(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037472
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 27/20 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
A41D27/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142365
(22)【出願日】2022-09-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 日本赤十字社 和歌山医療センター 開示日:令和4年6月29日 [刊行物等] 社会医療法人新潟臨港保健会 新潟臨港病院 開示日:令和4年7月8日
(71)【出願人】
【識別番号】507185956
【氏名又は名称】株式会社タップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】貞森 結花
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 邦章
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA17
3B035AB09
3B035AB15
(57)【要約】
【課題】着用感及び耐久性に優れる衣服を提供する。
【解決手段】衣服10Aは、衣服本体12Aと、ポケット14Aと、を備える。ポケット14Aは、底辺54と、開口部56を有する上辺58と、底辺54と上辺58との両端をそれぞれ接続する第1側辺60及び第2側辺62と、を有する袋状である。ポケット14Aは、上辺58の両側部を衣服本体12Aに接合する上端接合部64と、底辺54より上側から上辺58までの間で上辺に沿って延びる第1接合部66と、第1接合部66に交差する方向に延びる少なくとも一つの第2接合部68とによって、衣服本体12Bの外側表面に接合されている。底辺54から第1接合部66までの範囲を含み、かつ第1側辺60と第2側辺62とを除く、マチ形成領域74Aを有する。マチ形成領域74Aは、衣服本体12Aに接合されていない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服本体と、
ポケットと、を備え、
前記ポケットは、
底辺と、開口部を有する上辺と、前記底辺と前記上辺との両端をそれぞれ接続する第1側辺及び第2側辺と、を有する袋状であり、
前記上辺の両側部を前記衣服本体に接合する上端接合部と、前記底辺より上側から前記上辺までの間で前記上辺に沿って延びる第1接合部と、前記第1接合部に交差する方向に延びる少なくとも一つの第2接合部とによって、前記衣服本体の外側表面に接合されており、
前記底辺から前記第1接合部までの範囲を含み、かつ前記第1側辺と前記第2側辺とを除く、マチ形成領域を有し、
前記マチ形成領域は、前記衣服本体に接合されていない、衣服。
【請求項2】
前記衣服本体は、裾に、上下方向に延びる切り込みを有し、
前記ポケットは、前記切り込みの少なくとも一部を跨ぐように配置され、
前記切り込みの上端は、前記底辺より上側まで延びている、請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記衣服本体は、縫い代を有し、
前記ポケットは、前記第1側辺が前記縫い代に挟み込まれて、前記衣服本体に縫い付けられている、請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項4】
前記衣服は、前記第2接合部を2つ有し、それぞれが、前記第1側辺と前記第2側辺に沿って、前記ポケットを前記衣服本体の外側表面に接合している、請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項5】
前記第2接合部は、前記第1側辺に沿って、前記ポケットを前記衣服本体の表面に固定しており、
前記衣服本体と前記ポケットは、前記第1接合部と前記底辺との間の前記第2側辺に沿った位置に、前記ポケットを前記衣服本体に対し分離可能に締結する締結部を有する、請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項6】
前記締結部は、前記ポケットの前記第2側辺と前記底辺とが交差する位置に設けられている、請求項5に記載の衣服。
【請求項7】
前記締結部と前記第1接合部との間の前記第2側辺に沿った位置に、前記ポケットを前記衣服本体に対し分離可能に締結する第2締結部を有する、請求項6に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
ポケットを備えた衣服として、第1収容部を形成するための第1収容部形成用端部が衣服に直接又は間接的に取り付けられ、かつ下端部が開放された第1仕切体と、第2収容部を形成するための第2収容部形成用端部が前記第1収容部形成用端部よりも内側で第1仕切体に直接又は間接的に取り付けられ、かつ下端部が開放された第2仕切体と、第1仕切体および第2仕切体の双方の下端部を少なくとも覆うように配置された被覆体と、を備え、被覆体は、その左右端部が第1収容部形成用端部と重なる位置または第1収容部形成用端部よりも外側で衣服に直接または間接的に取り付けられると共に、その下端部が第1仕切体および第2仕切体の双方の下端部よりも下方において衣服表面に取り付けられている、ポケット構造を備えた衣服が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のポケット構造は、被覆体がその外縁において衣服表面に縫い付けられているため、ポケット内に厚みのあるものを入れた場合、ポケットが膨らむと共に被覆体が衣服を外側へ引っ張る。外側へ引っ張る力の反作用として衣服を着用した着用者に対し内側へ押す方向の力が作用する。当該力は、衣服の着用者に違和感を与え、外側へ引っ張られた衣服が着用者の動作を制限するので、結果として着用感を低下させる、という問題を生じ得る。
【0005】
一方、例えばポケットを袋状にし、ポケットの上端のみを衣服に接合した場合、ポケットが変形しやすいので着用感の向上が期待できるものの、ポケットの上端に力が集中するため、ポケットが衣服から脱落しやすい、という問題がある。
【0006】
本発明は、着用感及び耐久性に優れる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の衣服は次の通りである。
【0008】
衣服本体と、ポケットと、を備え、前記ポケットは、底辺と、開口部を有する上辺と、前記底辺と前記上辺との両端をそれぞれ接続する第1側辺及び第2側辺と、を有する袋状であり、前記上辺の両側部を前記衣服本体に接合する上端接合部と、前記底辺より上側から前記上辺までの間で前記上辺に沿って延びる第1接合部と、前記第1接合部に交差する方向に延びる少なくとも一つの第2接合部とによって、前記衣服本体の外側表面に接合されており、前記底辺から前記第1接合部までの範囲を含み、かつ前記第1側辺と前記第2側辺とを除く、マチ形成領域を有し、前記マチ形成領域は、前記衣服本体に接合されていない、衣服。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、着用感及び耐久性に優れる衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】第1実施形態に係る衣服を示す正面図である。
【
図1B】第1実施形態に係る衣服を示す背面図である。
【
図2】第1実施形態に係る衣服の右側面を示す部分拡大図である。
【
図3】
図2におけるIII―III線に沿った端面図である。
【
図4】
図2におけるIII―III線に沿った端面図であって、使用状態を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る衣服の右側面を示す部分拡大図であって、使用状態を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る衣服の右側面を示す部分拡大図である。
【
図7】
図6におけるVII―VII線に沿った端面図である。
【
図8】第2実施形態に係る衣服の右側面を示す部分拡大図であって、使用状態を示す図である。
【
図9】本発明の変形例(1)に係る衣服の右側面を示す部分拡大図であって、使用状態を示す図である。
【
図10】本発明の変形例(2)に係る衣服の右側面を示す部分拡大図である。
【
図11】本発明の変形例(3)に係る衣服の、
図2におけるIII-III線に沿った端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[態様1]
衣服本体と、
ポケットと、を備え、
前記ポケットは、
底辺と、開口部を有する上辺と、前記底辺と前記上辺との両端をそれぞれ接続する第1側辺及び第2側辺と、を有する袋状であり、
前記上辺の両側部を前記衣服本体に接合する上端接合部と、前記底辺より上側から前記上辺までの間で前記上辺に沿って延びる第1接合部と、前記第1接合部に交差する方向に延びる少なくとも一つの第2接合部とによって、前記衣服本体の外側表面に接合されており、
前記底辺から前記第1接合部までの範囲を含み、かつ前記第1側辺と前記第2側辺とを除く、マチ形成領域を有し、
前記マチ形成領域は、前記衣服本体に接合されていない、衣服。
【0012】
ポケットは、物品を上辺の開口部から受け入れ、内部へ収納し得る。物品が収納されたポケットは、物品の形状に合わせて変形する。ポケットは、底辺を含み、かつ第1側辺と第2側辺とを除くマチ形成領域が、衣服本体に接合されていないので、ポケットの底辺が厚さ方向の外側に広がる。物品が厚みのあるもの、例えば、消毒液を収容したボトルなどの場合、ポケットは、マチ形成領域を中心に大きく変形する。衣服は、マチ形成領域が厚み方向の外側に広がることによって、ポケットが衣服本体を外側へ引っ張る力が緩和され、ポケットから衣服を着用した着用者に作用する力が抑制される。すなわち、衣服は、着用者に与える違和感を抑制し、着用者の動作が制限されることを抑制する。
【0013】
ポケットは、上端接合部に加え、上辺に沿って延びる第1接合部と、第1接合部に交差する方向に延びる少なくとも一つの第2接合部とによって、衣服本体に接合されているので、衣服本体に沿った位置を維持できる。すなわち、ポケットは、着用時において着用者の動作によってポケットに力が作用した場合でも、衣服本体に沿った位置を維持できる。例えば、ポケットは、容器などを収納した状態で着用者が動作した場合や、洗濯時において水流や他の衣類と接触した場合に、力が第1接合部及び第2接合部に分散するので、第1接合部及び第2接合部に作用する力を緩和できる。
したがって衣服は、着用感及び耐久性に優れる。
【0014】
[態様2]
前記衣服本体は、裾に、上下方向に延びる切り込みを有し、
前記ポケットは、前記切り込みの少なくとも一部を跨ぐように配置され、
前記切り込みの上端は、前記底辺より上側まで延びている、態様1に記載の衣服。
【0015】
衣服は、衣服本体の裾に設けられた切り込みが着用者の動作に合わせて開くので、着用者の動作の自由度に優れる。しかも切り込みは、ポケットの底辺より上側まで延びているので、ポケットの位置に制限されず、より大きく形成できる。したがって、衣服は、ポケットに厚みのあるものを入れた場合に、切り込みが開くことによって着用者の動作の自由度により優れる。また、衣服は、切り込みの上方の一部がポケットで覆われているので、大きく開いた切り込みから衣服の内部が露出することを抑制できるので、着用者に安心感を与え、結果として着用感に優れる。
【0016】
[態様3]
前記衣服本体は、縫い代を有し、
前記ポケットは、前記第1側辺が前記縫い代に挟み込まれて、前記衣服本体に縫い付けられている、態様1又は2に記載の衣服。
ポケットは、第1側辺が衣服本体の縫い代に挟み込まれて、衣服本体に縫い付けられているので、衣服本体の外側表面に露出しない。これにより、第1側辺は、外観に影響を与えずに返し縫などの補強をすることができると共に、着用時に着用者の手に触れないので破損を抑制できる。したがって、衣服は、ポケットの第1側辺を補強できると共に、第1側辺を起点とする破損を抑制できるので、耐久性に優れる。
【0017】
[態様4]
前記衣服は、前記第2接合部を2つ有し、それぞれが、前記第1側辺と前記第2側辺に沿って、前記ポケットを前記衣服本体の外側表面に接合している、態様1~3のいずれか1つに記載の衣服。
ポケットは、2つの第2接合部によって、第1側辺と第2側辺に沿って衣服本体の表面に固定されているので、衣服本体に沿った位置をより確実に維持できる。したがって、衣服は、耐久性に優れる。
【0018】
[態様5]
前記第2接合部は、前記第1側辺に沿って、前記ポケットを前記衣服本体の表面に固定しており、
前記衣服本体と前記ポケットは、前記第1接合部と前記底辺との間の前記第2側辺に沿った位置に、前記ポケットを前記衣服本体に対し分離可能に締結する締結部を有する、態様1~4のいずれか1つに記載の衣服。
【0019】
衣服は、第1側辺に沿って、ポケットを衣服本体の表面に固定しているので、耐久性に優れる。ポケットは、第1接合部と底辺との間の第2側辺に沿った位置に設けられた締結部によって、衣服本体に対し締結することによって、第1接合部から締結部までの範囲でポケットを衣服本体に沿った位置に維持できるので、例えば、洗濯する際にポケットに余計な力が作用することを防いで、破損を抑制できる。また、ポケットは、締結部を解除し、第2側辺を衣服本体から分離することによって、より変形しやすくなるので、より大きいものを収納した場合の着用感に優れる。
【0020】
[態様6]
前記締結部は、前記ポケットの前記第2側辺と前記底辺とが交差する位置に設けられている、態様5に記載の衣服。
ポケットは、第2側辺と底辺とが交差する位置において衣服本体に締結されることによって、第2側辺の下方の端部が衣服本体の表面に固定されるので、洗濯する際の変形をより抑制できる。したがって、衣服は、耐久性により優れる。また、衣服は、締結部を解除した場合、ポケット本体がより変形しやすくなるので、より大きいものを収納した場合の着用感に優れる。
【0021】
[態様7]
前記締結部と前記第1接合部との間の前記第2側辺に沿った位置に、前記ポケットを前記衣服本体に対し分離可能に締結する第2締結部を有する、態様6に記載の衣服。
【0022】
ポケットは、着用者によって第2側辺の衣服本体から分離する位置を適宜調整できる。すなわち、衣服は、締結部及び第2締結部を解除した場合、ポケット本体がより変形しやすくなるので、より大きいものを収納した場合の着用感に優れる。
【0023】
また、衣服は、第2側辺と底辺とが交差する位置に設けられた締結部を外し、締結部と第1接合部の間に設けられた第2締結部によってポケットを衣服本体に締結した場合、第1接合部から第2締結部までの範囲で衣服本体にポケットを密着させることができる。したがって、衣服は、ポケットに収納する物品の大きさに合わせて、ポケットの変形量を調整することができるので、着用感に優れる。
【0024】
1.第1実施形態
本発明の衣服は、主に医療用の作業着に適用可能であり、本発明の主題の範囲を逸脱しない限り、種々の仕事(例えば、医療業、看護業、介護業及びサービス業)を行う際に使用される衣服に対して適用可能である。
以下、第1実施形態に係る衣服について図面を参照して説明する。
図1Aは、第1実施形態に係る衣服を示す正面図、
図1Bは、第1実施形態に係る衣服を示す背面図、
図2は、第1実施形態に係る衣服の右側面を示す部分拡大図、
図3は、
図2におけるIII-III線に沿った端面図である。
【0025】
(全体構成)
図1Aと
図1Bに示す衣服10Aは、互いに直交する丈方向L及び左右方向Hを有する。丈方向Lは、衣服10Aを着用者が着用したときの、着用者の丈の方向を意味し、鉛直方向と同義である。左右方向Hは、丈方向Lと直交する方向であり、水平方向と同義である。衣服10Aでは、着用者の頭部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの上向き及び上側とし、着用者の脚部に向かう向き及び側をそれぞれ丈方向Lの下向き及び下側とする。また、着用者から見て右へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向Hの右向き及び右側とし、着用者から見て左へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向Hの左向き及び左側とする。さらに、衣服10Aでは、着用者の身体に近い側を内側とし、着用者の身体に遠い側を外側とする。前面と腹(腹側)、及び背面と背(背側)は、着用者を基準とする。
【0026】
本明細書において接合とは、縫合である場合に限らず、接着剤を用いる場合、及び熱融着による場合を含み、生地の材料に合わせて適宜選択される。また、ある基準に「沿う」とは、ある基準に対して±45°未満の範囲の方向に沿うことを含むものとする。ある部材等のある方向の端部とは、その部材のその方向の端縁から、その部材等のその方向での全体の長さの1/5(好ましくは1/10)以下の長さの範囲をいう。
【0027】
衣服10Aは、生地で形成されたナース服である。生地を構成する繊維は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維のような合成繊維、アセテート繊維のような半合成繊維、綿、麻及び羊毛のような天然繊維を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。本実施形態における生地の形態としては特に限定されず、織物、編物、不織布等、目的に応じていずれの形態でも使用できる。
【0028】
衣服10Aは、衣服本体12Aと、左右一対のポケット14Aとを備える。衣服本体12Aは、衣服として用いることができれば、形状等は特に限定されない。
図1Aと
図1Bに示す衣服本体12Aは、前身頃16と、後身頃18と、右袖20と、左袖22とを有する。前身頃16は、
図1Aに示すように、前右半部24と、前左半部26と、連結部28とを備えている。前右半部24と前左半部26とは、構成が対称であるため、代表して前右半部24についてのみ説明する。前右半部24は、前身頃16の左右方向Hの中心側に配置された前中央布30と、前中央布30の左右方向Hの外側に配置された前外側布32とを有する。前中央布30と前外側布32とは、丈方向Lに延びる前切り替え線34を介して接合されている。前切り替え線34は、前中央布30の左右方向Hの端部の縫い代と前外側布32の左右方向Hの端部の縫い代とを重ねて縫合することによって形成されている。
【0029】
連結部28は、前右半部24と前左半部26の間である左右方向Hの中心に設けられている。連結部28は、スライドファスナーを適用でき、前身頃の裾から襟部分に亘って設けられている。スライドファスナーは、図示しないが、一対のテープ状部材と、これらのテープ状部材の長手の端縁部に相互に向き合うようにそれぞれ配置された、一対のエレメント列と、これらの一対のエレメント列を開閉するスライダー部とを有している。
【0030】
後身頃18は、
図1Bに示すように、後右半部36と、後左半部38とを備えている。後右半部36と後左半部38とは、左右方向Hの中心に配置され丈方向Lに延びる中央切り替え線40を介して接合されている。中央切り替え線40は、後右半部36の左右方向Hの端部の縫い代と、後左半部38の左右方向Hの端部の縫い代とを重ねて縫合することによって形成されている。中央切り替え線40は、後身頃18の裾から襟部分に亘って設けられている。後身頃18は、裾に背側切り込み42を有してもよい。背側切込み42は、ベンツやスリットが例示される。ベンツは、切込みを形成する生地同士が重なり合っているものをいう。これに対しスリットは、切込みを形成する生地同士が重なっていないものをいう。
図1Bの場合、背側切り込み42は、ベンツである。
【0031】
後右半部36と後左半部38とは、構成が対称であるため、代表して後右半部36についてのみ説明する。後右半部36は、後身頃18の左右方向Hの中心側に配置された後中央布44と、後中央布44の左右方向Hの外側に配置された後外側布46とを有する。後中央布44と後外側布46とは、丈方向Lに延びる後切り替え線48を介して接合されている。後切り替え線48は、後中央布44の左右方向Hの端部の縫い代と後外側布46の左右方向Hの端部の縫い代とを重ねて縫合することによって形成されている。
【0032】
図2に示すように、前身頃16と後身頃18とは、丈方向Lに延びる脇切り替え線50を介して接合されている。脇切り替え線50は、前身頃16の左右方向Hの端部の縫い代と、後身頃18の左右方向Hの端部の縫い代とを重ねて縫合することによって形成されている。衣服本体12Aは、前身頃16と後身頃18の間の脇切り替え線50の延長線上の裾に、切込み52を有してもよい。切込み52は、ベンツやスリットが例示される。
図2の場合、前身頃16と後身頃18の間の裾には、ベンツが設けられている。
【0033】
右袖20と左袖22とは、それぞれ、筒状であって、一端に袖口を有し、他端において前身頃16と後身頃18に接合されている。
【0034】
次に、本実施形態の特徴部分であるポケット14Aについて説明する。ポケット14Aは、衣服本体12Aに対し左右一対設けられており、構成が対称であるため、代表して衣服本体12Aの右側に配置されたポケット14Aについてのみ説明する。
【0035】
ポケット(
図2)14Aは、衣服本体12Aの脇切り替え線50を跨ぐ位置に設けられている。ポケット14Aは、袋状であり、底辺54と、開口部56を有する上辺58と、底辺54と上辺58の両端をそれぞれ接続する第1側辺60と第2側辺62とを有する。ポケット14Aは、上端接合部64と、第1接合部66と、第2接合部68とによって、衣服本体12Aの外側表面に接合されている。
図2に示すポケット14Aは、側面視において四角形状であり、底辺54と上辺58とが、それぞれ、水平方向に沿う方向へ延びている。
【0036】
上端接合部64は、ポケット14Aの上辺58の両側部を、それぞれ衣服本体12Aに接合している。上端接合部64は、ポケット14Aの上辺の中心から外側に向かう方向の端部を衣服本体12Aに縫合して形成されている。第1接合部66は、底辺54より上側から上辺58までの間で上辺58に沿って延びている。第2接合部68は、第1接合部66に交差する方向に延びている。第2接合部68は、少なくとも一つ、
図2の場合、二つ設けられている。
【0037】
図3に示すように、ポケット14Aは、表布70Aと、表布70Aと衣服本体12Aとの間に配置される裏布72Aとを有する。裏布72Aの丈方向Lの長さL1は、表布70Aの丈方向Lの長さL2より短い。表布70Aと裏布72Aとは、一枚の生地で形成されている。ポケット14Aは、下端において折り返され、折り返した折り目部分に押さえ縫いを施してもよい。裏布72Aの上端73Aは、底辺54と表布70Aの上端71Aとの間に配置されている。裏布72Aの上端73Aを含む丈方向Lの端部は、第1接合部66によって衣服本体12Aの表面に接合されている。第1接合部66は、裏布72Aの上端73Aを含む丈方向Lの端部を折り返し、当該折り返した部分を衣服本体12Aの表面に縫合することによって形成されている。
【0038】
図2に示すように、ポケット14Aの第1側辺60は、背側に配置され、後切り替え線48における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている。ポケット14Aの第2側辺62は、腹側に配置され、前切り替え線34における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている。すなわち、第1実施形態において、一方の第2接合部68は、第1側辺60に沿っており、上端接合部64と一体であって、後切り替え線48においてポケット14Aを衣服本体12Aに接合している。第1実施形態において、第1側辺60は底辺54から上辺58までの全域に亘って後切り替え線48における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている。また他方の第2接合部68は、第2側辺62に沿っており、上端接合部64と一体であって、前切り替え線34においてポケット14Aを衣服本体12Aに接合している。第1実施形態において、第2側辺62は底辺54から上辺58までの全域に亘って前切り替え線34における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている。
【0039】
ポケット14Aは、第1側辺60と第2側辺62の間であって、底辺54から第1接合部66までの範囲において、衣服本体12Aに接合されていない。ポケット14Aにおける上記範囲、すなわち、第1側辺60と第2側辺62を除き、底辺54から第1接合部66までの範囲を、第1実施形態におけるマチ形成領域74Aと呼ぶ。マチ形成領域74Aは、底辺54を含み、底辺54から第1接合部66までの範囲を含むが、衣服本体12Aに接合された第1側辺60と第2側辺62とを含まない。
【0040】
前身頃16と後身頃18の間の裾に設けられた切り込み52の上端53は、ポケット14Aの底辺54より上側まで延びている。すなわち、ポケット14Aは、上端53を含む切込み52の上方の一部を覆っている。
【0041】
(作用及び効果)
着用者は、連結部28を開いた状態の衣服10Aの内側から右袖20と左袖22にそれぞれ右手と左手を通し、連結部28を閉じることによって、衣服10Aを着用する。
図4に示すように、着用者が開口部56からポケットに物品、例えば消毒液を収容したボトル76を差し込んだ場合、ポケット14Aはボトル76の形状に合わせて変形する。すなわち、ポケット14Aは、マチ形成領域74Aが衣服本体12Aに接合されていないので、マチ形成領域74Aが外側に広がる。そうすると、衣服10Aは、ポケット14Aが衣服本体12Aを外側へ引っ張る力が緩和されるので、ポケット14Aから着用者へ作用する力が抑制される。したがって、衣服10Aは、着用者に与える違和感が減少し、着用者の動作が制限されることを抑制する。
【0042】
ポケット14Aは、上端接合部64に加え、第1接合部66と、一方の第2接合部68とによって、衣服本体12Aに接合されていることによって、着用時において着用者の動作によってポケット14Aに力が作用した場合でも、衣服本体12Aに沿った位置を維持できる(
図2)。特に、ポケット14A内にボトル76を収納した状態で着用者が動作した場合や、洗濯時において水流や他の衣類と接触した場合に、力が第1接合部66及び第2接合部68に分散するので、第1接合部66及び第2接合部68に作用する力を緩和できる。したがって衣服10Aは、着用感及び耐久性に優れる。第1実施形態の場合、衣服10Aは、第2接合部68を二つ有するので、衣服本体12Aに沿った位置にポケット14Aをより確実に維持できる。
【0043】
衣服本体12Aは、前身頃16と後身頃18の間の裾に、切込み52を有し、切込み52の上端53は、ポケット14Aの底辺54より丈方向Lの上側に配置されている。
図5に示すように、衣服10Aは、切り込み52が着用者の動作に合わせて開くので、着用者の動作の自由度に優れる。しかも切り込み52の上端53は、ポケット14Aの底辺54より上側に配置されているので、ポケット14Aの底辺54の位置に制限されず、より長く形成できる。したがって、衣服10Aは、ポケット14Aに厚みのあるボトル76などを収納した場合に、切り込み52が開くことによって着用者の動作の自由度により優れる。また、衣服10Aは、切り込み52の上端53を含む上方の一部がポケット14Aで覆われているので、大きく開いた切り込み52から衣服10Aの内部が露出することを抑制できるので、着用者に安心感を与え、結果として着用感に優れる。
【0044】
ポケット14Aは、第1側辺60が衣服本体12Aの縫い代に挟み込まれて、衣服本体12Aに縫い付けられている。第1実施形態の場合、一方の第2接合部68は、第1側辺60に沿っており、上端接合部64と一体であって、後切り替え線48においてポケット14Aを衣服本体12Aに接合しているので、衣服本体12Aの外側表面に露出しない。これにより、第1側辺60は、外観に影響を与えずに返し縫などの補強をすることができると共に、着用時に着用者の手に触れないので破損を抑制できる。したがって、衣服10Aは、ポケット14Aの第1側辺60を補強できると共に、第1側辺60を起点とする破損を抑制できるので、耐久性に優れる。
【0045】
さらに、第1実施形態の場合、他方の第2接合部68は、第2側辺62に沿っており、上端接合部64と一体であって、前切り替え線34においてポケット14Aを衣服本体12Aに接合している。したがって、衣服10Aは、ポケット14Aの第2側辺62を補強できると共に、第2側辺62を起点とする破損を抑制できるので、耐久性により優れる。
【0046】
第1実施形態の場合、第2側辺62は底辺から上辺までの全域に亘って前切り替え線34における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2側辺62が衣服本体12Aに縫い付けられる範囲は、上辺58から、第1接合部66を通過し、底辺54までの範囲で適宜選択することができる。
【0047】
裏布72Aの丈方向Lの長さL1は、表布70Aの丈方向Lの長さL2より短い場合について説明したが、本発明はこれに限らない。裏布72Aの丈方向Lの長さL1は、表布70Aの丈方向Lの長さL2と同じでもよい。表布70Aと裏布72Aとは、一枚の生地で形成されている場合について説明したが、別体でもよい。
【0048】
ポケット14Aの第1側辺60は、背側に配置され、脇切り替え線50における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられてもよい。この場合、ポケット14Aの第2側辺62は、腹側に配置され、前切り替え線34における縫い代に挟み込まれて衣服本体14Aに縫い付けられてもよいし、又は前身頃16の適所において衣服本体14Aに縫い付けられてもよい。
【0049】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について、図を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
図6は、第2実施形態に係る衣服10Bの右側側面を示す部分拡大図、
図7は、
図6におけるVII―VII線に沿った端面図である。
【0050】
図6に示す衣服10Bは、衣服本体12Bと、ポケット14Bとを備える。衣服本体12Bは、衣服として用いることができれば、形状等は特に限定されない。衣服本体12Bは、前身頃16と後身頃18の間の裾に切り込みが形成されていない。ポケット14Bは、衣服本体12Bに対し左右一対設けられており、構成が対称であるため、代表して衣服本体の右側に配置されたポケット14Bについてのみ説明する。
【0051】
ポケット14Bは、袋状であり、底辺54と、開口部56を有する上辺58と、底辺54と上辺58の両端をそれぞれ接続する第1側辺60と第2側辺62とを有する。ポケット14Bは、上端接合部64と、第1接合部66と、第2接合部68と、締結部78とを有する。第2接合部68は、第1接合部66に交差する方向、
図6の場合、第1側辺60に沿う方向に延び、一つだけ設けられている。
【0052】
図7に示すように、ポケット14Bは、表布70Bと、裏布72Bとを有する。
図7の場合、表布70Bと裏布72Bの丈方向Lの長さは同じである。表布70Bと裏布72Bは別体であり、下端を含む丈方向Lの端部において重ねて縫合されている。裏布72Bの上端73Bは、表布70Bの上端71Bと同じ高さ位置に配置されている。裏布72Bの丈方向Lの上端を含む端部は、第1接合部66によって衣服本体12Bの表面に接合されている。第2実施形態の場合、第1接合部66と上端接合部64は重なっている(
図6)。
【0053】
図8に示すように、ポケット14Bの第1側辺60は、後切り替え線48における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Bに縫い付けられている。すなわち、第1実施形態において、一方の第2接合部68は、第1側辺60に沿っており、上端接合部64と一体であって、後切り替え線48においてポケット14Bを衣服本体12Bに接合している。
【0054】
ポケット14Bの第2側辺62は、上方の端部が上端接合部64で接合されているが、第2接合部68で接合されていない。すなわち第2側辺62は上端接合部64の下端から底辺まで衣服本体12Bに接合されていない。ポケット14Bは、第1接合部66と底辺54との間の第2側辺62に沿った位置に、締結部78が設けられている。
図8の場合、締結部78は、ポケット14Bの第2側辺62と底辺54との間の角部80に設けられている。衣服本体12Bは、締結部78に対応する位置に、締結部78が着脱可能な被締結部82が設けられている。締結部78は、例えば、ボタンや、面ファスナーを用いることができる。これにより、ポケット14Bの第2側辺62と底辺54との間の角部80は、衣服本体12Bの表面に対し、分離可能に締結することができる。
【0055】
ポケット14Bは、第1側辺60を除き、底辺54から第1接合部66までの範囲において、衣服本体12Bに接合されていないマチ形成領域74Bを備える。マチ形成領域74Bは、底辺54と、第2側辺62とを含み、底辺54から第1接合部66までの範囲を含むが、衣服本体12Bに接合された第1側辺60を含まない。すなわち、衣服10Bは、マチ形成領域74Bが形成されたポケット14Bを備えるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
第2実施形態に係る衣服10Bは、第1側辺60に沿って、ポケット14Bを衣服本体12Bの表面に固定しているので、耐久性に優れる。衣服10Bは、締結部78を被締結部82に締結し、ポケット14Bを衣服本体12Bに対し固定することによって、第1接合部66から締結部78までの範囲でポケット14Bを衣服本体12Bに沿った位置に維持できる。また、衣服10Bは、締結部78を被締結部82から解除することによって、角部80から第1接合部66までの範囲で、ポケット14Bを衣服本体12Bから分離することができる。したがって衣服10Bは、ポケット14Bを変形しやすくできるので、ポケット14Bにより大きいものを収納した場合の着用感に優れる。
【0057】
ポケット14Bは、第2側辺62と底辺54との間の角部80に締結部78が設けられているので、第2側辺62の下端を衣服本体12Bの表面に固定できる。したがって、衣服10Bは、第2側辺62の下端を衣服本体12Bの表面に固定することによって、洗濯する際のポケット14Bの変形をより抑制できるので、耐久性に優れる。
【0058】
第2実施形態の場合、第2側辺62は、第2接合部68によって接合されていない場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2側辺62は、上辺58から締結部78より上側の範囲で第2接合部68によって接合されていてもよい。
【0059】
衣服10Bは、締結部78と、第2締結部84とを有してもよい。第2締結部84は、締結部78と第1接合部66との間の第2側辺62に沿った位置に設けられる。
図6の
場合、第2締結部84は、締結部78と第1接合部66の中間に設けられている。衣服本体12Bは、第2締結部84に対応する位置に、第2締結部84が着脱可能な第2被締結部86が設けられている(
図8)。衣服10Bは、締結部78と、第2締結部84とを有することによって、第2側辺62の衣服本体12Bから分離する位置を着用者が適宜調整できる。例えば、衣服10Bは、締結部78を被締結部82から解除すると共に第2締結部84を第2被締結部86から解除した場合、ポケット14Bがより変形しやすくなるので、より大きい物品を収納した場合の着用感に優れる。また、衣服10Bは、締結部78を被締結部82から解除し、第2締結部84を第2被締結部86に締結することによってポケット14Bを衣服本体12Bに固定した場合、第1接合部66から第2締結部84までの範囲で衣服本体12Bにポケット14Bを密着させることができる。したがって、衣服10Bは、ポケット14Bに収納する物品の大きさに合わせて、ポケット14Bの変形量を着用者が調整することができるので、着用感に優れる。締結部78と第2締結部84とは、それぞれボタン、面ファスナーを用いてもよい。
【0060】
また締結部78は、1つのスライドファスナーを適用してもよい。この場合、スライドファスナーは、ポケット14Bの第2側辺62と、衣服本体12Bの第2側辺62に対応した位置に沿って設けられている。スライドファスナーは、ポケット14Bの下端から上端の全域に亘って設けられてもよい。スライドファスナーは、スライダー部の位置を着用者が変えることによって、衣服本体12Bに対するポケット14Bの変形量を着用者が調整することができる。
【0061】
第2実施形態の場合、表布70Bと裏布72Bの丈方向Lの長さは同じで、裏布72Bの上端73Bは、表布70Bの上端71Bと同じ高さ位置に配置され、第1接合部66によって衣服本体12Bの表面に接合されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、裏布72Bの丈方向Lの長さは、表布70Bの丈方向Lの長さより短くてもよい。この場合、ポケット(表布)の第2側辺62の上端接合部64と第1接合部66の間は、第2接合部68によって衣服本体12Bの表面に接合される。
【0062】
第2実施形態の場合、衣服本体14Bは、前身頃16と後身頃18の間の裾に切り込みが形成されていない場合について説明したが、本発明はこれに限らない。
図9に示すように、衣服10Cは、衣服本体12Cとポケット14Bとを備える。衣服本体12Cは、前身頃16と後身頃18の間の裾に切り込み52を有する。
図9の場合、前身頃16と後身頃18の間の裾に設けられた切り込み52は、ベンツである。衣服10Cは、切込み52が着用者の動作に合わせて開くので、着用者の動作の自由度に優れる。さらに、ポケット14Bは、締結部78が設けられているので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
第2実施形態の場合、ポケット14Bの第1側辺60は、背側に配置され、後切り替え線48における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Bに縫い付けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、ポケット14Bの第1側辺60は、背側に配置され、脇切り替え線50における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Bに縫い付けられてもよい。
【0064】
3.変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することができる。
上記実施形態の場合、ポケットは、側面視において四角形状である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、隅丸形状、円形状、多角形状などを選択してもよい。また、ポケットは、衣服本体に対し左右一対設けられている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えばポケットは、片側一方に設けられていてもよく、3個以上設けてもよいし、衣服本体に対する位置も特に限定されず任意の位置に設けてよい。
上記実施形態の場合、ポケットは、第1側辺が背側、第2側辺が腹側に配置された場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1側辺が腹側、第2側辺が背側であってもよい。
上記実施形態の場合、連結部はスライドファスナーである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、ボタンや面ファスナーなどを適用してもよい。
上記実施形態の場合、衣服は、ナース服である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、白衣や、エプロン、各種作業着等であってもよい。
【0065】
本発明は、第1実施形態と第2実施形態とを適宜組み合わせてもよい。例えば、
図2及び
図6と同様の構成について同様の符号を付した
図10に示すように、衣服10Dは、衣服本体12Aと、ポケット14Cとを有する。ポケット14Cは、底辺54と、開口部56を有する上辺58と、底辺54と上辺58の両端をそれぞれ接続する第1側辺60と第2側辺62とを有する。底辺54は、衣服本体に接合されていない。第2側辺62は、上辺58に接続する接合側辺63と、接合側辺63の下端から延び底辺54に接続する非接合側辺65とを有する。接合側辺63は、前切り替え線34における縫い代に挟み込まれて衣服本体12Aに縫い付けられている。非接合側辺65は、下方へ向かって背側に傾斜しており、衣服本体12Aに接合されていない。第1接合部66は、第1側辺60と接合側辺63との間をつなぐように上辺58に沿う方向に延びている。ポケット14Cは、非接合側辺65と底辺54との間の角部80に締結部78を有する。ポケット14Cは、第1側辺60と接合側辺63を除き、底辺54から第1接合部66までの範囲において、衣服本体12Aに接合されていないマチ形成領域74Cを有する。加えてポケット14Cは、第2側辺62のうち、非接合側辺65が衣服本体12Aに接合されていないので、より大きいマチ形成領域74Cを有する。衣服10Dは、マチ形成領域74Cを有するので、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに衣服10Dは、締結部78を有するので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
上記実施形態の場合、ポケットは、一枚の生地で形成された表布と裏布とを有し、下端において折り返され、折り返した折り目部分に押さえ縫いを施した場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図3と同様の構成について同様の符号を付した
図11に示すように、ポケット14Dは、1枚の生地で形成された表布70Aと裏布72Aとを有する。ポケット14Dは、底辺54に、表布70Aと裏布72Aとを断面視でW字状となるように折り返したマチ88を有する。すなわちマチ88は押さえ縫いが施されていない。ポケット14Dは、マチ88が外側へ広がることによって、マチ形成領域74Aと相俟って、差し込まれる物品に合わせてより容易に変形する。
【符号の説明】
【0067】
10A,10B 衣服
12A,12B 衣服本体
14A,14B ポケット
16 前身頃
18 後身頃
20 右袖
22 左袖
24 前右半部
26 前左半部
28 連結部
30 前中央布
32 前外側布
34 前切り替え線
36 後右半部
38 後左半部
40 中央切り替え線
42 背側切り込み
44 後中央布
46 後外側布
48 後切り替え線
50 脇切り替え線
52 切り込み
53 上端
54 底辺
56 開口部
58 上辺
60 第1側辺
62 第2側辺
64 上端接合部
66 第1接合部
68 第2接合部
70A,70B 表布
71A,71B 上端
72A,72B 裏布
73A,73B 上端
74A,74B マチ形成領域
76 ボトル
78 締結部
80 角部
82 被締結部
84 第2締結部
86 第2被締結部
H 左右方向
L 丈方向