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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037510
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ヒータ、および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20240312BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20240312BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H05B3/10 A
H05B3/02 Z
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142418
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】上野 宏輔
(72)【発明者】
【氏名】玉井 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】青野 伸二郎
(72)【発明者】
【氏名】壷内 暁夫
(72)【発明者】
【氏名】大橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】土居 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠
【テーマコード(参考)】
2H033
3K092
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA31
2H033BA32
2H033BE00
2H033BE03
3K092PP18
3K092QB02
3K092QB68
3K092QB76
3K092QC02
3K092QC25
3K092UA06
3K092VV04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な構成で、ヒータの小型化を図ることができるヒータ、および画像形成装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るヒータ1は、導電性を有し、第1の方向に延びる基板10と;前記基板の一方の面に設けられ、絶縁性を有し、厚み方向を貫通する孔を有する絶縁部20と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延びる発熱体30と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記発熱体と並び、前記発熱体の温度を検出する検出部40と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の一方の端子に電気的に接続され、他方の端部が前記絶縁部の前記孔を介して前記基板に電気的に接続される第1の配線41と;前記絶縁部の上に設けられ、前記発熱体、前記検出部、および前記第1の配線を覆い、絶縁性を有する保護部50と;を具備している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、第1の方向に延びる基板と;
前記基板の一方の面に設けられ、絶縁性を有し、厚み方向を貫通する孔を有する絶縁部と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延びる発熱体と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記発熱体と並び、前記発熱体の温度を検出する検出部と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の一方の端子に電気的に接続され、他方の端部が前記絶縁部の前記孔を介して前記基板に電気的に接続される第1の配線と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記発熱体、前記検出部、および前記第1の配線を覆い、絶縁性を有する保護部と;
を具備したヒータ。
【請求項2】
前記発熱体は、一対設けられ、
前記第2の方向において、前記検出部は、前記発熱体と、前記発熱体との間に設けられている請求項1記載のヒータ。
【請求項3】
前記第2の方向において、前記検出部と一方の前記発熱体との間の距離は、前記検出部と他方の前記発熱体との間の距離と略同じである請求項2記載のヒータ。
【請求項4】
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の他方の端子に電気的に接続される第2の配線と;
前記第2の配線の他方の端部に電気的に接続される第1の端子と;
前記発熱体の一方の端部に電気的に接続される第2の端子と;
をさらに具備し、
前記保護部は、前記第2の配線をさらに覆い、
前記第1の端子、および前記第2の端子は、前記保護部から露出し、前記第2の方向に並び、
前記基板の、前記第1の端子、および前記第2の端子が設けられる側の端部の近傍は、前記絶縁部から露出している請求項1~3のいずれか1つに記載のヒータ。
【請求項5】
請求項1記載のヒータを具備した画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒータ、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの画像形成装置には、トナーを定着させるためのヒータが設けられている。また、リライタブルカードリーダ・ライタなどに設けられる印字消去装置などにもヒータが設けられている。一般的に、この様なヒータは、長尺状の基板と、基板の一方の面に設けられ、基板の長手方向に延びる発熱体と、発熱体の両側の端部のそれぞれに電気的に接続された一対の端子と、を有している。また、発熱体の温度制御を行うために、基板にサーミスタが設けられる場合もある。
【0003】
一般的には、基板の一方の面に発熱体を設け、基板の、発熱体が設けられる面と対向する面にサーミスタを設けている。しかしながら、この様にすると、発熱体の熱がサーミスタに伝わり難くなるので、ヒータの温度制御の精度が低下するおそれがある。そのため、発熱体の発熱効率が低下するおそれがある。
【0004】
また、基板の一方の面に発熱体とサーミスタを設け、基板の短手方向(幅方向)に発熱体とサーミスタを並べて設ける場合もある。しかしながら、単に、基板の短手方向に発熱体とサーミスタを並べると、基板の一方の面に設けられ、発熱体とサーミスタに接続される配線の数が多くなったり、基板の短手方向の寸法が大きくなったりして、ヒータの小型化が困難となる。
そこで、簡易な構成で、ヒータの小型化を図ることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-131502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で、ヒータの小型化を図ることができるヒータ、および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るヒータは、導電性を有し、第1の方向に延びる基板と;前記基板の一方の面に設けられ、絶縁性を有し、厚み方向を貫通する孔を有する絶縁部と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延びる発熱体と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記発熱体と並び、前記発熱体の温度を検出する検出部と;前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の一方の端子に電気的に接続され、他方の端部が前記絶縁部の前記孔を介して前記基板に電気的に接続される第1の配線と;前記絶縁部の上に設けられ、前記発熱体、前記検出部、および前記第1の配線を覆い、絶縁性を有する保護部と;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、簡易な構成で、ヒータの小型化を図ることができるヒータ、および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るヒータを、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図2】ヒータを、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図3図1におけるヒータのA-A線方向の模式断面図である。
図4】比較例に係るヒータを、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図5】比較例に係るヒータを、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図6】他の比較例に係るヒータを、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図7】本実施の形態に係る画像形成装置を例示するための模式図である。
図8】定着部を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、各図面中の矢印X、Y、Zは互いに直交する三方向を表している。例えば、基板の長手方向をX方向(第1の方向の一例に相当する)、基板の短手方向(幅方向)をY方向(第2の方向の一例に相当する)、基板の面に垂直な方向をZ方向としている。
【0011】
(ヒータ)
図1は、本実施の形態に係るヒータ1を、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図2は、ヒータ1を、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図3は、図1におけるヒータ1のA-A線方向の模式断面図である。
図1図3に示すように、ヒータ1は、例えば、基板10、絶縁部20、発熱体30、検出部40、保護部50、および絶縁部60を有する。
【0012】
基板10は、板状を呈し、面10aと、面10aに対向する面10bとを有する。基板10は、一方の方向(例えば、X方向)に延びる形状を有している。基板10の平面形状は、例えば、長尺状の長方形である。基板10の厚みは、例えば、0.5mm~1.0mm程度である。基板10の幅寸法W(短手方向の寸法;Y方向の寸法)は、例えば、5mm~15mm程度である。基板10の長さL(長手方向の寸法;X方向の寸法)は、加熱対象物(例えば、紙)のサイズなどに応じて適宜変更することができる。
【0013】
基板10は、耐熱性と、導電性を有する材料から形成される。一般的には、基板は、酸化アルミニウムなどのセラミックスから形成されるが、本実施の形態に係るヒータ1には、金属を含む基板10が設けられている。金属は、例えば、ステンレス、アルミニウム合金などである。
【0014】
図1、および図3に示すように、絶縁部20は、絶縁性を有し、基板10の面10aに設けられている。絶縁部20は、導電性を有する基板10と、発熱体30および検出部40との間を絶縁するために設けられている。そのため、絶縁部20は、基板10の面10aの、発熱体30および検出部40が設けられる領域を覆う様に設けられている。また、絶縁部20には、厚み方向を貫通する孔20aが設けられている。絶縁部20は、耐熱性と、絶縁性を有する材料から形成される。絶縁部20は、例えば、セラミックスやガラス材料などの無機材料から形成することができる。絶縁部20は、例えば、溶射や焼成などにより形成することができる。
【0015】
発熱体30は、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。発熱体30は、絶縁部20の上(絶縁部20の基板10側とは反対側の面)に設けられている。発熱体30は、例えば、X方向に延びている。発熱体30は、複数設けることができる。複数の発熱体30は、例えば、所定の間隔を空けて、Y方向に並べて設けられる。例えば、図1、および図3に示すように、発熱体30は、一対設けることができる。
【0016】
発熱体30は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)や、銀・パラジウム(Ag-Pd)合金などを用いて形成される。発熱体30は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部20の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0017】
また、複数の発熱体30を電気的に接続する配線31を設けることができる。配線31は、絶縁部20の上に設けられている。配線31は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1、および図3に示すように、配線31は、Y方向に延び、一対の発熱体30の一方の端部に電気的に接続されている。
【0018】
また、発熱体30を外部の機器などに電気的に接続するための端子32(第2の端子の一例に相当する)を設けることができる。端子32は、発熱体30の一方の端部に電気的に接続される。端子32は、例えば、一対設けることができる。一対の端子32は、絶縁部20の上に設けられている。例えば、図1、および図3に示すように、X方向において、一対の端子32は、発熱体30の、配線31が設けられる側とは反対側の端部に電気的に接続されている。例えば、一対の端子32は、所定の間隔を空けてY方向に並べて設けることができる。また、端子32と発熱体30とを電気的に接続する配線を設けることもできる。端子32と発熱体30との間に配線が設けられていれば、一対の端子32を任意の位置に設けることができる。
【0019】
配線31、および端子32は、例えば、銀や銅などを含む材料を用いて形成される。配線31、および端子32は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部20の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。端子32と発熱体30との間に配線を設ける場合には、配線の材料と形成方法は、配線31、および端子32の材料と形成方法と同様とすることができる。
【0020】
検出部40は、発熱体30の温度を検出する。検出部40は、例えば、サーミスタ、熱電対、測温抵抗体などとすることができる。図1に例示をした検出部40は、サーミスタである。検出部40は、絶縁部20の上に設けられている。Y方向において、検出部40は、発熱体30と並べて設けることができる。例えば、図1に示すように、検出部40は、発熱体30と、発熱体30との間に設けることができる。X方向において、検出部40は、例えば、発熱体30の中央近傍の位置に設けることができる。Y方向において、検出部40は、例えば、発熱体30と発熱体30の間の中央近傍の位置に設けることができる。この様な位置に検出部40を設ければ、一方の発熱体30と検出部40との間の距離が、他方の発熱体30と検出部40との間の距離と略同じとなる。そのため、ヒータ1の面内温度にバラツキが生じるのを抑制することができる。
【0021】
また、検出部40に電気的に接続された配線41(第1の配線の一例に相当する)、配線42(第2の配線の一例に相当する)、および端子43(第1の端子の一例に相当する)を設けることができる。配線41、配線42、および端子43は、絶縁部20の上に設けられている。例えば、図1に示すように、配線41、および配線42は、X方向に延びている。Y方向において、配線41、配線42、および端子43は、発熱体30と、発熱体30との間に設けられている。
【0022】
配線41の一方の端部は、検出部40の一方の端子に電気的に接続されている。配線41の他方の端部は、絶縁部20の孔20aを介して、基板10の面10aに電気的に接続されている。
配線42の一方の端部は、検出部40の他方の端子に電気的に接続されている。配線42の他方の端部は、端子43と電気的に接続されている。X方向において、配線42、および端子43は、検出部40の、配線31側とは反対側に設けられている。Y方向において、端子43は、端子32と並べて設けることができる。
【0023】
配線41、配線42、および端子43の材料と形成方法は、配線31、および端子32の材料と形成方法と同様とすることができる。また、配線31、端子32、配線41、配線42、および端子43は、同じ形成工程において、同時に形成することもできる。
【0024】
図1、および図3に示すように、保護部50は、絶縁部20の上に設けられ、X方向に延びている。保護部50は、例えば、発熱体30、配線31、検出部40、配線41、および配線42を覆っている。X方向における保護部50の寸法は、絶縁部20の寸法よりも小さくすることができる。例えば、端子32、および端子43は、保護部50から露出している。
【0025】
また、図1に示すように、X方向において、基板10の面10aの、端子32、および端子43が設けられる側の端部の近傍は、絶縁部20から露出している。前述した様に、基板10は導電性を有する材料から形成されている。また、配線41の端部は、絶縁部20の孔20aを介して、基板10の面10aに電気的に接続されている。そのため、基板10は、配線41に電気的に接続された配線、および端子として機能する。例えば、図1に示すように、基板10の、端子32、および端子43が設けられる側の端部の近傍は、配線41に電気的に接続された端子41aとして機能する。
【0026】
X方向において、端子32、端子43、および端子41aが、基板10の一方の端部の近傍に設けられていれば、ヒータ1の一方の端部に、外部の機器との電気的な接続を行うためのハーネスのコネクタを装着することができる。そのため、ヒータ1の配線スペースを小さくしたり、ヒータ1の配線作業時間を短縮したりすることができる。
【0027】
また、導電性を有する基板10は、配線41に電気的に接続された配線として機能するので、配線41を端子43側に折り返す必要がない。そのため、Y方向において、検出部40を設けるために必要となるスペースを小さくすることができる。検出部40を設けるために必要となるスペースが小さくなれば、発熱体30と発熱体30との間の寸法を小さくすることができる。そのため、ヒータ1の小型化を図ったり、ヒータ1の面内温度の均一化を図ったりするのが容易となる。
【0028】
保護部50は、例えば、発熱体30、配線31、検出部40、配線41、および配線42を絶縁する機能、発熱体30において発生した熱を外部に伝える機能、および、外力や腐食性ガスなどから発熱体30などを保護する機能を有する。保護部50は、耐熱性および絶縁性を有し、化学的安定性および熱伝導率の高い材料から形成される。保護部50は、例えば、セラミックスや、ガラス材料などの無機材料から形成される。この場合、酸化アルミニウムなどの熱伝導率の高い材料を含むフィラーが添加されたガラス材料を用いて保護部50を形成することもできる。フィラーが添加されたガラス材料の熱伝導率は、例えば、2[W/(m・K)]以上とすることができる。
【0029】
保護部50は、例えば、スクリーン印刷法などを用いてペースト状の材料を絶縁部20、発熱体30、配線31、検出部40、配線41、および配線42の上に塗布し、焼成法などを用いてこれを硬化させることで形成することができる。
【0030】
絶縁部60は、導電性を有する基板10の面10bの側を絶縁するために設けられている。絶縁部60の厚み、材料、および形成方法は、例えば、前述した絶縁部20の厚み、材料、および形成方法と同じとすることができる。
【0031】
なお、絶縁部60の厚みは、絶縁部20の厚みよりも厚くすることもできる。例えば、ヒータ1の使用時や製造時(例えば、保護部50などの焼成時)には、材料の熱膨張率の差に起因して熱応力が発生する。そのため、熱応力により、ヒータ1に反りが発生するおそれがある。ヒータ1に反りが発生すると、ヒータ1と加熱対象物との間の距離がばらついて、加熱対象物に加熱ムラが生じるおそれがある。
【0032】
この場合、基板10の面10aの側において、基板10と、絶縁部20および保護部50と、により生じた熱応力を、基板10の面10bの側において、基板10と、絶縁部60と、により生じた熱応力で相殺することができる。熱応力が相殺されれば、ヒータ1に反りが発生するのを抑制することができる。この場合、絶縁部60の厚みを厚くすれば、基板10の面10bの側において発生する熱応力の値を、基板10の面10aの側において発生する熱応力の値に近づけることができる。そのため、ヒータ1に反りが発生するのをさらに効果的に抑制することができる。例えば、絶縁部60の厚みは、絶縁部20の厚みと保護部50の厚みの合計程度の値とすることができる。
【0033】
図4は、比較例に係るヒータ101を、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
図5は、比較例に係るヒータ101を、Z方向における他方の側から見た場合の模式図である。
図4、および図5に示すように、ヒータ101は、基板10、絶縁部20b、発熱体30、検出部40、保護部50、および絶縁部60を有する。
【0034】
絶縁部20bは、前述した絶縁部20と同様に、基板10の面10aに設けられている。絶縁部20bの寸法、平面形状、材料などは、前述した絶縁部20と同様とすることができる。ただし、絶縁部20bには、孔20aが設けられていない。
【0035】
図1に例示をしたヒータ1においては、検出部40は、基板10の面10a側に設けられている。これに対して、ヒータ101においては、図5に示すように、検出部40は、基板10の面10b側に設けられている。そのため、基板10の面10bにも絶縁部20bを設ける必要がある。
【0036】
この場合、発熱体30は、基板10の面10a側に設けられているので、発熱体30の熱が検出部40に伝わり難くなる。発熱体30の熱が検出部40に伝わり難くなると、ヒータ101(発熱体30)の温度制御の精度が低くなる。
【0037】
そのため、Y方向において、検出部40の位置は、発熱体30の位置と同じとされている。この様にすれば、検出部40と発熱体30との間の距離を短くすることができるので、ヒータ101(発熱体30)の温度制御の精度を向上させることができる。しかしながら、この様にすると、発熱体30の数と同じ数の検出部40が必要となる。また、検出部40の数が増えると、検出部40同士を電気的に接続する配線141が必要となったり、配線42、および端子43の数が増えたりする。なお、配線141の材料と形成方法は、前述した配線41の材料と形成方法と同様とすることができる。また、前述した様に、基板10の面10bにも絶縁部20bを設ける必要がある。
そのため、ヒータ101の製造コストの増大を招くことになる。
【0038】
図6は、他の比較例に係るヒータ102を、Z方向における一方の側から見た場合の模式図である。
なお、ヒータ102を、Z方向における他方の側から見た場合は、前述した図2と同様とすることができる。ただし、後述するように、基板103の幅寸法W1は、基板10の幅寸法Wよりも大きくなる。
【0039】
図6に示すように、ヒータ102は、基板103、絶縁部20b、発熱体30、検出部40、保護部50、および絶縁部60を有する。
図6に示すように、基板103の長さL、厚み、平面形状、材料などは、前述した基板10と同様とすることができる。ただし、基板103の幅寸法W1は、基板10の幅寸法Wよりも大きい。
絶縁部20bは、基板103の面103aに設けられている。絶縁部60は、基板103の、面103aに対向する面103bに設けられている。
【0040】
図1に示すように、前述したヒータ1においては、検出部40は、Y方向において、発熱体30と発熱体30との間に設けられている。これに対して、ヒータ102においては、Y方向において、検出部40が、一対の発熱体30の外側に設けられている。また、検出部40に電気的に接続された配線42、配線142、配線143,配線31、および端子43が設けられている。配線142、および配線143は、X方向に延びている。配線143は、配線42および配線142と平行に設けられている。配線142の一方の端部は、検出部40の、配線42が接続される端子とは異なる端子に電気的に接続されている。配線142の他方の端部は、配線31と電気的に接続されている。配線143の一方の端部は、配線31と電気的に接続されている。配線143の他方の端部は、端子43と電気的に接続されている。端子43は一対設けられている。Y方向において、一対の端子43は、一対の端子32と並べて設けられている。
【0041】
ここで、Y方向において、検出部40が、一対の発熱体30の外側に設けられていると、一方の発熱体30と検出部40との間の距離が、他方の発熱体30と検出部40との間の距離よりも大きくなる。そのため、一対の発熱体30に対する温度制御の精度が低くなる。また、基板103の幅寸法W1が、基板10の幅寸法Wよりも大きくなるので、ヒータ1の小型化が困難となる。
【0042】
これに対して、本実施の形態に係るヒータ1においては、発熱体30と検出部40が、基板10の同じ側の面に設けられている。また、Y方向において、検出部40は、発熱体30と発熱体30との間に設けられている。そのため、発熱体30と検出部40との間の距離を短くすることができ、且つ、検出部40と一方の発熱体30との間の距離が、検出部40と他方の発熱体30との間の距離と略同じになるようにすることができる。そのため、発熱体30に対する温度制御の精度を高めることができるので、ヒータ1の面内温度の均一化を図ることができる。
【0043】
また、基板10の一方の側に、発熱体30、配線31、端子32、検出部40、配線41、配線42、および端子43を設けているので、製造工程の簡略化を図ることができる。
また、導電性を有する基板10を、配線41に電気的に接続された配線とすることができるので、配線41を端子43側に折り返す必要がない。そのため、Y方向において、検出部40を設けるために必要となるスペースを小さくすることができるので、基板10の幅寸法Wを小さくすることができる。基板10の幅寸法Wが小さくなれば、ヒータ1の小型化を図ることができる。
【0044】
(画像形成装置)
本発明の1つの実施形態において、ヒータ1を具備した画像形成装置100を提供することができる。前述したヒータ1に関する説明、およびヒータ1の変形例(例えば、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも画像形成装置100に適用することができる。
【0045】
なお、以下においては、一例として、画像形成装置100が複写機である場合を説明する。ただし、画像形成装置100は複写機に限定されるわけではなく、トナーを定着させるためのヒータが設けられているものであればよい。例えば、画像形成装置100は、プリンタや、リライタブルカードリーダ・ライタなどとすることもできる。
【0046】
図7は、本実施の形態に係る画像形成装置100を例示するための模式図である。
図8は、定着部200を例示するための模式図である。
図7に示すように、画像形成装置100は、例えば、フレーム110、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、放電部151、現像部160、クリーナ170、収納部180、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を有する。
【0047】
フレーム110は、箱状を呈し、その内部に、照明部120、結像素子130、感光ドラム140、帯電部150、現像部160、クリーナ170、収納部180の一部、搬送部190、定着部200、およびコントローラ210を収納する。
フレーム110の上面には、ガラスなどの透光性材料を用いた窓111を設けることができる。窓111の上には、複写される原稿500が載置される。また、原稿500の位置を移動させる移動部を設けることができる。
【0048】
照明部120は、窓111の近傍に設けられる。照明部120は、例えば、ランプなどの光源121、および反射鏡122を有する。
結像素子130は、窓111の近傍に設けられる。
感光ドラム140は、照明部120および結像素子130の下方に設けられる。感光ドラム140は、回転可能に設けられる。感光ドラム140の表面には、例えば、酸化亜鉛感光層または有機半導体感光層が設けられる。
帯電部150、放電部151、現像部160、およびクリーナ170は、感光ドラム140の周辺に設けられる。
【0049】
収納部180は、例えば、カセット181、およびトレイ182を有する。カセット181は、フレーム110の一方の側部に着脱可能に取り付けられる。トレイ182は、フレーム110の、カセット181が取り付けられる側とは反対側の側部に設けられる。カセット181には、複写が行われる前の紙510(例えば、白紙)が収納される。トレイ182には、複写像511aが定着した紙511が収納される。
【0050】
搬送部190は、感光ドラム140の下方に設けられる。搬送部190は、カセット181とトレイ182との間で紙510を搬送する。搬送部190は、例えば、搬送される紙510を支持するガイド191、および紙510を搬送する搬送ローラ192~194を有する。また、搬送部190には、搬送ローラ192~194を回転させるモータを設けることができる。
【0051】
定着部200は、感光ドラム140の下流側(トレイ182側)に設けられる。
図8に示すように、定着部200は、例えば、ヒータ1、ステー201、フィルムベルト202、および加圧ローラ203を有する。
ステー201の、紙510の搬送ライン側にはヒータ1が取り付けられる。ヒータ1は、ステー201に埋め込むことができる。例えば、ヒータ1の、保護部50が設けられた側をステー201から露出させることができる。
【0052】
フィルムベルト202は、ヒータ1が設けられたステー201を覆っている。フィルムベルト202は、例えば、ポリイミドなどの耐熱性を有する樹脂から形成することができる。
【0053】
加圧ローラ203は、ステー201と対向するように設けられる。加圧ローラ203は、例えば、芯金203a、駆動軸203b、および弾性部203cを有する。駆動軸203bは、芯金203aの端部から突出し、モータなどの駆動装置に接続される。弾性部203cは、芯金203aの外面に設けられる。弾性部203cは、耐熱性を有する弾性材料から形成される。弾性部203cは、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
【0054】
コントローラ210は、フレーム110の内部に設けられている。コントローラ210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部、および制御プログラムが格納された記憶部を有する。演算部は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、画像形成装置100に設けられた各要素の動作を制御する。また、コントローラ210は、使用者が複写条件などを入力する操作部、動作状態や異常表示などを表示する表示部などを備えることもできる。
なお、画像形成装置100に設けられた各要素の制御には、既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0056】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0057】
(付記1)
導電性を有し、第1の方向に延びる基板と;
前記基板の一方の面に設けられ、絶縁性を有し、厚み方向を貫通する孔を有する絶縁部と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延びる発熱体と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に直交する第2の方向において、前記発熱体と並び、前記発熱体の温度を検出する検出部と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の一方の端子に電気的に接続され、他方の端部が前記絶縁部の前記孔を介して前記基板に電気的に接続される第1の配線と;
前記絶縁部の上に設けられ、前記発熱体、前記検出部、および前記第1の配線を覆い、絶縁性を有する保護部と;
を具備したヒータ。
【0058】
(付記2)
前記発熱体は、一対設けられ、
前記第2の方向において、前記検出部は、前記発熱体と、前記発熱体との間に設けられている付記1記載のヒータ。
【0059】
(付記3)
前記第2の方向において、前記検出部と一方の前記発熱体との間の距離は、前記検出部と他方の前記発熱体との間の距離と略同じである付記2記載のヒータ。
【0060】
(付記4)
前記絶縁部の上に設けられ、前記第1の方向に延び、一方の端部が前記検出部の他方の端子に電気的に接続される第2の配線と;
前記第2の配線の他方の端部に電気的に接続される第1の端子と;
前記発熱体の一方の端部に電気的に接続される第2の端子と;
をさらに具備し、
前記保護部は、前記第2の配線をさらに覆い、
前記第1の端子、および前記第2の端子は、前記保護部から露出し、前記第2の方向に並び、
前記基板の、前記第1の端子、および前記第2の端子が設けられる側の端部の近傍は、前記絶縁部から露出している付記1~3のいずれか1つに記載のヒータ。
【0061】
(付記5)
付記1~4のいずれか1つに記載のヒータを具備した画像形成装置。
【符号の説明】
【0062】
1 ヒータ、10 基板、10a 面、10b 面、20 絶縁部、20a 孔、30 発熱体、31 配線、32 端子、40 検出部、41 配線、42 配線、43 端子、50 保護部、100 画像形成装置、200 定着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8