(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037477
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無人航空機の運用設備
(51)【国際特許分類】
B64F 1/36 20240101AFI20240312BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240312BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B64F1/36
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142370
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】武野 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】新田 聡
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
(57)【要約】
【課題】回転翼式の無人航空機の飛行を安定させ易い通路空間を備える無人航空機の運用設備を実現する。
【解決手段】回転翼式の無人航空機の運用設備であって、上下方向Zに延在するように形成され、無人航空機が上昇又は下降を行う通路空間30と、通路空間30内の気圧を制御する気圧制御システム40と、を備え、気圧制御システム40は、無人航空機よりも上側の気圧が無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなるように制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼式の無人航空機の運用設備であって、
上下方向に延在するように形成され、前記無人航空機が上昇又は下降を行う通路空間と、
前記通路空間内の気圧を制御する気圧制御システムと、
を備え、
前記気圧制御システムは、前記無人航空機よりも上側の気圧が、前記無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなるように制御する、無人航空機の運用設備。
【請求項2】
前記気圧制御システムは、前記通路空間の上部に設けられて前記通路空間からの排気を行う排気ユニットと、前記通路空間の下部に設けられて前記通路空間への給気を行う給気ユニットと、の少なくとも一方を備える、請求項1に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項3】
前記気圧制御システムは、前記通路空間の上部に設けられて前記通路空間からの排気を行う排気ユニットと、前記通路空間の下部に設けられて前記通路空間への給気を行う給気ユニットと、を備え、
前記通路空間は、異なる階層間を区画する区画壁を貫通するように配置されていると共に、上下方向に延在する筒状壁に囲まれて形成され、
前記排気ユニット及び前記給気ユニットは、前記筒状壁を貫通するように設けられている、請求項1に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項4】
前記気圧制御システムは、前記無人航空機が前記通路空間における前記排気ユニットが配置された上下方向の領域である第1領域を通過する場合に、前記無人航空機が前記第1領域に侵入する前に比べて前記排気ユニットの排気圧を低くし、前記通路空間における前記給気ユニットが配置された上下方向の領域である第2領域を通過する場合に、前記無人航空機が前記第2領域に侵入する前に比べて前記給気ユニットの給気圧を低くする、請求項3に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項5】
前記気圧制御システムは、
前記無人航空機の前記第1領域への接近を検知する第1検知部と、
前記無人航空機の前記第2領域への接近を検知する第2検知部と、を備え、
前記第1検知部により前記無人航空機を検知したことに基づいて前記無人航空機が前記第1領域を通過することを判定し、
前記第2検知部により前記無人航空機を検知したことに基づいて前記無人航空機が前記第2領域を通過することを判定する、請求項4に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項6】
前記通路空間を上下方向に区画する開閉扉が、少なくとも前記通路空間の下部に設けられ、
前記開閉扉は、前記無人航空機が通過する場合に開放され、前記無人航空機が通過した後に閉鎖される、請求項1から5のいずれか一項に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項7】
前記気圧制御システムは、前記無人航空機の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記通路空間における上下方向の複数個所の気圧を検出する気圧検出部と、を備え、前記位置情報取得部により取得した前記位置情報と前記気圧検出部の検出結果とに基づいて前記通路空間内の気圧の制御を行う、請求項1から5のいずれか一項に記載の無人航空機の運用設備。
【請求項8】
前記通路空間は、下側へ向かうに従って水平方向の一方側へ向かう方向に傾斜した柱状に形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の無人航空機の運用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転翼式の無人航空機の運用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上下方向に延在するように形成された通路空間を備える搬送設備が知られている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。特許文献1には、複数階に亘って設けられた昇降用の通路空間を形成するための筒体(32)と、上側昇降用ベルト(37)と下側昇降用ベルト(38)により筒体内を昇降移動して物品を搬送する昇降体(33)が開示されている。
【0003】
一方、特許文献2に記載されているように、ドローンにより物品の搬送を行う技術も知られている。しかし、上記のような搬送設備における上下方向に延在する通路空間において回転翼式の無人航空機を上昇及び下降させると、例えば、それぞれの階の空調設備等の状態に起因して発生する気圧差により、無人航空機の飛行が不安定になる場合があるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-137675号公報
【特許文献2】特開2021-020529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、回転翼式の無人航空機の飛行を安定させ易い通路空間を備える無人航空機の運用設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る回転翼式の無人航空機は、上下方向に延在するように形成され、前記無人航空機が上昇又は下降を行う通路空間と、前記通路空間内の気圧を制御する気圧制御システムと、を備え、前記気圧制御システムは、前記無人航空機よりも上側の気圧が、前記無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなるように制御する。
【0007】
本構成によれば、無人航空機よりも上側の気圧が、無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなっているため、無人航空機が揚力を確保し易い。従って、無人航空機の飛行を安定させ易くすることができる。また、無人航空機が揚力を確保するために必要なエネルギ消費を低減できるため、無人航空機の飛行のためのエネルギ効率を高め易い。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の無人航空機の運用設備を示す図
【
図3】
図2の運用設備における無人航空機が上側開閉扉の外側に位置する状態を示す図
【
図4】
図2の運用設備における上側開閉扉が開放されている状態を示す図
【
図5】
図2の運用設備における無人航空機が第1領域と第2領域との間に位置する状態を示す図
【
図6】
図2の運用設備における下側開閉扉が開放されている状態を示す図
【
図7】
図2の運用設備における無人航空機が下側開閉扉の外側に位置する状態を示す図
【
図8】第2の実施形態の無人航空機の運用設備を示す図
【
図9】第3の実施形態の無人航空機の運用設備を示す図
【
図10】第4の実施形態の無人航空機の運用設備を示す図
【
図11】第5の実施形態の無人航空機の運用設備を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
以下では、本実施形態に係る無人航空機11の運用設備10について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の無人航空機11の運用設備10を備えた施設20を示している。鉛直方向に沿う方向を上下方向Zとし、水平方向に沿う方向を水平方向Xとする。運用設備10は、上下方向Zに延在するように形成され、無人航空機11が上昇及び下降を行う通路空間30を備えている。ここで、「上下方向Zに延在する」とは、延在方向が上下方向Zの成分を少なくとも有することを意味する。すなわち、通路空間30は、上下方向Zに長さを有する空間であればよい。
【0011】
本実施形態では、無人航空機11は通路空間30を飛行して物品Wを搬送するように構成されている。無人航空機11は、例えば、遠隔操作或いは自律飛行が可能な回転翼式の航空機である。好適には、無人航空機11は蓄電池を備えた電動式の回転翼機である。更に好適には、無人航空機11は無線充電式の回転翼機である。
【0012】
本実施形態では、通路空間30は、異なる階層(21u,21d)間を区画する区画壁24を貫通するように配置されている。また、本実施形態では、通路空間30は、上下方向Zに延在する筒状壁32に囲まれて形成されている。筒状壁32に囲まれた通路空間30は、通路の断面が矩形であってもよく、正円形や楕円形であってもよい。本実施形態では、筒状壁32は上層21u側及び下層21d側に突出部分を備えている。上層21u側の筒状壁32の突出部分は作業者等が落下しないように柵としての役割を兼ねている。なお、下層21d側の筒状壁32の突出部分は無いことが望ましい。
【0013】
本実施形態では、運用設備10において通路空間30を上下方向Zに区画する開閉扉34u,34dが設けられている。この開閉扉34u,34dは、無人航空機11が通過する場合に開放され、無人航空機11が通過した後に閉鎖される。図示の例では、通路空間30の上部に上側開閉扉34uが設けられている。また、通路空間30の下部に下側開閉扉34dが設けられている。下側開閉扉34dは、無人航空機11の下層21dへの落下防止装置としても機能する。本実施形態では、上側開閉扉34u及び下側開閉扉34dは水平方向Xに開閉する両開きの引戸であるが、片開きの引戸でもよく、上下方向Zに開閉する引戸でもよい。また、観音開きの扉であってもよい。
【0014】
本実施形態では、通路空間30は、互いに気圧が異なるように気圧制御された複数の階層(21u,21d)を区画する区画壁24を貫通するように配置されている。図示の例では、上層21uは地上2階2Fに配置され、下層21dは地上1階1Fに配置されている。以下では、本実施形態に係る無人航空機11の運用設備10の通路空間30が、クリーン環境下において物品Wの処理等を行う2つのクリーンルームである上層21uと下層21dとを区画する区画壁24を貫通するように配置されている場合を例示して説明する。2つのクリーンルームである上層21uと下層21dを備えた施設20としては、半導体等の電子部品、薬品、食料品の工場や、倉庫、船舶等が例として挙げられる。
【0015】
本実施形態では、上層21uに物品Wが載置される上層載置部26を備える。また、下層21dに物品Wが載置される下層載置部27を備える。無人航空機11は、例えば、上層載置部26の物品Wを下層載置部27に搬送、又は、下層載置部27の物品Wを上層載置部26に搬送する。図示の例では、上層載置部26が保管庫であり、下層載置部27が搬送装置であるが、上層載置部26が搬送装置であり、下層載置部27が保管庫であってもよい。また、上層載置部26及び下層載置部27が、両方とも保管庫、搬送装置、処理装置、載置台等であってもよい。保管庫としては、物品Wを一時的に保管する保管棚、冷蔵庫、冷凍庫、スタッカークレーンを備えた自動倉庫等が例として挙げられる。搬送装置としては、ベルトコンベヤやローラコンベヤ等のコンベヤ、無人搬送車、貨物車両等が例として挙げられる。処理装置としては、半導体等の電子部品、薬品、食料品の処理装置が例として挙げられる。
【0016】
本実施形態では、下層21dの気圧よりも上層21uの気圧が高くなるように気圧制御されている。すなわち、下層21dのクリーンルームより上層21uのクリーンルームは清浄度が高くされている。上層21uの気圧及び下層21dの気圧は、例えば、図示しない空調システムにより制御される。このようにすれば、回転翼式の無人航空機11が飛ぶために下方に吹き降ろすダウンウォッシュの影響を清浄度の高い上層21uのクリーンルームが受けにくくすることができる。好適には、通路空間30の気圧は後述の気圧制御システム40により上層21uの気圧より低くなるように制御される。更に好適には、通路空間30の気圧は後述の気圧制御システム40により下層21dの気圧より低くなるように制御される。
【0017】
図2は、運用設備10のブロック図を示している。運用設備10は、通路空間30内の気圧を制御する気圧制御システム40を備えている。本実施形態では、気圧制御システム40は、通路空間30における上下方向Zの複数個所の気圧を検出する気圧検出部を備えている。本実施形態では、排気ユニット42より上部に設けられた上部気圧センサ41uと、給気ユニット52より下部に設けられた下部気圧センサ41dと、が気圧検出部として機能している。気圧検出部としては、種々の圧力計、差圧計が用いられる。
【0018】
本実施形態では、気圧制御システム40は、通路空間30の上部に設けられて通路空間30からの排気を行う排気ユニット42を備える。排気ユニット42は、筒状壁32を貫通するように設けられている。また、排気ユニット42は、ファン43とフィルタ44とを備えたファンフィルタユニットである。好適には、排気ユニット42は互いに向かい合う一対又は複数対の排気孔45を筒状壁32に備えている。図示の例では、排気ユニット42はダクト46を備えている。好適には、排気ユニット42は通路空間30から排出した気体を、ダクト46を介してクリーンルームの外部に排出するように構成されているが、通路空間30から排出した気体を上層21uに排出する構成であってもよい。
【0019】
本実施形態では、気圧制御システム40は、通路空間30の下部に設けられて通路空間30への給気を行う給気ユニット52を備える。給気ユニット52は、筒状壁32を貫通するように設けられている。また、給気ユニット52は、ファン53とフィルタ54とを備えたファンフィルタユニットである。好適には、給気ユニット52は互いに向かい合う一対又は複数対の給気孔55を筒状壁32に備えている。図示の例では、給気ユニット52はダクト56を備えている。好適には、給気ユニット52は、上層21uのクリーンルームと同等の清浄度の気体を、ダクト56を介して吸入して通路空間30に供給するように構成されるが、下層21dから気体を吸入する構成であってもよい。
【0020】
本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部60を備えている。位置情報取得部60は、例えば、無人航空機11の高さ情報、或いは、座標情報を、無人航空機11の位置を示す位置情報として取得する。図示の例では、上部扉センサ61と排気側上部センサ62と排気側下部センサ63と給気側上部センサ67と給気側下部センサ68と下部扉センサ69とが位置情報取得部60として機能している。これらのセンサとしては、例えば、赤外線センサ等の光学式センサ、超音波式センサ等が用いられる。
【0021】
本実施形態では、気圧制御システム40は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の当該演算処理装置が参照可能な主記憶装置と、を備えた気圧制御装置70を有している。気圧制御装置70の各機能は、気圧制御装置70が備えるハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。具体的には、気圧制御装置70が、記憶装置(主記憶装置や別途設けられた記憶部等)に記憶されているプログラムを実行することで、気圧制御装置70の各機能が実現される。言い換えれば、気圧制御装置70の各機能をコンピュータに実現させるためのプログラム(例えば、気圧制御プログラム)は、当該コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。このプログラムは、例えば、記憶媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供される。そして、提供されたプログラムは、コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。本実施形態では、気圧制御装置70(具体的には、気圧制御システム40が備える演算処理装置)が「コンピュータ」として機能する。
【0022】
本実施形態では、気圧制御装置70は、上側開閉扉34uの開閉を制御する上部扉制御部72と、下側開閉扉34dの開閉を制御する下部扉制御部78と、を備えている。好適には、通路空間30内に複数の無人航空機11が位置することが回避されるように、上部扉制御部72が上側開閉扉34uを制御し、下部扉制御部78が下側開閉扉34dを制御する。例えば、位置情報取得部60により取得した位置情報に基づき通路空間30内に無人航空機11が位置すると気圧制御装置70が判断した場合には、上部扉センサ61により無人航空機11の接近が検知されても上部扉制御部72は上側開閉扉34uを閉鎖し続ける。また、例えば、位置情報取得部60により取得した位置情報に基づき通路空間30内に無人航空機11が位置すると気圧制御装置70が判断した場合には、下部扉センサ69により無人航空機11の接近が検知されても下部扉制御部78は下側開閉扉34dを閉鎖し続ける。
【0023】
本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11よりも上側の気圧が、無人航空機11よりも下側の気圧よりも低くなるように制御する。このようにすれば、無人航空機11が揚力を確保し易い。また、本実施形態では、気圧制御システム40の気圧制御装置70は、位置情報取得部60により取得した位置情報に基づいて通路空間30内の気圧の制御を行う。
【0024】
本実施形態では、気圧制御装置70は、排気ユニット42の排気圧Poを制御する排気制御部73と、給気ユニット52の給気圧Piを制御する給気制御部77と、を備えている。好適には、排気ユニット42の排気圧Poが給気ユニット52の給気圧Pi以上となるように、排気制御部73が排気ユニット42を制御し、給気制御部77が給気ユニット52を制御する。このようにすれば、通路空間30内に上昇気流が生じ無人航空機11が揚力を確保しやすくなる。また、上側開閉扉34uが通路空間30の上部の開口を開いている状態での通路空間30から上層21uへの当該開口を介した気体の排出、及び、下側開閉扉34dが通路空間30の下部の開口を開いている状態での通路空間30から下層21dへの当該開口を介した気体の排出を抑制し易い。
【0025】
本実施形態では、無人航空機11が第1領域E1を通過すると気圧制御装置70が判断した場合に、排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを気圧制御装置70が前記の判断をする前より低くする。ここで、第1領域E1とは、通路空間30における排気ユニット42付近の領域である。好適には、気圧制御装置70は位置情報取得部60により取得した位置情報に基づいて、無人航空機11が第1領域E1を通過すると判断する。
【0026】
本実施形態では、無人航空機11が第2領域E2を通過すると気圧制御装置70が判断した場合に、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを気圧制御装置70が前記の判断をする前より低くする。ここで、第2領域E2とは、通路空間30における給気ユニット52付近の領域である。好適には、気圧制御装置70は位置情報取得部60により取得した位置情報に基づいて、無人航空機11が第2領域E2を通過することの判断を行う。
【0027】
本実施形態では、位置情報取得部60が通路空間30における排気ユニット42付近の領域である第1領域E1への無人航空機11の接近を検知する第1検知部を備え、第1検知部により無人航空機11を検知した場合に、無人航空機11が第1領域E1を通過すると気圧制御装置70が判断し、排気制御部73が第1検知部による無人航空機11の検知前に比べて排気ユニット42の排気圧Poを低くする。本実施形態では、上部扉センサ61及び排気側下部センサ63が第1検知部として機能している。
【0028】
本実施形態では、位置情報取得部60が通路空間30における給気ユニット52付近の領域である第2領域E2への無人航空機11の接近を検知する第2検知部を備え、第2検知部により無人航空機11を検知した場合に、無人航空機11が第2領域E2を通過すると気圧制御装置70が判断し、給気制御部77が第2検知部による無人航空機11の検知前に比べて給気ユニット52の給気圧Piを低くする。本実施形態では、下部扉センサ69及び給気側上部センサ67が第2検知部として機能している。
【0029】
本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11が通路空間30における排気ユニット42が配置された上下方向Zの領域である第1領域E1を通過する場合に、無人航空機11が第1領域E1に侵入する前に比べて排気ユニット42の排気圧Poを低くする。また、本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11の第1領域E1への接近を検知する第1検知部(上部扉センサ61,排気側下部センサ63)を備え、第1検知部により無人航空機11を検知した場合を、無人航空機11が第1領域E1を通過する場合と判定する。このようにすれば、無人航空機11が第1領域E1を通過する場合に、無人航空機11の飛行状態を安定させ易い。また、無人航空機11が第1領域E1を通過する場合を適切に判定することができる。図示の例では、第1領域E1は排気ユニット42の排気孔45が配置された上下方向Zの領域を含んでいる。
【0030】
本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11が通路空間30における給気ユニット52が配置された上下方向Zの領域である第2領域E2を通過する場合に、無人航空機11が第2領域E2に侵入する前に比べて給気ユニット52の給気圧Piを低くする。また、本実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11の第2領域E2への接近を検知する第2検知部(下部扉センサ69,給気側上部センサ67)を備え、第2検知部により無人航空機11を検知した場合を、無人航空機11が第2領域E2を通過する場合と判定する。このようにすれば、無人航空機11が第2領域E2を通過する場合に無人航空機11の飛行状態を安定させ易い。また、無人航空機11が第2領域E2を通過する場合を適切に判定することができる。図示の例では、第2領域E2は給気ユニット52の給気孔55が配置された上下方向Zの領域を含んでいる。
【0031】
本実施形態では、気圧制御システム40は、位置情報取得部60により取得した位置情報と気圧検出部(41u,41d)の検出結果とに基づいて通路空間30内の気圧の制御を行う。このようにすれば、無人航空機11の位置に応じて、無人航空機11よりも上側の気圧が、無人航空機11よりも下側の気圧よりも低くなるように適切に制御することができる。
【0032】
以下に、無人航空機11が下降する場合の気圧制御システム40による通路空間30内の気圧制御の一例を
図3から
図7を用いて説明する。
図3は、上側開閉扉34u及び下側開閉扉34dが閉鎖されている状態であって、無人航空機11が上側開閉扉34uの外側に位置する状態を示している。この状態における排気ユニット42の排気圧Poを第1排気圧Po1とし、給気ユニット52の給気圧Piを第1給気圧Pi1とする。
【0033】
位置情報取得部60が通路空間30外において第1領域E1への無人航空機11の接近を検知した場合、すなわち上部扉センサ61が無人航空機11を検知した場合、気圧制御装置70の排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第1排気圧Po1よりも低い第2排気圧Po2とする。また、気圧制御装置70の給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第1給気圧Pi1よりも低い第2給気圧Pi2とする。次に、気圧制御装置70の上部扉制御部72が上側開閉扉34uを開放する。
図4は、上側開閉扉34uが開放された後の状態を示している。このようにすれば、上側開閉扉34uの上側に位置する無人航空機11への、上側開閉扉34uの開放時の気圧差により発生する下向きの力や、排気ユニット42の排気により発生する下向きの力を低減することができる。また、無人航空機11が揚力を失った場合でも排気ユニット42の排気及び給気ユニット52の給気により無人航空機11への上向きの力が発生しているため、排気ユニット42と給気ユニット52と間において無人航空機11が揚力を回復させ易い。
【0034】
図4の状態から無人航空機11が下降し、排気側下部センサ63により無人航空機11が検知されると、上部扉制御部72が上側開閉扉34uを閉鎖する。次に、排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第2排気圧Po2よりも高い第3排気圧Po3とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第2給気圧Pi2よりも高い第3給気圧Pi3とする。
【0035】
図5は、無人航空機11が更に下降して排気側下部センサ63より下側であって給気側上部センサ67より上側に位置している状態を示している。
図5に示す状態では、排気側下部センサ63及び給気側上部センサ67は、無人航空機11を検知していない。
【0036】
図5の状態から無人航空機11が下降し、給気側上部センサ67により無人航空機11が検知されると排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第3排気圧Po3よりも低い第4排気圧Po4とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第3給気圧Pi3よりも低い第4給気圧Pi4とする。好適には、第4給気圧Pi4は0である。
【0037】
無人航空機11が更に下降し、給気側下部センサ68により無人航空機11が検知されると下部扉制御部78が下側開閉扉34dを開放する。
図6は、下側開閉扉34dが開放された後の状態を示している。このようにすれば、無人航空機11が給気ユニット52の下側に位置する場合に無人航空機11への給気ユニット52の給気により発生する下向きの力を低減することができる。また、通路空間30内の気体が排気ユニット42側へ流れやすくなって、下側開閉扉34dの外に出ていくことを抑制できる。なお、下側開閉扉34dの開放後に第4排気圧Po4を第3排気圧Po3と同じ、或いは、第3排気圧Po3より高くしてもよい。
【0038】
図6の状態から無人航空機11が下降し、下部扉センサ69により無人航空機11が検知されると下部扉制御部78が下側開閉扉34dを閉鎖する。次に排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第4排気圧Po4よりも高い第5排気圧Po5とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第4給気圧Pi4よりも高い第5給気圧Pi5とする。
図7は、上側開閉扉34u及び下側開閉扉34dが閉鎖されている状態であって、無人航空機11が下側開閉扉34dの外側に位置する状態を示している。
【0039】
次に、無人航空機11が上昇する場合の気圧制御システム40による通路空間30内の気圧制御の一例を
図7から
図3の順に図面を用いて説明する。
図7は、上昇する無人航空機11が下側開閉扉34dの外側に位置する状態を示している。
【0040】
位置情報取得部60が通路空間30外において第2領域E2への無人航空機11の接近を検知した場合、すなわち下部扉センサ69が無人航空機11を検知した場合、気圧制御装置70の排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第5排気圧Po5よりも低い第4排気圧Po4とする。また、気圧制御装置70の給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第5給気圧Pi5よりも低い第4給気圧Pi4とする。好適には、第4給気圧Pi4は0である。次に、気圧制御装置70の下部扉制御部78が下側開閉扉34dを開放する。
図6は下側開閉扉34dが開放された後の状態を示している。このようにすれば、給気ユニット52の下側に位置する無人航空機11への給気ユニット52の給気により発生する下向きの力を低減することができる。また、通路空間30内の気体が排気ユニット42側へ流れやすくなって下側開閉扉34dの外に出ていくことを抑制できる。
【0041】
図6の状態から無人航空機11が上昇し、給気側上部センサ67により無人航空機11が検知されると、下部扉制御部78が下側開閉扉34dを閉鎖する。次に、排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第4排気圧Po4よりも高い第3排気圧Po3とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第4給気圧Pi4よりも高い第3給気圧Pi3とする。
【0042】
図5は、無人航空機11が更に上昇して給気側上部センサ67より上側であって、排気側下部センサ63より下側に位置している状態を示している。
図5に示す状態では、給気側上部センサ67及び排気側下部センサ63は、無人航空機11を検知していない。
【0043】
図5の状態から無人航空機11が上昇し、排気側下部センサ63により無人航空機11が検知されると排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第3排気圧Po3よりも低い第2排気圧Po2とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第3給気圧Pi3よりも低い第2給気圧Pi2とする。
【0044】
無人航空機11が更に上昇し、排気側上部センサ62により無人航空機11が検知されると上部扉制御部72が上側開閉扉34uを開放する。
図4は、上側開閉扉34uが開放された後の状態を示している。このようにすれば、無人航空機11が排気ユニット42の上側に位置する場合に、無人航空機11への排気ユニット42の排気により発生する下向きの力を低減することができる。
【0045】
図4の状態から無人航空機11が上昇し、上部扉センサ61により無人航空機11が検知されると上部扉制御部72が上側開閉扉34uを閉鎖する。次に排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを第2排気圧Po2よりも高い第1排気圧Po1とする。また、給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを第2給気圧Pi2よりも高い第1給気圧Pi1とする。
図3は、上側開閉扉34u及び下側開閉扉34dが閉鎖されている状態であって、無人航空機11が上側開閉扉34uの外側に位置する状態を示している。
【0046】
本実施形態では、第1排気圧Po1と第3排気圧Po3と第5排気圧Po5とは同じ値であるが、それぞれ異なっていてもよい。また、本実施形態では、第2排気圧Po2と第4排気圧Po4とは同じ値であるが、それぞれ異なっていてもよい。また、本実施形態では、第1給気圧Pi1と第3給気圧Pi3と第5給気圧Pi5とは同じ値であるが、それぞれ異なっていてもよい。
【0047】
また、本実施形態において、第4排気圧Po4を第3排気圧Po3と同じ又は第5給気圧Pi5と同じ値としてもよい。また、本実施形態において、第4排気圧Po4を第3排気圧Po3又は第5給気圧Pi5より高い値としてもよい。このようにすれば、無人航空機11が給気ユニット52付近に位置する場合に揚力を確保し易くなる。
【0048】
好適には、第1排気圧Po1、第2排気圧Po2、第3排気圧Po3、第4排気圧Po4、第5排気圧Po5は、それぞれ第1給気圧Pi1、第2給気圧Pi2、第3給気圧Pi3、第4給気圧Pi4、第5給気圧Pi5より大きい。このようにすれば、無人航空機11よりも上側の気圧を、無人航空機11よりも下側の気圧よりも低くなるようにより制御し易くなる。
【0049】
また、好適には、無人航空機11が上昇を行う場合における第2排気圧Po2、第3排気圧Po3、第4排気圧Po4は、それぞれ無人航空機11が下降を行う場合における第2排気圧Po2、第3排気圧Po3、第4排気圧Po4よりも高い。このようにすれば、無人航空機11が上昇を行う場合に、無人航空機11のエネルギ消費をより低減できる。
【0050】
また、好適には、気圧制御システム40の気圧制御装置70は、位置情報取得部60により取得した位置情報と気圧検出部(41u,41d)の検出結果とに基づいて、無人航空機11よりも上側の気圧(例えば、上部気圧センサ41uにより検出された気圧)が無人航空機11よりも下側の気圧(例えば、下部気圧センサ41dにより検出された気圧)よりも低くなるように、排気圧Po(例えば、第1排気圧Po1、第2排気圧Po2、第3排気圧Po3、第4排気圧Po4、及び、第5排気圧Po5)、及び、給気圧Pi(例えば、第1給気圧Pi1、第2給気圧Pi2、第3給気圧Pi3、第4給気圧Pi4、及び、第5給気圧Pi5)を決定する。
【0051】
本実施形態では、通路空間30が上下方向Zに沿う柱状に形成されている。この通路空間30を無人航空機11が下降する場合に螺旋状の軌跡を描くように下降させることが望ましい。このようにすれば、無人航空機11が下降する場合に、ボルテックス・リング・ステートが生じることを回避し易い。
【0052】
〔第2の実施形態〕
以下では、第2の実施形態に係る無人航空機11の運用設備10について、図面を参照して説明する。
図8は、本実施形態の運用設備10を示す図である。本実施形態では、上層21uと下層21dとがクリーンルームでなく、運用設備10が、上側開閉扉34u、上部扉センサ61、上部扉制御部72、下側開閉扉34d、下部扉センサ69、下部扉制御部78、排気ユニット42のフィルタ44、及び、給気ユニット52のフィルタ54を備えていない点で第1の実施形態と異なっている。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。なお、
図8において気圧制御装置70は省略されている。
【0053】
本実施形態では、排気側上部センサ62が第1領域E1の上限に位置する無人航空機11を検知するように構成されている。また、排気側下部センサ63が第1領域E1の下限に位置する無人航空機11を検知するように構成されている。この排気側上部センサ62及び排気側下部センサ63が、無人航空機11の第1領域E1への接近を検知する第1検知部として機能し、この第1検知部により無人航空機11を検知した場合を、無人航空機11が第1領域E1を通過する場合と判定する。
【0054】
本実施形態では、給気側上部センサ67が第2領域E2の上限に位置する無人航空機11を検知するように構成されている。また、給気側下部センサ68が第2領域E2の下限に位置する無人航空機11を検知するように構成されている。この給気側上部センサ67及び給気側下部センサ68が、無人航空機11の第2領域E2への接近を検知する第2検知部として機能し、この第2検知部により無人航空機11を検知した場合を、無人航空機11が第2領域E2を通過する場合と判定する。
【0055】
〔第3の実施形態〕
以下では、第3の実施形態に係る無人航空機11の運用設備10について、図面を参照して説明する。
図9は、本実施形態の運用設備10を示す図である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。なお、
図9において気圧制御装置70は省略されている。
【0056】
本実施形態では、通路空間30が、下側へ向かうに従って水平方向Xの一方側へ向かう方向に傾斜した柱状に形成されている。また、本実施形態では、上側開閉扉34u及び下側開閉扉34dは、片開き扉である。また、上側開閉扉34uは水平方向Xの一方側に引かれて開放される引き戸である。また、下側開閉扉34dは水平方向Xの他方側に引かれて開放される引き戸である。
【0057】
〔第4の実施形態〕
以下では、第4の実施形態に係る無人航空機11の運用設備10について、図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態の運用設備10を示す図である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。なお、
図10において気圧制御装置70は省略されている。
【0058】
本実施形態では、通路空間30が上層21u、中層21m、下層21dの3つの階層間を区画する区画壁24を貫通するように配置され、通路空間30は、少なくとも上下方向Zに延在する筒状壁32に囲まれて形成されている。図示の例では、上層21uは地上2階に配置され、中層21mは地上1階に配置され、下層21dは地下1階に配置されている。
【0059】
本実施形態では、排気ユニット42は通路空間30の天井部に、通路空間30から上向きの排気を行う排気孔45が設けられている。また、給気ユニット52は通路空間30の底部に、通路空間30への上向きの給気を行う給気孔55が設けられている。本実施形態では、通路空間30における排気ユニット42付近の領域である第1領域E1は、通路空間30の天井部を上限とし、排気側下部センサ63を下限とする領域である。また、通路空間30における給気ユニット52付近の領域である第2領域E2は、給気側上部センサ67を上限とし、通路空間30の底部を下限とする領域である。本実施形態では、排気側上部センサ62と給気側下部センサ68は設けられていない。
【0060】
本実施形態では、運用設備10において通路空間30と中層21mとを無人航空機11が行き来するための中部開閉扉34mが設けられている。また、図示しないが、気圧制御装置70は中部開閉扉34mの開閉を制御する中部扉制御部を備えている。本実施形態では、位置情報取得部60により取得した位置情報に基づいて、無人航空機11が中部開閉扉34mを通過すると気圧制御装置70が判断した場合に、気圧制御装置70の中部扉制御部が中部開閉扉34mを開閉する。図示の例では、位置情報取得部60は、無人航空機11の中部開閉扉34mへの接近を検知する第3検知部として機能する中部扉センサ65を備えている。
【0061】
好適には、無人航空機11が中部開閉扉34mを通過すると気圧制御装置70が判断した場合に、前記の判断をする前よりも排気制御部73が排気ユニット42の排気圧Poを低くする。また、無人航空機11が中部開閉扉34mを通過すると気圧制御装置70が判断した場合に、前記の判断をする前よりも給気制御部77が給気ユニット52の給気圧Piを低くする。このようにすれば、無人航空機11が中部開閉扉34mを通過する場合にも、無人航空機11の飛行状態を安定させ易い。更に好適には、気圧制御装置70は位置情報取得部60により取得した位置情報に基づいて、無人航空機11が中部開閉扉34mを通過すると判断する。
【0062】
〔第5の実施形態〕
以下では、第5の実施形態に係る無人航空機11の運用設備10について、図面を参照して説明する。
図11は、本実施形態の運用設備10を示す図である。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。なお、
図11において気圧制御装置70は省略されている。
【0063】
本実施形態では、運用設備10は無人航空機11の離着陸及び物品Wの授受が可能な搬送ポート81を更に備えている。この搬送ポート81は、通路空間30につながる位置に配置されている。これにより、無人航空機11を搬送ポート81に着陸させて、例えば無人航空機11のメンテナンスや充電などを行うことができる。本実施形態では、搬送ポート81は、無線式の充電装置82を複数備えている。この充電装置82は、物品Wを保持した状態、及び、物品Wを保持していない状態の両方の状態の無人航空機11を充電可能に構成されている。また、搬送ポート81は無人航空機11を保管する保管棚83を備えている。
【0064】
本実施形態では、運用設備10は、無人航空機11及び物品Wを搬送ポート81と通路空間30との間、及び、搬送ポート81と通路空間30の外側との間で搬送可能な搬送装置84、及び、通路空間30の内と外とを区画する取出扉85を備えている。また、搬送ポート81は、図示しないが着陸した無人航空機11を保管棚83に載置するスタッカークレーンを備えている。なお、搬送ポート81は無人航空機11の離着陸及び物品Wの授受のどちらか一方のみ可能であってもよい。搬送ポート81が物品Wの授受が可能であれば、通路空間30に沿った上下方向Zの複数個所に搬送ポート81が設けられることが望ましい。このようにすれば、安定的に飛行する無人航空機11により物品Wを上下方向Zに搬送することができる。従って、例えば建物の複数階にわたって物品Wを効率良く搬送することができる。
【0065】
〔その他の実施形態〕
次に、無人航空機11の運用設備10のその他の実施形態について説明する。
【0066】
(1)上記第1、第2、第4、及び第5の実施形態では、無人航空機11が上昇及び下降を行う通路空間30が、上下方向Zに沿って延在するように形成されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば上記第3の実施形態のように、通路空間30の延在方向は上下方向Zに対して傾斜していてもよい。また、通路空間30の形状が真っ直ぐな筒状ではなくてもよく、例えば、上下方向Zの位置によって断面積が異なるような形状や側方から見て湾曲或いは屈曲した形状であってもよい。また、通路空間30が、無人航空機11の上昇専用の通路、或いは、下降専用の通路であってもよい。また、上記第1から第4の実施形態において、上記第5の実施形態のように、運用設備10が搬送ポート81を備えていてもよい。
【0067】
(2)上記の実施形態では、通路空間30が、複数階建ての施設20に設けられ、2つのクリーンルームである上層21uと下層21dとを区画する区画壁24を貫通するように配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、通路空間30が例えば地上1階建ての建物内において上下方向Zに延在するように形成された通路であってもよい。また、上層21uと下層21dとがクリーンルームでなくてもよく、階層間が必ずしも区画壁24により区画されていなくてもよい。また、通路空間30が必ずしも筒状壁32に囲まれていなくてもよい。
【0068】
(3)上記の実施形態では、気圧制御システム40は、排気ユニット42及び給気ユニット52を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、排気ユニット42及び給気ユニット52のいずれか一方のみ備える構成であってもよい。また、気圧制御システム40が排気ユニット42及び給気ユニット52を備えず、他の方法で通路空間30内の気圧を制御してもよい。また、通路空間30の最上部からの排気のみ、或いは、通路空間30の最下部への給気のみが行われる構成であってもよい。
【0069】
(4)上記の実施形態では、気圧制御システム40は、無人航空機11の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部60を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、気圧制御システム40が無人航空機11の位置を示す位置情報を取得しないで通路空間30内の気圧を制御する構成であってもよい。また、位置情報取得部60が例えばGPS(Global Positioning System)、RTK(Realtime Kinematic)、撮像装置により撮像された画像の処理等によって座標情報を無人航空機11の位置を示す位置情報として取得する構成であってもよい。
【0070】
(5)上記の実施形態では、無人航空機11の下降時に排気側下部センサ63により無人航空機11が検知されると、上部扉制御部72が上側開閉扉34uを閉鎖する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、無人航空機11の下降時に排気側上部センサ62により無人航空機11が検知されなくなると、上部扉制御部72が上側開閉扉34uを閉鎖する構成であってもよい。また、位置情報取得部60が取得した無人航空機11の座標情報に基づいて上部扉制御部72が上側開閉扉34uを開閉する構成であってもよい。
【0071】
(6)上記の実施形態では、無人航空機11の上昇時に給気側上部センサ67により無人航空機11が検知されると、下部扉制御部78が下側開閉扉34dを閉鎖する構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、無人航空機11の上昇時に給気側下部センサ68により無人航空機11が検知されなくなると、下部扉制御部78が下側開閉扉34dを閉鎖する構成であってもよい。また、位置情報取得部60が取得した無人航空機11の座標情報に基づいて下部扉制御部78が下側開閉扉34dを開閉する構成であってもよい。
【0072】
(7)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0073】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した無人航空機の運用設備について説明する。
【0074】
本開示に係る回転翼式の無人航空機は、上下方向に延在するように形成され、前記無人航空機が上昇又は下降を行う通路空間と、前記通路空間内の気圧を制御する気圧制御システムと、を備え、前記気圧制御システムは、前記無人航空機よりも上側の気圧が、前記無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなるように制御する。
【0075】
本構成によれば、無人航空機よりも上側の気圧が、無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなっているため、無人航空機が揚力を確保し易い。従って、無人航空機の飛行を安定させ易くすることができる。また、無人航空機が揚力を確保するために必要なエネルギ消費を低減できるため、無人航空機の飛行のためのエネルギ効率を高め易い。
【0076】
一態様として、前記気圧制御システムは、前記通路空間の上部に設けられて前記通路空間からの排気を行う排気ユニットと、前記通路空間の下部に設けられて前記通路空間への給気を行う給気ユニットと、の少なくとも一方を備えると好適である。
【0077】
本構成によれば、通路空間内における無人航空機の周辺の気圧を適切に制御することができる。
【0078】
一態様として、前記気圧制御システムは、前記通路空間の上部に設けられて前記通路空間からの排気を行う排気ユニットと、前記通路空間の下部に設けられて前記通路空間への給気を行う給気ユニットと、を備え、前記通路空間は、異なる階層間を区画する区画壁を貫通するように配置されていると共に、上下方向に延在する筒状壁に囲まれて形成され、前記排気ユニット及び前記給気ユニットは、前記筒状壁を貫通するように設けられていると好適である。
【0079】
本構成によれば、排気ユニットが通路空間の内外を連通するように設けられ、給気ユニットが通路空間の内外を連通するように設けられるため、気圧制御システムによる通路空間内の気圧制御を適切に行い易い。
【0080】
一態様として、前記気圧制御システムは、前記無人航空機が前記通路空間における前記排気ユニットが配置された上下方向の領域である第1領域を通過する場合に、前記無人航空機が前記第1領域に侵入する前に比べて前記排気ユニットの排気圧を低くし、前記無人航空機が前記通路空間における前記給気ユニットが配置された上下方向の領域である第2領域を通過する場合に、前記無人航空機が前記第2領域に侵入する前に比べて前記給気ユニットの給気圧を低くすると好適である。
【0081】
本構成によれば、無人航空機が第1領域を通過する場合に排気ユニットによる気圧の低下が無人航空機の飛行に悪影響を与える可能性を低減できると共に、無人航空機が第2領域を通過する場合に給気ユニットによる気圧の上昇が無人航空機の飛行に悪影響を与える可能性を低減できる。従って、無人航空機が第1領域及び第2領域を通過する場合にも、当該無人航空機の飛行状態を安定させ易い。
【0082】
一態様として、前記気圧制御システムは、前記無人航空機の前記第1領域への接近を検知する第1検知部と、前記無人航空機の前記第2領域への接近を検知する第2検知部と、を備え、前記第1検知部により前記無人航空機を検知したことに基づいて前記無人航空機が前記第1領域を通過することを判定し、前記第2検知部により前記無人航空機を検知したことに基づいて前記無人航空機が前記第2領域を通過することを判定すると好適である。
【0083】
本構成によれば、無人航空機が第1領域を通過する場合、及び、無人航空機が第2領域を通過する場合を適切に判定することができる。
【0084】
一態様として、前記通路空間を上下方向に区画する開閉扉が、少なくとも前記通路空間の下部に設けられ、前記開閉扉は、前記無人航空機が通過する場合に開放され、前記無人航空機が通過した後に閉鎖されると好適である。
【0085】
本構成によれば、仮に通路空間の内部において無人航空機が墜落した場合であっても、通路空間よりも下側まで無人航空機が落下することを回避し易い。また、通路空間を介した上下方向の気体の流れが生じることが好ましくない場合に、そのような流れを制限することができる。
【0086】
一態様として、前記気圧制御システムは、前記無人航空機の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記通路空間における上下方向の複数個所の気圧を検出する気圧検出部と、を備え、前記位置情報取得部により取得した前記位置情報と前記気圧検出部の検出結果とに基づいて前記通路空間内の気圧の制御を行うと好適である。
【0087】
本構成によれば、無人航空機の位置に応じて、無人航空機よりも上側の気圧が、無人航空機よりも下側の気圧よりも低くなるように適切に制御することができる。
【0088】
一態様として、前記通路空間は、下側へ向かうに従って水平方向の一方側へ向かう方向に傾斜した柱状に形成されていると好適である。
【0089】
本構成によれば、無人航空機が下降する場合に、回転翼式の無人航空機が自分自身のダウンウォッシュに落ち込み揚力を失う状態であるボルテックス・リング・ステートが生じることを回避し易い。従って、無人航空機が下降する場合の飛行状態を安定させ易い。
【符号の説明】
【0090】
10 :運用設備
11 :無人航空機
24 :区画壁
30 :通路空間
32 :筒状壁
34d :下側開閉扉(開閉扉)
34m :中部開閉扉(開閉扉)
34u :上側開閉扉(開閉扉)
40 :気圧制御システム
41u :上部気圧センサ(気圧検出部)
41d :下部気圧センサ(気圧検出部)
42 :排気ユニット
52 :給気ユニット
60 :位置情報取得部
61 :上部扉センサ(第1検知部)
62 :排気側上部センサ(第1検知部)
63 :排気側下部センサ(第1検知部)
67 :給気側上部センサ(第2検知部)
68 :給気側下部センサ(第2検知部)
69 :下部扉センサ(第2検知部)
E1 :第1領域
E2 :第2領域