IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タムロンの特許一覧

特開2024-375レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ
<>
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図1
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図2
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図3
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図4
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図5
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図6
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図7
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図8
  • 特開-レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000375
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20231225BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20231225BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20231225BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20231225BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231225BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/02 Z
G02B7/04 E
G02B7/08 Z
H04N5/225 300
H04N5/225 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099125
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】武田 義弘
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H044BD01
2H044BD11
2H044BD12
2H044BE02
2H044BE07
2H044BE10
2H044DA01
2H044DB02
2H044DD01
5C122DA04
5C122EA54
5C122FB03
5C122FB08
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】ボイスコイルモータの高推力化とレンズ駆動装置の小型化との両立を図る。
【解決手段】レンズホルダ(30)の外周壁側に、マグネット(38)に対向した平板状のコイル(40)が設けられ、コイル(40)は、ヨーク(36)内に光軸方向へ移動可能に挿通され、コイル(40)の両端部側は、ヨーク(36)からそれぞれ突出しており、コイル(40)の各端部側は、レンズ(20)の光軸に近づくように折曲げられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ鏡筒内に光軸方向へ移動可能に設けられ、レンズを保持するレンズホルダと、
前記レンズホルダを前記光軸方向へ移動させるためのボイスコイルモータと、を備え、
前記ボイスコイルモータは、
前記レンズ鏡筒の内周壁側に設けられ、内側に中空部を有したヨークと、
前記ヨークの内側面に設けられたマグネットと、
前記レンズホルダの外周壁側に設けられ、前記ヨーク内に前記光軸方向へ移動可能に挿通され、前記マグネットに対向した平板状のコイルと、を有し、
前記コイルの両端部側は、前記ヨークからそれぞれ突出しており、前記コイルの各端部側は、前記レンズの光軸に近づくように折曲げられている、レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズホルダの外周壁における前記ヨークに対向する部位に、切欠が前記レンズの径方向に直交する方向に沿って形成されている、請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記レンズホルダの外周壁に複数の取付部が周方向に間隔を置いて形成され、
前記レンズホルダの各取付部に前記光軸方向に平行な軸回りに傾動調節可能に設けられ、前記コイルの端部側を挟持する挟持部材を更に備える、請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記レンズホルダの各取付部は、断面円弧状の取付面を有し、各挟持部材は、前記レンズホルダの各取付部の前記取付面に嵌合して連結する断面円弧状の連結面を有している、請求項3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
各挟持部材は、前記コイルの端部側を挟持するための一対の爪部を有し、各爪部の内側に、前記コイルの端部側に当接する突起が形成されている、請求項3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
各挟持部材は、前記コイルの端部側を挟持するための一対の爪部を有し、前記一対の爪部のうち一方の爪部は、板バネによって構成されている、請求項3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
レンズ鏡筒と、
該レンズ鏡筒内に配設されたレンズと、
前記レンズを光軸方向へ移動させる請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置と、を備える、レンズユニット。
【請求項8】
カメラボディと、
該カメラボディに設けられた請求項7に記載のレンズユニットと、を備えるカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを光軸方向へ移動させるレンズ駆動装置、レンズユニット、及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ駆動装置の先行技術として特許文献1に示すものがある。その先行技術に係るレンズ駆動装置(特許文献1では電磁駆動装置と称される)は、レンズを保持するレンズホルダ(特許文献1では被駆動体と称される)を備える。レンズホルダは、レンズ鏡筒(特許文献1では鏡筒と称される)に光軸方向へ移動可能に設けられている。先行技術に係るレンズ駆動装置は、レンズホルダを光軸方向へ移動させるためのボイルコイルモータを備える。
【0003】
ボイスコイルモータは、レンズ鏡筒の内周壁側に対向して設けられた2つのヨーク板(特許文献1では第1ヨーク、第2ヨークと称される)と、一方のヨーク板に設けられたマグネットとを有している。ボイスコイルモータは、レンズホルダの外周壁側に設けられた平板状のコイル(特許文献1では可動コイルと称される)を有しており、コイルは、マグネットに対向している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-169073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、カメラ等に用いられるレンズ駆動装置については、ボイスコイルモータの高推力化、及びレンズ駆動装置の小型化の要請が強くなっている。一方、ボイスコイルモータの高推力化を図ろうとすると、ボイスコイルモータが大型化して、レンズ駆動装置の小型化を図ることが困難になる。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、ボイスコイルモータの高推力化とレンズ駆動装置の小型化との両立を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明の一態様に係るレンズ駆動装置は、レンズ鏡筒内に光軸方向へ移動可能に設けられ、レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光軸方向へ移動させるためのボイスコイルモータと、を備える。前記ボイスコイルモータは、前記レンズ鏡筒の内周壁側に設けられ、内側に中空部を有したヨークと、前記ヨークの内側面に設けられたマグネットと、前記レンズホルダの外周壁側に設けられ、前記ヨーク内に前記光軸方向へ移動可能に挿通され、前記マグネットに対向した平板状のコイルと、を有し、前記コイルの両端部側は、前記ヨークからそれぞれ突出しており、前記コイルの各端部側は、前記レンズの光軸に近づくように折曲げられている。
【0008】
また、本発明の一態様に係るレンズユニットは、レンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒内に配設されたレンズと、前記レンズを光軸方向へ移動させる本発明の一態様に係るレンズ駆動装置と、を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係るカメラは、カメラボディと、該カメラボディに設けられた本発明の一態様に係るレンズユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、ボイスコイルモータの高推力化とレンズ駆動装置の小型化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るカメラの模式的な側面図である。
図2】本実施形態に係るレンズ駆動装置の模式的な斜視図である。
図3図2に示すレンズ駆動装置の模式的な断面図である。
図4図3におけるIVの拡大図である。
図5】平板状のコイルにおける曲げる前の状態と曲げた後の状態を示す図である。
図6】挟持部材を説明するための模式的な図である。
図7】コイルの端部側の曲げ状態に応じて、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。
図8】コイルの端部側の曲げ状態に応じて、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。
図9】本実施形態の他の態様に係る挟持部材によってコイルの端部側を挟持した様子を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。「光軸」とは、フォーカスレンズ等のレンズの光軸又はレンズユニットの光軸のことをいう。「光軸方向」とは、光軸の軸方向のことをいい、本実施形態においては、前後方向のことである。「径方向」とは、フォーカスレンズ等のレンズの半径方向又はレンズ鏡筒の半径方向のことをいう。図面中、「OA」は光軸、「AD」は光軸方向、「FF」は前方向、「FR」は後方向をそれぞれ指している。
【0013】
〔本実施形態〕
図1を参照して、本実施形態に係るカメラの概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るカメラの模式的な側面図である。
【0014】
(カメラ10の概要)
図1に示すように、本実施形態に係るカメラ10は、カメラボディ12と、カメラボディ12に設けられたレンズユニット14とを備えている。レンズユニット14は、入射した光をカメラボディ12内のフィルム面(撮像素子面)Fに結像する。
【0015】
レンズユニット14は、カメラボディ12に設けられたレンズ鏡筒16を備えている。レンズ鏡筒16内には、複数の固定レンズ18が配設されている。レンズ鏡筒16内には、フォーカス調整するためのフォーカスレンズ20が光軸方向(前後方向)へ移動可能に配設されている。また、レンズユニット14は、フォーカスレンズ20を光軸方向へ移動させるレンズ駆動装置22を備えている。
【0016】
レンズ鏡筒16の外周壁には、フォーカスレンズ20の移動量を手動で操作するためのフォーカスリング24が回動可能に設けられている。撮影者がフォーカスリング24を回動操作すると、レンズ駆動装置22は、その操作量に基づいてフォーカスレンズ20を光軸方向へ移動させる。
【0017】
カメラボディ12の外壁には、自動フォーカスによる焦点合わせを行うためのレリーズボタン26が設けられている。撮影者がレリーズボタン26を半押しすると、レンズ駆動装置22は、カメラボディ12に内蔵した自動フォーカス制御部28からの制御信号に基づいて、被写体の像がフィルムFに合焦するようにフォーカスレンズ20を光軸方向へ移動させる。
【0018】
続いて、図2から図5を参照して、本実施形態に係るレンズ駆動装置22の概要について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るレンズ駆動装置の模式的な斜視図である。図3は、図2に示すレンズ駆動装置の模式的な断面図である。図4は、図3におけるIVの拡大図である。図5は、平板状のコイルにおける曲げる前の状態と曲げた後の状態を示す図である。図5のVAは、図5のVBにおけるA-A線に沿った断面図である。図5のVBは、平板状のコイルの曲げる前の状態を示す図である。図5のVCは、図5のVDにおけるC-C線に沿った断面図である。図5のVDは、平板状のコイルの曲げた後の状態を示す図である。
【0019】
(レンズ駆動装置22の概要、レンズホルダ30、ボイスコイルモータ34)
図2及び図3に示すように、本実施形態に係るレンズ駆動装置22は、前述のように、フォーカスレンズ20を光軸方向(前後方向)へ移動させる装置である。レンズ駆動装置22は、フォーカスレンズを保持するレンズホルダ30を備えている。レンズホルダ30は、一対のガイドロッド32を介してレンズ鏡筒16内に光軸方向へ移動可能に設けられている。レンズ駆動装置22は、レンズホルダ30を光軸方向へ移動させるための一対のボイスコイルモータ34を備えている。
【0020】
(ヨーク36)
図2から図4に示すように、各ボイスコイルモータ34は、レンズ鏡筒16の内周壁16i側に設けられた箱型のヨーク36を有している。ヨーク36は、その内側に、中空部36hを有している。各ヨーク36における径方向に直交する方向の両側は、それぞれ開口されている。各ヨーク36は、磁性材料により構成されている。なお、ヨーク36が中空部36hを有していれば、ヨーク36は箱型形状に限るものでなく、棚形状であってもよい。
【0021】
(マグネット38)
図3及び図4に示すように、各ボイスコイルモータ34は、ヨーク36における光軸方向に直交する方向の両内側面36iにそれぞれ設けられたマグネット38を有している。各ボイスコイルモータ34のヨーク36の中空部36hにおいて、一対のマグネット38は、異なる磁極が対向するように配置されている。各マグネット38は、矩形板状の永久磁石であり、ヨーク36の内側面36iに接着されるようにしてもよい。
【0022】
(コイル40)
図2から図5に示すように、各ボイスコイルモータ34は、レンズホルダ30の外周壁30e側に設けられた平板状のコイル40を有している。各コイル40は、環状(枠状)に形成されており、各コイル40の輪郭形状は、略矩形状に形成されている。各コイル40の巻線は、光軸方向に直交する軸回りに巻回されている。各コイル40は、2つのマグネット38に対向しており、ヨーク36内に光軸方向へ移動可能に挿通されている。なお、各コイル40の輪郭形状を略矩形状に形成する代わりに、例えば、円形状、扇形状、菱形形状、又は台形状に形成してもよい。
【0023】
各コイル40の両端部側は、ヨーク36からそれぞれ突出している。各コイル40の各端部側は、フォーカスレンズ20の光軸(フォーカスレンズ20の中心)に近づくようにレンズホルダ30の外周壁30eに沿って折曲げられている。図5のVAとVBは、平板状のコイル40の曲げる前の状態を示しており、図5のVCとVDは、平板状のコイル40の曲げた後の状態を示している。
【0024】
(磁気回路等)
各ボイスコイルモータ34において、ヨーク36は、マグネット38の磁気をコイル40に導くように構成されており、環状の閉磁路を形成する。ヨーク36と2つのマグネット38は、磁気回路を形成する。そして、各ボイスコイルモータ34において、コイル40の巻線に電流が流れると、磁気回路の作用によって光軸方向の駆動力が発生して、コイル40が光軸方向へ移動する。その結果、レンズホルダ30及びフォーカスレンズ20が光軸方向へコイル40と一体的に移動する。
【0025】
続いて、図2から図8を参照して、本実施形態に係るボイスコイルモータ34及びその周辺の構成について説明する。図6は、挟持部材を説明するための模式的な図である。図6のVIAは、爪部の内側に線状の突起が形成された挟持部材を示す模式的な図である。図6のVIBは、図6のVIAにおけるB-B線に沿った断面図である。図6のVICは、爪部の内側に複数の山型形状の突起が形成された挟持部材を示す模式的な図である。図6のVIDは、図6のVICにおけるD-D線に沿った断面図である。図6のVIEは、爪部の内側に複数の円錐台状の突起が形成された挟持部材を示す模式的な図である。図6のVIFは、図6のVIEにおけるF-F線に沿った断面図である。
【0026】
(切欠30n)
図3に示すように、レンズホルダ30の外周壁30eにおける各ヨーク36に対向する部位には、切欠(切欠面)30nが径方向に直交する方向に沿って形成されている。なお、レンズホルダ30の切欠30nは径方向に直交する方向に沿っていれば、径方向に直交する方向に平行でなくてもよい。
【0027】
(取付部30m)
図2及び図3に示すように、レンズホルダ30の外周壁30eには、3つの取付部30mが周方向に間隔を置いて形成されている。レンズホルダ30の各取付部30mは、断面円弧状の取付面30fを有している。レンズホルダ30の3つの取付部30mのうちの1つの取付部30mは、ガイドロッド32に光軸方向へ移動可能に支持されている。
【0028】
(挟持部材42)
図2から図4に示すように、レンズホルダ30の各取付部30mには、各ボイスコイルモータ34のコイル40の端部側を挟持する挟持部材42が光軸方向に平行な軸回りに傾動調節可能に設けられている。レンズホルダ30の3つの取付部30mのうちの1つの取付部30mには、2つの挟持部材42が設けられている。前記2つの挟持部材42のうちの一方の挟持部材42は、一方のボイスコイルモータ34のコイル40の端部側を挟持する。前記2つの挟持部材42のうちの他方の挟持部材42は、他方のボイスコイルモータ34のコイル40の端部側を挟持する。各挟持部材42は、合成樹脂により構成されている。各挟持部材42は、レンズホルダ30の各取付部30mの取付面30fに嵌合して連結する断面円弧状の連結面42fを有している。前述のように、各挟持部材42が各コイル40の端部側を挟持することによって、各コイル40がレンズホルダ30の外周壁30e側に2つの挟持部材42を介して設けられる。
【0029】
図3及び図4に示すように、各挟持部材42は、コイル40の端部側を挟持するための一対の爪部42cを有している。図6のVIAとVIBに示すように、各挟持部材42の各爪部42cの内側には、コイル40の端部側に当接する線状の突起42pが形成されている。線状の突起42pの断面形状は、山型形状に形成されている。各挟持部材42の一対の爪部42cの突起42pの間隔は、コイル40の端部側の厚み寸法と同じに設定されている。各挟持部材42の一対の爪部42cの突起42pとコイル40の端部側は、接着剤によって接着されてもよい。
【0030】
各挟持部材42の各爪部42cの内側に線状の突起42pを形成する代わりに、図6のVICとVIDに示すように、複数の山型形状の突起42pを形成してもよく、又は、図6のVIEとVIFに示すように、複数の円錐台状の突起42pを形成してもよい。
【0031】
(挟持部材42の傾動調整)
図3図5図7及び図8を参照して、挟持部材42の傾動調整について説明する。図7及び図8は、コイルの端部側の曲げ状態に応じて、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。図7のVIIAは、コイルの端部側の曲げ角度が基準の曲げ角度よりも小さい場合において、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。図7のVIIBは、コイルの端部側の曲げ角度が基準の曲げ角度よりも大きい場合において、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。図8のVIIIAは、コイルの端部側の曲げ幅が基準の曲げ幅よりも小さい場合において、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。図8のVIIIBは、コイルの端部側の曲げ幅が基準の曲げ幅よりも大きい場合において、挟持部材を傾動調節した様子を示す図である。
【0032】
図3に示すように、挟持部材42の傾動調整は、レンズホルダ30の2つの取付部30mを模擬した2つの軸部を有した治具(不図示)を用いる。そして、図7のVIIAに示すように、コイル40の端部側の曲げ角度θ(図5のVC参照)が基準の曲げ角度よりも小さい場合には、挟持部材42が基準の取付位置(仮想線で示す位置)よりも図7のVIIAにおいて反時計回り方向に変位するように、挟持部材42の傾動調整を行う。図7のVIIBに示すように、コイル40の端部側の曲げ角度θが基準の曲げ角度よりも大きい場合には、挟持部材42が基準の取付位置(仮想線で示す位置)よりも図7のVIIBにおいて時計回り方向に変位するように、挟持部材42の傾動調整を行う。
【0033】
図8のVIIIAに示すように、コイル40の端部側の曲げ幅W(図5のVC参照)が基準の曲げ幅よりも小さい場合には、挟持部材42が基準の取付位置(仮想線で示す位置)よりも図8のVIIIAにおいて反時計回り方向に変位するように、挟持部材42の傾動調整を行う。図8のVIIIBに示すように、コイル40の端部側の曲げ幅Wが基準の曲げ幅よりも大きい場合には、挟持部材42が基準の取付位置よりも図8のVIIIBにおいて時計回り方向に変位するように、挟持部材42の傾動調整を行う。
【0034】
(作用効果)
続いて、本発明の実施形態の作用効果について説明する。
【0035】
レンズ駆動装置22においては、前述のように、各コイル40の各端部側がフォーカスレンズ20の光軸に近づくようにレンズホルダ30の外周壁に沿って折曲げられている。そのため、本実施形態によれば、コイル40の各両端部側が折曲げられていない場合に比べて、レンズ駆動装置22の小型化、換言すれば、レンズユニット14の小型化及びカメラ10の小型化を図ることができる。
【0036】
また、レンズ駆動装置22においては、前述のように、各コイル40の両端部側は、ヨーク36からそれぞれ突出している。そのため、本実施形態によれば、光軸方向と異なる方向の推力を発生させることなく、ボイスコイルモータ34の高推力を図ることができる。仮に、各コイル40の両端側がヨーク36内に位置すると、各コイル40の両端側において電流の向きがマグネット38による磁界の向き及び光軸方向に対して直交していないため、光軸方向と異なる方向の推力を発生させることになる。
【0037】
つまり、本実施形態によれば、ボイスコイルモータ34の高推力化とレンズ駆動装置22の小型化との両立を図ることができる。
【0038】
また、レンズ駆動装置22においては、前述のように、レンズホルダ30の外周壁30eにおけるヨーク36に対向する部位に、切欠30nがフォーカスレンズ20の径方向に直交する方向に沿って形成されている。そのため、コイル40を切欠30nの分だけフォーカスレンズ20の光軸に近づくよう配置することができる。これにより、本実施形態によれば、レンズ駆動装置の小型化、換言すれば、レンズユニット14の小型化及びカメラ10の小型化を促進することができる。
【0039】
また、レンズ駆動装置22においては、前述のように、レンズホルダ30の各取付部30mに、挟持部材42が光軸方向に平行な軸回りに傾動調節可能に設けられている。そのため、コイル40の端部側の曲げ角度θ又は曲げ幅Wにバラツキがあっても、各挟持部材42の傾動調整によってそのバラツキを吸収して、マグネット38とコイル40との間を微小隙間に保つことができる。これにより、本実施形態によれば、ボイスコイルモータ34の推力の発生に寄与する有効磁束を十分に確保して、ボイスコイルモータ34の高推力化を促進することができる。
【0040】
更に、レンズ駆動装置22においては、前述のように、レンズホルダ30の各取付部30mは、断面円弧状の取付面30fを有している。各挟持部材42は、レンズホルダ30の各取付部30mの取付面30fに嵌合して連結する断面円弧状の連結面42fを有している。そのため、本実施形態によれば、各挟持部材42の傾動調整を高精度に行うことができる。
【0041】
また、レンズ駆動装置22においては、前述のように、各挟持部材42の各爪部42cの内側に、コイル40の端部側に接触する線状の突起42p又は複数の突起42pが形成されている。そのため、本実施形態によれば、各挟持部材42によってコイル40の端部側を安定的に挟持することができ、レンズホルダ30の外周壁30e側に対するコイル40の取付状態が安定する。
【0042】
〔本実施形態の変形例〕
図9を参照して、本実施形態の変形例に係る挟持部材について説明する。図9は、他の態様に係る挟持部材によってコイルの端部側を挟持した様子を示す模式的な図である。なお、説明の便宜上、本実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0043】
(板バネ44)
図9に示すように、本実施形態の変形例に係る挟持部材42Aにおいては、一対の爪部42cのうち一方の爪部42cは、板バネ44によって構成されている。板バネ44は、逆U字形状に形成されており、板バネ44の内側には、コイル40の端部側に当接する線状の突起44pが形成されている。そのため、本実施形態の変形例によれば、各挟持部材42Aの構成の簡略化して、レンズ駆動装置22(図2参照)の製造コストの低下を図ることができる。
【0044】
〔本実施形態の他の態様〕
前述のレンズ駆動装置22の構成を、ズーム調整を行うためのズームレンズ(不図示)を光軸方向へ移動させる他のレンズ駆動装置(不図示)に適用してもよい。
【0045】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るレンズ駆動装置は、レンズ鏡筒内に光軸方向へ移動可能に設けられ、レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを前記光軸方向へ移動させるためのボイスコイルモータと、を備える。前記ボイスコイルモータは、前記レンズ鏡筒の内周壁側に設けられ、内側に中空部を有した箱型のヨークと、前記ヨークの内側面に設けられたマグネットと、前記レンズホルダの外周壁側に設けられ、前記ヨーク内に前記光軸方向へ移動可能に挿通され、前記マグネットに対向した平板状のコイルと、を有し、前記コイルの両端部側は、前記ヨークからそれぞれ突出しており、前記コイルの各端部側は、前記レンズの光軸(前記レンズの中心)に近づくように折曲げられている。
【0046】
前記の構成によれば、前述のように、前記コイルの各端部側が前記レンズの光軸に近づくように折曲げられている。そのため、前記コイルの各両端部側が折曲げられていない場合に比べて、前記レンズ駆動装置の小型化を図ることができる。また、前述のように、前記コイルの両端部側が前記ヨークからそれぞれ突出している。そのため、光軸方向と異なる方向の推力を発生させることなく、前記ボイスコイルモータの高推力を図ることができる。つまり、前記ボイスコイルモータの高推力化と前記レンズ駆動装置の小型化との両立を図ることができる。
【0047】
本発明の態様2に係るレンズ駆動装置は、前記態様1において、前記レンズホルダの外周壁における前記ヨークに対向する部位に、切欠が前記レンズの径方向に直交する方向に沿って形成されてもよい。
【0048】
前記の構成によれば、前記コイルを前記切欠の分だけ前記レンズの光軸に近づくよう配置することができる。そのため、前記レンズ駆動装置の小型化を促進することができる。
【0049】
本発明の態様3に係るレンズ駆動装置は、前記態様1又は2において、前記レンズホルダの外周壁に複数の取付部が周方向に間隔を置いて形成され、前記レンズホルダの各取付部に前記光軸方向に平行な軸回りに傾動調節可能に設けられ、前記コイルの端部側を挟持する挟持部材を更に備えてもよい。
【0050】
前記の構成によれば、前記コイルの端部側の曲げ角度又は曲げ幅にバラツキがあっても、前記挟持部材の傾動調整によってそのバラツキを吸収して、前記マグネットと前記コイルとの間を微小隙間に保つことができる。これにより、前記ボイスコイルモータの推力の発生に寄与する有効磁束を十分に確保して、前記ボイスコイルモータの高推力化を促進することができる。
【0051】
本発明の態様4に係るレンズ駆動装置は、前記態様3において、前記レンズホルダの各取付部は、断面円弧状の取付面を有し、各挟持部材は、前記レンズホルダの各取付部の前記取付面に嵌合して連結する断面円弧状の連結面を有している。
【0052】
前記の構成よれば、各挟持部材の傾動調整を高精度に行うことができる。
【0053】
本発明の態様5に係るレンズ駆動装置は、前記態様3又は4において、各挟持部材は、コイルの端部側を挟持するための一対の爪部を有し、各爪部の内側に、前記コイルの端部側に当接する突起が形成されてもよい。
【0054】
前記の構成によれば、各挟持部材によって前記コイルの端部側を安定的に挟持することができ、前記レンズホルダの外周壁側に対する前記コイルの取付状態が安定する。
【0055】
本発明の態様6に係るレンズ駆動装置は、前記態様3から5のいずれかにおいて、各挟持部材の前記一対の爪部のうち一方の爪部は、板バネによって構成されてもよい。
【0056】
前記の構成によれば、各挟持部材の構成の簡略化して、前記レンズ駆動装置の製造コストの低下を図ることができる。
【0057】
本発明の態様7に係るレンズユニットは、レンズ鏡筒と、該レンズ鏡筒内に配設されたレンズと、前記レンズを光軸方向へ移動させる前記態様1から6のいずれかに係るレンズ駆動装置と、を備える。
【0058】
前記の構成によれば、前記ボイスコイルモータの高推力化と、前記レンズ駆動装置を備えた前記レンズユニットの小型化との両立を図ることができる。
【0059】
本発明の態様8に係るカメラは、カメラボディと、該カメラボディに設けられた前記態様7に係るレンズユニットと、を備える。
【0060】
前記の構成よれば、前記ボイスコイルモータの高推力化と、前記レンズユニットを備えたカメラの小型化との両立を図ることができる。
【0061】
〔付記事項〕
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 カメラ
12 カメラボディ
14 レンズユニット
16 レンズ鏡筒
16i 内周壁
18 固定レンズ
20 フォーカスレンズ(レンズ)
22 レンズ駆動装置
24 フォーカスリング
26 レリーズボタン
28 自動フォーカス制御部
30 レンズホルダ
30e 外周壁
30n 切欠
30m 取付部
30f 取付面
32 ガイドロッド
34 ボイスコイルモータ
36 ヨーク
36h 中空部
36i 内側面
38 マグネット
40 コイル
42 挟持部材
42f 連結面
42c 爪部
42p 突起
42A 挟持部材
44 板バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9