(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037594
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電池交換可能な電気機器
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240312BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20240312BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240312BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240312BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A47L9/28 U
A47L5/24 A
H01M10/44 P
H01M10/48 Z
H01M10/48 301
H02J7/00 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142529
(22)【出願日】2022-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏原 裕
【テーマコード(参考)】
3B057
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
3B057DE01
3B057DE02
3B057DE06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA07
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS12
5H030FF00
5H030FF22
(57)【要約】
【課題】電池情報の異なる種々の電池および同じ種類であっても電池情報の異なる電池を、出荷時点で既知であるか未知であるかを問わず、通信内容に記述される電池情報の項目の追加、削除、および変更に柔軟に対応可能な電気機器を提供することを目的とする。
【解決手段】電気機器1は、二次電池2に電池情報を要求し、要求に応じて得られた電池情報に基づいて、二次電池2から一部または全部の電池情報を取得し、二次電池2の種類に応じて異なる電池情報を送信させて取得する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池情報を記憶する二次電池を装着可能な電池装着部と、
前記電池装着部に装着された前記二次電池との間で前記電池情報の通信をする送受信部と、
前記二次電池が蓄える電力で駆動される負荷と、
前記送受信部が前記二次電池から受信した前記電池情報に基づき前記負荷へ供給される電力を制御する制御部と、を備え、
前記送受信部は、
前記二次電池に前記電池情報を要求する電池情報要求を送信し、前記電池情報要求に応じて前記二次電池に前記電池情報を送信させ、
前記制御部は、
前記二次電池から取得した前記電池情報に基づいて一部または全部の電池情報の項目を決定し、
選定した一部または全部の前記電池情報を前記二次電池に送信させて取得し、
前記二次電池から取得した前記電池情報に基づき前記負荷を制御する電気機器。
【請求項2】
前記電池情報は、前記二次電池のバージョン情報を含む種別識別情報と、前記二次電池の状態を表す電池状態情報と、を含み、
前記送受信部は、前記バージョン情報に基づいて前記二次電池の前記電池状態情報の一部または全部の項目を決定して要求する請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記電池情報は、前記二次電池の状態を表現する複数の電池データを含み、
前記複数の電池データは、少なくとも2つの前記二次電池のそれぞれに共通する少なくとも1つの前記電池データである共通電池データを含み、
前記送受信部は、受信した前記電池情報に基づき、少なくとも1つの前記共通電池データを選定した状態で、前記二次電池の前記電池情報の一部または全部を選定して要求する請求項1に記載の電気機器。
【請求項4】
前記複数の電池データは、
前記共通電池データと、少なくとも1つの非共通の前記電池データである非共通電池データと、を含み、
前記送受信部は、受信した前記電池情報に基づき、少なくとも1つの前記共通電池データを選定し、または、少なくとも1つの前記共通電池データと少なくとも1つの前記非共通電池データとを選定した状態で、前記二次電池の前記電池情報の一部または全部を選定して要求する請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記送受信部は、
前記二次電池に前記電池情報を要求する第一電池情報要求を送信し、前記第一電池情報要求に応じて前記二次電池に前記電池情報を送信させ、
前記二次電池から取得した前記電池情報に基づいて、予め設定された複数の前記電池情報の一部または全部を選定し、
第二電池情報要求を所定の周期で送信し、前記第二電池情報要求に応じて前記二次電池に選定後の前記電池情報を送信させる請求項1に記載の電気機器。
【請求項6】
前記送受信部は、
前記選定後の前記電池情報を、基本電池状態情報と、少なくとも1つの追加電池状態情報と、に分けて前記所定の周期内に前記二次電池から受信するよう、前記第二電池情報要求を前記所定の周期内に複数回送信する請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記送受信部は、
前記選定後の前記電池情報を、基本電池状態情報と、少なくとも1つの追加電池状態情報と、に分けて前記所定の周期毎に順次に前記二次電池から受信するよう、前記第二電池情報要求を前記所定の周期毎に送信する請求項5に記載の電気機器。
【請求項8】
前記送受信部は、
前記二次電池から取得した前記電池情報に基づいて、前記選定後の前記電池情報を前記所定の周期内に受信するか、前記所定の周期毎に受信するか、を選定し、
前記選定後の前記電池情報を前記所定の周期内に受信する場合には、前記選定後の前記電池情報を、基本電池状態情報と、少なくとも1つの追加電池状態情報と、に分けて前記所定の周期内に前記二次電池から受信するよう、前記第二電池情報要求を前記所定の周期内に複数回送信し、
前記選定後の前記電池情報を前記所定の周期毎に受信する場合には、前記選定後の前記電池情報を、前記基本電池状態情報と、少なくとも1つの前記追加電池状態情報と、に分けて前記所定の周期毎に順次に前記二次電池から受信するよう、前記第二電池情報要求を前記所定の周期毎に送信する請求項5に記載の電気機器。
【請求項9】
前記送受信部は、
前記二次電池の充電または放電を行っている場合は、第一の所定の周期で前記電池情報要求を送信し、
前記二次電池の充電および放電を行っていない場合は、第二の所定の周期で前記電池情報要求を送信し、
前記第二の所定の周期は、前記第一の所定の周期よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電池交換可能な電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池が電気機器に装着されると、電気機器が二次電池へ通信開始要求信号を送信し、この通信開始要求信号を切っ掛けにして二次電池が通信許可の可否を判断し、可の場合、電気機器は二次電池からの通信を許可された情報を受信し、シリアル通信に対応した二次電池と判断し、二次電池に対して定期的に電池情報の要求信号を送信し、この要求信号に対して応答された電池情報に基づいて電動機等の制御を行う電気機器が知られている。
【0003】
この電気機器は、二次電池が通信許可の可否判断が否の場合、シリアル通信に未対応の二次電池と判断し、電気機器は電池情報の送受信を行わずに電動機等の制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シリアル通信に対応した従来技術の二次電池が送信する電池情報の項目は、例えば電池温度データ、電池種類データ、電池使用履歴データを含んでいる。
【0006】
ここで、二次電池が送信する電池情報の項目が、変更または追加されたとする。例えば、二次電池の改良にともなって、電池温度データ、電池種類データ、電池使用履歴データに加えて電池回路温度データが電池情報に加えられるような場合である。
【0007】
しかしながら、従来技術の電気機器は、上記のような二次電池との間のシリアル通信の内容変更に対応する技術を開示していない。
【0008】
つまり、従来の電気機器は、予め定められた既知の項目を含む既存の電池情報の通信を許可する信号の送受信を行う一方、既知の項目が未知の項目に変更された電池情報や未知の項目を追加で含む電池情報の通信を許可せず、結果として、電気機器の異常終了を引き起す。したがって、従来の電気機器は、電池情報の通信に支障を来し、ユーザーの利便性を損なう虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、二次電池との間の通信内容の変更、つまり通信内容に記述される電池情報の項目の追加、削除、および変更に柔軟に対応可能な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器は、電池情報を記憶する二次電池を装着可能な電池装着部と、前記電池装着部に装着された前記二次電池との間で前記電池情報の通信をする送受信部と、前記二次電池が蓄える電力で駆動される負荷と、前記送受信部が前記二次電池から受信した前記電池情報に基づき前記負荷へ供給される電力を制御する制御部と、を備え、前記送受信部は、前記二次電池に前記電池情報を要求する電池情報要求を送信し、前記電池情報要求に応じて前記二次電池に前記電池情報を送信させ、前記制御部は、前記二次電池から取得した前記電池情報に基づいて一部または全部の電池情報の項目を決定し、選定した一部または全部の前記電池情報を前記二次電池に送信させて取得し、前記二次電池から取得した前記電池情報に基づき前記負荷を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器の一例の斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器のブロック図。
【
図3】本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器のバージョン番号の一例を説明する図。
【
図4】本発明の実施形態に係る電気機器の動作を示すフローチャート。
【
図5】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および電池状態情報要求と、の一例を説明する図。
【
図6】本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第一例を詳細に示すフローチャート。
【
図7】本発明の実施形態に係る電気機器の種別識別情報の受信制御を詳細に示すフローチャート。
【
図8】本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第一例を詳細に示すフローチャート。
【
図9】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および複数の電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および複数の電池状態情報要求と、の一例を説明する図。
【
図10】本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第二例を詳細に示すフローチャート。
【
図11】本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第二例を詳細に示すフローチャート。
【
図12】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報の送受信のタイミングチャートの一例。
【
図13】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および少なくとも1つの電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および少なくとも1つの電池状態情報要求と、の一例を説明する図。
【
図14】本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第三例を詳細に示すフローチャート。
【
図15】本発明の実施形態に係る電気機器の電池状態情報の受信制御を詳細に示すフローチャート。
【
図16】本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第三例を詳細に示すフローチャート。
【
図17】本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第四例を詳細に示すフローチャート。
【
図18】本発明の実施形態に係る電気機器の電池状態情報要求周期制御を詳細に示すフローチャート。
【
図19】本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報の送受信のタイミングチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電池交換可能な電気機器の実施形態について
図1から
図19を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当する構成には同一の符号が付されている。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器の一例の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2が蓄える電力で駆動される負荷、例えば電動機3を備えている。二次電池2は、蓄電池、充電式電池、および充電池とも呼ばれる。電気機器1は、例えばスティック型の電気掃除機5であって、電動機3が一体化された負荷としての電動送風機6を備えている。
【0015】
電気掃除機5は、把手11を有して手持ち操作可能な掃除機本体12と、掃除機本体12に着脱可能な二次電池2と、掃除機本体12に接続される延長管15と、延長管15に接続される吸込口体16と、を備えている。
【0016】
なお、電気機器1は、着脱可能な二次電池2を電源とするキャニスター型の電気掃除機5、アップライト型の電気掃除機5、またはハンディ型の電気掃除機5であっても良い。電気機器1は、電動機3へ供給される電気的エネルギーを回転駆動力のような機械的エネルギーに変換して利用する工具であっても良い。
【0017】
また、電気機器1、電気掃除機5、および掃除機本体12は、掃除機本体12を手に持つ使用者によって、様々な姿勢で利用される。そこで、
図1中、実線矢印P方向視を平面視(上面視)とし、実線矢印Pの反対方向視を底面視とする。
図1中、実線矢印F方向視を正面視(前面視)とし、実線矢印Fの反対方向視を背面視とする。
図1中、実線矢印L方向視を左側面視とし、実線矢印Lの反対方向視を右側面視とする。
【0018】
掃除機本体12は、把手11を有する本体ケース17と、本体ケース17に収容されて吸込負圧を生じさせる電動送風機6と、本体ケース17に着脱自在に設けられる塵埃分離集塵部19と、二次電池2を着脱可能な電池装着部21と、二次電池2の充電端子22と、主に電動送風機6の駆動および二次電池2の充放電を制御する本体制御部23と、を備えている。
【0019】
掃除機本体12は、二次電池2が蓄える電力によって電動送風機6を駆動させ、電動送風機6の駆動によって負圧を発生させ、発生した吸込負圧を塵埃分離集塵部19に作用させる。塵埃分離集塵部19に作用する吸込負圧は、延長管15、および吸込口体16に順次に作用する。吸込口体16に達した吸込負圧は、吸込口体16の吸込口31に作用する。吸込口31に作用する吸込負圧は、床面から塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)を吸込口31に吸い込む。吸込口31に吸い込まれた含塵空気は、吸込口体16および延長管15を通じて塵埃分離集塵部19へ流入する。塵埃分離集塵部19は、吸込負圧によって吸い込まれる含塵空気から塵埃を分離し、分離後の塵埃を捕集し、蓄積するとともに塵埃が分離された空気を電動送風機6へ送る。電動送風機6は、塵埃が分離された空気を本体ケース17外へ排気する。
【0020】
また、掃除機本体12は、充電端子22から供給される電力によって二次電池2を充電する。充電端子22は、本体制御部23の充電回路を介して二次電池2に接続されている。
【0021】
さらに、掃除機本体12は、把手11を握った使用者が、その手指を動かせる範囲に配置される入力部27を備えている。
【0022】
本体ケース17は、延長管15の延長線上に配置され、かつ延長管15の延長線に沿って延びる柱状の前部17aと、前部17aから下斜め後方へ垂れ下がる中央部17bと、中央部17bの背面の下半部から後方へ延びる筒状の後部17cと、中央部17bの背面の上半部から後方へ延び、円弧形状に湾曲して後部17cの上面の後端に繋がる把手11と、を備えている。
【0023】
本体ケース17の前部17aと中央部17bとは、協働して塵埃分離集塵部19を着脱可能に保持している。塵埃分離集塵部19は、全体で筒状の外観を有する。前部17aと中央部17bとは、塵埃分離集塵部19の中心線C、換言すると長手方向を延長管15の中心線の延長線に平行させて塵埃分離集塵部19を保持している。本体ケース17に延長管15および塵埃分離集塵部19が装着された状態では、延長管15の中心線の延長線および塵埃分離集塵部19の中心線Cは、本体ケース17を左右に実質的に均等に分断する中央縦断面上に配置されている。つまり、長手状の前部17aと筒状の塵埃分離集塵部19とは、中心線が平行するように併設されている。
【0024】
本体ケース17の前部17aは、延長管15の長手方向、つまり延伸方向の延長上に配置されて管状に延びている。前部17aは、延長管15を着脱可能な継手構造を備えている。前部17aは、掃除機本体12の流体的な入口である本体接続口25を有し、かつ延長管15と塵埃分離集塵部19とを流体的に接続している。掃除機本体12から延長管15を取り外すことによって、本体接続口25は、掃除機本体12を単体で使用する際の吸込口としても機能する。
【0025】
本体ケース17の後部17cは、電動送風機6および本体制御部23を収容している。後部17cは、電動送風機6の排気を本体ケース17内から吐出させる排気口26を有している。後部17cの底部には、二次電池2を着脱可能な電池装着部21が設けられている。
【0026】
本体ケース17の中央部17bは、前部17aに併設される塵埃分離集塵部19の後端部の一部を覆い隠すように保持し、かつ塵埃分離集塵部19と電動送風機6とを繋ぐ風路(図示省略)を収容している。中央部17bは、実質的に直線状に延びる前部17aの後端部に連接して本体ケース17の下斜め後方へ向かって膨らんでいる。中央部17bは、本体ケース17の後方へ向かって後ろ下がりに傾斜する外観を有している。
【0027】
把手11は本体ケース17に一体に設けられている。把手11は、電気掃除機5で床面を掃除するために、使用者が手で把持する部分である。そのため、把手11は、人の手指で把持し易い適宜の形状を有することが好ましい。
【0028】
把手11は、本体ケース17の前部17aと後部17cとの間に架設されている。把手11は、前部17aの後端から延長管15の延長方向へ延び、かつ弧状に湾曲して後部17cの後端部に繋がっている。把手11と本体ケース17の中央部17bの背面との間、および把手11と本体ケース17の後部17cの天面との間には、一続きの空間が、本体ケース17の左右方向(幅方向)へ貫通している。この空間には、把手11を握る使用者の手指、もっぱら人差し指、中指、薬指、および小指を含む四指が配置される。
【0029】
入力部27は、把手11の近傍であって、把手11を握った使用者がその手指を動かせる範囲に設けられている。入力部27は、電動送風機6の動作要求を受け付けるスイッチを備えている。このスイッチは、本体制御部23に電気的に接続されている。電気掃除機5の使用者は、入力部27を操作して電動送風機6の運転と停止とを交互に切り換えることができる。
【0030】
入力部27は、電動送風機6の運転モードを切り換えるスイッチを備えていても良い。この場合、本体制御部23は、運転モード切替スイッチから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→中→弱→………の順に切り換える。なお、入力部27は、運転モード切替スイッチに代えて、強運転スイッチ、中運転スイッチ、および弱運転スイッチを個別に備えていても良い。
【0031】
塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aと本体ケース17の中央部17bとが成すL文字形状の収容空間に配置されている。塵埃分離集塵部19は、掃除機本体12に流れ込む含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する一方で、塵埃が除去された清浄な空気を電動送風機6へ送る。塵埃分離集塵部19は、塵埃と空気との質量の差異を利用して塵埃と空気とを遠心分離する遠心分離方式である。塵埃分離集塵部19の下流側に含塵空気から塵埃を濾し取る濾過分離方式のフィルターが設けられていても良い。
【0032】
また、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前後方向に沿って筒状に延伸している。換言すると、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前後方向に延びる中心線Cを有する筒形状の容器である。塵埃分離集塵部19の中心線Cに沿う方向、塵埃分離集塵部19の延伸方向、塵埃分離集塵部19の長手方向は、実質的に同意であり、本体ケース17の前後方向に実質的に一致している。したがって、塵埃分離集塵部19の中心線Cは、延長管15の中心線に実質的に平行している。また、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aに併設されている。つまり、塵埃分離集塵部19の長手方向は、本体ケース17の前部17aの長手方向に倣っている。塵埃分離集塵部19の直径は、本体ケース17の前部17aの幅寸法よりも大きく、塵埃分離集塵部19は、本体ケース17の前部17aよりも掃除機本体12の左右方向(幅方向)に突出している。なお、掃除機本体12の左右方向(幅方向)は、掃除機本体12の中央縦断面の法線方向に相当する。筒状の塵埃分離集塵部19の中心線Cは、掃除機本体12の中央縦断面に実質的に含まれている。
【0033】
本体ケース17の中央部17bは、塵埃分離集塵部19の排気側に流体的に接続される連結口と、連結口と電動送風機6とを流体的に接続する分離部下流風路管と、を備えている。中央部17bは、塵埃分離集塵部19と本体ケース17の後部17cとの間に挟み込まれている部位を含んでいる。この部位に連結口および分離部下流風路管が配置されている。
【0034】
連結口は、中央部17bの正面を臨む部位に配置されている。連結口は、塵埃分離集塵部19が本体ケース17に装着された状態で、塵埃分離集塵部19の後ろ側の端面に正対する。したがって、連結口は、塵埃分離集塵部19が本体ケース17に装着された状態で、塵埃分離集塵部19の中心線Cの延長線上に配置される。
【0035】
電動送風機6の吸込側は、連結口および分離部下流風路管を介して塵埃分離集塵部19に接続される。電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から空気を吸い込んで吸込負圧を発生させる。電動送風機6は、羽根車と、羽根車の回転駆動力を発生する電動機3と、電動機3から羽根車へ回転駆動力を伝達する回転軸と、を備えている。
【0036】
羽根車は、例えばターボファンであり、複数の羽根を備えている。それぞれの羽根は、円錐状のハブの中心部からハブの外縁部へ向かって徐々にハブの径方向へ向かって起立する、捻れた形状を有している。換言すると、それぞれの羽根は、前縁から後縁に掛けて翼型(airfoil)または翼断面(wing section)が変化する、いわゆる3次元翼である。羽根車は、吸込口を有するケースに覆われている。
【0037】
電動送風機6は、回転軸を中心とする円筒状、または円柱状の形状を有している。回転軸の中心線を本体ケース17の前後方向へ向け、かつ吸込口を前方へ向けて本体ケース17に収容されている。また、電動送風機6の回転軸の中心線は、実質的に塵埃分離集塵部19の中心線Cの延長線上に配置されている。
【0038】
本体制御部23は、電動送風機6の真後ろに配置されている。本体制御部23は、マイクロプロセッサー、およびマイクロプロセッサーが実行する各種演算プログラム、パラメーターなどを記憶する記憶部としての記憶装置28を備えている。複数の運転モードから電動送風機6の運転モードを択一的に選択可能な制御を実装する場合には、記憶装置28は、予め設定される複数の運転モードに関連する種々の設定(引数)を記憶する。複数の運転モードは電動送風機6の出力に関連付けられている。それぞれの運転モードには、相互に異なる入力値(電動送風機6の入力値、電動送風機6に流れる電流目標値)が設定されている。それぞれの運転モードは、入力部27が受け付ける動作要求に関連付けられている。本体制御部23は、入力部27の動作要求に対応する任意の運転モードを、予め設定される複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードの設定を記憶装置28から読み出し、読み出した運転モードの設定にしたがって電動送風機6を運転する。
【0039】
なお、電動送風機6の入力値は、二次電池2の放電量に相当する。二次電池2の放電量は、二次電池2の放電電流または放電電圧の高低によって制御される。二次電池2の放電電流の高低によって二次電池2の放電量を制御することが簡便で好ましい。
【0040】
また、本体制御部23は、掃除機本体12の充電端子22が電源、例えば充電器に接続された場合には、二次電池2の充電を制御する。二次電池2の充電量は、二次電池2の充電電流または充電電圧の高低によって制御される。
【0041】
二次電池2は、いわゆるバッテリーパックである。二次電池2が蓄える電力を放電することによって、電動送風機6や本体制御部23が駆動され、二次電池2へ電力を充電することによって、電動送風機6や本体制御部23で消費される電力が二次電池2に蓄えられる。二次電池2は、本体ケース17に着脱できる。換言すると、電気掃除機5は、複数の二次電池2を適宜に交換して利用できる。電気掃除機5に装着されている二次電池2の充電率が低下した場合には、この二次電池2を、充電済みの二次電池2に交換することによって、電気掃除機5は、運転を継続できる。つまり、二次電池2は、本体ケース17に装着したまま充電することもできるし、本体ケース17から一旦取り外し、電気掃除機5とは異なる充電器に装着して充電し、充電後に本体ケース17へ再装着することもできる。なお、電気掃除機5は、二次電池2を容易に交換自在なものであっても良いし、二次電池2を交換するために掃除機本体12の分解をともなうような、二次電池2を交換可能なものであっても良い。
【0042】
報知部29は、本体制御部23によって制御され、二次電池2の充電状態、例えば二次電池2が充電中であること、二次電池2が満充電であること、二次電池2の充電率が所定の充電率よりも低下し、いわゆる電池切れであること、を報知する。報知部29は、例えば、文字などの情報を表示するディスプレイ、点灯または点滅するランプやLED(Light Emitting Diode)など電気掃除機5の使用者の視覚に訴えるもの、電気的に合成された音声やブザー音などを発する発音器など電気掃除機5の使用者の聴覚に訴えるもの、バイブレーターなど電気掃除機5の使用者の触覚に訴えるもの、の少なくともいずれかである。報知部29は、入力部27の近傍に設けられていることが好ましい。そのように配置することによって、報知内容の認知性が高められる。
【0043】
延長管15および吸込口体16は、電動送風機6から作用する負圧によって、床面上の塵埃を空気とともに吸い込んで掃除機本体12へ案内する。
【0044】
延長管15は、本体ケース17の本体接続口25および塵埃分離集塵部19を介して電動送風機6の吸込側に流体的に接続されている。延長管15は、使用者が掃除機本体12の把手11を把持した状態で実質的に床面に届く長さを有する。延長管15の一方の端部は、掃除機本体12の本体接続口25に着脱自在な継手構造を有している。延長管15の他方の端部は、掃除機本体12の吸込口体16を着脱自在な継手構造を有している。延長管15は、伸縮可能であっても良いし、伸縮不能な一定の長さを有していても良い。
【0045】
吸込口体16は、木床やカーペットなどの床面上を走行自在または滑走自在であり、走行状態または滑走状態において床面に対向する底面に吸込口31を有する。また、吸込口体16は、吸込口31に配置される回転自在な回転清掃体32と、回転清掃体32を駆動させる電動機33と、を備えている。吸込口体16の一方の端部は、延長管15の他方の端部に着脱自在な継手構造を有している。吸込口体16は、延長管15を介して電動送風機6の吸込側に流体的に接続されている。吸込口体16、延長管15、および塵埃分離集塵部19は、電動送風機6から吸込口31へ至る吸込風路である。
【0046】
なお、吸込口体16は、電動機33に代えて回転清掃体32を駆動させる風車(図示省略)を備えていても良い。この風車は、電気掃除機5に吸い込まれる空気の流動によって回転し、回転清掃体32を駆動させる。
【0047】
電気掃除機5は、電動送風機6が停止している状態で入力部27が操作されると、電動送風機6を始動させる。運転モード切替スイッチが実装されている場合には、電気掃除機5は、先ず電動送風機6を強運転モードで始動させ、運転モード切替スイッチが操作されると電動送風機6の運転モードを中運転モードに変更し、再度、運転モード切替スイッチが操作されると電動送風機6の運転モードを弱運転モードに変更し、以下同様に繰り返す。強運転モード、中運転モード、および弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードである。電動送風機6に対する入力値は、強運転モードが最も大きく、弱運転モードが最も小さい。始動した電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から空気を吸込み、塵埃分離集塵部19内を負圧にする。
【0048】
塵埃分離集塵部19内の負圧は、本体接続口25、延長管15、および吸込口体16を順次に通じて吸込口31に作用する。電気掃除機5は、吸込口31に作用した負圧によって、被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部19は、電気掃除機5に吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離し、蓄積する一方で、含塵空気から分離した空気を電動送風機6へ送る。電動送風機6は、塵埃分離集塵部19から吸い込んだ空気を掃除機本体12外へ排気する。
【0049】
図2は、本発明の実施形態に係る電池交換可能な電気機器のブロック図である。
【0050】
図2に示すように、本実施形態に係る電気機器1は、二次電池2を着脱可能な電池装着部21と、電池装着部21に装着された二次電池2から二次電池2に関する情報を取得するための要求信号を送信し、かつ、その要求信号に応じて二次電池2から二次電池2に関する情報を取得する送受信部41と、送受信部41を介して取得した、二次電池2に関する情報を記憶する記憶装置28と、送受信部41を介して取得する情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御の少なくともいずれかを実行する電力制御部としての本体制御部23と、電池装着部21に装着された二次電池2が蓄える電力で駆動される負荷としての電動機3と、入力部27と、報知部29と、を備えている。
【0051】
なお、説明の便宜のため「二次電池2に関する情報」を以下「電池情報」と言う。「二次電池2に関する情報」と同意である「送受信部41を介して取得する情報」も以下「電池情報」と言う。
【0052】
一方、二次電池2は、バッテリーパックである。二次電池2は、少なくとも1つの素電池45と、二次電池2の電池情報に含まれる項目を監視する電池状態観測部51と、二次電池2の電池情報を記憶する内部メモリ53と、電池状態観測部51から得られる観測情報と、内部メモリ53に記憶されている電池情報に基づいて二次電池2の充放電を制御する電池制御部52と、電気機器1が発する、電池情報を取得するための要求信号を受信し、かつ、その要求信号に応じて二次電池2から電池情報を送信する電池送受信部42と、を備えている。
【0053】
電気機器1の送受信部41と二次電池2の電池送受信部42とを併せて通信インターフェース43と呼ぶ。通信インターフェース43は、送受信部41と電池送受信部42との間を電気的に接続する信号線44を有している。
【0054】
電池装着部21は、電気機器1の本体、つまり電気掃除機5の掃除機本体12に設けられている。電池装着部21は、二次電池2を機械的に着脱可能に保持する機構と、二次電池2と電気機器1内の電気回路とを電気的に接続する端子と、を備えている。電池装着部21の機械的な機構は、例えば嵌合された二次電池2に解除可能なロックを掛けて二次電池2の離脱および脱落を防ぐ。
【0055】
送受信部41は、信号線44を介して二次電池2へ電池情報を取得するための要求信号を送信する出力装置である。また、送受信部41は、要求信号に応じて、二次電池2から送信される電池情報を取得する入力装置でもある。
【0056】
素電池45は、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、コバルトチタンリチウム二次電池など多様な種類から採用される。電気機器1の負荷に所望の電力を供給するために、複数の素電池45が二次電池2に搭載される。二次電池2に複数の素電池45を搭載する場合には、複数の素電池45は、実質的に同一の電池の特性を有することが好ましい。
【0057】
内部メモリ53は、二次電池2のバージョン情報を含む種別識別情報を記憶している。また、内部メモリ53は、二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲を記憶している。監視項目が素電池45の温度である場合には、監視項目に対応する設定値または設定範囲は、例えば温度上限値、温度下限値、および許容温度範囲の少なくとも1つの設定値または設定範囲である。
【0058】
内部メモリ53は、例えば非接触型ICチップ、一次元バーコード、二次元バーコードなど非接触で種別識別情報を提供可能な記録媒体、または記録方式であっても良いし、接触型ICチップなど接触して種別識別情報を提供可能な記録媒体、または記録方式であっても良い。また、内部メモリ53は、二次電池2に内蔵されて種別識別情報を記憶するメモリであっても良い。
【0059】
電池状態観測部51は、予め定められる少なくとも1つの監視項目を所要の周期毎に測定し、得られた測定結果を電池制御部52へ所定の周期毎に送信する。監視項目の測定周期と測定結果の送信周期とは、一致していても良いし、不一致でも良い。一般に測定周期は送信周期以下である。電池状態観測部51は、監視項目の物理量を測定するセンサー部と、センサー部の出力を読み取って監視項目の物理量に変換する回路と、を備えている。電池状態観測部51は、センサー部および回路を二次電池2に設けるのか、掃除機本体12に設けるのか、二次電池2および掃除機本体12に別々に設けるのか、によって大きく3つの方式に分類される。第一取得方式の電池状態観測部51は、二次電池2に設けられるセンサー部と、掃除機本体12に設けられる回路と、を備えている。第一取得方式は、例えば、二次電池2内に設けられて素電池45の温度を測定するサーミスターと、掃除機本体12内に設けられてサーミスターの抵抗値を読み取って温度に変換する回路と、を備えている。第二取得方式の電池状態観測部51は、掃除機本体12に設けられるセンサー部と、掃除機本体12に設けられる回路と、を備えている。第二取得方式は、例えば、掃除機本体12内に設けられて二次電池2から負荷への放電電流を測定するシャント抵抗と、掃除機本体12内に設けられてシャント抵抗の抵抗値を読み取って放電電流に変換する回路と、を備えている。第三取得方式の電池状態観測部51は、二次電池2に設けられるセンサー部と、二次電池2に設けられる回路と、を備えている。第三取得方式の電池状態観測部51は、回路で変換した物理量を電気信号に変換して掃除機本体12の回路へ出力する。第三取得方式は、例えば、二次電池2内に設けられて素電池45の温度を測定するサーミスターと、二次電池2内に設けられてサーミスターの抵抗値を読み取って温度に変換し、この測定温度を掃除機本体12の回路へ出力する回路と、を備えている。
【0060】
なお、説明の便宜のため、電池状態観測部51から所定の周期で測定して得られる測定結果を、シリアル通信で送信可能にするために量子化したデータを「電池データ」と呼ぶ。電池データは、監視項目、つまり二次電池2の電池の状態に関するデータであって、少なくとも1つある。監視項目が素電池45の温度である場合には、電池データは、素電池45の温度データである。電池データは、電池温度データ、電池種類データ、電池使用履歴データなどの二次電池2の電池の状態を表すデータそのもの、または、二次電池2の電池のデータを算出するための根拠情報である。二次電池2の電池データは、二次電池2の電池の状態量を表現する数値データであっても良い。シリアル通信の規約に則り、少なくとも1つの電池データを含む情報を、以下「電池状態情報」と呼ぶ。電池状態情報は、電池状態観測部51が所定の周期で取得する電池データを少なくとも1つ含んでいる。電池状態情報に含まれる電池データは、電池状態観測部51で第三取得方式によって取得される。
【0061】
電池情報は、例えば二次電池2のバージョン情報を含む種別識別情報と、少なくとも1つの二次電池2の電池データを含む電池状態情報と、を含む。種別識別情報を「第一電池情報」とも呼び、電池状態情報を「第二電池情報」とも呼ぶ。種別識別情報は、電気機器1が装着された二次電池2を好適に充放電するための監視項目を選定し、監視条件を初期化するための情報である。
【0062】
電池制御部52は、電池状態観測部51から所定の周期で取得する電池データを含む電池状態情報を、電池送受信部42を介して電気機器1へ送信する。
【0063】
電池送受信部42は、送受信部41を介して電気機器1から所定の周期で送信される要求信号を取得して電池制御部52へ送る入力装置である。また、電池送受信部42は、電池制御部52から所定の周期で送られる電池状態情報を電気機器1へ送信する出力装置でもある。
【0064】
図3は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池のバージョン情報を説明する図である。
【0065】
図3に示すように、本実施形態に係る二次電池2の種別識別情報に含まれるバージョン情報61は、メジャーバージョン番号62と、マイナーバージョン番号63と、を有している。つまり、二次電池2は、バージョン情報61によってバージョン管理されている。バージョン情報61
【0066】
図3において「AAA」の文字列で記述されるメジャーバージョン番号62は、電池装着部21に装着された二次電池2から本体制御部23へ電力が供給されることによって識別される機械的、および電気的なインターフェースの整合であっても良いし、送受信部41が取得する電池情報、つまり種別識別情報に記述される情報であっても良い。
【0067】
図3において「BBB」の文字列で記述されるマイナーバージョン番号63は、同一のメジャーバージョン番号62を有する二次電池2の監視項目の変更および二次電池2の監視項目の追加を識別可能なよう記述される情報である。
【0068】
なお、
図3では、メジャーバージョン番号62とマイナーバージョン番号63とを区別しやすいよう、メジャーバージョン番号62とマイナーバージョン番号63との間に「.」(ピリオド、ドット)を記載した。
【0069】
図4は、本発明の実施形態に係る電気機器および二次電池の運転制御の概略を示すフローチャートである。
【0070】
図4に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、二次電池2が掃除機本体12の電池装着部21に装着されると、二次電池2から供給される電力で起動する。
【0071】
起動した本体制御部23は、送受信部41を介して種別識別情報を要求する信号を二次電池2へ送信し(ステップS1)、要求信号に応じて二次電池2から送信される種別識別情報を取得する(ステップS2)。
【0072】
ここで、ステップS1で電気機器1が二次電池2に種別識別情報を要求する際に、電気機器1から二次電池2へ送信される要求信号を、以下「種別識別情報要求」と呼ぶ。種別識別情報要求を、「第一電池情報要求」とも呼ぶ。
【0073】
なお、二次電池2のメジャーバージョン番号62が機械的、および電気的なインターフェースの整合で規定される場合、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62と二次電池2のメジャーバージョン番号62とが一致していれば、本体制御部23は作動状態が続く。掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62と二次電池2のメジャーバージョン番号62とが不一致していれば、本体制御部23は、種別識別情報の一致の可否の確認後は異常停止し、作動しない。換言すると、掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62と二次電池2のメジャーバージョン番号62とが不一致していれば、本体制御部23は、ステップS3以降の処置を行わずに異常停止し、作動しない。
【0074】
続いて、起動した本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する、少なくとも1つの電池状態情報を電池制御部52に要求する(ステップS3)。
【0075】
ここで、ステップS3で電池制御部52に電池状態情報を要求する際に、本体制御部23から電池制御部52へ送信される要求信号を、以下「電池状態情報要求」と呼ぶ。電池状態情報要求を、「第二電池情報要求」とも呼ぶ。
【0076】
電池制御部52は、本体制御部23から受信した電池状態情報要求に基づいて、本体制御部23へ所定の周期毎に電池状態情報を送信する(ステップS4)。
【0077】
なお、起動した本体制御部23は、通信インターフェース43を通じて、ステップS3とは別個に二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲を二次電池2へ要求し、ステップS4とは別個に二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲を二次電池2から取得する。この二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲の取得処理は、電気機器1に二次電池2が装着された後、ステップS3より前に少なくとも1回実行されれば良い。
【0078】
次いで、本体制御部23は、入力部27の操作を検知すると、入力部27の動作要求を「操作あり」に設定する(ステップS5)。
【0079】
次に、本体制御部23は、入力部27の動作要求の内容に基づいて電動送風機6の動作状態を設定する(ステップS6)。ステップS5の動作設定処理では、入力部27の動作要求の内容、および電池状態情報から得られる二次電池2の監視データと二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲との比較結果に基づいて電動送風機6の動作状態が「停止」または「運転」に設定される。
【0080】
なお、説明の便宜のために電動送風機6の動作状態を「停止」または「運転」のいずれかとして以下の説明をするが、電動送風機6の動作状態は、電動送風機6の運転モードを含んでいても良い。つまり、電動送風機6の動作状態は、「停止」、「強モード運転」、「中モード運転」、および「弱モード運転」のように、2つ以上の運転状態を含んでいても良い。その場合には、入力部27の動作要求は、「操作なし」、「操作あり」に加えて、「強モード操作あり」、「中モード操作あり」、および「弱モード操作あり」のように、運転モードを選択する操作を含んでいることが好ましい。
【0081】
次いで、本体制御部23は、電動送風機6の動作状態に従って電動送風機6の運転を制御する(ステップS7)。換言すると、本体制御部23は、電動送風機6の動作状態に従って二次電池2の放電量を制御する。
【0082】
そして、本体制御部23は、ステップS3からステップS7を予め定める周期で繰り返す。つまり、本体制御部23は、予め定める周期でステップS3からステップS4を繰り返して二次電池2の電池データを取得し、ステップS5で二次電池2の電池データと二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲とを比較して、ステップS6で動作設定を行い、ステップS7で負荷の運転状態を制御する。
【0083】
本体制御部23は、二次電池2の充電または放電つまり、電動送風機6へ電力を供給している場合は、第一の所定の周期、例えば1.0秒毎に電池状態情報要求を送信し、二次電池2の充電および放電を行っていない場合は、第一の所定の周期よりも長い第二の所定の周期、例えば5分毎に電池状態情報要求を送信する。換言すると、本体制御部23は、二次電池2を充電している場合、および負荷である電動送風機6を運転している場合には第一の所定の周期で電池データを取得し、これを監視し、二次電池2の充電を行わず、かつ負荷である電動送風機6が停止している場合には第二の所定の周期で電池データを取得し、これを監視する。そうすることで、電気機器1は、二次電池の充放電を行っている場合には、二次電池2の状態を逐次に監視することが可能であり、電気機器1は、充放電を行っていない場合には、二次電池2の自己放電を監視して二次電池2の突発的な異常を監視することが可能である。
【0084】
なお、種別識別情報、種別識別情報要求、電池状態情報要求および電池状態情報は、通信インターフェース43を通じてシリアル通信で送受信される。また、二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲の二次電池2への要求信号、および二次電池2の監視項目に対応する設定値または設定範囲は、通信インターフェース43を通じてシリアル通信で送受信されることが好ましい。
【0085】
図5は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および電池状態情報要求と、の一例を説明する図である。
【0086】
図6は、本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第一例を詳細に示すフローチャートである。
【0087】
図7は、本発明の実施形態に係る電気機器の種別識別情報の受信制御を詳細に示すフローチャートである。
【0088】
図8は、本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第一例を詳細に示すフローチャートである。
【0089】
図5を例にして、バージョン「1.0」対応の電気機器1とバージョン「1.0」の二次電池2との組み合わせにおける電池状態情報の取得処理を例示する。
【0090】
図5から
図8に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、送受信部41を介して二次電池2から種別識別情報を取得するための種別識別情報要求(
図5「Va」)を送信する。この処理は、
図4および
図6のステップS1に相当する処理である。このとき、電池制御部52は、電気機器1からの電池情報の要求の有無を判断している(ステップS21)。電池情報の要求とは、種別識別情報要求または電池状態情報要求である。電池情報の要求があると判断した場合(ステップS31 Yes)には、電池制御部52は、ステップS32の処理へ移行する。電池情報の要求が無い場合(ステップS31 No)には、電池制御部52は、ステップS21の処理を繰り返す。
【0091】
種別識別情報要求は、通信インターフェース43を通じて電気機器1から二次電池2へ送信される一纏まりの種別識別情報の開始を識別するための通信開始データと、二次電池2のバージョン情報61の要求と、通信インターフェース43を通じて電気機器1から二次電池2へ送信される一纏まりの種別識別情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0092】
次いで、電池制御部52は、電池情報の要求が種別識別情報要求であるか否かを判断する(ステップS32)。電池情報の要求が種別識別情報要求であると判断した場合(ステップS32 Yes)には、電池制御部52は、電池送受信部42を介して電気機器1の送受信部41へ種別識別情報(
図5「Vb」)を送信し(ステップS2)、ステップS31の処理へ戻る。
【0093】
種別識別情報は、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の開始を識別するための通信開始データと、バージョン情報61と、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0094】
一方、ステップS1で種別識別情報要求を送信した本体制御部23は、二次電池2からの種別識別情報の受信を待機する(ステップS21)。
【0095】
二次電池2から種別識別情報要求を受信した場合には(ステップS21 Yes)、本体制御部23は、種別識別情報の取得処理を正常に終了し、ステップS11へ進む。一方、二次電池2から種別識別情報の受信がない場合(ステップS21 No)には、種別識別情報の未取得状態の経過時間を計時し、この経過時間に基づいてタイムアウト処理の実否を判断する(ステップS22)。例えば、種別識別情報の未取得状態の経過時間の上限値を1.0秒と設定した場合、本体制御部23は、種別識別情報の未取得状態の経過時間が1.0秒を経過したときにタイムアウト処理を行い(ステップS22 Yes)、処理を異常終了させる。
【0096】
次いで、本体制御部23は、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致するか否かを判断する(ステップS11)。例えば、バージョン番号「1.N」(Nは任意のマイナーバージョン番号63)対応の本体では、二次電池2のメジャーバージョン番号62が「1」の場合には、ステップS2の判断が肯定され、メジャーバージョン番号62が「1」以外の場合には、ステップS2の判断が否定される。
【0097】
メジャーバージョン番号62が情報で記述される場合、送受信部41を介して二次電池2から取得されるメジャーバージョン番号62と記憶装置28に記憶されているメジャーバージョン番号62とが一致していれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62を有していると解釈する。
【0098】
また、メジャーバージョン番号62が情報で記述される場合、二次電池2と本体制御部23との間で信号を授受し合って二次電池2の真贋を判断し、装着された二次電池2が正規品であると判断されれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62を有していると解釈しても良い。
【0099】
メジャーバージョン番号62が機械的、および電気的なインターフェースの整合で規定される場合、二次電池2が電池装着部21に装着可能であり、かつ二次電池2と本体制御部23とが電気的に正常に電力および信号を授受可能であれば、その二次電池2は、電気機器1の本体、つまり掃除機本体12が対応可能なメジャーバージョン番号62を有していると解釈する。この場合には、ステップS11は省略される。
【0100】
情報で記述されるメジャーバージョン番号62およびマイナーバージョン番号63は、単純な整数値であっても良いし、分類のための文字、数字、記号、またはこれらを組み合わせたコードであっても良い。これら番号62、63は、過去から未来へ時系列に昇順、または降順に付与される。昇順および降順のいずれで付与される場合であっても、時系列において過去のものを下位とし、未来のものを上位として管理される。
【0101】
そして、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが不一致する場合には(ステップS11 No)、本体制御部23は処理を異常終了させる。処理が異常終了する場合には、本体制御部23は、入力部27の動作要求に係わらず、電気機器1の運転を行わない。なお、ステップS1、S11は、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致するか否かに係わらず、二次電池2から供給される電源で本体制御部23を起動し、処理されることが好ましい。
【0102】
一方、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致する場合には(ステップS11 Yes)、本体制御部23は、電池制御部52から取得したバージョン番号に基づき、送受信部41を介して二次電池2の電池データを取得するための電池状態情報要求(
図5「1a」)を送信する。この処理は、
図4および
図6のステップS3に相当する処理である。
【0103】
電池状態情報要求は、通信インターフェース43を通じて電気機器1から二次電池2へ送信される一纏まりの電池状態情報の開始を識別するための通信開始データと、二次電池2の電池データの要求と、通信インターフェース43を通じて電気機器1から二次電池2へ送信される一纏まりの電池状態情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0104】
一方、ステップS31で電池情報の要求を待機している電池制御部52は、ステップS32 Yesの判断、およびステップS32 Noの判断を経て、電池情報の要求が電池状態情報要求であるか否かを判断する(ステップS33)。電池情報の要求が電池状態情報要求であると判断した場合(ステップS33 Yes)には、電池制御部52は、電池送受信部42を介して電気機器1の送受信部41へ電池状態情報(
図5「1b」)を送信し(ステップS4)、ステップS31の処理へ戻る。
【0105】
電池状態情報は、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の開始を識別するための通信開始データと、少なくとも1つの電池データと、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0106】
ステップS3で電池状態情報要求を送信した本体制御部23は、二次電池2からの電池状態情報の受信を待機する(ステップS12)。電池状態情報を受信した場合(ステップS12 Yes)には、電池制御部52は、受信した電池状態情報に基づいて負荷の運転を制御する(ステップS7)。その後、本体制御部23は、電池状態情報を取得して所定の時間が経過したか否かを判断(ステップS13)し、所定の時間を経過した場合(ステップS13 Yes)、ステップS3へ戻って処理を繰り返す。
【0107】
一方、二次電池2から電池状態情報の受信がない場合(ステップS12 No)には、電池状態情報の未取得状態の経過時間を計時し、この経過時間に基づいてタイムアウト処理の実否を判断する(ステップS14)。例えば、電池状態情報の未取得状態の経過時間の上限値を1.0秒と設定した場合には、本体制御部23は、電池状態情報の未取得状態の経過時間が1.0秒を経過したときにタイムアウト処理を行い(ステップS14 Yes)、処理を異常終了させる。
【0108】
以上のように、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2から取得した電池情報に基づいて一部または全部の電池情報の項目を決定し、決定した一部または全部の電池情報を二次電池2に送信させて取得し、二次電池から取得した電池情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。つまり、電気機器1は、二次電池2から取得した電池情報に基づいて予め定められた既知の項目を含む既知の電池情報を有する二次電池2が接続されている場合には、既知の範囲で二次電池2へ電池情報を要求し、既知の範囲で二次電池2から電池情報を取得する。また、電気機器1は、二次電池2から取得した電池情報に基づいて既知の項目が未知の項目に変更された電池情報や未知の項目を追加で含む電池情報を有する二次電池2が接続されている場合には、未知の範囲で二次電池2へ電池情報を要求することはせず、既知の範囲で二次電池2へ電池情報を要求し、既知の範囲で二次電池2から電池情報を取得する。そのため、二次電池2の電池情報の変更、および付加に容易かつ適切に対応することできる。したがって、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、装着された二次電池2を適切に利用可能にする電池データを容易に利用することができ、動作の異常停止を起こす虞を低減させる。
【0109】
ところで、従来の電気機器は、予め定められた既知の項目を含む既存の電池情報の通信を許可する信号の送受信を行う一方、既知の項目が未知の項目に変更された電池情報や未知の項目を追加で含む電池情報の通信を許可せず、結果として、電気機器の異常終了を引き起す。
【0110】
そこで、本実施形態に係る電気機器1は、二次電池2から取得する電池情報に基づいて一部または全部の電池情報の項目を決定し、決定した一部または全部の電池情報を二次電池2に送信させて取得し、二次電池から取得した電池情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。そうすることで、電気機器1は、既知の項目が未知の項目に変更された電池情報や未知の項目を追加で含む電池情報の通信を可能にする。ここで説明の便宜のため、バージョン「1.1」の二次電池2を上位バージョンの二次電池2と呼び、バージョン「1.0」の二次電池2を下位バージョンの二次電池2と呼び、バージョン「1.1」対応の電気機器1を上位バージョンの電気機器1と呼び、バージョン「1.0」対応の電気機器1を下位バージョンの電気機器1と呼ぶ。バージョン「1.1」の二次電池2は、バージョン「1.0」の二次電池2のマイナーバージョンアップ品であり、バージョン「1.1」対応の電気機器1は、バージョン「1.0」対応の電気機器1のマイナーバージョンアップ品である。
【0111】
上位バージョンの二次電池2に対応可能な電気機器1と、下位バージョンおよび上位バージョンの二次電池2と、の組み合わせについて説明する。
【0112】
図9は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および複数の電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および複数の電池状態情報要求と、の一例を説明する図である。
【0113】
図10は、本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第二例を詳細に示すフローチャートである。なお、
図10の処理において
図6の処理と同様の処理には
図6と同じステップ番号を付し、繰り返しになる説明は省略する。
【0114】
図11は、本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第二例を詳細に示すフローチャートである。なお、
図11の処理において
図8の処理と同様の処理には
図8と同じステップ番号を付し、繰り返しになる説明は省略する。
【0115】
図9を例にして、バージョン「1.1」対応の電気機器1と下位バージョン「1.0」の二次電池2との組み合わせにおける電池状態情報の取得処理と、バージョン「1.1」対応の電気機器1と一部の電池データが変更されたバージョン「1.1」の二次電池2との組み合わせにおける電池状態情報の取得処理と、を比較する。
【0116】
なお、説明の便宜のために下位バージョンにあたるバージョン「1.0」の二次電池2の電池状態情報を第一電池状態情報(
図9「1b」)と呼び、上位バージョンにあたるバージョン「1.1」の二次電池2の電池状態情報を第二電池状態情報(
図9「2b」)と呼ぶ。
【0117】
第一電池状態情報および第二電池状態情報は、それぞれに共通する少なくとも1つの電池データである「共通の電池データ」を含む。例えば、第一電池状態情報に含まれる電池温度データ、電池種類データ、および電池使用履歴データと、第二電池状態情報に含まれる電池温度データ、電池種類データ、および電池使用履歴データと、は共通の電池データである。
【0118】
また、第二電池状態情報は、第一電池状態情報に共通しない少なくとも1つの電池データである「非共通の電池データ」を含む。例えば、第二電池状態情報に含まれる電池回路温度データは非共通の電池データである。
【0119】
図9から
図11に示すように、本実施形態に係る二次電池2の電池制御部52は、送受信部41を介して取得した種別識別情報要求に基づき、電池送受信部42を介して電気機器1の送受信部41へ種別識別情報を送信する。例えば、電気機器1にバージョン「1.0」の二次電池2が装着されている場合、電池制御部52は、バージョン番号「1.0」のバージョン情報61を含む種別識別情報(
図9「V1b」)を送信する。また、電気機器1にバージョン「1.1」の二次電池2が装着されている場合、電池制御部52は、バージョン番号「1.1」のバージョン情報61を含む種別識別情報(
図9「V2b」)を送信する。これらの処理は、
図4のステップS2および
図6のステップS2に相当する処理である。
【0120】
その後、本体制御部23は、電池制御部52から取得したバージョン番号に基づき、送受信部41を介して二次電池2の電池データを取得するための電池状態情報要求を送信する。例えば、本体制御部23が取得したバージョン番号が「1.0」である場合、本体制御部23は、第一電池状態情報の要求信号(
図9「1a」)を送信する。また、本体制御部23が取得したバージョン番号が「1.1」である場合、本体制御部23は、第二電池状態情報の要求信号(
図9「2a」)を送信する。この処理は、
図10のステップS41からステップS43の処理である。
【0121】
ここで、電池制御部52に第一電池状態情報を要求する際に、本体制御部23から電池制御部52へ送信される電池状態情報要求を、以下「第一電池状態情報要求」と呼ぶ。また、電池制御部52に第二電池状態情報を要求する際に、本体制御部23から電池制御部52へ送信される電池状態情報要求を、以下「第二電池状態情報要求」と呼ぶ。
【0122】
つまり、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致する場合には(ステップS11 Yes)、本体制御部23は、二次電池2のマイナーバージョン番号63と本体が対応可能なマイナーバージョン番号63とを比較する(ステップS41)。二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63以上の場合には(ステップS41 Yes)、本体制御部23は、電池状態情報要求として第二電池状態情報要求を送信し(ステップS42)、二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63より小さい場合には(ステップS41 No)、本体制御部23は、電池状態情報要求として第一電池状態情報要求を送信する(ステップS43)。
【0123】
なお、本実施形態では「.0」、および「.1」の2つのマイナーバージョン番号63について説明しているが、マイナーバージョン番号63の数量は3つ以上でも良い。この場合には、ステップS41からステップS43は、さらに細分化されて多段階になり、それぞれ異なるマイナーバージョン番号63を識別し、かつそれぞれのマイナーバージョン番号63に応じる数量の電池状態情報要求を設定できることが望ましい。以下の説明も同様である。
【0124】
電池制御部52は、送受信部41を介して取得した電池状態情報要求に基づき、電池送受信部42を介して電気機器1の送受信部41へ電池状態情報を送信する。例えば、本体制御部23が取得したバージョン番号が「1.0」である場合、電池制御部52は、第一電池状態情報(
図9「1b」)を送信する。また、本体制御部23が取得したバージョン番号が「1.1」である場合、電池制御部52は、第二電池状態情報(
図9「2b」)を送信する。この処理は、
図11のステップS51からステップS54の処理である。
【0125】
つまり、第一電池状態情報要求を受信した場合には(ステップS51 Yes)、電池制御部52は、電気機器1の送受信部41へ第一電池状態情報を送信する(ステップS52)。また、第二電池状態情報要求を受信した場合には(ステップS51 No、ステップS53 Yes)、電池制御部52は、電気機器1の送受信部41へ第二電池状態情報を送信する(ステップS54)。
【0126】
バージョン「1.1」対応の電気機器1は、バージョン「1.1」の二次電池2が接続されている場合には、二次電池2から第二種別識別情報を取得し、この第二種別識別情報に対応させて第二電池状態情報要求を送信し、二次電池2から第二電池状態情報を取得する。第二電池状態情報を取得したバージョン「1.1」対応の電気機器1は、第二電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7で実行する。
【0127】
また、バージョン「1.1」対応の電気機器1は、バージョン「1.0」の二次電池2が接続されている場合には、二次電池2から第一種別識別情報を取得し、この第一種別識別情報に対応させて第一電池状態情報要求を送信し、二次電池2から第一電池状態情報を取得する。第一電池状態情報を取得したバージョン「1.1」対応の電気機器1は、第一電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7で実行する。
【0128】
なお、バージョン「1.0」対応の電気機器1は、
図6のとおりマイナーバージョン番号63を制御の判断に利用しない。つまり、バージョン「1.0」対応の電気機器1は、実質的に第一種別識別情報要求と同じ種別識別情報要求をバージョン「1.1」の二次電池2に送り、二次電池2から種別識別情報と同じ第一種別識別情報を取得し、この種別識別情報に対応させて実質的に第一電池状態情報要求と同じ電池状態情報要求を送信し、二次電池2から実質的に電池状態情報と同じ第一電池状態情報を取得する。電池状態情報を取得したバージョン「1.0」対応の電気機器1は、電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7で実行する。
【0129】
そして、本体制御部23は、
図4、
図6、および
図10のステップS3および
図4、
図8、および
図11のステップS4の処理を予め定める周期で繰り返す。
【0130】
つまり、本体制御部23は、二次電池2のバージョン番号が下位であるときは第一電池状態情報を利用し、二次電池2のバージョン情報が上位であるときは第二電池状態情報を利用して、二次電池2の充放電の制御を実行する。
【0131】
図12は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報の送受信のタイミングチャートの一例である。
【0132】
図12は、電気機器1と二次電池2との間で行われる、種別識別情報要求および種別識別情報の送受信と、電池状態情報要求および電池状態情報の送受信と、の時間的な関係性を示す。
【0133】
図12(a)は、
図6における種別識別情報要求、種別識別情報、第一電池状態情報要求、および第一電池状態情報の送受信の時間的な関係性を示す。
図12(b)は、
図6における種別識別情報要求、種別識別情報、第二電池状態情報要求、および第二電池状態情報の送受信の時間的な関係性を示す。なお、
図12(b)の第二電池状態情報は、
図12(a)の第一電池状態情報よりも情報量が多く、通信処理に掛かる時間が長いものと仮定する。
【0134】
図12(a)に示すように、本体制御部23は、送受信部41を介して二次電池2へ種別識別情報要求信号を送信し(ステップS1a)、種別識別要求信号に応じて二次電池2から送信された種別識別情報を取得する(ステップS2a)。
【0135】
続いて、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する第一電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3a)。次いで、第一電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された第一電池状態情報を取得する(ステップS4a)。
【0136】
その後、本体制御部23は、第一電池状態情報要求信号の送信、第一電池状態情報の取得の順に、所定の周期毎に送受信を行う(ステップS3aおよびS4aの繰り返し)。例えば、
図12(a)に示すように、所定の周期、例えば1.0秒毎に第一電池状態情報要求信号を送信する処理を基準として、第一電池状態情報要求信号の送信、第一電池状態情報の取得の順に送受信を繰り返す場合である。
【0137】
なお、
図4のステップS3およびS4は、
図4のステップS5よりも前に繰り返し行われる。つまり、
図12(a)の場合、第一電池状態情報要求(ステップS3a)、第一電池状態情報の取得(ステップS4a)の順に行われる一連の処理は、動作要求の取得よりも前に繰り返し行われる。
【0138】
次いで、
図12(b)に示すように、本体制御部23は、送受信部41を介して二次電池2へ種別識別情報要求信号を送信し(ステップS1b)、種別識別要求信号に応じて二次電池2から送信された種別識別情報を取得する(ステップS2b)。
【0139】
続いて、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する第二電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3b)。次いで、第二電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された第二電池状態情報を取得する(ステップS4b)。
【0140】
その後、本体制御部23は、第二電池状態情報要求信号の送信、第二電池状態情報の取得の順に、所定の周期毎に送受信を行う(ステップS3bおよびS4bの繰り返し)。例えば、
図12(b)に示すように、所定の周期、例えば1.0秒毎に第二電池状態情報要求信号を送信する処理を基準として、第二電池状態情報要求信号の送信、第二電池状態情報の取得、の順に送受信を繰り返す場合である。
【0141】
なお、
図4のステップS3およびS4は、
図4のステップS5よりも前に繰り返し行われる。つまり、
図12(b)の場合、第二電池状態情報要求(ステップS3b)、第二電池状態情報の取得(ステップS4b)の順に行われる一連の処理は、動作要求の取得よりも前に繰り返し行われる。
【0142】
以上のように構成される本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2から取得したバージョン情報61に基づいて第一電池状態情報および第二電池状態情報の一部または全部の電池情報の項目を決定し、決定した一部または全部の電池情報を二次電池2に送信させて取得し、二次電池から取得した電池情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。つまり、電気機器1は、同一のメジャーバージョン番号62を有する二次電池2の放電量の制御および充電量の制御に電池状態情報を利用可能である一方、対応可能なマイナーバージョン番号63の上限よりも上位のマイナーバージョン番号63を有する二次電池2が接続された場合には、電池情報に記述されている、対応可能な上限のマイナーバージョン番号63に対応する電池データを電池状態情報として取得して、この電池状態情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、バージョン情報61によって管理され、かつ同一のメジャーバージョン番号62が付与された多種類の二次電池2から、充放電に利用する電池状態情報を適切に取得できる。そのようなバージョン対応処理可能な電気機器1は、二次電池2の電池状態情報の変更、および付加に容易かつ適切に対応することできる。つまり、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、より異なる電池状態情報を有する新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができる。
【0143】
また、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、対応可能なバージョン情報61と二次電池2のバージョン情報61とが一致している場合には、電池情報に記述されている、最上位のマイナーバージョン番号63に対応する二次電池2の電池状態情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、異なる電池状態情報を有する新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができるバージョン情報61(世代)の製品と、それ以前のバージョン情報61の製品と、でバージョン情報61の異なる二次電池2を容易に使い回す利便性を提供できる。
【0144】
さらに、本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、対応可能なマイナーバージョン番号63より下位のマイナーバージョン番号63を有する二次電池2が接続された場合には、電池情報に記述されている最新の二次電池2の電池状態に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、より最新の充放電制御を実行可能な新たな本体で、下位のバージョン番号51の二次電池2を容易に使い回す利便性を提供できる。
【0145】
ところで、例えば二次電池2の改良、つまりバージョンアップにともなって電池状態情報の情報量が増減することが想定される。つまり、電池状態情報の情報量が異なる二次電池2を同一の電気機器1に択一的に装着する場合が想定される。なお、電池状態情報の情報量とは、例えば電池温度データ、電池種類データに代表される二次電池2の電池データの項目数であり、これら項目をデジタル値で表現する場合には、そのデータ長(ビット長)である。
【0146】
また、電気機器1と二次電池2との間で情報を伝送するための通信方法には、シリアル通信またはパラレル通信が採用され得る。シリアル通信は、一本の信号線を用いて1ビットずつ順にデータを伝送する通信方法である。パラレル通信は、複数の信号線を用いて一度に複数ビットのデータを伝送する通信方法である。シリアル通信は、パラレル通信と比べて、信号線が少なく低コストであり、配線が比較的に簡単であり長距離間の通信にも優位である。このことから、電気機器1と二次電池2と間の通信にシリアル通信を採用する場合を想定する。
【0147】
シリアル通信では、フレーム化によって通信をパケット単位で取り扱う場合がある。なお、例えば携帯電話では128バイトのデータ長を1パケットと表す場合があるが、本実施形態に係る電気機器1の通信における1パケットあたりのデータ長、つまりパケット長は、これに限られるものではない。
【0148】
このパケット長は、電気機器1に予め確保されて通信を受け取る通信バッファーの容量に影響する。そのため、二次電池2の開発または改良の進展にともなって電池情報の情報量が増加して、1パケットに電池データが納まらなくなることが想定される。そのような場合に、単純にパケット長を拡大してしまうと、パケット長は、下位バージョンの電気機器1に予め確保される通信バッファーの容量を超える虞がある。これら、パケット長の拡大や通信バッファー容量の不足は、電池情報の通信に支障を来して二次電池2の適切な利用を妨げる虞がある。
【0149】
つまり、二次電池2の開発または改良の進展にともなって上位バージョンの二次電池2の電池状態情報の情報量が、下位バージョン対応の電気機器1に予め確保された通信バッファー容量を超える虞がある場合、電気機器1は、二次電池2に含まれる電池状態情報を正常に取得できず、二次電池2を適切に利用することができない。
【0150】
そこで、本実施形態に係る電気機器1は、二次電池2の改良にともなって新たに電池データが電池情報に追加されて通信バッファー容量の超過が見込まれるような場合に、電池状態情報を複数に分割し、1つ目の電池状態情報、2つ目の電池状態情報の順に複数の電池状態情報の通信処理を行って通信バッファー容量の超過を避ける。
【0151】
図13は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報に含まれる種別識別情報および少なくとも1つの電池状態情報と、電気機器が二次電池へ送信する種別識別情報要求および少なくとも1つの電池状態情報要求と、の一例を説明する図である。
【0152】
図14は、本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第三例を詳細に示すフローチャートである。なお、
図14の処理において
図6の処理と同様の処理には
図6と同じステップ番号を付し、繰り返しになる説明は省略する。
【0153】
図15は、本発明の実施形態に係る電気機器の電池状態情報の受信制御を詳細に示すフローチャートである。
【0154】
図16は、本発明の実施形態に係る二次電池側の制御の第三例を詳細に示すフローチャートである。なお、
図16の処理において
図8の処理と同様の処理には
図8と同じステップ番号を付し、繰り返しになる説明は省略する。
【0155】
図13を例にして、バージョン「1.1」対応の電気機器1と下位バージョン「1.0」の二次電池2との組み合わせにおける電池状態情報の取得処理と、バージョン「1.1」対応の電気機器1と電池データが追加されたバージョン「1.1」の二次電池2の組み合わせにおける電池状態情報の取得処理と、を比較する。
【0156】
なお、説明の便宜のために下位バージョンであるバージョン「1.0」の二次電池2の電池状態情報をシリアル通信の規約上許容されるパケット長の最大を超えない基本電池状態情報とする。上位バージョンであるバージョン「1.1」の二次電池2の電池状態情報は、基本電池状態情報と、基本電池状態情報に許容されるパケット長を超えて新たに追加される電池データを含む追加電池状態情報と、を含むものとする。つまり、追加電池状態情報は、基本電池状態情報に許容されるパケット長の最大を超えてしまい、基本電池状態情報に収まりきらない電池データを含んでいる。ただし、追加電池状態情報は、基本電池状態情報に許容されるパケット長の最大を超えないものとする。
【0157】
例えば、バージョン「1.0」の二次電池2の電池状態情報は、電池温度データ、電池種類データ、電池使用履歴データを含む基本電池状態情報であり、バージョン「1.1」の二次電池2の電池状態情報は、電池温度データ、電池種類データ、電池使用履歴データを含む基本電池状態情報に加えて、電池回路温度データを含む追加電池状態情報を有している。
【0158】
なお、バージョン「1.1」の二次電池2の基本電池状態情報は、バージョン「1.0」の二次電池2の基本電池状態情報と同じ構成であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、バージョン「1.0」の二次電池2の電池状態情報は、電池温度データ、電池種類データを含む基本電池状態情報のみを有し、バージョン「1.1」の二次電池2の電池状態情報は、電池温度データ、電池種類データに加えて、電池使用履歴データなどの新たなデータを含む基本電池状態情報と、電池回路温度データを含む追加電池状態情報と、を有している場合である。基本電池状態情報は、シリアル通信の規約に許容されるパケット長の最大を超えなければ良い。
【0159】
基本電池状態情報は、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の開始を識別するための通信開始データと、少なくとも1つの電池データと、それぞれ通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0160】
追加電池状態情報は、通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の開始を識別するための通信開始データと、基本電池状態情報に含まれない少なくとも1つの電池データと、それぞれ通信インターフェース43を通じて二次電池2から電気機器1へ送信される一纏まりの情報の終了を識別するための通信終了データと、を含む。
【0161】
図13から
図16に示すように、本実施形態に係る電気機器1の本体制御部23は、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致する場合には(ステップS11 Yes)、二次電池2のマイナーバージョン番号63と本体が対応可能なマイナーバージョン番号63とを比較する(ステップS71)。二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63より小さい場合には(ステップS71 No)、本体制御部23は、電池状態情報要求として基本電池状態情報を要求する信号を二次電池2へ送信する(ステップS72)。
【0162】
なお、電池制御部52に基本電池状態情報を要求する際に、本体制御部23から電池制御部52へ送信される要求信号を、以下「基本電池状態情報要求」と呼ぶ。
【0163】
二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63以上の場合には、本体制御部23は、前回送信した要求が基本電池状態情報要求か否かを判断する(ステップS73)。前回送信した要求が基本電池状態情報要求の場合には(ステップS73 Yes)、本体制御部23は、電池状態情報要求として追加電池状態情報を要求する信号を二次電池2へ送信する(ステップS74)。
【0164】
なお、電池制御部52に追加電池状態情報を要求する際に、本体制御部23から電池制御部52へ送信される要求信号を、以下「追加電池状態情報要求」と呼ぶ。
【0165】
一方、前回送信した要求が基本電池状態情報要求ではない場合、つまり前回送信した要求が追加電池状態情報要求の場合には(ステップS73 No)、本体制御部23は、電池状態情報要求として基本電池状態情報要求を二次電池2へ送信する(ステップS72)。
【0166】
つまり、二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63以上の場合には、基本電池状態情報要求と追加電池状態情報要求とは、交互に二次電池2へ送信される。この基本電池状態情報要求と追加電池状態情報要求との交換処理は、計数値が偶数か奇数かを判断することで容易に処理できる。
【0167】
次に、電池制御部52は、送受信部41を介して取得した電池状態情報要求に基づき、電池送受信部42を介して電気機器1の送受信部41へ電池状態情報を送信する。この処理は、
図16のステップS81からステップS84の処理である。
【0168】
つまり、基本電池状態情報要求を受信した場合には(ステップS81 Yes)、電池制御部52は、電気機器1の送受信部41へ基本電池状態情報を送信する(ステップS82)。また、追加電池状態情報要求を受信した場合には(ステップS81 No、ステップS83 Yes)、電池制御部52は、電気機器1の送受信部41へ追加電池状態情報を送信する(ステップS84)。
【0169】
バージョン「1.1」対応の電気機器1は、バージョン「1.1」の二次電池2が接続されている場合には、二次電池2から種別識別情報を取得し、この種別識別情報に対応させて基本電池状態情報要求を送信し、二次電池2から基本電池状態情報を取得し、その後に追加電池状態情報要求を送信し、二次電池2から追加電池状態情報を取得する。基本電池状態情報および追加電池状態情報を取得したバージョン「1.1」対応の電気機器1は、それら複数の電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7Aで実行する。
【0170】
また、バージョン「1.1」対応の電気機器1は、バージョン「1.0」の二次電池2が接続されている場合には、二次電池2から種別識別情報を取得し、この種別識別情報に対応させて基本電池状態情報要求を送信し、二次電池2から基本電池状態情報を取得する。このとき、バージョン「1.1」対応の電気機器1は、追加電池状態情報要求を送信せず、したがって追加電池状態情報を取得しない。基本電池状態情報を取得したバージョン「1.1」対応の電気機器1は、基本電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7Aで実行する。
【0171】
なお、バージョン「1.0」対応の電気機器1は、
図6のとおり追加電池状態情報要求を送信しない。つまり、バージョン「1.0」対応の電気機器1は、バージョン「1.1」の二次電池2から実質的に電池状態情報要求と同じ基本電池状態情報要求を送信し、二次電池2から実質的に電池状態情報と同じ基本電池状態情報を取得する。電池状態情報を取得したバージョン「1.0」対応の電気機器1は、電池状態情報によって二次電池2の状態を認知し、これに応じた負荷の運転制御をステップS7で実行する。
【0172】
そして、
図14に例示する本体制御部23は、
図4のステップS3とS4、および、
図6のステップS3とS12に相当する処理である基本電池状態情報の要求および基本電池状態情報の取得と、同じく
図4のステップS3およびS4に相当する処理である追加電池状態情報要求と追加電池状態情報の取得と、を予め定める周期で繰り返す。なお、追加電池状態情報は複数あっても良い。追加電池状態情報が複数ある場合には、本体制御部23は、基本電池状態情報の要求および基本電池状態情報の取得の処理後、追加電池状態情報要求(
図15のステップS73からステップS74)と追加電池状態情報の取得の処理を、追加電池状態情報の追加数分繰り返す。
【0173】
そして、本体制御部23は、
図4のステップS3とS4と、つまり
図14のステップS3Aと
図16のステップS82、ステップS84とを予め定める周期で繰り返す。
【0174】
つまり、本体制御部23は、二次電池2のバージョン番号が下位であるときは第一電池状態情報を利用し、二次電池2のバージョン番号が上位であるときは基本電池状態情報および追加電池状態情報の両方を利用して、二次電池2の充放電の制御を実行する。
【0175】
図17は、本発明の実施形態に係る電気機器の負荷の運転制御の第四例を詳細に示すフローチャートである。なお、
図17の処理において
図6または
図14の処理と同様の処理には
図6および
図14と同じステップ番号を付し、繰り返しになる説明は省略する。
【0176】
図18は、本発明の実施形態に係る電気機器の電池状態情報要求周期制御を詳細に示すフローチャートである。
【0177】
図17および
図18に示すように、本実施形態に係る電気機器1は、二次電池2から取得した電池情報に基づいて選定後の電池情報を所定の基本周期内に受信するか、所定の基本周期毎に受信するか、を選定し、選定後の電池情報を所定の基本周期内に受信する場合には、選定後の電池情報を、基本電池状態情報と、少なくとも1つの追加電池状態情報と、に分けて所定の基本周期内に二次電池から受信するよう、第二電池情報要求を所定の基本周期内に複数回送信し、選定後の電池情報を所定の基本周期毎に受信する場合には、選定後の電池情報を、基本電池状態情報と、少なくとも1つの追加電池状態情報と、に分けて所定の基本周期毎に順次に二次電池から受信するよう、第二電池情報要求を所定の基本周期毎に送信する。そこで、本体制御部23は、二次電池2のメジャーバージョン番号62と本体が対応可能なメジャーバージョン番号62とが一致する場合には(ステップS11 Yes)、電池状態情報要求周期制御(ステップS91、
図18)を開始する。
【0178】
本体制御部23は、二次電池2のマイナーバージョン番号63と本体が対応可能なマイナーバージョン番号63とを比較する(ステップS101)。二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63より小さい場合には(ステップS101 No)、本体制御部23は、電池状態情報を要求する周期を所定の基本周期に設定する(ステップS103)。一方、二次電池2のマイナーバージョン番号63が、本体が対応可能なマイナーバージョン番号63以上の場合には(ステップS101 Yes)、本体制御部23は、電池状態情報を要求する周期を所定の基本周期より短い所定の短縮周期に設定する(ステップS102)。
【0179】
なお、所定の基本周期は例えば1.0秒に設定され、所定の短縮周期は、所定の基本周期を電池状態情報の総数で除した時間、本実施形態では基本電池状態情報と追加状態情報の総数である2で1.0秒を除した0.5秒に設定される。
【0180】
その後、本体制御部23は、基本電池状態情報の取得、または、基本電池状態情報と追加電池状態情報の取得から所定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS13A)。ステップS13Aで判断される所定の時間は、ステップS91で設定される所定の基本周期、または所定の短縮周期である。本体制御部23は、所定の時間を経過した場合(ステップS13A Yes)、ステップS3Aへ戻って処理を繰り返す。
【0181】
図19は、本発明の実施形態に係る電気機器に装着される二次電池の電池情報の送受信のタイミングチャートの一例である。
【0182】
図19は、電気機器1と二次電池2との間で行われる、種別識別情報要求および種別識別情報の送受信と、電池状態情報要求および電池状態情報の送受信と、の時間的な関係性を示す。
【0183】
図19(a)は、
図14における種別識別情報要求、種別識別情報、基本電池状態情報要求、基本電池状態情報、追加電池状態情報要求、および追加電池状態情報の送受信の時間的な関係性を示す。
【0184】
図19(a)に示すように、本体制御部23は、送受信部41を介して二次電池2へ種別識別情報要求信号を送信し(ステップS1c)、種別識別要求信号に応じて二次電池2から送信された種別識別情報を取得する(ステップS2c)。
【0185】
続いて、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する基本電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3c1)。次いで、基本電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された基本電池状態情報を取得する(ステップS4c1)。
【0186】
次に、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する追加電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3c2)。次いで、追加電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された追加電池状態情報を取得する(ステップS4c2)。
【0187】
その後、本体制御部23は、基本電池状態情報要求信号の送信、基本電池状態情報の取得、追加電池状態情報要求信号の送信、追加電池状態情報の取得の順に、所定の基本周期毎に送受信を行う(ステップS3c1からS4c2までの繰り返し)。例えば、
図19(a)に示すように、本体制御部23は、所定の基本周期、例えば1.0秒毎に基本電池状態情報要求信号の送信を行い、基本電池状態情報要求信号の送信から所定の基本周期が経過した後、追加電池状態情報要求信号の送信を行う。結果として、1.0秒毎に基本電池状態情報要求信号の送信と追加電池状態情報要求信号の送信とを交互に切り替えながら電池状態情報を要求する信号を送信することとなり、基本電池状態情報要求信号の送信、基本電池状態情報の取得、追加電池状態情報要求信号の送信、追加電池状態情報の取得の順に送受信を繰り返す。
【0188】
なお、
図4のステップS3およびS4は、
図4のステップS5よりも前に繰り返し行われる。つまり、
図19(a)の場合、基本電池状態情報要求(ステップS3c1)、基本電池状態情報の取得(ステップS4c1)、追加電池状態情報要求(ステップS3c2)、追加電池状態情報の取得(ステップS4c2)の順に行われる一連の処理は、動作要求の取得に先んじて繰り返し行われる。
【0189】
なお、
図17および
図18の第四例における所定の基本周期は、
図19(a)に示す所定の時間と同じ概念である。
【0190】
図19(b)は、
図17および
図18の第四例における種別識別情報要求、種別識別情報、基本電池状態情報要求、基本電池状態情報、追加電池状態情報要求、および追加電池状態情報の送受信の時間的な関係性を示し、特に基本電池状態情報要求、基本電池状態情報、追加電池状態情報要求、および追加電池状態情報を所定の短縮周期で送受信する場合の時間的な関係性を示している。
【0191】
図19(b)に示すように、本体制御部23は、送受信部41を介して二次電池2へ種別識別情報要求信号を送信し(ステップS1d)、種別識別要求信号に応じて二次電池2から送信された種別識別情報を取得する(ステップS2d)。
【0192】
続いて、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する基本電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3d1)。次いで、基本電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された基本電池状態情報を取得する(ステップS4d1)。
【0193】
次に、本体制御部23は、取得したバージョン情報61に対応する追加電池状態情報要求信号を、送受信部41を介して二次電池2送信する(ステップS3d2)。次いで、追加電池状態情報要求信号に応じて二次電池2から送信された追加電池状態情報を取得する(ステップS4d2)。
【0194】
その後、本体制御部23は、基本電池状態情報要求信号の送信、基本電池状態情報の取得、追加電池状態情報要求信号の送信、追加電池状態情報の取得の順に、所定の短縮周期毎に送受信を行う(ステップS3d1からS4d2までの繰り返し)。例えば、
図19(b)に示すように、本体制御部23は、所定の短縮周期、例えば0.5秒毎に基本電池状態情報要求信号の送信を行い、基本電池状態情報の送信から所定の短縮周期が経過した後、追加電池状態情報要求信号の送信を行う。結果として、0.5秒毎に基本電池状態情報要求信号の送信と追加電池状態情報要求信号の送信とを交互に切り替えながら電池状態情報を要求する信号を送信することとなり、基本電池状態情報要求信号の送信、基本電池状態情報の取得、追加電池状態情報要求信号の送信、追加電池状態情報の取得の順に送受信を繰り返す。
【0195】
つまり、
図19(a)と
図19(b)との差異は、電池状態情報の要求と取得とを行う周期の違いであり、
図19(b)における所定の周期、つまり所定の短縮周期は、
図19(a)における所定の周期、
図17および
図18の第四例にあっては所定の基本周期より短い。
【0196】
なお、
図4のステップS3およびS4は、
図4のステップS5よりも前に繰り返し行われる。つまり、
図19(b)の場合、基本電池状態情報要求(ステップS3d1)、基本電池状態情報の取得(ステップS4d1)、追加電池状態情報要求(ステップS3d2)、追加電池状態情報の取得(ステップS4d2)の順に行われる一連の処理は、動作要求の取得に先んじて繰り返し行われる。
【0197】
以上のように構成される本実施形態に係る電池交換可能な電気機器1は、二次電池2から取得したバージョン情報に基づいて基本電池状態情報および追加電池状態情報の一部または全部の電池情報の項目を決定し、決定した一部または全部の電池情報を二次電池2に送信させて取得し、二次電池から取得した電池情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。つまり、電気機器1は、同一のメジャーバージョン番号62を有する二次電池2の放電量の制御および充電量の制御に電池状態情報を利用可能である一方、対応可能なマイナーバージョン番号63の上限よりも上位のマイナーバージョン番号63を有する二次電池2が接続された場合には、電池情報に記述されている、対応可能な上限のマイナーバージョン番号63に対応する電池データを電池状態情報として取得して、この基本電池状態情報および追加電池状態情報に基づいて二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、監視項目の増加、つまり電池データの増加による電池状態情報の情報量が増大した二次電池2では、電池状態情報を複数の電池状態情報、つまり基本電池状態情報および追加電池状態情報に分割することで二次電池2から充放電に利用する電池状態情報を適切に取得できる。そのようなバージョン対応処理可能な電気機器1は、二次電池2の電池状態情報の変更、および付加に容易かつ適切に対応することできる。したがって、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、より異なる電池状態情報を有する新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができる。また、状態情報に二次電池2の電池状態を表現する情報を分散して記述して、電池の改良や開発の進展にともなう電池情報の情報量の増加に容易かつ適切に対応することできる。
【0198】
したがって、本実施形態に係る電気機器1によれば、電池特性の異なる種々の二次電池2、および同じ種類であっても電池状態の異なる二次電池2を、出荷時点で既知であるか未知であるかを問わず、かつ出荷時点で最大データ量が未知であっても、より適切な設定で利用することができる。
【0199】
さらに、電気機器1は、1つの二次電池に複数の電池状態情報が含まれている場合、所定の周期内または所定の周期毎に電池状態情報要求を送信して二次電池2から電池状態情報を分割して取得し、二次電池2から取得した電池状態情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。つまり、電気機器1は、同一のメジャーバージョン番号62を有する二次電池2が装着されている場合には、マイナーバージョン番号63に基づいて決定した所定の基本周期を分割した短縮周期で複数の電池状態情報を迅速に取得する一方、対応可能なマイナーバージョン番号63の上限よりも下位のマイナーバージョン番号63を有する二次電池2が接続された場合には、二次電池2のマイナーバージョン番号63に対応する所定の基本周期で複数の電池状態情報を取得し、二次電池2の放電量の制御および充電量の制御を実行する。そのため、電気機器1は、バージョン情報61によって管理され、かつ同一のメジャーバージョン番号62が付与された多種類の二次電池2から適切な周期で充放電に利用する電池状態情報を取得できる。そのようなバージョン対応処理可能な電気機器1は、二次電池2への電池状態情報要求の要求周期の変更に容易かつ適切に対応することできる。つまり、電気機器1は、二次電池2の交換を許容し、かつ、電池状態情報の取得周期が異なる新たな二次電池2を適切かつ容易に利用することができる。
【0200】
さらに、負荷への電力供給の有無に係わらず、電気機器1は、所定の周期で電池状態情報要求信号を送信し、電池状態情報を取得し、二次電池から取得した電池情報に基づき負荷である電動送風機6を制御する。そのため、二次電池2と電気機器1との間の通信の制約や規約に係わらず、電池情報を適切に取得可能であって、かつ従来の二次電池よりも迅速に電池状態を取得することができ、電池情報の取得に要する時間の無用な拡大を容易に防ぐことができ、電動送風機6を迅速に指導することができる。
【0201】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0202】
1…電気機器、2…二次電池、3…電動機、5…電気掃除機、6…電動送風機、11…把手、12…掃除機本体、15…延長管、16…吸込口体、17…本体ケース、17a…前部、17b…中央部、17c…後部、19…塵埃分離集塵部、21…電池装着部、22…充電端子、23…本体制御部、25…本体接続口、26…排気口、27…入力部、28…記憶装置、29…報知部、31…吸込口、32…回転清掃体、33…電動機、41…送受信部、42…電池送受信部、43…通信インターフェース、44…信号線、45…素電池、51…電池状態観測部、52…電池制御部、53…内部メモリ、61…バージョン情報、62…メジャーバージョン番号、63…マイナーバージョン番号。