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特開2024-37529ロボットアームのキャリブレーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037529
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ロボットアームのキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/10 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B25J9/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142443
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】523301949
【氏名又は名称】ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤本 賢三
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 秀慶
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS09
3C707DS01
3C707KS34
3C707LS14
3C707LT17
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】より高精度なキャリブレーションを実施できるロボットアームのキャリブレーション方法を提供する。
【解決手段】柱形状に形成された被把持部材をロボットアームに把持させる工程と、載置領域に上記柱形状に形成された載置部材を載置する工程と、上記柱形状の底面方向視において上記柱形状の外形と同一形状の貫通孔が形成されたスライド部材の上記貫通孔に、上記被把持部材または上記載置部材の一方を挿通させる工程と、上記ロボットアームを駆動して、上記被把持部材の底面と上記載置部材の底面とを面同士で接触させる工程と、上記被把持部材と上記載置部材に沿って上記スライド部材を摺動させる工程と、上記スライド部材が上記被把持部材及び上記載置部材に沿って摺動可能な場合に、上記ロボットアームの現在位置を上記ロボットアームを制御する制御ユニットに記憶させる工程と、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置する載置領域に対するロボットアームの基準位置をキャリブレーションするロボットアームのキャリブレーション方法であって、
柱形状に形成された被把持部材を前記ロボットアームに把持させる工程と、
前記載置領域に前記柱形状に形成された載置部材を載置する工程と、
前記柱形状の底面方向視において前記柱形状の外形と同一形状の貫通孔が形成されたスライド部材の前記貫通孔に、前記被把持部材または前記載置部材の一方を挿通させる工程と、
前記ロボットアームを駆動して、前記被把持部材の底面と前記載置部材の底面とを面同士で接触させる工程と、
前記被把持部材と前記載置部材に沿って前記スライド部材を摺動させる工程と、
前記スライド部材が前記被把持部材及び前記載置部材に沿って摺動可能な場合に、前記ロボットアームの現在位置を前記ロボットアームを制御する制御ユニットに記憶させる工程と、を含む、
ロボットアームのキャリブレーション方法。
【請求項2】
前記載置部材は、前記底面方向視において前記載置領域と同一形状に形成された土台部を含み、
前記載置部材を載置する工程では、前記土台部を前記載置領域に向けた状態で前記載置部材が前記載置領域に載置される、
請求項1に記載のロボットアームのキャリブレーション方法。
【請求項3】
前記柱形状は多角柱である、
請求項1または2に記載のロボットアームのキャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームのキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掴んだワークを他の部品に組み込んだり、掴んだワークを所定の場所に移動させたりするロボットアームが利用されている。このようなロボットアームでは、ロボットアームの基準座標とワークをセットする位置の相対的な位置関係を教示するキャリブレーションが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59-227378号公報
【特許文献2】特開2010-058235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワークがセットされるテーブルには、ワークより若干大きめに形成された窪み(ワークセット位置)が形成される。そして、従来は、ロボットアームにワークを把持させ、把持させたワークをワークセット位置にセットさせることで、キャリブレーションが行われていた。ワークセット位置はワークよりも若干大きめに形成されていることから、キャリブレーションの際にワークをワークセット位置の中央に調整することが困難であった。そのため、ワークがワークセット位置の中央に調整されずにキャリブレーションが行われてしまうことがあり、高精度なキャリブレーションが困難であった。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、より高精度なキャリブレーションを実施できるロボットアームのキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなロボットアームのキャリブレーション方法によって例示される。本ロボットアームのキャリブレーション方法は、ワークを載置する載置領域に対するロボットアームの基準位置をキャリブレーションするロボットアームのキャリブレーション方法である。本ロボットアームのキャリブレーション方法は、柱形状に形成された被把持部材を上記ロボットアームに把持させる工程と、上記載置領域に上記柱形状に形成された載置部材を載置する工程と、上記柱形状の底面方向視において上記柱形状の外形と同一形状の貫通孔が形成されたスライド部材の上記貫通孔に、上記被把持部材または上記載置部材の一方を挿通させる工程と、上記ロボットアームを駆動して、上記被把持部材の底面と上記載置部材の底面とを面同士で接触させる工程と、上記被把持部材と上記載置部材に沿って上記スライド部材を摺動させる工程と、上記スライド部材が上記被把持部材及び上記載置部材に沿って摺動可能な場合に、上記ロボットアームの現在位置を上記ロボットアームを制御する制御ユニットに記憶させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、より高精度なロボットアームのキャリブレーションをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るキャリブレーション部材群のキャリブレーション機構の一例を示す図である。
図2図2は、被把持部材を-Z方向から見た図である。
図3図3は、載置部材を+Z方向から見た図である。
図4図4は、+Z方向からみたテーブルを例示する図である。
図5図5は、実施形態において、被把持部材と載置部材の底面同士が合わされた状態を例示する第1の図である。
図6図6は、実施形態において、被把持部材と載置部材の底面同士が合わされた状態を例示する第2の図である。
図7図7は、実施形態において、被把持部材が傾いた状態で載置部材と底面を合わせようとした状態を例示する図である。
図8図8は、ロボットアームが有する制御ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係るロボットアームのキャリブレーション方法の一例を示す図である。
図10図10は、第1変形例に係る被把持部材を-Z方向から見た図である。
図11図11は、第1変形例に係る載置部材を+Z方向から見た図である。
図12図12は、第1変形例において、被把持部材と載置部材の底面同士が合わされた状態を例示する第1の図である。
図13図13は、第1変形例において、被把持部材と載置部材の底面同士が合わされた状態を例示する第2の図である。
図14図14は、第1変形例において、被把持部材と載置部材の底面同士が合わされた状態を例示する第3の図である。
図15図15は、土台部の底面の形状のバリエーションの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下に示す実施形態の構成は例示であり、開示の技術は実施形態の構成に限定されない。図1は、実施形態に係るキャリブレーション部材群1の一例を示す図である。キャリブレーション部材群1は、ロボットアーム2の基準位置とテーブル3のワークセット位置31との相対的な位置関係の教示に用いられる。図1では、キャリブレーション部材群1によるキャリブレーションの対象となるロボットアーム2及びロボットアーム2が使用するテーブル3も例示される。図1では、テーブル3の載置面32に凹状に形成されるワークセット位置31が点線で例示される。なお、ワークセット位置31は凹状に形成されることに限定されない。ワークセット位置31は、凸上に形成されたり、描画された線によって示されたりしてもよい。テーブル3には複数のワークセット位置31が設けられるが、図1では代表してひとつのワークセット位置31の位置が例示される。図1において、高さ方向(テーブル3からロボットアーム2へ向かう方向)をZ方向、Z方向と直交する方向をX方向及びY方向とする。また、図2は、被把持部材11を-Z方向から見た図である。図3は、載置部材12を+Z方向から見た図である。なお、図3では、スライド部材13も例示される。ワークセット位置31は、「載置領域」の一例である。
【0010】
ロボットアーム2は、多関節のアーム21とアーム21を制御する制御ユニット22を有する。ロボットアーム2は、アーム21によって把持したワークをテーブル3上に形成されたワークセット位置31に載置したり、ワークセット位置31に載置されたワークに対してアーム21によって把持した他のワークを組み込んだりする。ロボットアーム2を使用する前には、ロボットアーム2の基準座標とワークセット位置31の中心位置との相対関係を教示するキャリブレーションが行われる。
【0011】
テーブル3は、ロボットアーム2によるワークの載置、組み立て等に用いられる作業台である。テーブル3は、平面に形成された載置面32を有する。ワークセット位置31は
、ワークの底面の形状よりも若干大きめに載置面32上に形成される。図4は、+Z方向からみたテーブル3を例示する図である。図4に例示されるテーブル3には、12個のワークセット位置31が配置されている。ワークセット位置31のZ方向視の形状は、ワークセット位置31に載置されるワークの底面の形状に応じて決定される。
【0012】
キャリブレーション部材群1は、被把持部材11、載置部材12及びスライド部材13を含む。被把持部材11は、ロボットアーム2のキャリブレーションの際に、ロボットアーム2によって把持される部材である。載置部材12は、ロボットアーム2のキャリブレーションの際に、テーブル3のワークセット位置31に載置される部材である。
【0013】
被把持部材11は、被把持部111と軸部112とを含む。被把持部111は、ロボットアーム2によって把持される部分である。被把持部111の形状は、ロボットアーム2によって把持しやすい形状であれば限定は無い。すなわち、図1及び図2では、被把持部111の形状は円柱になっているが、被把持部111の形状は円柱以外の形状であってもよい。被把持部材11は、軸部112を下側(テーブル3側)に向けた状態で被把持部111がロボットアーム2によって把持される。軸部112は、例えば、図2に例示するようにZ方向視において円状に形成され、被把持部111よりも細く形成された部分である。
【0014】
載置部材12は、土台部121と軸部122とを含む。土台部121の底面は、ワークセット位置31の形状に応じて決定される。すなわち、図1及び図3では土台部121の底面が円形になっているが、ワークセット位置31の形状に応じて土台部121の底面は円形以外の形状であってもよい。載置部材12は、軸部122を上側(ロボットアーム2側)に向けた状態で、Z方向視における土台部121の中心とワークセット位置31の中心とが一致するように、ワークセット位置31上に載置される。ワークセット位置31上に載置された載置部材12の底面123は、載置面32と平行な面となる。
【0015】
軸部122は、例えば、図1及び図3に例示するように円柱に形成され、土台部121よりも細く形成された部分である。軸部122には、Z方向視において軸部122の外形と略同形状の貫通孔が形成されたスライド部材13が嵌め込まれる。スライド部材13に形成された貫通孔の内径と軸部122の外径とは略等しく、スライド部材13の内側面と軸部122との間の隙間は略無いことが好ましい。また、軸部122の外径と被把持部材11の軸部112の外径とは略等しい。すなわち、スライド部材13の内径と被把持部材11の軸部112の外形とは略等しい。なお、スライド部材13は被把持部材11の軸部112に嵌め込まれてもよい。
【0016】
本実施形態に係るキャリブレーションでは、テーブル3に載置された載置部材12の底面123と、ロボットアーム2によって把持された被把持部材11の底面113とが接触するように、ロボットアーム2が被把持部材11を移動させる。図5は、実施形態において、被把持部材11と載置部材12の底面同士が合わされた状態を例示する第1の図である。図5では、被把持部材11と載置部材12との間でXY方向の位置ずれが生じていない場合が例示される。このような場合、軸部112と軸部122とにかけてスライド部材13が摺動可能となる。
【0017】
図6は、実施形態において、被把持部材11と載置部材12の底面同士が合わされた状態を例示する第2の図である。図6では、被把持部材11と載置部材12との間でXY方向の位置ずれが生じている場合が例示される。このような場合、軸部112と軸部122に沿ってスライド部材13をスライドさせようとしても、底面113と底面123とが接した面でスライド部材13が引っかかる。そのため、被把持部材11と載置部材12との間でXY方向の位置ずれが生じている場合には、軸部112と軸部122とにかけてスラ
イド部材13を摺動させることができない。
【0018】
図7は、実施形態において、被把持部材11が傾いた状態で載置部材12と底面を合わせようとした状態を例示する図である。被把持部材11の底面113が載置部材12の底面123に対して傾いている場合、軸部112と軸部122に沿ってスライド部材13をスライドさせようとしても、軸部112と軸部122の位置がずれているためスライド部材13が引っかかる。そのため、被把持部材11が載置部材12に対して相対的に傾いている場合には、軸部112と軸部122とにかけてスライド部材13を摺動させることができない。
【0019】
図8は、ロボットアーム2が有する制御ユニット22のハードウェア構成の一例を示す図である。制御ユニット22は、CPU201、主記憶部202、補助記憶部203、入力部204、出力部205及び接続バスB1を備える。CPU201、主記憶部202、補助記憶部203、入力部204及び出力部205は、接続バスB1によって相互に接続される。
【0020】
CPU201は、マイクロプロセッサーユニット(MPU)、プロセッサーとも呼ばれる。CPU201は、単一のプロセッサーに限定される訳ではなく、マルチプロセッサー構成であってもよい。ロボットアーム2では、CPU201が補助記憶部203に記憶されたプログラムを主記憶部202の作業領域に展開し、プログラムの実行を通じて周辺装置の制御を行う。これにより、ロボットアーム2は、ワークの把持や把持したワークの運搬等の作業を実行できる。主記憶部202及び補助記憶部203は、CPU201が読み取り可能な記録媒体である。
【0021】
主記憶部202は、CPU201から直接アクセスされる記憶部として例示される。主記憶部202は、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)を含む。
【0022】
補助記憶部203は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部203は、例えば、キャリブレーションされた基準座標とアーム21の位置との対応を記憶する。補助記憶部203は外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部203には、オペレーティングシステム(Operating System、OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。
【0023】
補助記憶部203は、例えば、Erasable Programmable ROM(EPROM)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive、SSD)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等である。また、補助記憶部203は、例えば、Compact Disc(CD)ドライブ装置、Digital Versatile Disc(DVD)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置等である。
【0024】
入力部204は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部204としては、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイクロフォン等を挙げることができる。出力部205は、CPU201で処理されるデータや主記憶部202に記憶されるデータを表示する。出力部205としては、例えば、Liquid Crystal Display(LCD)、Plasma Display Panel(PDP)、無機Electroluminescence(EL)パネル、有機ELパネル、プリンタ、スピーカー等を挙げることができる。
【0025】
<キャリブレーション方法>
図9は、実施形態に係るロボットアーム2のキャリブレーション方法の一例を示す図である。以下、図9を参照して、実施形態に係るロボットアーム2のキャリブレーション方法について説明する。
【0026】
ステップS1では、作業員は、載置部材12をテーブル3のワークセット位置31に載置する。ステップS1は、「載置部材を載置する工程」の一例である。ステップS2では、作業員は、被把持部材11をアーム21に把持させる。ステップS2は、「把持させる工程」の一例である。なお、ステップS1とステップS2の順番は入れ替えられてもよい。
【0027】
ステップS3では、スライド部材13が被把持部材11または載置部材12にセットされる。すなわち、スライド部材13の貫通孔に軸部112または軸部122が挿通される。ステップS3は、「挿通させる工程」の一例である。
【0028】
ステップS4では、作業員はアーム21を駆動して、被把持部材11の底面113と載置部材12の底面123とを面同士で接触させる。ステップS4では、底面113と底面123とのXY方向における位置ずれが可及的に少なくなるように、アーム21が駆動される。ステップS4は、「面同士で接触させる工程」の一例である。
【0029】
ステップS5では、作業員は、スライド部材13による確認を行う。ステップS4における面同士の接触によって、底面113と底面123のXY方向における位置ずれが略無い状態の場合、スライド部材13は、軸部122と軸部112とにかけて摺動可能となる。また、底面113と底面123のXY方向における位置ずれがある場合、スライド部材13の摺動は当該位置ずれによって阻害されるため、スライド部材13は軸部122と軸部112とにかけて摺動することはできない。軸部122と軸部112とにかけてスライド部材13が摺動可能な場合(ステップS5でOK)、処理はステップS6に進められる。軸部122と軸部112とにかけてスライド部材13が摺動可能ではない場合(ステップS5でNG)、処理はステップS4に進められて、再度底面113と底面123との面同士の接触が行われる。
【0030】
ステップS6では、作業員は、アーム21の現在位置を基準位置として補助記憶部203に記憶させる。ステップS6は、「記憶させる工程」の一例である。
【0031】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、底面113と底面123とが面同士で接触された状態で、スライド部材13が摺動可能か否かによってアーム21の基準位置が確認される。図5及び図6を参照して説明した様に、底面113と底面123のXY方向の位置がずれている場合、被把持部材11と載置部材12とにかけてスライド部材13を摺動させることはできない。また、底面113と底面123のXY方向の位置が合っている場合、被把持部材11と載置部材12とにかけてスライド部材13を摺動させることが可能となる。本実施形態によれば、スライド部材13を摺動させるという簡単な操作で、アーム21の基準位置が所望の位置であるか否かを容易に確認することができ、ひいては、ロボットアーム2のより高精度なキャリブレーションを実施できる。
【0032】
また、本実施形態では、図7を参照して説明した様に、XY平面上の中心位置のキャリブレーションのみならず、アーム21の傾きについてもキャリブレーションを行うことができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、例えば、比較的高価なカメラを用いた画像処理システムによってロボットアーム2のキャリブレーションを行わなくともよいため、キャリブレーシ
ョンに係るコストを抑制できる。
【0034】
なお、キャリブレーション部材群1を用いたキャリブレーションは、テーブル3に設けられたワークセット位置31の夫々で実施されてもよいし、テーブル3に設けられたワークセット位置31から選択したいくつかのワークセット位置31で実施されてもよい。
【0035】
<第1変形例>
以上説明した実施形態では、軸部112及び軸部122は円柱状に形成されたが、軸部112及び軸部122は、例えば、四角柱等の多角柱に形成されてもよい。図10は、第1変形例に係る被把持部材11Aを-Z方向から見た図である。被把持部材11Aは、四角柱に形成された軸部112Aを有する。軸部112Aが四角柱に形成されたことで、底面113AはZ方向視において四角形に形成される。図11は、第1変形例に係る載置部材12Aを+Z方向から見た図である。載置部材12Aは、四角柱に形成された軸部122Aを有する。軸部122Aが四角柱に形成されたことで、底面123AはZ方向視において四角形に形成される。また、第1変形例では、軸部122Aが四角柱に形成されたことに伴い、スライド部材13Aの内側面も軸部122Aの外形に応じた形状(Z方向視において四角形)に形成される。
【0036】
軸部112Aが四角柱に形成された被把持部材11Aと軸部122Aが四角柱に形成された載置部材12Aを用いても、ロボットアーム2のキャリブレーションを行うことができる。図12は、第1変形例において、被把持部材11Aと載置部材12Aの底面同士が合わされた状態を例示する第1の図である。図12では、被把持部111及び土台部121の図示は省略される。図12では、被把持部材11Aと載置部材12Aとの間でXY方向の位置ずれが生じていない場合が例示される。このような場合、軸部112Aと軸部122Aとにかけてスライド部材13Aが摺動可能となる。
【0037】
図13は、第1変形例において、被把持部材11Aと載置部材12Aの底面同士が合わされた状態を例示する第2の図である。図13では、被把持部111及び土台部121の図示は省略される。図13では、被把持部材11Aと載置部材12Aとの間でXY方向の位置ずれが生じている場合が例示される。このような場合、軸部112Aと軸部122Aに沿ってスライド部材13Aをスライドさせようとしても、底面113Aと底面123Aとが接した面でスライド部材13Aが引っかかる。そのため、被把持部材11Aと載置部材12Aとの間でXY方向の位置ずれが生じている場合には、軸部112Aと軸部122Aとにかけてスライド部材13Aを摺動させることができない。
【0038】
図14は、第1変形例において、被把持部材11Aと載置部材12Aの底面同士が合わされた状態を例示する第3の図である。図14では、被把持部111及び土台部121の図示は省略される。図14では、被把持部材11Aと載置部材12AとのXY平面上における中心位置は一致しているものの、Z方向を中心とした回転方向のずれが生じている場合が例示される。回転方向のずれが生じている場合も、軸部112Aと軸部122Aに沿ってスライド部材13Aをスライドさせようとしても、底面113Aと底面123Aとが接した面でスライド部材13Aが引っかかるため、軸部112Aと軸部122Aとにかけてスライド部材13Aを摺動させることができない。
【0039】
第1変形例によれば、XY平面上の中心位置のキャリブレーションに加えて、Z方向を中心とした回転方向のキャリブレーションを実施できる。
【0040】
<その他の変形例>
実施形態では、土台部121の底面は円形に形成されているが、他の形状であってもよい。図15は、土台部121の底面の形状のバリエーションの一例を示す図である。土台
部121の底面は、例えば、図15に例示するようにZ方向視における形状が略十文字に形成されてもよい。土台部121の底面としてこのような形状が採用されても、ロボットアーム2のXY平面上の中心位置のキャリブレーションを行うことができる。
【0041】
実施形態では、被把持部材11は被把持部111と軸部112とを含むが、被把持部材11は被把持部111を含まず軸部112のみでもよい。この場合、アーム21は、軸部112を把持すればよい。また、実施形態では、載置部材12は土台部121と軸部122とを含むが、載置部材12は軸部122のみでもよい。この場合、軸部122のZ方向視における底面の形状がワークセット位置31と同じ形状に形成されればよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・キャリブレーション部材群
11・・被把持部材
11A・・被把持部材
111・・被把持部
112・・軸部
112A・・軸部
113・・底面
113A・・底面
12・・載置部材
12A・・載置部材
121・・土台部
122・・軸部
122A・・軸部
123・・底面
123A・・底面
13・・スライド部材
13A・・スライド部材
2・・ロボットアーム
21・・アーム
22・・制御ユニット
201・・CPU
202・・主記憶部
203・・補助記憶部
204・・入力部
205・・出力部
3・・テーブル
31・・ワークセット位置
32・・載置面
B1・・接続バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15