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特開2024-37552タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法
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  • 特開-タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037552
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 17/04 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
C07K17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142477
(22)【出願日】2022-09-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月11日にWEB(http://micro-nano.chips.jp/44/)上で開催された「化学とマイクロ・ナノシステム学会第44回研究会(CHEMINAS44)」で発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月2日に化学とマイクロ・ナノシステム学会第44回研究会事務局がWEB(http://micro-nano.chips.jp/44/)上で公開した「化学とマイクロ・ナノシステム学会第44回研究会(CHEMINAS44)」の講演要旨に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月25日に第94回日本生化学会大会事務局がWEB(https://www2.aeplan.co.jp/jbs2021/)上で公開した「第94回日本生化学会大会」の講演要旨に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年11月2日にWEB(https://www2.aeplan.co.jp/jbs2021/)上で開催された「第94回日本生化学会大会」で発表
(71)【出願人】
【識別番号】501086714
【氏名又は名称】学校法人 学習院
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】友池 史明
(72)【発明者】
【氏名】室山 晴菜
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 哲二
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA89
4H045EA50
4H045FA84
4H045GA40
(57)【要約】
【課題】 結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用できる、汎用性に富む、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法を提供すること。
【解決手段】 結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法。
【請求項2】
アクリルアミドに、重合開始剤としてのペルオキソ二硫酸アンモニウムと、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンを作用させることで、アクリルアミドをゲル化する、請求項1記載の作製方法。
【請求項3】
押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液を、形状物の外部のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
【請求項4】
押し出し可能な形状物の外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、形状物に入れることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法。
【請求項5】
送液される結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液と、送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液を、合流させて押し出し可能な形状物に送り込むことで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する、請求項2記載の作製方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の結晶構造解析は、タンパク質の機能を解明する上で不可欠な手段であるが、的確な解析を行うためには、解析に適した高品質な結晶をいかに取得するかという点とともに、取得した結晶をいかに取り扱うかという点が重要となる。なぜなら、タンパク質結晶は、物理的衝撃に弱く壊れやすいため、その取り扱いには細心の注意が必要だからである。そこで、タンパク質結晶を傷つけることなく取り扱う方法の研究が精力的に行われており、本発明者らの研究グループも、液剤で押し出し可能な形状物内の結晶化させたタンパク質が存在する溶液を、アルギン酸溶液および多価金属イオン溶液のいずれか一方の溶液で押し出し、さらに一方の溶液を他方の溶液に押し出すことで、タンパク質結晶のアルギン酸ゲル包埋物を作製する方法を、特許文献1において提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-84907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らの研究グループが特許文献1において提案した方法は、タンパク質をハイドロゲル中で結晶化させるのではなく、結晶化させたタンパク質をハイドロゲルに包埋する方法として評価を得ている。しかしながら、この方法は、結晶化の対象とするタンパク質の種類によっては多価金属イオンがタンパク質結晶の構造を変化させてしまうことでタンパク質結晶が溶解してしまったり、結晶化に用いる沈殿剤の種類によっては多価金属イオンと難溶性の塩を形成することでタンパク質結晶の構造解析の支障となったりすることがあるため、こうした点において改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用できる、汎用性に富む、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の点に鑑みてなされた本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、請求項1記載の通り、結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
また、請求項2記載の作製方法は、請求項1記載の作製方法において、アクリルアミドに、重合開始剤としてのペルオキソ二硫酸アンモニウムと、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンを作用させることで、アクリルアミドをゲル化する。
また、請求項3記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液を、形状物の外部のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
また、請求項4記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、押し出し可能な形状物の外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、形状物に入れることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する。
また、請求項5記載の作製方法は、請求項2記載の作製方法において、送液される結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液と、送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液を、合流させて押し出し可能な形状物に送り込むことで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、タンパク質結晶を溶解させてしまったり、結晶化に用いる沈殿剤と難溶性の塩を形成したりすることがある多価金属イオンを用いないので、結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用でき、汎用性に富む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法における方法1の一例の模式的説明図(正面図)である。
図2】同、方法2の一例の模式的説明図(正面図)である。
図3】同、方法3の一例の模式的説明図(正面図)である。
図4】実施例2で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:1mm)。
図5】実施例3で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:1mm)。
図6】実施例5で得られた、アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真である(スケールバー:500μm)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のタンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法は、結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化した後、形状物の内容物を押し出して、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを得ることによる。
【0010】
アクリルアミドをラジカル重合反応させてゲル化する方法としては、例えば、アクリルアミド(ビスアクリルアミドを例えばアクリルアミド10~50重量部に対して1重量部の割合で含んでいてもよい)に、重合開始剤(ラジカル発生剤)としてのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS:過硫酸アンモニウムともいう)と、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を作用させる方法を採用することができる。アクリルアミドに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを作用させると、アクリルアミドのラジカル重合反応が起こることでアクリルアミドゲルがハイドロゲルとして得られることは周知の通りであり、この反応を利用して、押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質をアクリルアミドゲル中に包埋することができる。
【0011】
アクリルアミドに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを作用させる方法は、結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液が入った押し出し可能な形状物の内部で、アクリルアミドをゲル化することができる方法であれば特段制限されるものではなく、例えば、以下の3つの方法を採用することができる。
【0012】
方法1:押し出し可能な形状物の内部の結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液を、形状物の外部のペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)
【0013】
図1は、方法1の一例の模式的説明図(正面図)であり、押し出し可能な形状物としてのキャピラリチューブの内部の結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を、シャーレに満たしたテトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることで、キャピラリチューブの内部のアクリルアミドをゲル化する方法を示す。
【0014】
図1に示す方法では、まず、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブ(内径が例えば0.1~3mmのもの(内径の上限は2mmが望ましく1mmがより望ましい)。ガラス製の他、金属製や合成樹脂製であってもよい)を準備する。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブは、例えば、蒸気拡散法や自由界面拡散法などの方法を用いてキャピラリチューブの外部で結晶化させたタンパク質が存在する溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を加えることで調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れることで準備することができる。キャピラリチューブの外部でのタンパク質の結晶化は、結晶化の対象とするタンパク質に応じた自体公知の条件(タンパク質の濃度、沈殿剤の種類と濃度、pH、温度など)に従って行えばよい。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れる操作は、例えば、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブの一端に合成樹脂製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで行うことができる。また、マイクロピペッターを用いて行ってもよい。
【0015】
キャピラリチューブに入れた、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液におけるアクリルアミドの濃度は5~15%とすることが望ましい。また、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度は0.1~5%とすることが望ましい。アクリルアミドやペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が低すぎると、次で行うアクリルアミドのラジカル重合反応を十分に起こさせることができない恐れがある一方、濃度が高すぎると、タンパク質結晶が溶解してしまう恐れがある。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましい(ここで「同程度」とは±10%の範囲内を意味する。以下同じ)。
【0016】
次に、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブの下端を、シャーレに満たしたテトラメチルエチレンジアミン溶液に浸け入れることで、キャピラリチューブの内部の結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を、テトラメチルエチレンジアミン溶液と接触させることにより、キャピラリチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせる。こうすることで、キャピラリチューブの内部のアクリルアミドがゲル化し、キャピラリチューブの内容物が、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルに変換される。アクリルアミドのゲル化を完遂させるためには、反応時間は15分間以上とすることが望ましい。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液は、例えばキャピラリチューブの10~50mmの長さ分だけキャピラリチューブに入れることが望ましい。これ以上の長さ分の結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液をキャピラリチューブに入れると、キャピラリチューブに入れたアクリルアミドの全体にわたってのラジカル重合反応を起こさせることに長時間を要したり、時間をかけても起こさせることができなかったりする恐れがある。テトラメチルエチレンジアミン溶液におけるテトラメチルエチレンジアミンの濃度は10%以上とすることが望ましい。テトラメチルエチレンジアミンの濃度が低すぎると、アクリルアミドのラジカル重合反応を十分に起こさせることができない恐れがある。テトラメチルエチレンジアミンの濃度の上限は、例えば30%とすればよい。テトラメチルエチレンジアミン溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液と接触させた後、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましい。
【0017】
最後に、キャピラリチューブの下端をテトラメチルエチレンジアミン溶液から引き上げ、キャピラリチューブの内容物であるタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを押し出すことで、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルをキャピラリチューブから取り出す。この操作は、例えば、キャピラリチューブの一端に、合成樹脂製のチューブを介して、空気を充填したシリンジを接続し、空気をシリンジから押し出すことで行えばよい。シリンジに充填した空気によるキャピラリチューブの内容物の押し出しは、手動で行ってもよいし、シリンジポンプなどを利用して機械的に行ってもよい。その押し出し速度は、0.001~100mL/minが望ましく、0.01~10mL/minがより望ましい。タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを押し出す場所は、押し出されたタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルの取り扱いが容易であるガラスプレートの上や沈殿剤溶液の中などであってよい。タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルをガラスプレートの上に押し出した場合、その乾燥を防ぐために、時折、沈殿剤溶液を滴下することが望ましい。
【0018】
なお、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブは、カウンターディフュージョン法(液々拡散法)などの方法を用いてキャピラリチューブの内部でタンパク質を結晶化させることによって得た、キャピラリチューブの内部の結晶化させたタンパク質が存在する溶液を、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液で置換することで準備してもよい。キャピラリチューブの内部でタンパク質を結晶化させることによって得た、キャピラリチューブの内部の結晶化させたタンパク質が存在する溶液の、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液への置換は、例えば、キャピラリチューブの一端に、合成樹脂製のチューブを介して、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を充填したシリンジを接続し、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液をシリンジから押し出すことで行えばよい。キャピラリチューブの内部の結晶化させたタンパク質は、キャピラリチューブの内部の溶液とともに外部に押し出されず、キャピラリチューブの内部に留まる。これは、キャピラリチューブの内部で結晶化させたタンパク質は、溶液中に浮遊した状態で存在するのではなく、キャピラリチューブの内壁に吸着乃至接着した状態で存在するためである(タンパク質の結晶化がキャピラリチューブの内壁を起点として生じることによる)。ただし、キャピラリチューブの内部におけるタンパク質結晶の存在位置やキャピラリチューブの内壁への吸着乃至接着の程度などによっては、キャピラリチューブの内部の溶液とともに押し出されるタンパク質結晶は存在し得るので、キャピラリチューブの内部のすべてのタンパク質結晶が必ずキャピラリチューブの内部に留まるというわけではないことに留意すべきである。シリンジに充填したペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液の押し出しは、手動で行ってもよいし、シリンジポンプなどを利用して機械的に行ってもよい。その押し出し速度の上限は、100mL/minが望ましく、10mL/minがより望ましい。押し出し速度が速すぎると、キャピラリチューブの内壁に吸着乃至接着したタンパク質結晶が、キャピラリチューブの内部の溶液とともに押し出されてしまう恐れがある。こうしてキャピラリチューブに入れた、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液におけるアクリルアミドの濃度とペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度は、上記と同じでよい。また、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましいことも、上記と同じである。
【0019】
また、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、図1に示す方法のようにアクリルアミド溶液に含ませることが、アクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせやすい点において有効であるが、アクリルアミド溶液に含ませず、テトラメチルエチレンジアミン溶液に含ませるようにしてもよい。また、アクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の両方に含ませるようにしてもよい。
【0020】
また、押し出し可能な形状物は、内容物であるタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを押し出すことができるものであれば、キャピラリチューブに限定されない。
【0021】
また、テトラメチルエチレンジアミン溶液は、マイクロチューブなどに満たしてもよい(テトラメチルエチレンジアミン溶液の使用量がシャーレに満たすよりも少量で済む)。
【0022】
方法2:押し出し可能な形状物の外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、形状物に入れることで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する方法
【0023】
図2は、方法2の一例の模式的説明図(正面図)であり、押し出し可能な形状物としてのキャピラリチューブの外部で調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れることで、キャピラリチューブの内部のアクリルアミドをゲル化する方法を示す。
【0024】
図2に示す方法では、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブ(内径が例えば0.1~3mmのもの(内径の上限は2mmが望ましく1mmがより望ましい)。ガラス製の他、金属製や合成樹脂製であってもよい)を準備する。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブは、例えば、蒸気拡散法や自由界面拡散法などの方法を用いてキャピラリチューブの外部で結晶化させたタンパク質が存在する溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を加えることで調製した、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れることで準備することができる。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れる操作は、例えば、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブの一端に合成樹脂製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで行うことができる。また、マイクロピペッターを用いて行ってもよい。
【0025】
結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を調製する操作と、調製した結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液をキャピラリチューブに入れる操作は、迅速に行うことが肝要である。ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を調製し終えてから、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液をキャピラリチューブに入れ終えるまでの時間は、1分以内とすることが望ましい。これ以上の時間を要すると、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液をキャピラリチューブに入れ終えるまでに、アクリルアミドのラジカル重合反応が始まってしまったり、ペルオキソ二硫酸アンモニウムから発生するラジカルが空気中の酸素と反応してしまうことで、キャピラリチューブの内部でアクリルアミドをゲル化することが困難になったりできなくなったりする恐れがある。
【0026】
キャピラリチューブに入れた、結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液におけるアクリルアミドの濃度は1~10%とすることが望ましい。また、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度は0.1~1%とすることが望ましい。また、テトラメチルエチレンジアミンの濃度は0.1~5%とすることが望ましい。アクリルアミドやペルオキソ二硫酸アンモニウムやテトラメチルエチレンジアミンの濃度が低すぎると、アクリルアミドのラジカル重合反応を十分に起こさせることができない恐れがある一方、濃度が高すぎると、タンパク質結晶が溶解してしまう恐れや、急激なラジカル重合反応が起こることによって生じる発熱がタンパク質結晶に損傷を与えてしまう恐れがある。結晶化させたタンパク質が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましい。アクリルアミドのゲル化を完遂させるためには、反応時間は15分間以上とすることが望ましい。
【0027】
最後に、キャピラリチューブの内容物であるタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを押し出すことで、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルをキャピラリチューブから取り出す。この操作は、方法1で説明した操作と同様にして行えばよい。
【0028】
方法3:送液される結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液と、送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液またはテトラメチルエチレンジアミン溶液を、合流させて押し出し可能な形状物に送り込むことで、形状物の内部のアクリルアミドをゲル化する方法(ただし、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の少なくともいずれか一方がテトラメチルエチレンジアミンを含み、テトラメチルエチレンジアミン溶液を用いる場合は結晶化させたタンパク質が存在するアクリルアミド溶液とテトラメチルエチレンジアミン溶液の少なくともいずれか一方がペルオキソ二硫酸アンモニウムを含む)
【0029】
図3は、方法3の一例の模式的説明図(正面図)であり、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を、それぞれT字コネクタに送液し、合流させて押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブに送り込むことで、チューブの内部のアクリルアミドをゲル化する方法を示す。
【0030】
図3に示す方法では、T字コネクタの対向する接続口に、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を送液するための合成樹脂製のチューブと、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を送液するための合成樹脂製のチューブが接続されているとともに、T字コネクタの残りの接続口に、押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブが接続されている。T字コネクタの3つの接続口に接続する合成樹脂製のチューブとしては、内径が例えば0.1~3mmのシリコン製のチューブ(内径の上限は2mmが望ましく1mmがより望ましい)を用いることができる。結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を送液するための合成樹脂製のチューブと、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を送液するための合成樹脂製のチューブは、内径が同じであることが望ましい(等分混合が容易なため)。
【0031】
結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液のT字コネクタへの送液は、例えば、T字コネクタの接続口に接続した合成樹脂製のチューブの上流に、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブ(内径が例えば0.1~3mmのもの(内径の上限は2mmが望ましく1mmがより望ましい)。ガラス製の他、金属製や合成樹脂製であってもよい)を接続し、さらにその上流に、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を充填したシリンジを合成樹脂製のチューブを介して接続し、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液をシリンジから押し出すことで行うことができる。結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブは、例えば、蒸気拡散法や自由界面拡散法などの方法を用いてキャピラリチューブの外部で結晶化させたタンパク質が存在する溶液に、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を加えることで調製した、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れることで準備することができる。結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れる操作は、例えば、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブの一端に合成樹脂製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで行うことができる。また、マイクロピペッターを用いて行ってもよい。
【0032】
送液される結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液におけるアクリルアミドの濃度は5~15%とすることが望ましい。また、テトラメチルエチレンジアミンの濃度は0.1~5%とすることが望ましい。アクリルアミドやテトラメチルエチレンジアミンの濃度が低すぎると、押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を十分に起こさせることができない恐れがある一方、濃度が高すぎると、タンパク質結晶が溶解してしまう恐れや、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液と合流した後、急激なラジカル重合反応が起こることによって生じる発熱がタンパク質結晶に損傷を与えてしまう恐れがある。結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましい。
【0033】
ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液のT字コネクタへの送液は、例えば、T字コネクタの接続口に接続した合成樹脂製のチューブの上流に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を充填したシリンジを接続し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液をシリンジから押し出すことで行うことができる。送液されるペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液におけるペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度は5~15%とすることが望ましい。ペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が低すぎると、押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を十分に起こさせることができない恐れがある一方、濃度が高すぎると、タンパク質結晶が溶解してしまう恐れや、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液と合流した後、急激なラジカル重合反応が起こることによって生じる発熱がタンパク質結晶に損傷を与えてしまう恐れがある。ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液には、タンパク質の結晶化に用いた沈殿剤を、タンパク質の結晶化に用いた際の濃度と同程度の濃度で含め、溶液のpHも、タンパク質の結晶化の際のpHと同程度にすることが、タンパク質結晶が溶解してしまうことを防ぐために望ましい。
【0034】
テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を充填したシリンジからのテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液の押し出しと、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を充填したシリンジからのペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の押し出しは、手動で行ってもよいし、シリンジポンプなどを利用して機械的に行ってもよい。それぞれの押し出し速度は、同じ押し出し速度であって、0.001~1mL/minが望ましく、0.01~0.1mL/minがより望ましい。速すぎる押し出し速度で押し出し続けると、押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブに送り込まれた、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の混合液が、チューブの長さを長くしても、チューブの内部でアクリルアミドがゲル化する前にチューブから排出されてしまう恐れがある。上記の押し出し速度で押し出し続ければ、チューブの長さを10~50cmとすることで、チューブの内部でアクリルアミドのゲル化を完遂させることができることにより、タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルをチューブから吐出させることができる。遅すぎる押し出し速度で押し出し続けると、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の混合液が、押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブに送り込まれるまでに、アクリルアミドのラジカル重合反応が始まってしまうことで、チューブの内部でアクリルアミドをゲル化することが困難になったりできなくなったりする恐れがある。
【0035】
タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを押し出し可能な形状物としての合成樹脂製のチューブから吐出させる場所は、吐出されたタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルの取り扱いが容易であるガラスプレートの上や沈殿剤溶液の中などであってよい。タンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルをガラスプレートの上に吐出させた場合、その乾燥を防ぐために、時折、沈殿剤溶液を滴下することが望ましい。
【0036】
なお、テトラメチルエチレンジアミンは、図3に示す方法のようにアクリルアミド溶液に含ませることが、アクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせやすい点において有効であるが、アクリルアミド溶液に含ませず、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液に含ませるようにしてもよい。また、アクリルアミド溶液とペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の両方に含ませるようにしてもよい。
【0037】
また、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液のT字コネクタへの送液を行うために、T字コネクタの接続口に接続した合成樹脂製のチューブの上流に、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブを接続するかわりに、蒸気拡散法や自由界面拡散法などの方法を用いてキャピラリチューブの外部で結晶化させたタンパク質が存在する溶液を入れたキャピラリチューブや、カウンターディフュージョン法などの方法を用いてキャピラリチューブの内部でタンパク質を結晶化させることによって得られる結晶化させたタンパク質が存在する溶液が入ったキャピラリチューブを接続してもよい。いずれのキャピラリチューブを接続する場合であっても、キャピラリチューブの内部の溶液の液量は僅かであるので、結晶化させたタンパク質が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を送液することの支障になることはないと言える。
【0038】
また、押し出し可能な形状物は、内容物であるタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルを吐出させることができるものであれば、合成樹脂製のチューブに限定されない(ガラス製や金属製の管などであってもよい)。
【0039】
本発明の方法によって得られたタンパク質結晶が包埋されたアクリルアミドゲルは、必要に応じてタンパク質結晶を含む適度な長さに切断し、タンパク質の結晶構造解析の他、タンパク質結晶を用いて行われるライフサイエンス分野をはじめとする様々な分野での様々な場面で用いることができる。
【実施例0040】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0041】
実施例1:方法1による卵白リゾチーム結晶のアクリルアミドゲル包埋物の作製(その1)
(1)公知の方法に準じて、蒸気拡散法(ハンギングドロップ法)によってカバーガラス上でニワトリ卵白リゾチームを結晶化させた。具体的には、沈殿剤溶液(1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5。以下同じ)1mLを入れた汎用結晶化プレートの上に、10mg/mLニワトリ卵白リゾチーム水溶液1μLと沈殿剤溶液1μLを混合して調製した母液2μLの液滴を垂らしたカバーガラスを逆さまに載せて流動パラフィンで密封し、室温で静置することで、汎用結晶化プレートに入れた沈殿剤溶液と母液を相互に拡散させたところ、24時間後に、カバーガラス上に複数のニワトリ卵白リゾチーム結晶が肉眼で確認できた。カバーガラス上の複数のニワトリ卵白リゾチーム結晶を含む母液2μLに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液(24%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+5.4%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)2μLを滴下して調製した、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液(ニワトリ卵白リゾチーム結晶+12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+2.7%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)4μLを、外径1mm×内径0.6mm×長さ60mmのガラス製のキャピラリチューブに、キャピラリチューブの一端にシリコン製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで入れた(キャピラリチューブの端部から約20mmの長さ分)。
【0042】
(2)ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れた側のキャピラリチューブの端部を、シャーレに満たしたテトラメチルエチレンジアミン溶液(20%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)に浸すことで、キャピラリチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせた。30分後、キャピラリチューブの端部をテトラメチルエチレンジアミン溶液から引き上げ、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液を入れた側(テトラメチルエチレンジアミン溶液に浸した側)と反対側のキャピラリチューブの端部に、シリコン製のチューブを介して、空気を充填したシリンジを接続し、空気をシリンジから手動で押し出すことで(押し出し速度:約1mL/min)、キャピラリチューブの内容物をカバーガラスの上に押し出すと、カバーガラスの上に、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が分散して包埋されたアクリルアミドゲルの連続体が得られた。
【0043】
実施例2:方法1による卵白リゾチーム結晶のアルギン酸ハイドロゲル包埋物の作製(その2)
(1)公知の方法に準じて、カウンターディフュージョン法によってキャピラリチューブの内部でニワトリ卵白リゾチームを結晶化させた。具体的には、まず、外径1mm×内径0.6mm×長さ60mmのガラス製のキャピラリチューブに、15mg/mLニワトリ卵白リゾチーム水溶液を、キャピラリチューブの一端にシリコン製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで入れた(キャピラリチューブの全内容積分)。また、50mL蓋付試験管の底部にアガロースゲル(2%アガロース+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)1mLを入れ、さらにその上から沈殿剤溶液8mLを加えた。ニワトリ卵白リゾチーム溶液を入れたキャピラリチューブの下端を、蓋付試験管の底部のアガロースゲルに突き刺すとともに、キャピラリチューブの上端をアルミホイルで封をし、試験管の蓋を閉めて室温で静置することで、キャピラリチューブの中のニワトリ卵白リゾチーム溶液と、外の沈殿剤溶液を、アガロースゲルを介して相互に拡散させたところ、24時間後に、キャピラリチューブの内壁に吸着乃至接着した状態で存在する複数のニワトリ卵白リゾチーム結晶が肉眼で確認できた。内部でニワトリ卵白リゾチームを結晶化させたキャピラリチューブを蓋付試験管から取り出し、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在する箇所を含む長さ約30mm分のキャピラリチューブを切り出した。切り出したキャピラリチューブの一端に、シリコン製のチューブを介して、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液(12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+1.8%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)適量(5~10mL)を充填したシリンジを接続し、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液をシリンジから手動で押し出すことで(押し出し速度:約1mL/min)、キャピラリチューブの内部の溶液を、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液で置換したが、ニワトリ卵白リゾチーム結晶はキャピラリチューブの内部に留まった。
【0044】
(2)ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液で内部が満たされたキャピラリチューブの一端を、シャーレに満たしたテトラメチルエチレンジアミン溶液(20%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)に浸すことで、キャピラリチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせた。30分後、キャピラリチューブの端部をテトラメチルエチレンジアミン溶液から引き上げ、キャピラリチューブの一端に、シリコン製のチューブを介して、空気を充填したシリンジを接続し、空気をシリンジから手動で押し出すことで(押し出し速度:約1mL/min)、キャピラリチューブの内容物をカバーガラスの上に押し出すと、カバーガラスの上に、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が分散して包埋されたアクリルアミドゲルの連続体が得られた。アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真を図4に示す(スケールバー:1mm)。得られたニワトリ卵白リゾチーム結晶のアクリルアミドゲル包埋物(連続体から適度な長さに切断したもの)を、沈殿剤を添加したメチレンブルー溶液に浸すと、30分程度でニワトリ卵白リゾチーム結晶が青く染色されたことから、この包埋物は、ニワトリ卵白リゾチーム結晶のソーキングに利用できることがわかった。また、この包埋物を、純水に浸すと、30分程度でニワトリ卵白リゾチーム結晶は溶解して消失し、アクリルアミドゲルの中に空洞が生じた。また、この包埋物を用いてニワトリ卵白リゾチーム結晶のX線構造解析を行ったところ、既知の構造と一致する結果が得られたことから、アクリルアミドゲルに包埋してもニワトリ卵白リゾチーム結晶の構造は影響を受けないことがわかった。
【0045】
実施例3:方法2による卵白リゾチーム結晶のアクリルアミドゲル包埋物の作製(その1)
公知の方法に準じて、蒸気拡散法(ハンギングドロップ法)によってカバーガラス上でニワトリ卵白リゾチームを結晶化させた。具体的には、沈殿剤溶液1mLを入れた汎用結晶化プレートの上に、10mg/mLニワトリ卵白リゾチーム水溶液2μLと沈殿剤溶液2μLを混合して調製した母液4μLの液滴を垂らしたカバーガラスを逆さまに載せて流動パラフィンで密封し、室温で静置することで、汎用結晶化プレートに入れた沈殿剤溶液と母液を相互に拡散させたところ、24時間後に、カバーガラス上に複数のニワトリ卵白リゾチーム結晶が肉眼で確認できた。カバーガラス上の複数のニワトリ卵白リゾチーム結晶を含む母液4μLに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含むアクリルアミド溶液(12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+0.91%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)6μLと、テトラメチルエチレンジアミン溶液(10%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)2μLの混合液8μLを滴下して調製した、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液(ニワトリ卵白リゾチーム結晶+6%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+0.46%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.7%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.1M酢酸ナトリウム、pH4.5)12μLを、外径1mm×内径0.6mm×長さ60mmのガラス製のキャピラリチューブに、キャピラリチューブの一端にシリコン製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで入れ(キャピラリチューブの全内容積分)、キャピラリチューブの内部でアクリルアミドのラジカル重合反応を起こさせた。なお、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、キャピラリチューブに入れる操作は、ペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を調製し終えてから10秒以内に行った。30分後、キャピラリチューブの一端に、シリコン製のチューブを介して、空気を充填したシリンジを接続し、空気をシリンジから手動で押し出すことで(押し出し速度:約1mL/min)、キャピラリチューブの内容物をカバーガラスの上に押し出すと、カバーガラスの上に、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が分散して包埋されたアクリルアミドゲルの連続体が得られた。アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真を図5に示す(スケールバー:1mm)。
【0046】
実施例4:方法2による卵白リゾチーム結晶のアクリルアミドゲル包埋物の作製(その2)
ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するペルオキソ二硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、外径1.5mm×内径0.9mm×長さ90mmのガラス製のキャピラリチューブに入れること以外は実施例3と同様にして、カバーガラスの上に、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が分散して包埋されたアクリルアミドゲルの連続体を得た。
【0047】
実施例5:方法3による卵白リゾチーム結晶のアクリルアミドゲル包埋物の作製
先端外径が1.5mmのポリプロピレン製のT字コネクタの3つの接続口のそれぞれに、外径2mm×内径1mmのシリコン製のチューブを接続し、対向する接続口の一方には、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液(ニワトリ卵白リゾチーム結晶+12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+1%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)を送液した。また、他方には、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)を送液し、それぞれの溶液を合流させて残りの接続口に接続した長さ20cmのシリコン製のチューブに送り込んだ。ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液の送液は、T字コネクタの接続口に接続したシリコン製のチューブの上流に、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブを接続し、さらにその上流に、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液(12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+1%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)を充填したシリンジをシリコン製のチューブを介して接続し、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液をシリンジから押し出すことで行った。ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を入れたキャピラリチューブは、実施例1(1)に記載の方法に準じて、ニワトリ卵白リゾチーム結晶を含む母液2μLに、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液(24%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+2%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)2μLを滴下して調製した、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液(ニワトリ卵白リゾチーム結晶+12%アクリルアミド・ビスアクリルアミド(29:1)+1%テトラメチルエチレンジアミン+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)4μLを、外径1mm×内径0.6mm×長さ20mmのガラス製のキャピラリチューブに、キャピラリチューブの一端にシリコン製のチューブを介して接続したシリンジで吸引することで入れることで準備した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の送液は、T字コネクタの接続口に接続したシリコン製のチューブの上流に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(10%ペルオキソ二硫酸アンモニウム+1.5M塩化ナトリウム+0.05M酢酸ナトリウム、pH4.5)を充填したシリンジを接続し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液をシリンジから押し出すことで行った。ニワトリ卵白リゾチーム結晶が存在するテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液の送液と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液の送液を、テトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を充填したシリンジからテトラメチルエチレンジアミンを含むアクリルアミド溶液を、ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を充填したシリンジからペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液を、それぞれシリンジポンプを用いて、0.03mL/minの押し出し速度で押し出し続けることで行ったところ、長さ20cmのチューブの内部でアクリルアミドがゲル化し、ニワトリ卵白リゾチーム結晶が分散して包埋されたアクリルアミドゲルの連続体がチューブから吐出した(吐出させた場所はカバーガラスの上)。アクリルアミドゲルの連続体に包埋されたニワトリ卵白リゾチーム結晶の実体顕微鏡写真を図6に示す(スケールバー:500μm)。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、結晶化できるタンパク質であれば、どのようなタンパク質に対しても適用できる、汎用性に富む、タンパク質結晶のハイドロゲル包埋物の作製方法を提供することができる点において、産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6