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特開2024-37539注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037539
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 23/00 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B22C23/00 H
B22C23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142458
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】592089799
【氏名又は名称】メタルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100130096
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一総
(72)【発明者】
【氏名】下村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】船木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金平 諭三
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094AB11
4E094AB51
4E094AB61
4E094CC47
(57)【要約】
【課題】稼働エネルギ―と設備費用の無駄を削減でき、こぼれ砂による設備の損傷を防止し、ピット工事費用の削減が可能となるとともにピット内での設備点検も不要となる注湯済み鋳型抜き出し装置を提供する。
【解決手段】冷却ラインにある鋳枠付の注湯済み鋳型を、鋳枠の内側となる砂型部分を抜き出す抜き出し位置に移送する移送装置と、鋳枠の下方から上方に向けて砂型部分を抜き出す砂型部分抜き出し機構と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置であって、砂型部分抜き出し機構は、抜き出し位置に設けられ、注湯済み鋳型の砂型部分を下方から支持する抜き出しテーブルと、鋳枠を上方から支持して、抜き出しテーブルが鋳枠の内側を通過するように、鋳枠を押し下げる鋳枠押し下げ装置と、を備えた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却ラインにある鋳枠付の注湯済み鋳型を、前記鋳枠の内側となる砂型部分を抜き出す抜き出し位置に移送する移送装置と、
前記鋳枠の下方から上方に向けて前記砂型部分を抜き出す砂型部分抜き出し機構と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置であって、
前記砂型部分抜き出し機構は、前記抜き出し位置に設けられ、前記注湯済み鋳型の前記砂型部分を下方から支持する抜き出しテーブルと、
前記鋳枠を上方から支持して、前記抜き出しテーブルが前記鋳枠の内側を通過するように、前記鋳枠を押し下げる鋳枠押し下げ装置と、を備えた
注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項2】
前記鋳枠押し下げ装置は、油圧によるシリンダ装置を備え、
前記シリンダ装置には、前記砂型部分の抜き出し時に発生する背圧側の油路に油路閉鎖用の切換弁を設けた請求項1に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項3】
前記鋳枠押し下げ装置は、各角部において前記鋳枠の四隅上面に当接する矩形状の鋳枠押さえフレームを備え、
前記鋳枠押さえフレームの矩形状の辺のうち平行に並ぶ一組の前記辺の上端には、前記辺に沿って鉛直方向に所定の高さで延在する板状の側板がそれぞれ立設され、
対向する前記側板の間隔は、抜き出される前記砂型部分が挿通可能な幅に設けられている請求項1または2に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項4】
前記冷却ラインと前記抜き出し位置との間に、前記砂型部分より抜け落ちた鋳物を受ける鋳型受けフレームをさらに備え、
前記鋳型受けフレームは、前記鋳型受けフレームの前記冷却ライン側寄りの位置に、前記抜き出し位置に移送する方向に直角な方向に延在する回転軸を備え、
前記抜き出し位置側を所定の角度で下げるように傾動可能とした請求項1または2に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項5】
前記抜き出しテーブルの四方側面には、前記砂型部分の抜き出しのために前記鋳枠が下降したときに、前記鋳枠の内壁を清掃するスクレーパ装置を設けた請求項1または2に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項6】
前記移送装置は、前記冷却ラインと前記抜き出し位置とに跨る移送レールと、
前記移送レール上を前記鋳枠付の注湯済み鋳型とともに移動する移送台車と、を備え、
前記移送台車には、前記砂型部分を抜き出す際の反力で、前記移送台車が前記移送レールから浮き上がるのを防止する浮き上がり防止装置が設けられた請求項1または2に記載の注湯済み鋳型抜き出し装置。
【請求項7】
鋳枠付の注湯済み鋳型を冷却ラインから前記鋳枠の内側となる砂型部分を抜き出す抜き出し位置に移送する移送装置と、
前記鋳枠の下方から上方に向けて前記砂型部分を抜き出す砂型部分抜き出し機構と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置を使用した注湯済み鋳型抜き出し方法であって、
前記砂型部分抜き出し機構は、前記抜き出し位置に設けられ、前記注湯済み鋳型の前記砂型部分を下方から支持する抜き出しテーブルを備え、
前記鋳枠を上方から支持して、前記抜き出しテーブルが前記鋳枠の内側を通過するように、前記鋳枠を押し下げる鋳枠押し下げ工程を備えた
注湯済み鋳型抜き出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注湯済みの鋳型を、鋳枠から抜き出す鋳型抜き出し装置およびその抜き出し装置を使用した抜き出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、注湯済みの鋳型を鋳枠から抜き出す方法として特許文献1に示すようにシリンダ装置により鋳型の下方から真上に抜き上げる方法がある。この方法は鋳型をできる限り崩さずに外部に抜き出した後に鋳型内で製品を一定時間徐冷することを主目的としている。
【0003】
注湯済みの鋳型を鋳枠から抜き出す装置の構成としては、まず注湯後の台車上の上下鋳枠を、冷却ラインより水平方向に引き出して鋳型抜き出し装置上に移送する移送装置が使用され、そして鋳型を鋳枠から抜き上げる抜上げ装置が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-23094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の注湯済み鋳型抜き出し装置は、鋳型を抜き出す鋳枠の下方に配置されているので、装置の設置スペースを深いピットを形成することで確保する必要があった。ピット内での設備点検は、繁雑であり、鋳型を抜き出す鋳枠より下方に配置される設備には、抜き出しの際に発生するこぼれ砂が降りかかり、装置を痛めるおそれがあった。
【0006】
また、鋳枠から抜き出された鋳型の抜き出し位置が高くなるので、設備レイアウトによっては、抜き出された鋳型の高さ位置を再度下げる装置が必要になる等、稼働するためのエネルギ―と設備費用の無駄を生じていた。
【0007】
本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、稼働エネルギ―と設備費用の無駄を削減でき、こぼれ砂による設備の損傷を防止し、ピット工事費用の削減が可能となるとともにピット内での設備点検も不要となる注湯済み鋳型抜き出し装置および注湯済み鋳型抜き出し方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、冷却ラインにある鋳枠付の注湯済み鋳型を、前記鋳枠の内側となる砂型部分を抜き出す抜き出し位置に移送する移送装置と、前記鋳枠の下方から上方に向けて前記砂型部分を抜き出す砂型部分抜き出し機構と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置であって、前記砂型部分抜き出し機構は、前記抜き出し位置に固定されて設けられ、前記注湯済み鋳型の前記砂型部分を下方から支持する抜き出しテーブルと、前記鋳枠を上方から支持して、前記抜き出しテーブルが前記鋳枠の内側を通過するように、前記鋳枠を押し下げる鋳枠押し下げ装置と、を備えている。
【0009】
これによれば、注湯済み鋳型の砂型部分を上昇させる作業を伴わないので、注湯済み鋳型の砂型部分をできる限り崩さずに低い位置で鋳枠から抜き出すことが可能となる。さらに抜き出された砂型部分の高さ位置を再度下げる装置も不要となるので、エネルギ―と設備費用の無駄を削減できる。
【0010】
また、抜き出しが固定された抜き出しテーブルに載せて行われるため、抜き出し時に発生するこぼれ砂を噛むおそれのある装置の可動部分に降りかかることも無く、装置の可動部分を傷めることもない。また、ピットを従来より浅くすることができるので、ピット工事費用の削減ができるとともに、ピット内での設備点検も不要となる。
【0011】
本発明の第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記鋳枠押し下げ装置は、油圧によるシリンダ装置を備え、前記シリンダ装置には、鋳型抜き出し時に発生する背圧側の油路に油路閉鎖用の切換弁を設けている。
【0012】
これによれば、鋳枠押し下げ装置に油圧によるシリンダ装置を使用して砂型部分抜き出し時に発生する背圧側の油路に油路閉鎖用の切換弁を設けたことで、砂型部分抜き出し時の鋳枠の浮き上がりによる鋳枠の傾きを規制して、抜き出し板との干渉を防止することができる (鋳枠の内壁に対しての隙間は、例えば10~15mm位) 。また、砂型部分抜き出し時に発生する背圧を油圧によるシリンダ装置にて受圧し、高圧に変換することで、大規模な押圧装置を設けることなく装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0013】
本発明の第三の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一または第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記鋳枠押し下げ装置は、各角部において前記鋳枠の四隅上面に当接する矩形状の鋳枠押さえフレームを備え、前記鋳枠押さえフレームの矩形状の辺のうち平行に並ぶ一組の前記辺の上端には、前記辺に沿って鉛直方向に所定の高さで延在する板状の側板がそれぞれ立設され、対向する前記側板の間隔は、抜き出される前記砂型部分が挿通可能な幅に設けられている。
【0014】
これによれば、抜き出された砂型部分が搬送される際に、対向する側板に挟まれた状態で側板に沿って搬送されるので、砂型部分から崩れた砂がこぼれて散らかることがなく、かつスムーズに搬送することができる。
【0015】
本発明の第四の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一または第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記冷却ラインと前記注湯済み鋳型抜き出し位置との間に、前記砂型部分から抜け落ちた鋳物を受ける鋳型受けフレームをさらに備え、前記鋳型受けフレームは、前記鋳型受けフレームの前記冷却ライン側寄りの位置に前記抜き出し位置に移送する方向に直角な方向に延在する回転軸を備え、前記注湯済み鋳型抜き出し位置側を、所定の角度で下げるように傾動可能とした。
【0016】
これによれば、鋳型受けフレームの注湯済み鋳型抜き出し位置側を所定の角度で下げるように傾動させることで、抜き出し位置において、鋳枠が下降したときに鋳型受けフレームとの干渉を避けることができる。
【0017】
本発明の第五の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一または第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記抜き出しテーブルの四方側面には、前記砂型部分の抜き出しのために前記鋳枠が下降したときに、前記鋳枠の内壁を清掃するスクレーパ装置を設けた。
【0018】
これによれば、専用の鋳枠清掃装置を設けることなく、砂型部分の抜き出し作業のたびに、鋳枠の内壁を清掃することができる。
【0019】
本発明の第六の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置によれば、第一または第二の態様の注湯済み鋳型抜き出し装置において、前記移送装置は、前記冷却ラインと前記抜き出し位置とに跨る移送レールと、前記移送レール上を前記鋳枠付の注湯済み鋳型とともに移動する移送台車と、を備え、前記移送台車には、前記砂型部分を抜き出す際の反力で、前記移送台車が前記移送レールから浮き上がるのを防止する浮き上がり防止装置が設けられた。
【0020】
これによれば、移送台車に浮き上がり防止装置を設けたことで鋳型抜き出し時の反力による移送台車の浮き上がりを防止することができる。
【0021】
本発明の第七の態様の注湯済み鋳型抜き出し方法によれば、鋳枠付の注湯済み鋳型を冷却ラインから前記鋳枠の内側となる砂型部分を抜き出す抜き出し位置に移送する移送装置と、前記鋳枠の下方から上方に向けて前記砂型部分を抜き出す砂型部分抜き出し機構と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置を使用した注湯済み鋳型抜き出し方法であって、前記砂型部分抜き出し機構は、注湯済み鋳型抜き出し位置に設けられ、前記注湯済み鋳型の前記砂型部分を下方から支持する抜き出しテーブルを備え、前記鋳枠を上方から支持して、前記抜き出しテーブルが前記鋳枠の内側を通過するように、前記鋳枠を押し下げる鋳枠押し下げ工程を備えた。
【0022】
これによれば、注湯済み鋳型の砂型部分を上昇させる作業を伴わないので、注湯済み鋳型の砂型部分をできる限り崩さずに低い位置で鋳枠から抜き出すことが可能となる。さらに抜き出された砂型部分の高さ位置を再度下げる装置も不要となるので、エネルギ―と設備費用の無駄を削減できる。
【0023】
また、抜き出しが固定された抜き出しテーブルに載せて行われるため、抜き出し時に発生するこぼれ砂を噛むおそれのある装置の可動部分に降りかかることも無く、装置の可動部分を傷めることもない。また、ピットを従来より浅くすることができるので、ピット工事費用の削減ができるとともに、ピット内での設備点検も不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の注湯済み鋳型抜き出し装置の実施形態を一部断面図で示す正面側から見た概要図である。
図2図1におけるII-II断面図である。
図3図1におけるIII-III断面図である。
図4図1におけるIV-IV断面図である。
図5】把持爪アームで鋳枠を掛止した状態を示す図である。
図6】移送装置で注湯済み鋳型を押し出し位置に移動した状態を示す図である。
図7】鋳枠押し下げ装置を鋳枠の上面に向かって降下させた状態を示す図である。
図8】昇降フレームを降下させて、砂型部分を抜き出した状態を示す図である。
図9】押し出し装置で砂型部分を下流側へ押し出す状態を示す図である。
図10】昇降フレームを上昇させた状態を示す図である。
図11】移送台車を搬入搬出位置に戻した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
本件発明にかかる注湯済み鋳型抜き出し装置の実施形態を図1から図11に基づいて以下に説明する。
【0026】
なお、図1における水平方向をX軸方向といい、X軸方向に直交する水平方向をY軸方向というものとする。有形の物体に仮想の中心線を考えた場合に、該中心線に近い方を内側、該中心線に遠い方を外側というものとする。搬送される物があるときに、搬送の起点側を上流、搬送の終点側を下流というものとする。
【0027】
実施形態における注湯済み鋳型抜き出し装置1は、図1に示すように、移送装置2と、砂型部分抜き出し機構3と、を備えている。
【0028】
注湯済み鋳型抜き出し装置1は、Y軸方向に延在し、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが搬入され、鋳型CMの砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFが搬出される搬入搬出路4と、搬入搬出路4に平行に隣接されて設けられ、砂型部分SM(鋳物CAを含む)を搬送する砂型部分搬送路PPSとの間に、直交するように配置されて設けられている。
注湯済み鋳型抜き出し装置1は、基台BTの上に配置されている。
【0029】
(基台)
基台BTは、床面に並べられてX軸方向およびY軸方向に延在する複数本のH形鋼により、形成されている。そして、全体としてX軸方向が長辺となり、Y軸方向が短辺となる矩形状に配置されている。
基台BTには、後述する移送装置2の支持柱21が立設されている。また、対向する長辺の間には、後述する搬入搬出路4のレール41を支持するレール基礎42をさらに支持するレール基礎台BTLがY軸方向に延在して一対設けられている。レール基礎台BTLの図1における右側には、後述する抜き出しテーブル33を支持するテーブル基礎台BTTがY軸方向に延在して一対設けられている。
【0030】
(搬入搬出路)
搬入搬出路4は、Y軸方向に延在する一対のレール支持部材43の上にレール41がそれぞれ固定されて構成さている。レール支持部材43は、前述したレール基礎42およびレール基礎台BTLに沿って設けられている。レール41には、転動輪が設けられた搬送台車TCが走行する。搬送台車TCは、搬入時には鋳枠付の注湯済み鋳型FCMが載置され、搬出時には砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFが、搬入された方向とは逆方向に搬出される。
搬入搬出路4および搬送台車TCは、公知技術であるため、説明を省略する。搬入搬出路4における搬入路は、冷却ラインCLに相当する。
【0031】
(移送装置)
移送装置2は、冷却ラインCLにある鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを、鋳枠CFの内側となる砂型部分SMを抜き出す抜き出し位置EPに移送する。
移送装置2は、支持柱21と、移送レール支持部材22と、移送レール23と、移送台車24と、を備えている。
【0032】
支持柱21は、搬入搬出路4と抜き出し位置EPとを、跨ぐように水平に一対設けられる後述する移送レール支持部材22の両端部を、支持する。
【0033】
支持柱21は、例えばH形鋼で形成され、移送レール支持部材22が支持するレール幅に合わせてそれぞれ対に立設されている。
支持柱21の下端部は、床面に並べられて配置された基台BTに固定されている。
【0034】
(移送レール支持部材)
移送レール支持部材22は、例えばH形鋼により形成され、両端部は、例えばコーナーブラケット(図略)介して支持柱21にボルト締結されている。
【0035】
(移送レール)
移送レール23は、対となった移送レール支持部材22の上に沿ってそれぞれ設けられ、X軸方向に延在している。移送レール23の両端部には、後述する移送台車24を端部の所定位置に停止させる位置センサ(図略)と停止ストッパ(図略)とが設けられている。
【0036】
(移送台車)
移送台車24は、矩形の厚板状に形成された移送台車本体24aと、移送台車本体24aの四隅にY軸方向に延在する回転軸を有する転動輪24bとが設けられている。転動輪24bは、移送台車本体24aに搭載された図略の駆動モータによって駆動する。
【0037】
各転動輪24bの内側には、掛止部材24cが設けられている。掛止部材24cは、鋳型CMの抜き出し時の反力で、移送台車24が移送レール23から浮き上がるのを防止する。掛止部材24cは、例えば鉄製でL字形に形成されている。掛止部材24cは、移送台車24の底面に上端が固定され、下部の鉤状部分が移送レール支持部材22の上部フランジ部の裏面に掛止するようになっている。鉤状部分と上部フランジ部との間には、例えば2~4mmの隙間が設けられ、移送台車24の走行時には、掛止部材24cと移送レール支持部材22とが接触しないようになっている。
【0038】
なお、掛止部材24cは、浮き上がり防止装置を構成する。
移送台車24には、昇降シリンダ241と、昇降ガイド242と、が設けられている。
【0039】
(昇降シリンダ)
昇降シリンダ241は、後述する昇降フレーム31を上下方向に沿って昇降する。昇降シリンダ241は、油圧シリンダ241aとピストンロッド241bとを備えている。油圧シリンダ241aは、下方が開口する円筒状に形成され、下部が移送台車本体24aの中央に貫通した状態で図略のブラケットにより組付けられている。油圧シリンダ241aの下部には、移送台車本体24aの上面に当接する鍔部が周設され、油圧シリンダ241aに対する下向きの荷重を受けるようになっている。
【0040】
油圧シリンダ241aは、油送パイプFPを介して油圧ポンプOPに連通している。油圧シリンダ241aと油圧ポンプOPの間には、第一電磁切換弁SV1が設けられている。第一電磁切換弁SV1は、油圧ポンプOPが油圧シリンダ241aの開口側に連通する位置、油圧ポンプOPが油圧シリンダ241aのキャップ側に連通する位置、およびいずれの連通をも遮断する位置の三位置を備えている。
【0041】
ピストンロッド241bは、油圧シリンダ241aの開口より下方に向かって前進後退するように突設されている。ピストンロッド241bの下端には、後述する昇降フレーム31が組付けられている。
昇降ガイド242は、移送台車本体24aにおいて、昇降シリンダ241を囲むように、各辺がX軸方向またはY軸方向に沿った矩形状に四つ配置されている。
【0042】
昇降ガイド242は、昇降フレーム31が鉛直方向に沿って上下動するのをガイドする。
昇降ガイド242は、筒状ガイド部材242aと昇降ロッド242bとを備えている。
【0043】
筒状ガイド部材242aは、円筒状に形成され、移送台車本体24aに設けられた取付穴に下部が貫通した状態で取り付けられている。筒状ガイド部材242aは、取付穴の周端縁に当接するフランジ部が周設され、昇降ガイド242が受ける下向きの荷重を負担するようになっている。
【0044】
昇降ロッド242bは、例えば丸棒状に形成された部材で、筒状ガイド部材242aに摺動可能に挿通されている。昇降ロッド242bの下端部は、後述する昇降フレーム31の四隅に上方から組付けられている。
昇降フレーム31は、砂型部分抜き出し機構3の一部を構成するとともに、移送装置2の一部を構成する。
【0045】
(砂型部分抜き出し機構)
砂型部分抜き出し機構3は、鋳枠CFより砂型部分SM(注湯されて冷却中の鋳物CAを含む)を抜き出す。
砂型部分抜き出し機構3は、昇降フレーム31と、鋳枠押し下げ装置32と、抜き出しテーブル33とを備えている。
なお、昇降フレーム31に設けられた装置の中で、把持爪アーム311は、移送装置2を構成する。
【0046】
(昇降フレーム)
昇降フレーム31は、昇降シリンダ241によって上下方向に昇降することで、昇降フレーム31に付加された部品によって、鋳型CMの移送および砂型部分SMの抜き出しを行う。
【0047】
昇降フレーム31は、例えば、鉄製の矩形状の厚板材で形成された昇降フレーム本体31aと、昇降フレーム本体31aに付加された鋳枠押し下げ装置32と、把持爪アーム311と、側板312とを備えている。
昇降フレーム本体31aは、上下動が必要な部品の基礎構造体として機能する。
【0048】
(鋳枠押し下げ装置)
鋳枠押し下げ装置32は、砂型部分SMが抜き出し前の鋳枠CFを上方から押圧し、抜き出しテーブル33と協働して、砂型部分SMを抜き出す。
【0049】
鋳枠押し下げ装置32は、油圧によるシリンダ装置32aと、接続金具32bと、鋳枠押さえフレーム32cと、鋳枠押さえライナー32dとを備えている。
【0050】
(シリンダ装置)
油圧によるシリンダ装置32aは、昇降フレーム本体31aに対して鋳枠押さえフレーム32cを接近離間する。シリンダ装置32aは、シリンダ部32a1とピストンロッド部32a2とを備えている。
【0051】
シリンダ部32a1は、上部のキャップ側が、昇降フレーム本体31aの四隅付近の下面に、鋳枠CFの形状に対応して矩形状に配されて組付けられている。各シリンダ部32a1の下部開口部には、それぞれピストンロッド部32a2が下方に向かって前進後退するように設けられている。
【0052】
各シリンダ部32a1は、油送パイプFPを介して油圧ポンプOPに連通している。
各シリンダ部32a1の油送パイプFPは、油圧ポンプOPに近い統合位置FPTにおいて、二本に統合されている。統合位置FPTと油圧ポンプOPとの間には、第二電磁切換弁SV2が設けられている。
【0053】
第二電磁切換弁SV2は、シリンダ部32a1の開口部側が油圧ポンプOPに連通する位置およびシリンダ部32a1のキャップ側が油圧ポンプOPに連通する位置の二位置を備えている。
【0054】
シリンダ部32a1のキャップ側と第二電磁切換弁SV2との間には、油路閉鎖用の切換弁DV(電磁切換弁)が設けられている。この切換弁DVによって、砂型部分SM抜き出し時に発生する背圧を油圧によるシリンダ装置32aにて受圧し、高圧に変換することで、大規模な押圧機構を設けることなく、装置全体のコンパクト化を図っている。
【0055】
第二電磁切換弁SV2と油圧ポンプOPとに間には、減圧弁PRVが設けられている。減圧弁PRVは、鋳枠押さえライナー32dによる圧力が、爪部311bに対して、過大とならぬよう減圧する。
【0056】
ピストンロッド部32a2の下端には、円筒状の接続金具32bが接続されている。ピストンロッド部32a2の下端は、例えば雄ねじ部が形成され、接続金具32bの上部内壁に形成された雌ねじ部と螺着するようになっている。接続金具32bの下部外壁には雄ねじ部が形成され、後述する鋳枠押さえフレーム32cのコーナー接続部32c1に設けられた雌ねじ部に螺着される。
【0057】
(鋳枠押さえフレーム)
鋳枠押さえフレーム32cは、図1および図4に示すように、例えば鉄製で、Y軸方向に延在する縦方向が長い断面長方形状の板材とX軸方向に延在する方形状の棒材とにより矩形の枠状に形成されている。鋳枠押さえフレーム32cには、四角筒形状のコーナー接続部32c1が矩形の枠の四隅の角部にそれぞれ一体に設けられている。
【0058】
各コーナー接続部32c1の下端には、下方に向かって突出する鋳枠押さえライナー32dが組付けられている。鋳枠押さえライナー32dは、例えば鉄製で短円柱状に形成され、矩形の鋳枠押さえフレーム32cの枠の下面よりも例えば20~30mm下方に突出し、鋳枠CFの四隅の上面に当接する。
鋳枠押さえフレーム32cのうち、X軸方向に並んだ一組の鋳枠押さえフレーム32cの上端には、所定高さでY軸方向に延在する側板312がそれぞれ立設されている。
【0059】
(側板)
側板312は、例えば鉄製で横側が長い長方形の板状に形成され、側板312の内壁面は、鋳枠押さえフレーム32cの内壁面とX軸方向の位置が面一に設けられている。対向する側板312の間隔は、抜き出された砂型部分SMのX軸方向の辺が挿入可能な寸法(幅)に設定されている。
【0060】
(把持爪アーム)
把持爪アーム311は、砂型部分SMを抜き出す前の鋳枠CFを把持して、搬入搬出位置LUPから抜き出し位置EPへ移送し、砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを搬入搬出位置LUPに戻すのに使用され、移送装置2を構成する。
把持爪アーム311は、アーム本体311aと爪部311bとアーム本体連結部311cとを備えている。
【0061】
アーム本体311aは、例えば鉄製で断面長方形の長板状に形成され、上下方向に延在している。アーム本体311aは、上端部を昇降フレーム31の底部に相対移動不能に組付けられ、下端部には鋳枠CFの外側下部に掛止する爪部311bが設けられている。
【0062】
把持爪アーム311は、X軸方向に並んだ爪部311bの先端が対向するように対に設けられている。対となった組がY軸方向に並んで二組設けられている。対向する爪部311bは、搬送されてきた鋳枠CFがその間に進入し、かつ鋳枠CFの被係止部分が、隙間をおいて爪部311bの上方に配置されるように設定されている。
【0063】
アーム本体連結部311cは、例えば鉄製で、Y軸方向に延在する断面矩形の棒状部材であり、Y軸方向に並んだアーム本体311aを下部において相互に連結している。
【0064】
(抜き出しテーブル)
抜き出しテーブル33は、冷却ラインCLの搬入搬出位置LUPに対向して並ぶ抜き出し位置EPに設けられている。抜き出しテーブル33は、基台BTのテーブル基礎台BTTの上に固定されており、自ら上下動する機構は所持していない。
抜き出しテーブル33は、テーブル本体33aと、抜き出し板331と、スクレーパ装置332とを備えている。
【0065】
テーブル本体33aは、例えば鉄製で四角柱状に形成されている。テーブル本体33aの四角の断面は、鋳枠CFの内周壁よりも一回り小さく設定されている。
【0066】
テーブル本体33aの上面には、抜き出し板331が設けられている。抜き出し板331は、例えば、鉄製で四角の板状に形成され、鋳枠CFの内壁を通過できるように、鋳枠CFの内壁の寸法よりは小さく、かつテーブル本体33aの外壁の寸法よりは大きく形成されている。
【0067】
抜き出し板331の直下であって、テーブル本体33aの四方側面33a1の上部には、スクレーパ装置332が設けられている。
【0068】
スクレーパ装置332は、例えば、ばね鋼板製の長方形の複数の板材を、鉛直方向からそれぞれ傾斜させ、X軸方向およびY軸方向に突出させるとともに、横方向に所定間隔に並べて設けている。
【0069】
スクレーパ装置332は、砂型部分SMが抜き出される際に、同時に鋳枠CFの内壁の砂を落として清掃する。スクレーパ装置332は、抜き出し板331よりもX軸方向およびY軸方向に少し多く突出している。
【0070】
(鋳型受けフレーム)
鋳型受けフレーム5は、図3に示すように、搬入搬出位置LUPと抜き出し位置EPとの間に配置される。
鋳型CMに溶湯注入後、時間経過によって、鋳物CA表面近くの鋳物砂CSに、水分凝縮層が形成され、鋳型CMと鋳物CAとが分離し易くなる。その場合、鋳枠CF吊り上げ時に砂型部分SMが崩れるとともに鋳物CAが下に抜け落ちる場合がある。
【0071】
鋳型受けフレーム5は、落下した鋳物CAを受けるためのものである。鋳型受けフレーム5は、例えば鉄製で、X軸方向に延在する複数(本実施形態では6本)の略短冊状の板材5aで形成されている。短冊状の板材5aは、断面において縦方向が長辺となるように配置され、各短冊状の板材5aは隣接する板材5a間で隙間を設けて配置されている。隣接する板材5a間で隙間を設けるのは、鋳物CAとともに落下した砂が砂溜りを生じるのを防止するためである。各短冊状の板材5aは、冷却ラインCL側寄りの下部において、Y軸方向に延在するフレーム受け回動部51に組付けられている。
【0072】
フレーム受け回動部51は、フレーム連結部51aと、回動軸51bと、軸受け部51cと、油圧モータ51dと、カップリング51eとを備えている。
【0073】
フレーム連結部51aは、Y軸方向に延在する四角柱状の部材であって、複数の短冊状の板材5aの搬入搬出位置LUP側寄りの裏側が、相対移動不能に組付けられている。フレーム連結部51aは、Y軸方向に延在する回動軸51b(図2参照)と一体に設けられている。
また、短冊状の板材5aの抜き出し位置EP側は、フレーム接続部51fによって相互に連結されている。
【0074】
回動軸51bは、搬入搬出路4のレール支持部材43に取り付け部材を介して固定された軸受け部51cに回動可能に軸支されている。回動軸51bは、搬入搬出位置LUPより抜き出し位置EPに移送する方向に直角な方向に延在している。
回動軸51bの一方の端部(図2において右端部)において、油圧モータ51dにカップリング51eを介して連結されている。回動軸51bは、油圧モータ51dによって正逆回転可能に設けられている。
鋳型受けフレーム5は、フレーム受け回動部51の回動によって、水平位置から、抜き出し位置EP側が、下方となって抜き出し位置EPより離れるように傾動する。
【0075】
(押し出し装置)
抜き出し位置EPには、抜き出された砂型部分SMを、次工程に移動させる押し出し装置6が設けられている。
押し出し装置6は、抜き出しテーブル33の上流側に設けられ、当接部材6aと、押し出し駆動装置6bとを備えている。
【0076】
当接部材6aは、例えば鉄製で、砂型部分SMの正面形状に対応する矩形状の板材で形成されている。押し出し駆動装置6bは、例えば、油圧シリンダ装置(図略)であり、ピストンロッド(図示せず)の先端に当接部材6aが組付けられている。抜き出しテーブル33に抜き出された砂型部分SMは、押し出し装置6により側板312に沿って水平方向下流側に押し出される。その際、側板312によって、砂型部分SMは、砂がこぼれるのが防止されるとともに、円滑に押し出される。
押し出し装置6は、公知技術であるため、説明を省略する。
【0077】
(制御装置)
制御装置(図略)は、第一電磁切換弁SV1、第二電磁切換弁SV2、油路閉鎖用の切換弁DVの切り換え制御、鋳型受けフレーム5の回転位置制御、移送台車24の駆動モータを駆動させて位置制御等を行う。
【0078】
(作動)
上記のように構成された注湯済み鋳型抜き出し装置1の作動について、図1図5図11に基づいて以下に説明する。
図1では、鋳枠付注湯済みの鋳型FCMが、搬送台車TCに搭載されて冷却ラインCLの搬入搬出位置LUPに位置決めされた状態を示している。
【0079】
移送装置2の移送台車24も搬入搬出位置LUPに位置決めされ、昇降フレーム31は、上昇端位置REよりも少し下がった保持準備位置HRに停止している。把持爪アーム311の対向する爪部311bの間に、鋳枠CFが嵌り込むとともに、鋳枠CFのX軸方向に並ぶ両下端部は、それぞれ爪部311bの上面と隙間を設けて対向している。
【0080】
第一電磁切換弁SV1は、油圧ポンプOPと昇降シリンダ241との連通を遮断する位置に位置決めされている。第二電磁切換弁SV2は、シリンダ装置32aの開口部側が油圧ポンプOPに連通する位置に位置決めされ、鋳枠押さえフレーム32cに対し上向きの力が付加されている。
【0081】
次に、制御装置は、図5に示すように、第一電磁切換弁SV1を昇降シリンダ241の開口部側が油圧ポンプOPに連通する位置に切り換える。これによって昇降フレーム31とともに把持爪アーム311が上昇端位置REまで上昇し、鋳枠CFをX軸方向に並んだ爪部311bで把持する。保持準備位置HRから上昇端位置REまでの間の長さは、例えば30mm位に設定している。
【0082】
次に、制御装置は、図6に示すように、移送台車24を駆動させて、鋳枠CFを抜き出し位置EPに位置決めする。この際、鋳枠付の注湯済み鋳型FCMは、砂型部分SMの下面が抜き出し板331の上面に対向した状態で、抜き出しテーブル33上に配置されている。
【0083】
次に、制御装置は、図7に示すように、第二電磁切換弁SV2を、鋳枠押し下げ装置32におけるシリンダ装置32aのキャップ側が油圧ポンプOPに連通する位置となるよう位置決めする。これによって鋳枠押さえフレーム32cは下降して、鋳枠押さえライナー32dが鋳枠CFの外側上端部に当接する。なお、この時点では必ずしも当接していなくてもよく、例えば2~4mmの隙間があってもよい。
【0084】
また、制御装置は、油圧モータ51dを駆動させて鋳型受けフレーム5の抜き出し位置EP側が下方に位置するように傾動させ、鋳型受けフレーム5を抜き出し位置EPからさらに離れさせる。これによって、次の抜き出し工程において、下降する把持爪アーム311が、鋳型受けフレーム5に接触するのを防止することができる。
【0085】
次に、制御装置は、図8に示すように、第一電磁切換弁SV1を昇降シリンダ241のキャップ側が油圧ポンプOPに連通する位置に切り換える。これによって、昇降フレーム31は下降し、鋳枠CFを下方に押圧し、抜き出しテーブル33上に砂型部分SMを抜き出した状態で載置する(鋳枠押し下げ工程)。
この抜き出し作業において、スクレーパ装置332により鋳枠CFの内壁に付着した砂を履き落とし、効率的な鋳枠CFの清掃行う。
【0086】
次に、制御装置は、図9に示すように、押し出し装置6の押し出し駆動装置6bを駆動させて、砂型部分SMを当接部材6aで下流側にある次工程のテーブル(図略)に移動させる。
【0087】
次に、制御装置は、図10に示すように、第一電磁切換弁SV1を、昇降シリンダ241の開口部側が油圧ポンプOPに連通する位置に切り換える。これによって昇降フレーム31を上昇させる。砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFが同時に上昇する。また、制御装置は、第二電磁切換弁SV2を、シリンダ装置32aの開口部側が油圧ポンプOPに連通する位置に切り換える。
【0088】
次に、制御装置は、図11に示すように、移送台車24を駆動させて、搬入搬出位置LUPに配置された空の搬送台車TCの上に砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを移動させる。
【0089】
次に、制御装置は、図略のプッシャー装置によって、砂型部分SMが抜き出された鋳枠CFを載置した搬送台車TCを下流側に移動させ、新たな鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを載置した搬送台車TCを搬入搬出位置LUPに搬入する。
以下、同作業を繰り返す。
【0090】
上記に記載で明らかなように、本実施形態の注湯済み鋳型抜き出し装置1によれば、冷却ラインCLにある鋳枠付の注湯済み鋳型FCMを、鋳枠CFの内側となる砂型部分SMを抜き出す抜き出し位置EPに移送する移送装置2と、鋳枠CFの下方から上方に向けて砂型部分SMを抜き出す砂型部分抜き出し機構3と、を備えた注湯済み鋳型抜き出し装置1である。
【0091】
そして、砂型部分抜き出し機構3は、抜き出し位置EPに固定されて設けられ、注湯済み鋳型CMの砂型部分SMを下方から支持する抜き出しテーブル33と、鋳枠CFを上方から支持して、抜き出しテーブル33が鋳枠CFの内側を通過するように、鋳枠CFを押し下げる鋳枠押し下げ装置32と、を備えている。
【0092】
これによれば、注湯済み鋳型CMの砂型部分SMを上昇させる作業を伴わないので、注湯済み鋳型CMの砂型部分SMをできる限り崩さずに低い位置で鋳枠CFから抜き出すことが可能となる。さらに抜き出された砂型部分SMの高さ位置を再度下げる設備も不要となるので、エネルギ―と設備費用の無駄を削減できる。
【0093】
また、抜き出しが固定された抜き出しテーブル33に載せて行われるため、抜き出し時に発生するこぼれ砂が、砂を噛むおそれのある装置の可動部分に降りかかることも無く、装置の可動部分を傷めることもない。また、ピットを従来より浅くすることができるので、ピット工事費用の削減ができるとともに、ピット内での設備点検も不要となる。
【0094】
また、鋳枠押し下げ装置32は、油圧によるシリンダ装置32aを備え、シリンダ装置32aには、鋳型抜き出し時に発生する背圧側の油路に油路閉鎖用の切換弁DVを設けている。
【0095】
これによれば、鋳枠押し下げ装置32に油圧によるシリンダ装置32aを使用して砂型部分SM抜き出し時に発生する背圧側の油路に油路閉鎖用の切換弁DVを設けている。そのため、砂型部分SM抜き出し時の鋳枠CFの浮き上がりによる鋳枠CFの傾きを規制して、抜き出し板331との干渉を防止することができる (鋳枠CFの内壁に対しての隙間は、例えば、10~15mm位) 。また、砂型部分SM抜き出し時に発生する背圧を油圧によるシリンダ装置32aにて受圧し、高圧に変換することで、大規模な押圧機構を設けることなく、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0096】
また、鋳枠押し下げ装置1は、各角部において鋳枠CFの四隅上面に当接する矩形状の鋳枠押さえフレーム32cを備え、鋳枠押さえフレーム32cの矩形状の辺のうち平行に並ぶ一組の辺32caの上端には、辺32caに沿って鉛直方向に所定の高さで延在する板状の側板312がそれぞれ立設され、対向する側板312の間隔は、抜き出される砂型部分SMが挿通可能な幅に設けられている。
【0097】
これによれば、抜き出された砂型部分SMが搬送される際に、対向する側板312に挟まれた状態で側板312に沿って搬送されるので、砂型部分SMから崩れた砂がこぼれて散らかることがなく、かつスムーズに搬送することができる。
【0098】
また、冷却ラインCLと抜き出し位置EPとの間に、砂型部分SMから抜け落ちた鋳物CAを受ける鋳型受けフレーム5をさらに備え、鋳型受けフレーム5は、鋳型受けフレーム5の冷却ラインCL側寄りの位置に、抜き出し位置EPに移送する方向に直角な方向に延在する回動軸51bを備え、抜き出し位置EP側を、所定の角度で下げるように傾動可能とした。
【0099】
これによれば、鋳型受けフレーム5の抜き出し位置EP側を所定の角度で下げるように傾動させ、鋳型受けフレーム5を抜き出し位置EPから離すことで、抜き出し位置EPにおいて、鋳枠CFが下降したときに鋳型受けフレーム5との干渉を避けることができる。
【0100】
また、抜き出しテーブル33の四方側面33a1の上部には、砂型部分SMの抜き出しのために鋳枠CFが下降したときに、鋳枠CFの内壁を清掃するスクレーパ装置332を設けた。
【0101】
これによれば、専用の鋳枠清掃装置を設けることなく、砂型部分SMの抜き出し作業のたびに、鋳枠CFの内壁を効率よく清掃することができる。
【0102】
また、移送装置2は、冷却ラインCLと抜き出し位置EPとに跨る移送レール23と、移送レール23上を鋳枠付の注湯済み鋳型FCMとともに移動する移送台車24と、を備え、移送台車24には、砂型部分SMを抜き出す際の反力で、移送台車24が移送レール23から浮き上がるのを防止する浮き上がり防止装置(掛止部材24c)を設けた。
【0103】
これによれば、移送台車24に浮き上がり防止装置(掛止部材24c)を設けたことで鋳型抜き出し時の反力による移送台車24の浮き上がりを防止することができる。
【0104】
なお、上記実施形態では、浮き上がり防止装置(掛止部材24c)を各転動輪24bの内側に設けているが、これに限定されない。例えば、移送台車の中央部の二か所に設けてもよい。
また、昇降フレーム31を昇降させるものとして、油圧による昇降シリンダ241としたが、これに限定されない。例えば、電動モータを使った昇降装置でも良い。
また、スクレーパ装置332の材質として、ばね鋼板を使用したがこれに限定されない。例えば、ゴム板、金属製または樹脂製のブラシを使用することができる。
【0105】
本発明は、上記しかつ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0106】
1:注湯済み鋳型抜き出し装置、2:移送装置、23:移送レール、24:移送台車、24c:掛止部材(浮き上がり防止装置)、3:砂型部分抜き出し機構、32:鋳枠押し下げ装置、32a:シリンダ装置、32ca:辺、33:抜き出しテーブル、33a1:四方側面、332:スクレーパ装置、5:鋳型受けフレーム、51b:回転軸、CF:鋳枠、CL:冷却ライン、DV:切換弁(油路閉鎖用)、EP:抜き出し位置、FCM:鋳枠付の注湯済み鋳型、SM:砂型部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11