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特開2024-37701充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステム
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  • 特開-充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステム 図1
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  • 特開-充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037701
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20240312BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240312BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240312BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240312BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240312BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240312BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240312BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240312BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20240312BHJP
【FI】
G01R31/392
G01R31/382
G01R31/385
H02J7/00 P
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023144097
(22)【出願日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】22194453
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】カンタドーリ,アンドレ-ア
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA01
2G216BA21
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5G503EA09
5G503FA06
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC09
5H125BC21
5H125CC06
5H125DD02
5H125EE22
5H125EE23
5H125EE29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既知の方法は、実際には比較できないSoHの異なる定義を前提としている。バッテリの公称内部抵抗の外挿に基づく解決策には、カスタマイズされた充電ステーションが必要である。
【解決手段】充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態SoHを推定する方法であって、バッテリの充電状態の第1の値を取得するステップと、バッテリを直流電力で充電するステップと、直流電力充電を実行した後に、バッテリの充電状態の第2の値を取得するステップと、バッテリに供給されたエネルギーを計算するステップと、次の式、すなわち、SoH=(DE)/(SoCEND-SoCSTART)を使用して健全状態を計算するステップであって、ここで、DEは直流電力充電中にバッテリに供給されたエネルギーであり、SoCSTARTはバッテリの充電状態の第1の値であり、SoCENDはバッテリの充電状態の第2の値であるステップと、を含む方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態(SoH)を推定する方法(100、200)であって、
-前記バッテリの充電状態の第1の値を取得するステップ(101、201)と、
-前記バッテリを直流電力で充電するステップ(103、203)と、
-前記直流電力充電を実行した後に、前記バッテリの充電状態の第2の値を取得するステップ(104、204)と、
-前記バッテリに供給されたエネルギーを計算するステップ(208)と、
-次の式、すなわち、SoH=(DE)/(SoCEND-SoCSTART)を使用して前記健全状態を計算するステップ(106、206)であって、
ここで、DEは前記直流電力充電中に前記バッテリに供給されたエネルギーであり、SoCSTARTは前記バッテリの充電状態の前記第1の値であり、SoCENDは前記バッテリの充電状態の前記第2の値であるステップと、を含む方法(100、200)。
【請求項2】
前記バッテリの充電状態の前記第1の値および前記第2の値は、前記車両の電子制御ユニットから取得される、請求項1に記載の方法(100、200)。
【請求項3】
-前記直流電力充電中に前記バッテリに供給される直流電流を測定するステップ(205)と、
-前記バッテリの電圧値を取得するステップ(207)と、をさらに含み、
前記バッテリに供給されたエネルギーを計算する前記ステップ(208)は、前記測定された直流電流および前記電圧値に応じて実行される、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記バッテリの前記電圧値は、前記電子制御ユニットから取得される、請求項3に記載の方法(200)。
【請求項5】
-前記直流電力充電の前に、前記バッテリのエネルギーの第1の値を取得するステップ(102)と、
-前記直流電力充電を実行した後に、前記バッテリのエネルギーの第2の値を取得するステップ(105)と、をさらに含み、
前記バッテリに供給されるエネルギーを計算する前記ステップは、前記バッテリのエネルギーの前記第2の値とエネルギーの前記第1の値との差を計算することで構成される、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記バッテリのエネルギーの前記第1の値および前記第2の値は、前記車両の前記電子制御ユニットから取得される、請求項5に記載の方法(100)。
【請求項7】
充電式バッテリ(2)、特に車両(10)用の充電式バッテリ(2)の健全状態(SoH)を推定するシステム(1)であって、
-前記バッテリ(2)に直流電力を供給するように構成された急速充電ステーション(3)と、
-前記急速充電ステーション(3)に接続されたインレット(5a)と前記バッテリ(2)に接続可能なアウトレット(5b)とを有する直流ロガー(5)であって、前記急速充電ステーション(3)によって前記バッテリ(2)に供給される直流電流または直流電力を測定するように構成された直流ロガー(5)と、
-前記バッテリ(2)の2つの異なる充電状態における前記バッテリ(2)の充電状態の少なくとも第1の値および第2の値、並びに前記バッテリ(2)の電圧値を取得するように構成された診断装置(4)と、を備え、
前記診断装置(4)は、
-前記直流電流または直流電力を取得するために前記直流ロガー(5)と通信し、
-前記直流ロガー(5)からの前記測定された直流電流または直流電力に応じて、前記急速充電ステーション(3)によって前記バッテリ(2)に供給されたエネルギーDEを計算し、
-次の式、すなわち、SoH=(DE)/(SoCEND-SoCSTART)を使用してSoHを計算するように構成され、
ここで、DEは前記直流電力充電中に前記バッテリ(2)に供給されたエネルギーであり、SoCSTARTは前記バッテリ(2)の充電状態の前記第1の値であり、SoCENDは前記バッテリ(2)の充電状態の前記第2の値である、システム(1)。
【請求項8】
前記急速充電ステーション(3)は、20kWから60kWの直流電力を前記バッテリ(2)に供給するように構成されたポータブル充電ステーションである、請求項7に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記急速充電ステーション(3)は、50kWを超える直流電力を前記バッテリ(2)に供給するように構成された固定充電ステーションである、請求項7に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記直流ロガー(5)は直流電流計である、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記直流ロガー(5)は直流電力計である、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記直流ロガー(5)の前記インレット(5a)は、前記急速充電ステーション(3)との接続に準拠したタイプ2ソケットであり、前記直流ロガー(5)の前記アウトレット(5b)は、前記車両(10)との接続に準拠したタイプ2プラグである、請求項7から11のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
コンピュータ装置またはシステムによって実行される場合に、前記コンピュータ装置またはシステムに請求項1から6のいずれか一項に記載の前記方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式バッテリ、特に、電気自動車などの車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両バッテリは、化学的および電気的特性に影響を及ぼす経年劣化にさらされる。
【0003】
特に、バッテリの容量は、アンペア時間(Ah)で規定され、バッテリに含まれる電荷量を示す。所定のバッテリ電圧において、容量が大きいということは、バッテリがより多くのエネルギーを蓄えることができることを意味する。
【0004】
経年劣化の結果、車両バッテリの容量は耐用年数の経過とともに徐々に低下する。
【0005】
同時に、内部抵抗が増加する。したがって、エネルギー含有量は、パーセンテージで表すと容量よりも少なくなる。
【0006】
公称状態と比較したバッテリの実際の状態のメリットの数値は、「健全状態(State of Health)」(SoH)と呼ばれる。
【0007】
バッテリの実際の充電を測定することによって特定できる「充電状態」(SoC)とは異なり、SoHの絶対的な定義はない。
【0008】
それどころか、SoHはバッテリの様々な性能パラメータに関連し得る重要な品質指標である。
【0009】
理論的には、新しいバッテリではSoH=100%であるべきである。
【0010】
SoHは、保証、中古車認定などにおいて重要な意味を持つ。
【0011】
診断ツールは通常、自動車メーカーに応じて、いくつかのバッテリパラメータにアクセスできる。SoHは通常、診断デバイスによって提供されない。
【0012】
文献US 2015/0102818 A1は、車両バッテリのSoHを特定する方法および装置であって、以下のステップを含む、すなわち、
-車両の車両内部負荷による車両バッテリの完全な放電のステップと、
-車両バッテリの完全な充電のステップと、
-車両バッテリの充電中に車両バッテリの容量および/またはエネルギー含有量を測定するステップと、
-車両バッテリの容量および/またはエネルギー含有量によってバッテリ状態を特定するステップと、を含む方法および装置を開示している。
【0013】
文献CN109001636は、バッテリのSoHを推定する方法を開示しており、ここでは、SoHは、容量値、残存電力変化量および事前設定値に依存する。
【0014】
文献CN102866361は、バッテリのSoHを推定する方法を開示しており、ここでは、SoHは、電圧、電流および充電状態SoCの関数である。
【0015】
実際のところ、既知の方法は、実際には比較できないSoHの異なる定義を前提としている。
【0016】
バッテリの公称内部抵抗の外挿に基づく解決策も知られている。これらの解決策には、カスタマイズされた充電ステーションが必要である。さらに、本方法は長く、内部抵抗の実際の測定ではなく、統計的な指標のみを提供する。
【発明の概要】
【0017】
これに関連して、本発明の基礎となる技術的課題は、上述した従来技術の欠点を克服する、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステムを提案することである。
【0018】
特に、本発明の目的は、メーカーに関係なくあらゆるバッテリに適用できる、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステムを提供することである。
【0019】
示された技術的課題および特定の目的は、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態(SoH)を推定する方法によって実質的に達成され、本方法は、
-バッテリの充電状態の第1の値を取得するステップと、
-バッテリを直流電力で充電するステップと、
-直流電力充電を実行した後に、バッテリの充電状態の第2の値を取得するステップと、
-バッテリに供給されたエネルギーを計算するステップと、
-次の式、すなわち、SoH=(DE)/(SoCEND-SoCSTART)を使用して健全状態を計算するステップであって、
ここで、DEは直流電力充電中にバッテリに供給されたエネルギーであり、SoCSTARTはバッテリの充電状態の第1の値であり、SoCENDはバッテリの充電状態の第2の値であるステップと、を含む。
【0020】
本発明の一態様によれば、バッテリの充電状態の第1の値および第2の値は、車両の電子制御ユニットから取得される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、本方法はさらに、
-直流電力充電中にバッテリに供給される直流電流を測定するステップと、
-バッテリの電圧値を取得するステップと、を含む。
【0022】
バッテリに供給されたエネルギーを計算するステップは、測定された直流電流と電圧値とに応じて実行される。
【0023】
特に、バッテリの電圧値は、前記電子制御ユニットから取得される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、本方法はさらに、
-直流電力充電の前に、バッテリのエネルギーの第1の値を取得するステップと、
-直流電力充電を実行した後に、バッテリのエネルギーの第2の値を取得するステップと、を含む。
【0025】
バッテリに供給されたエネルギーを計算するステップは、バッテリのエネルギーの第2の値とエネルギーの第1の値との差を計算することで構成される。
【0026】
特に、バッテリのエネルギーの第1の値および第2の値は、車両の前記電子制御ユニットから取得される。
【0027】
示された技術的課題および特定の目的は、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態(SoH)を推定するシステムによって実質的に達成され、本システムは、
-バッテリに直流電力を供給するように構成された急速充電ステーションと、
-急速充電ステーションに接続されたインレットと、バッテリに接続可能なアウトレットとを有する直流ロガーであって、急速充電ステーションによってバッテリに供給される直流電流または直流電力を測定するように構成された直流ロガーと、
-バッテリの2つの異なる充電状態におけるバッテリの充電状態の少なくとも第1の値および第2の値、並びにバッテリの電圧値を取得するように構成された診断装置と、を備え、
診断装置は、
-直流電流または直流電力を取得するために直流ロガーと通信し、
-直流ロガーからの測定された直流電流または直流電力に応じて、急速充電ステーションによってバッテリに供給されたエネルギーDEを計算し、
-次の式、すなわち、SoH=(DE)/(SoCEND-SoCSTART)を使用してSoHを計算するように構成され、
ここで、DEは直流電力充電中にバッテリに供給されたエネルギーであり、SoCSTARTはバッテリの充電状態の第1の値であり、SoCENDはバッテリの充電状態の第2の値である。
【0028】
一実施形態によれば、急速充電ステーションは、20kWから60kWの直流電力をバッテリに供給するように構成されたポータブル充電ステーションである。
【0029】
一実施形態によれば、急速充電ステーションは、50kWを超える直流電力をバッテリに供給するように構成された固定充電ステーションである。
【0030】
一実施形態では、直流ロガーは直流電流計である。
【0031】
別の実施形態では、直流ロガーは直流電力計である。
【0032】
本発明の一態様によれば、直流ロガーのインレットは、急速充電ステーションとの接続に準拠したタイプ2ソケットであり、直流ロガーのアウトレットは、車両との接続に準拠したタイプ2プラグである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の追加の特徴および利点は、添付の図面に示されるように、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステムの好ましいが非限定的な実施形態の非限定的な説明からより明らかになる。
図1】本発明の第1の実施形態による、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法のフローチャートである。
図2】本発明の第2の実施形態による、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定する方法のフローチャートである。
図3】本発明による、充電式バッテリ、特に車両用の充電式バッテリの健全状態を推定するシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1を参照すると、番号100は、2として示される充電式バッテリの健全状態(SoH)を推定する方法の第1の実施形態を示す。
【0035】
この文脈において、「バッテリ」という用語は、単一の蓄電セル、または複数の蓄電セルを含むバッテリパックを指し得る。
【0036】
方法100は、バッテリ2を直流電力で充電するステップを含む。このステップは、図1において103として示される。
【0037】
このステップは、直流電力を供給するように構成された急速充電ステーション3にバッテリ2を接続することによって実行される。
【0038】
一例によれば、急速充電ステーション3は、20kWから60kWの直流電力をバッテリ2に供給するように構成されたポータブル充電ステーションである。
【0039】
別の例によれば、急速充電ステーション3は、50kWを超える直流電力をバッテリ2に供給するように構成された固定充電ステーションである。
【0040】
先行技術によれば車両の充電式バッテリには従来型充電と急速充電という2つの基本的な充電モードが知られているということを思い起こすことは有益であると思われる。
【0041】
低速充電とも呼ばれる従来型充電では、電流は直流(ポータブル直流機)または単相交流(110V~250V)および三相交流(380V)であり得る。充電電流は通常8-32Aの範囲にあり、充電電力は通常1.5-21kWの範囲にある。
【0042】
逆に、(地上充電とも呼ばれる)急速充電は、車両バッテリを充電するための直流電力方式である。特に、急速充電は、150-400Aの範囲の電流、200-750Vの範囲の電圧、および50kWを超える充電電力によって特徴付けられる。
【0043】
急速充電モードの主な利点は、電圧が一般にバッテリ電圧よりも高いので、充電時間が短縮されることである。急速充電ステーションの内部には、交流電力を直流電力に変換する整流器がある。
【0044】
本方法の第1の実施形態によれば、バッテリ2を直流電力で充電する(ステップ103)前に、以下のステップが実行される。
-ステップ101:バッテリ2の充電状態(SoC)の第1の値を取得する。
-ステップ102:バッテリ2のエネルギーの第1の値を取得する。
【0045】
特に、SoCの第1の値(SoCSTARTとして示される)およびエネルギーの第1の値(ESTARTとして示される)は、車両の電子制御ユニット(ECU)から取得される。
【0046】
好ましくは、SoCの第1の値およびエネルギーの第1の値は、車両のECUと通信するように構成された診断装置4から読み取られる。
【0047】
診断装置4は既知のタイプのものであり、これ以上説明されない。
【0048】
ステップ101および102を実行した後に、本方法100はステップ103の実行に進む。
【0049】
直流電力充電を実行した(ステップ103)後に、以下のステップが実行される。
-ステップ104:充電の終了時に、バッテリ2のSoCの第2の値を取得する。
-ステップ105:充電の終了時に、バッテリ2のエネルギーの第2の値を取得する。
【0050】
特に、SoCの第2の値(SoCENDとして示される)およびエネルギーの第2の値(EENDとして示される)は、車両のECUから取得される。
【0051】
好ましくは、SoCの第2の値およびエネルギーの第2の値は、診断装置4から読み取られる。
【0052】
次に、ステップ106で、次の式を使用してSoHが計算される。
【0053】
SoH=(EEND-ESTART)/(SoCEND-SoCSTART
好ましくは、診断装置4はステップ106を実行するように構成される。
【0054】
図2を参照すると、番号200は、充電式バッテリの健全状態(SoH)を推定する方法の第2の実施形態を示す。
【0055】
本方法200は、バッテリ2を直流電力で充電するステップを含む。このステップは、図2において203として示される。これは、本方法の第1の実施形態のステップ103と全く同一である(図1を参照)。
【0056】
ステップ203は、バッテリ2を急速充電ステーション3に接続することによって実際に実行される。
【0057】
本発明の第2の実施形態によればバッテリを直流電力で充電する(ステップ103)前に、バッテリ2のSoCの第1の値が取得される。このステップは201として示される。これは、本発明の第1の実施形態のステップ101と全く同一である(図1を参照)。
【0058】
特に、SoCの第1の値(SoCSTARTとして示される)は、車両のECUから取得される。
【0059】
好ましくは、SoCの第1の値は診断装置4から読み取られる。
【0060】
ステップ201を実行した後に、本方法200はステップ203の実行に進む。
【0061】
ステップ203の実行中に、急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給される直流電流が測定される。
【0062】
直流電流の測定はステップ205として示される。
【0063】
特に、本方法の第2の実施形態では、直流ロガー5が使用される。
【0064】
直流ロガー5は、急速充電ステーション3に接続されるように構成されたインレット5aと、車両10のバッテリ2に接続されるように構成されたアウトレット5bとを有する。
【0065】
特に、インレット5aは、急速充電ステーションとの接続に準拠したタイプ2ソケットであり、アウトレット5bは、車両との接続に準拠したタイプ2プラグである。
【0066】
一例によれば、直流ロガー5は、急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給される直流電流を測定するように構成された直流電流計である。
【0067】
本方法200はまた、以下のステップを含む。
-ステップ207:車両のECUからバッテリ2の電圧値を取得する。
-ステップ208:バッテリ2に供給されたエネルギーを、測定された直流電流(直流ロガー5によって測定される)およびバッテリ2の電圧値に応じて計算する。
【0068】
特に、エネルギーは、非常によく知られた式を使用して、バッテリ2が急速充電ステーション3によって充電される時間間隔を参照して計算される。
【0069】
電力P(t)=V(t)×I(t)
【0070】
充電中に供給されるエネルギーはDEと呼ばれ、DEは、直流充電終了時のバッテリ2のエネルギーと充電前のバッテリ2のエネルギーとの差である。
【0071】
直流電力充電を実行した(ステップ203)後に、バッテリ2のSoCの第2の値が取得される。このステップは204として示される。これは、本発明の第1の実施形態のステップ104と全く同一である(図1を参照)。
【0072】
特に、SoCの第2の値(SoCENDとして示される)は、車両のECUから取得される。
【0073】
好ましくは、SoCの第2の値は診断装置4から読み取られる。
【0074】
次に、ステップ206で、次の式を使用してSoHが計算される。
【0075】
SoH=DE/(SoCEND-SoCSTART
例えば、直流ロガー5は、測定された直流電流を診断装置4に提供するように構成される。
【0076】
診断装置4はまた、ECUからバッテリ2の電圧値を取得するように構成される(ステップ207)。
【0077】
最後に、診断装置4は、エネルギーDEを計算し(ステップ208)、SoHを計算する(ステップ206)ように構成される。
【0078】
好ましくは、SoHは、他の車両パラメータと同様に、診断装置4のディスプレイ上で直接読み取られ得る。
【0079】
変形例では、本方法200は、直流電流を測定する代わりに、急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給される直流電力を測定するステップを想定している。
【0080】
したがって、この場合、直流ロガー5は、急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給される直流電力を測定するように構成された電力計である。
【0081】
この変形例では、ステップ207は存在せず、ステップ208は、バッテリ2を充電する時間間隔において測定された直流電力に応じてバッテリ2によって供給されたエネルギーを計算することで構成される。
【0082】
図3を参照すると、番号1は、充電式バッテリのSoHを推定するシステムを示す。
【0083】
システム1は、
-バッテリ2に直流電力を供給するように構成された急速充電ステーション3と、
-急速充電ステーション(3)に接続されたインレット5aと、バッテリ2に接続可能なアウトレット5bとを有する直流ロガー5と、
-直流ロガー5と通信するように構成され且つ車両10のECUと(好ましくは無線)接続可能である診断装置4と、を備える。
【0084】
特に、直流ロガー5は、急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給される直流電流または直流電力を測定するように構成される。
【0085】
診断装置4は、次の値を取得するように構成される。すなわち、
-バッテリ2のSoCの第1の値(すなわち、SoCSTART)、
-バッテリのSoCの第2の値(すなわち、SoCEND)、
-バッテリ2の電圧値、を取得するように構成される。
【0086】
図3のシステムを使用する実施形態では、診断装置4はまた、
-直流ロガー5から受信した測定された直流電流に応じて急速充電ステーション3によってバッテリ2に供給されたエネルギーDEを計算し、
-次の式に従ってSoHを計算するように構成される。
【0087】
SoH=DE/(SoCEND-SoCSTART)。
【0088】
実際には、第1の実施形態では、2つの瞬時エネルギー値ESTART、EENDは診断装置4によって取得されるが、第2の実施形態では、供給されたエネルギーDEは、直流ロガー5によって測定される直流電流または直流電力のいずれかの測定値に基づいて計算される。
【0089】
いずれの場合も、DE=EEND-ESTARTであるので、SoHを取得する式は2つの実施形態で同一であると言うことができる。
【0090】
本発明による、充電式バッテリ、特に車両の充電式バッテリの健全状態を推定する方法およびシステムの特徴は、利点と同様に、上記の説明から明らかに現れる。
【0091】
特に、本方法は、診断装置から直接取得されたパラメータから始めて、あらゆるバッテリのSoHの量を特定することを可能にする。
【0092】
特定の実施形態では、システムは、バッテリに供給される直流電流を測定できる汎用直流ロガーを使用する。これは診断装置に送信されるので、あらゆる車両バッテリのSoHを計算することを可能にする。
【0093】
本方法は、既に市販されている急速充電ステーションを使用するので、単純に迅速に且つ簡単に実行でき、内部抵抗(通常はメーカーが公表していないパラメータ)の外挿に基づく方法のように、カスタマイズされた充電ステーションを用意する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】US 2015/0102818 A1
【特許文献2】CN109001636
【特許文献3】CN102866361
図1
図2
図3
【外国語明細書】