(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037499
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】照明用カバー
(51)【国際特許分類】
E04B 9/32 20060101AFI20240312BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20240312BHJP
E04B 9/06 20060101ALI20240312BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240312BHJP
F21V 1/14 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
E04B9/32
E04B9/00 H
E04B9/06 A
F21V17/00 155
F21V1/14 115
F21V1/14 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142401
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉村 茂久
(72)【発明者】
【氏名】金子 研
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 英一
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠己
(72)【発明者】
【氏名】牧村 将吾
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011EA08
3K011GA02
(57)【要約】
【課題】隣り合うカバーフレームの目地を目立たなくすることを目的とする。
【解決手段】照明用カバー40は、目地Mを介して隣接するとともに、目地Mの縁部を構成する透光部52をそれぞれ有する一対のカバーフレーム50と、一対のカバーフレーム50にそれぞれ取り付けられる透光性膜材70と、目地Mの奥側に配置され、該目地Mを塞ぐとともに、外面80Aが透光性膜材70と同系色とされた塞ぎ材80と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地を介して隣接するとともに、前記目地の縁部を構成する透光部をそれぞれ有する一対のカバーフレームと、
一対の前記カバーフレームにそれぞれ取り付けられる透光性カバー材と、
前記目地の奥側に配置され、該目地を塞ぐとともに、外面が前記透光性カバー材と同系色とされた塞ぎ材と、
を備える照明用カバー。
【請求項2】
前記塞ぎ材は、クッション材によって形成される、
請求項1に記載の照明用カバー。
【請求項3】
前記塞ぎ材は、一対の前記カバーフレームの一方の外側面に沿って取り付けられ、又は一対の前記カバーフレームの両方の外側面に沿ってそれぞれ取り付けられる、
請求項2に記載の照明用カバー。
【請求項4】
前記目地の幅が、5mm以下とされる、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の照明用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の光を透過する不燃膜材を備える光膜天井が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、Tバーを備える天井材の支持構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、対向する透光パネル部材を備える移動間仕切壁装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-101715号公報
【特許文献2】特開2005-282005号公報
【特許文献3】特開2019-218693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、照明器具の光を透過する光天井や光壁では、例えば、枠状のカバーフレームに、光を透過する透光性カバー材が取り付けられる。
【0007】
しかしながら、この場合、隣接するカバーフレームの目地部が目立ち易く、意匠性が低下する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、隣り合うカバーフレームの目地を目立たなくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の照明用カバーは、目地を介して隣接するとともに、前記目地の縁部を構成する透光部をそれぞれ有する一対のカバーフレームと、一対の前記カバーフレームにそれぞれ取り付けられる透光性カバー材と、前記目地の奥側に配置され、該目地を塞ぐとともに、外面が前記透光性カバー材と同系色とされた塞ぎ材と、を備える。
【0010】
請求項1に係る照明用カバーによれば、一対のカバーフレームは、目地を介して隣接する。また、一対のカバーフレームは、目地の縁部を構成する透光部をそれぞれ有する。この一対のカバーフレームには、透光性カバー材がそれぞれ取り付けられる。また、目地の奥側には、塞ぎ材が配置される。塞ぎ材は、目地を塞ぐとともに、外面が透光性カバー材と同系色とされる。
【0011】
ここで、照明器具の光は、透光性カバー材を透過するため、透光性カバー材が明るくなる。また、照明器具の光は、目地の縁部を構成する一対のカバーフレームの透光部を透過する。そのため、目地の縁部が、透光性カバー材と同様に、明るくなるため、目地が目立たなくなる。
【0012】
また、前述したように、塞ぎ材は、一対のカバーフレームの目地の奥側に配置される。これにより、透光性カバー材の内面(裏面)で反射した照明器具の光が、透光部を介して塞ぎ材の外面に入射する。これにより、塞ぎ材の外面が、透光性カバー材と同様に、明るくなるため、目地がさらに目立たなくなる。
【0013】
さらに、塞ぎ材の外面を透光性カバー材と同系色にすることにより、塞ぎ材の外面が透光性カバー材と同系色でない場合と比較して、目地がさらに目立たなくなる。
【0014】
請求項2に記載の照明用カバーは、請求項1に記載の照明用カバーにおいて、前記塞ぎ材は、クッション材によって形成される。
【0015】
請求項2に係る照明用カバーによれば、塞ぎ材が、クッション材によって形成される。これにより、一対のカバーフレームの外側面間で塞ぎ材を挟み込むことにより、一対のカバーフレームの目地を隙間なく塞ぐことができる。
【0016】
請求項3に記載の照明用カバーは、請求項2に記載の照明用カバーにおいて、前記塞ぎ材は、一対の前記カバーフレームの一方の外側面に沿って取り付けられ、又は一対の前記カバーフレームの両方の外側面に沿ってそれぞれ取り付けられる。
【0017】
請求項3に係る照明用カバーによれば、一対のカバーフレームの一方の外側面に沿って塞ぎ材を取り付け、又は一対のカバーフレームの両方の外側面に沿って塞ぎ材をそれぞれ取り付けることにより、一対のカバーフレームの施工と同時に、一対のカバーフレームの目地に塞ぎ材を配置することができる。したがって、塞ぎ材の施工性が向上する。
【0018】
請求項4に記載の照明用カバーは、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の照明用カバーにおいて、前記目地の幅が、5mm以下とされる。
【0019】
請求項4に係る照明用カバーによれば、目地の幅を5mm以下にすることにより、一対のカバーフレームの目地がさらに目立たなくなる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、隣り合うカバーフレームの目地を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る照明装置を下から見上げた下面図である。
【
図2】下地フレームから照明用カバーを取り外した状態を示す
図1の2-2線断面図に対応する断面図である。
【
図3】下地フレームに照明用カバーを取り付けた状態を示す
図2の一部拡大断面図に対応する断面図である。
【
図4】下地フレームから照明用カバーを取り外した状態を示す
図2の一部拡大断面図に対応する断面図である。
【
図5】一実施形態に係る照明装置の変形例であって、下地フレームに照明用カバーを取り付けた状態を示す
図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
【0023】
(照明装置)
図1及び
図2には、本実施形態に係る照明装置10が示されている。照明装置10は、光天井(光膜天井)とされている。この照明装置10は、複数の照明器具20と、下地フレーム30と、複数の照明用カバー40とを備えている。
【0024】
(照明器具)
図2に示されるように、複数の照明器具20は、例えば、蛍光灯や電球とされており、間隔を空けて配列されている。これらの照明器具20は、例えば、図示しないスラブや梁等の躯体に支持された照明用下地材22に取り付けられている。この照明器具20の下方には、下地フレーム30が配置されている。
【0025】
(下地フレーム)
下地フレーム30は、アルミ型材等を接合することにより、格子状に形成されている。また、下地フレーム30は、前述した図示しないスラブや梁等の躯体に、吊りボルト32及びハンガー34を介して略水平に吊り下げられている。この下地フレーム30には、複数の照明用カバー40が着脱可能に取り付けられている。
【0026】
(照明用カバー)
照明用カバー40は、カバーフレーム50と、透光性膜材70と、塞ぎ材80とを有している。なお、透光性膜材70は、透光性カバー材の一例である。
【0027】
カバーフレーム50は、アルミ型材を接合することにより、矩形枠状に形成されている。また、カバーフレーム50の平面形状及び大きさは、下地フレーム30と同様とされている。このカバーフレーム50は、複数の取付ばね60を介して下地フレーム30に着脱可能に取り付けられている。
【0028】
具体的には、カバーフレーム50の各辺には、取付ばね60が設けられている。取付ばね60は、V字形状を成す一対の可動アーム60Aを有している。一対の可動アーム60Aは、弾性変形に伴って開閉する。
【0029】
一方、下地フレーム30には、複数の受け金具36が設けられている。複数の受け金具36は、取付ばね60と対向する位置に配置されている。また、各受け金具36には、貫通孔が形成されている。この貫通孔に、閉じた状態の一対の可動アーム60Aを挿入した後、一対の可動アーム60Aを復元させる(開く)ことにより、受け金具36に取付ばね60が取り付けられる。
【0030】
なお、下地フレーム30に対するカバーフレーム50の取付構造は、取付ばね60に限らず、例えば、ボルト接合等でも良い。
【0031】
図3に示されるように、カバーフレーム50の下端側(一端側)の断面形状は、下側(一端側)、かつ、外側へ向けて先細りになる三角形状とされている。このカバーフレーム50の下端側は、透光性を有する透光部52とされている。透光部52は、例えば、アクリル樹脂等によって形成されており、後述する目地Mの縁部を構成している。
【0032】
カバーフレーム50には、透光性を有する透光性膜材70が取り付けられている。透光性膜材70は、例えば、ガラスクロス等によって形成されている。この透光性膜材70は、枠状のカバーフレーム50の内側の開口を塞ぐように、カバーフレーム50の透光部52に下側から覆い被せられている。
【0033】
透光性膜材70の外周部は、カバーフレーム50の外側面50Sに沿って折り返されている。この透光性膜材70の外周端部には、クリップ72が取り付けられている。
【0034】
クリップ72は、カバーフレーム50の上端側(他端側)に形成された溝部54に配置されている。このクリップ72をカバーフレーム50にボルト56によって固定することにより、透光性膜材70がカバーフレーム50の下面側に張り渡された状態で、取り付けられている。
【0035】
ここで、隣接する一対のカバーフレーム50の間には、目地Mが形成されている。目地Mは、例えば、幅Wが3mm以上、5mm以下とされている。この目地Mの縁部は、一対のカバーフレーム50の透光部52によって構成されている。また、目地Mの内部には、一対の塞ぎ材80が配置されている。
【0036】
なお、目地Mの幅Wは、3mm以上、5mm以下に限らず、例えば、5mmよりも広くても良い。
【0037】
一対の塞ぎ材80は、透光性膜材70と同系色のスポンジ等のクッション材によって形成されており、一対のカバーフレーム50の透光部52よりも目地Mの奥側に配置されている。また、一対の塞ぎ材80は、一対のカバーフレーム50の外側面50Sに沿ってそれぞれ配置されており、当該外側面50Sに接着剤等によって接合されている。
【0038】
一対の塞ぎ材80は、目地Mの内部において、外側面80Sが互いに圧接され、圧縮した状態で、当該目地Mを隙間なく塞いでいる。この一対の塞ぎ材80によって、目地Mの奥側が隠されている。なお、
図4には、一例として、圧縮前の一対の塞ぎ材80が示されている。
【0039】
一対の塞ぎ材80の外面80Aは、透光性膜材70と同系色とされている。これにより、一対の塞ぎ材80が目立ち難くなっている。なお、本実施形態では、透光性膜材70及び塞ぎ材80が、白色又は乳白色とされている。
【0040】
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0041】
図3に示されるように、本実施形態によれば、隣接する一対の照明用カバー40のカバーフレーム50は、目地Mを介して隣接して配置されている。また、一対のカバーフレーム50は、目地Mの縁部を構成する透光部52をそれぞれ有している。
【0042】
一対のカバーフレーム50には、透光性膜材70がそれぞれ取り付けられる。また、目地Mの奥側には、一対の塞ぎ材80が配置されている。一対の塞ぎ材80は、目地Mを塞ぐとともに、外面80Aが透光性膜材70と同系色とされている。
【0043】
ここで、照明器具20の光Lは、透光性膜材70を透過するため、透光性膜材70が明るくなる。また、照明器具20の光Lは、目地Mの縁部を構成する一対のカバーフレーム50の透光部52を透過する。そのため、目地Mの縁部が、透光性膜材70と同様に、明るくなるため、目地Mが目立たなくなる。
【0044】
また、前述したように、塞ぎ材80は、一対のカバーフレーム50の目地Mの奥側に配置されている。これにより、透光性膜材70の内面(裏面)で反射した照明器具20の光Lが、透光部52を介して塞ぎ材80の外面80Aに入射する。これにより、塞ぎ材80の外面80Aが、透光性膜材70と同様に、明るくなるため、目地Mがさらに目立たなくなる。
【0045】
さらに、一対の塞ぎ材80の外面80Aを透光性膜材70と同系色にすることにより、一対の塞ぎ材80の外面80Aが透光性膜材70とが同系色でない場合と比較して、目地Mがさらに目立たなくなる。
【0046】
しかも、一対のカバーフレーム50の目地Mの幅Wは、5mm以下とされている。これにより、一対のカバーフレーム50の目地Mがさらに目立たなくなる。
【0047】
また、一対の塞ぎ材80は、クッション材によって形成されている。これにより、一対のカバーフレーム50の外側面50S間で塞ぎ材80を挟み込むことにより、一対のカバーフレーム50の目地Mを隙間なく塞ぐことができる。この際、一対の塞ぎ材80を圧縮させることにより、一対のカバーフレーム50の施工誤差も吸収することができる。
【0048】
さらに、一対のカバーフレーム50の外側面50Sに沿って塞ぎ材80をそれぞれ取り付けることにより、一対のカバーフレーム50の施工と同時に、一対のカバーフレーム50の目地Mに塞ぎ材80を配置することができる。したがって、一対の塞ぎ材80の施工性が向上する。
【0049】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0050】
上記実施形態では、一対の塞ぎ材80が、透光性膜材70と同系色のクッション材によって形成されている。しかし、一対の塞ぎ材80は、少なくとも外面80Aが、透光性膜材70と同系色であれば良く、例えば、一対の塞ぎ材80の外面80Aを、透光性膜材70と同系色の塗料で塗装しても良い。
【0051】
また、上記実施形態では、一対の塞ぎ材80が、クッション材によって形成されている。しかし、一対の塞ぎ材80は、クッション材に限らず、例えば、発泡材やゴム等の弾性体によって形成されても良い。
【0052】
また、上記実施形態では、一対のカバーフレーム50の外側面50Sに、一対の塞ぎ材80がそれぞれ取り付けられている。しかし、例えば、
図5に示される変形例のように、一対のカバーフレーム50のうち、一方のカバーフレーム50(例えば左側)の外側面50Sにのみ、目地Mの幅Wに応じた厚みの塞ぎ材82を取り付け、当該塞ぎ材82を一対のカバーフレーム50の外側面50S間で挟み込んでも良い。この塞ぎ材82の外面82Aによって、上記実施形態と同様に、目地Mを目立たなくすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、透光性カバー材が、透光性膜材70とされている。しかし、透光性カバー材は、照明器具20の光を透過可能であれば良く、例えば、透光性パネル材等でも良い。
【0054】
また、上記実施形態では、照明用カバー40が、光天井(光膜天井)に適用されている。しかし、上記実施形態に係る照明用カバー40は、光天井に限らず、光壁にも適宜適用可能である。
【0055】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
40 照明用カバー
50 カバーフレーム
50S 外側面(カバーフレームの外側面)
52 透光部
70 透光性膜材(透光性カバー材)
80 塞ぎ材
80A 外面(塞ぎ材の外面)
82 塞ぎ材
M 目地
W 幅(目地の幅)