(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037504
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20240312BHJP
A61B 1/07 20060101ALI20240312BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240312BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A61B1/06 531
A61B1/06 530
A61B1/07 736
G02B23/24 A
G02B23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142407
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伶
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA02
2H040BA09
2H040CA03
2H040CA04
2H040CA05
2H040CA11
2H040CA12
2H040CA13
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161JJ11
4C161LL02
4C161NN01
4C161QQ02
4C161QQ06
4C161QQ07
(57)【要約】
【課題】LED光源に起因する温度上昇を低減した内視鏡を提供すること。
【解決手段】内視鏡10は、挿入部14の先端部13に、先端側から順に配置された第1蛍光体および第1発光素子と、操作部に配置された第2発光素子と、前記第2発光素子から前記先端部に導光するライトガイドとを備える。前記第1蛍光体と前記第1発光素子との間に空間が設けられている。前記第1蛍光体と前記第1発光素子との間に、中継光学素子が配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に、先端側から順に配置された第1蛍光体および第1発光素子と、
操作部に配置された第2発光素子と、
前記第2発光素子から前記先端部に導光するライトガイドと
を備える内視鏡。
【請求項2】
前記第1蛍光体と前記第1発光素子との間に空間が設けられている
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記第1蛍光体と前記第1発光素子との間に、中継光学素子が配置されている
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記中継光学素子は、ロッドレンズである
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記ライトガイドの出射端側に配置された第2蛍光体を備える
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記ライトガイドの入射端側に配置された第2蛍光体を備える
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記第1発光素子と前記第1蛍光体との組合せは、白色光を放射し、
前記第2発光素子と前記第2蛍光体との組合せは、白色光を放射する
請求項5または請求項6に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記第1発光素子と前記第1蛍光体との組合せと、前記第2発光素子と前記第2蛍光体との組合せとのいずれか一方は、白色光を放射し、
他方は特殊光を放射する
請求項5または請求項6に記載の内視鏡。
【請求項9】
第3発光素子を備え、
前記ライトガイドは、前記第2発光素子側に配置された第1入射端に加えて、前記第3発光素子側に配置された第2入射端を備える
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記第3発光素子は、内視鏡用プロセッサに接続されるコネクタの内部に配置されている
請求項9に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入部の先端と、操作部との合計2か所に、照明用のLED(Light Emitting Diode)光源が配置された内視鏡が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の内視鏡は、複数の熱源が一か所に集中しているために、使用中に温度が上昇しやすいという問題がある。
【0005】
LED光源の温度上昇は、LED光源に近接配置された撮像素子、光学部品および樹脂部品等の温度上昇を引き起こすとともに劣化を招く。
【0006】
一つの側面では、LED光源に起因する温度上昇を低減した内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
内視鏡は、挿入部の先端部に、先端側から順に配置された第1蛍光体および第1発光素子と、操作部に配置された第2発光素子と、前記第2発光素子から前記先端部に導光するライトガイドとを備える。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、LED光源に起因する温度上昇を低減した内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】挿入部の長手方向に沿う断面を説明する模式図である。
【
図4】変形例1における挿入部の長手方向に沿う断面を説明する模式図である。
【
図5】LED駆動基板の回路構成を説明する説明図である。
【
図6】実施の形態3における操作部およびコネクタ部の断面を説明する模式図である。
【
図7】実施の形態3におけるLED駆動基板の回路構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、内視鏡10の外観図である。本実施の形態の内視鏡10は、挿入部14、操作部20、ユニバーサルコード25およびコネクタ部24を有する。操作部20は、湾曲ノブ21、操作ボタン201およびチャンネル入口部22を有する。
【0011】
挿入部14は長尺である。以後の説明では、挿入部14の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って、操作部20に近い側を操作部側、操作部20から遠い側を先端側と記載する。挿入部14は、一端が折止部16を介して操作部20に接続されている。挿入部14の先端側に、先端部13が配置されている。
【0012】
ユニバーサルコード25は長尺であり、第一端が操作部20に、第二端がコネクタ部24にそれぞれ接続されている。コネクタ部24は、図示を省略する内視鏡用プロセッサ等に接続される。コネクタ部24は、内部にLED駆動基板78および接続コネクタ79を有する。
【0013】
図2は、
図1におけるII矢視図である。先端部13には、送気ノズル31、送水ノズル32、副送水ノズル33、鉗子チャンネル34、対物レンズ35、照射窓361、および照射窓362が設けられている。
【0014】
図2は先端部13の端面の外観の一例であり、各部材の配置は
図2に限定されない。たとえば、送気ノズル31および送水ノズル32を単独の部品に包括してもよい。
【0015】
本実施の形態では、先端部13の端面には、照射窓361および照射窓362の二つの照射窓が設けられている。先端部13のスペースおよび観察に必要な光度等を考慮して、照射窓が3つ以上設けられてもよい。
【0016】
図3は、挿入部14の長手方向に沿う断面を説明する模式図である。
図3においては、内視鏡10の照明機能に関する部品を簡略化して図示し、その他の部品については図示を省略する。
【0017】
照射窓361の内側には、先端側から順に、配光レンズ41、第1蛍光体51、中継光学素子60、第1発光素子71が配置されている。第1発光素子71は、LED実装基板75に実装されている。また、LED実装基板75と、コネクタ部24内部の接続コネクタ79(
図6参照)との間にLED電源ケーブル81が接続されている。LED電源ケーブル81は、接続コネクタ79を介して、コネクタ部24内部のLED駆動基板78(
図6参照)に接続されている。
【0018】
以後の説明においては、中継光学素子60を光学素子60と記載する。本実施の形態における光学素子60は、ロッドレンズである。また、より配光角の広い光を照射窓361から照射するため、光学素子60は、第1蛍光体51に面する側が太いテーパーロッドレンズであることが望ましい。第1蛍光体51の操作部側の面は、光学素子60の先端側端面に接して配置される。光学素子60の操作部側には第1発光素子71が接して配置されている。
【0019】
照射窓362の内側には、先端側から順に、配光レンズ42および第2蛍光体52が配置されている。操作部20の内部に、LED実装基板76が配置されている。LED実装基板76に第2発光素子72が実装されている。第2蛍光体52と第2発光素子72との間に、多数の光ファイバを束ねたライトガイド90が配置されている。
【0020】
LED実装基板76と、コネクタ部24内部の接続コネクタ79との間に、LED電源ケーブル82が接続されている。LED電源ケーブル82は、接続コネクタ79を介してLED駆動基板78に接続されている。
【0021】
第1蛍光体51および第2蛍光体52は、シリコーンまたはポリカーボネート等の透明な樹脂に蛍光材料を混ぜてシート状に固化させたものである。第1蛍光体51および第2蛍光体52は、シート状に限らず、たとえばチップ状としてもよい。また、第1蛍光体51および第2蛍光体52は、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)等の単結晶体、または蛍光材料を練りこんで焼成したガラス等であってもよい。
【0022】
第1発光素子71は、単波長の光を出射する。第1発光素子71から出射された光は、光学素子60を介して第1蛍光体51に入射する。第1蛍光体51に含まれる蛍光材料は、入射した光に励起されて、入射した光とは異なる波長の光を放射する。すなわち、第1蛍光体51は、光の波長を変換する機能を備えている。第1蛍光体51から放射された光は、配光レンズ41で拡散されて、生体内を照射する。
【0023】
第1発光素子71は、電気を光に変換する際のエネルギー損失、および半導体の内部抵抗等により発熱する。第1蛍光体51は、光の波長を変換する際の光損失により発熱する。したがって、第1蛍光体51および第1発光素子71は、熱源である。
【0024】
本実施の形態においては、
図3に示すように第1蛍光体51と第1発光素子71との間に、光学素子60が配置されている。このように熱源が分散して配置されているため、それぞれの熱源で発生した熱が適切に放熱され、過度な温度上昇を防止できる。
【0025】
第2発光素子72は、単波長の光を出射する。第2発光素子72から出射された光は、ライトガイド90を伝わって第2蛍光体52に入射する。第2蛍光体52に含まれる蛍光材料は、入射した光に励起されて、入射した光とは異なる波長の光を放射する。すなわち、第2蛍光体52は光の波長を変換する機能を備える。第2蛍光体52から放射された光は、配光レンズ42で拡散されて、生体内を照射する。
【0026】
図3に示すように、第2蛍光体52と第2発光素子72との間に、ライトガイド90が配置されている。このように熱源が分散されているため、それぞれの熱源で発生した熱が適切に放熱され、過度な温度上昇を防止できる。
【0027】
本実施の形態において、照射窓361および照射窓362から照射される照射光は、いわゆる通常観察用の白色光である。
【0028】
具体例を挙げて説明する。たとえば、第1発光素子71は青色LEDであり、第1蛍光体51に混合されている蛍光材料の色は黄色である。第1発光素子71から出射された光と、第1蛍光体51内部の蛍光材料により励起された光とにより、361から通常観察用の白色光が照射される。
【0029】
なお、第1発光素子71が近紫外光LEDであり、第1蛍光体51には赤色、緑色、および青色の蛍光材料が混合されていてもよい。その他、白色光を得られる任意の第1発光素子71と蛍光材料との組み合わせが使用されてもよい。同様に、第2発光素子72と第2蛍光体52との組合せにより、362からも通常観察用の白色光が照射される。
【0030】
また、照射窓361から照射される照射光、照射窓362から照射される照射光のどちらか一方が通常観察用の照射光であり、もう一方が特殊光観察用の照射光であってもよい。特殊光観察は、狭帯域の照射光を使用することにより、たとえば粘膜の深部を走行する血管等を強調して表示する技術である。
【0031】
照射窓361から照射される照射光は、第1発光素子71から照射窓361までの距離が相対的に近く、ライトガイド90を介さない。そのため、照射窓361から照射される照射光は、照射窓362から照射される照射光よりも強度の高い光となる。したがって、照射窓361と照射窓362とのいずれか一方から特殊光を照射するかは、内視鏡10の用途に応じて決定できる。
【0032】
特殊光観察用の照射光は、例えば、発光素子が紫色LEDであり、蛍光体の色が黄色である組合せにより照射できる。なお、発光素子が紫色LEDであり、蛍光体の色が緑色である組合せ、またはその他任意の組合せにより、特殊光を得てもよい。
【0033】
複数の熱源が一か所に集中していると、内視鏡10の使用中に温度が上昇しやすい。温度上昇により、LED寿命低下またはLED損傷を引き起こすおそれがある。さらに、上昇した温度がその後低下した際に結露を誘発させるおそれがある。
【0034】
本実施の形態によると、熱源である発光素子と蛍光体とを離れた位置に配置することが可能となり、損失熱の集中によるLED寿命低下等のリスクを低減した内視鏡を提供することができる。
【0035】
[変形例1]
図4は、変形例1における挿入部14の長手方向に沿う断面を説明する模式図である。
【0036】
第2蛍光体52は、先端部13に配置されず、操作部20に配置されている。すなわち、ライトガイド90の入射端の近傍に第2蛍光体52が配置されている。第2蛍光体52と第2発光素子72との間、第2蛍光体52とライトガイド90の入射端側との間、またはその双方に、図示しない光学素子が設けられてもよい。第2発光素子72と、第2蛍光体52とは、一体にパッケージされた汎用のLEDであってもよい。
【0037】
第2発光素子72からの出射光は、第2蛍光体52に入射する。第2蛍光体52の蛍光体から出射される蛍光と、第2発光素子72から出射された光とが、ライトガイド90を伝わって、配光レンズ42まで達し、配光レンズ42で拡散されて、生体内を照射する。
【0038】
本変形例においては、
図4に示すように、第1発光素子71と第2発光素子72とが離れて配置されている。さらに、第1蛍光体51と第2蛍光体52とが離れて配置されている。このように熱源が分散して配置されているため、それぞれの熱源で発生した熱が適切に放熱され、過度な温度上昇を防止できる。
【0039】
[変形例2]
本変形例の内視鏡10においては、第1蛍光体51と第1発光素子71との間に、空間が設けられている。空間には空気が充満している。第1発光素子71から出射された光は、空間内を伝搬して第1蛍光体51に入射する。
【0040】
本変形例によると、ロッドレンズ等の光学素子60を使用しないことにより、内視鏡10のコストを低減できる。
【0041】
空間は気密になっており、たとえば乾燥空気が充満していることが望ましい。空間内部または空間内部に連通した場所に、シリカゲル等の乾燥剤が配置されていてもよい。空間内部を水分の少ない状態に維持することにより、空間内部での結露の発生を防止できる。
【0042】
空間には、たとえば窒素ガス等の不活性ガスが充満していてもよい。不活性ガスを使用することにより、第1蛍光体51に含まれる蛍光材料の劣化を防止できる。
【0043】
[実施の形態2]
本実施の形態は、LED駆動基板78の回路構成に関する。
図5は、LED駆動基板78の回路構成を説明する説明図である。LED駆動基板78は、D/A(Digital / Analog)コンバータ50、DC/DCコンバータ45、およびDC/DCコンバータ46を有する。
図5においては、D/Aコンバータ50、DC/DCコンバータ45、およびDC/DCコンバータ46に接続された電源線およびGNDの図示を省略する。
【0044】
さらに、LED駆動基板78は、前述の接続コネクタ79に加えて、第1イネーブル信号線101、第2イネーブル信号線102、異常検出信号線120、制御信号線130、第1制御信号線131、第2制御信号線132、第1電源線141、および第2電源線142を有する。それぞれの配線は、たとえばLED駆動基板78に形成された回路パターンにより構成されている。
【0045】
第1イネーブル信号線101、第2イネーブル信号線102、異常検出信号線120、および制御信号線130は、接続ピン85を介して内視鏡用プロセッサに接続される。第1イネーブル信号線101は、内視鏡用プロセッサと、DC/DCコンバータ45のイネーブル信号入力端子とを接続している。第2イネーブル信号線102は、内視鏡用プロセッサと、DC/DCコンバータ46のイネーブル信号入力端子とを接続している。
【0046】
異常検出信号線120は、内視鏡用プロセッサと、DC/DCコンバータ45、およびDC/DCコンバータ46の異常検出端子とをそれぞれ接続している。制御信号線130は、内視鏡用プロセッサと、D/Aコンバータ50の制御信号入力端子とを接続している。
【0047】
第1制御信号線131は、D/Aコンバータ50のアナログ出力端子と、DC/DCコンバータ45の制御信号入力端子とを接続している。第2制御信号線132は、D/Aコンバータ50のアナログ出力端子と、DC/DCコンバータ46の制御信号入力端子とを接続している。
【0048】
第1電源線141は、DC/DCコンバータ45の出力端子と、接続コネクタ79とを接続している。第2電源線142は、DC/DCコンバータ46の出力端子と、接続コネクタ79とを接続している。前述のとおり、接続コネクタ79には、LED電源ケーブル81およびLED電源ケーブル82がそれぞれ接続されている。
【0049】
以上の構成により、DC/DCコンバータ45の出力端子は、第1電源線141、接続コネクタ79、LED電源ケーブル81、およびLED実装基板75を介して第1発光素子71のアノードに接続されている。第1発光素子71のカソードは、LED実装基板75、LED電源ケーブル81、および接続コネクタ79を介して、LED駆動基板78のGNDに接続されている。
【0050】
DC/DCコンバータ46の出力端子は、第2電源線142、接続コネクタ79、LED電源ケーブル82、およびLED実装基板76を介して第2発光素子72のアノードに接続されている。第2発光素子72のカソードは、LED実装基板76、LED電源ケーブル82、および接続コネクタ79を介して、LED駆動基板78のGNDに接続されている。
【0051】
内視鏡用プロセッサは、
図2において対物レンズ35の奥に配置されている撮像素子から信号を取得して、自動測光を行う。内視鏡用プロセッサは、自動測光した結果に基づいて第1発光素子71および第2発光素子72の明るさを決定する。
【0052】
内視鏡用プロセッサは、第1発光素子71および第2発光素子72の明るさを制御する制御信号を出力する。以上により、内視鏡用プロセッサは自動調光を実現する。自動測光および自動調光は、従来から使用されているため、詳細については説明を省略する。内視鏡用プロセッサは、図示を省略するランプスイッチのオン/オフに連動して、第1発光素子71および第2発光素子72のオン/オフをそれぞれ制御するイネーブル信号を出力する。
【0053】
内視鏡用プロセッサが出力した制御信号は、制御信号線130を介してD/Aコンバータ50の制御信号入力端子に入力する。D/Aコンバータ50は、制御信号のD/A変換を行い、出力電流調整信号aおよび出力電流調整信号bをそれぞれアナログ出力端子から出力する。出力電流調整信号aは、第1発光素子71の明るさに対応するアナログ信号である。出力電流調整信号bは、第2発光素子72の明るさに対応するアナログ信号である。出力電流調整信号aは、第1制御信号線131を介してDC/DCコンバータ45の制御信号入力端子に入力される。
【0054】
内視鏡用プロセッサが出力した第1発光素子71用のイネーブル信号は、第1イネーブル信号線101を介してDC/DCコンバータ45のイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号がオンである場合、DC/DCコンバータ45は、出力電流調整信号aに基づいて第1発光素子71に印加する第1電源電圧を第1電源線141に出力する。第1電源電圧が第1発光素子71に印加されて、第1発光素子71が発光する。
【0055】
イネーブル信号がオフである場合、DC/DCコンバータ45は、第1電源電圧を第1電源線141に出力しない。したがって、第1発光素子71は消灯する。
【0056】
同様に出力電流調整信号bは、第2制御信号線132を介してDC/DCコンバータ46の制御信号入力端子に入力される。内視鏡用プロセッサが出力した第2発光素子72用のイネーブル信号は、第2イネーブル信号線102を介してDC/DCコンバータ46のイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号がオンである場合、DC/DCコンバータ46は、出力電流調整信号bに基づいて第2発光素子72に印加する第2電源電圧を第2電源線142に出力する。第2電源電圧が第2発光素子72に印加されて、第2発光素子72が発光する。
【0057】
イネーブル信号がオフである場合、DC/DCコンバータ46は第2電源電圧を第2電源線142に出力しない。以上により、イネーブル信号がオンである場合、内視鏡用プロセッサから出力された制御信号に基づく明るさで第1発光素子71および第2発光素子72がそれぞれ発光する。
【0058】
DC/DCコンバータ45およびDC/DCコンバータ46は、異常を検出した場合には、異常検出端子から異常検出信号を出力する。具体的には、たとえば第1電源線141に流れる電流量が規定よりも多い場合、または少ない場合に、DC/DCコンバータ45は異常検出信号を出力する。内視鏡用プロセッサは、異常検出信号線120を介して異常検出信号を取得した場合に、たとえばエラーメッセージを内視鏡画像の横に表示する等の所定の動作を行う。
【0059】
[変形例3]
本変形例においては、実施の形態2で説明したLED駆動基板78を通常光観察と特殊光観察とを切り替え可能な内視鏡10に関する。以下の説明では、第1発光素子71は白色光であり、第2発光素子72は、特殊光用である場合を例にして説明する。
【0060】
ユーザは、操作ボタン201を操作して、通常光観察と、特殊光観察とを切り替える。まず、ユーザが通常光観察を選択した場合について説明する。プロセッサは、第1発光素子71用のイネーブル信号をオンに、第2発光素子72用のイネーブル信号をオフにする。プロセッサは、第1発光素子71の明るさを指定する制御信号を出力する。第1発光素子71は制御信号に基づく輝度で発光する。第2発光素子72は、イネーブル信号がオフであるため、発光しない。以上により、照射窓361から白色光が照射されるため、通常光観察が可能になる。
【0061】
次に、ユーザが特殊光観察を選択した場合について説明する。内視鏡用プロセッサは、第1発光素子71用のイネーブル信号をオフに、第2発光素子72用のイネーブル信号をオンにする。第2発光素子72は、制御信号に基づく輝度で発光する。第1発光素子71は、イネーブル信号がオフであるため、発光しない。以上により、照射窓362から特殊光が照射されるため、特殊光観察が可能になる。
【0062】
[実施の形態3]
本実施の形態は、発光素子をコネクタ部24にも配置した内視鏡に関する。実施の形態1と共通する部分については説明を省略する。
【0063】
図6は、実施の形態3における操作部20およびコネクタ部24の断面を説明する模式図である。
図6において、内視鏡10の照明機能に関する部品を簡略化して図示し、その他の部品については図示を省略する。
【0064】
第2蛍光体52の近傍に出射端が存在するライトガイド90は、操作部20内で二股に分岐し、一方の入射端は操作部20内に配置され、他方の入射端は、コネクタ部24内に配置されている。コネクタ部24内における、ライトガイド90の入射端の近傍には、第3発光素子73が配置される。
【0065】
第2発光素子72は、LED実装基板76に実装されている。LED実装基板76と、コネクタ部24内部の接続コネクタ79との間には、LED電源ケーブル82が接続されている。第3発光素子73は、LED実装基板77に実装されている。LED実装基板77と、接続コネクタ79との間には、LED電源ケーブル83が接続されている。LED電源ケーブル82およびLED電源ケーブル83は、接続コネクタ79を介して、LED駆動基板78に接続されている。LED駆動基板78には、接続ピン85が接続されている。なお、
図6においては、模式的に接続ピン85を2本のみ記載する。
【0066】
以上の構成により、第2発光素子72および第3発光素子73の二つの光源から出射される光が、一本のライトガイド90を伝わって、ライトガイド90の出射端近傍に配置される第2蛍光体52に入射する。第2蛍光体52の蛍光材料から出射される蛍光と、第2発光素子72および第3発光素子73から出射された光とが、照射窓362から照射される。
【0067】
本実施の形態において、第1発光素子71、第2発光素子72、および第3発光素子73の三つの光源から同時に照射光を出射させることができるため、十分な光量を確保することが可能になる。
【0068】
本実施の形態においては、照射窓361からの照射光、および照射窓362からの照射光は、ともに通常光観察用の白色光である。照射窓361からの照射光、および照射窓362からの照射光は、通常観察用の照射光であっても、特殊光観察用の照射光であってもよい。
【0069】
第2発光素子72と第3発光素子73とは、同色LEDであっても異色LEDであってもよい。また、第2発光素子72と第3発光素子73のどちらか一方のみを点灯させ、また双方を同時に点灯させることが可能である。
【0070】
たとえば、第2蛍光体52に黄色蛍光材料を用い、第2発光素子72が青色LEDであり、第3発光素子73が紫色LEDであることが可能である。第2発光素子72を点灯させ、第3発光素子73を消灯させた場合、照射窓362からは通常観察用の照射光が照射される。一方、第3発光素子73を点灯させ、第2発光素子72を消灯させた場合、照射窓362からは特殊光観察用の照射光が照射される。
【0071】
たとえば、第2発光素子72を通常灯、第3発光素子73を補助灯とし、通常は第2発光素子72のみを点灯させ、第2発光素子から出射される光の出力が足りない場合、または故障等の原因により第2発光素子が点灯しない場合等に、補助的に第3発光素子を点灯させてもよい。
【0072】
図7は、実施の形態3におけるLED駆動基板78の回路構成を説明する説明図である。LED駆動基板78は、さらにDC/DCコンバータ47を有する。LED駆動基板78は、また、第3イネーブル信号線103、第3制御信号線133、および第3電源線143を有する。それぞれの配線は、たとえばLED駆動基板78に形成された回路パターンにより構成されている。
【0073】
第3イネーブル信号線103は、内視鏡用プロセッサと、DC/DCコンバータ47のイネーブル信号入力端子とを接続している。異常検出信号線120は、三股に分岐しており、内視鏡用プロセッサと、DC/DCコンバータ45、DC/DCコンバータ46、およびDC/DCコンバータ47の異常検出端子とを接続している。第3制御信号線133は、D/Aコンバータ50のアナログ出力端子と、DC/DCコンバータ47の制御信号入力端子とを接続している。第3電源線143は、DC/DCコンバータ47の出力端子と、接続コネクタ79とを接続している。前述のとおり、接続コネクタ79には、LED電源ケーブル83が接続されている。
【0074】
以上の構成により、DC/DCコンバータ47の出力端子は、第3電源線143、接続コネクタ79、LED電源ケーブル83、およびLED実装基板77を介して、第3発光素子73のアノードに接続されている。
【0075】
第3発光素子73のカソードは、LED実装基板77、LED電源ケーブル83、および接続コネクタ79を介して、LED駆動基板78のGNDに接続されている。
【0076】
内視鏡用プロセッサは、
図2において対物レンズ35の奥に配置されている撮像素子から信号を取得して、自動測光を行う。内視鏡用プロセッサは、自動測光した結果に基づいて第3発光素子73の明るさを決定する。内視鏡用プロセッサは、第1発光素子71、第2発光素子72、および第3発光素子73の明るさを制御する制御信号を出力する。以上により、内視鏡用プロセッサは、自動調光を実現する。
【0077】
内視鏡用プロセッサは、図示を省略するランプスイッチのオン/オフに連動して、第1発光素子71、第2発光素子72、および第3発光素子73のオン/オフを制御するイネーブル信号を出力する。
【0078】
内視鏡用プロセッサが出力した制御信号は、制御信号線130を介してD/Aコンバータ50の制御信号入力端子に入力される。D/Aコンバータ50は、制御信号のD/A変換を行い、出力電流調整信号a、出力電流調整信号b、および出力電流調整信号cをアナログ出力端子から出力する。出力電流調整信号cは、第3発光素子73の明るさに対応するアナログ信号である。出力電流調整信号cは、第3制御信号線133を介してDC/DCコンバータ47の制御信号入力端子に入力される。
【0079】
内視鏡用プロセッサが出力した第3発光素子73用のイネーブル信号は、第3イネーブル信号線103を介してDC/DCコンバータ47のイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号がオンである場合、DC/DCコンバータ47は、出力電流調整信号cに基づいて第3発光素子73に印加する第3電源電圧を第3電源線143に出力する。
【0080】
第3電源電圧が第3発光素子73に印加されて、第3発光素子73が発光する。イネーブル信号がオフである場合、DC/DCコンバータ47は第3電源電圧を第3電源線143に出力しない。したがって、第3発光素子73は、消灯する。以上により、イネーブル信号がオンである場合、内視鏡用プロセッサから出力された制御信号に基づく明るさで、第3発光素子73が発光する。
【0081】
DC/DCコンバータ47は、異常を検出した場合には、異常検出端子から異常検出信号を出力する。具体的には、たとえば第3電源線143に流れる電流量が規定よりも多い場合、または少ない場合に、DC/DCコンバータ47は異常検出信号を出力する。内視鏡用プロセッサは、異常検出信号線120を介して異常検出信号を取得した場合に、たとえばエラーメッセージを内視鏡画像の横に表示する等の、所定の動作を行う。
【0082】
本実施の形態によると、十分な光量を確保しつつ、熱源どうしが隔てられ、損失熱の集中によるLED寿命低下等のリスクを低減した内視鏡を提供することができる。
【0083】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組合せすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
10 内視鏡
13 先端部
14 挿入部
16 折止部
20 操作部
21 湾曲ノブ
22 チャンネル入口部
24 コネクタ部
25 ユニバーサルコード
31 送気ノズル
32 送水ノズル
33 副送水ノズル
34 鉗子チャンネル
35 対物レンズ
41 配光レンズ
42 配光レンズ
45 DC/DCコンバータ
46 DC/DCコンバータ
47 DC/DCコンバータ
50 D/Aコンバータ
51 第1蛍光体
52 第2蛍光体
60 光学素子(中継光学素子)
71 第1発光素子
72 第2発光素子
73 第3発光素子
75 LED実装基板
76 LED実装基板
77 LED実装基板
78 LED駆動基板
79 接続コネクタ
81 LED電源ケーブル
82 LED電源ケーブル
83 LED電源ケーブル
85 接続ピン
90 ライトガイド
101 第1イネーブル信号線
102 第2イネーブル信号線
103 第3イネーブル信号線
120 異常検出信号線
130 制御信号線
131 第1制御信号線
132 第2制御信号線
133 第3制御信号線
141 第1電源線
142 第2電源線
143 第3電源線
201 操作ボタン
361 照射窓
362 照射窓