(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037646
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】除電器および除電システム
(51)【国際特許分類】
H05F 3/04 20060101AFI20240312BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20240312BHJP
H01T 19/00 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H05F3/04 A
H01T23/00
H01T19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022177303
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2022142585
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】梁 世英
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067AA21
5G067DA01
5G067DA19
5G067DA21
5G067DA22
5G067EA01
(57)【要約】
【課題】管理の負担を増加させることなく、製品の製造状況を厳格に管理することが可能な除電器および除電システムを提供する。
【解決手段】除電器200は、イオン発生部、イオン制御部、測定値取得部233、データ生成部234および不揮発性記憶部を備える。イオン発生部は、イオンを発生させる。イオン制御部は、イオン発生部を制御する。測定値取得部233は、イオン制御部による制御に関連する測定値を取得するとともに、測定値が取得された測定時刻を取得する。データ生成部234は、測定値と測定時刻とに基づいて履歴データを生成する。不揮発性記憶部は、履歴データを記憶する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンを発生させるイオン発生部と、
前記イオン発生部を制御するイオン制御部と、
前記イオン制御部による制御に関連する測定値を取得するとともに、前記測定値が取得された測定時刻を取得する測定値取得部と、
前記測定値と前記測定時刻とに基づいて履歴データを生成するデータ生成部と、
前記履歴データを記憶する不揮発性記憶部とを備える、除電器。
【請求項2】
前記履歴データは、第1の時間の間隔で取得された前記測定値と前記測定時刻とが対応付けられた第1のデータを含む、請求項1記載の除電器。
【請求項3】
前記第1の時間よりも短い第2の時間の間隔で前記履歴データを記憶する揮発性記憶部をさらに備え、
前記不揮発性記憶部は、前記第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内における所定の時刻に前記揮発性記憶部に記憶された前記履歴データを前記第1のデータとして記憶する、請求項2記載の除電器。
【請求項4】
前記不揮発性記憶部は、前記第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内に前記揮発性記憶部に記憶された前記履歴データにおける前記測定値の特徴値をさらに記憶する、請求項3記載の除電器。
【請求項5】
前記特徴値は、最大値および最小値の少なくとも一方を含む、請求項4記載の除電器。
【請求項6】
前記履歴データは、所定のイベントが発生したときに取得された前記測定値と前記測定時刻とが対応付けられた第2のデータを含む、請求項1記載の除電器。
【請求項7】
所定の時間の間隔で前記履歴データを記憶する揮発性記憶部をさらに備え、
前記不揮発性記憶部は、イベントの発生時刻を含む一定の期間に前記揮発性記憶部に記憶された前記履歴データを前記第2のデータとして記憶する、請求項6記載の除電器。
【請求項8】
前記揮発性記憶部は、当該揮発性記憶部に割り当てられた所定の記憶領域の全部に前記履歴データが記憶された場合、最先に記憶された前記履歴データに上書きして、最新の前記履歴データを記憶する、請求項3~5および7のいずれか一項に記載の除電器。
【請求項9】
前記履歴データは、前記測定値に関する所定のイベントが発生したときの日時を示す第3のデータを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の除電器。
【請求項10】
前記イオン発生部により発生されたイオンを所定の方向に送るファンをさらに備え、
前記測定値は、イオン量と、前記ファンの回転速度とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の除電器。
【請求項11】
前記測定値は、イオンバランスをさらに含む、請求項10記載の除電器。
【請求項12】
前記測定値は、イオン電流をさらに含む、請求項11記載の除電器。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載の除電器と、
前記除電器に接続可能な制御装置とを備え、
前記除電器は、ネットワークに接続される第1の通信部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ネットワークに接続される第2の通信部と、
前記不揮発性記憶部に記憶された前記履歴データを、前記ネットワークを介して取得するデータ取得部とを備える、除電システム。
【請求項14】
前記除電器は、
前記制御装置に設定された時刻を示す時刻情報を前記制御装置から受信し、受信された前記時刻情報が示す時刻を当該除電器に設定する時刻設定部をさらに備え、
前記測定値取得部は、前記時刻設定部により設定された時刻に基づいて、前記測定値が取得された前記測定時刻を特定し、
前記制御装置は、前記時刻情報を前記除電器に送信する時刻情報送信部をさらに備える、請求項13記載の除電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電対象物を除電する除電器および除電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスまたは液晶表示装置等の製造ラインにおいて、製造に用いられる各部品が帯電していると、静電破壊が生じたり、当該部品に異物が付着したりすることにより製品の歩留まりが低下する可能性がある。各部品が帯電することに起因する歩留まりの低下を抑制するために、除電器が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された除電装置(除電器)においては、電極針から発生するプラスイオンおよびマイナスイオンがファンにより対象物体に吹き付けられる。また、除電装置においては、接地線に接続された検出抵抗の信号により、イオンバランスが保持されるように、電極針に接続される正負の高電圧発生回路の出力電圧が制御される。これにより、被除電物に蓄積された電荷が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、製造ラインにおいて、製品の除電状況等の製造状況を厳格に管理することが要求されている。しかしながら、製品の製造状況を厳格に管理すると、管理に伴う負担が増加する。
【0006】
本発明の目的は、管理の負担を増加させることなく、製品の製造状況を厳格に管理することが可能な除電器および除電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う除電器は、イオンを発生させるイオン発生部と、前記イオン発生部を制御するイオン制御部と、前記イオン制御部による制御に関連する測定値を取得するとともに、前記測定値が取得された測定時刻を取得する測定値取得部と、前記測定値と前記測定時刻とに基づいて履歴データを生成するデータ生成部と、前記履歴データを記憶する不揮発性記憶部とを備える。
【0008】
本発明の他の局面に従う除電システムは、上記の除電器と、前記除電器に接続可能な制御装置とを備え、前記除電器は、ネットワークに接続される第1の通信部をさらに備え、前記制御装置は、前記ネットワークに接続される第2の通信部と、前記不揮発性記憶部に記憶された前記履歴データを、前記ネットワークを介して取得するデータ取得部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理の負担を増加させることなく、製品の製造状況を厳格に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る除電システムの構成の概略を説明するための図である。
【
図2】帯電検出システムの簡易的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のイオンバランスセンサの構成を説明するためのブロック図である。
【
図4】イオン検出回路の具体的な構成の一例を示す回路図である。
【
図5】
図1の除電器の構成を説明するためのブロック図である。
【
図6】
図1の除電器の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】表示部、操作部および表示灯の配置の一例を示す図である。
【
図8】除電器制御部の構成を説明するための除電器のブロック図である。
【
図9】
図8の除電器記憶部に記憶される履歴データを説明するための図である。
【
図12】風量調整画面における風量の設定の変更例を示す図である。
【
図14】イベント表示領域の詳細を説明するための図である。
【
図16】第1イベント履歴画面の一例を示す図である。
【
図17】第2イベント履歴画面の一例を示す図である。
【
図18】第3イベント履歴画面の一例を示す図である。
【
図19】イベント詳細画面を表示させるための手順を説明するための図である。
【
図26】
図1の制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図28】除電器において行われる時刻設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図29】除電器において行われる一時記憶部制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図30】除電器において行われる除電器記憶部制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図31】制御装置において行われる制御装置管理処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.除電システムの構成の概略および使用例
以下、本発明の一実施の形態に係る除電器および除電システムについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る除電システムの構成の概略を説明するための図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る除電システム1は、主として複数の除電器200および制御装置300を備える。複数の除電器200および制御装置300は、ネットワーク309に有線または無線で接続され、互いに通信可能となっている。除電システム1は、帯電検出システム400をさらに備えてもよい。この場合、帯電検出システム400は、ネットワーク309に有線または無線で接続される。ネットワーク309は、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)またはインターネット等の通信回線網である。本実施の形態においては、ネットワーク309に接続される複数の除電器200の個数は、50個、100個または1000個等である。
【0012】
除電器200は、除電器筐体11を含み、その除電器筐体11内に、正イオンおよび負イオンを発生させるための各種高圧回路等が収容された構成を有する。除電器筐体11には、送風口12が形成されている。除電器筐体11には、後述するファン201の前方を覆うようにカバー13が取り付けられてもよい。この場合、送風口12は、カバー13に形成される。また、除電器筐体11には、カバー13の取付部にカバー13が取り付けられていることを検出するカバー検出センサが設けられてもよい。除電器200は、除電器筐体11内で発生した正イオンおよび負イオンを送風口12を通して除電器200の外方に送り出す。
【0013】
以下の説明では、除電器筐体11の送風口12から、除電器200の外方に流れる気体(本例では、正イオンおよび負イオンを含むエア)を除電気体と呼ぶ。カバー13は、除電気体の拡散角を調整するルーバとして機能してもよい。また、除電器200から送り出される除電気体が供給されるべき空間、すなわち対象物の除電が行われるべき除電対象空間を対象空間と呼ぶ。複数のベルトコンベアが準備され、各ベルトコンベアにより複数の対象物が一定速度で順次運搬され、各ベルトコンベア上の所定の空間において、各対象物の除電が行われてもよい。この場合、各ベルトコンベア上の当該空間が対象空間となる。
【0014】
対象空間のイオンバランスに偏りがあると、対象物を適切に除電することができない。そこで、対象空間のイオンバランスを検出するために、複数の除電器200の各々には、イオンバランスセンサ100が接続されている。各除電器200に対応する対象空間に、当該除電器200に接続されたイオンバランスセンサ100が設けられる。本実施の形態においては、対象空間のイオンバランスとは、対象空間内の電気的な極性の偏りの度合いである。
【0015】
対象空間のイオンバランスは、例えば除電器200から対象空間に流れる除電気体に含まれる正イオンの量と負イオンの量とが等しいかまたはほぼ等しい場合に0に近づく。一方、対象空間のイオンバランスは、例えば除電器200から対象空間に流れる除電気体に含まれる正イオンの量と負イオンの量とが異なることにより0から乖離する(偏る)。イオンバランスセンサ100は、導電性の検出プレート110Aを有する。検出プレート110Aの電位に基づいて対象空間のイオンバランスが検出される。イオンバランスセンサ100の詳細については後述する。
【0016】
本実施の形態に係るイオンバランスセンサ100は、対象空間に設けられることにより、対象空間のイオンバランスに加えて、対象空間の環境に関する情報を検出することが可能である。具体的には、イオンバランスセンサ100は、対象空間の環境に関する情報として、単位時間当たりに対象空間を流れるイオンの量(以下、対象空間のイオン電流と呼ぶ。)を検出することが可能である。さらに、イオンバランスセンサ100は、対象空間の環境に関する情報として、対象空間の温度および湿度を検出することが可能である。
【0017】
イオンバランスセンサ100は、ケーブルを介して除電器200に接続される。イオンバランスセンサ100において検出される上記の各種情報は、ケーブルを通して除電器200に伝送される。この場合、除電器200においては、対象空間のイオンバランスの検出結果に基づいて当該除電器200における正イオンの発生状態および負イオンの発生状態を調整することができる。それにより、対象物の除電に適切な除電気体が対象空間に供給される。
【0018】
ここで、除電器200の送風口12が対象空間からずれた位置に向いていると、除電気体が除電器200から対象空間に流れない。この場合、イオン電流は0または0に近い値で検出される。一方、除電器200の送風口12が対象空間に向いていると、除電気体は除電器200から対象空間に適切に流れる。この場合、イオン電流は、除電気体に含まれるイオンの量に応じた値で検出される。
【0019】
したがって、除電器200においては、イオン電流の検出結果に基づいて、除電器200の位置および姿勢(設置状態)が適切であるか否かを判定することができる。具体的には、イオン電流の値が予め定められたイオン電流しきい値以下である場合に除電器200の設置状態が異常であると判定することができる。また、イオン電流の値がイオン電流しきい値よりも大きい場合に除電器200の設置状態が正常であると判定することができる。このような判定結果が使用者に提示されることにより、使用者は、除電器200の設置状態の調整の要否を容易に把握することができる。
【0020】
さらに、除電器200においては、対象空間の温度および湿度の検出結果をメモリに記憶させておくことにより、対象空間の環境状態の変化を管理することができる。
【0021】
制御装置300は、例えばパーソナルコンピュータであり、例えばCPU(中央演算制御装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含む。制御装置300には、本体表示部330および本体操作部340が接続されている。本体表示部330は、LCD(液晶ディスプレイ)パネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。本体操作部340は、キーボードおよびポインティングデバイスを含み、使用者により操作可能に構成される。
【0022】
制御装置300は、複数の除電器200についての各種動作条件の設定、および複数の除電器200の動作状態の監視等に用いられる。除電器200の複数の動作条件には、後述する除電器200のファンにより対象空間に送られる気体の流量(風量)、除電器200が正常な状態にあるか異常な状態にあるかを判定するための各種しきい値、除電器200における後述する操作部260の操作を無効にするか否か等が含まれる。制御装置300は、帯電検出システム400により検出される帯電量の監視に用いられてもよい。
【0023】
2.帯電検出システムの構成
図2は、帯電検出システム400の簡易的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、帯電検出システム400は、帯電検出装置410、複数の帯電検出装置420および通信装置430を含む。帯電検出装置410、複数の帯電検出装置420および通信装置430の各々は、CPUを含むとともに、通信機能を有する。
【0024】
帯電検出装置410には、検出ヘッド411が接続される。検出ヘッド411は、いずれかのベルトコンベア上の対象空間よりも下流の空間に配置される。検出ヘッド411は、帯電検出装置410による制御に従って、検出ヘッド411が配置された空間の帯電量を検出する。また、検出ヘッド411は、検出された帯電量を帯電検出装置410に与える。これにより、帯電検出装置410は、検出ヘッド411により検出された帯電量を取得する。
【0025】
複数の帯電検出装置420には、複数の検出ヘッド421がそれぞれ接続される。複数の検出ヘッド421は、他の複数のベルトコンベア上の対象空間よりも下流の空間にそれぞれ配置される。各検出ヘッド421は、対応する帯電検出装置420による制御に従って、当該検出ヘッド421が配置された空間の帯電量を検出する。また、各検出ヘッド421は、検出された帯電量を対応する帯電検出装置420に与える。これにより、各帯電検出装置420は、対応する検出ヘッド421により検出された帯電量を取得する。
【0026】
帯電検出装置410は、各帯電検出装置420により取得された帯電量を各帯電検出装置420から取得する。通信装置430は、帯電検出装置410と制御装置300との間の通信プロトコル変換を行うことにより、帯電検出装置410により取得された帯電量を制御装置300に送信する。
【0027】
この構成によれば、各ベルトコンベア上の対象空間で除電が行われ、下流に運搬された対象物の帯電量が、検出ヘッド411および複数の検出ヘッド421のいずれかにより検出される。これにより、対象物の除電が適切に行われたか否かを制御装置300において監視することができる。
【0028】
3.イオンバランスセンサの基本構成
図3は、
図1のイオンバランスセンサ100の構成を説明するためのブロック図である。
図3に示すように、イオンバランスセンサ100は、検出プレート110A、イオン検出回路110B、温度検出素子120、湿度検出素子130、センサ表示灯140、センサ通信部150、センサ電源部160およびセンサ制御部190を含む。
【0029】
検出プレート110Aは、導電性を有する材料(例えば金属材料)で構成され、イオンバランスセンサ100を取り囲む空間に露出するように設けられる。イオン検出回路110Bは、検出プレート110Aに接続され、検出プレート110Aの経時的な電位の変化に基づいて、対象空間のイオンバランスおよびイオン電流に対応する信号を出力する。イオン検出回路110Bの具体的な構成については後述する。
【0030】
温度検出素子120は、当該温度検出素子120が配置される空間の温度に対応する信号を出力する素子であり、例えば熱電対または測温抵抗体である。イオンバランスセンサ100は、温度検出素子120が配置される空間とイオンバランスセンサ100を取り囲む空間とが連通するように構成されるため、温度検出素子120は、イオンバランスセンサ100を取り囲む空間(対象空間)の温度に対応する信号を出力する。湿度検出素子130は、例えば高分子湿度検出素子であり、イオンバランスセンサ100を取り囲む空間(対象空間)の湿度に対応する信号を出力する。
【0031】
センサ表示灯140は、例えば異なる色で発光する複数の発光ダイオードを含む。センサ通信部150は、センサ制御部190から出力される各種信号をケーブルを介して除電器200に送信する。また、センサ通信部150は、ケーブルを介して除電器200から送信される各種情報を受信し、センサ制御部190に与える。
【0032】
センサ電源部160は、ケーブルを介して除電器200から供給される電力を受け、受けた電力を適宜変換してイオンバランスセンサ100の各構成要素に供給する。
【0033】
センサ制御部190は、マイクロコンピュータを含み、各種情報の生成および各構成要素の制御を行う。なお、センサ制御部190は、マイクロコンピュータに代えて、CPUおよびメモリを含んでもよい。センサ制御部190のマイクロコンピュータまたはメモリには、主として対象空間のイオンバランス、イオン電流、温度および湿度を検出するため、ならびに除電器200との間で各種情報の授受を行うためのプログラムが記憶されている。
【0034】
センサ制御部190においては、マイクロコンピュータまたはCPUが当該センサ制御部190に記憶されたプログラムを実行する。それにより、センサ制御部190は、イオン検出回路110Bから出力される信号に基づいて対象空間のイオンバランスを検出し、検出結果を示す信号をイオンバランス信号として生成する。生成されたイオンバランス信号は、センサ制御部190から出力される。
【0035】
また、センサ制御部190は、イオン検出回路110Bから出力される信号に基づいて対象空間のイオン電流を検出し、検出結果を示す信号をイオン電流信号として生成する。生成されたイオン電流信号は、センサ制御部190から出力される。
【0036】
また、センサ制御部190は、温度検出素子120から出力される信号に基づいて対象空間の温度を検出し、検出結果を示す信号を温度信号として生成する。生成された温度信号は、センサ制御部190から出力される。
【0037】
また、センサ制御部190は、湿度検出素子130から出力される信号に基づいて対象空間の湿度を検出し、検出結果を示す信号を湿度信号として生成する。生成された湿度信号は、センサ制御部190から出力される。
【0038】
さらに、センサ制御部190は、例えばイオンバランスセンサ100において検出されたイオンバランスおよびイオン電流が予め定められた許容条件を満たす場合に、特定の一の色(例えば、緑色)で発光するようにセンサ表示灯140を制御する。一方、センサ制御部190は、例えばイオンバランスセンサ100において検出されたイオンバランスおよびイオン電流が上記の許容条件を満たさない場合に、特定の他の色(例えば、赤色)で発光するようにセンサ表示灯140を制御する。
【0039】
図4は、イオン検出回路110Bの具体的な構成の一例を示す回路図である。
図4に示すように、イオン検出回路110Bは、オペアンプ111、固定抵抗112および変調電圧源113を含む。オペアンプ111はバッファ回路として用いられ、当該オペアンプ111の非反転入力端子は、検出プレート110Aに電気的に接続されている。また、オペアンプ111の出力端子は、当該オペアンプ111の反転入力端子に接続されるとともにセンサ制御部190に接続されている。
【0040】
変調電圧源113は、周期性を有する変調電圧として、交流電圧を発生する。変調電圧源113は、固定抵抗112を介して検出プレート110Aとオペアンプ111の非反転入力端子との間のノードNに電気的に接続されている。
【0041】
上記のように、検出プレート110Aは、イオンバランスセンサ100を取り囲む空間(本例では対象空間)で露出するように設けられる。また、本例の対象空間には、除電器200から正イオンおよび負イオンを含む除電気体が流れる。
【0042】
上記のイオンバランスセンサ100においては、変調電圧源113が交流電圧を発生した状態で、オペアンプ111から出力される信号(電圧信号)の電圧波形の振幅の大きさまたはそれに対応する値が対象空間のイオン電流として検出される。また、オペアンプ111から出力される信号(電圧信号)の電圧波形の変動中心の値またはそれに対応する値が対象空間のイオンバランスとして検出される。
【0043】
4.除電器の基本構成
図5および
図6は、
図1の除電器200の構成を説明するためのブロック図である。
図5および
図6に示すように、除電器200は、ファン201、ファン駆動部202、検知電極203、正イオン発生部211、正極側高圧回路212、負イオン発生部221、負極側高圧回路222、除電器制御部230およびイオン情報生成部240を含む。これらの構成要素は、
図1の除電器筐体11内に収容される。また、除電器200には、対象物の帯電量を検出する表面電位計が設けられている。表面電位計により検出される帯電量に基づいて、帯電物の検知を行うことが可能である。
【0044】
図5では、正イオン発生部211および負イオン発生部221の模式的正面図がそれぞれ吹き出し内に示される。正イオン発生部211は、円環状部材211aおよび複数(本例では4つ)の電極針en1を含む。複数の電極針en1は、円環状部材211aの中心に向かって延びるように、円環状部材211aの内周部に等間隔で設けられている。負イオン発生部221は、正イオン発生部211と同様に、円環状部材221aおよび複数の電極針en2を含む。複数の電極針en2は、円環状部材221aの中心に向かって延びるように、円環状部材221aの内周部に等間隔で設けられている。
【0045】
正イオン発生部211には、正極側高圧回路212が接続されている。正極側高圧回路212は、抵抗および昇圧回路を含み、除電器制御部230の制御に基づいて正イオン発生部211の複数の電極針en1に高電圧を印加する。それにより、コロナ放電が発生し、正イオンが生成される。負イオン発生部221には、負極側高圧回路222が接続されている。負極側高圧回路222は、抵抗および昇圧回路を含み、除電器制御部230の制御に基づいて負イオン発生部221の複数の電極針en2に高電圧を印加する。それにより、コロナ放電が発生し、負イオンが生成される。
【0046】
ファン201は、
図1の除電器筐体11の内部で、送風口12に対向するようにかつ所定の回転軸201aの周りで回転可能となるように設けられている。ファン駆動部202は、例えばモータを含み、除電器制御部230の制御に基づいてファン201を回転軸201aの周りで回転させる。
【0047】
ファン201、負イオン発生部221および正イオン発生部211は、この順で
図1の送風口12からファン201の回転軸201aの方向に並ぶように配置されている。正イオン発生部211および負イオン発生部221の円環状部材211a,221aの中心は、ファン201の回転軸201a上に位置する。
【0048】
正イオン発生部211および負イオン発生部221においては、正極側高圧回路212および負極側高圧回路222が動作することにより、正イオンおよび負イオンがそれぞれ生成される。この状態で、ファン201が回転する。それにより、正イオンおよび負イオンを含む除電気体が除電器筐体11の送風口12を通して除電器200の外方に流れる。
図5では、除電器筐体11の送風口12から除電器200の外方に流れる除電気体の流れが、複数の太い一点鎖線の矢印ifで示される。検知電極203は、ファン201により送られる除電気体の流路上に配置される。検知電極203には、除電気体に起因するイオン電流が流れる。
【0049】
イオン情報生成部240は、除電器200において発生される正イオンおよび負イオンの全体的なイオンバランスをイオン情報として検出する。イオン情報は、除電器制御部230が正極側高圧回路212または負極側高圧回路222を制御するときに用いる情報である。イオン情報は、イオンバランスセンサ100により検出される対象空間のイオンバランスとは異なり、除電器200の送風口12を流れる除電気体のイオンバランスを含んでもよい。また、イオン情報は、対象空間および除電器200を取り囲む空間のイオンバランスを含んでもよい。したがって、イオン情報は、例えばファン201の近傍を流れる除電気体のイオンバランスを検出するとともに、対象空間および除電器200を取り囲む空間のイオンバランスを検出することにより、それらの検出結果に基づいて生成される。
【0050】
本例では、
図6に示すように、イオン情報生成部240は、内部イオン電流検出回路241および外部イオン電流検出回路242を含む。内部イオン電流検出回路241は、検知電極203に接続されるとともに、除電器筐体11に接続される。内部イオン電流検出回路241は、検知電極203を流れるイオン電流と、除電器筐体11の表面を流れるイオン電流とを内部イオン電流として検出する。外部イオン電流検出回路242は、アース電位に維持されたアース電極に接続される。外部イオン電流検出回路242は、対象空間からアースを経由して除電器200に戻るイオン電流を外部イオン電流として検出する。これらの内部イオン電流および外部イオン電流が検出されることにより、正イオン発生部211および負イオン発生部221により発生するイオン量が測定される。
【0051】
除電器制御部230は、CPUおよびメモリまたはマイクロコンピュータを含む。除電器制御部230は、除電器200による対象物の除電時に、予め設定された風量で除電気体が流れるようにファン駆動部202を制御する。また、除電器制御部230は、イオン情報生成部240により生成されるイオン情報に基づいて、除電気体のイオンバランスが0に近づくように正極側高圧回路212および負極側高圧回路222を制御する。
【0052】
除電器200は、エコモードで動作可能に構成されてもよい。エコモードにおいては、消費電力が極力小さい状態で上記の除電が行われる。例えば、エコモードにおいては、ファン201による風量が最も小さい状態(後述する風量レベル「1」)で除電が行われてもよい。
【0053】
除電器200は、上記の各構成要素(201,202,211,212,221,222,230,240)に加えて、表示部250、操作部260、除電器記憶部270、一時記憶部271、除電器通信部280、除電器電源部290、クリーン装置291、表示灯292および警報装置293をさらに含む。表示部250、操作部260および表示灯292は、除電器筐体11の一部に取り付けられる。除電器記憶部270、一時記憶部271、除電器通信部280、除電器電源部290、クリーン装置291および警報装置293は、除電器筐体11内に収容される。
【0054】
図7は、表示部250、操作部260および表示灯292の配置の一例を示す図である。
図7に示すように、表示部250は、除電器筐体11の正面の下部における中央領域に配置される。表示部250は、LCDパネルまたは有機ELパネルにより構成されている。表示部250は、除電器制御部230の制御に基づいて除電器200の各種設定情報等を表示する。
【0055】
操作部260は、複数の操作ボタンを含み、表示部250に隣り合うように除電器筐体11に設けられている。具体的には、操作部260は、上ボタン261、下ボタン262、左ボタン263、右ボタン264、決定ボタン265、取消ボタン266およびパワーボタン267を含む。上ボタン261、下ボタン262、左ボタン263、右ボタン264、決定ボタン265および取消ボタン266は、表示部250の一方の側方(本例では右)に配置される。パワーボタン267は、表示部250の他方の側方(本例では左)に配置される。また、除電器筐体11には、除電器200をオンオフするための図示しない主電源スイッチが設けられる。
【0056】
後述するように、除電器200は、クリーン装置291により電極針en1,en2をクリーニングすることが可能である。決定ボタン265は、表示部250に表示される内容に応じた指示を受け付けることに加えて、クリーニングの開始の指示も受け付ける。使用者は、除電器200に対して、決定ボタン265を短押しすることにより表示部250に表示される内容に応じた指示を、決定ボタン265を2秒間以上長押しすることによりクリーニングの開始の指示を、行うことができる。除電器200において、クリーニングの実行中には除電が実行されない。そのため、決定ボタン265の長押しをクリーニング開始の指示に割り当てることにより、使用者による操作部260の誤操作により除電が実行されない期間が設けられることを防止することができる。
【0057】
パワーボタン267は、除電の開始の指示と除電の停止の指示とを受け付ける。すなわち、使用者は、パワーボタン267を押すことにより、除電の開始と除電の停止とを除電器200に指示することができる。除電器200が除電を停止した状態でパワーボタン267が押されると除電器200は除電を開始し、除電器200が除電を実行している状態でパワーボタン267が押されると除電器200は除電を停止する。
【0058】
さらに、使用者は、操作部260を操作することにより、除電器200の動作条件の設定を行うこと、イオンバランスセンサ100によるイオンバランスの検出結果等を表示部250に表示させること等が可能である。上ボタン261、下ボタン262、左ボタン263、右ボタン264、決定ボタン265および取消ボタン266等の他のボタンの操作例については、表示部250の表示例と合わせて後述する。
【0059】
また、除電器200は、ロックモードで動作可能に構成されてもよい。ロックモードにおいては、各種動作条件を変更できる使用者を、特定の使用者に限定する。したがって、除電器200に設定された各種動作条件を変更する際には、パスワードの入力が要求される。使用者は、操作部260を操作することにより、パスワードを除電器200に入力することができる。パスワードが入力されることにより、ロックが一時的に解除され、各種動作条件の設定を変更することが可能になる。このように、パスワードの入力を要求することにより、パスワードを知る特定の使用者のみが各種動作条件を変更できるようにすることができる。
【0060】
図5の除電器通信部280は、ケーブルを介してイオンバランスセンサ100のセンサ通信部150(
図3)から送信される各種情報の信号を受信し、除電器制御部230に与える。また、除電器通信部280は、
図1のネットワーク309に接続されているときに、ネットワーク309を介して制御装置300から送信される各種情報の信号を受信し、除電器制御部230に与える。さらに、除電器通信部280は、除電器制御部230から出力される各種情報の信号を制御装置300に送信する。
【0061】
一時記憶部271は、揮発性記憶部であり、例えばRAMにより実現される。一時記憶部271には、各種情報が一定の時間間隔で順次記憶される。一時記憶部271に割り当てられた所定の記憶領域の全部に情報が記憶された場合、最先に記憶された情報が削除され、それにより生じた記憶領域に最新の情報が記憶される。これにより、最先の情報が最新の情報に上書きされる。したがって、一時記憶部271は、リングバッファとして機能し、リングバッファに一度記憶された情報は、最新の情報により上書きされるまで一定期間保持される。
【0062】
例えば、除電器制御部230は、除電器通信部280がイオンバランスセンサ100からイオンバランス信号を受信することにより、対象空間のイオンバランスを時間情報とともに一時記憶部271に記憶させる。このとき、除電器制御部230は、上記の記憶動作に加えて、受信したイオンバランスの値が予め定められたイオンバランスしきい値よりも大きい場合に任意のメッセージを表示部250に表示させてもよい。表示部250に表示されるメッセージは、受信したイオンバランスの値が予め定められたイオンバランスしきい値を超えたことを示すメッセージであってもよいし、当該値としきい値とが除電器200の設置状態の判定に用いられる場合に除電器200の設置状態が適切でないことを示すメッセージであってもよい。さらに、除電器制御部230は、対象空間におけるイオンバランスが0に近づくように、受信したイオンバランス信号に基づいて正極側高圧回路212および負極側高圧回路222を制御してもよい。
【0063】
また、除電器制御部230は、除電器通信部280がイオンバランスセンサ100からイオン電流信号を受信することにより、対象空間におけるイオン電流を時間情報とともに一時記憶部271に記憶させる。このとき、除電器制御部230は、上記の記憶動作に加えて、受信したイオン電流の値が上記のイオン電流しきい値以下である場合に除電器200の設置状態が適切でないことを示すメッセージを表示部250に表示させてもよい。
【0064】
さらに、除電器制御部230は、除電器通信部280がイオンバランスセンサ100から温度信号および湿度信号を受信することにより、対象空間の温度および湿度を時間情報とともに一時記憶部271に記憶させる。除電器制御部230は、温度または湿度についてもしきい値と比較し、比較結果に基づくメッセージを表示部250に表示させてもよい。
【0065】
除電器記憶部270は、不揮発性記憶部であり、メモリまたはハードディスクで構成される。除電器記憶部270には、後述する履歴データを管理する除電器管理プログラムが記憶されている。除電器管理プログラムは、時刻設定プログラム、一時記憶部制御プログラムおよび除電器記憶部制御プログラムを含む。
【0066】
さらに、除電器制御部230は、一時記憶部271に記憶された情報をサンプリングして除電器記憶部270に記憶させる。これにより、除電器記憶部270に記憶されるデータ量が増大することを抑制しつつ、除電器記憶部270に記憶された対象空間の環境に関する各種情報に基づいて、対象物の除電状態を管理することが可能になる。除電器記憶部270に記憶される情報の詳細については後述する。
【0067】
一時記憶部271は、上記のようにリングバッファとして機能する。そのため、基本的には、一時記憶部271に記憶された情報の一部のみがサンプリングされて除電器記憶部270に記憶され、情報の大部分は除電器記憶部270に記憶されることなく上書きされて削除される。しかしながら、情報が一時記憶部271に記憶されている期間には、当該情報を表示部250の第1階層画面にリアルタイムに表示することが可能である。表示部250の表示例については後述する。
【0068】
除電器電源部290は、図示しない電源ケーブルを通して商用電源から供給される電力を受けるとともに、受けた電力の一部を除電器200に設けられる他の構成要素に供給する。また、除電器電源部290は、受けた電力の残りをケーブルを通してイオンバランスセンサ100のセンサ電源部160(
図3)に供給する。本例では、除電器200の電源がオンされることにより、除電器200が起動し、除電器200の各構成要素への電力の供給が開始される。
【0069】
クリーン装置291は、例えばブラシにより正イオン発生部211および負イオン発生部221の複数の電極針en1,en2をクリーニング可能に構成され、除電器制御部230の制御に基づいて動作する。表示灯292は、1または複数の発光ダイオードを含み、除電器制御部230の制御に基づいて発光し、消灯し、または点滅する。警報装置293は、除電器制御部230の制御に基づいて警報を出力する。表示灯292は、除電器筐体11において、操作部260のパワーボタン267の上方に配置される(
図7参照)。
【0070】
5.除電器制御部の構成
図8は、除電器制御部230の構成を説明するための除電器200のブロック図である。
図8に示すように、除電器制御部230は、機能部として、時刻設定部231、装置制御部232、測定値取得部233、データ生成部234、記憶制御部235、判定部236および通知取得部237を含む。除電器制御部230が除電器記憶部270に記憶された除電器管理プログラムを実行することにより、除電器制御部230の機能部が実現される。
【0071】
除電器管理プログラムは、除電器記憶部270に代えて、コンピュータが読み取り可能なCD(Compact Disc)-ROM等の記憶媒体272に記憶されていてもよい。あるいは、除電器管理プログラムは、記憶媒体272に格納された形態で提供され、除電器記憶部270にインストールされてもよい。なお、除電器制御部230の機能部の一部または全ては、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0072】
時刻設定部231は、除電器200に時刻を設定する。ここで、複数の除電器200に設定された時刻には、個体差によりずれが発生し得る。時刻のずれは、いずれかの除電器200に時刻が設定された時点からの経過時間が長いほど大きくなる。そこで、時刻設定部231は、除電器通信部280が
図1のネットワーク309に接続されているときに、
図1の制御装置300に設定された時刻を示す時刻情報の送信を制御装置300に要求する。また、時刻設定部231は、制御装置300により送信された時刻情報を受信し、設定された時刻を時刻情報が示す時刻に更新する。これにより、複数の除電器200に設定された時刻にずれが発生することが防止される。
【0073】
装置制御部232は、イオン情報生成部240により生成されるイオン情報に基づいて、適正量のイオンを発生し、対象物に供給するようにファン駆動部202、正極側高圧回路212および負極側高圧回路222を制御する。また、装置制御部232は、表示部250、クリーン装置291、表示灯292および警報装置293の動作を制御する。
【0074】
測定値取得部233は、装置制御部232による制御に関連する測定値を取得する。測定値は、イオン量、帯電量、ファン201の回転速度、イオンバランス、イオン電流、温度または湿度を含む。イオンバランス、イオン電流、温度または湿度等は、
図3のイオンバランスセンサ100により測定される。したがって、測定値の一部は、除電器通信部280を介してイオンバランスセンサ100から取得される。また、測定値取得部233は、測定値が取得された測定時刻を取得する。測定時刻は、時刻設定部231により設定された時刻に基づいて特定される。
【0075】
帯電量は、外部イオン電流検出回路242により検出される外部電流に基づいて取得されるが、実施の形態はこれに限定されない。帯電量は、図示しない表面電位計から取得されてもよいし、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されている場合には、イオンバランスセンサ100から取得されてもよい。あるいは、帯電量は、
図2の帯電検出システム400から取得されてもよい。
【0076】
データ生成部234は、測定値取得部233により取得された測定値と測定時刻とに基づいて、履歴データを生成する。履歴データの詳細については後述する。特に、データ生成部234がイオン量とファン201の回転速度とに基づいて履歴データを生成することにより、使用者は除電器200が所定の除電速度を実現可能な出力で動作していたか否かを確認することができる。また、データ生成部234がイオン量、ファン201の回転速度およびイオンバランスに基づいて履歴データを生成することにより、使用者は除電器200が所定の除電性能で動作していたか否かを確認することができる。さらに、データ生成部234がイオン量、ファン201の回転速度、イオンバランスおよびイオン電流に基づいて履歴データを生成することにより、使用者は、除電が不十分であることによる対象物の欠陥を発見したときに、それが除電器200の動作によるものか、除電器200の外部環境によるものかを確認することができる。
【0077】
記憶制御部235は、データ生成部234により生成された履歴データを一定の時間(本例では0.1秒)の間隔で一時記憶部271に記憶させる。また、記憶制御部235は、一定の時間(本例では1時間)の間隔で、一時記憶部271に記憶された履歴データの一部をサンプリングして除電器記憶部270に記憶させる。さらに、記憶制御部235は、後述する判定部236によりイベントが発生したと判定された場合、イベントの発生時刻を含む一定期間に一時記憶部271に記憶された履歴データを除電器記憶部270に記憶させるとともに、イベントが発生したときの日時を示すデータを履歴データとして除電器記憶部270に記憶させる。
【0078】
判定部236は、一時記憶部271に履歴データが記憶されるごとに、履歴データの測定値に関する所定のイベントが発生したか否かを判定する。具体的なイベントの種類としては、例えばファン201の回転速度にエラーが発生すること、除電器200の設置異常が発生すること、および各種警報の出力条件を満たすことを含む。その他のイベントの種類としては、除電器200の電源がオンまたはオフにされること、除電が開始または終了されること、帯電物の検知が開始または終了されること、およびクリーン装置291が動作すること等を含む。
【0079】
より詳細には、イベントは、エラーイベント、警報イベントおよび通知イベントを含んでもよい。除電器200には、各種測定値に関するしきい値が設定される。一部のしきい値は、固定値として変更不可能に予め設定されている。一方で、他のしきい値は、使用者の設定により任意の値に指定することが可能である。測定値が当該測定値に関するしきい値よりも大きい場合、または測定値が当該測定値に関するしきい値以下である場合、上記のイベントが発生したことが検出される。また、一部のイベントは、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されているときのみ検出されてもよい。
【0080】
また、イベントは、上記のエラーイベント、警報イベントおよび通知イベントに加えて、しきい値とは関連しない所定のイベント(以下、特定イベントと呼ぶ。)をさらに含んでもよい。警報イベント、通知イベントおよび特定イベントについては、使用者は、操作部260を操作して設定を行うことにより、検出するか否かを選択することができる。
【0081】
エラーイベントは、適切に除電を継続することができない状況が発生したことを示すイベントである。そのため、エラーイベントが検出された場合には、自動的に除電が停止される。また、一時記憶部271への履歴データの記憶が停止される。
【0082】
エラーイベントの例として、ファン201の回転速度が所定速度(後述する風量レベル「1」の回転速度)以上に上昇しない場合、回転異常のエラーイベントが検出される。正極側高圧回路212または負極側高圧回路222に所定値以上の電流が流れる場合、異常放電のエラーイベントが検出される。除電器筐体11にカバー13が適切に取り付けられていない場合、カバー異常のエラーイベントが検出される。一時記憶部271の読み書きに失敗した場合、システムメモリのエラーイベントが検出される。
【0083】
警報イベントは、除電器200が予め想定された挙動とは異なる挙動を示した場合に、使用者に確認を促すためのイベントであり、除電器200に固定値として予め設定されたしきい値に基づいて検出される。警報イベントが検出されたときの除電器200の挙動は、使用者によっては許容可能である。そのため、警報イベントが検出された場合には、警報装置293により警報が出力されるが、除電は停止されずに継続される。また、一時記憶部271への履歴データの記憶も停止されずに継続される。
【0084】
警報イベントの例として、ファン201の回転速度が回転速度しきい値よりも大きい場合、または回転速度しきい値以下である場合、ファン201の回転速度の値に関するイベント(ファン回転速度警報イベント)が検出される。なお、ファン201の回転速度に関するしきい値は、後述する風量レベルに対応して設定される。ここで、ファン201の回転速度に関するしきい値について、必ずしも上限と下限との両方が設定される必要はない。他のしきい値についても同様である。例えば、ファン201に発生する異常として想定されるのがファン201の回転速度の低下である場合には、下限のしきい値のみが設定され、ファン201の回転速度が回転速度しきい値以下であるか否かの判定のみが行われてもよい。
【0085】
イオン電流の値がイオン電流しきい値以下である場合、イオン電流の値に関するイベント(イオンレベル警報イベント)が検出される。イオン電流は、イオンを発生させる電極針en1,en2が摩耗したとき、または電極針en1,en2に汚れが付着したときに低下する。そのため、例えば、イオン電流がしきい値以下であると判断されたときに、イオンレベル警報イベントが検出されることにより、所定のイオン量が発生させられない状態であることを使用者に報知することができる。
【0086】
除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されている場合、イオンバランスが測定される。測定されたイオンバランスの値がイオンバランスしきい値よりも大きい場合、イオンバランスの値に関するイベント(設置異常警報イベント)が検出される。イオンバランスは、除電器200が適切に設置されない場合、適正量のイオンがイオンバランスセンサ100まで到達しなくなることにより、正方向または負方向に大きくなる。そのため、設置異常警報イベントが検出されることにより、除電器200が適切に設置されていないことを使用者に報知することができる。
【0087】
また、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されている場合、温度および湿度が測定される。測定された温度または湿度の値が予め設定されたそれぞれのしきい値を超える場合、温度または湿度の値に関するイベント(コンディション警報イベント)が検出される。コンディション警報イベントが検出されることにより、除電器200が周辺環境の異常を使用者に報知することができる。
【0088】
通知イベントは、除電器200が使用者により想定された挙動とは異なる挙動を示した場合に、使用者に報知するためのイベントであり、使用者により除電器200に設定されたしきい値に基づいて検出される。通知イベントが検出された場合でも、除電は停止されずに継続される。また、一時記憶部271への履歴データの記憶も停止されずに継続される。
【0089】
通知イベントの例として、イオンバランスセンサ100により測定されたイオンバランスが、使用者により指定されたしきい値よりも大きい場合に、イオンバランス通知イベントが検出される。イオンバランスセンサ100により測定された温度または湿度が、使用者により指定されたそれぞれのしきい値を超える場合に、温度通知イベントまたは湿度通知イベントが検出される。
【0090】
本例では、外部イオン電流検出回路242により検出される外部電流に基づいて、対象物の帯電量のおよその値が評価される。外部電流に基づいて評価された対象物の帯電量のおよその値を帯電レベルと呼ぶ。評価された帯電レベルが使用者により指定されたしきい値を超える場合に、帯電レベル通知イベントが検出される。イオンバランスセンサ100により測定されたイオンバランスに基づいて帯電量が評価され、評価された帯電量としきい値とに基づいて同様のイベントが検出されてもよい。また、図示しない表面電位計または
図1の帯電検出システム400により測定された帯電量と、しきい値とに基づいて同様のイベントが検出されてもよい。
【0091】
特定イベントは、例えば、除電の開始、除電の停止、各種しきい値の設定、各種しきい値の変更、クリーニングの開始、クリーニングの停止、または後述する除電器200の入力端子への信号の入力が行われることを含む。除電の停止中には、一時記憶部271への履歴データの記憶は停止される。また、上記のように、クリーニングの実行中には、除電が停止される。したがって、クリーニングの実行中にも、一時記憶部271への履歴データの記憶は停止される。
【0092】
制御装置300は、除電器通信部280がネットワーク309に接続されている場合、除電器記憶部270に記憶された履歴データを取得する。また、制御装置300は、履歴データを取得したことを除電器200に通知する。通知取得部237は、制御装置300からの通知を取得する。この場合、記憶制御部235は、除電器記憶部270に記憶された履歴データを削除してもよい。
【0093】
履歴データは、第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータを含む。第1のデータは、第1の時間(本例では1時間)の間隔で取得された測定値と、測定時刻とが対応付けられたデータである。第2のデータは、各種イベントが発生したときに取得された測定値と、測定時刻とが対応付けられたデータである。第3のデータは、各種イベントが発生したときの日時を示すデータである。
【0094】
図9は、
図8の除電器記憶部270に記憶される履歴データを説明するための図である。
図9に示すように、本例では、9:00に除電器200の電源がオンされる。これにより、除電器200が起動し、除電器200の各構成要素への電力の供給が開始される。除電器200が起動することにより、除電器200の起動時刻を起点として、経過時間が起算される。
【0095】
なお、除電器200がネットワーク309に接続されている場合、除電器200が起動することにより、除電器200と制御装置300との間で通信が確立する。この場合、時刻設定部231は、制御装置300に時刻情報の送信を要求するとともに、制御装置300から時刻情報を受信することにより、除電器200に設定された時刻を更新する。
【0096】
除電器200の起動後、対象物の除電が開始される。これにより、イオンバランスセンサ100および除電器200により取得される種々の測定値と、測定時刻とが対応付けられた履歴データが、第2の時間(本例では0.1秒)の間隔で
図8の一時記憶部271に順次記憶される。
【0097】
ここで、第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間の経過時点に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして除電器記憶部270に記憶される。本例では、第1の時間は1時間であるが、実施の形態はこれに限定されない。使用者は、操作部260を操作することにより、第1の時間を第2の時間よりも長い任意の時間に設定することができる。
【0098】
また、本例では、第1の時間は除電器200が起動した時刻を起点とする相対時刻により設定される。具体的には、第1の時間は1時間であるので、除電器200が9:00に起動した場合、時刻が10:00、11:00、12:00、13:00、・・・になるごとに、これらの各時刻に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして除電器記憶部270に記憶される。しかしながら、実施の形態はこれに限定されない。使用者は、操作部260を操作することにより、第1の時間を絶対時刻により設定することができる。この場合、除電器200が起動した時刻に関わらず、所定の時刻に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして除電器記憶部270に記憶される。
【0099】
また、第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内に一時記憶部271に記憶された履歴データにおける一部の測定値の特徴値が除電器記憶部270に記憶される。本例では、第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内における温度、湿度およびイオンバランスの各々の特徴値が除電器記憶部270に記憶される。
【0100】
さらに、イオンバランスについては、上記の特徴値とともに、または上記の特徴値に代えて、第1の時間の経過時点と、その時点の1分前の時点との間における特徴値が除電器記憶部270に記憶される。特徴値は、例えば最大値および最小値の少なくとも一方であってもよいし、平均値であってもよい。あるいは、特徴値は、最大値、最小値および平均値の全部であってもよい。
【0101】
ここで、除電器200の起動直後または除電再開直後の期間には、取得される測定値が不安定となる。そこで、上記のイオンバランスにおける1分間の特徴値の記憶においては、除電器200の起動後の30秒間、および除電再開後の10秒間は無効な期間として扱われる。この場合、第1の時間の経過時点の直近における有効な期間の連続した1分間の特徴値が記憶される。例えば、除電が一時停止されたことにより、第1の時間の経過時点と、その時点の1分前の時点との間に無効期間が含まれる場合には、除電が一時停止された時点と、その時点の1分前の時点との間における特徴値が除電器記憶部270に記憶される。
【0102】
図9の例では、12:30にイベントが発生する。この場合、12:30を含む一定の期間(本例では1分間)に一時記憶部271に記憶された601点分の測定値を含む履歴データが第2のデータとして記憶される。具体的には、イベントの発生時刻よりも30秒前から、イベントの発生時刻よりも30秒後までの期間に一時記憶部271に記憶された履歴データが第2のデータとして記憶される。
【0103】
また、上記のイベントが発生したときの日時を示すデータが第3のデータとして除電器記憶部270に記憶される。本例では、イベントが発生したときの日時は、「2022年3月24日12:30」である。また、イベントが発生した時点における1点分の測定値が第3のデータとして除電器記憶部270に記憶されてもよい。
【0104】
なお、あるイベントが発生した時点から第2のデータの終了期間(本例では30秒間)が経過する前に、同一の種類のイベントが1回以上発生した場合、第2のデータは、最先に発生したイベントについてのみ記憶される。一方、第3のデータは、最先に発生したイベントだけでなく、その後に発生した1回以上の同一の種類のイベントの各々について記憶される。
【0105】
これに対し、あるイベントが発生した時点から第2のデータの終了期間が経過する前に、別の種類のイベントが1回以上発生した場合、第2のデータは、最先に発生したイベントだけでなく、その後に発生した1回以上の別の種類のイベントの各々について記憶される。第3のデータについても同様である。
【0106】
除電器記憶部270は、期間1年分のデータ量の第1のデータ、イベント100件分のデータ量の第2のデータおよびイベント3000件分のデータ量の第3のデータを記憶可能である。除電器200と制御装置300とが接続されることにより、除電器記憶部270に記憶された履歴データが制御装置300の後述する主記憶部に記憶される。この場合、除電器記憶部270に記憶された履歴データは削除されてもよい。
【0107】
一方、除電器200と制御装置300とが長期間接続されない場合には、除電器記憶部270に記憶された履歴データのデータ量が上記のデータ量の上限に達することがある。この場合、最先に記憶された履歴データが除電器記憶部270から削除され、それにより生じた記憶領域に最新の履歴データが記憶される。
【0108】
また、除電器200には、入力端子および出力端子が設けられてもよい。本例では、除電器200には、第1~第3の入力端子が設けられるとともに、第1~第3の出力端子が設けられる。各端子には、プログラマブルコントローラ等の制御機器が接続可能である。
【0109】
第1の入力端子は除電停止用端子であり、第1の入力端子に信号が入力されているときには、除電が停止される。第2の入力端子はクリーニング用端子であり、第1の入力端子に信号が入力されることに応答して、クリーン装置291により電極針en1,en2のクリーニングが開始される。第3の入力端子はイベント抽出用端子であり、第3の入力端子に信号が入力されることに応答して、イベントが発生したときと同様に一時記憶部271に記憶された履歴データに基づく情報が除電器記憶部270に記憶される。これにより、使用者は、使用者の所望のタイミングに係る第1のデータ、第2のデータ、および第3のデータを、除電器記憶部270に記憶させることができる。
【0110】
第1の入力端子、および第2の入力端子のいずれかに信号が入力された場合にも、その信号に基づく除電器200の動作がイベントとして検出され、一時記憶部271に記憶される履歴データに基づくデータが、除電器記憶部270に記憶される。本例では、それぞれの入力端子が上記のように割り当てられるが、いずれかの入力端子が、例えば外部機器からのデータ抽出要求を受け付ける入力端子として扱われてもよい。この場合、入力端子に信号が入力されることに応答して除電器記憶部270に記憶された情報が任意の記憶媒体に記憶される。これにより、除電器記憶部270に記憶された情報を使用者の所望のタイミングで抽出することができる。
【0111】
第1~第3の出力端子については、設定により割り当てを変更することができる。初期設定においては、第1の出力端子は、除電器200の運転状態(除電を実行中か否か)を示す信号を出力する。第2の出力端子は、エラーイベントまたは警報イベントに属する複数のイベントのうち、少なくとも1つのイベントが検出された場合、警報を出力するための信号を出力する。第3の出力端子は、通知イベントに属する複数のイベントのうち、少なくとも1つのイベントが検出された場合、使用者に報知するための信号を出力する。
【0112】
6.表示部の表示例
除電器筐体11の図示しない主電源スイッチがオンされることにより、除電器200が起動する。除電器200の起動後、表示部250には、所定の起動画面が表示された後、第1階層画面が表示される。
図10は、第1階層画面の一例を示す図である。
図10に示すように、第1階層画面500は、除電器200の状態を監視するための画面、または変更の頻度が高い設定項目を設定するための画面を含み、複数種類(本例では6種類)の画面を含む。6種類の第1階層画面500をそれぞれ風量調整画面510、第1モニタ画面520、第2モニタ画面530、第1イベント履歴画面540、第2イベント履歴画面550および第3イベント履歴画面560と呼ぶ。
【0113】
表示部250には、上記の6種類の第1階層画面500のいずれか1つが表示される。
図7の操作部260の左ボタン263が操作されるごとに、表示部250に表示される第1階層画面500が、所定の順序で切り替わる。また、操作部260の右ボタン264が操作されるごとに、表示部250に表示される第1階層画面500が、左ボタン263が操作されたときとは逆の順序で切り替わる。
【0114】
第2モニタ画面530は、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されている場合に表示部250に表示可能である。したがって、除電器200がイオンバランスセンサ100に接続されている場合、表示部250に第1モニタ画面520が表示されている状態で左ボタン263が操作されることにより、第1モニタ画面520が第2モニタ画面530に切り替わる。あるいは、表示部250に第1イベント履歴画面540が表示されている状態で右ボタン264が操作されることにより、第1イベント履歴画面540が第2モニタ画面530に切り替わる。
【0115】
一方、除電器200がイオンバランスセンサ100に接続されていない場合、表示部250に第1モニタ画面520が表示されている状態で左ボタン263が操作されると、第2モニタ画面530がスキップされ、第1モニタ画面520が第1イベント履歴画面540に切り替わる。同様に、表示部250に第1イベント履歴画面540が表示されている状態で右ボタン264が操作されると、第2モニタ画面530がスキップされ、第1イベント履歴画面540が第1モニタ画面520に切り替わる。
【0116】
このように、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されていないときに第1階層画面500として表示される画面の数は、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されているときに第1階層画面500として表示される画面の数より少ない。このため、使用者が第1階層画面500の所望の画面を表示させるときの操作手順を低減することができる。本例では、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されていないときに第2モニタ画面540を表示せず、第1階層画面500の他の画面のみを表示するが、除電器200にイオンバランスセンサ100が接続されていないときに、第1階層画面として、第2モニタ画面540の代替の画面を表示する構成であってもよい。
【0117】
第1階層画面500は、使用者が表示しやすい画面であるため、除電器200による除電の状態を表示するための画面が含まれる。実用上、使用者にとって、除電器200の各種動作条件を変更する作業の頻度は、除電器200の除電の状態を確認する作業の頻度と比較して低いため、各種動作条件の設定は、第1階層画面500よりも深い第2階層画面以降で行われる。しかしながら、実用上、除電器200についての各種動作条件のうち風量は、他の動作条件と比較して変更される頻度が高い。そこで、本例では、除電器200による除電の状態として、当該時点に設定されている風量を表示し、かつ、風量の変更を受け付けるための、風量調整画面510が第1階層画面500に含まれる。すなわち、除電器200についての各種動作条件のうち風量は、使用者が第1階層画面500において設定可能である。
【0118】
図11は、風量調整画面510の一例を示す図である。
図11に示すように、風量調整画面510には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、風量調整画面510には、風量値表示領域511、風量ゲージ表示領域512および説明表示領域513がさらに表示される。運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504は、他の第1階層画面500においても表示される。
【0119】
運転状態表示領域501には、除電器200の運転状態が表示される。除電の実行中には「RUN」の文字列が表示され、除電の停止中には「STOP」の文字列が表示される。これらの表示は、
図7の操作部260のパワーボタン267が短押しされるごとに切り替わる。イベント表示領域502には、エラーイベント、警報イベントおよび通知イベントに属するいずれかのイベントが検出されたとき、イベントの種類を示すアイコンおよび文字列が表示される。イベント表示領域502の詳細については、第1モニタ画面520において説明する。
【0120】
エコモード表示領域503には、除電器200がエコモードで動作しているか否かが表示される。除電器200がエコモードで動作している場合には「ECO」の文字列が表示され、除電器200がエコモードで動作していない場合には何も表示されない。ロックモード表示領域504には、除電器200がロックモードで動作しているか否かが表示される。除電器200がロックモードで動作している場合には鍵マークが表示され、除電器200がロックモードで動作していない場合には何も表示されない。また、ロックモードにおいて、パスワードが入力された場合、すなわちロックが一時的に解除された場合には、鍵マークが薄く(グレーアウト)表示される。
【0121】
風量値表示領域511には、「Air Vol. Level」の文字列が表示される。また、本例では、ファン201の回転速度に基づいて、ファン201による風量が風量レベル「1」~「7」の7段階にレベル分けされる。風量値表示領域511には、現在の風量レベルが数値により表示される。なお、
図11の例では、除電器200がエコモードで動作している。そのため、風量レベルは、最も小さい「1」である。この状態で風量レベルを変更する場合には、エコモードを解除することの確認メッセージが風量調整画面510に表示されてもよい。
【0122】
風量ゲージ表示領域512には、現在の風量レベルがゲージにより表示される。本例では、ゲージは、横方向に延びる7つのバーを含む。7つのバーは、風量レベル「1」~「7」にそれぞれ対応する長さを有する。現在の風量レベルおよびそれ以下の風量レベルに対応するバーはカラー表示され、他のバーはグレーアウト表示される。カラーは風量レベルの範囲ごとに異なってもよい。例えば、風量レベル「1」および「2」のバーは緑色で表示され、風量レベル「3」~「5」のバーは黄色で表示され、風量レベル「6」および「7」のバーは赤色で表示されてもよい。
【0123】
説明表示領域513には、操作部260の一部のボタンについての簡易的な説明が表示される。
図11の例では、左ボタン263または右ボタン264が操作されることにより、風量調整画面510が他の第1階層画面500に切り替わることが示される。また、決定ボタン265が操作されることにより、第1階層画面500が各種設定を行うためのメニュー画面(第2階層画面)に遷移することが示される。さらに、パワーボタン267が長押しされることにより、クリーン装置291による電極針en1,en2のクリーニングが開始されることが示される。
【0124】
風量調整画面510において、上ボタン261が操作されることにより、風量レベルが「7」になるまで、上ボタン261が操作された回数だけ風量レベルが増加する。また、下ボタン262が操作されることにより、風量レベルが「1」になるまで、下ボタン262が操作された回数だけ風量レベルが減少する。
図12は、風量調整画面510における風量の設定の変更例を示す図である。
図12の上段に示すように、変更前においては、風量レベルは「6」に設定されている。そのため、風量値表示領域511に表示される数値は「6」である。また、風量ゲージ表示領域512にカラー表示されるバーの数は6つである。
【0125】
図12の上段の状態で、上ボタン261が1回操作される。この場合、風量レベルが1つ増加し、風量レベルの設定が「7」に変更される。これにより、
図12の中段に示すように、風量値表示領域511の数値が「7」になる。また、風量ゲージ表示領域512にカラー表示されるバーの数が7つになる。一方、
図12の上段の状態で、下ボタン262が1回操作される。この場合、風量レベルが1つ減少し、風量レベルの設定が「5」に変更される。これにより、
図12の下段に示すように、風量値表示領域511の数値が「5」になる。また、風量ゲージ表示領域512にカラー表示されるバーの数が5つになる。
【0126】
図13は、第1モニタ画面520の一例を示す図である。
図13に示すように、第1モニタ画面520には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、第1モニタ画面520には、帯電レベル表示領域521、入出力表示領域522、除電性能表示領域523および説明表示領域524が表示される。
【0127】
帯電レベル表示領域521には、「Charge Level」の文字列が表示される。また、帯電レベル表示領域521には、対象物の帯電レベルがゲージにより表示される。さらに、帯電レベル表示領域521には、帯電レベルのしきい値を示すラインが表示される。本例では、上下方向に延びるバーが左右方向に移動することにより、帯電レベルが表示される。
【0128】
具体的には、帯電レベルが0に近いときには、バーは中央に位置する。帯電レベルが負に大きいときには、バーは左方向に移動する。帯電レベルが正に大きいときには、バーは右方向に移動する。帯電レベルがしきい値の範囲内にあるか否かに応じて、表示されるバーの色が異なってもよい。
図13の例では、帯電レベルがしきい値の範囲内にある。そのため、バーが例えば緑色で表示される。一方、帯電レベルがしきい値の範囲外にあるときには、バーが赤色で表示される。
【0129】
入出力表示領域522には、入力端子および出力端子の使用状態が表示される。本例では、第1~第3の入力端子および第1~第3の出力端子のうち、使用されている端子がアイコンにより識別可能に表示される。入力端子が使用されていない場合には、入力端子のアイコンは表示されない。同様に、出力端子が使用されていない場合には、出力端子のアイコンは表示されない。
図13の例では、第2の入力端子および第2の出力端子が使用されている。
【0130】
除電性能表示領域523には、除電性能に関連する測定値と、測定値に対応する所定の文が表示される。本例では、除電性能表示領域523には、除電性能のうち、除電時間に関連する測定値として、ファン201の風量レベルと、正イオン発生部211および正極側高圧回路212により発生するイオン量とが表示される。また、除電性能表示領域523には、「FAN」および「ION」の文字列が表示される。なお、除電時間は、規格で規定された電荷量を保持した金属板の電荷を中和するために要する時間を意味する。
【0131】
本例では、イオン量は、絶対値ではなく、除電器200の基準状態(例えば出荷時の状態)における発生イオン量と比較した相対値として表示される。そのため、イオン量の単位は%である。使用者は、除電性能表示領域523に表示された風量レベルおよびイオン量に基づいて、除電時間を評価することができる。具体的には、風量レベルが大きく、イオン量が大きいほど、多くのイオンを供給可能であるため、除電時間が短くなる。
【0132】
説明表示領域524には、風量調整画面510の説明表示領域513と同様に、操作部260の一部のボタンについての簡易的な説明が表示される。なお、
図13の例では、説明表示領域524にパワーボタン267の長押しについての説明が表示されていないが、実施の形態はこれに限定されない。説明表示領域524が十分に広い表示スペースを有する場合には、説明表示領域513と同様に、説明表示領域524にパワーボタン267の長押しについての説明が表示されてもよい。
【0133】
上記のように、イベント表示領域502には、エラーイベント、警報イベントおよび通知イベントに属するいずれかのイベントが検出されたとき、イベントの種類を示すアイコンおよび文字列が表示される。
図14は、イベント表示領域502の詳細を説明するための図である。
図14の上段の例では、帯電レベルがしきい値よりも低下している。そのため、帯電レベル表示領域521における帯電レベルを示すバーが、例えば赤色で表示される。
【0134】
また、帯電レベルがしきい値よりも低下することにより、通知イベント(本例では帯電レベル通知イベント)が検出される。この場合、通知イベントを示す菱形状のアイコンと「NOTICE」の文字列とが、所定の色(例えば橙色)で装飾された状態でイベント表示領域502に表示される。
【0135】
ここで、他の表示領域に表示された文字列のうち、検出されたイベントに関連する文字列は、イベント表示領域502の装飾色と同様の色で装飾されて表示されてもよい。
図14の上段の例では、帯電レベル表示領域521の「Charge Level」の文字列と、除電性能表示領域523の「ION」の文字列とが、イベント表示領域502の装飾色と同様の橙色で装飾された状態で表示される。
【0136】
同様に、ファン201の回転異常のエラーイベントまたはファン回転速度警報イベント等が検出された場合には、
図11の風量値表示領域511の「Air Vol. Level」の文字列が所定の色で装飾された状態で表示される。これにより、使用者は、検出されたイベントに関連する測定値を容易に認識することができる。
【0137】
図14の中段には、警報イベントが検出されたときのイベント表示領域502の表示例が示される。
図14の中段の例では、警報イベントが検出されたときには、警報イベントを示す三角形状のアイコンと「ALARM」の文字列とが、他の色(例えば黄色)で装飾された状態でイベント表示領域502に表示される。
【0138】
図14の下段には、エラーイベントが検出されたときのイベント表示領域502の表示例が示される。
図14の下段の例では、エラーイベントが検出されたときには、エラーイベントを示す円形状のアイコンと「ERROR」の文字列とが、さらに他の色(例えば赤色)で装飾された状態でイベント表示領域502に表示される。
【0139】
図15は、第2モニタ画面530の一例を示す図である。
図15に示すように、第2モニタ画面530には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、第2モニタ画面530には、イオンバランス表示領域531、入出力表示領域532、温湿度表示領域533および説明表示領域534が表示される。
【0140】
イオンバランス表示領域531には、「Ion Balance」の文字列が表示される。また、イオンバランス表示領域531には、イオンバランスセンサ100により測定されたイオンバランスの数値が表示される。イオンバランスの単位はV(ボルト)である。さらに、イオンバランス表示領域531には、イオンバランスしきい値の上限および下限が表示される。入出力表示領域532には、第1モニタ画面520の入出力表示領域522と同様に、入力端子および出力端子の使用状態が表示される。
【0141】
温湿度表示領域533には、イオンバランスセンサ100により測定された温度と、「TMP」の文字列が表示される。また、温湿度表示領域533には、イオンバランスセンサ100により測定された湿度と、「HUM」の文字列が表示される。説明表示領域534には、第1モニタ画面520の説明表示領域524と同様に、操作部260の一部のボタンについての簡易的な説明が表示される。
【0142】
第2モニタ画面530においても、イオンバランス、温度または湿度に関するイベントが検出された場合には、イベント表示領域502にイベントの種類を示すアイコンおよび文字列が表示される。また、「Ion Balance」、「TMP」または「HUM」等の文字列が、イベント表示領域502の装飾色と同様の色で装飾された状態で表示される。
【0143】
図16は、第1イベント履歴画面540の一例を示す図である。
図16に示すように、第1イベント履歴画面540には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、第1イベント履歴画面540には、全イベント表示領域541および説明表示領域542が表示される。
【0144】
全イベント表示領域541には、「All Event」の文字列が表示される。また、全イベント表示領域541には、検出された全イベントの発生日時が上下方向に並ぶように表示される。検出されたイベントがエラーイベント、警報イベントまたは通知イベントである場合には、イベントの種類を示すアイコンが発生日時の隣に表示される。このアイコンは、イベントの検出時にイベント表示領域502に表示されるアイコンと同じである。
【0145】
本例では、特定イベントの発生日時の隣にアイコンが表示されないが、特定イベントを示す固有のアイコンが特定イベントの発生日時の隣に表示されてもよい。使用者は、全イベント表示領域541のアイコンの有無およびアイコンの種類を視認することにより、発生した各イベントの種類を容易に認識することができる。
図16の例では、全イベント表示領域541に4つのイベントの発生日時が表示されている。これらの4つのイベントの種類は、上からそれぞれエラーイベント、警報イベント、エラーイベントおよび特定イベントである。
【0146】
説明表示領域542には、操作部260の一部のボタンについての簡易的な説明が表示される。
図16の例では、左ボタン263または右ボタン264が操作されることにより、風量調整画面510が他の第1階層画面500に切り替わることが示される。また、決定ボタン265が操作されることにより、各イベントの詳細を示すイベント詳細画面に遷移することが示される。
【0147】
図17は、第2イベント履歴画面550の一例を示す図である。
図17に示すように、第2イベント履歴画面550には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、第2イベント履歴画面550には、エラー/警報イベント表示領域551および説明表示領域552が表示される。説明表示領域552は、第1イベント履歴画面540の説明表示領域542と同じである。
【0148】
エラー/警報イベント表示領域551には、「Error/Alarm」の文字列が表示される。また、エラー/警報イベント表示領域551には、検出された全イベントのうち、エラーイベントおよび警報イベントの発生日時が上下方向に並ぶように表示される。イベントの発生日時の隣には、イベントの種類を示す円形状または三角形状のアイコンが表示される。
図17の例では、エラー/警報イベント表示領域551に4つのイベントの発生日時が表示されている。これらの4つのイベントの種類は、上からそれぞれエラーイベント、警報イベント、エラーイベントおよび警報イベントである。
【0149】
図18は、第3イベント履歴画面560の一例を示す図である。
図18に示すように、第3イベント履歴画面560には、運転状態表示領域501、イベント表示領域502、エコモード表示領域503およびロックモード表示領域504が表示される。また、第3イベント履歴画面560には、通知イベント表示領域561および説明表示領域562が表示される。説明表示領域562は、第1イベント履歴画面540の説明表示領域542と同じである。
【0150】
通知イベント表示領域561には、「Notice」の文字列が表示される。また、通知イベント表示領域561には、検出された全イベントのうち、通知イベントの発生日時が上下方向に並ぶように表示される。イベントの発生日時の隣には、通知イベントの種類を示す菱形状のアイコンが表示される。
図18の例では、通知イベント表示領域561に4つの通知イベントの発生日時が表示されている。
【0151】
本例では、第1階層画面500として、第1イベント履歴画面540、第2イベント履歴画面550および第3イベント履歴画面560が切替可能に表示されるが、実施の形態はこれに限定されない。第1イベント履歴画面540、第2イベント履歴画面550および第3イベント履歴画面560のうち、設定により選択されたイベント履歴画面のみが第1階層画面500として表示可能であってもよい。
【0152】
第1イベント履歴画面540、第2イベント履歴画面550または第3イベント履歴画面560において、イベントが選択されることにより、当該イベントの詳細を示すイベント詳細画面が表示部250に表示される。
図19は、イベント詳細画面を表示させるための手順を説明するための図である。
図19においては、第2イベント履歴画面550を用いた手順が示されるが、第1イベント履歴画面540または第3イベント履歴画面560を用いた手順も第2イベント履歴画面550を用いた手順と同様である。
【0153】
図19の上段および中段に示すように、表示部250に第2イベント履歴画面550が表示された状態で、操作部260の上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、いずれかのイベントを選択することができる。エラー/警報イベント表示領域551においては、選択されているイベントの発生日時が識別可能に表示される。
【0154】
図19の中段および下段に示すように、いずれかのイベントが選択された状態で、操作部260の決定ボタン265が操作されることにより、表示部250の表示が第2イベント履歴画面550からイベント詳細画面570に切り替わる。一方、決定ボタン265が再度操作されることにより、表示部250の表示がイベント詳細画面570から第2イベント履歴画面550に戻る。
【0155】
図19のイベント詳細画面570においては、選択されたイベントは警報イベントであることが表示される。また、選択されたイベントは2022年5月12日9時9分10秒に発生したことが表示される。さらに、選択されたイベントはイオン電流の値に関するイベント(イオンレベル警報イベント)であることが表示される。
【0156】
表示部250に風量調整画面510、第1モニタ画面520または第2モニタ画面530が表示された状態で、操作部260の決定ボタン265が操作されることにより、第2階層画面が表示部250に表示される。
図20は、第2階層画面の一例を示す図である。
図20の第2階層画面600は、各種設定を行うためのメニュー画面である。なお、表示部250に第2階層画面600が表示された状態で、操作部260の取消ボタン266が操作されることにより、表示部250の表示が直前の第1階層画面500に戻る。
【0157】
図20に示すように、第2階層画面600には、複数の設定対象の項目が上下方向に並ぶように表示される。複数の設定対象の項目は、除電器200の基本設定、除電器200の高度な設定およびイオンバランスセンサ100の設定等を含む。操作部260の上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、いずれかの設定対象の項目を選択することができる。また、決定ボタン265が操作されることにより、選択された設定対象の項目の詳細を設定するための第3階層画面以降の設定画面が表示部250に表示される。
【0158】
設定画面は、主として、リスト選択方式の設定画面と、数値選択方式の設定画面とを含む。
図21は、設定画面の第1の例を示す図である。
図21に示すように、設定画面610は、エコモードのオンまたはオフを選択するためのリスト選択方式の設定画面である。設定画面610において、操作部260の上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、エコモードのオンまたはオフが選択される。また、決定ボタン265が操作されることにより、選択されたオンまたはオフの設定が行われる。
【0159】
図22は、設定画面の第2の例を示す図である。
図22に示すように、設定画面620は、ファン201の風量レベルを選択するためのリスト選択方式の設定画面である。操作部260の上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、ファン201の風量レベルが選択される。また、決定ボタン265が操作されることにより、選択された風量レベルの設定が行われる。
【0160】
図23は、設定画面の第3の例を示す図である。
図23に示すように、設定画面630は、日時を選択するための数値選択方式の設定画面である。操作部260の左ボタン263または右ボタン264が操作されることにより、西暦、月、日、時または分に対応する欄が選択される。また、上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、選択された欄の数値が増減される。さらに、決定ボタン265が操作されることにより、選択された日時を示す数値の設定が行われる。
【0161】
図24は、設定画面の第4の例を示す図である。
図24に示すように、設定画面640は、温度のしきい値を選択するための数値選択方式の設定画面である。操作部260の左ボタン263または右ボタン264が操作されることにより、しきい値の上限および下限に対応する欄が選択される。また、上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、選択された欄の数値が増減される。さらに、決定ボタン265が操作されることにより、選択されたしきい値の上限および下限を示す数値の設定が行われる。
【0162】
図25は、設定画面の第5の例を示す図である。
図25に示すように、設定画面650は、除電器200のIPアドレスを選択するための数値選択方式の設定画面である。操作部260の左ボタン263または右ボタン264が操作されることにより、IPアドレスの桁に対応する欄が選択される。また、上ボタン261または下ボタン262が操作されることにより、選択された桁の数値が増減される。さらに、決定ボタン265が操作されることにより、選択されたIPアドレスを示す数値の設定が行われる。
【0163】
7.制御装置の基本構成
図26は、
図1の制御装置300の構成を説明するためのブロック図である。
図26に示すように、制御装置300は、主制御部310、主記憶部320、主通信部380および主電源部390を含む。制御装置300には、例えば時刻サーバにより供給される時刻が設定されている。
【0164】
主通信部380は、
図1のネットワーク309に接続される。主通信部380は、ネットワーク309を介して複数の除電器200の除電器通信部280(
図8)から送信される各種情報の信号を受信し、主制御部310に与える。また、主通信部380は、主制御部310から出力される各種情報の信号を複数の除電器200に送信する。主電源部390は、図示しない電源ケーブルを通して商用電源から供給される電力を受けるとともに、受けた電力を制御装置300に設けられる他の構成要素に供給する。
【0165】
主制御部310は、例えばCPUを含む。主記憶部320は、例えばハードディスク、ROMおよびRAMを含む。主制御部310および主記憶部320は、マイクロコンピュータにより実現されてもよい。主記憶部320には、複数の除電器200および履歴データを行うための制御装置管理プログラムが記憶されている。
【0166】
主制御部310は、機能部として、時刻情報送信部311、データ取得部312、主記憶制御部313、通知部314および画像生成部315を含む。主制御部310が制御装置管理プログラムを実行することにより、主制御部310の機能部が実現される。
【0167】
制御装置管理プログラムは、主記憶部320に代えて、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM等の記憶媒体321に記憶されていてもよい。あるいは、制御装置管理プログラムは、記憶媒体321に格納された形態で提供され、主記憶部320にインストールされてもよい。なお、主制御部310の機能部の一部または全ては、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0168】
時刻情報送信部311は、時刻情報の送信の要求を除電器制御部230の時刻設定部231(
図8)からネットワーク309を通して受信する。また、時刻情報送信部311は、時刻情報の送信の要求を受信した場合、制御装置300に設定された時刻を示す時刻情報を、ネットワーク309を通して時刻設定部231に送信する。
【0169】
データ取得部312は、除電器200の除電器記憶部270(
図8)に記憶された履歴データをネットワーク309を介して取得する。ここで、使用者は、本体操作部340を操作することにより、除電器200と制御装置300との間で通信が確立している場合における履歴データを取得する周期を設定することができる。除電器記憶部270に記憶された履歴データは、設定された周期で取得される。また、使用者は、本体操作部340を操作することにより、履歴データを取得するタイミングを指定することができる。この場合、使用者により指定されたタイミングで、除電器記憶部270に記憶された履歴データが取得される。
【0170】
また、本例では、除電器記憶部270に記憶された全部の履歴データが取得されるが、実施の形態はこれに限定されない。使用者は、本体操作部340を操作することにより、取得対象とする履歴データに含まれる測定値(項目)を選択することができる。この場合、選択された項目を含む履歴データのみが除電器記憶部270から取得される。
【0171】
主記憶制御部313は、データ取得部312により取得された履歴データを主記憶部320に記憶させる。この場合、除電器記憶部270に履歴データを残存させておく必要がない。そこで、通知部314は、データ取得部312により履歴データが取得された場合、その旨を除電器200に通知する。これにより、除電器記憶部270に記憶されている履歴データのデータ量が上限に達していない場合でも、除電器記憶部270に記憶されている履歴データを削除することが可能になる。
【0172】
画像生成部315は、履歴データに関する履歴画像を示す履歴画像データを生成する。生成された履歴画像データは、主記憶制御部313により主記憶部320に記憶されてもよい。あるいは、生成された履歴画像データに基づいて、履歴画像が本体表示部330に表示されてもよい。
【0173】
図27は、履歴画像の一例を示す図である。
図27の履歴画像を示す履歴画像データは、主として、履歴データにおける第2のデータおよび第3のデータに基づいて生成される。
図27に示すように、履歴画像においては、イベント発生日時と、イベント名と、イベント発生時の各測定値および各種しきい値とが対応するように表示される。使用者は、履歴画像を視認することにより、イベントが発生したときの詳細な状況を容易に確認することができる。
【0174】
8.除電器管理処理
除電器200においては、除電器制御部230が除電器管理プログラムを実行することにより除電器管理処理が行われる。除電器管理処理は、時刻設定処理、一時記憶部制御処理および除電器記憶部制御処理を含む。除電器管理処理は、除電器200が動作を開始することに応答して開始される。なお、除電器200が動作を開始したときには、ファン駆動部202、正極側高圧回路212、負極側高圧回路222、表示部250、クリーン装置291、表示灯292および警報装置293の動作が装置制御部232により適宜制御される。
【0175】
図28は、除電器200において行われる時刻設定処理の一例を示すフローチャートである。時刻設定処理は、除電器制御部230が除電器管理プログラムの時刻設定プログラムを実行することにより行われる。以下、
図8の除電器制御部230および
図28のフローチャートを用いて時刻設定処理を説明する。
【0176】
まず、時刻設定部231は、制御装置300と通信が確立しているか否かを判定する(ステップS1)。除電器200の除電器通信部280が
図1のネットワーク309に接続されている場合、時刻設定部231は、制御装置300と通信が確立していると判定する。制御装置300と通信が確立していない場合、時刻設定部231は、制御装置300と通信が確立するまで待機する。
【0177】
制御装置300と通信が確立している場合、時刻設定部231は、時刻情報の送信を制御装置300に要求する(ステップS2)。次に、時刻設定部231は、制御装置300により送信される時刻情報を受信する(ステップS3)。ステップS3は、後述する
図31のステップS32に応答して実行される。続いて、時刻設定部231は、設定されている時刻を、ステップS3で受信された時刻情報が示す時刻に更新する(ステップS4)。
【0178】
その後、時刻設定部231は、一定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5における一定の時間は、12時間、24時間または48時間等であってもよい。一定の時間が経過していない場合、時刻設定部231は、一定の時間が経過するまで待機する。一定の時間が経過した場合、時刻設定部231はステップS1に戻る。これにより、ステップS1以降の処理が繰り返される。
【0179】
図29は、除電器200において行われる一時記憶部制御処理の一例を示すフローチャートである。一時記憶部制御処理は、除電器制御部230が除電器管理プログラムの一時記憶部制御プログラムを実行することにより行われる。以下、
図8の除電器制御部230および
図29のフローチャートを用いて一時記憶部制御処理を説明する。
【0180】
まず、測定値取得部233は、装置制御部232による制御に関連する測定値を取得する(ステップS11)。また、測定値取得部233は、時刻設定部231により設定された時刻に基づいて、ステップS11で取得された測定値の測定時刻を取得する(ステップS12)。データ生成部234は、ステップS11で取得された測定値と、ステップS12で取得された測定時刻とに基づいて、履歴データを生成する(ステップS13)。
【0181】
記憶制御部235は、ステップS13で生成された履歴データを一時記憶部271に記憶させる(ステップS14)。ここで、判定部236は、ステップS14で一時記憶部271に記憶された履歴データの測定値に関して、イベントが発生したか否かを判定する(ステップS15)。イベントが発生したか否かは、測定値と、当該測定値に関するしきい値とに基づいて判定される。イベントが発生した場合、判定部236は、ステップS14で一時記憶部271に記憶された履歴データにフラグを付与する(ステップS16)。
【0182】
ステップS15でイベントが発生していない場合、またはステップS16が実行された場合、処理はステップS11に戻される。これにより、ステップS11以降の処理が繰り返される。ステップS11が繰り返される時間の間隔は、上記の通り第2の時間(本例では0.1秒)である。
【0183】
図30は、除電器200において行われる除電器記憶部制御処理の一例を示すフローチャートである。除電器記憶部制御処理は、除電器制御部230が除電器管理プログラムの除電器記憶部制御プログラムを実行することにより行われる。以下、
図8の除電器制御部230および
図30のフローチャートを用いて除電器記憶部制御処理を説明する。
【0184】
まず、記憶制御部235は、第1の時間(本例では1時間)が経過したか否かを判定する(ステップS21)。第1の時間が経過していない場合、処理はステップS24に進む。第1の時間が経過した場合、記憶制御部235は、第1の時間の経過時点のタイミングで、一時記憶部271に記憶された履歴データを第1のデータとして除電器記憶部270に記憶させる(ステップS22)。
【0185】
また、記憶制御部235は、第1の時間内に一時記憶部271に記憶された履歴データにおける測定値の特徴値を除電器記憶部270に記憶させる(ステップS23)。本例では、ステップS23において、第1の時間内における温度および湿度の最大値および最小値が測定値の特徴値として除電器記憶部270に記憶される。また、ステップS23において、第1の時間の経過時点と、その時点の1分前の時点との間におけるイオンバランスの最大値および最小値が測定値の特徴値として除電器記憶部270に記憶される。
【0186】
その後、記憶制御部235は、
図29のステップS16において、一時記憶部271に記憶された履歴データにフラグが付与されたか否かを判定する(ステップS24)。履歴データにフラグが付与されていない場合、処理はステップS21に戻される。履歴データにフラグが付与された場合、記憶制御部235は、そのデータが取得された日時、すなわちイベントの発生日時を特定する(ステップS25)。また、記憶制御部235は、ステップS25で特定された日時を示すデータを第3のデータとして除電器記憶部270に記憶させる(ステップS26)。
【0187】
さらに、記憶制御部235は、ステップS25で特定されたイベントの発生時刻を含む一定期間に一時記憶部271に記憶された履歴データを第2のデータとして除電器記憶部270に記憶させる(ステップS27)。本例では、ステップS27において、イベントの発生時刻よりも30秒前から、イベントの発生時刻よりも30秒後までの期間に一時記憶部271に記憶された履歴データが第2のデータとして記憶される。
【0188】
次に、通知取得部237は、制御装置300が除電器記憶部270に記憶された履歴データを取得した旨を示す通知が取得されたか否かを判定する(ステップS28)。後述する
図31のステップS36が実行された場合、通知が取得されたと判定される。通知が取得された場合、記憶制御部235は、除電器記憶部270に記憶された履歴データを削除する(ステップS29)。ステップS28で通知が取得されない場合、またはステップS29が実行された場合、処理はステップS21に戻される。これにより、ステップS21以降の処理が繰り返される。
【0189】
9.制御装置管理処理
制御装置300においては、主制御部310が制御装置管理プログラムを実行することにより制御装置管理処理が行われる。
図31は、制御装置300において行われる制御装置管理処理の一例を示すフローチャートである。以下、
図26の主制御部310および
図31のフローチャートを用いて制御装置管理処理を説明する。
【0190】
まず、時刻情報送信部311は、除電器200から時刻情報の送信が要求されたか否かを判定する(ステップS31)。
図28のステップS2が実行された場合、時刻情報の送信が要求されたと判定される。時刻情報の送信が要求されない場合、処理はステップS3に進む。時刻情報の送信が要求された場合、時刻情報送信部311は、時刻情報を除電器200に送信する(ステップS32)。
【0191】
次に、データ取得部312は、除電器200の除電器記憶部270に履歴データが記憶されているか否かを判定する(ステップS33)。
図30のステップS22またはステップS26,S27が実行された場合、ステップS29が実行されるまでは除電器記憶部270に履歴データが記憶されている。
【0192】
除電器記憶部270に履歴データが記憶されていない場合、処理はステップS31に戻る。除電器記憶部270に履歴データが記憶されている場合、データ取得部312は、除電器記憶部270から履歴データを取得する(ステップS34)。また、主記憶制御部313は、ステップS34で取得された履歴データを主記憶部320に記憶させる(ステップS35)。通知部314は、履歴データを取得したことを除電器200に通知する(ステップS36)。
【0193】
その後、画像生成部315は、ステップS35で、履歴データとして第2のデータおよび第3のデータが主記憶部320に記憶されたか否かを判定する(ステップS37)。第2のデータおよび第3のデータが主記憶部320に記憶された場合、画像生成部315は、第2のデータおよび第3のデータに基づいて、
図27の履歴画像を示す履歴画像データを生成する(ステップS38)。ステップS37で第2のデータおよび第3のデータが主記憶部320に記憶されていない場合、またはステップS38が実行された場合、処理はステップS31に戻される。これにより、ステップS31以降の処理が繰り返される。
【0194】
ステップS38で生成された履歴画像データは、主記憶部320に記憶されてもよい。ここで、以前に生成された履歴画像データが主記憶部320に記憶されている場合には、当該履歴画像データが新たに生成された履歴画像データに更新されてもよい。また、ステップS38で生成された履歴画像データに基づく履歴画像が本体表示部330に表示されてもよい。
【0195】
10.効果
本実施の形態に係る除電システム1は、除電器200および制御装置300を含む。除電器200の除電器通信部280および制御装置300の主通信部380がネットワーク309に接続されることにより、除電器200と制御装置300とが接続可能である。
【0196】
この除電器200においては、装置制御部232による制御に基づいて、正イオン発生部211および負イオン発生部221によりイオンが発生される。また、装置制御部232による制御に関連する測定値と、測定値が取得された測定時刻とが測定値取得部233により取得される。測定値と測定時刻とに基づいて履歴データがデータ生成部234により生成され、生成された履歴データが除電器記憶部270により記憶される。
【0197】
この構成によれば、制御装置300が除電器200に接続されない場合でも、履歴データが当該除電器200に設けられた除電器記憶部270に記憶される。そのため、履歴データを欠落させることなく保存することが容易になる。したがって、使用者は、履歴データを管理するために制御装置300を頻繁に除電器200に接続する必要がない。これにより、管理の負担を増加させることなく、製品の製造状況を厳格に管理することができる。
【0198】
また、除電器200と制御装置300とが接続された場合、除電器200の除電器記憶部270に記憶された履歴データが、ネットワーク309を介して制御装置300のデータ取得部312により取得される。これにより、除電器200と制御装置300とが常時接続されない場合でも、履歴データに欠落を発生させることなく、制御装置300において履歴データを管理することができる。
【0199】
履歴データは、第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータを含む。第1のデータは、第1の時間の間隔で取得された測定値と、測定時刻とが対応付けられたデータである。第1のデータにより、除電器200の平時の挙動を管理することができる。第2のデータは、各種イベントが発生したときに取得された測定値と、測定時刻とが対応付けられたデータである。第2のデータにより、イベントが発生したときの除電器200の挙動を管理することができる。第3のデータは、各種イベントが発生したときの日時を示すデータである。第3のデータにより、イベントが発生したときの日時を管理することができる。
【0200】
除電器200の一時記憶部271には、第1の時間よりも短い第2の時間の間隔で履歴データが記憶される。第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間の経過時点に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして記憶される。この場合、第1のデータを除電器記憶部270に容易に記憶することができる。また、イベントの発生時刻を含む一定の期間に一時記憶部271に記憶された履歴データが第2のデータとして除電器記憶部270に記憶される。この場合、第2のデータを除電器記憶部270に容易に記憶することができる。
【0201】
さらに、第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内に一時記憶部271に記憶された履歴データにおける測定値の特徴値が除電器記憶部270に記憶される。この場合、除電器200の平時の挙動をより詳細に管理することができる。特に、特徴値は、最大値および最小値の少なくとも一方を含む。この場合、使用者は、除電器200の平時の挙動を直感的に把握することができる。
【0202】
一時記憶部271においては、割り当てられた所定の記憶領域の全部に履歴データが記憶された場合、最先に記憶された履歴データが上書きされて、最新の履歴データが記憶される。この構成によれば、一時記憶部271の容量が比較的小さい場合でも、十分に短い時間の間隔で、十分に長い期間の履歴データを記憶することができる。
【0203】
制御装置300においては、除電器200からの要求に応答して、当該制御装置300に設定された時刻を示す時刻情報が時刻情報送信部311により送信される。除電器200においては、時刻設定部231により時刻情報が受信され、受信された時刻情報が示す時刻が当該除電器200に設定される。この場合、制御装置300と除電器200との時刻を容易に同期させることができる。また、制御装置300に複数の除電器200が接続されている場合でも、複数の除電器200の時刻を容易に同期させることができる。
【0204】
11.他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、除電システム1は複数の除電器200を含むが、実施の形態はこれに限定されない。除電システム1は、1個のみの除電器200を含んでもよい。
【0205】
(2)上記実施の形態において、制御装置300と除電器200とはネットワーク309を介して接続されるが、実施の形態はこれに限定されない。制御装置300と除電器200とは、ネットワーク309を介さずに、クロスケーブル等により接続されてもよい。あるいは、USB(Universal Serial Bus)メモリまたはSDカード等の外部記憶媒体を介して、除電器200の除電器記憶部270から制御装置300の主記憶部320に履歴データが転送されてもよい。すなわち、除電器200と制御装置300とは、外部記憶媒体を介して接続可能であってもよい。
【0206】
(3)上記実施の形態において、第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間の経過時点に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして除電器記憶部270に記憶されるが、実施の形態はこれに限定されない。第1の時間が経過するごとに、当該第1の時間内における所定の時刻に一時記憶部271に記憶された履歴データが第1のデータとして除電器記憶部270に記憶されてもよい。
【0207】
(4)上記実施の形態において、履歴データは第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータを含むが、実施の形態はこれに限定されない。履歴データは第1のデータ、第2のデータおよび第3のデータのいずれか1つまたは2つを含んでもよい。
【0208】
(5)上記実施の形態において、除電器200は一時記憶部271を含むが、実施の形態はこれに限定されない。履歴データを除電器記憶部270に記憶可能である限り、除電器200は一時記憶部271を含まなくてもよい。
【0209】
(6)上記実施の形態において、測定値の特徴値は最大値および最小値の少なくとも一方であるが、実施の形態はこれに限定されない。測定値の特徴値は、平均値等の他の特徴値であってもよい。また、上記実施の形態において、測定値の特徴値が除電器記憶部270に記憶されるが、測定値の特徴値は除電器記憶部270に記憶されなくてもよい。
【0210】
12.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることができる。
【0211】
上記実施の形態においては、正イオン発生部211および負イオン発生部221がイオン発生部の例であり、装置制御部232がイオン制御部の例であり、測定値取得部233が測定値取得部の例である。データ生成部234がデータ生成部の例であり、除電器記憶部270が不揮発性記憶部の例であり、除電器200が除電器の例であり、一時記憶部271が揮発性記憶部の例である。
【0212】
制御装置300が制御装置の例であり、ネットワーク309がネットワークの例であり、除電器通信部280が第1の通信部の例であり、主通信部380が第2の通信部の例である。データ取得部312がデータ取得部の例であり、除電システム1が除電システムの例であり、時刻設定部231が時刻設定部の例であり、時刻情報送信部311が時刻情報送信部の例である。
【0213】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、また、上記の実施の形態の一部の構成を組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0214】
1…除電システム,11…除電器筐体,12…送風口,13…カバー,100…イオンバランスセンサ,110A…検出プレート,110B…イオン検出回路,111…オペアンプ,112…固定抵抗,113…変調電圧源,120…温度検出素子,130…湿度検出素子,140…センサ表示灯,150…センサ通信部,160…センサ電源部,190…センサ制御部,200…除電器,201…ファン,201a…回転軸,202…ファン駆動部,203…検知電極,211…正イオン発生部,211a,221a…円環状部材,212…正極側高圧回路,221…負イオン発生部,222…負極側高圧回路,230…除電器制御部,231…時刻設定部,232…装置制御部,233…測定値取得部,234…データ生成部,235…記憶制御部,236…判定部,237…通知取得部,240…イオン情報生成部,241…内部イオン電流検出回路,242…外部イオン電流検出回路,250…表示部,260…操作部,261…上ボタン,262…下ボタン,263…左ボタン,264…右ボタン,265…決定ボタン,266…取消ボタン,267…パワーボタン,270…除電器記憶部,271…一時記憶部,272,321…記憶媒体,280…除電器通信部,290…除電器電源部,291…クリーン装置,292…表示灯,293…警報装置,300…制御装置,309…ネットワーク,310…主制御部,311…時刻情報送信部,312…データ取得部,313…主記憶制御部,314…通知部,315…画像生成部,320…主記憶部,330…本体表示部,340…本体操作部,380…主通信部,390…主電源部,400…帯電検出システム,410,420…帯電検出装置,411,421…検出ヘッド,430…通信装置,500…第1階層画面,501…運転状態表示領域,502…イベント表示領域,503…エコモード表示領域,504…ロックモード表示領域,510…風量調整画面,511…風量値表示領域,512…風量ゲージ表示領域,513,524,542,552,562…説明表示領域,520…第1モニタ画面,521…帯電レベル表示領域,522…入出力表示領域,523…除電性能表示領域,530…第2モニタ画面,531…イオンバランス表示領域,532…入出力表示領域,533…温湿度表示領域,540…第1イベント履歴画面,541…全イベント表示領域,550…第2イベント履歴画面,551…エラー/警報イベント表示領域,560…第3イベント履歴画面,561…通知イベント表示領域,570…イベント詳細画面,600…第2階層画面,610,620,630,640,650…設定画面,en1,en2…電極針,N…ノード