(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037478
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無人航空機の運用システム
(51)【国際特許分類】
B64F 3/00 20060101AFI20240312BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240312BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20240312BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20240312BHJP
B64D 27/24 20240101ALI20240312BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B64F3/00
B64C39/02
B64C27/08
B64F1/12
B64D27/24
B64D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142371
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】武野 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】新田 聡
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀基
(57)【要約】
【課題】電波を用いた測位システムの利用が困難な場所においても、無人航空機の位置を判定することができる無人航空機の運用システムを実現する。
【解決手段】運用システム10は、接続線13と、接続線13に張力を作用させる巻取装置14と、接続線13の繰り出し量を検出する繰出量検出部34と、接続線13の被検出部13aに作用する力の方向を検出する方向検出部35と、無人航空機20の位置を判定する位置判定部52と、を備え、位置判定部52は、繰出量検出部34の検出結果に基づいて予め定められた基準位置から無人航空機20までの距離を判定し、方向検出部35の検出結果に基づいて被検出部13aを基準とした無人航空機20の方位を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の運用システムであって、
前記無人航空機に接続された接続部を備える接続線と、
前記接続線の余剰部分を巻き取り、前記接続線に張力を作用させる巻取装置と、
前記巻取装置による前記接続線の繰り出し量を検出する繰出量検出部と、
前記接続線における前記接続部と前記巻取装置との間の被検出部に作用する力の方向を検出する方向検出部と、
前記無人航空機の位置を判定する位置判定部と、
を備え、
前記位置判定部は、前記繰出量検出部の検出結果に基づいて予め定められた基準位置から前記無人航空機までの距離を判定し、前記方向検出部の検出結果に基づいて前記被検出部を基準とした前記無人航空機の方位を判定する、無人航空機の運用システム。
【請求項2】
前記接続線に作用する張力の大きさを検出する張力検出部と、
前記無人航空機の状態を判定する状態判定部と、
を更に備え、
前記状態判定部は、前記張力検出部により検出された張力が予め定められた墜落判定基準値以上となった場合に、前記無人航空機が墜落したと判定する、請求項1に記載の無人航空機の運用システム。
【請求項3】
前記巻取装置を制御する巻取制御部を更に備え、
前記巻取制御部は、前記状態判定部により前記無人航空機が墜落したと判定した場合には、前記接続線を巻き取る回収処理を実行する、請求項2に記載の無人航空機の運用システム。
【請求項4】
前記接続線に作用する張力の大きさを検出する張力検出部と、
前記無人航空機の状態を判定する状態判定部と、
前記無人航空機を制御する航空機制御部と、
を更に備え、
前記状態判定部は、前記航空機制御部により前記無人航空機に離陸指令が出されているにも関わらず、前記張力検出部により検出された張力が予め定められた飛行判定基準値未満である場合には、前記無人航空機が離陸していないと判定する、請求項1に記載の無人航空機の運用システム。
【請求項5】
電源と、
前記接続線と一体的に構成された電力線と、
を更に備え、
前記電源と前記無人航空機の被給電部とが、前記電力線により接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機の運用システム。
【請求項6】
前記無人航空機が離着陸する離着陸ポートを更に備え、
前記離着陸ポートは、前記巻取装置及び前記方向検出部の少なくとも一方と、上下方向視で重複するように配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機の運用システム。
【請求項7】
前記無人航空機が離着陸する離着陸ポートを更に備え、
前記無人航空機は、上下方向に延在する筒状壁に囲まれた通路空間において飛行して物品を搬送するように構成され、
前記離着陸ポートは、前記通路空間につながる位置に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の無人航空機の運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機の運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機の運用システムが知られている。特許文献1には、RTK-GNSS測位を用いて基地局が無人航空機の正確な位置を提供する無人航空機の運用システムが開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1では、無人航空機(100)及び基地局(404)が、GPS等の測位衛星(410)と通信を行うことで、無人航空機(100)及び基地局(404)の座標を取得する。このため、建造物の内部等のように、電波を用いた測位システムの利用が困難な場所では、無人航空機の位置を判定することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、電波を用いた測位システムの利用が困難な場所においても、無人航空機の位置を判定することができる無人航空機の運用システムを実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る無人航空機の運用システムは、無人航空機の運用システムであって、前記無人航空機に接続された接続部を備える接続線と、前記接続線の余剰部分を巻き取り、前記接続線に張力を作用させる巻取装置と、前記巻取装置による前記接続線の繰り出し量を検出する繰出量検出部と、前記接続線における前記接続部と前記巻取装置との間の被検出部に作用する力の方向を検出する方向検出部と、前記無人航空機の位置を判定する位置判定部と、を備え、前記位置判定部は、前記繰出量検出部の検出結果に基づいて予め定められた基準位置から前記無人航空機までの距離を判定し、前記方向検出部の検出結果に基づいて前記被検出部を基準とした前記無人航空機の方位を判定する。
【0007】
本構成によれば、繰出量検出部により検出された接続線の繰り出し量に基づいて無人航空機までの距離を判定することができると共に、方向検出部により検出された接続線の被検出部に作用する力の方向に基づいて無人航空機の方位を判定することができる。従って、これらの距離と方位とに基づいて無人航空機の位置を判定することができる。このため、例えば、建造物の内部、地下、トンネル内部、建造物の影等のように、電波を遮蔽する遮蔽物があるために、GPSなどの電波を用いた測位システムの利用が困難な場所においても、無人航空機の位置を判定することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る無人航空機の運用システムを示す図
【
図2】
図1の離着陸ポートに無人航空機が着陸している状態を示す図
【
図4】
図1の離着陸ポートが配置された建物を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、実施形態に係る無人航空機20の運用システム10について、図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、運用システム10における離着陸ポート18の側面図である。
図1は、無人航空機20が飛行している状態を示し、
図2は、離着陸ポート18に無人航空機20が着陸している状態を示している。無人航空機20の運用システム10は、例えば、工場、倉庫、船舶等の施設や無人航空機20が離着陸可能な搬送車両に用いられる。本実施形態では、運用システム10は、無人航空機20が離着陸する離着陸ポート18を備えている。
【0011】
運用システム10は、無人航空機20に接続された接続部12を備える接続線13と、接続線13の余剰部分を巻き取り、接続線13に張力を作用させる巻取装置14とを備えている。図示の例では、運用システム10は、巻取装置14が収容されるケース40を有している。ここで、鉛直方向に沿う方向を上下方向Zとし、水平方向のうちの一方向を第1方向Xとし、上下方向視で第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとする。また、無人航空機20が飛行する空間を飛行空間Sとする。
【0012】
無人航空機20としては、例えば、遠隔操作或いは自律飛行が可能な固定翼機や回転翼機が用いられる。本実施形態では、無人航空機20は垂直離着陸可能な電動式の回転翼機である。好適には、無人航空機20は自律飛行が可能なマルチコプター(所謂ドローン)である。
【0013】
本実施形態では、無人航空機20は、物品Wの保持及び当該保持の解除が可能である物品保持部23を備えている。また、無人航空機20は、物品保持部23により保持された物品Wよりも上側に位置する本体部22を備えている。本体部22は、無人航空機20の飛行機能を実現するための部分である。本体部22には、推進力や揚力を発生させる機構が設けられる。本体部22は、例えば、回転翼21及び回転翼21を駆動する電動機を備える。また、物品保持部23は、物品Wを吊り下げた状態で保持するように構成されている。図示の例では、接続部12は本体部22又は物品保持部23から少なくとも水平方向に突設されている。このようにすれば、無人航空機20が本体部22の下側に物品保持部23を有し、本体部22の上側に回転翼21を有する場合であっても、接続線13が物品保持部23や回転翼21に絡まることを低減しつつ張力を作用させ易い。
【0014】
図3は、接続線13を拡大して示す部分断面図である。接続線13としては、例えば金属製のワイヤや外皮を有するケーブル等が用いられる。本実施形態では、運用システム10は、接続線13と一体的に構成された電力線15を備えている。接続線13と電力線15とは並列に設けられてもよく、更に接続線13と電力線15とが撚られていても良い。図示の例では、接続線13であるケーブルに被覆電線である電力線15やデータ伝送用の配線17が内蔵されている。接続線13は、無人航空機20及び後述の物品Wの最大重量に耐えうることが望ましい。
【0015】
本実施形態では、運用システム10は、電源16を備えている。電源16はケース40に収容されていてもよく、ケース40の外に設置されていてもよい。電源16は、例えば、停電などによって電力が断たれた場合にも無人航空機20に電力を供給し続ける無停電電源装置である。
【0016】
本実施形態では、無人航空機20は、被給電部25を備えている。また、電源16と無人航空機20の被給電部25とは、電力線15により接続されている。これにより、接続線13と一体的に構成された電力線15を介して、電源16からの電力が常時無人航空機20に供給される。被給電部25としては、無人航空機20に搭載された電動機、蓄電池、各種センサ等に安定的に電力を供給する電源ユニットが例として挙げられる。
【0017】
本実施形態では、運用システム10は、接続線13に作用する張力の大きさを検出する張力検出部32を備えている。また、運用システム10は、巻取装置14による接続線13の繰り出し量を検出する繰出量検出部34を備えている。また、運用システム10は、接続線13における接続部12と巻取装置14との間の被検出部13aに作用する力の方向を検出する方向検出部35を備えている。図示の例では、方向検出部35は、繰出量検出部34と接続部12との間(繰出量検出部34に対し飛行空間S側)に配置され、接続線13の被検出部13aと接触して被検出部13aに作用する力の方向を検出する。好適には、方向検出部35は、張力検出部32と接続部12との間(張力検出部32に対し飛行空間S側)に配置される。
【0018】
本実施形態では、方向検出部35は、方向検出部35と被検出部13aとが接触することにより発生する圧力、変位等から、被検出部13aに作用する力の方向を検出する。方向検出部35に用いるセンサとしては、圧電式、光学式、電気抵抗式、静電容量式等、各種方式の力覚センサが例として挙げられる。また、例えば、図示しない複数のテンションプーリにそれぞれ設けられた力覚センサが張力検出部32及び方向検出部35として機能する構成であってもよい。図示の例では、張力検出部32と繰出量検出部34と方向検出部35とがケース40に収容されている。
【0019】
本実施形態では、離着陸ポート18は、巻取装置14及び方向検出部35の少なくとも一方と、上下方向視で重複するように配置されている。このようにすれば、離着陸ポート18が巻取装置14及び方向検出部35の双方と上下方向視で重複しないように配置されている場合に比べて、運用システム10の設置場所を小さく抑え易い。図示の例では、離着陸ポート18は、方向検出部35と上下方向視で重複するように配置されている。また、離着陸ポート18がケース40と一体的に設けられている。図示の例では、離着陸ポート18は、方向検出部35や巻取装置14よりも下側に設けられているが方向検出部35や巻取装置14よりも上側に設けられていてもよい。上側に設けられた場合には、接続線13が回転翼21に絡まることを低減し易くなる。
【0020】
本実施形態では、運用システム10は、制御装置50を備えている。本実施形態では、制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の当該演算処理装置が参照可能な主記憶装置と、を備えている。制御装置50の各機能は、制御装置50が備えるハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により実現される。具体的には、制御装置50が、記憶装置(主記憶装置や別途設けられた記憶部等)に記憶されているプログラムを実行することで、制御装置50の各機能が実現される。言い換えれば、制御装置50の各機能をコンピュータに実現させるためのプログラム(例えば、搬送制御プログラム)は、当該コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。このプログラムは、例えば、記憶媒体により提供され、或いは、通信ネットワークを介して提供される。そして、提供されたプログラムは、コンピュータが参照可能な記憶装置に記憶される。本実施形態では、制御装置50(具体的には、制御装置50が備える演算処理装置)が「コンピュータ」として機能する。好適には、制御装置50は、図示しない制御室に設置された上位制御装置であるが、制御装置50が無人航空機20に設けられてもよい。また、制御装置50が互いに通信可能に分離された複数のハードウェアを備える場合、一部のハードウェアが無人航空機20に設けられ、残りのハードウェアが図示しない制御室に設置されていてもよい。
【0021】
本実施形態では、運用システム10は、無人航空機20の位置を判定する位置判定部52を備えている。また、運用システム10は、無人航空機20の状態を判定する状態判定部54を備えている。また、運用システム10は、巻取装置14を制御する巻取制御部56を備えている。また、運用システム10は、無人航空機20を制御する航空機制御部58を備えている。
図1に示す例では、制御装置50に位置判定部52と状態判定部54と巻取制御部56と航空機制御部58とが備えられている。
【0022】
本実施形態では、位置判定部52は、繰出量検出部34の検出結果に基づいて予め定められた基準位置から無人航空機20までの距離を判定する。また、位置判定部52は、方向検出部35の検出結果に基づいて被検出部13aを基準とした無人航空機20の方位を判定する。位置判定部52が用いる基準位置は、被検出部13aの位置であってもよく、巻取装置14やケース40に設定されていてもよい。また、位置判定部52が繰出量検出部34の検出結果及び方向検出部35の検出結果と、その他の情報とを用いて無人航空機20までの距離及び無人航空機20の方位を判定してもよい。その他の情報としては、GPS(Global Positioning System)、RTK(Realtime Kinematic)、撮像装置により撮像された画像の処理により得られた座標情報、赤外線センサ等の光学式センサ、超音波式センサ等により得られた位置情報等が例として挙げられる。
【0023】
本実施形態では、状態判定部54は、航空機制御部58により無人航空機20に離陸指令が出されているにも関わらず、張力検出部32により検出された張力が予め定められた飛行判定基準値未満である場合には、無人航空機20が離陸していないと判定する。また、制御装置50は、無人航空機20が離陸していないと状態判定部54が判定した場合に管理者に通知を行う。航空機制御部58は、無人航空機20を接続線13であるケーブルに内蔵されたデータ伝送用の配線17を用いて制御してもよく、無線で無人航空機20を制御してもよい。また、接続線13の軽量化や無線制御の回避のために電力線15を用いて電力線通信(PLC)で無人航空機20を制御する構成としてもよい。
【0024】
本実施形態では、状態判定部54は、張力検出部32により検出された張力が予め定められた墜落判定基準値以上となった場合に、無人航空機20が墜落したと判定する。また、制御装置50は、無人航空機20が墜落したと状態判定部54が判定した場合に管理者に通知を行う。
【0025】
本実施形態では、また、巻取制御部56は、状態判定部54により無人航空機20が墜落したと判定された場合には、接続線13を巻き取る回収処理を実行する。また、制御装置50は、巻取制御部56が回収処理を実行後に予め定められた回収処理時間内に巻取制御部56が回収処理を完了しなかった場合に管理者に通知する。また、制御装置50は、巻取制御部56が回収処理を完了した場合に管理者に通知する。
【0026】
図4は、離着陸ポート18が配置された建物を示す図である。本実施形態では、無人航空機20は、上下方向Zに延在する筒状壁62に囲まれた通路空間S1において飛行して物品Wを搬送するように構成され、離着陸ポート18は、通路空間S1につながる位置に配置されている。また、方向検出部35が通路空間S1の上下方向Zにおける中央より上部に設けられている。また、巻取装置14及び方向検出部35が収容されたケース40が通路空間S1の最上部に設けられている。このようにすれば、巻取制御部56による回収処理により無人航空機20が墜落した場合に地面への衝突を回避し易い。好適には、接続線13の最大繰り出し量が無人航空機20及び物品Wが通路空間S1の最下部に配置される底面に接しない値であることが望ましい。
【0027】
本実施形態では、通路空間S1には、無人航空機20の離着陸及び物品Wの授受が可能な搬送装置61が設けられている。搬送装置61は物品Wを通路空間S1の内側と外側との間で搬送できる。なお、搬送装置61は無人航空機20の離着陸及び物品Wの授受のどちらか一方のみ可能であってもよい。搬送装置61が物品Wの授受が可能であれば、通路空間S1に沿った上下方向Zの複数個所に搬送装置61が設けられることが望ましい。このようにすれば、安定的に飛行する無人航空機20により物品Wを上下方向Zに搬送することができる。従って、例えば建物の複数階にわたって物品Wを効率良く搬送することができる。
【0028】
〔その他の実施形態〕
次に、運用システム10のその他の実施形態について説明する。
【0029】
(1)上記の実施形態では、運用システム10が接続線13と一体的に構成された電力線15を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、例えば、運用システム10が接続線13を備えるが電力線15を備えず、無人航空機20が蓄電池を備えその蓄電池の電力により飛行する構成であってもよい。また、離着陸ポート18に無線式の給電部を備える構成であってもよい。また、無人航空機20が物品Wを搬送できない構成であってもよい。
【0030】
(2)上記の実施形態では、運用システム10が張力検出部32と状態判定部54とを備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、運用システム10が張力検出部32及び状態判定部54を備えない構成であってもよい。また、運用システム10が張力検出部32を備えず、状態判定部54が撮像装置により撮像された画像に基づいて無人航空機20の墜落を判定する構成であってもよい。
【0031】
(3)上記の実施形態では、巻取装置14が収容されるケース40に張力検出部32と繰出量検出部34と方向検出部35とが収容され、離着陸ポート18がケース40と一体に設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、張力検出部32、繰出量検出部34、方向検出部35等がケース40の外に配置されてもよい。また、方向検出部35とケース40と離着陸ポート18とがそれぞれ離れて配置されていてもよい。また、運用システム10がケース40及び離着陸ポート18を備えてなくてもよい。また、張力検出部32が無人航空機20に備えられてもよい。また、方向検出部35が無人航空機20に備えられてもよい。
【0032】
(4)上記の実施形態では、運用システム10が巻取装置14を制御する巻取制御部56を備える構成を例として説明した。しかし、そのような例に限定されることなく、運用システム10が巻取制御部56を備えず、例えば、巻取装置14に備えられた弾性部材の弾性力により接続線13の余剰部分を巻き取り、接続線13に張力を作用させる構造であってもよい。
【0033】
(5)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0034】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した無人航空機の運用設備について説明する。
【0035】
本開示に係る無人航空機の運用システムは、無人航空機の運用システムであって、前記無人航空機に接続された接続部を備える接続線と、前記接続線の余剰部分を巻き取り、前記接続線に張力を作用させる巻取装置と、前記巻取装置による前記接続線の繰り出し量を検出する繰出量検出部と、前記接続線における前記接続部と前記巻取装置との間の被検出部に作用する力の方向を検出する方向検出部と、前記無人航空機の位置を判定する位置判定部と、を備え、前記位置判定部は、前記繰出量検出部の検出結果に基づいて予め定められた基準位置から前記無人航空機までの距離を判定し、前記方向検出部の検出結果に基づいて前記被検出部を基準とした前記無人航空機の方位を判定する。
【0036】
本構成によれば、繰出量検出部により検出された接続線の繰り出し量に基づいて無人航空機までの距離を判定することができると共に、方向検出部により検出された接続線の被検出部に作用する力の方向に基づいて無人航空機の方位を判定することができる。従って、これらの距離と方位とに基づいて無人航空機の位置を判定することができる。このため、例えば、建造物の内部、地下、トンネル内部、建造物の影等のように、電波を遮蔽する遮蔽物があるために、GPSなどの電波を用いた測位システムの利用が困難な場所においても、無人航空機の位置を判定することができる。
【0037】
ここで、前記接続線に作用する張力の大きさを検出する張力検出部と、前記無人航空機の状態を判定する状態判定部と、を更に備え、前記状態判定部は、前記張力検出部により検出された張力が予め定められた墜落判定基準値以上となった場合に、前記無人航空機が墜落したと判定すると好適である。
【0038】
本構成によれば、接続線に作用する張力の大きさに基づいて、無人航空機が正常に飛行しているか墜落したかを判定することができる。
【0039】
また、前記巻取装置を制御する巻取制御部を更に備え、前記巻取制御部は、前記状態判定部により前記無人航空機が墜落したと判定した場合には、前記接続線を巻き取る回収処理を実行すると好適である。
【0040】
本構成によれば、無人航空機が墜落した場合であっても、巻取装置により接続線を巻き取ることで、無人航空機を容易に回収することができる。
【0041】
また、前記接続線に作用する張力の大きさを検出する張力検出部と、前記無人航空機の状態を判定する状態判定部と、前記無人航空機を制御する航空機制御部と、を更に備え、前記状態判定部は、前記航空機制御部により前記無人航空機に離陸指令が出されているにも関わらず、前記張力検出部により検出された張力が予め定められた飛行判定基準値未満である場合には、前記無人航空機が離陸していないと判定すると好適である。
【0042】
本構成によれば、航空機制御部による無人航空機に対する指令と接続線に作用する張力の大きさとに基づいて、無人航空機が正常に離陸したか否かを判定することができる。
【0043】
また、電源と、前記接続線と一体的に構成された電力線と、を更に備え、前記電源と前記無人航空機の被給電部とが、前記電力線により接続されていると好適である。
【0044】
本構成によれば、接続線と一体的に構成された電力線を介して、電源からの電力を常時無人航空機に供給することができる。
【0045】
また、前記無人航空機が離着陸する離着陸ポートを更に備え、前記離着陸ポートは、前記巻取装置及び前記方向検出部の少なくとも一方と、上下方向視で重複するように配置されていると好適である。
【0046】
本構成によれば、離着陸ポートが巻取装置及び方向検出部の双方と上下方向視で重複しないように配置されている場合に比べて、この運用システムの設置場所を小さく抑え易い。
【0047】
また、前記無人航空機が離着陸する離着陸ポートを更に備え、前記無人航空機は、上下方向に延在する筒状壁に囲まれた通路空間において飛行して物品を搬送するように構成され、前記離着陸ポートは、前記通路空間につながる位置に配置されていると好適である。
【0048】
無人航空機が筒状壁に囲まれた通路空間において飛行して物品を搬送するような場合には、当該筒状壁が電波を遮蔽するために電波を用いて位置を判定して無人航空機を運用することが難しい。しかし、本構成によれば筒状壁に囲まれた通路空間であっても、適切に無人航空機の位置を判定して当該無人航空機を運用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 :運用システム
12 :接続部
13 :接続線
13a :被検出部
14 :巻取装置
15 :電力線
16 :電源
18 :離着陸ポート
20 :無人航空機
25 :被給電部
32 :張力検出部
34 :繰出量検出部
35 :方向検出部
52 :位置判定部
54 :状態判定部
56 :巻取制御部
58 :航空機制御部
62 :筒状壁