(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037686
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】電力ケーブルの絶縁システムを構築する方法
(51)【国際特許分類】
H02G 15/08 20060101AFI20240312BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240312BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02G15/08
H02G1/14
H01R4/70 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023130586
(22)【出願日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】22194342
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グスタヴソン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アントニシュキ, ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン, トミー
【テーマコード(参考)】
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5G355AA01
5G355BA01
5G355BA11
5G355BA17
5G355CA15
5G355CA17
5G355CA26
5G375AA02
5G375BA26
5G375CA12
5G375CB04
5G375CB38
5G375EA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】絶縁システムを損傷することを抑制する電力ケーブルの絶縁システムを提供する。
【解決手段】電力ケーブル1の導体5の軸方向部分の周りに絶縁システムを構築する方法であって、絶縁システムは、導体5の周りに配置された内側半導体層7a、7bと、絶縁層9a、9bと、外側半導体層11a、11bとを含む。絶縁システムの第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分を備え、第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分と接続する複数のテープの層を形成するために、複数の層において軸方向部分に沿って導体5の周りにテープを巻き付け、複数のテープの層を加熱して複数のテープの層を溶融及び融着させ、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間に絶縁システム層17、19を形成し、テープはその側縁間に中間部分に、最大厚さを有し、中間部分から両方の側縁に向かって減少する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル(1)の導体(5)の軸方向部分の周りに絶縁システムを構築する方法であって、
a)電力ケーブル(1)を設置することであって、前記電力ケーブル(1)は、導体(5)と、前記導体(5)の周りに配置された絶縁システム(7a、7b、9a、9b、11a、11b)であって、前記絶縁システム(7a、7b、9a、9b、11a、11b)が、前記導体(5)の周りに配置された内側半導体層(7a、7b)と、前記内側半導体層(7a、7b)の周りに配置された絶縁層(9a、9b)と、前記絶縁層(9a、9b)の周りに配置された外側半導体層(11a、11b)とを含む、絶縁システム層を備える、絶縁システム(7a、7b、9a、9b、11a、11b)と、を含み、前記電力ケーブル(1)が、少なくとも外側半導体層(19)のない、前記絶縁システム(7a、7b、9a、9b、11a、11b)の第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分を備える、電力ケーブル(1)を設置することと、
b)前記第1の絶縁システム部分及び前記第2の絶縁システム部分と接続する複数のテープ(21-1、21-2、21-3)の層を形成するために、複数の層において前記軸方向部分に沿って前記導体(5)の周りにテープ(21-1、21-2、21-3)を巻き付けることと、
c)前記複数のテープ(21-1、21-2、21-3)の層を加熱して前記複数のテープの層を溶融及び融着させ、前記第1の絶縁システム部分と前記第2の絶縁システム部分との間に絶縁システム層(17、19)を形成することと、
を含み、
前記テープ(21-1、21-2、21-3)が、側縁(21a、21b)間の距離によって画定される幅(w)を有し、前記テープ(21-1、21-2、21-3)が、その側縁(21a、21b)間に中間部分(21c)を有し、前記中間部分(21c)に、前記テープ(21-1、21-2、21-3)が最大厚さ(t)を有し、前記テープ(21-1、21-2、21-3)の前記厚さ(t)が、前記中間部分(21c)から両方の側縁(21a、21b)に向かって減少する、
方法。
【請求項2】
前記厚さが、両方の側縁(21a、21b)に向かって滑らかに減少する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記厚さが、前記側縁(21a、21b)に向かって対称的に減少する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記テープ(21-2、21-3)の断面で、前記テープ(21-2、21-3)が凸形状を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記凸形状が両凸又は平凸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ステップb)では、前記複数の層の各層において、隣接する巻回が重なり合って配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の層の各層において、テープ(21-1、21-2、21-3)の各巻回が、任意の隣接するテープ(21-1、21-2、21-3)の層の前記テープ(21-2、21-3)のすべての巻回に対して前記導体(5)の軸方向に沿って軸方向にシフトして配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
各巻回が、前記テープ(21-1、21-2、21-3)の幅の少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%で軸方向にシフトされる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)では、前記テープ(21-1、21-2、21-3)が大気圧よりも高い圧力下で加熱される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップb)の前に、前記導体(5)の周りに内側半導体層(15)を設けることを含み、ステップb)では、前記テープ(21-1、21-2、21-3)の巻き付けが、前記内側半導体層(15)の周りである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記絶縁システム層が、絶縁層(17)又は外側半導体層(19)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記テープ(21-1、21-2、21-3)がポリマー材料を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、EPR、及びエチレンプロピレンジエンモノマーゴムのうちの1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記絶縁体の構築が、前記電力ケーブル(1)の前記絶縁システムのケーブル接合作業又は修理作業の一部を形成する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電力ケーブル(1)が、高電圧電力ケーブルである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電力網インフラストラクチャ内の電力ケーブルの絶縁システムは、内側半導体層と、内側半導体層の外側に配置された絶縁層と、絶縁層の外側に配置された外側半導体層とを備える。
【0003】
押出絶縁システムを有する電力ケーブルのケーブル長は、いわゆる工場接合で接続されてもよい。例えば、絶縁システムの接合は、最も外側のシース又はサービングがケーブルコアの周りに設けられる前に行われるため、工場接合は、外部から容易に検出できないことが多い。
【0004】
典型的には、工場接合を実行する場合、2つのケーブル長の絶縁システムは、鉛筆状、すなわち、先細にされ、導体が接合された後に、互いに向かって尖っている。次いで、テープを導体の周りに巻き付けて、上述の3つの層を形成する。テープは、例えば、特開昭61-243680に開示されているように、加熱プロセスによって硬化される。
【0005】
このプロセスの欠点は、内側又は外側半導体層と絶縁層との間の縁部が加熱プロセス中に形成され得ることである。これは、電界を局所的に増加させ、絶縁システムを損傷するか又は絶縁システムの破壊につながる可能性がある絶縁体内の放電をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
絶縁層を形成するテープは、加熱プロセス中に内側半導体層及び外側半導体層よりもゆっくりと軟化することが分かった。したがって、通常は重なり合って配置される絶縁層を形成するテープの縁部は、加熱プロセス中に内側半導体層に押し込まれ、その結果、絶縁層と内側半導体層との間の縁部がケーブルの使用時に局所的に電界を増加させる。
【0007】
本開示の一般的な目的は、先行技術の問題を解決又は少なくとも緩和する電力ケーブルの絶縁システムを構築する方法を提供することである。
【0008】
したがって、本開示の第1の態様によれば、電力ケーブルの導体の軸方向部分の周りに絶縁システムを構築する方法であって、a)電力ケーブルを設置することであって、電力ケーブルは、導体と、導体の周りに配置された絶縁システムであって、絶縁システムは、導体の周りに配置された内側半導体層と、内側半導体層の周りに配置された絶縁層と、絶縁層の周りに配置された外側半導体層とを含む絶縁システム層を備える、絶縁システムと、を含み、電力ケーブルは、少なくとも外側半導体層のない、絶縁システムの第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分を備える、電力ケーブルを設置すること、b)第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分と接続する複数のテープの層を形成するために、複数の層において軸方向部分に沿って導体の周りにテープを巻き付けることと、c)複数のテープの層を加熱して、複数のテープの層を溶融及び融着させて、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間に絶縁システム層を形成することと、を含み、テープは、その側縁間の距離によって画定される幅を有し、テープは、側縁間に中間部分を有し、中間部分に、テープは最大の厚さを有し、テープの厚さは、中間部分から両方の側縁に向かって減少する、方法が提供される。
【0009】
側縁に向かってテープの厚さが減少するため、加熱中の縁形成のリスクが大幅に低減される。同時にテーパ形状は、高い充填率を提供する。
【0010】
一実施形態によれば、厚さは、両方の側縁に向かって滑らかに減少する。
【0011】
一実施形態によれば、厚さは、側縁に向かって対称的に減少する。対称性は、ここでは、テープの中心長手方向軸線に対して、すなわちテープの軸方向延長部に沿っている。
【0012】
一実施形態によれば、テープの断面では、テープは凸形状を有する。
【0013】
一実施形態によれば、凸形状は、両凸又は平凸である。
【0014】
一実施形態によれば、ステップb)では、複数の層の各層において、隣接する巻回は重なり合って配置される。
【0015】
一実施形態によれば、複数の層の各層において、テープの各巻回は、任意の隣接するテープの層のテープのすべての巻回に対して導体の軸方向に沿って軸方向にシフトして配置される。
【0016】
一実施形態によれば、各巻回は、テープの幅の少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%で軸方向にシフトされる。
【0017】
一実施形態によれば、ステップc)では、テープは大気圧より高い圧力下で加熱される。
【0018】
一実施形態は、ステップb)の前に、導体の周りに内側半導体層を設けることを含み、ステップb)では、テープの巻き付けは、内側半導体層の周りである。
【0019】
一実施形態によれば、絶縁システム層は、絶縁層又は外側半導体層である。
【0020】
絶縁システムの3つの層、すなわち、内側半導体層、絶縁層、及び外側半導体層の各々は、好ましくは、個々に加熱するステップを受ける。このため、内側半導体層を形成するためテープを巻き付けた後、絶縁層を形成するテープを内側半導体層の周りに巻き付ける前に、このテープを加熱して硬化させる。さらに、外側半導体層を形成するテープを絶縁層の周りに巻き付ける前に、絶縁層を形成するテープを加熱して硬化させる。したがって、縁形成のリスクは、通常、下にある絶縁システム層に対してである。
【0021】
一実施形態によれば、テープはポリマー材料を含む。
【0022】
一実施形態によれば、ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、EPR、及びエチレンプロピレンジエンモノマーゴムのうちの1つを含む。
【0023】
一実施形態によれば、絶縁体の構築は、電力ケーブルの絶縁システムのケーブル接合作業又は修理作業の一部を形成する。
【0024】
一実施形態によれば、電力ケーブルは高電圧電力ケーブルである。
【0025】
電力ケーブルは、AC又はDC電力ケーブルであってもよい。
【0026】
電力ケーブルは、海底電力ケーブル又は地下電力ケーブルであってもよい。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様の方法によって得ることができる電力ケーブルが設置される。
【0028】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a)/1つの(an)/その(the)要素(element)、装置(apparatus)、構成要素(component)、手段(means)などへのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとして非限定的に解釈されるべきである。
【0029】
ここで、添付の図面を参照して、例として、本発明の概念の具体的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】接合を有する電力ケーブルの長手方向断面を概略的に示す。
【
図2】電力ケーブルの導体の軸方向部分の周りに絶縁システムを構築する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の符号は同様の要素を指す。
【0032】
図1は、工場接合3を備えた電力ケーブル1の長手方向断面の一例を概略的に示す。
【0033】
電力ケーブル1は、工場接合3によって接合された第1の部分1a及び第2の部分1bを備える。
【0034】
第1の部分1aは、第1の導体部分5aと、第1の導体部分5aの周りに配置された導体スクリーンとも呼ばれる内側半導体層7aと、内側半導体層7aの周りに配置された絶縁層9aと、絶縁スクリーンとも呼ばれる外側半導体層11aとを含む。第1の導体部分5aの周りに配置された内側半導体層7a、絶縁層9a、及び外側半導体層11aは、電力ケーブル1の第1の絶縁システム部分を形成する。
【0035】
第1の絶縁システム部分は、押出絶縁システムである。内側半導体層7a、絶縁層9a、及び外側半導体層11aの各々は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、EPR、又はエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのポリマー材料を含むことができる。
【0036】
同様に、第2の部分1bは、第2の導体部分5bと、第2の導体部分5bの周りに配置された内側半導体層7bと、内側半導体層7bの周りに配置された絶縁層9bと、外側半導体層11bとを備える。第2の導体部分5bの周りに配置された内側半導体層7b、絶縁層9b、及び外側半導体層11bは、電力ケーブル1の第2の絶縁システム部分を形成する。
【0037】
第2の部分1bの第2の絶縁システム部分は、押出絶縁システムである。内側半導体層7b、絶縁層9b、及び外側半導体層11bの各々は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、EPR、又はエチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDM)などのポリマー材料を含むことができる。
【0038】
第1の導体部分5aと第2の導体部分5bは、例による接合である。これにより、導体部分5a、5bは、導体接合部13を介して接続され、単一の導体5を形成する。導体部分5a及び5bは、例えば、溶接によるなど、熱的に接合され得る。
【0039】
第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分とは接合され、電力ケーブル1の絶縁システムを形成する。
【0040】
第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分は、テープを使用して接合されて、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分の内側半導体層7a、7bを接続する内側半導体層15を形成し、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分の絶縁層9a、9bを接続する絶縁層17を形成し、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分の外側半導体層11a、11bを接続する外側半導体層19を形成する。
【0041】
ここで、
図2~
図3cを参照して、電力ケーブル1などの電力ケーブルを形成するために露出した第1及び第2の導体部分5a及び5bの周りに絶縁システムを構築する方法を説明する。
【0042】
絶縁システムの構築は、電力ケーブル1のケーブル接合作業又は電力ケーブル1の絶縁システムの修理作業の一部を形成することができる。
【0043】
この方法がケーブル接合作業に関する場合、第1の部分1aと第2の部分1bは最初は接合されない。この場合、第1の導体部分5aと第2の導体部分5bとは、当初、接続されない。第1の導体部分5aと第2の導体部分5bとを接合する前に、第1の導体部分5aと第2の導体部分5bの端部が露出される。さらに、第1の部分1a及び第2の部分1bのそれぞれについて、内側半導体層7a、7b、絶縁層9a、9b及び外側半導体層11a、11bのそれぞれが順に露出される。さらに、各絶縁層9a、9bは、
図1に示すように、互いに向かってテーパ状に配置された鉛筆状、すなわち円錐として形成されてもよい。
【0044】
第1の導体部分5aと第2の導体部分5bとが接合されて導体接合部13が形成される。
【0045】
代替で、この方法が絶縁システムの修理作業に関する場合、導体5は、導体5の周りに絶縁システムが構築される領域での接合を必要としなくてもよい。またこの場合、第1の導体部分5a及び第2の導体部分5bが露出して、損傷領域における絶縁システムの再構築が可能となる。さらに、第1の部分1a及び第2の部分1bのそれぞれについて、絶縁層9a、9b及び外側半導体層11a、11bのそれぞれが順に露出される。また、この場合、絶縁層9a、9bは、互いに向かってテーパ状に配置された鉛筆状、すなわち円錐として形成されてもよい。
【0046】
両方の場合において、この点で、第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分は、互いに軸方向に離間する。特に、電力ケーブル1は、少なくとも外側半導体層のない、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分を有する。
【0047】
本方法のステップa)では、少なくとも外側半導体層がない、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分を有する電力ケーブル1が設けられる。
【0048】
典型的には、内側半導体層15は、ステップa)の前に露出され接合された導体部分5a、5bの周りに設けられる。代替で、内側半導体層15は、電力ケーブル1の絶縁システムの修理に関する例では、露出された、接合されていない領域に導体5の周りに設けられてもよい。
【0049】
内側半導体層15は、例えば、露出された第1の導体部分5a及び第2の導体部分5bの周りにテープを巻き付け、テープを加熱してテープを硬化させることによって形成されてもよい。
【0050】
ステップb)では、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間の軸方向部分に沿って、導体5の周りにテープを巻き付ける。
【0051】
テープは、複数の層において巻かれて、電力ケーブル1の第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分と接続する複数のテープの層を形成する。
【0052】
一例によれば、ステップb)では、複数の層の各層において、隣接する巻回は重なり合って配置される。
【0053】
一例によれば、複数の層の各層において、テープの各巻回は、任意の隣接するテープの層のテープのすべての巻回に対して導体5の軸方向に沿って軸方向にシフトして配置される。各巻回は、例えば、テープの幅の少なくとも20%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも40%で軸方向にシフトされてもよい。
【0054】
ステップc)では、複数のテープ層を加熱して、複数のテープの層を溶融及び融着させて、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分との間に絶縁システム層を形成する。さらに、このようにして得られた絶縁システム層はまた、第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分と融着される。特に、絶縁システム層は、第1の絶縁システム部分及び第2の絶縁システム部分の対応する絶縁システム層と融着される。
【0055】
ステップc)で形成される絶縁システム層は、第1の絶縁システム部分と第2の絶縁システム部分とを接続する絶縁層17又は外側半導体層19であってもよい。
【0056】
ステップc)では、テープを大気圧より高い圧力下で加熱してもよい。例えば、圧力は、少なくとも3バール、又は少なくとも4バールなど、少なくとも2バールであってもよい。
【0057】
図2は、ステップb)で使用されるテープ21-1の一例を示す。テープ21-1は、その側縁21a、21b間の距離によって画定される幅wを有する。テープ21-1は、側縁21a、21bの間に中間部分21cを有する。中間部分21cでは、テープ21-1がその最大厚さtを有する。テープ21-1の厚さは、中間部分21cから側縁21aに向かう方向及び側縁21bに向かう方向に減少する。したがって、側縁21a、21bにおけるテープ21の厚さは、中間部分21cでの最大厚さtよりも小さい。
【0058】
テープ21の厚さは、好ましくは、両方の側縁21a、21bに向かって滑らかに減少してもよい。
【0059】
テープ21の厚さは、側縁21a、21bに向かって対称的にテーパ状になってもよい。中間部分21cを通る中心軸線Aに対して、テーパ状は、中心軸線Aの両側で対称である。
【0060】
テープは、
図3b及び
図3cに示すように、断面が凸形状を有してもよい。
図3bの例によれば、テープ21-2は、平凸である。
図3cに示す例では、テープ21-3は両凸である。
【0061】
テープ21-1、21-2、21-3は、ポリマー材料を含む。ポリマー材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、及びエチレンプロピレンジエンモノマーゴムのうちの1つを含むことができる。
【0062】
図3a~
図3cに示すような幾何学的構造を有するテープを、絶縁層若しくは外側半導体層、又はこれらの層の両方に使用することができる。しかしながら、テープ21-1、21-2、21-3の材料は、2つの層について異なる。絶縁層については絶縁材料で作られ、外側半導体層については半導体材料で作られる。
【0063】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義される、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【外国語明細書】