(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037667
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】チャイルドシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20240312BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041309
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022142405
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596101130
【氏名又は名称】株式会社シーエー産商
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100214031
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 明弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 正昭
(72)【発明者】
【氏名】劉 珂
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】使用時にサポートレッグをロック可能なチャイルドシートを提供する。
【解決手段】チャイルドシート10は、台座12と、シート本体14と、台座12の前後方向に沿って、下面から上面に向かう有底溝として形成された凹溝32と、折り畳まれて凹溝32内に収納される収納状態と、フロアに当接する当接状態と、を取り得るサポートレッグ70と、サポートレッグ70が、当接状態から移動することを規制する位置固定手段38と、を備える。位置固定手段38は、凹溝32に配設される弾性変形可能な、前規制片34、後規制片36と、脚部100に配設された押圧片120と、を備える。当接状態において、スライド部80が、前規制片34と及び後規制片36と、に当接することで、当接状態から移動することを規制され、当接状態から脚部100を折り曲げて、押圧片120を後規制片36に押圧させることで、収納状態に移行可能となる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体を支持し、車両用のシートに取り付けられる台座と、
前記台座の前後方向に沿って、下面から上面に向かう有底溝として形成された凹溝と、
前記凹溝内を移動可能なスライド部と、前記スライド部の前方側の端部において前記スライド部に左右方向を軸として軸支される長尺状の脚部と、を有し、折り畳まれて前記凹溝内に収納される収納状態と、略L字形状となりフロアに当接する当接状態と、を取り得るサポートレッグと、
前記サポートレッグが、前記当接状態から移動することを規制する位置固定手段と、
を備え、
前記位置固定手段は、前記凹溝の上壁に配設される弾性変形可能な、前規制片及び後規制片と、前記脚部に配設された押圧片と、を備え、
前記当接状態において、前記スライド部が、前記前規制片と及び前記後規制片と、に当接することで、前記当接状態から移動することを規制され、
前記当接状態から前記脚部を折り曲げて、前記押圧片を前記後規制片に押圧させることで、前記収納状態に移行可能となることを特徴とするチャイルドシート。
【請求項2】
前記脚部は、外筒と、前記外筒の内側に配され前記外筒に対してスライド可能な内筒と、を有し、
前記内筒には複数の位置決め孔が配設され、前記外筒には前記押圧片が配設され、前記押圧片は、前記位置決め孔と係合可能とされ、前記脚部の長手方向における長さを調節可能とされていることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【請求項3】
前記スライド部と前記脚部の軸支部分にはカバー部材が配設され、
前記カバー部材は、下側と後側が開放した箱状に形成され、左右の側壁にはスライド溝が配設され、前壁の後側には当接リブが配設され、
前記スライド部には、前記スライド溝に挿入される挿入片が配設され、
前記脚部には、左右方向にそれぞれ突設される当接片が配設され、
前記当接片は、前記当接状態にあるとき、前記脚部の回転軸より前側に配設され、
前記脚部の回転により、前記当接片が前記前壁又は前記当接リブに当接して、前記カバー部材が、前記スライド部に対して前後方向に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【請求項4】
前記スライド部は、前後方向からみた断面が、下側が開口するコの字状に形成され、上壁には、前記収納状態において、前記前規制片及び前記後規制片との干渉を抑制する逃がし孔が配設されていることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【請求項5】
前記凹溝の上壁には、係止部が配設され、
前記脚部には、前記係止部と係止可能な被係止部が配設され、
前記収納状態において、前記係止部と前記被係止部とが係止して、前記サポートレッグが、前方向に移動することを規制可能とされていることを特徴とする請求項1記載のチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サポートレッグを備えるチャイルドシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサポートレッグを備えるチャイルドシートとして特許文献1に記載されるものがあり、当該チャイルドシートのサポートレッグは、各々長尺状に構成された支持脚部及び支持アーム部を備えていた。そして、チャイルドシートは、ベースの底面側に収納スペースが形成され、収納スペースに支持アーム部をスライド可能に支持するガイドレールが配設され、使用時においては、サポートレッグで支持して車両急減速時におけるチャイルドシートの前傾を防止し、不使用時にはサポートレッグをベース内に格納可能とされていた(特許文献1、段落0049~0053、
図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のチャイルドシートでは、「支持アーム部とガイドレールとの間には図示しない節度機構やロック機構等が配設されており、不用意に支持アーム部がガイドレールに沿ってスライドしないように構成されている。」とされているが、具体的な構成は開示されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みて、使用時にサポートレッグをロック可能なチャイルドシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、シート本体を支持し、車両用のシートに取り付けられる台座と、
前記台座の前後方向に沿って、下面から上面に向かう有底溝として形成された凹溝と、
凹溝内を移動可能なスライド部と、前記スライド部の前方側の端部において前記スライド部に左右方向を軸として軸支される長尺状の脚部と、を有し、折り畳まれて前記凹溝内に収納される収納状態と、略L字形状となりフロアに当接する当接状態と、を取り得るサポートレッグと、
前記サポートレッグが、前記当接状態から移動することを規制する位置固定手段と、
を備え、
前記位置固定手段は、前記凹溝の上壁に配設される弾性変形可能な、前規制片及び後規制片と、前記脚部に配設された押圧片と、を備え、
前記当接状態において、前記スライド部が、前記前規制片と及び前記後規制片と、に当接することで、前記当接状態から移動することを規制され、
前記当接状態から前記脚部を折り曲げて、前記押圧片を前記後規制片に押圧させることで、前記収納状態に移行可能となる。
【0007】
これによれば、位置固定手段により、サポートレッグが、当接状態から移動することを規制されるので、使用時にサポートレッグをロック可能なチャイルドシートを提供することができる。さらに、押圧片を後規制片に押圧させることで、当接状態から収納状態に移行可能とすることができる。
【0008】
また、前記脚部は、外筒と、前記外筒の内側に配され前記外筒に対してスライド可能な内筒と、を有し、
前記内筒には複数の位置決め孔が配設され、前記外筒には前記押圧片が配設され、前記押圧片は、前記位置決め孔と係合可能とされ、前記脚部の長手方向における長さを調節可能とされている。
【0009】
これによれば、押圧片に、収納状態に移行可能な機能に加え、脚部の長さ調節機能をもたせることで、部品点数を削減することができる。
【0010】
また、前記スライド部と前記脚部の軸支部分にはカバー部材が配設され、
前記カバー部材は、下側と後側が開放した箱状に形成され、左右の側壁にはスライド溝が配設され、前壁の後側には当接リブが配設され、
前記スライド部には、前記スライド溝に挿入される挿入片が配設され、
前記脚部には、左右方向にそれぞれ突設される当接片が配設され、
前記当接片は、前記当接状態にあるとき、前記脚部の回転軸より前側に配設され、
前記脚部の回転により、前記当接片が前記前壁又は前記当接リブに当接して、前記カバー部材が、前記スライド部に対して前後方向に沿って移動可能とされている。
【0011】
これによれば、カバー部材により、スライド部と脚部の軸支部分の安全性を向上させたうえで、脚部の回転を利用して、カバー部材を移動させることができるので、操作性の向上に寄与する。
【0012】
また、前記スライド部は、前後方向からみた断面が、下側が開口するコの字状に形成され、上壁には、前記収納状態において、前記前規制片及び前記後規制片との干渉を抑制する逃がし孔が配設されている。
【0013】
これによれば、収納状態における、スライド部と前規制片及び後規制片との干渉を抑制することで、前規制片及び後規制片が破損することを抑制することができる。
【0014】
また、前記凹溝の上壁には、係止部が配設され、
前記脚部には、前記係止部と係止可能な被係止部が配設され、
前記収納状態において、前記係止部と前記被係止部とが係止して、前記サポートレッグが、前方向に移動することを規制可能とされている。
【0015】
これによれば、係止部と被係止部とが係止することにより、サポートレッグが、前方向に移動することを規制可能となり、さらに、シートのクッションを利用して、飛び出してくることを防止できる。
【0016】
ここで、本発明における、「左右方向、前後方向、上下方向、水平方向」の記載の解釈としては、物理的に「左右方向、前後方向、上下方向、水平方向」であるものだけでなく、寸法公差、加工精度による製品のばらつき等、出願時の技術常識を参酌して「略左右方向、略前後方向、略上下方向、略水平方向」のものが含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態におけるチャイルドシートの当接状態の右側面図である。
【
図2】
図1におけるチャイルドシートの部分拡大縦断面図である。
【
図3】同実施形態のチャイルドシートの収納状態の右側面図である。
【
図4】同実施形態のチャイルドシートの収納状態の部分拡大縦断面図である。
【
図5】同実施形態のチャイルドシートの底面図である。
【
図6】台座、回転部材及びサポート部材を分離して示した斜視図である。
【
図11】スライド部の斜め下からみた斜視図である。
【
図12】カバー部材の左斜め下からみた斜視図である。
【
図13】カバー部材の右斜め下からみた斜視図である。
【
図18】収納状態における前規制片、後規制片と、スライド部との関係を示す底面側からみた説明図である。
【
図19】当接状態における前規制片、後規制片と、スライド部との関係を示す底面側からみた説明図である。
【
図20】押圧片が後規制片を押圧した状態の部分拡大縦断面図である。
【
図21】脚部を回転させるときの、(a)は収納状態、(b)は当接状態、の説明図である。
【
図24】変形例のチャイルドシートの収納状態の部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明をする。以下の説明では、各図面に付される矢印は、Fを前、Bを後ろ、Rを右、Lを左、Uを上、Dを下、とする。
【0019】
なお、サポートレッグ70は、回転する構成であるが、説明する
図10、14、15においては、
図3に示す状態、換言すれば、収納状態で矢印を付している。
【0020】
チャイルドシート10は、
図1~5等に示すように、車両用のシートに取り付けられる台座12と、この台座12に対して回転可能且つリクライニング可能なシート本体14と、台座12に取り付けられるサポートレッグ70と、を備えている。
【0021】
シート本体14は、合成樹脂製のシェル部16を有し、このシェル部16の内側に発泡材からなる図示しないクッション材を取り付け、シェル部16とクッション材との外表面側が図示しないシートカバーによって覆われて構成されている。
【0022】
シート本体14は、着座した乳幼児の周囲を前側と上側とを除いて覆うように湾曲して構成されるもので、シート本体14の内側には、シート本体14に着座させた乳幼児を固定させるための図示しないショルダーベルトとバックルとが配置されている。
【0023】
シェル部16は、合成樹脂製の一体成型品とされている。本実施形態の場合、シェル部16は、ポリプロピレン(PP)製とされる。
【0024】
台座12は、
図1、3、6等に示すように、上下方向に2分割可能で、台座上部12aと台座下部12bと有して、前端中央部分が開口して構成され、これらはそれぞれ合成樹脂により一体成形されている。当該開口部分12cにおいて、後述するカバー部材160が進退可能とされている。
【0025】
台座上部12aには、
図6に示すように、シート本体14の裏側と当接し、シート本体14の重量を支持する環状の支持面26が形成されている。また、支持面26の内側には、上向きに円形の開口が形成され、その内部に回転部材68が回転可能に収容されている。
【0026】
本実施形態では、チャイルドシート10は、シート回転機構及びリクライニング機構が内蔵されており、シート本体14は、図示しないガイドレールを用いて、回転部材68が連結され、台座12に対して回転可能且つリクライニング可能とされている。
【0027】
13は台座12に収納可能なコネクタである。本実施形態のチャイルドシート10では、コネクタ13の内部に設けられたフックを、車両用シートの側に用意されたISO-FIX方式のクランプバーに係合させることで、台座12を車体側(車両用シートの側)に連結することができる。このコネクタ13は台座12に対して伸縮可能に設けられており、使用しない場合には台座12の内部に収納することが可能である。
【0028】
以下に、サポートレッグ70の取付構造の説明をする。
【0029】
図4、7~9、17~20等に示すように、台座12(詳しくは台座下部12b)の底部には台座12の前後方向に沿って、下面から上面に向かう有底溝として形成された、換言すれば、下向きに開口した、凹溝32が、台座12の前端から中央後寄りの部分まで形成されている。
【0030】
凹溝32の上壁32aには、弾性変形可能な、前規制片34と、後規制片36と、が配設されている。
【0031】
前規制片34は、上壁32aの前側の部分が、前側が開口する幅のあるU字状に切り取られ、半長円状に形成され、前端部を基端として、上壁32aより下側に突出するように切り起こされている。
【0032】
後規制片36は、上壁32aの前規制片34より後側の部分が、後側が開口する幅のあるコの字状に切り取られ、矩形状に形成され、後端部を基端として、上壁32aより下側に突出するように切り起こされている。
【0033】
前規制片34と、後規制片36と、で位置固定手段38が構成される。
【0034】
凹溝32の後部には、サポートレッグ70が折り畳まれて凹溝32内に収納される収納状態において、サポートレッグ70の移動を規制する一対のストッパ40が配設されている。
【0035】
ストッパ40は、平板状で、台座下部12bの下面と、凹溝32の側壁との境界部分近傍に、後端部が前端部より上とされ、水平方向に対して傾斜するように配設され、収納状態において、サポートレッグ70が、下側、後側に移動することを規制可能とされている。
【0036】
凹溝32には、左右方向における幅が、前後の部分より幅が狭く、かつ、下側の幅が広く上側の幅が狭い段差を有するように突出した、幅狭部46が配設されている。幅狭部46は、後述するサポートレッグ70のスライド部80の外形形状に対応した形状とされている。
【0037】
凹溝32の幅狭部46の前側の部分には、幅狭部46が配設される部分より幅広に形成された、幅広部48が配設されている。幅広部48の側壁部分は、下側の幅が広く上側の幅が狭い段差を有するように形成され、後述するカバー部材160の移動が可能とされている。
【0038】
幅狭部46の前後方向における中央付近には、左右方向において矩形状に貫通した通孔50、50が配設されている。
【0039】
通孔50の前側には、幅狭部46と幅広部48との境界部分の側壁と、上壁32aの前端部の左右の端部において、切り欠かれた切欠部52、52が配設されている。
【0040】
通孔50と、切欠部52には、後述するサポート部材60のガイド片66が配置可能とされている。また、切欠部52の部分から、後述するカバー部材160が台座12内に進退可能とされている。
【0041】
台座下部12bの上面側には、
図6に示すように、サポート部材60が配設されている。サポート部材60は、台座下部12bに取り付けられる五角形枠状の取付部62と、凹溝32に対応する形状に形成された凹溝ガイド部64と、を有している。
【0042】
コネクタ13は、台座下部12bを挿通するように配され、サポート部材60の取付部62の左右の端部に、前後方向に沿って移動可能に配設されている。
【0043】
凹溝ガイド部64には、上側が開口する断面Jの字状に形成され、左右の側壁から二つずつガイド片66が延設されている。
【0044】
ガイド片66は、下側がJ字状に形成され、後述するサポートレッグ70のスライド部80のスライドレール部84をガイド可能とされている。
【0045】
ガイド片66を、対応する通孔50、切欠部52に、上側から挿通させた状態で、取付部62においてねじ止め等して、サポート部材60が、台座下部12bに取り付けられている。
【0046】
サポートレッグ70は、
図10~15等に示すように、凹溝32内を移動可能なスライド部80と、スライド部80の前方側の端部においてスライド部80に左右方向を軸として軸支される長尺状の脚部100と、を有し、折り畳まれて凹溝32内に収納される収納状態と、略L字形状となりフロアに当接する当接状態と、を取り得る。
【0047】
スライド部80は、金属製で、前後方向からみた断面が、下側が開口するコの字状に形成されている。
【0048】
スライド部80の上壁80aには、収納状態において、前規制片34及び後規制片36との干渉を抑制する、長孔状の逃がし孔82が、前後方向に沿って二つ配設されている。
【0049】
スライド部80の側壁80bは、下部が上側の部分より幅広、かつ、凹溝32の幅狭部46と対応する形状に形成され、下端部が、サポート部材60のガイド片66内で、スライド可能なスライドレール部84とされている。
【0050】
スライド部80の側壁80bの前端部から、軸支板86、86がそれぞれ延設され、軸支板86、86の上端部には、後述するカバー部材160のスライド溝162に挿入される、挿入片88、88が外側に向かって延設されている。
【0051】
また、軸支板86の後端下側には、幅のある円弧状、かつ、他の部分より左右方向の幅が広くなるように形成され、後述する取付ブラケット140の回転を許容する、第一膨出部90が配設されている。
【0052】
第一膨出部90の前端部には、左右方向において貫通する貫通孔92が配設されている。貫通孔92の前側の端面が、後述する取付ブラケット140の円弧部148のストッパとして機能する。
【0053】
軸支板86の前端下側には、他の部分より、左右方向の幅が広くなるように形成され、後述する取付ブラケット140の回転を許容する第二膨出部94が配設されている。第二膨出部94の後側の端面が、後述する取付ブラケット140の凸部150のストッパとして機能する。
【0054】
第一膨出部90と第二膨出部94との間の部分が、凸部150が乗り越える山部分98となる。
【0055】
軸支板86には、左右方向において貫通する軸孔96が配設されている。軸孔96は、軸支板86の、前端より後側、上端より下側に配設され、後述するカバー部材160の前後方向への移動を可能としている。
【0056】
脚部100は、外筒110と、外筒110の内側に配され外筒110に対してスライド可能な内筒130と、を有している。
【0057】
外筒110は、アルミニウム製で、角筒状に形成され、
図10、14、15に示す収納状態において、上面から下面に向かう有底溝112が形成され、有底溝112の開口部分の一部を覆う左右一対の平板部114、114を有している。
【0058】
収納状態における前端部には、前端を塞ぐ上蓋部材116が取り付けられている。上蓋部材116には、左右方向にそれぞれ突設される、矩形平板状の当接片118、118が配設されている。
【0059】
外筒110には、アルミニウム製で、平板状に形成された押圧片120が配設されている。
【0060】
押圧片120の後端部には、後述する内筒130の位置決め孔132と係合可能な矩形平板状の係合片122が配設されている。押圧片120の長手方向における中央部分には、左右方向にそれぞれ平板状に突設される、取付片124、124が配設されている。
【0061】
図14に示すように、左右一対の平板部114の下側に、金属製で、略H字状に形成された棒部材126が架け渡される。棒部材126の押圧片120と対向する側が、矩形状に切欠かれて形成された取付凹部127に、取付片124を配置して、外筒110と棒部材126とで挟み込むとともに、外筒110と押圧片120との間に板ばね128を介装して、押圧片120は、外筒110に取り付けられる。
【0062】
板ばね128により、押圧片120の係合片122とは反対側(前側)の部分が、内筒130から離れる側に付勢されている。
【0063】
内筒130は、アルミニウム製で、角筒状に形成され、外筒110内を摺動可能とされている。
【0064】
内筒130には、上下方向に貫通する複数の長方形状の位置決め孔132が、当接状態における前後方向に沿って複数配設されている。押圧片120は、位置決め孔132と係合可能とされ、係合する位置決め孔132を適宜変更することで、脚部100の長手方向における長さを調節可能とされている。
【0065】
内筒130の後端部には、内筒130の後端を覆う下蓋部材134が取り付けられている。
【0066】
外筒110には、脚部100がスライド部80に対して回転可能とする取付ブラケット140が配設されている。
【0067】
取付ブラケット140は、内筒130に取り付けられる取付板142と、当接状態における、取付板142の左右の端部から上方に延設される一対の軸支板144、144と、を有している。
【0068】
軸支板144には、左右方向において貫通する軸孔146が配設されている。軸孔146は、軸支板144の、前端より後側、上端より下側に配設され、後述するカバー部材160の前後方向への移動を可能としている。
【0069】
収納状態における、前後方向からみて、軸支板144の側の上端部には、内側に張り出す半円弧状に形成された円弧部148と、円弧部148の円弧の張り出し方向とは逆側に突出する凸部150が配設されている。
【0070】
収納状態から当接状態にするときに、凸部150が、第一膨出部90内を移動し、第一膨出部90と第二膨出部94との間の山部分98を、凸部150が乗り越え第二膨出部94内に進入する。このとき、円弧部148が、貫通孔91の前側の端面と当接して後側への移動が規制される。凸部150が山部分98を乗り越えるときに、節度感を得ることが可能となる。
【0071】
取付ブラケット140は、取付板142に設けられたねじ孔に、図示しないねじを通してねじ止めされて筒に取り付けられている。
【0072】
スライド部80と脚部100の軸支部分には、カバー部材160が配設されている。
【0073】
カバー部材160は、合成樹脂製で、
図12、13、16~21等に示すように、下側と後側が開放した箱状に形成されている。
【0074】
カバー部材160の左右の側壁160b、160bの内側上部には、スライド溝162、162がそれぞれ配設されている。スライド溝162に、スライド部80の挿入片88が挿入可能とされている。
【0075】
カバー部材160の前壁160aの後側には、左右一対の当接リブ164、164が配設され、外筒110の当接片118と当接可能とされ、脚部100の回転により、当接片118が当接リブ164に当接して、カバー部材160が、スライド部80に対して後方向に向かって移動可能とされている。
【0076】
カバー部材160は、他の部分より幅広に形成された幅広部166が配設されている。幅広部166の側壁160b、160b部分は、下側の幅が広く上側の幅が狭い段差を有するように形成され、凹溝32の幅広部48と対応した形状とされている。
【0077】
幅広部166が幅広部48にガイドされて、カバー部材160の、左右方向、上方向への移動が規制される。
【0078】
カバー部材160の左右の側壁160b、160bの後端部の、幅広部166の上方には、直方体状に突出する突出部168がそれぞれ配設されている。突出部168は、幅広部48の切欠部52により形成された上端面上を移動可能とされている。
【0079】
軸支板144の軸孔146と、軸支板86の軸孔96を連通させ、軸部材101を取り付けることより、脚部100はスライド部80に対して、左右方向を軸として回転可能に軸支される。
【0080】
スライド溝162に、スライド部80の挿入片88を挿入させ、突出部168を、幅広部48の切欠部52により形成された上端面上に乗せ、カバー部材160の前壁160aと当接リブ164の間に当接片118を配置させて、スライド部80と脚部100の軸支部分にカバー部材160が取り付けられる。
【0081】
当接片118は、当接状態にあるとき、脚部100の回転軸より前側に配設されているので、脚部100の回転により、後側に、換言すれば、収納状態となるように移動する。また、台座上部12aと台座下部12bとで形成される、台座12の前端中央部の開口部分12cを構成する切欠部52の部分から、カバー部材160が台座12内に進入する。
【0082】
本実施形態のチャイルドシート10では、以下に示すようにサポートレッグ70の組付及び回転操作を行うことができる。
【0083】
図3~5、16、18、21(a)においては、サポートレッグ70が、折り畳まれて凹溝32内に収納された収納状態にある。
【0084】
このとき、スライド部80と脚部100とが折り畳まれ、脚部100が、ストッパ40により、下側、後側に移動することを規制されている。
【0085】
凹溝32の上壁32aにある、前規制片34及び後規制片36は、逃がし孔82内に進入することにより、スライド部80との干渉を抑制されている。また、取付ブラケット140の凸部150は、第一膨出部90から外れた領域にある。
【0086】
まず、車両のシートに取り付ける前に、サポートレッグ70全体を前側に移動させて、ストッパ40による移動の規制を解除する。
【0087】
そして、
図17、19に示すように、スライド部80の上壁80aの、後端面から前側の逃がし孔82の後端面までの部分が、下側に切り起こされた、前規制片34と後規制片36との間に入り込む。つまり、位置固定手段38により、サポートレッグ70の前後方向への移動が規制される。
【0088】
位置固定手段38により、サポートレッグ70の前後方向の位置が決まったら、脚部100をスライド部80に対して下側に回転させる。このとき、
図21(a)、(b)に示すように、凸部150は、第一膨出部90内を下側に向かって回転していく。
【0089】
カバー部材160は、脚部100の当接片118が前壁160aに当接して前側に移動する。
【0090】
カバー部材160は、スライド溝162に挿入された挿入片88、幅広部166をガイドする幅広部48、突出部168をガイドする幅広部48の切欠部52により形成された上端面、によりスムーズに前側に移動可能とされている。
【0091】
脚部100の回転が進み、凸部150が、山部分98を、乗り越え第二膨出部94内に進入する。このとき、円弧部148が、貫通孔91の前側の端面と当接して後側への移動が規制される。凸部150が山部分98を乗り越えるときに、節度感を得ることが可能となる。
【0092】
脚部100がスライド部80に対して略直交する状態となったら、チャイルドシート10を車両のシートに乗せる。外筒110に対して内筒130を摺動させ、位置決め孔132に係合片122を挿入して係合させて、脚部100の長手方向における長さを調節する。これにより、サポートレッグ70は、
図1、2に示すように、略L字形状となりフロアに当接する当接状態となる。
【0093】
チャイルドシート10をシートから取り外すときには、位置決め孔132と係合片122との係合を解除し、脚部100を収納可能な短い状態にする。そして、脚部100をスライド部80に対して近付けるように回転させる。
【0094】
このとき、
図21(b)、(a)に示すように、凸部150は、第二膨出部94から山部分98を乗り越え、第一膨出部90内に進入する。凸部150が山部分98を乗り越えるときに、節度感を得ることができる。
【0095】
また、凸部150は、第一膨出部90内を上側に向かって回転していく。
【0096】
カバー部材160は、脚部100の当接片118が当接リブ164に当接して後ろ側に移動する。
【0097】
カバー部材160は、スライド溝162に挿入された挿入片88、幅広部166をガイドする幅広部48、突出部168をガイドする幅広部48の切欠部52により形成された上端面、によりスムーズに後側に移動可能とされている。
【0098】
さらに、脚部100を回転させると、押圧片120が、後規制片36を押圧して上側に押し込むと、スライド部80の後側への移動の規制が解除され、サポートレッグ70が折り畳まれた状態で後側に移動可能となる。
【0099】
そして、脚部100が、ストッパ40により、下側、後側に移動することを規制されると、
図3、4等に示す、収納状態となる。
【0100】
上記構成のチャイルドシート10では、シート本体14を支持し、車両用のシートに取り付けられる台座12と、
台座12の前後方向に沿って、下面から上面に向かう有底溝として形成された凹溝32と、
凹溝32内を移動可能なスライド部80と、スライド部80の前方側の端部においてスライド部80に左右方向を軸として軸支される長尺状の脚部100と、を有し、折り畳まれて凹溝32内に収納される収納状態と、略L字形状となりフロアに当接する当接状態と、を取り得るサポートレッグ70と、
サポートレッグ70が、当接状態から移動することを規制する位置固定手段38と、
を備え、
位置固定手段38は、凹溝32の上壁32aに配設される弾性変形可能な、前規制片34及び後規制片36と、脚部100に配設された押圧片120と、を備え、
当接状態において、スライド部80が、前規制片34と及び後規制片36と、に当接することで、当接状態から移動することを規制され、
当接状態から脚部100を折り曲げて、押圧片120を後規制片36に押圧させることで、収納状態に移行可能となる。
【0101】
これによれば、位置固定手段38により、サポートレッグ70が、当接状態から移動することを規制されるので、使用時にサポートレッグ70をロック可能なチャイルドシートを提供することができる。さらに、押圧片120を後規制片36に押圧させることで、当接状態から収納状態に移行可能とすることができる。
【0102】
また、脚部100は、外筒110と、外筒110の内側に配され外筒110に対してスライド可能な内筒130と、を有し、
内筒130には複数の位置決め孔132が配設され、外筒110には押圧片120が配設され、押圧片120は、位置決め孔132と係合可能とされ、脚部100の長手方向における長さを調節可能とされている。
【0103】
これによれば、押圧片120に、収納状態に移行可能な機能に加え、脚部100の長さ調節機能をもたせることで、部品点数を削減することができる。
【0104】
また、スライド部80と脚部100の軸支部分にはカバー部材160が配設され、
カバー部材160は、下側と後側が開放した箱状に形成され、左右の側壁160bにはスライド溝162が配設され、前壁160aの後側には当接リブ164が配設され、
スライド部80には、スライド溝162に挿入される挿入片88が配設され、
脚部100には、左右方向にそれぞれ突設される当接片118が配設され、
当接片118は、当接状態にあるとき、脚部100の回転軸より前側に配設され、
脚部100の回転により、当接片118が前壁160a又は当接リブ164に当接して、カバー部材160が、スライド部80に対して前後方向に沿って移動可能とされている。
【0105】
これによれば、カバー部材160により、スライド部80と脚部100の軸支部分の安全性を向上させたうえで、脚部100の回転を利用して、カバー部材160を移動させることができるので、操作性の向上に寄与する。
【0106】
また、スライド部80は、前後方向からみた断面が、下側が開口するコの字状に形成され、上壁80aには、収納状態において、前規制片34及び後規制片36との干渉を抑制する逃がし孔82が配設されている。
【0107】
これによれば、収納状態における、スライド部80と前規制片34及び後規制片36との干渉を抑制することで、前規制片34及び後規制片36が破損することを抑制することができる。
【0108】
ここで、本明細書における「左右方向、前後方向、上下方向、水平方向」の記載の解釈としては、物理的に「左右方向、前後方向、上下方向、水平方向」であるものだけでなく、寸法公差、加工精度による製品のばらつき等、出願時の技術常識を参酌して「略左右方向、略前後方向、略上下方向、略水平方向」のものが含まれるものとする。
【0109】
本発明のチャイルドシートは上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0110】
本発明の変形例を、図面に基づいて説明をする。上記実施形態と対応する構成については、同一符号を付加し、全部又は一部の説明を省略する。
【0111】
図22~24に示すように、凹溝32の上壁32aには、係止部54が配設されている。本変形例では、係止部54は、
図24の状態において、垂直方向に対して斜め後ろ側に傾斜して下側に延びる壁部と、当該壁部から後ろ側に連設され、凹溝32の上壁32aの下面側から上面側に窪む凹部とで構成されている。
【0112】
脚部100を構成する下蓋部材134には、係止部54と係止可能な被係止部136が配設されている。本変形例では、被係止部136は、
図24の状態において、垂直方向に対して斜め前側に傾斜して上側に延びる略三角形板状に形成されている。
【0113】
サポートレッグ70が、凹溝32内に収納される収納状態において、係止部54と被係止部136とが係止して、サポートレッグ70が、前方向に移動することを規制可能とされる。
【0114】
このような構成とすれば、係止部54と被係止部136とが係止することにより、サポートレッグ70が、前方向に移動することを規制可能となり、さらに、シートのクッションを利用して、飛び出してくることを防止できる。
【符号の説明】
【0115】
10 チャイルドシート
12 台座
14 シート本体
32 凹溝
32a 上壁
34 前規制片
36 後規制片
38 位置固定手段
54 係止部
70 サポートレッグ
80 スライド部
80a 上壁
82 逃がし孔
88 挿入片
100 脚部
110 外筒
118 当接片
120 押圧片
122 係合片
124 取付片
126 棒部材
128 板ばね
130 内筒
132 位置決め孔
136 被係止部
160 カバー部材
160a 前壁
162 スライド溝
164 当接リブ