、集塵装置40は、バグフィルタで構成されるものに限定されず、セラミックフィルタ等で構成されてもよい。
【0032】
白煙防止予備熱交換器50は、排ガス流通方向D1において集塵装置40の下流側に設けられ、白煙防止予備熱交換器50には、集塵装置40で集塵された後の排ガスが導入される。白煙防止予備熱交換器50は、熱交換器の一種であって、本実施形態ではプレート式熱交換器である。白煙防止予備熱交換器50がプレート式熱交換器であることにより広い伝熱面での熱交換が行われる。
【0033】
白煙防止予備熱交換器50は、煙突から排出される排ガスが大気中で冷却されて白煙となることを防止するために設けられる。白煙防止予備熱交換器50には、白煙防止主熱交換器30に導入される排ガスよりも低温の排ガスが導入される。このため、白煙防止予備熱交換器50を「低温熱交換器」といい、白煙防止主熱交換器30を「高温熱交換器」という場合がある。
【0034】
白煙防止予備熱交換器50は、導入された排ガスの熱エネルギを利用して白煙防止空気(熱交換気体の一例)を加熱する。詳しくは、白煙防止予備熱交換器50は、集塵装置40から導入された排ガス、すなわち、塵が除去された後の排ガスと白煙防止空気との間で熱交換を行う。これにより排ガスを冷却し(排ガスの熱を回収し)、白煙防止空気を加熱する(熱回収ステップ)。なお、白煙防止予備熱交換器50に導入される排ガスの温度は、160度以上250度以下である。白煙防止予備熱交換器50において熱交換を行うことにより、排ガスの温度は、50度以上150度以下まで低下する。
【0035】
湿式洗煙装置60は、排ガス流通方向D1において白煙防止予備熱交換器50の下流側に設けられ、湿式洗煙装置60には、白煙防止予備熱交換器50で熱交換が行われた後の排ガスが導入される。湿式洗煙装置60(洗煙装置の一例)は、排ガスを浄化する洗煙処理を行う(洗煙ステップ)。本実施形態において、湿式洗煙装置60は、湿式洗煙処理によって排ガスを浄化し、減湿冷却によって排ガス中の水分を除去する。排ガスの浄化では、薬剤を含む循環水が利用される。排ガスの減湿冷却では、冷却水が利用される。減湿冷却によって排ガス中の水分が除去されることにより、排ガスの量が削減される。浄化された排ガスは、煙突(不図示)へ向けて流れる。
【0036】
〔白煙防止空気経路〕
廃棄物処理設備100は、白煙防止空気が流れる白煙防止空気経路R2を更に備える。以下では、白煙防止空気経路R2を流れる白煙防止空気の流通方向を「空気流通方向D2」という。
【0037】
白煙防止空気経路R2は、白煙防止空気を送り出すブロアBと、白煙防止予備熱交換器50と、白煙防止主熱交換器30と、発電設備70と、煙突(不図示)とを接続する。
【0038】
白煙防止予備熱交換器50は、空気流通方向D2において、ブロアBの下流側に設けられ、白煙防止予備熱交換器50には、ブロアBから送り出された白煙防止空気が導入される。白煙防止予備熱交換器50に導入される白煙防止空気の温度は、外気温と同等であって、0度以上50度以下である。白煙防止空気は、排ガスとの間で熱交換を行うことにより、50度以上220度以下まで温度が上昇する。
【0039】
白煙防止主熱交換器30は、空気流通方向D2において、白煙防止予備熱交換器50よりも下流側に設けられ、白煙防止主熱交換器30には、白煙防止予備熱交換器50で熱交換が行われた後の白煙防止空気が導入される。白煙防止主熱交換器30に導入される白煙防止空気の温度は、50度以上220度以下(例えば125度前後)である。白煙防止空気は、白煙防止主熱交換器30において熱交換を行うことにより、220度以上550度以下まで温度が上昇する。白煙防止主熱交換器30の熱回収量は、白煙防止予備熱交換器50の熱回収量と同等又はそれ以上(例えば1以上5倍以下)となるように構成されることが好ましい。
【0040】
発電設備70は、空気流通方向D2において、白煙防止主熱交換器30よりも下流側に設けられ、発電設備70には、白煙防止主熱交換器30で熱交換が行われた(加熱)された後の白煙防止空気が導入される。発電設備70は、白煙防止主熱交換器30で加熱された後の白煙防止空気の熱エネルギを利用して発電を行う。
【0041】
発電設備70は、温水ボイラ71と、循環路72と、発電装置73とを有する。
【0042】
温水ボイラ71は、白煙防止空気の熱エネルギを利用して水を加熱する。加熱された水(温水)は、発電装置73に循環路72を介して導入される。
【0043】
循環路72は、温水ボイラ71と発電装置73とを接続し、温水ボイラ71と発電装置73との間で水を循環させる。
【0044】
発電装置73は、温水ボイラ71から循環路72を介して導入された水(温水)を熱源として発電を行う。発電に利用された後の水は、循環路72を介して温水ボイラ71に導入される。本実施形態において、発電装置73は、バイナリ発電装置である。
【0045】
温水ボイラ71で熱エネルギが回収された白煙防止空気は、排ガス路R1の湿式洗煙装置60よりも下流側に導入され、湿式洗煙装置60から排出された排ガスと合流する。排ガスと合流する白煙防止空気の温度は、100度以上200度以下である。
【0046】
湿式洗煙装置60から排出された排ガスは、白煙防止空気と合流することにより、加熱される。白煙防止空気によって加熱された排ガスは、煙突(不図示)から大気中に排出される。上述のように、排ガスは、白煙防止主熱交換器30及び白煙防止予備熱交換器50で段階的に冷却され、最終的に湿式洗煙装置60で冷却された後、発電設備70を通過した白煙防止空気によって煙突から排出される前に加熱される。煙突から排出される前の排ガスの水分含有率の低下と排ガスの高温化との効果によって、煙突から排出される排ガスが白煙となることが防止される。
【0047】
〔白煙防止予備熱交換器〕
図2に示すように、白煙防止予備熱交換器50は、ハウジング51、熱交換部52及び洗浄部53(洗浄装置の一例)を有する。熱交換部52と洗浄部53の一部とは、ハウジング51に収容される。
【0048】
〔熱交換部〕
熱交換部52は、排ガスと白煙防止空気との間で熱交換を行う熱交換ユニット521を含む。熱交換ユニット521は、複数のプレート部材522(仕切り部材の一例)を含む。
【0049】
〔プレート部材〕
図3に示すように、プレート部材522は、白煙防止予備熱交換器50の内部において、排ガスが流れる熱交換排ガス路R51(排ガス路の一例)と白煙防止空気が流れる熱交換空気路R52(熱交換気体路の一例)とを仕切る。白煙防止予備熱交換器50の内部では、複数の熱交換排ガス路R51と複数の熱交換空気路R52とがそれぞれ並列に形成され、熱交換排ガス路R51と熱交換空気路R52とが交互に設けられる。なお、熱交換排ガス路R51は、白煙防止予備熱交換器50の内部における排ガス路R1であり、熱交換空気路R52は、白煙防止予備熱交換器50の内部における白煙防止空気経路R2である。
【0050】
図3及び
図4に示すように、プレート部材522は、平板状であって主面522sを有する。複数のプレート部材522は、それぞれの主面522sが平行となるように離間して配置される。本実施形態では、主面522sは、平坦な面であるが、主面522sは、少なくとも一方に、溝、突起といった微小な凹凸が形成されていてもよい。
【0051】
熱交換排ガス路R51は、対向するプレート部材522の間に形成される。
図4に示すように、熱交換排ガス路R51は、例えば、対向するプレート部材522の一方の端部522e(以下、「第1端部522e」という)が溶接等によって接合されることにより形成される。なお、
図4に示す一点鎖線は、溶接部分を示す。以下、熱交換排ガス路R51を挟んで対向する2つのプレート部材522を「一対のプレート部材522t」という。
【0052】
図3に示すように、熱交換空気路R52は、互いに隣り合う熱交換排ガス路R51の間に形成される。熱交換空気路R52は、
図4に示すように、第1接合プレート522Aと、隣接する一対のプレート部材522tの第2接合プレート522Bとの第2端部522fが接合されることにより形成される。第2端部522fは、プレート部材522のうちの第1端部522eと直交する方向の端部であり、平面視(主面522sに沿う方向視)において隣り合う第1端部522eの間に形成されている。第1接合プレート522Aは、一対のプレート部材522tのうちの1つのプレート部材522である。第2接合プレート522Bは、第1接合プレート522Aに隣接する一対のプレート部材522tのうち熱交換空気路R52を介して第1接合プレート522Aに対向するプレート部材522である。
【0053】
熱交換排ガス路R51と熱交換空気路R52とはプレート部材522の主面522sに直交する方向から見たときに、主面522sを挟むように重複している。そのため、プレート部材522の主面522sは、熱交換排ガス路R51を流れる排ガスと熱交換空気路R52を流れる白煙防止空気とが熱交換を行うための伝熱面として機能する。
【0054】
プレート部材522は、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、ニッケル合金等を材料として選択することができる。ニッケル合金は、例えば、ハステロイ(登録商標)(ハステロイC-22、ハステロイC-276、ハステロイC-4、ハステロイC-22HS、ハステロイC-2000、ハステロイHYBRID-BC1、その他のハステロイ)、ALLOY(ALLOY22、ALLOY C-276)、インコネル(登録商標)(インコネル600、インコネル625、インコネル718)等を含む。ニッケル合金は、耐酸腐食性に優れるため、プレート部材522の材料として好適である。
【0055】
〔洗浄部〕
図3に示すように、洗浄部53は、プレート部材522を洗浄液L1で洗浄する(洗浄ステップ)。洗浄液L1は、プレート部材522に付着した付着物(凝縮物)を除去するための液体であって、本実施形態では、水(上水、工業用水、砂ろ過水、下水処理水等)である。なお、洗浄液L1は、水酸化ナトリウム等を含むアルカリ性の水溶液であってもよい。洗浄部53は、所定の間隔(予め設定された頻度)でプレート部材522を洗浄する。これにより、プレート部材522に付着した付着物が除去されて、プレート部材522の酸腐食を抑制することができる。
【0056】
図5に示すように、洗浄部53は、洗浄液供給部532及び洗浄ユニット533を含む。
【0057】
洗浄液供給部532には、洗浄液L1が供給される。洗浄液供給部532は、洗浄ユニット533と接続され、洗浄液L1を洗浄ユニット533に供給する。
【0058】
洗浄ユニット533は、ノズルパイプ535と、複数のノズル536と、制御バルブ537とを含む。ノズルパイプ535と複数のノズル536とは、ハウジング51の内部に設けられ、制御バルブ537は、ハウジング51の外部に設けられる。
【0059】
ノズルパイプ535は、制御バルブ537を介して洗浄液供給部532と接続され、洗浄液供給部532から洗浄液L1が供給される。
【0060】
図3に示すように、ノズルパイプ535は、プレート部材522の主面522sと直交する方向に延在し、その延在方向に沿って複数のノズル536が設けられる。
【0061】
ノズル536は、洗浄液L1を噴射する。本実施形態において、ノズル536は、洗浄液L1を高圧で噴射する。ただし、ノズル536は、洗浄液L1を低圧で噴射するノズルであってもよい。
【0062】
制御バルブ537は、ノズルパイプ535を流れる洗浄液L1の流量を制御する。制御バルブ537がノズルパイプ535を流れる洗浄液L1の流量を制御することにより、ノズル536からプレート部材522へ供給される洗浄液L1の量(以下、「供給量」という)が制御される。本実施形態では、制御バルブ537は、弁開度を全開と全閉との間の所定の開度に調整可能な手動弁と、タイマー動作によってON(全開)/OFF(全閉)切り替わる電磁弁との組み合わせで構成される。
【0063】
ここで、供給量とは、熱交換ユニット521に対して、その熱交換ユニット521に対応する洗浄ユニット533を構成する複数のノズル536から、単位時間当たり(例えば24時間)に供給される洗浄液L1の量である。具体的には、供給量は、洗浄ユニット533を構成するノズル536の数量と、1つのノズル536から1回に噴射される洗浄液L1の噴射量(L/個)と、単位時間当たり(例えば24時間)にノズル536が洗浄液L1を噴射する頻度(以下、「噴射頻度」という)とを乗算して得た値に基づいて求められる。なお、噴射量(L/個)は、1つのノズル536から単位時間当たりに噴射される洗浄液L1の量(L/min・個)と、1つのノズル536の1回の噴射時間(min)とを乗算することにより求められる。
【0064】
噴射頻度、噴射量、噴射時間等の噴射条件(供給量)は、予め定められた一定条件であってもよいが、
図6に示すように、白煙防止予備熱交換器50が更に備える制御装置55によって設定されてもよい。
【0065】
制御装置55は、洗浄部53(制御バルブ537)の動作を制御する。制御装置55は、例えば、シーケンサ(Programmable Logic Controller)、又は、DCS(distributed control system)の一部で構成される。あるいは、制御装置55は、洗浄時間などの時間を計測するハードタイマーで構成されてもよい。なお、制御装置55は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)等の半導体メモリで構成される記憶領域を含んでもよい。記憶領域には、洗浄部53の動作を制御するための制御プログラムが記憶されてもよい。
【0066】
〔洗浄液〕
図7に示すように、プレート部材522を洗浄した後の洗浄液L1(以下、「洗浄廃液L11」という)は、湿式洗煙装置60へと導かれる。本実施形態では、洗浄廃液L11は、排ガス路R15を介して湿式洗煙装置60へと導かれる。なお、排ガス路R15は、白煙防止予備熱交換器50と湿式洗煙装置60とを接続する排ガス路R1である(
図1参照)。排ガス路R15は、湿式洗煙装置60側ほど下方になるように傾斜している。
【0067】
湿式洗煙装置60は、第1洗煙洗浄液供給部61(冷却水ライン)と、第2洗煙洗浄液供給部62(循環水ライン)と、ハウジング63と、散布装置64と、排水タンク65と中和剤導入部66と、廃液排水部67と、排水槽68とを有する。本実施形態において、散布装置64は、第1散布部641と第2散布部642とを含む。
【0068】
第1洗煙洗浄液供給部61は、洗浄液Lを貯留する洗浄液タンク611を有する。洗浄液タンク611には洗浄液Lが貯留される。洗浄液Lは、下水処理水等の水である。
【0069】
本実施形態において、洗浄液タンク611に貯留された洗浄液Lは、白煙防止予備熱交換器50及び湿式洗煙装置60に供給される。なお、洗浄液Lのうちの白煙防止予備熱交換器50に供給される液体は洗浄液L1に相当し、湿式洗煙装置60に供給される液体は洗煙洗浄液L2に相当する。
図7に示す構成では、洗浄液供給部532は、洗浄液タンク611から洗浄液L1を移送する供給ポンプ532aと、供給ポンプ532aによって移送された洗浄液L1が流れ、ノズルパイプ535に洗浄液L1を供給する洗浄液供給路532bとを含み、洗浄液タンク611に貯留された洗浄液Lは、供給ポンプ532aによって洗浄液L1として洗浄液供給路532bへ移送される。
【0070】
第1洗煙洗浄液供給部61は、洗浄液タンク611に貯留された洗浄液Lを洗煙洗浄液L2として移送する第1洗煙ポンプ612と、第1洗煙ポンプ612によって移送された洗煙洗浄液L2が流れる第1洗煙洗浄液供給路613とを更に含む。なお、第1洗煙洗浄液供給部61は、第1洗煙洗浄液供給路613を流れる洗煙洗浄液L2の流量を調整するバルブを含んでもよい。
【0071】
第1洗煙洗浄液供給路613は、散布装置64の第1散布部641と接続され、第1洗煙洗浄液供給路613を流通した洗煙洗浄液L2は、第1散布部641に供給される。第1散布部641は、排ガスを減湿冷却するために、第1洗煙洗浄液供給部61から供給される洗煙洗浄液L2をハウジング63内に散布する。
【0072】
第1洗煙洗浄液供給部61は、散布した後の洗煙洗浄液L2(以下、「散布後洗煙洗浄液L21」という)を排水する第1洗煙洗浄液排水部614を更に含む。散布後洗煙洗浄液L21は、第1洗煙洗浄液排水部614によって排水タンク65に導かれる。排水タンク65には、白煙防止予備熱交換器50から排ガス路R15を介して洗浄廃液L11が導入されており、洗浄廃液L11と散布後洗煙洗浄液L21とが排水タンク65で合流する。
【0073】
中和剤導入部66は、排水タンク65に水酸化ナトリウム等の中和剤を導入する。排水タンク65に中和剤が導入されることにより、排水タンク65に導入された洗浄廃液L11及び散布後洗煙洗浄液L21が中和される。
【0074】
中和された洗浄廃液L11及び散布後洗煙洗浄液L21の一部は、廃液排水部67によって排水槽68へ排出される。また、中和された洗浄廃液L11及び散布後洗煙洗浄液L21の残部は、洗煙洗浄液L2として再利用することができる。
【0075】
第2洗煙洗浄液供給部62は、排水タンク65と散布装置64(第2散布部642)との間で洗煙洗浄液L2を循環させる。第2洗煙洗浄液供給部62は、排水タンク65において中和された洗浄液Lを洗煙洗浄液L2として移送する第2洗煙ポンプ621と、第2洗煙ポンプ621によって移送された洗煙洗浄液L2が流通する第2洗煙洗浄液供給路622とを含む。なお、第2洗煙洗浄液供給部62は、第2洗煙洗浄液供給路622を流れる洗煙洗浄液L2の流量を調整するバルブを含んでもよい。第2洗煙洗浄液供給路622は、散布装置64の第2散布部642と接続され、第2洗煙洗浄液供給路622を流通した洗煙洗浄液L2は、第2散布部642に供給される。
【0076】
第2散布部642は、第2洗煙洗浄液供給部62から供給される洗煙洗浄液L2をハウジング63内に散布する。これにより、ハウジング63内の排ガスが浄化される。第2洗煙洗浄液供給部62は、散布した後の洗煙洗浄液L2(散布後洗煙洗浄液L21)を排水する第2洗煙洗浄液排水部623を更に含む。散布後洗煙洗浄液L21は、第2洗煙洗浄液排水部623によって排水タンク65へ導かれる。
【0077】
〔実施形態の作用効果〕
以上説明したように、本実施形態によれば、排ガス流通方向D1において集塵装置40よりも下流側に白煙防止予備熱交換器50が設けられるため、より低温の排ガスの熱エネルギを回収することができる。これにより、排ガスの熱を無駄なく回収することができ排ガスの熱回収率が向上する。しかも、白煙防止予備熱交換器50がプレート部材522を介して排ガスと白煙防止空気との間で気体間熱交換を行うため、清浄な白煙防止空気の温度を上昇させて発電等の様々な用途に用いることが可能となる。
【0078】
また、排ガスの熱回収ではプレート部材522の伝熱面(主面522s)の温度が低下し、伝熱面の温度低下によって排ガスに含まれる成分の凝縮物がプレート部材522に付着しやすい。本実施形態によれば、プレート部材522に付着した凝縮物は、洗浄部53によって洗浄液L1で洗浄されることにより除去される。この洗浄部53は廃棄物処理設備100に組み込まれているため、凝縮物が付着したプレート部材522を運転中に洗浄することが可能となり、プレート部材522に凝縮物が長時間付着し続ける事態を防止することができる。この結果、プレート部材522の酸腐食を抑制することができる。
【0079】
更に、洗浄廃液L11は、湿式洗煙装置60へと導かれる。このため、洗浄廃液L11を排水処理するための排水処理設備を別途設ける必要がなくなり、廃棄物処理設備100の構成の複雑化を抑制することができる。
【0080】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成してもよい(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0081】
(1)
図8に示すように、白煙防止予備熱交換器50は、洗浄廃液L11を貯留する廃液タンク538と、廃液タンク538に貯留された洗浄廃液L11を排水タンク65へ導入する洗浄廃液排水部539とを更に有してもよい。洗浄廃液排水部539は、廃液タンク538に貯留された洗浄廃液L11を移送する排水ポンプ539aと、排水ポンプ539aによって移送された洗浄廃液L11を排水タンク65へ導く廃液排水路539bとを含む。この場合、廃液排水路539bは湿式洗煙装置60の底部に設けられた排水タンク65と接続されることから、排水ポンプ539aによって移送された洗浄廃液L11が湿式洗煙装置60に導かれることとなる。
【0082】
(2)あるいは、
図9に示すように、白煙防止予備熱交換器50は、水酸化ナトリウム等の中和剤を廃液タンク538に導入して洗浄廃液L11を中和する中和剤導入部530を更に有してもよい。廃液タンク538で中和された洗浄廃液L11は、排水タンク65から散布後洗煙洗浄液L21を排出する廃液排水部67によって排水槽68へ排出される。この場合、廃液排水路539bは湿式洗煙装置60の排水槽68と合流することから、排水ポンプ539aによって移送された洗浄廃液L11が湿式洗煙装置60に導かれることとなる。
【0083】
図8及び
図9の構成では、廃液タンク538に貯留された洗浄廃液L11が排水ポンプ539aで移送されて湿式洗煙装置60へと導かれるため、白煙防止予備熱交換器50と湿式洗煙装置60との位置関係の制約が無くなり、廃棄物処理設備100の設計の自由度が向上する。
【0084】
(3)また、
図10に示すように、湿式洗煙装置60の第1洗煙洗浄液供給路613は、第1主流通路615と、第1主流通路615から分岐する第1分岐流通路616とを更に含んでもよい。第1分岐流通路616には、第1主流通路615から分岐された洗煙洗浄液L2が洗浄液L1として流れる。第1分岐流通路616は、白煙防止予備熱交換器50の洗浄部53の洗浄液供給部532に接続される。第1主流通路615から分岐された洗煙洗浄液L2、すなわち、洗浄液L1は、第1分岐流通路616及び洗浄液供給路532bを介してノズルパイプ535に供給される。換言すると、本実施形態では、洗浄部53の洗浄に使用される洗浄液L1は、湿式洗煙装置60から洗浄部53へ供給された洗煙洗浄液L2を含み、その洗煙洗浄液L2は、第1主流通路615から分岐されて洗浄部53へ供給される。なお、第1主流通路615から分岐された洗煙洗浄液L2、すなわち、洗浄液L1は、洗浄液供給部532の洗浄液供給路532bを介さずに、第1分岐流通路616からノズルパイプ535に直接供給されてもよい。
【0085】
(4)なお、
図10の構成において、洗浄液供給部532は、
図7を参照して説明したように洗浄液タンク611から洗浄液L1を移送する供給ポンプ532a(
図7参照)を更に含んでもよい。また、
図10に示す構成は、
図8及び
図9を参照して説明した構成と組み合わせてもよい。具体的には、
図8及び
図9に示す第1洗煙洗浄液供給路613が、
図10に示す第1主流通路615と、第1主流通路615から分岐する第1分岐流通路616とを更に含み、第1主流通路615から分岐された洗煙洗浄液L2は、第1分岐流通路616を介して洗浄部53の洗浄液供給路532b又はノズルパイプ535に供給され、洗浄液L1として使用されてもよい。
【0086】
(5)また、湿式洗煙装置60の排水タンク65へ導かれた洗浄液L1は、散布装置64で散布された後(排ガスを浄化した後)の散布後洗煙洗浄液L21の中和に利用されてもよい。
【0087】
(6)本実施形態では、白煙防止予備熱交換器50が直交流式のプレート式の熱交換器である場合を例に説明したが、白煙防止予備熱交換器50は、対向流、並行流等のプレート式の熱交換器であってもよい。また、白煙防止予備熱交換器50における排ガスの導入口50a、排ガスの排出口50b、白煙防止空気の導入口50c及び白煙防止空気の排出口50d(
図2参照)は、実施形態で説明した内容に限定されず、適宜変更可能である。この場合、白煙防止予備熱交換器50における排ガス及び白煙防止空気の流通方向は適宜変更され得る。
【0088】
(7)本実施形態において、白煙防止主熱交換器30が1つである場合を説明したが、白煙防止主熱交換器30は、複数で構成されてもよい。
【0089】
(8)本実施形態では、白煙防止主熱交換器30及び白煙防止予備熱交換器50が白煙を防止するために白煙防止空気を加熱する構成を例に説明したが、白煙防止主熱交換器30及び白煙防止予備熱交換器50は、単に排ガスから熱を回収するために設けられる熱交換器であってもよい。
【0090】
(9)本実施形態では、集塵装置40が排ガス流通方向D1において白煙防止主熱交換器30の下流側に設けられたが、集塵装置40は、白煙防止主熱交換器30よりも排ガス流通方向D1の上流側に設けられてもよい。
【0091】
(10)本実施形態では、熱交換ユニット521が1つである場合を説明したが、熱交換ユニット521は、2つ以上であってもよい。熱交換ユニット521が2つ以上の場合、洗浄ユニット533は、熱交換ユニット521の数に応じて設けられる。
【0092】
(11)洗浄ユニット533が含むノズルパイプ535の数は任意に変更可能である。また、ノズルパイプ535に設けられるノズル536の数も任意に変更可能である。また、1つの制御バルブ537に接続されるノズルパイプ535の数も任意に変更可能である。
【0093】
(12)本実施形態では、制御バルブ537が手動弁と電磁弁との組み合わせである場合を説明したが、制御バルブ537は、弁開度を制御可能な弁であればよい。
【0094】
(13)本実施形態では、ノズル536の噴射条件(洗浄条件)が制御装置55によって設定される場合を説明したが、噴射条件は、人為的に設定されてもよい。例えば、1年、半年といった定期的に実施される定期点検において、技術者が、プレート部材522の腐食の進行度合い等に基づいてノズル536の噴射条件を設定してもよい。なお、噴射条件は、技術者に限定されず、作業員、運転員等によって設定されてもよい。
【0095】
(14)本実施形態では、仕切り部材としての平板状のプレート部材522を例に説明したが、平板状のプレート部材522に代えて、凹凸状に屈曲された板材等、屈曲部を有する板材であってもよい。
【0096】
(15)本実施形態では、洗浄部53は、複数のノズル536から洗浄液L1を噴射することにより、プレート部材522を洗浄液L1で洗浄したが、洗浄部53がプレート部材522を洗浄する方法はこれに限定されない。例えば、洗浄部53は、パイプに設けられた穴から洗浄液L1を滴下することにより、プレート部材522を洗浄してもよい。
【0097】
(16)本実施形態では、一対のプレート部材522tは、互いに対向する主面522sが平行となるように離間して並列に設けられたが、一対のプレート部材522の互いに対向する主面522sは、排ガス流通方向D1の下流側ほど接近するように傾斜して設けられてもよい。これにより、例えば、互いに対向する主面522sの排ガス流通方向D1の下流側において洗浄液L1が滞留し、結果、主面522sに付着した付着物をより確実に除去することができる。
【0098】
(17)本実施形態では、発電設備70が温水ボイラ71と、循環路72と、発電装置73とを有する場合を例に説明したが、発電設備70は、蒸気ボイラ、給水ポンプ、給水タンク等で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、廃棄物処理設備及び廃棄物処理方法に利用できる。
【符号の説明】
【0100】
10 :焼却炉
40 :集塵装置
50 :白煙防止予備熱交換器(低温熱交換器)
53 :洗浄部(洗浄装置)
60 :洗煙装置(湿式洗煙装置)
100 :廃棄物処理設備
522 :プレート部材(仕切り部材)
538 :廃液タンク(タンク)
539a :排水ポンプ(ポンプ)
D1 :排ガス流通方向
L1 :洗浄液
L11 :洗浄廃液
R15 :排ガス路(煙道)
R51 :熱交換排ガス路(排ガス路)
R52 :交換器空気路(熱交換気体路)