(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037692
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】治療デバイスおよび治療計画マップを作成するための方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/40 20180101AFI20240312BHJP
G16H 30/00 20180101ALI20240312BHJP
G16H 50/20 20180101ALI20240312BHJP
【FI】
G16H20/40
G16H30/00
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023138258
(22)【出願日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】22194389
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・エンデルレ
(72)【発明者】
【氏名】オヴィディウ・ジュルジュト
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・レオンベルガー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療の有効性および患者の安全性を高めるための治療デバイス及び治療計画マップを作成する方法を提供する。
【解決手段】治療デバイス10は、診断デバイス15と適用デバイス18と、組織、例えば子宮頸部組織11の少なくとも1つの画像、画像シーケンス又はビデオ17をキャプチャする画像キャプチャデバイス16を備える。画像、画像シーケンス又はビデオは、組織の異なる部分の位置及び治療の必要性を識別する診断デバイス15に提供され、診断デバイス15は、組織の病理学的状態を認識し、組織の異なるゾーンの治療のための異なる位置及びニーズに関する治療計画マップを作成する。適用デバイス18は、組織に治療媒体23を適用するための器具19と、器具に作動媒体(例えばアルゴン及び電磁エネルギー)及びエネルギーを供給する装置20を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の組織を治療するための治療デバイス(10)であって
治療の必要性を有するゾーン(27、28、29)を識別するように構成される、組織(11)の少なくとも1つの画像(17)をキャプチャするための画像キャプチャデバイス(16)を有する診断デバイス(15)と、
治療対象の人の前記組織(11)上に治療媒体(23)を適用するための器具(19)と、
前記器具(19)に作動媒体およびエネルギーを供給するために前記器具(19)に接続された装置(20)と、
前記組織(11)に対する前記治療媒体(23)の位置および所望の影響強度を決定することができるナビゲーションデバイス(22)と、
を備える適用デバイス(18)と、を備える、
治療デバイス。
【請求項2】
前記診断デバイス(15)が、前記画像キャプチャデバイス(16)によってキャプチャされた各画像(17)内の異なる病変のゾーン(27、28、29)を識別することで診断マップ(26)を生成するように構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項3】
前記ナビゲーションデバイス(22)および/または前記診断デバイス(15)が、前記画像(17)によってキャプチャされた前記組織(11)の各点に影響強度を割り当てることで治療計画マップ(30)を作成するように構成されることを特徴とする、
請求項2に記載の治療デバイス。
【請求項4】
前記ナビゲーションデバイス(22)および/または前記診断デバイス(15)が、前記診断マップ(26)から前記治療計画マップ(30)を作成するための変換ルールを使用するように構成されることを特徴とする、
請求項3に記載の治療デバイス。
【請求項5】
前記ナビゲーションデバイス(22)および/または前記診断デバイス(15)が、染色試験中に作成された前記画像(17)内の配色の時間的変動を検出し、前記画像(17)によってキャプチャされた前記組織(11)の各点に必要な影響強度を割り当てるように構成されることを特徴とする、
請求項4に記載の治療デバイス。
【請求項6】
前記治療媒体(23)が、非熱プラズマであることを特徴とする、
請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項7】
前記ナビゲーションデバイス(22)が、治療対象の前記組織(11)に関する前記治療計画マップ(30)を光学的に目に見えるように表すように構成されたディスプレイデバイス(22b)を備えることを特徴とする、
請求項3~5のいずれか1項に記載の治療デバイス。
【請求項8】
前記ナビゲーションデバイス(22)が、治療対象の組織を治療者によって目視検査するように構成された監視デバイス(21)と、前記治療者にとって光学的に目に見えるように前記治療計画マップ(30)を前記組織(11)と重ね合わせるように構成されたディスプレイデバイス(22b)と、を備えることを特徴とする、
請求項7に記載の治療デバイス。
【請求項9】
前記ナビゲーションデバイス(22)が、前記組織(11)に対する前記治療媒体(23)の影響から生じる治療投与量および/または影響位置を検出することができる記録デバイス(22a)を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項10】
前記ナビゲーションデバイス(22)が、治療対象の前記組織(11)に関する前記治療計画マップ(30)を光学的に目に見えるように表すように構成されたディスプレイデバイス(22b)を備えることを特徴とし、前記ディスプレイデバイス(22b)が、影響マップ(31)で前記治療投与量を表すように構成されることをさらに特徴とする、
請求項9に記載の治療デバイス。
【請求項11】
前記診断デバイス(15)が、患者固有の方法で前記診断マップ(26)を記憶するためにデータ記憶装置(24)に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の治療デバイス。
【請求項12】
前記診断デバイス(15)および/または前記ナビゲーションデバイス(22)が、影響マップ(31)を作成するように構成され、前記影響マップ(31)を患者固有の方法で記憶するために前記データ記憶装置(24)に接続されることを特徴とする、
請求項11に記載の治療デバイス。
【請求項13】
前記診断デバイス(15)および/または前記ナビゲーションデバイス(22)が、影響マップ(31)を作成するように構成され、前記影響マップ(31)を治療者固有の方法で記憶するために前記データ記憶装置(24)に接続されることを特徴とする、
請求項11または12に記載の治療デバイス。
【請求項14】
前記データ記憶装置(24)が、最初の検査日に決定された治療計画マップ(30)、前記影響マップ(31)、および2回目の検査日に決定された治療計画マップ(30)に基づいて治療成功を決定するように構成された治療モニタ(25)に接続されることを特徴とする、
請求項12に記載の治療デバイス。
【請求項15】
ヒトまたは動物の組織を治療するための治療計画マップ(30)を作成するための方法であって、
第1の検査ステップにおいて、組織(11)の第1の二次元検査が実施され、前記第1の二次元検査に基づいて、作成ルールを用いて第1の治療計画マップ(30)が作成され、記憶され、
第1の治療ステップにおいて、前記治療計画マップ(30)に従って第1の治療が実施され、
第2のステップにおいて、前記組織の第2の二次元検査が実施され、前記第2の二次元検査に基づいて、前記作成ルールを用いて第2の治療計画マップ(30)が作成され、記憶され、
前記作成ルールに対する補正推奨が、前記第1および第2の治療計画マップ(30)から決定される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の組織を治療するための、特に組織表面、例えば子宮頸部上皮内新生物を治療するための治療デバイスに関する。さらに、本発明は、ヒトまたは動物組織の治療、特に子宮頸部上皮内新生物の治療のための治療計画マップを作成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の外部皮膚領域を治療するためのシステムは、米国特許出願公開第2019/036617号明細書から知られている。この目的のために、制御ユニットが、組織の特徴および関連するエネルギーパラメータが記憶されるデータベースと接続される。これらの記憶されたデータに基づいて、皮膚の治療のためのエネルギー投与量が決定される。さらに、制御ユニットは、年齢または皮膚タイプなどの投与量を決定するための患者の個別のパラメータを考慮することができる。決定されたエネルギー投与量の出力後、治療の成功は、特定の皮膚の特徴をチェックすることによって評価される。必要に応じて、適応されたエネルギー投与量で治療が繰り返される。この目的のために、制御ユニットは、機械学習のためのモジュールを備えることができる。
【0003】
さらに、欧州特許出願公開第3576100号明細書から、医療療法における意思決定支援に役立つシステムが知られている。この目的のために、機械学習に基づいて、患者に適合された治療の結果予測を提供する発生器が提供される。
【0004】
放射線学における自動治療計画は、欧州特許出願公開第3384962号明細書にさらに記載されている。さらなる先行技術として、米国特許出願公開第2012/283574号明細書、欧州特許第1644867号明細書、米国特許出願公開第2021/0042915号明細書および欧州特許出願公開第2237190号明細書に参照がなされる。
【0005】
組織、特に組織表面の治療のために、低温および/または適用期間のために組織に熱的に損傷を与えないか、または目に見える損傷を与えないプラズマを使用することができる。治療の成功は、他の点では一般的であるように、肉眼では(巨視的に)見えないため、治療者にとって、組織がどの位置でどの強度で治療されなければならないかを認識することが重要である。例えば、子宮頸部上皮内新生物は、このようにして治療することができる。
【0006】
子宮頸部上皮内新生物は、典型的には、検査すべき組織領域を酢酸溶液で処理し、続いてヨウ素ヨウ化カリウム溶液で処理する染色試験で同定され、これにより、組織の徐々に退色する酢酸白色またはヨウ化物陰性の変色が生じる。着色に対する特異的反応は、病理組織切片を示す。治療者は、このようにして治療しなければならないことを認識した場合、それに応じて多かれ少なかれ適切な治療を実施する。このため、治療結果は、治療者の能力および経験に大きく依存する。過剰に治療された領域ならびに不十分に治療されたまたは不規則/不均一に治療された領域が、生じる可能性がある。
【0007】
酢酸ヨウ素着色技術とは別に、治療および/または病理組織の必要性を有する組織をマークまたは識別するために、他の着色技術ならびに追加の方法も使用することができる。例えば、発光分光法(OES)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、ラマン分光法、またはハイパースペクトルもしくはマルチスペクトルカメラデバイスなどの光学技術を使用することができる。同様に、いくつかの適用事例では、治療対象の組織が、目に見える区別のみに基づいて治療者または医療用カメラシステムによって認識されることに依拠する可能性がある。これは、治療対象の組織の種類ならびに治療対象の組織の改変に依存する。治療者による光学認識を単純化するために、組織の照明のために光のスペクトル組成を特別に調整した照明デバイスを使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、治療の有効性および患者の安全性を高めるために、治療デバイスならびに治療勧告を作成するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の治療デバイスおよび請求項15に記載の方法によって解決される。
【0010】
本発明によれば、診断デバイスと適用デバイスとを備える治療デバイスが提供される。診断デバイスは、組織、例えば子宮頸部組織の少なくとも1つの画像、画像シーケンス、またはビデオをキャプチャするための画像キャプチャデバイスを備える。画像、画像シーケンスまたはビデオは、組織の異なる部分の位置および治療の必要性を識別するように構成された診断デバイスに提供される。診断デバイスは、組織の病理学的状態を認識し、組織の異なるゾーンの治療のための異なる位置およびニーズに関する治療計画マップを作成するように構成することができる。治療計画マップは、位置依存治療推奨を表す。
【0011】
適用デバイスは、組織に治療媒体を適用するための器具を備える。例えば、器具は、プラズマ器具、特にアルゴンプラズマジェットを生成するための器具とすることができる。プラズマは、好ましくは熱平衡状態にない。好ましくは、これは、電子温度よりも著しく低いガス温度(すなわち、重質部の温度;例えば、アルゴンプラズマの場合はアルゴン原子)を含み、それにより、ヒト組織は、損傷を与える組織凝固を受けることなく、少なくとも1秒または数秒の間隔でプラズマが接触可能である。ガス温度は、好ましくは、組織温度が実際に上昇し得るが、それによってタンパク質の凝固温度未満のままである(すなわち、60℃未満)ように調整される。そのようなプラズマは、組織の熱凝固をもたらすより高いガス温度を有するプラズマとは対照的に、低温プラズマまたは高温プラズマとして示される。
【0012】
適用デバイスは、さらに、器具に供給するための装置を備える。装置は、器具に作動媒体およびエネルギーを供給するように構成される。作動媒体は、治療媒体自体、または治療媒体がエネルギーの助けを借りて作り出される媒体であることができる。治療媒体が低温または高温アルゴンプラズマである場合、作動媒体は、例えばアルゴンである。次いで、例えば高周波電圧または高周波電流の形態でエネルギーが供給される。
【0013】
さらに、適用デバイスの一部は、組織に対する治療媒体の位置および影響強度を制御することができるナビゲーションデバイスである。例えば、影響強度は、電流の強度、電圧の量、電圧および電流の形状、治療媒体、例えばプラズマジェットの流量、および/または組織の特定の位置への治療媒体の適用の持続時間または追加のパラメータによって決定することができる。
【0014】
ナビゲーションデバイスは、治療媒体が現在当たっている組織セクションの治療の必要性を治療者に通知し、したがって治療推奨を提供するように構成することができる。治療の必要性は、所望の影響強度を決定し、それによってこの2つは、非線形の相関関係にあることができる。治療の必要性はまた、位置依存診断、すなわち診断マップから変換ルールによって導出される。変換ルールは、治療計画マップの作成ルールであり、治療モデルを表す。治療モデルは、どの治療強度または治療強度がどの程度の病態に属するかを定義する。
【0015】
ナビゲーションデバイスは、光学的に、例えば治療計画マップの形態で、音響的に、触覚的に、または任意の他の方法で治療の必要性を示すことができる。さらに、例えば、治療の必要性が低い領域の治療中に治療媒体を弱め、治療の必要性が高い領域の適用中に治療媒体を強化するために、ナビゲーションデバイスが治療媒体の強さまたは強度に影響を及ぼすようにすることができる。したがって、治療者が手動で案内する器具の場合、治療者は、比較的均一な速度で組織上で治療媒体を移動させることができ、それによってナビゲーションデバイスは、位置に応じて適用強度を制御する。しかしながら、治療媒体の強度の調整の可能性が制限される場合、これは低温プラズマが治療媒体である場合に起こり得る場合であるが、治療の必要性に対する治療強度の局所的な調整は、器具の案内によって、治療者によって実現される必要があり、実現することができる。
【0016】
ナビゲーションデバイスのさらなる実施形態が可能である。例えば、ナビゲーションデバイスは、治療対象の領域を治療者に光学的に示し、登録することができ、治療対象の領域の実施された治療も示すことができる。この目的のために、治療計画マップは、実施された治療の位置および強度が記録された影響マップと重ね合わせることができる。治療計画マップと影響マップとのこの重畳により、まだ治療されていない組織の領域のみを含む結果マップを作成することができる。オプションとして、過剰治療された領域も結果マップに含めることができる。
【0017】
さらなる実施形態では、ナビゲーションデバイスによる治療が提案されていない治療計画マップ内の領域を治療医が含むという点で、治療医が提案された治療計画マップを手動で修正することを可能にする入力手段を設けることができる。同様に、治療医は、治療計画マップから領域を除去することもできる。同様に、医師は、提案された投与量を部分的に上方または下方に調整することができる。
【0018】
治療デバイスの一部である画像キャプチャデバイスは、異なる時点において特定の組織部分の一連の画像をキャプチャするように構成することができる。異なる時点は、ビデオシーケンスを形成するビデオ記録のコンテキストにおいて迅速に連続してキャプチャされたフレームであることができる。さらに、画像キャプチャデバイスを使用して、異なる検査時点で、例えば日または週の距離でそれぞれの組織領域を記録し、個々の画像または画像シーケンスまたはビデオ記録を作成することもできる。
【0019】
簡単な実施形態では、診断デバイスは、画像内にキャプチャされた組織の各点の染色試験における着色から生じる特定の反応に基づいて、組織の病理学的状態を決定するように構成される。例えば、着色は、ルゴール溶液、酢酸溶液または他の着色剤、例えばHPVウイルスの存在下で反応する薬剤を組織に適用する染色試験で決定することができる。しかしながら、単一の画像の代わりに複数の画像を使用することも可能である。例えば、それらを、治療の進行を決定することができる日または週の時間距離を有する異なる検査時点でキャプチャすることができる。例えば、発光分光法(OES)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、ラマン分光法、またはハイパースペクトルもしくはマルチスペクトルカメラデバイスなどの光学技術をこの目的で使用することができる。
【0020】
短い時間距離で複数の画像を画像シーケンス、例えばビデオとしキャプチャすることも可能である。診断デバイスは、そこから画像内の着色の変化、例えば着色の減衰挙動を決定し、着色の変化の時間経過に基づいて画像内にキャプチャされた組織の各点にキー図形を割り当てるように構成することができ、キー図形は、組織の局所病変を特徴付ける。このようにして、最初に診断マップと呼ぶことができるデータセットが作成される。ナビゲーションデバイスは、変換ルールによって診断マップの個々の点から必要な影響強度を決定し、このようにして治療計画マップを作成するようにさらに構成することができる。
【0021】
治療計画マップは、例えば、器具の機械による案内に使用することができる。次いで、それは、器具を案内する位置決めシステム、例えば手術ロボットを制御する役割を果たす。あるいは、治療者が手動で器具を案内することもできる。この目的のために、治療計画マップは、個々の組織切片の治療の必要性を治療者に知らせるために、ディスプレイまたは印刷などのディスプレイデバイス上に示され得る。さらに、治療位置および強度を目に見えるようにするために、拡張現実の形態の治療計画マップを組織のビューに重ね合わせることが可能である。例えば、この目的のために、治療計画マップは、治療対象の子宮頸部組織のカメラ画像に重ね合わせることができ、治療者の眼鏡に転送することができ、または例えば治療計画マップがプロジェクタによって組織に投影されるという別の方法で目に見えるようにすることができる。眼鏡およびプロジェクタは、これらの場合、上述の表示デバイスを形成する。
【0022】
ナビゲーションデバイスが、組織に対する治療媒体の影響から生じる治療投与量を記録するように構成された記録デバイスを備える場合、さらに有利である。治療投与量のこのような記録は、例えば、治療媒体の位置および組織への影響持続時間が例えばカメラによってキャプチャされ、適用された治療投与量が、必要に応じて治療媒体、すなわちプラズマジェットの強度を考慮して位置に応じて決定されるという点で達成され得る。ナビゲーションデバイスは、このようにして影響マップを作成するように構成することができる。達成された位置依存性治療投与量、すなわち影響マップをディスプレイデバイスによって視覚化することが可能である。この目的のために、ディスプレイデバイスは、治療者がどの投与量をどの位置で既に適用したかを示すディスプレイ、VRグラス、または別のデバイスを含むことができる。
【0023】
これにより、特に、ナビゲーションデバイスを、これが治療計画マップと影響マップとを重ね合わせて結果マップをこのように作成するように構成することが可能である。結果マップにおいて、達成された治療投与量が、治療計画マップから生じる局所的に必要な投与量に達した位置をマークすることができる。マーキングは、十分に治療された領域において、治療計画マップに視覚化された治療の必要性が消去されるように行うことができる。このようにして、治療者は、この位置ではさらなる治療が必要とされないか、または潜在的に有害でさえあり得ることを認識することができる。したがって、十分な治療後、結果マップは空である。さらに、ナビゲーションデバイスは、過剰治療が脅威を与える場所、すなわち達成された投与量が必要な投与量を超える場所を危険ソーンとして、例えば色でマークして、治療媒体の流れを低減もしくは遮断するか、または他の警告信号、例えば音響的、触覚的もしくは光学的に知覚可能な信号を生成するように構成することができる。全体として、これは、ナビゲーションデバイスが、達成された治療投与量を影響マップに示すように構成され得ることを意味する。さらに、治療計画マップと影響マップとの重ね合わせを表示して、治療される必要があるまだ残っている領域を結果マップとして治療者に光学的に目に見えるように構成することができる。
【0024】
診断デバイスは、患者または複数の患者の診断を詳細に記憶するように構成されたデータ記憶装置と接続することができる。特に、診断デバイスは、検査中、例えば染色検査中にキャプチャされた個々の画像または画像シーケンスに基づいて診断マップを作成するように構成することができる。診断デバイスおよび/またはナビゲーションデバイスは、診断マップに基づいて治療計画マップを作成するように構成することができる。診断マップおよび/または治療計画マップは、患者に固有の方法で記憶装置内に提供することができ、例えば検査日順に並べ替えることができる。さらに、診断マップから治療計画マップを作成するために基づく変換ルール(すなわち、作成ルール)を記憶装置内に記憶することができる。
【0025】
さらに、ナビゲーションデバイスは、診断マップおよび/または治療マップを記憶装置内に記憶し、それを患者の検査日または追加データに割り当てるように構成することができる。追加のデータは、患者および/または治療者に特有の性質のものであることができる。そのようなデータは、例えば、患者の年齢、患者の身体的全体的状態、患者のさらなる疾患、患者の危険因子などである。
【0026】
ナビゲーションデバイスは、さらに、適用された治療媒体の位置依存性投与量を表す影響マップを作成するように構成することができる。ナビゲーションデバイスは、記録された影響強度を有する影響マップを記憶媒体に転送するように構成することができる。記憶媒体は、患者固有の方法で影響マップを記憶し、治療日に割り当てるように構成されることが好ましい。
【0027】
特に好ましい実施形態では、データ記憶装置は、治療モニタと接続される。後者は、治療の成功を判定するために、後続の検査の診断マップを以前の検査の診断マップと比較するように構成される。
【0028】
さらに、診断マップと治療計画マップとの間の相関関係を補正するように構成することができる。この目的のために、例えば、変換ルールを修正することができる。最も単純な場合、作成ルールは、診断マップの個々の点を同じ座標を有する治療計画マップの点に割り当てることである。診断マップにおける健常点は、治療計画マップにおける治療が不要な点に割り当てられる。治療を必要とする組織特性評価、例えば上皮内新生物を有する診断マップ内の点は、決定された影響強度で治療計画マップ内の点に割り当てられる。これは、1/0割り当てである。より洗練された治療モデルでは、病変の程度と影響強度との間の線形割り当てを提供することができる。また、例えば、病変の特定の程度から、例えば組織損傷を回避するために、影響強度がより低い割合で増加するという点で、非線形割り当てを提供することができる。さらに、治療計画マップ内で必要な影響強度を決定する際に、診断マップ内で同じ座標を有する割り当てられた地点を考慮するだけでなく、その周辺の地点も考慮することが可能である。
【0029】
治療モニタは、異なる検査日における診断マップの比較および影響マップの考慮から、変換を連続的に改善するように構成することができる。第1の治療計画マップは、第1の検査の診断マップから得られる。そして、本出願人が治療計画マップに基づいて治療を実施することにより、その治療活性が影響マップに記録される。2回目(その後の)検査でキャプチャされた診断マップは、この影響の結果を示している。理想的な場合、このマップは空であり、すなわち、例えば上皮内新生物がないなど、いかなる病理学的改変も示さない。上皮内新生物などの病理学的改変が依然として存在する場合、再度治療計画マップが作成され、それに基づいてさらなる治療が行われる。第2の検査またはさらなる検査で作成された診断マップは、患者固有または一般的な方法で変換ルールを改善することができる状況における機械学習プロセスの基礎である。
【0030】
さらに、影響マップが治療者固有の方法で治療計画マップから逸脱していることを想定できるため、治療者固有の方法で変換ルールを改善することができる。治療者固有の個々の逸脱は、典型的には、単に確率的であるだけでなく、治療者の個々の運動技能に依存する。機械学習アルゴリズムはフィードバック制御ループを形成し、その制御されたシステムは、治療者を含む。治療計画マップと治療者によって導入された影響マップとの間の非確率的偏差は、フィードバック制御プロセスの状況において機械学習アルゴリズムによって除去される。
【0031】
また、ユーザが入力デバイスを介して手動で導入した提案された治療計画マップの修正は、変換ルールの作成中にそれらを使用するために、この意味で学習アルゴリズムによって検出および評価され得る。
【0032】
ナビゲーションデバイスは、患者関連および/または治療者固有の治療モデル(変換ルール)を作成し、それらを患者固有および/または治療者固有の方法で使用するように構成することができる。このようにして、患者特有の因子、ならびに器具の手動誘導中の治療者の個々の慣行を排除することができ、そうでなければ組織に少なくとも部分的に不適切な影響をもたらす可能性がある。治療者固有の治療モデル(変換ルール)に起因して、治療者固有の治療計画マップが作成され、このマップは、治療者の傾向、例えば、特定の領域を好む傾向がある、または過剰もしくは不十分な治療を好む傾向があるなどに釣り合わせる。
【0033】
別の実施形態では、本発明によれば、複数のデバイスは、ネットワーク、例えばクラウドネットワークによって互いに接続され、したがって、最適化された変換ルールを交換することができる。さらに、ネットワーク化されたデバイスの収集された治療データは、変換ルールのさらなる最適化を得るために、ニューロンネットワークまたは他の機械学習方法の基礎として機能することができる。さらに、アクセス用の中央記憶装置内に特に成功した治療モデルを提供することが可能である。例えば、組織の非常に多くの同様の病理学的改変を治療する学習アルゴリズムまたは治療者によって、大幅に最適化された治療モデルを作成することができる。次いで、同様の治療がまれに行わなければならない場合にも、この治療モデルを治療デバイスに転送し、そこで使用することができる。これまでのところ、本発明によるデバイスは、高度な専門知識を有する治療者の経験を少ない専門知識を有する治療者に、この治療者が自ら学習プロセスを経る必要なく伝えることを可能にする。システムは、それらについて学習する。
【0034】
図面において、本発明は、異なる態様で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による治療デバイスのブロック図である。
【
図2】治療する必要がある子宮頸部組織の(病理学的)領域の二次元図を有する診断マップを示す図である。
【
図3】治療を必要とする領域の二次元図を有する治療計画マップである。
【
図4】既に治療された領域の識別を有する作成中の影響マップを示す図である。
【
図5】治療が必要な残りの領域の2次元図を有する作成中の治療結果マップを示す図である。
【
図6】治療の論理的な進行および治療の最適化を流れ図の形式で示す図である。
【
図7】治療デバイスの動作の論理計画を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明によるデバイスおよび本発明による方法を、子宮頸部上皮内新生物の治療の例として以下に説明する。しかしながら、それは、他の器官、例えば腸および/または他の身体領域にも使用することができる。
【0037】
図1は、検鏡の薄層12、13によって開いた状態にそのアクセスが維持される子宮頸部組織11を治療するための本発明による治療デバイス10を示す。カメラによってキャプチャされる画像14では、子宮頸部組織11が目に見える。それぞれの画像サイズで、薄層12、13も画像14内で目に見えることができる。
【0038】
治療デバイス10の一部は、例えばカメラの形態の画像キャプチャデバイス16と通信可能に接続された診断デバイス15である。画像キャプチャデバイス16は、子宮頸部組織11の1つまたは複数の画像をキャプチャし、それを画像、個々の画像のシーケンスの形態で、またはビデオストリームとして診断デバイス15に転送するように構成される。
【0039】
さらに、治療デバイス10は、子宮頸部組織11に影響を及ぼすための器具19を有する適用デバイス18と、器具19に接続されて器具19に供給するための装置20と、例えばカメラの形態の画像キャプチャデバイス21と、ナビゲーションデバイス22とを備える。
【0040】
器具19は、組織11上に治療媒体23を適用するように機能する。治療媒体23は、好ましくは、組織の治療中に直接可視トレースをその上に残さない治療媒体、たとえば、目に見える組織の凝固、したがって変色をもたらさないエネルギーそれぞれを有する電磁放射線またはプラズマなどである。特に、非平衡特性を有するプラズマは、低温プラズマまたは他のプラズマなどのプラズマとして使用することができ、そのガスまたはイオン温度は非常に低いため、組織11の凝固によって、また、1秒または数秒の間の影響の場合でも直接失活することはない。プラズマのイオン温度は、好ましくは70℃または60℃未満、さらに好ましくは50℃未満、理想的な場合には40℃未満である。
【0041】
装置20は、治療媒体23として組織11に衝突する非平衡特性を有するプラズマを生成するために、必要な作動媒体、例えばアルゴンおよび電磁エネルギー、例えばHF電流を器具19に供給する。
【0042】
器具19は、好ましくは、治療媒体23を組織11上にストライプ状に案内するために、治療者によって手動で案内され使用される。治療者は、肉眼の制御下またはカメラ21の制御下でこれを行うことができる。さらに、カメラ21は、カメラ16と同一であることができ、または別個のカメラとして構成することもできる。しかしながら、器具19は、手動または自動で遠隔制御された方法で案内されることも可能である。
【0043】
治療者は、上述したように、裸眼で、ディスプレイデバイス、例えばスクリーン上のカメラ21によって、または他の手段、例えばスクリーン上の画像と同様に付加情報を示すことができるVRグラスによって、治療媒体23を組織11に適用するという状況で自身の行動を観察することができる。このような付加情報は、ナビゲーションデバイス22によって提供される。付加情報は、特に治療提案を含むことができる。
【0044】
治療デバイス10は、好ましくは、データ転送ネットワークを介して通信するだけで、治療位置の近傍に、またはそこから離れて配置されたデータ記憶装置24に接続される。データ記憶装置24は、データを記憶し、必要に応じて診断デバイス15およびナビゲーションデバイス22によって提供されたデータも処理するように構成することができる。治療モニタ25をデータ記憶装置24に接続することができ、治療モニタ25は、治療の成功を評価し、必要に応じて画像解析の支援のためのデータを提供するように構成される。さらに、治療モニタは、実施される治療に影響を及ぼすためにナビゲーションデバイスに影響を及ぼすことができる。治療モニタは、治療を監視するハードウェアおよび/またはソフトウェアとして実現することができる。
【0045】
診断デバイス15およびナビゲーションデバイス22の機能のその後の説明は、例えば適切なプログラムによって、示された機能を実行するように構成された、1つまたは複数のコンピュータなどの適切なプログラム可能システム上で実行することができる。ここまで、以下の機能的説明は、治療デバイス10の構成の説明である。
【0046】
治療デバイス10の上述の基本構造に基づいて、これは、以下のように動作する。
【0047】
実際の治療ステップの前に、最初に子宮頸部組織11が検査され、その結果がその後の実際の治療の基礎を形成する。このために、ルゴール溶液または酢酸などの適切な検査液が子宮頸部組織11に適用される。典型的には、子宮頸部上皮内新生物またはそれらの前駆体は、HPVウイルスによって引き起こされる。HPV感染に起因して、異形成組織が染色試験によって目に見えるようにされる。例えば、病理学的に改変された組織はそれによって白色に着色され、白色の着色は時間とともに減衰する。
【0048】
他の臓器および/または身体領域の治療のために、治療対象の組織を診断デバイス15にとって検出可能にするために、他の技術を使用することができる。
【0049】
診断デバイス15は、白色の着色によって認識された感染領域の周囲(すなわち、位置および形状)を決定するために、着色された組織11の個々の画像を評価するように構成することができる。また、診断デバイス15は、白色着色の位置特定強度を検出するように構成することができる。代替的または追加的に、診断デバイス15は、染色タスク中に記録された複数の画像17またはビデオシーケンスを評価するように構成することができる。診断デバイスは、崩壊挙動、すなわち染色領域の退色、病変の程度、すなわち、例えば、HPV感染の重症度および/または上皮内新生物の存在の程度、したがって組織の治療の必要性から結論を下すように構成することができる。診断デバイス15は、取得したデータを時間および患者固有の方法でデータ記憶装置24に転送するように構成することができる。データ記憶装置24から、診断デバイス15は、例えば、以前の検査または患者タイプ依存性崩壊挙動、染色溶液の典型的な組織反応などに関する情報を取得することができる。
図1では、これは、データ記憶装置24と診断デバイス15との間の矢印によって表されている。
【0050】
診断デバイスは、
図2に示すように、最初に診断マップ26を作成するように構成される。これは、子宮頸部組織11の二次元図と考えることができ、この図では、HPウイルスに感染した組織および/または子宮頸部上皮内新生物が既に存在する組織を示す少なくとも1つ、該当する場合は複数のゾーン27、28、29もマークされている。ゾーン27、28、29は、感染または新生物の異なる重症度を示すことができる。診断マップ26は、モニタに直接表示することができ、あるいは内部でのみ処理することもできる。
【0051】
診断マップ26は、
図3に示すように、治療計画マップ30を作成するための基礎である。ここで、治療計画マップ30は、ゾーン27、28、29の治療の必要性を示す。治療計画マップ30は、診断マップ26に基づいてナビゲーションデバイス22によってのみ、または患者データへの追加のアクセスを伴って作成することができる。例えば、治療計画マップ30の作成中に、例えば既に受けた治療の数および強度の形態で、それぞれの患者の履歴を使用することができる。また、患者の年齢および他の健康状態も考慮することができる。
【0052】
少なくとも診断マップからの治療計画マップ30の作成は、変換ルールである治療モデルを用いて行われる。最も単純な場合には、ナビゲーションデバイス22は、治療計画マップ30を作成するために、現在の病変(HPV感染または現在の新生物)の重症度に比例する治療の必要性をゾーン27、28、29に割り当てる。しかしながら、変換ルール(すなわち、治療モデル)によって定義される相関は、非線形関数に従って、上述のように、治療履歴をさらに考慮して実施することもできる。
【0053】
好ましい実施形態では、例えばキーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーン、音声制御装置などの形態の入力手段を提供することができ、それによって治療者は提案された治療計画マップ30を手動で修正することができる。このために、治療者は、診断デバイスによる治療のために提案されていない組織領域を治療計画マップに追加することができる。同様に、治療者は、治療計画マップから領域を除去することもできる。同様に、治療者は、提案された投与量を、例えば上方または下方に、ゾーンごとに調整することができる。
【0054】
治療計画マップ30は、例えばスクリーンまたはVRグラスによって適切な提示デバイス上で治療者に提示されるか、またはプロジェクタによって子宮頸部組織11上に直接投影される。これは、検査後、治療者が器具19によって組織11上に治療媒体23を適用する間の実際の治療中に行われる。これは、組織11に作用するが、組織11上では直接目に見えなくなる。ナビゲーションデバイス22は、組織11上の治療媒体23の位置、動き、および影響持続時間を検出し、少なくとも治療媒体23の強度が一定でない場合には、その強度も考慮するように構成される。任意選択的に、ナビゲーションデバイス22は、その動作データを使用して治療媒体23の強度を決定および検討し、また治療媒体23の強度を設定するために、装置20と通信可能に接続することができる。この目的のために、ナビゲーションデバイス22は、記録デバイス22aを備えることができる。
【0055】
組織11に対する治療媒体23の影響の登録されたトレースから、ナビゲーションデバイス22は、治療中に影響マップ31を作成する。ナビゲーションデバイス22は、影響ゾーン32、および必要に応じてより高い影響ゾーン33をゾーン27、28、29に重ね合わせるように構成される。影響マップ31を治療者に示す必要はない。しかしながら、ナビゲーションデバイスは、そこから結果マップ34を作成するように構成することができ、この結果マップでは、ゾーン27、28、29の部分は、既に治療媒体23で十分な治療を受けている部分が除去される。治療計画マップ30、影響マップ31、および/または結果マップ34は、ナビゲーションデバイス22の一部である表示デバイス22bによって個別に、またはカメラ21のライブ画像と重ね合わせて表すことができる。ディスプレイデバイスは、例えば、VRグラス、モニタなどとすることができる。
【0056】
結果マップ34は、上述の適切な表示媒体(プロジェクタ、モニタ、VRグラスなど)のうちの1つによって治療者に表示することができる。したがって、治療者は、それらがその視野から消えるまで、ストリップ状にゾーン27、28、29上で器具19を案内する。治療の開始時に、治療者に示されるマップは、
図3による治療計画マップ30と同一であり、治療推奨を表す。治療中、
図5に示すように、治療された領域は消去されている。治療の終わりに、マップは空であり、すべてのゾーン27、28、29は、完了した治療を示すために消去されている。結果マップ34は、治療計画マップ30および影響マップ31からの差分として形成され得る。治療計画マップ30および影響マップ31が同一である場合、すなわち治療が計画に従って正確に実施された場合、結果マップ34は空である(すなわち、すべて0である)。影響マップ31と治療計画マップ30との間に偏差が存在する場合、それらは結果マップに示される。
【0057】
図6は、治療デバイス10の動作をフロー図として論理ブロックで示す。進行は、ブロック35において、上述したように患者の子宮頸部組織11の検査で開始する。ブロック36において、診断デバイス15は、まず、
図3による変換ルール(すなわち、治療モデル)治療計画マップ30の助けを借りて、少なくとも1つのキャプチャされた画像17または画像シーケンスから診断マップ26を作成する。ナビゲーションデバイス22内に記憶された変換ルールは、例えば、病変の重症度に対して局所的に、例えば比例的に影響強度を調整することからなることができる。病変の重症度と影響強度との間のこの線形割り当ての代わりに、例えば、重度の病変の場合に高すぎる影響強度による組織損傷を回避するために、非線形相関も選択することができる。
【0058】
治療計画マップ30に基づいて、治療者は、ブロック37において治療計画マップ30に従って治療を実施することができる。これにより、患者の現在の治療がひとまず終了する。治療提案を表す治療計画マップ30および/または実際に実施された治療を示す影響マップ31は、両方とも記憶装置24内に記憶することができる。さらに、治療モデルは、記憶装置24内に記憶され得る。
【0059】
その後の時点で、患者は、ブロック38によって表されるように、検査のために再び現れ得る。これにより、実施された染色試験が示され、再び評価され、診断デバイス15によって診断マップ26’が作成される。
【0060】
ブロック37によってデータ記憶装置24に転送された影響マップ31(および/または結果マップ34)、および診断デバイス15によってブロック38の新しい検査中に作成された診断マップ26’は、記憶装置24内に記憶することができる。ステップ38で取得された第1の診断マップ26、治療計画マップ30、影響マップ31、および診断マップ26’の比較によって、治療モニタ25は、診断マップ26から治療計画マップ30に至る変換ルール、すなわち治療モデルを改善することができるか否か、または改善する必要があるか否かを決定することができる。
【0061】
例えば、ゾーン27およびゾーン29は十分に治療されているが、治療を必要とする領域はゾーン28に依然として存在することが明らかになり得る。治療モニタ25は、これを決定し、診断マップ26’から治療計画マップへの変換ルールのための補正推奨を提供するように構成することができる。上述の例では、ゾーン28による程度の病変の変換ルール(治療モデル)は、増加した影響強度が決定されるように変更される。このようにして取得された変換ルールの修正は、特定の患者について、またはより大きな患者集団、例えば、等しいまたは類似の年齢、等しい病歴(子供の数、一般的な身体状態、体重、構成など)を有する患者についても決定することができる。
【0062】
ブロック38および39において完全な治療成功が決定された場合、方法はブロック40において終了する。そうでない場合、方法はブロック36に続く。
【0063】
図6による進行は、治療デバイス10、したがって治療者の機能を考慮する。治療計画マップ30による治療は治療者、すなわち人間によって実施されるので、ブロック37において、ここでは不正確さを考慮する必要がある。例えば、治療者は、ゾーン27、28、29をあまりにもゆっくり、あまりにも速く、過度にまたは不十分に治療する傾向があり得る。この結果、すなわちブロック38の第2の検査中に依然として存在し、治療モニタ25によって決定され、変換ルールの修正に転送され得る病変が生じる。したがって、治療デバイス10は、各治療者がその個人の技能から独立して所望の治療結果を達成するように、治療者固有の変換ルール(変換モデル)を決定し、提供し、使用するように構成することができる。しかしながら、高度な知識を有する、多くの成功経験がある治療者の仕事に基づく治療モデルを、少ない専門知識を有する治療者が使用するために提供することも可能である。このようにして、治療モデルを専門病院からあまり専門化していない病院に転送することができ、そこでも良好な治療成功につなげることができる。
【0064】
本発明による子宮頸部上皮内新生物の診断および治療の質を改善するための最適化方法のさらなる説明のために、
図7を参照する。最初に、画像分析による患者の検査が行われる。診断デバイス15は、キャプチャされた画像を分析し、そこから診断マップ26を作成するように構成される。診断マップ26は、変換ルール(治療モデル)によって、治療計画マップ30に転送される。治療計画マップ30に基づく組織11の手動または自動治療が続き、その後、実施された治療の登録の下で、実施された治療(影響)を示す影響マップ31の作成を行う。影響マップ31は、影響中に動的に変化する。治療が終了すると、影響マップ31は、局所的に異なる影響を含む。理想的な場合にのみ、それらは、治療計画マップ30の要求と同一であり、したがって結果マップ34は空である。
【0065】
これにより、治療はひとまず終了し、典型的には複数日から最大複数週間の治療休止が実施される。診断デバイス15による画像分析を再び用いた新しい検査中に、新しい診断マップ26’および必要に応じて変換ルール(治療モデル)の補正も決定され、その後、上述のブロックが再び実行される。言及された変換ルールの適合により、一方では、治療計画マップ30と影響マップ31との間の典型的な治療者固有の偏差は最小化され、他方では、治療強度に対する患者固有の異なる要件が考慮される。これにより、治療計画マップ30の形態での治療提案の最適化が簡素化される。
【0066】
異なる施設内の本発明によるデバイスは、ネットワークを介して互いに接続することができ、患者特有の治療のために適合された変換ルールを互いに交換することができる。さらに、ネットワークデバイスのより大きなデータセットを、機械学習方法による変換ルールのより良好な適応のために使用することができる。
【0067】
本発明による治療デバイスは、組織トレースを直接示さない治療媒体23を用いて、手動ならびに機械による器具の案内によって、先行する治療に起因する治療計画マップの調整の下で組織を治療することを可能にする。治療計画マップは、治療者に対する変換ルールを表す。本発明による概念は、異なる患者または患者集団への適応、ならびに使用する治療者に関する治療計画マップの作成の個人化を可能にする。
【符号の説明】
【0068】
10 治療デバイス
11 子宮頸部組織
12,13 薄層
14 画像
15 診断デバイス
16 画像キャプチャデバイス
17 画像、ビデオ
18 適用デバイス
19 器具
20 器具19に供給するための装置
21 画像キャプチャデバイス/カメラ
22 ナビゲーションデバイス
22a 記録デバイス
22b ディスプレイデバイス
23 治療媒体
24 データメモリ
25 治療モニタ
26 診断マップ
26’ 2回目以降の検査用の診断マップ
27~29 診断マップ26内のゾーン
30 治療計画マップ
31 影響マップ
32,33 異なる強度を有する影響のゾーン
34 結果マップ
35~40 ブロック
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
患者の外部皮膚領域を治療するためのシステムは、米国特許出願公開第2019/0366117号明細書から知られている。この目的のために、制御ユニットが、組織の特徴および関連するエネルギーパラメータが記憶されるデータベースと接続される。これらの記憶されたデータに基づいて、皮膚の治療のためのエネルギー投与量が決定される。さらに、制御ユニットは、年齢または皮膚タイプなどの投与量を決定するための患者の個別のパラメータを考慮することができる。決定されたエネルギー投与量の出力後、治療の成功は、特定の皮膚の特徴をチェックすることによって評価される。必要に応じて、適応されたエネルギー投与量で治療が繰り返される。この目的のために、制御ユニットは、機械学習のためのモジュールを備えることができる。
【外国語明細書】