(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003751
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】バッテリモジュールの保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20240105BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240105BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H01M10/44 P
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037046
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】111123961
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】509343390
【氏名又は名称】新盛力科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】張文帆
(72)【発明者】
【氏名】李俊傑
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA14
5G053AA16
5G053EA01
5G053EC02
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB01
5G503CB11
5G503EA05
5G503FA14
5G503GD03
5G503GD04
5H030AA01
5H030AS20
5H030BB01
5H030BB21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バッテリモジュールのマスタマイクロコントローラが機能喪失したときの充放電保護の起動に応用される保護回路を提供する。
【解決手段】バッテリモジュール100の電源管理システム200が有する保護回路300において、マスタマイクロコントローラは、正常に動作しているとき、所定のタイミングでパルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信するとともに、スイッチコントローラをイネーブル状態にさせる。これにより、スイッチコントローラは、充電経路スイッチ又は放電経路スイッチをオン又はオフさせる。スレーブマイクロコントローラは、マスタマイクロコントローラに異常があり、マスタマイクロコントローラからパルス信号を受信不可能となったとき、スイッチコントローラをディセーブル状態に制御する。これにより、スイッチコントローラは、充電経路スイッチ又は放電経路スイッチをオンさせる制御が禁止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュールの保護回路において、
マスタマイクロコントローラ、
前記マスタマイクロコントローラに接続されるスレーブマイクロコントローラ、
充電経路スイッチ、
放電経路スイッチ、及び
前記マスタマイクロコントローラ、前記スレーブマイクロコントローラ、前記充電経路スイッチ及び前記放電経路スイッチに接続されるスイッチコントローラ、を含み、
前記マスタマイクロコントローラが所定のタイミングでパルス信号を前記スレーブマイクロコントローラに送信するとき、前記マスタマイクロコントローラは前記スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、前記スイッチコントローラは前記充電経路スイッチ又は前記放電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御し、前記スレーブマイクロコントローラが前記パルス信号を受信しないとき、前記スレーブマイクロコントローラは前記スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する保護回路。
【請求項2】
前記マスタマイクロコントローラが正常に動作しているとき、前記マスタマイクロコントローラは所定のタイミングで前記パルス信号を前記スレーブマイクロコントローラに送信するとともに、前記スイッチコントローラを前記イネーブル状態にするよう制御し、前記マスタマイクロコントローラに異常があるとき、前記マスタマイクロコントローラは前記パルス信号を前記スレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、前記スレーブマイクロコントローラは前記スイッチコントローラを前記ディセーブル状態にするよう制御する請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
更に、電気を供給するための電源管理システムを含み、前記マスタマイクロコントローラに異常があるときには、前記電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行して、前記マスタマイクロコントローラが異常から正常動作に復帰し、前記マスタマイクロコントローラは、再び所定のタイミングで前記パルス信号を前記スレーブマイクロコントローラに送信するとともに、前記スイッチコントローラを前記イネーブル状態にするよう制御する請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ前記電源管理システムが前記システム再起動プログラムを実行していない場合、前記スイッチコントローラは一貫して前記スレーブマイクロコントローラによって前記ディセーブル状態にラッチされる請求項3に記載の保護回路。
【請求項5】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含み、前記電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、前記電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチ及び前記放電経路スイッチは、前記電源プラス端子回路又は前記電源マイナス端子回路に設置される請求項1に記載の保護回路。
【請求項6】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、第1電源プラス端子回路、第2電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含み、前記第1電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの第1外部電源プラス端子の間に接続され、前記第2電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの前記内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの第2外部電源プラス端子の間に接続され、前記電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチは前記第1電源プラス端子回路に設置され、前記放電経路スイッチは前記第2電源プラス端子回路に設置される請求項1に記載の保護回路。
【請求項7】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、電源プラス端子回路、第1電源マイナス端子回路及び第2電源マイナス端子回路を含み、前記電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、前記第1電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの第1外部電源マイナス端子の間に接続され、前記第2電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの前記内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの第2外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチは前記第1電源マイナス端子回路に設置され、前記放電経路スイッチは前記第2電源マイナス端子回路に設置される請求項1に記載の保護回路。
【請求項8】
バッテリモジュールの保護回路において、
第1マスタマイクロコントローラ、
前記第1マスタマイクロコントローラに接続される第1スレーブマイクロコントローラ、
充電経路スイッチ、及び
前記第1マスタマイクロコントローラ、前記第1スレーブマイクロコントローラ及び前記充電経路スイッチに接続される第1スイッチコントローラ、を含み、
前記第1マスタマイクロコントローラが所定のタイミングで第1パルス信号を前記第1スレーブマイクロコントローラに送信するとき、前記第1マスタマイクロコントローラは前記第1スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、前記第1スイッチコントローラは前記充電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御し、前記第1スレーブマイクロコントローラが前記第1パルス信号を受信しないとき、前記第1スレーブマイクロコントローラは前記第1スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する保護回路。
【請求項9】
更に、
第2マスタマイクロコントローラ、
前記第2マスタマイクロコントローラに接続される第2スレーブマイクロコントローラ、
放電経路スイッチ、及び
前記第2マスタマイクロコントローラ、前記第2スレーブマイクロコントローラ及び前記放電経路スイッチに接続される第2スイッチコントローラ、を含み、
前記第2マスタマイクロコントローラが所定のタイミングで第2パルス信号を前記第2スレーブマイクロコントローラに送信するとき、前記第2マスタマイクロコントローラは前記第2スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、前記第2スイッチコントローラは前記放電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御し、前記第2スレーブマイクロコントローラが前記第2パルス信号を受信しないとき、前記第2スレーブマイクロコントローラは前記第2スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する請求項8に記載の保護回路。
【請求項10】
前記第1マスタマイクロコントローラに異常があるとき、前記第1マスタマイクロコントローラは前記第1パルス信号を前記第1スレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、前記第1スレーブマイクロコントローラは前記第1スイッチコントローラを前記ディセーブル状態にするよう制御し、
或いは、前記第2マスタマイクロコントローラに異常があるとき、前記第2マスタマイクロコントローラは前記第2パルス信号を前記第2スレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、前記第2スレーブマイクロコントローラは前記第2スイッチコントローラを前記ディセーブル状態にするよう制御する請求項9に記載の保護回路。
【請求項11】
更に、電気を供給するための電源管理システムを含み、前記電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行すると、前記第1マスタマイクロコントローラ又は前記第2マスタマイクロコントローラは異常から正常動作に復帰し、前記第1マスタマイクロコントローラ又は前記第2マスタマイクロコントローラは、再び所定のタイミングで前記第1パルス信号又は前記第2パルス信号を前記第1スレーブマイクロコントローラ又は前記第2スレーブマイクロコントローラに送信するとともに、前記第1スイッチコントローラ又は前記第2スイッチコントローラを前記イネーブル状態にするよう制御する請求項10に記載の保護回路。
【請求項12】
前記第1マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ前記電源管理システムが前記システム再起動プログラムを実行していない場合、前記第1スイッチコントローラは一貫して前記第1スレーブマイクロコントローラによって前記ディセーブル状態にラッチされる請求項11に記載の保護回路。
【請求項13】
前記第2マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ前記電源管理システムが前記システム再起動プログラムを実行していない場合、前記第2スイッチコントローラは一貫して前記第2スレーブマイクロコントローラによって前記ディセーブル状態にラッチされる請求項11に記載の保護回路。
【請求項14】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含み、前記電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、前記電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチ及び前記放電経路スイッチは前記電源プラス端子回路又は前記電源マイナス端子回路に設置される請求項9に記載の保護回路。
【請求項15】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、第1電源プラス端子回路、第2電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含み、前記第1電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの第1外部電源プラス端子の間に接続され、前記第2電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの前記内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの第2外部電源プラス端子の間に接続され、前記電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチは前記第1電源プラス端子回路に設置され、前記放電経路スイッチは前記第2電源プラス端子回路に設置される請求項9に記載の保護回路。
【請求項16】
前記バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、前記保護回路は、更に、電源プラス端子回路、第1電源マイナス端子回路及び第2電源マイナス端子回路を含み、前記電源プラス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源プラス端子と前記バッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、前記第1電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの第1外部電源マイナス端子の間に接続され、前記第2電源マイナス端子回路は前記バッテリユニットの前記内部電源マイナス端子と前記バッテリモジュールの第2外部電源マイナス端子の間に接続され、前記充電経路スイッチは前記第1電源マイナス端子回路に設置され、前記放電経路スイッチは前記第2電源マイナス端子回路に設置される請求項9に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路に関し、特に、バッテリモジュールのマスタマイクロコントローラが機能喪失したときの充放電保護の起動に応用される回路に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のバッテリ管理システムでは、マイクロコントローラ(Microcontroller Unit:MCU)が、バッテリモジュールの充電経路、放電経路又は充放電経路上のスイッチコントローラとなっている。マイクロコントローラは、決まった時間に内部のウォッチドッグタイマ(watch dog timer)を起動してリセットプログラムを実行する必要がある。しかし、マイクロコントローラは、何らかの不明な原因によって永久ループ(又は、無限ループとも言う)に突入した場合、ウォッチドッグタイマを起動してリセットプログラムを実行することができなくなる。この場合、バッテリモジュールの充電経路、放電経路又は充放電経路上のスイッチは制御のきかない状態となる。バッテリモジュールの充電経路、放電経路又は充放電経路上のスイッチが制御のきかない状態になった場合には、バッテリモジュールが低温又は高温下で充電又は放電したり、バッテリモジュールに過充電又は過放電が発生したりすることで、バッテリモジュールの破損又は熱暴走が招来される。
【0003】
また、マイクロコントローラが永久ループに突入した場合には、外部のASICにおけるウォッチドッグタイマを用いてリセット信号を生成し、リセット信号によりマイクロコントローラをリセットすることもできる。しかし、マイクロコントローラが永久ループに突入した原因が解決されていなければ、バッテリモジュールの充電経路、放電経路又は充放電経路上のスイッチはオン・オフを繰り返してしまう。その結果、依然として、バッテリモジュールが低温又は高温下で充電又は放電を続けたり、バッテリモジュールに過充電又は過放電が発生したりする。
【0004】
或いは、マイクロコントローラが永久ループに突入した場合には、外部のASICにおけるウォッチドッグタイマがラッチ(latch)信号を生成し、ラッチ信号を用いてスイッチコントローラを所定時間だけディセーブル状態にラッチすることもできる。スイッチコントローラは、ラッチの所定時間が満了すると再びイネーブル状態に復帰する。しかし、マイクロコントローラが永久ループに突入した原因が解決されていなければ、イネーブル状態に復帰したスイッチコントローラは、充電経路、放電経路又は充放電経路上のスイッチがオン・オフを繰り返すよう制御し続けてしまう。その結果、やはり、バッテリモジュールが低温又は高温下で充電又は放電したり、バッテリモジュールに過充電又は過放電が発生したりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一の目的は、バッテリモジュールの保護回路を提供することである。当該保護回路は、マスタマイクロコントローラ、スレーブマイクロコントローラ、スイッチコントローラ、充電経路スイッチ及び放電経路スイッチを含む。マスタマイクロコントローラが正常に動作しているときは、マスタマイクロコントローラがスイッチコントローラをイネーブルにすることで、スイッチコントローラが充電経路上のスイッチ又は放電経路上のスイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御することを許容する。これにより、バッテリモジュールのバッテリユニットは、充電経路又は放電経路を通じて充電又は放電を行う。反対に、マスタマイクロコントローラに異常があるときは、スレーブマイクロコントローラがスイッチコントローラをディセーブルにすることで、スイッチコントローラが充電経路上のスイッチ又は放電経路上のスイッチをターンオンさせるよう制御することを禁止する。これにより、バッテリモジュールのバッテリユニットが充電経路を通じて充電したり、放電経路を通じて放電したりするのを回避する。
【0006】
本発明の更なる目的は、次のようなバッテリモジュールの保護回路を提供することである。即ち、当該保護回路は、マスタマイクロコントローラが正常に動作しているときには、パルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信することで、現時点ではマスタマイクロコントローラが正常に動作している旨をスレーブマイクロコントローラに通知するとともに、スレーブマイクロコントローラに対し、スイッチコントローラの制御を禁止するよう要求する。また、マスタマイクロコントローラに異常があるとき、スレーブマイクロコントローラはマスタマイクロコントローラからパルス信号を受信しない。これにより、スレーブマイクロコントローラはスイッチコントローラの制御権を掌握し、スイッチコントローラをディセーブルにすることで、スイッチコントローラによる充電経路上のスイッチ又は放電経路上のスイッチのターンオンを禁止する。
【0007】
本発明の更なる目的は、次のようなバッテリモジュールの保護回路を提供することである。即ち、当該保護回路は、マスタマイクロコントローラに異常があるとき、電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行することで、マスタマイクロコントローラを異常状態から正常状態に復帰させて、スイッチコントローラを再びイネーブルにする。これにより、スイッチコントローラが充電経路スイッチ又は放電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御し続けることを許容して、バッテリモジュールに充電又は放電を実行させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、マスタマイクロコントローラと、マスタマイクロコントローラに接続されるスレーブマイクロコントローラと、充電経路スイッチと、放電経路スイッチと、マスタマイクロコントローラ、スレーブマイクロコントローラ、充電経路スイッチ及び放電経路スイッチに接続されるスイッチコントローラ、を含むバッテリモジュールの保護回路を提供する。マスタマイクロコントローラが所定のタイミングでパルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信するとき、マスタマイクロコントローラはスイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、スイッチコントローラは充電経路スイッチ又は放電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御する。スレーブマイクロコントローラがパルス信号を受信しないとき、スレーブマイクロコントローラはスイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。
【0009】
本発明の一実施例において、マスタマイクロコントローラが正常に動作しているとき、マスタマイクロコントローラは所定のタイミングでパルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信するとともに、スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御する。マスタマイクロコントローラに異常があるとき、マスタマイクロコントローラはパルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、スレーブマイクロコントローラはスイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。
【0010】
本発明の一実施例において、更に、電気を供給するための電源管理システムを含む。マスタマイクロコントローラに異常があるときには、電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行して、マスタマイクロコントローラが異常から正常動作に復帰する。そして、マスタマイクロコントローラは、再び所定のタイミングでパルス信号をスレーブマイクロコントローラに送信するとともに、スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御する。
【0011】
本発明の一実施例において、マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行していない場合、スイッチコントローラは一貫してスレーブマイクロコントローラによってディセーブル状態にラッチされる。
【0012】
本発明の一実施例において、バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、保護回路は、更に、電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含む。電源プラス端子回路はバッテリユニットの内部電源プラス端子とバッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、電源マイナス端子回路はバッテリユニットの内部電源マイナス端子とバッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、充電経路スイッチ及び放電経路スイッチは、電源プラス端子回路又は電源マイナス端子回路に設置される。
【0013】
本発明の一実施例において、バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、保護回路は、更に、第1電源プラス端子回路、第2電源プラス端子回路及び電源マイナス端子回路を含む。第1電源プラス端子回路はバッテリユニットの内部電源プラス端子とバッテリモジュールの第1外部電源プラス端子の間に接続され、第2電源プラス端子回路はバッテリユニットの内部電源プラス端子とバッテリモジュールの第2外部電源プラス端子の間に接続され、電源マイナス端子回路はバッテリユニットの内部電源マイナス端子とバッテリモジュールの外部電源マイナス端子の間に接続され、充電経路スイッチは第1電源プラス端子回路に設置され、放電経路スイッチは第2電源プラス端子回路に設置される。
【0014】
本発明の一実施例において、バッテリモジュールは複数のセルを有するバッテリユニットを含み、保護回路は、更に、電源プラス端子回路、第1電源マイナス端子回路及び第2電源マイナス端子回路を含む。電源プラス端子回路はバッテリユニットの内部電源プラス端子とバッテリモジュールの外部電源プラス端子の間に接続され、第1電源マイナス端子回路はバッテリユニットの内部電源マイナス端子とバッテリモジュールの第1外部電源マイナス端子の間に接続され、第2電源マイナス端子回路はバッテリユニットの内部電源マイナス端子とバッテリモジュールの第2外部電源マイナス端子の間に接続され、充電経路スイッチは第1電源マイナス端子回路に設置され、放電経路スイッチは第2電源マイナス端子回路に設置される。
【0015】
本発明は、更に、第1マスタマイクロコントローラと、第1マスタマイクロコントローラに接続される第1スレーブマイクロコントローラと、充電経路スイッチと、第1マスタマイクロコントローラ、第1スレーブマイクロコントローラ及び充電経路スイッチに接続される第1スイッチコントローラ、を含むバッテリモジュールの保護回路を提供する。第1マスタマイクロコントローラが所定のタイミングで第1パルス信号を第1スレーブマイクロコントローラに送信するとき、第1マスタマイクロコントローラは第1スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、第1スイッチコントローラは充電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御する。第1スレーブマイクロコントローラが第1パルス信号を受信しないとき、第1スレーブマイクロコントローラは第1スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。
【0016】
本発明の一実施例において、更に、第2マスタマイクロコントローラと、第2マスタマイクロコントローラに接続される第2スレーブマイクロコントローラと、放電経路スイッチと、第2マスタマイクロコントローラ、第2スレーブマイクロコントローラ及び放電経路スイッチに接続される第2スイッチコントローラ、を含む。第2マスタマイクロコントローラが所定のタイミングで第2パルス信号を第2スレーブマイクロコントローラに送信するとき、第2マスタマイクロコントローラは第2スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御し、第2スイッチコントローラは放電経路スイッチをターンオン又はターンオフさせるよう制御する。第2スレーブマイクロコントローラが第2パルス信号を受信しないとき、第2スレーブマイクロコントローラは第2スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。
【0017】
本発明の一実施例において、第1マスタマイクロコントローラに異常があるとき、第1マスタマイクロコントローラは第1パルス信号を第1スレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、第1スレーブマイクロコントローラは第1スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。或いは、第2マスタマイクロコントローラに異常があるとき、第2マスタマイクロコントローラは第2パルス信号を第2スレーブマイクロコントローラに送信不可能となり、第2スレーブマイクロコントローラは第2スイッチコントローラをディセーブル状態にするよう制御する。
【0018】
本発明の一実施例において、更に、電気を供給するための電源管理システムを含む。電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行すると、第1マスタマイクロコントローラ又は第2マスタマイクロコントローラは異常から正常動作に復帰し、第1マスタマイクロコントローラ又は第2マスタマイクロコントローラは、再び所定のタイミングで第1パルス信号又は第2パルス信号を第1スレーブマイクロコントローラ又は第2スレーブマイクロコントローラに送信するとともに、第1スイッチコントローラ又は第2スイッチコントローラをイネーブル状態にするよう制御する。
【0019】
本発明の一実施例において、第1マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行していない場合、第1スイッチコントローラは一貫して第1スレーブマイクロコントローラによってディセーブル状態にラッチされる。
【0020】
本発明の一実施例において、第2マスタマイクロコントローラに異常があり、且つ電源管理システムがシステム再起動プログラムを実行していない場合、第2スイッチコントローラは一貫して第2スレーブマイクロコントローラによってディセーブル状態にラッチされる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の一実施例における概略回路ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の一実施例における概略回路ブロック図である
図1を参照する。
図1に示すように、本発明のバッテリモジュール100は、バッテリユニット10及び保護回路300を含む。バッテリユニット10は複数のセル11を含む。電源管理システム200は、保護回路300の動作に必要な電源を供給する。
【0023】
保護回路300は、マスタマイクロコントローラ(master microcontroller)31、スレーブマイクロコントローラ(slave microcontroller)32、スイッチコントローラ33、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35を含む。マスタマイクロコントローラ31はスレーブマイクロコントローラ32に接続される。スイッチコントローラ33は、マスタマイクロコントローラ31、スレーブマイクロコントローラ32、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35に接続される。
【0024】
バッテリモジュール100の外側(例えば、ケーシング)には、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19が設置されている。また、バッテリモジュール100の内側のバッテリユニット10には、内部電源プラス端子111及び内部電源マイナス端子112が設置されている。保護回路300は、更に、電源プラス端子回路13と、抵抗150を有する電源マイナス端子回路15を含む。電源プラス端子回路13は、内部電源プラス端子111と外部電源プラス端子17の間に接続され、電源マイナス端子回路15は、内部電源マイナス端子112と外部電源マイナス端子19の間に接続される。充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35は電源プラス端子回路13に設置される。
【0025】
マスタマイクロコントローラ31が正常に動作しているとき、スイッチコントローラ33の制御権はマスタマイクロコントローラ31に掌握され、マスタマイクロコントローラ31がイネーブル信号310をスイッチコントローラ33に送信することで、スイッチコントローラ33をイネーブル状態にするよう制御する。イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、充電経路スイッチ34又は放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御することが許容される。これにより、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に接続されている外部電源が、電源プラス端子回路13を通じてバッテリユニット10を充電可能となる。或いは、バッテリユニット10が、電源プラス端子回路13を通じて、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に電気的に接続されている負荷に対し放電する。
【0026】
加えて、マスタマイクロコントローラ31が正常に動作しているとき、マスタマイクロコントローラ31は、所定のタイミングでパルス信号311をスレーブマイクロコントローラ32に送信する。スレーブマイクロコントローラ32は、マスタマイクロコントローラ31から送信されたパルス信号311を受信すると、現時点ではマスタマイクロコントローラ31の動作が正常である旨を把握する。これにより、スレーブマイクロコントローラ32はアイドル状態に維持される。
【0027】
反対に、マスタマイクロコントローラ31が不明な原因によって永久ループという異常状態に突入したときには、パルス信号311をスレーブマイクロコントローラ32に送信できなくなる。スレーブマイクロコントローラ32がマスタマイクロコントローラ31から送信されるパルス信号311を所定の時間にわたって受信しなかった場合には、スレーブマイクロコントローラ32がスイッチコントローラ33の制御権を掌握する。そして、スレーブマイクロコントローラ32は、ディセーブル信号320をスイッチコントローラ33に送信することで、スイッチコントローラ33をディセーブル状態にするよう制御する。ディセーブル状態のスイッチコントローラ33は、充電経路スイッチ34又は放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御することが禁止される。これにより、外部電源が電源プラス端子回路13を通じてバッテリユニット10を充電したり、バッテリユニット10が電源プラス端子回路13を通じて負荷に対し放電したりすることが回避される。
【0028】
よって、マスタマイクロコントローラ31に異常があるときには、スレーブマイクロコントローラ32によってスイッチコントローラ33をディセーブル状態にするよう制御することで、バッテリユニット10が充電又は放電するのを禁止可能となる。これにより、バッテリモジュール100が低温又は高温下で充電又は放電するとの事態が回避されるため、バッテリモジュール100のセル11における損傷の確率が低下する。或いは、バッテリモジュール100の過充電又は過放電が回避されるため、バッテリモジュール100のセル11における熱暴走の確率が低下する。
【0029】
続いて、マスタマイクロコントローラ31に異常があるときには、電源管理システム200がシステム再起動プログラム(又は、システムリセットプログラムと称する)を実行し、マスタマイクロコントローラ31が異常状態から正常状態に復帰する。そして、マスタマイクロコントローラ31は、再びスイッチコントローラ33の制御権を取得及び掌握し、イネーブル信号310をスイッチコントローラ33に送信する。これにより、スイッチコントローラ33はイネーブル状態に復帰可能となり、充電経路スイッチ34又は放電経路スイッチ35をターンオン又はターンオフさせるよう制御し続けることが許容される。同時に、正常状態に復帰したマスタマイクロコントローラ31は、再び所定のタイミングでパルス信号311をスレーブマイクロコントローラ32に送信することで、スレーブマイクロコントローラ32に対し、現時点ではマスタマイクロコントローラ31が正常動作に復帰している旨を通知するとともに、スレーブマイクロコントローラ32に対し、スイッチコントローラ33の制御を停止するよう要求する。
【0030】
また、電源管理システム200がシステム再起動プログラムを実行する前に、マスタマイクロコントローラ31が異常状態から正常状態に復帰したとしても、スレーブマイクロコントローラ32はそのままスイッチコントローラ33の制御権を掌握し、スイッチコントローラ33は一貫してスレーブマイクロコントローラ32によってディセーブル状態にラッチされる。これにより、スイッチコントローラ33が動作状態の不安定なマスタマイクロコントローラ31により制御されるとの事態を回避し得るため、バッテリモジュール100の充放電時の安全性が向上する。
【0031】
本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である
図2を参照する。1本の電源プラス端子回路13と、それに対応する1つの外部電源プラス端子17を含む上記実施例におけるバッテリモジュール100の保護回路300と比較して、本実施例におけるバッテリモジュール101の保護回路301は、2本の電源プラス端子回路(例えば、第1電源プラス端子回路131及び第2電源プラス端子回路132)と、それに対応する2つの外部電源プラス端子(例えば、第1外部電源プラス端子171及び第2外部電源プラス端子172)を含む。
【0032】
第1電源プラス端子回路131は、内部電源プラス端子111と第1外部電源プラス端子171の間に接続され、第2電源プラス端子回路132は内部電源プラス端子111と第2外部電源プラス端子172の間に接続される。充電経路スイッチ34は第1電源プラス端子回路131に設置され、放電経路スイッチ35は第2電源プラス端子回路132に設置される。
【0033】
スイッチコントローラ33がマスタマイクロコントローラ31によりイネーブルとされたとき、イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、充電経路スイッチ34をターンオンさせるよう制御可能となる。これにより、第1外部電源プラス端子171及び外部電源マイナス端子19に接続されている外部電源は、第1電源プラス端子回路131を通じてバッテリユニット10を充電可能となる。或いは、イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御可能となる。これにより、バッテリユニット10は、第2電源プラス端子回路132を通じて、第2外部電源プラス端子172及び外部電源マイナス端子19に電気的に接続されている負荷に対し放電する。
【0034】
本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である
図3を参照する。充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35が電源プラス端子回路13に設置されている上記実施例におけるバッテリモジュール100の保護回路300と比較して、本実施例におけるバッテリモジュール102の保護回路302は、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35が電源マイナス端子回路15に設置される。
【0035】
スイッチコントローラ33がマスタマイクロコントローラ31によりイネーブルとされたとき、イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、充電経路スイッチ34又は放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御可能となる。これにより、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に接続されている外部電源が、電源マイナス端子回路15を通じてバッテリユニット10を充電可能となる。或いは、バッテリユニット10が、電源マイナス端子回路15を通じて、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に電気的に接続されている負荷に対し放電する。
【0036】
本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である
図4を参照する。1本の電源マイナス端子回路15と、それに対応する1つの外部電源マイナス端子19を含む上記実施例におけるバッテリモジュール102の保護回路302と比較して、本実施例におけるバッテリモジュール103の保護回路303は、2本の電源マイナス端子回路(例えば、第1電源マイナス端子回路151及び第2電源マイナス端子回路152)と、それに対応する2つの外部電源マイナス端子(例えば、第1外部電源マイナス端子191及び第2外部電源マイナス端子192)を含む。
【0037】
第1電源マイナス端子回路151は、内部電源マイナス端子112と第1外部電源マイナス端子191の間に接続され、第2電源マイナス端子回路152は内部電源マイナス端子112と第2外部電源マイナス端子192の間に接続される。充電経路スイッチ34は第1電源マイナス端子回路151に設置され、放電経路スイッチ35は第2電源マイナス端子回路152に設置される。
【0038】
スイッチコントローラ33がマスタマイクロコントローラ31によりイネーブルとされたとき、イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、充電経路スイッチ34をターンオンさせるよう制御可能となる。これにより、外部電源プラス端子17及び第1外部電源マイナス端子191に接続されている外部電源は、第1電源マイナス端子回路151を通じてバッテリユニット10を充電可能となる。或いは、イネーブル状態のスイッチコントローラ33は、放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御可能となる。これにより、バッテリユニット10は、第2電源マイナス端子回路152を通じて、外部電源プラス端子17及び第2外部電源マイナス端子192に電気的に接続されている負荷に対し放電する。
【0039】
本発明に係るバッテリモジュールの保護回路の更なる実施例における概略回路ブロック図である
図5を参照する。1組のマスタマイクロコントローラ、スレーブマイクロコントローラ及びスイッチコントローラだけを使用して充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35のターンオン又はターンオフを制御する上記実施例におけるバッテリモジュール100の保護回路300と比較して、本実施例におけるバッテリモジュール104の保護回路304は、2組のマスタマイクロコントローラ、スレーブマイクロコントローラ及びスイッチコントローラを使用して、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35のターンオン又はターンオフをそれぞれ制御する。
【0040】
図5に示すように、電源管理システム200は保護回路304の動作に必要な電源を供給する。保護回路304は、第1マスタマイクロコントローラ361、第1スレーブマイクロコントローラ371、第1スイッチコントローラ381及び充電経路スイッチ34を含む。第1スイッチコントローラ381は、第1マスタマイクロコントローラ361、第1スレーブマイクロコントローラ371及び充電経路スイッチ34に接続される。充電経路スイッチ34は電源プラス端子回路13に設置される。
【0041】
第1マスタマイクロコントローラ361が正常に動作しているときには、第1マスタマイクロコントローラ361が第1イネーブル信号3610を第1スイッチコントローラ381に送信することで、第1スイッチコントローラ381をイネーブル状態にするよう制御する。イネーブル状態の第1スイッチコントローラ381は、充電経路スイッチ34をターンオンさせるよう制御することが許容される。これにより、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に接続されている外部電源は、電源プラス端子回路13を通じてバッテリユニット10を充電可能となる。加えて、第1マスタマイクロコントローラ361が正常に動作しているときには、同時に、第1マスタマイクロコントローラ361が、所定のタイミングで第1パルス信号3611を第1スレーブマイクロコントローラ371に送信する。第1スレーブマイクロコントローラ371は、第1マスタマイクロコントローラ361から送信された第1パルス信号3611を受信すると、現時点では第1マスタマイクロコントローラ361の動作が正常である旨を把握する。これにより、第1スレーブマイクロコントローラ371はアイドル状態に維持される。
【0042】
反対に、第1マスタマイクロコントローラ361が不明な原因によって永久ループという異常状態に突入したときには、第1パルス信号3611を第1スレーブマイクロコントローラ371に送信できなくなり、第1スレーブマイクロコントローラ371が第1スイッチコントローラ381の制御権を掌握する。そして、第1スレーブマイクロコントローラ371は、第1ディセーブル信号3710を第1スイッチコントローラ381に送信することで、第1スイッチコントローラ381をディセーブル状態にするよう制御する。ディセーブル状態の第1スイッチコントローラ381は、充電経路スイッチ34をターンオンさせるよう制御することが禁止される。これにより、外部電源が電源プラス端子回路13を通じてバッテリユニット10を充電するとの事態が回避される。
【0043】
よって、第1マスタマイクロコントローラ361に異常があるときには、第1スレーブマイクロコントローラ371によって第1スイッチコントローラ381をディセーブル状態にするよう制御することで、バッテリユニット10が充電するのを禁止可能となる。これにより、バッテリモジュール100が低温又は高温下で充電するとの事態が回避されるため、バッテリモジュール100のセル11における損傷の確率が低下する。或いは、バッテリモジュール100の過充電が回避されるため、バッテリモジュール100のセル11における熱暴走の確率が低下する。
【0044】
保護回路304は、更に、第2マスタマイクロコントローラ362、第2スレーブマイクロコントローラ372、第2スイッチコントローラ382及び放電経路スイッチ35を含む。第2マスタマイクロコントローラ362は第2スレーブマイクロコントローラ372に接続される。第2スイッチコントローラ382は、第2マスタマイクロコントローラ362、第2スレーブマイクロコントローラ372及び放電経路スイッチ35に接続される。放電経路スイッチ35は電源プラス端子回路13に設置される。
【0045】
第2マスタマイクロコントローラ362が正常に動作しているときには、第2マスタマイクロコントローラ362が第2イネーブル信号3620を第2スイッチコントローラ382に送信することで、第2スイッチコントローラ382をイネーブル状態にするよう制御する。イネーブル状態の第2スイッチコントローラ382は、放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御することが許容される。これにより、バッテリユニット10は、電源プラス端子回路13を通じて、外部電源プラス端子17及び外部電源マイナス端子19に電気的に接続されている負荷に対し放電する。加えて、第2マスタマイクロコントローラ362が正常に動作しているときには、同時に、第2マスタマイクロコントローラ362が、所定のタイミングで第2パルス信号3621を第2スレーブマイクロコントローラ372に送信する。第2スレーブマイクロコントローラ372は、第2マスタマイクロコントローラ362から送信された第2パルス信号3621を受信すると、現時点では第2マスタマイクロコントローラ362の動作が正常である旨を把握する。これにより、第2スレーブマイクロコントローラ372はアイドル状態に維持される。
【0046】
反対に、第2マスタマイクロコントローラ362が不明な原因によって永久ループという異常状態に突入したときには、第2パルス信号3621を第2スレーブマイクロコントローラ372に送信できなくなり、第2スレーブマイクロコントローラ372が第2スイッチコントローラ382の制御権を掌握する。そして、第2スレーブマイクロコントローラ372は、第2ディセーブル信号3720を第2スイッチコントローラ382に送信することで、第2スイッチコントローラ382をディセーブル状態にするよう制御する。ディセーブル状態の第2スイッチコントローラ382は、放電経路スイッチ35をターンオンさせるよう制御することが禁止される。これにより、バッテリユニット10が電源プラス端子回路13を通じて負荷に対し放電するとの事態が回避される。
【0047】
よって、第2マスタマイクロコントローラ362に異常があるときには、第2スレーブマイクロコントローラ372によって第2スイッチコントローラ382をディセーブル状態にするよう制御することで、バッテリユニット10が放電するのを禁止可能となる。これにより、バッテリモジュール100が低温又は高温下で放電又は過放電するとの事態が回避されるため、バッテリモジュール100のセル11における損傷の確率が低下する。
【0048】
同様に、第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362に異常があるときに、第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362が第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382の制御権を奪回しようとする場合、電源管理システム200はシステム再起動プログラムを実行せねばならない。電源管理システム200がシステム再起動プログラムを実行し終えたあと、第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362は異常状態から正常状態に復帰する。そして、第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362は再び第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382の制御権を取得及び掌握して、イネーブル信号3610/3620を第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382に送信する。これにより、第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382はイネーブル状態に復帰可能となり、充電経路スイッチ34又は放電経路スイッチ35をターンオン又はターンオフさせるよう制御し続けることが許容される。同時に、正常状態に復帰した第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362は、再び所定のタイミングでパルス信号3611/3621を第1スレーブマイクロコントローラ371又は第2スレーブマイクロコントローラ372に送信することで、第1スレーブマイクロコントローラ371又は第2スレーブマイクロコントローラ372に対し、現時点では第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362が正常動作に復帰している旨を通知するとともに、第1スレーブマイクロコントローラ371又は第2スレーブマイクロコントローラ372に対し、第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382の制御を停止するよう要求する。
【0049】
また、電源管理システム200がシステム再起動プログラムを実行する前に、第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362が異常状態から正常状態に復帰したとしても、第1スレーブマイクロコントローラ371又は第2スレーブマイクロコントローラ372はそのまま第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382の制御権を掌握し、第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382は、一貫して第1スレーブマイクロコントローラ371又は第2スレーブマイクロコントローラ372によってディセーブル状態にラッチされる。これにより、第1スイッチコントローラ381又は第2スイッチコントローラ382が動作状態の不安定な第1マスタマイクロコントローラ361又は第2マスタマイクロコントローラ362により制御されるとの事態を回避し得るため、バッテリモジュール100の充放電時の安全性が向上する。
【0050】
本実施例において、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35は、同一の電源プラス端子回路13に選択的に設置してもよいし、同一の電源マイナス端子回路15に選択的に設置してもよいし、異なる電源プラス端子回路131,132に選択的に設置してもよいし、異なる電源マイナス端子回路151,152に選択的に設置してもよい。なお、充電経路スイッチ34及び放電経路スイッチ35の配置位置についての選択的な方案は
図1~
図4の各実施例にそれぞれ明確に示しているため、ここでは改めて詳述しない。
【0051】
以上の記載は本発明の一実施例にすぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。即ち、本発明の特許請求の範囲に記載する形状、構造、特徴及び精神に基づきなされる等価の変形及び改変は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0052】
100 バッテリモジュール
101 バッテリモジュール
102 バッテリモジュール
103 バッテリモジュール
104 バッテリモジュール
10 バッテリユニット
11 セル
13 電源プラス端子回路
131 第1電源プラス端子回路
132 第2電源プラス端子回路
15 電源マイナス端子回路
150 抵抗
151 第1電源マイナス端子回路
152 第2電源マイナス端子回路
17 外部電源プラス端子
171 第1外部電源プラス端子
172 第2外部電源プラス端子
19 外部電源マイナス端子
191 第1外部電源マイナス端子
192 第2外部電源マイナス端子
200 電源管理システム
300 保護回路
301 保護回路
302 保護回路
303 保護回路
304 保護回路
31 マスタマイクロコントローラ
310 イネーブル信号
311 パルス信号
32 スレーブマイクロコントローラ
320 ディセーブル信号
33 スイッチコントローラ
34 充電経路スイッチ
35 放電経路スイッチ
361 第1マスタマイクロコントローラ
3610 第1イネーブル信号
3611 第1パルス信号
362 第2マスタマイクロコントローラ
3620 第2イネーブル信号
3621 第2パルス信号
371 第1スレーブマイクロコントローラ
3710 第1ディセーブル信号
372 第2スレーブマイクロコントローラ
3720 第2ディセーブル信号
381 第1スイッチコントローラ
382 第2スイッチコントローラ