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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037533
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】降雪センサ及び融雪装置
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/00 20060101AFI20240312BHJP
   G01W 1/02 20060101ALI20240312BHJP
   G01W 1/14 20060101ALI20240312BHJP
   E01H 5/10 20060101ALI20240312BHJP
   E01H 3/04 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
G01W1/00 J
G01W1/02 A
G01W1/14 B
E01H5/10 B
E01H3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142450
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】野々山 将行
(72)【発明者】
【氏名】柳川 英明
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026BB01
2D026BB04
(57)【要約】
【課題】環境に適した検出条件を設定できる降雪センサを提供する。
【解決手段】一形態にかかる降雪センサは、光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有するターゲット検出部と、気温を検出する温度検出部と、前記ターゲット検出部におけるターゲット検出の検出結果に基づき、ターゲット検出の感度を調整する制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有するターゲット検出部と、
気温を検出する温度検出部と、を備え、
ターゲット検出のサンプリング周期を調整可能である、降雪センサ。
【請求項2】
前記ターゲット検出部におけるターゲット検出の検出結果に基づき、検出したターゲット数が調整基準以下である場合、あるいは調整基準以下である状態が連続した場合に、ターゲット検出のサンプリング周期を短くする、制御部を備える、請求項1に記載の降雪センサ。
【請求項3】
前記制御部は、サンプリング周期を、所定の変更範囲内において、段階的に小さくする、請求項2に記載の降雪センサ。
【請求項4】
前記制御部は、ターゲットの検出個数が設定基準値以上である場合のサンプリング周期を、検出条件として設定する、請求項2に記載の降雪センサ。
【請求項5】
前記変更範囲内における最短のサンプリング周期での検出結果が、前記調整基準以下となった場合には、
前記サンプリング周期を初期設定値に戻す、請求項3に記載の降雪センサ。
【請求項6】
光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有するターゲット検出部と、
気温を検出する温度検出部と、を備え、
ターゲット検出の閾値を調整可能である、降雪センサ。
【請求項7】
前記ターゲット検出部は、検出距離に応じた電圧を出力する測距センサであり、
前記ターゲット検出部における出力電圧差または前記ターゲットの変位距離が閾値以上である場合にターゲットとして検出するとともに、検出したターゲット数が調整基準以下である場合、あるいは調整基準以下である状態が連続した場合に、出力電圧差の閾値または変位距離の閾値を小さくする、制御部を備える、請求項6に記載の降雪センサ。
【請求項8】
前記制御部は、出力電圧差または変位距離の閾値を、所定の変更範囲内において、段階的に下げる、請求項7に記載の降雪センサ。
【請求項9】
前記制御部は、ターゲットの検出個数が、設定基準値以上である場合の閾値を、検出条件として設定する、請求項7に記載の降雪センサ。
【請求項10】
前記変更範囲内における最小閾値での検出結果が、前記調整基準以下となった場合には、
前記閾値を初期設定値に戻す、請求項8に記載の降雪センサ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の降雪センサと、
前記降雪センサに接続される融雪機器と、を備える融雪装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪情報を検出する降雪センサ及び融雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪が多く見られる地方では、融雪装置を用いて生活に必要な道路や歩道を雪害から守ることが行われている。こうした融雪装置において、降雪を検出する降雪センサを用いて積雪をもたらす降雪現象が生じた時に自動で融雪装置を運転させる技術が求められている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-97152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした機器の制御に用いられる降雪センサには、コスト的に安価、検出精度が高い、検出不能になる現象が殆ど見られないという利点から、温度センサによる気温の検出と、光を照射して雪片による反射光を受光するターゲット検出部を用いて、一定時間当りの雪片数を検出する構造が用いられている。
【0005】
降雪センサにおいて、ターゲット検出部のみでは検出物が雪片かどうかを判断することができないため、外気温検出部により降雪となり得る環境であるかどうかを判断し、雨との誤検出を防止する。また、降雪現象における雪片の大きさ、落下速度、落下方向は、風などの環境条件により様々な影響を受けるため、ターゲット検出部の設定・設計と相性の悪い環境下では、適切に雪片を検出できないこともある。より確実に雪片検出するためには検出設定値を高精度に設定することが解決策ではあるが、ノイズや外乱の影響を受けやすくなるとともに、部品の寿命、省エネ性の低下をまねく。
【0006】
本発明は、環境に適した検出条件を設定できる降雪センサ及び融雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる降雪センサは、光を照射する投光部と、ターゲットで反射した前記光を検出する受光部と、を有するターゲット検出部と、気温を検出する温度検出部と、前記ターゲット検出部におけるターゲット検出の検出結果に基づき、ターゲット検出の感度を調整する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば環境に適した検出条件を設定できる降雪センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態にかかる融雪装置の構成を示す説明図。
図2】同融雪装置の降雪センサの構成を示す断面図。
図3】同降雪センサの検出処理の検出条件を示す説明図。
図4】同融雪装置の降雪センサの検出処理のフローチャート。
図5】本発明の第2実施形態にかかる融雪装置の降雪センサの検出処理を示す説明図。
図6】同降雪センサの測距センサにおける、検出距離と電圧変位との関係を示す説明図。
図7】同降雪センサの検出処理における電圧差閾値とターゲット検出の検出結果の関係を示す説明図。
図8】同降雪センサの検出処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る融雪装置100及び降雪センサ1について、図1乃至図4を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る融雪装置100の説明図である。図2は降雪センサ1の内部構成を側方から見た断面図である。図3は検出処理のフローチャートであり、図4は、検出処理における検出条件を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、融雪装置100は、降雪センサ1と、融雪機器2と、制御装置3と、を備える。融雪装置100は、例えば融雪対象箇所の雪を溶かす装置である。
【0012】
降雪センサ1は、ケーシング10と、制御基板11と、温度検出部である第1の温度センサ12と、ターゲット検出部13と、ヒータ14と、複数のケーブル15a、15bと、第2の温度センサ16と、を備える。降雪センサ1は、例えば屋外に設けられ、対象エリアAsの降雪情報を検出し融雪機器2の運転信号を制御装置3に送る。また、降雪センサ1は、融雪機器2を運転する制御装置3から電源供給を受ける。降雪センサ1はさらに、遠隔操作を行うリモコン4を備えていてもよい。
【0013】
ケーシング10は、ポール17と、カバー18と、仕切プレート19a,19bと、を備える。
【0014】
ポール17は上下が開口する円筒状に構成される。ポール17は下部の開口にアンテナマストが差し込まれ、アンテナマスト上に接続されることで、降雪センサ1を設置場所に支持する。
【0015】
カバー18は、例えば合成樹脂材料で形成され、屋根部18aと、フランジ部18bと、を一体に有する。カバー18は下側に開口し、フランジ部18bにポール17の上端部が挿入され、周縁が水密に接着されることで接合される。
【0016】
屋根部18aは、例えば光透過性の合成樹脂材料で構成され下側に開口する半球のドーム状に構成される。屋根部18aの正面部の中央には矩形の窓部18cが形成されている。窓部18cは平板状に構成され、ターゲット検出部13の光を透過可能に構成される。具体的には光透過性の材料で周りの部分の屋根部18aよりも薄く、例えば1mm程度の厚さに構成されている。外面は上から降った雪が堆積せずに落下しやすい曲面形状を構成する。
【0017】
屋根部18aの内壁には、制御基板11の周縁を挟持する溝部18eが形成されている。
【0018】
仕切プレート19a、19bは、例えば合成樹脂材料で形成され、円形板状の外形を有する。仕切プレート19a,19bはポール17の軸と直交する面に沿って配され、ポール17内の空間を塞ぎ、収容部を上下方向に仕切る。
【0019】
上部の仕切プレート19aは、カバー18とポール17との接続部分に設けられ、ポール17の上端の開口17aを覆う。仕切プレート19aは、ケーシング10内の空間を上側の第1室20aと、下側の第2室20bと、に仕切るとともに、センサの落下を防止する。
【0020】
仕切プレート19bは、ポール17の内部空間において軸方向中途部に設けられる。仕切プレート19bは、ポール17内の空間を、制御基板11を収容する第2室20bと、第2室20bの下側に形成される第3室20cとに仕切る。
【0021】
制御基板11は各種の処理回路を有する回路基板であり、ケーシング10内に立設されている。制御基板11は、周縁部の一部がカバー18の内壁に形成された溝部18eに差し込まれ、支持される。
【0022】
制御基板11には、記憶部21やセンサ制御部25、温度センサ12等の各種制御機器が搭載される。
【0023】
記憶部21は、例えばRAM,ROMを備え、各種の設定値や演算式を記憶する。例えば記憶部21は、降雪情報として、ターゲット検出部13から送られた距離や温度センサ12から送られた温度等の情報を記憶する。
【0024】
温度センサ12は第2室20bに設けられる。温度センサ12は例えば温度検出素子を備える。温度センサ12は、制御基板11上に搭載される。温度情報を検出し、検出した信号をセンサ制御部25に送る。
【0025】
ターゲット検出部13は、例えば光電効果を利用した光電センサ、あるいは三角測量法を利用した測距センサなどが用いられる。例えば本実施形態において、ターゲット検出部13は、光を照射し、ターゲットで反射した光を検出し、ターゲットまでの距離に応じた電圧を出力する、反射型の測距センサである。ターゲット検出部13は、センサケース22と、センサケース22に搭載された投光部23と、受光部24と、を備える。ターゲット検出部13は、制御基板11上にねじ等で締結され、窓部18cに対向する位置に配される。ターゲット検出部13は、制御基板11に設けられるセンサ制御部25に接続される。
【0026】
例えばターゲット検出部13は、検出対象エリアAsに配されるターゲット(対象物)までの距離を測定する。例えば検出対象エリアAsは、投光部23及び受光部24から前方に拡がる円錐状の照射領域Aから一定距離以内の領域である不感帯Arを除くエリアに設定される。
【0027】
投光部23は、光を照射するエミッタを備える。例えば投光部23は、不可視光としてのパルス赤外光を所定のサンプリング周期で一定時間毎に円錐状に照射する。不可視光は例えば波長800-1200nmの不可視光領域の近赤外線である。
【0028】
受光部24は、ターゲットで反射した反射光を受光する検出素子を備える。例えば受光部24は複数の検出素子がアレイ状に配列される。降下する雪片の検出において検出距離の誤差を低減するために、例えば投光部23と受光部24とは水平に並んで配置されていてもよい。
【0029】
センサ制御部25は例えばCPUや各種の処理回路、及び変換回路等を備える。センサ制御部25は、受光部24や温度センサ12から送られる情報や予め記憶部21に記憶された各種プログラムに従って、降雪センサ1や融雪機器2の動作を制御する。
【0030】
センサ制御部25は、ターゲット検出部13に接続され、所定の条件で投光部23からパルス赤外光を照射させるとともに、受光部24で検出される信号に基づき、対象エリアAsに存在するターゲットまでの距離を測定し、測定情報を検出する。
【0031】
例えばセンサ制御部25は、温度センサ12によって検出される温度が一定温度(例えば2.5℃)以下である場合を検出開始条件とし、検出開始条件を満たした場合に、ターゲット検出部13を作動させ、ターゲット検出部13の投光部23よりパルス赤外光を照射させる。また、センサ制御部25は気温が一定値(例えば3.0℃)まで上昇することを検出終了条件として、検出終了条件を満たした場合に照射を停止する。例えば検出終了条件の温度は検出開始条件の温度よりも低く設定されている。
【0032】
センサ制御部25は、第1の温度センサ12,ターゲット検出部13、及び第2の温度センサ16の検出結果に基づいて降雪情報を検出する。例えば、センサ制御部25は、対象エリアAsにおいてターゲットまでの距離が検出された回数や距離の情報に基づき、雪片数(雪片カウント数)を算出する。一例として、センサ制御部25は、ターゲット検出部13が所定エリア内においてターゲットまでの距離を検出した回数を雪片数としてカウントすることで、雪片数を算出する。
【0033】
センサ制御部25は、温度センサ12、16及びターゲット検出部13の信号を検出し、温度センサ12,16により検出される温度と、ターゲット検出部13の信号から得られる時間あたりの雪片数情報により、降雪状態を判断して、制御装置3へ運転信号を送出する。
【0034】
そして、センサ制御部25は雪片数や温度情報に基づいて、融雪機器2の運転条件を満たす場合に、融雪機器2を運転させ、あるいは、融雪機器2の停止条件を満たした場合に融雪機器2を停止させる運転信号を制御装置3に送る。
【0035】
例えば対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定値を超えた場合に、センサ制御部25は融雪機器2を運転し、対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定の停止基準数を下回ると、融雪機器2を停止させる信号を、制御装置3の出力基板35に送る。
【0036】
なお、運転開始条件として、所定の運転基準雪片数C1を複数回(例:3回)連続で検出することを条件としてもよい。
【0037】
センサ制御部25は、ターゲットの検出状況よって、検出したターゲット数が調整基準以下である場合、あるいは調整基準以下である状態が連続した場合に、検出感度を段階的に上げるように自動調整する。すなわち、降雪センサ1はターゲット検出のサンプリング周期を調整可能に構成される。例えば、ターゲット検出を開始する開始温度以下において、所定の検出時間の間に、ターゲットの検出個数が所定の調整基準数C0未満である状態が、所定回数または所定時間連続した場合に、サンプリング周期を短くする。また、センサ制御部25は、ターゲットの検出個数が、設定基準値以上である場合の検出感度を、検出条件として設定する。すなわち、ターゲット検出を開始する開始温度以下において、所定の検出時間の間に、ターゲットの検出個数が所定値C0以上となった場合に、当該検出時の条件を、環境に適した条件として設定する。なお、設定基準値と調整基準値は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0038】
また、センサ制御部25は温度情報に基づいて、ヒータ14の運転条件を満たす場合に、ヒータ14を駆動し、あるいは、ヒータ14の停止条件を満たした場合にヒータ14を停止させる。
【0039】
ヒータ14は、投光部23及び受光部24が配列されたセンサケース22の周りに設けられる。例えばセンサケース22の上方にヒータ14が配置される。制御基板11に固定されるセンサ制御部25の制御によって、ヒータ14が運転されて発熱することで、窓部18cに雪が堆積することを防止する。
【0040】
接続ケーブル15a,15bは、例えば給電線や信号線を有する。一方の接続ケーブル15aは一端側が収容部内において制御基板11に接続され、他端側は収容部外に導出され、制御装置3に接続される。他方の接続ケーブル15bは、一端側が収容部内において制御基板11に接続され、他端側は収容部外に導出され第2の温度センサ16に接続される。
【0041】
第2の温度センサ16は、融雪対象となる場所、例えば道路に配設され、地温を検出する。第2の温度センサ16は例えば温度検出素子とセンサケースと、を備える。第2の温度センサ16は、道路の温度情報を検出し、検出した信号をセンサ制御部25に送る。
【0042】
図1に示すように、融雪機器2は、例えば融雪対象となる場所、例えば道路上に設けられる。例えば地下水を揚水して融雪用水として用いる構造の散水式の場合、融雪機器2として融雪ポンプを備える。融雪機器2は、制御装置3から出力される信号により、融雪対象となる場所、例えば道路上の雪が融雪されるように散水動作を行う。信号は、たとえば融雪ポンプを直接起動する信号(オン信号)である。融雪装置100は、信号により融雪機器2が運転され、融雪用水を配管に送り、道路上に散水することで、道路上の積雪を融かす。
【0043】
融雪機器2は、制御装置3から出力される信号に従って、融雪対象となる場所、例えば道路上の雪が融雪されるように散水動作を行う。信号は、融雪ポンプを直接起動する信号(オン信号)である。融雪機器2は、制御装置3から出力される信号により運転され、融雪用水を配管に送り、道路上に散水することで、道路上の積雪を融かす。
【0044】
制御装置3は、表示部33と、操作部34と、出力基板35と、を備える。制御装置3は、接続ケーブル15aを介して、降雪センサ1に対して給電可能及び信号送受信可能に接続される。制御装置3は、降雪センサ1に接続ケーブル15aを介して給電(電源供給)するとともに、降雪センサ1から送られる運転信号に従って融雪機器2の動作を制御する。例えば制御装置3は、接続ケーブル15aを介して、直流電源、運転信号、0Vの、3線で接続される。
【0045】
表示部33は例えば温度情報や雪片数等の情報を表示する表示器である。
操作部34は、電源スイッチや各種操作ボタン等の入力装置を備える。
【0046】
出力基板35は、回路基板であり、各種制御機器が搭載されている。出力基板35は、例えば降雪センサからの運転信号により融雪機器を運転する運転用リレーや降雪センサからの運転信号により電磁弁を開閉する開閉用リレーのON/OFFを切替える運転回路と、交流電源を整流して降雪センサに直流を供給する直流電源部と、を有する。制御装置3は、降雪センサ1からの運転信号にしたがって、融雪機器2を運転する。
【0047】
本実施形態にかかる降雪センサ1の検出感度の自動調整処理について図3及び図4を参照して説明する。本実施形態においては、検出感度として、サンプリング周期を調整する調整処理を説明する。
【0048】
まず、センサ制御部25は、ST1において、検出開始条件を検出する。例えばセンサ制御部25は、温度センサ12により検出された温度が運転基準温度T1(例:2.5℃)以下に低下した場合に、所定の検出開始条件を満たすとして(ST1)、ターゲット検出を開始する(ST2)。具体的には、ターゲット検出部13に通電し、ターゲット検出部13の情報から時間当りの雪片数を計数する。このときターゲット検出の開始時には予め定めた初期条件のサンプリング周期ta(初期設定値)にて、ターゲット検出を行う。
【0049】
センサ制御部25は、ターゲット検出の開始後に、検出結果に応じてサンプリング周期を調整する。例えば、サンプリング周期taでの検出において、所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の調整基準数C0(例:3個)未満である状態を検出し(ST3)、調整基準数C0未満である状態がn回(例:3回)連続するかどうかを判定する(ST4)。
【0050】
そして、センサ制御部25は、所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の調整基準数C0(例:3個)未満である状態が、n回(例:3回)連続した場合(ST4のYes)、予め定められた変更範囲内の最短周期tminでなければ(ST5のN0)、サンプリング周期を短い周期に変更する(ST6)。
【0051】
具体的には、センサ制御部25はターゲット検出部13へ出力する制御信号(外部トリガ)を変更することで、検出条件の調整を行う。そして、センサ制御部25は、予め定められた変更範囲内で、最短周期tminとなるまで(ST5のNo)、ST3~ST6を繰り返し、変更範囲内で段階的に周期を短くする調整を繰り返す。例えばtaからtb(<ta1)へ,tbからtc(<tb)へ、と周期tを段階的に小さくしていくことで、雪片検出の感度を段階的に上げることができる。なお、周期tの調整幅、例えばtaとtbの差、あるいはtbとtcの差分は、固定値でなくてもよく、手動または自動で設定変更可能としてもよい。
【0052】
センサ制御部25は、所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の調整基準数C0(例:3個)未満である状態が、n回(例:3回)連続した場合であって、既に変更範囲内における最短周期tminであった場合には(ST5のYes)、記憶部に記憶された所定の初期条件としてのサンプリング周期taに戻し(ST7)、所定時間t11が経過したら(ST8)、自動調整を再開する。なお、所定時間t1とt11とは同じ時間でもよく、異なる時間を設定してもよい。
【0053】
ST3において、センサ制御部25は、所定時間内に所定数の雪片数をカウントした場合に(ST3のYes)、当該検出条件をその後の条件として決定し(ST9)、融雪機器2の運転制御を行う。すなわち、所定の基準時間t1の間に調整基準数C0以上を検出した場合、当該サンプリング周期を検出条件として決定し、検出処理を継続する。なお、検出条件決定の基準値は調整基準数と同じとしたが、異なっていてもよい。
【0054】
例えば融雪機器の運転制御として、例えばセンサ制御部25は、時間あたり雪片数が運転基準雪片数C1(例:3個/min)以上であれば、制御装置3への運転信号をONし、時間あたりの雪片数が停止基準雪片数C2(例:1個/min)未満であれば制御装置3への運転信号をオフする。運転基準雪片数C1及び停止基準雪片数C2はそれぞれ運転基準値及び停止基準値であり、例えば記憶部21に記憶される。例えばC2はC1よりも小さい値に設定される。
【0055】
また、センサ制御部25は、温度センサ12によって検出された気温が停止基準温度T2(例:T1+0.5℃、3.0℃)以上に上昇した時点で、ターゲット検出部13への通電を停止するとともに、制御装置3への運転信号をオフする。
【0056】
センサ制御部25は、一例として、温度センサ12により検出された気温が所定のヒータ運転温度T3(例:3.0℃)以下に低下した時点で、ヒータ14に通電し、気温が所定のヒータ停止温度T4(例:4.0℃)に上昇した時点で、ヒータ14への通電を停止する。
【0057】
上記実施形態にかかる降雪センサ1装置によれば、以下のような効果が得られる。すなわち、ターゲット検出の結果に基づいて、ターゲット検出部の感度を調整することで、環境に応じた最適な条件設定が可能となる。すなわち、サンプリング周期について、検出設定が降雪状況に適さない場合に、長い周期から短い周期へ変更していくことで、適切なサンプリング周期での検出が可能となり、過度な検出精度になることを防止できる。したがって、ノイズや外乱の影響を抑え、部品の寿命を損なわずに、省エネ性も実現出来る。
【0058】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態の検出条件の自動調整について図5乃至図8を参照して説明する。図5は本発明の第2実施形態にかかる融雪装置の降雪センサの検出処理を示す説明図。図6は降雪センサの測距センサにおける、検出距離と電圧変位との関係を示す説明図である。図7は降雪センサの検出処理における電圧差閾値とターゲット検出の検出結果の関係を示す説明図であり、図8は降雪センサの検出処理のフローチャートである。
なお、本実施形態においてターゲット検出部13は、図6に示すように、検出距離に応じたアナログ電圧を出力する測距センサである。すなわちターゲット検出部13の出力電圧の変化が所定の電圧差閾値ΔV以上となる場合に、ターゲットが動いた変位距離が所定の変位距離閾値ΔL以上であり、この場合に当該ターゲットを雪片としてカウントするものである。本実施形態においてセンサ制御部25は検出感度として、変位距離閾値ΔLに対応する電圧差閾値ΔVを自動調整する。
【0059】
本実施形態にかかる降雪センサ1について、その他の構成は上記第1実施形態と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0060】
センサ制御部25は例えばCPUや各種の処理回路、及び変換回路等を備える。センサ制御部25は、受光部24や温度センサ12から送られる情報や予め記憶部21に記憶された各種プログラムに従って、降雪センサ1や融雪機器2の動作を制御する。
【0061】
センサ制御部25は、第1の温度センサ12,ターゲット検出部13、及び第2の温度センサ16の検出結果に基づいて降雪情報を検出する。例えばセンサ制御部25は、ターゲット検出部13に接続され、所定の条件で投光部23からパルス赤外光を照射させるとともに、受光部24で検出される信号に基づき、対象エリアAsに存在するターゲットを検出する。
【0062】
例えばセンサ制御部25は、温度センサ12によって検出される温度が一定温度(例えば2.5℃)以下である場合を検出開始条件とし、検出開始条件を満たした場合に、ターゲット検出部13を作動させ、ターゲット検出部13の投光部23よりパルス赤外光を照射させる。また、センサ制御部25は気温が一定値(例えば3.0℃)まで上昇することを検出終了条件として、検出終了条件を満たした場合に照射を停止する。例えば検出終了条件の温度は検出開始条件の温度よりも低く設定されている。
【0063】
センサ制御部25は、温度センサ12、16及びターゲット検出部13の信号を検出し、温度センサ12,16により検出される温度と、ターゲット検出部13の信号から得られる時間あたりの雪片数情報により、降雪状態を判断して、制御装置3へ運転信号を送出する。
【0064】
本実施形態にかかる降雪センサ1において、センサ制御部25は、ターゲット検出部13で受光した光に応じた電圧を検出する。そして、ターゲット検出部13での出力電圧と、直前検出時の出力電圧との変化が、所定の電圧差閾値ΔV以上である場合に、雪片としてカウントすることで、雪片数を算出する。
【0065】
そして、センサ制御部25は雪片数や温度情報に基づいて、融雪機器2の運転条件を満たす場合に、融雪機器2を運転させ、あるいは、融雪機器2の停止条件を満たした場合に融雪機器2を停止させる運転信号を制御装置3に送る。
【0066】
例えば対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定値を超えた場合に、センサ制御部25は融雪機器2を運転し、対象エリアAsにおいて一定時間当りの雪片数が所定の停止基準数を下回ると、融雪機器2を停止させる信号を、制御装置3の出力基板35に送る。
【0067】
なお、運転開始条件として、所定の運転基準雪片数C1を複数回(例:3回)連続で検出することを条件としてもよい。
【0068】
また、センサ制御部25は、ターゲットの検出状況よって、検出したターゲット数が調整基準数C0以下である場合、あるいは調整基準数C0以下である状態が連続した場合に、検出感度として、出力電圧差閾値ΔVを段階的に下げるように自動調整する。すなわち、ターゲット検出を開始する開始温度以下において、所定の検出時間の間に、ターゲットの検出個数が所定の調整基準数C0未満である状態が、所定回数または所定時間連続した場合に、ターゲット検出の閾値となる電圧変化の基準値である出力電圧差閾値ΔVを小さい値に設定する。言い換えると、雪片として検出する基準となるターゲットの変位距離の閾値である検出可能変位距離ΔLを小さくする。また、センサ制御部25は、ターゲットの検出個数が、調整基準値以上となる場合に、当該検出感度を、検出条件として設定する。すなわち、ターゲット検出を開始する開始温度以下において、所定の検出時間の間に、ターゲットの検出個数が調整基準数C0以上となった場合に、当該検出時の電圧差閾値を、環境に適した条件として設定する。なお、検出条件決定の基準値は調整基準値と同じとしたが、異なっていてもよい。
【0069】
以下、本実施形態にかかる降雪センサ1の検出感度の自動調整処理について図5乃至図8を参照して説明する。本実施形態においては、検出感度として、電圧差閾値ΔVの値を調整する調整処理を説明する。なお、本実施形態において電圧差閾値ΔVは検出可能変位距離ΔLに対応しており、電圧差閾値ΔVを調整することにより、検出可能変位距離ΔLが調整される。
【0070】
まず、センサ制御部25は、ST11において、検出開始条件を検出する。例えばセンサ制御部25は、温度検出部としての温度センサ12により検出された温度が運転基準温度T1(例:2.5℃)以下に低下した場合に、所定の検出開始条件を満たすとして(ST11)、ターゲット検出を開始する(ST12)。具体的には、ターゲット検出部13に通電し、ターゲット検出部13の情報から時間当りの雪片数を計数する。例えばセンサ制御部25は、ターゲット検出部13で直前の検出時に検出した出力電圧に対して、所定の電圧差閾値ΔV以上の出力電圧の差が生じた場合に、ターゲットに動きがあるとして、雪片として検出する。ターゲット検出の開始時には予め定めた初期設定の電圧差閾値ΔV1、検出可能変位距離ΔL1、を初期の検出条件として、ターゲット検出を行う。
【0071】
センサ制御部25は、ターゲット検出の開始後に、検出結果に応じて電圧差の閾値ΔVを調整する。例えば、初期条件とした電圧差閾値ΔV1での検出において、所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の基準数C0(例:3個)未満である状態を検出し(ST13)、C0未満である状態がn回(例:3回)連続するかどうかを判定する(ST14)。
【0072】
そして、センサ制御部25は、電圧差閾値ΔV1で所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の基準数C0(例:3個)未満である状態が、n回(例:3回)連続した場合(ST14のYes)、予め定められた変更範囲内の最小閾値ΔVminでなければ(ST15のN0)、電圧差閾値ΔVを、小さい閾値に、例えばΔV1からΔV2に、変更する(ST16)。
【0073】
センサ制御部25は、予め定められた変更範囲内で、最小の閾値ΔVminとなるまで(ST15のNo)、ST13~ST16を繰り返し、変更範囲内で段階的に閾値ΔVを段階的に小さくする調整を繰り返す。例えば図7にΔV1=0.15V、ΔV2=0.10V,ΔV3=0.05Vとした場合の、ターゲット検出結果を示すように、ΔV1からΔV2(<ΔV1)へ,ΔV2からΔV3(<ΔV2)へ、と電圧差閾値ΔVを段階的に小さくして、検出可能な変位距離閾値ΔLを小さくしていくことで、雪片検出の感度を段階的に上げることができる。なお、閾値ΔVの調整幅、例えばΔV1とΔV2の差、あるいはΔV2とΔV3との差は、固定値でなくてもよく、手動または自動で設定変更可能としてもよい。
【0074】
センサ制御部25は、ある電圧差閾値で所定の基準時間t1(例:1min)以内に、ターゲットを検出した個数が所定の基準数C0(例:3個)未満である状態が、n回(例:3回)連続した場合であって、既に変更範囲内における最短閾値であった場合には(ST15のYes)、記憶部に記憶された所定の初期条件(初期設定値)に戻し(ST17)、所定時間t11が経過したら(ST18)、自動調整を再開する。なお、所定時間t1とt11とは同じ時間でもよく、異なる時間を設定してもよい。
【0075】
ST13において、センサ制御部25は、所定時間内に所定数の雪片数をカウントした場合に(ST13のYes)、当該検出条件をその後の条件として決定し(ST19)、融雪機器2の運転制御を行う。すなわち、所定の基準時間t1の間に所定の設定基準数C0以上を検出した場合、当該電圧差閾値ΔVnを検出条件として決定し、検出処理を継続する。なお、設定基準値と調整基準値は同じとしたが、異なっていてもよい。
【0076】
例えば融雪機器の運転制御として、例えばセンサ制御部25は、時間あたり雪片数が運転基準雪片数C1(例:3個/min)以上であれば、制御装置3への運転信号をONし、時間あたりの雪片数が停止基準雪片数C2(例:1個/min)未満であれば制御装置3への運転信号をオフする。運転基準雪片数C1及び停止基準雪片数C2はそれぞれ運転基準値及び停止基準値であり、例えば記憶部21に記憶される。例えばC2はC1よりも小さい値に設定される。
【0077】
また、センサ制御部25は、温度センサ12によって検出された気温が停止基準温度T2(例:T1+0.5℃、3.0℃)以上に上昇した時点で、ターゲット検出部13への通電を停止するとともに、制御装置3への運転信号をオフする。
【0078】
センサ制御部25は、一例として、温度センサ12により検出された気温が所定のヒータ運転温度T3(例:3.0℃)以下に低下した時点で、ヒータ14に通電し、気温が所定のヒータ停止温度T4(例:4.0℃)に上昇した時点で、ヒータ14への通電を停止する。
【0079】
上記実施形態にかかる降雪センサ1装置によれば、以下のような効果が得られる。すなわち、ターゲット検出の結果に基づいて、ターゲット検出部の感度を調整することで、環境に応じた最適な条件設定が可能となる。すなわち、電圧差閾値ΔVについて、検出設定が降雪状況に適さない場合に、高い閾値ΔV1から低い閾値ΔV2,ΔV3、へ変更していくことで、適切な電圧差閾値での検出が可能となり、過度な検出精度になることを防止できる。したがって、ノイズや外乱の影響を抑え、部品の寿命を損なわずに、省エネ性も実現出来る。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば各種設定値や算出の基準値等は適宜変更可能である。また、例えばターゲット検出部13に適用されるセンサの種類や光の種類について、上記に例示したものに限らず適宜変更可能である。
【0081】
また、上記実施形態において、融雪装置100はポンプによって地下水を汲みあげる構成を例示したが、これに限られるものではない。例えば一般給水用配管から融雪揚水を給水するタイプの散水装置や、ヒータ等の加熱装置などの無散水の融雪機器を用いてもよい。たとえば、例えば融雪機器2として一般給水用配管から分岐して給水を融雪用水として用いる構造の散水式の融雪機器を用いる場合、配管に設けられる電動弁や電磁弁を降雪情報に基づいて制御する。この場合、配管に配される電動弁や電磁弁を直接開閉作動させる信号(オン信号)が融雪信号となる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0083】
1…降雪センサ、2…融雪機器、3…制御装置、4…リモコン、10…ケーシング、11…制御基板、12…温度センサ、13…ターゲット検出部、14…ヒータ、15a…接続ケーブル、15b…接続ケーブル、16…温度センサ、17…ポール、18…カバー、18a…屋根部、18c…窓部、18e…溝部、19a、19b…仕切プレート、20a…第1室、20b…第2室、21…記憶部、22…センサケース、23…投光部、24…受光部、25…センサ制御部、33…表示部、34…操作部、35…出力基板、100…融雪装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8