(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037709
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システムおよびその動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240312BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240312BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 120
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144509
(22)【出願日】2023-09-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0113416
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523340797
【氏名又は名称】イーエヌ テクノロジーズ インク.
【氏名又は名称原語表記】EN Technologies Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒュン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ナム ソウン シグ
(72)【発明者】
【氏名】リー タイ シーク
(72)【発明者】
【氏名】ユン セオン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン へー セ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA03
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】エネルギー貯蔵システムおよびその動作方法を提供すること。
【解決手段】エネルギー貯蔵システムは、新再生可能エネルギー発電所で生成されたエネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵装置と、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングし、前記新再生可能エネルギー発電所と連結された線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御する電力管理装置と、前記電力管理装置から前記動作モードに対応する命令を受信し、前記命令によって前記エネルギー貯蔵装置の動作を制御する電力変換装置と、を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新再生可能エネルギー発電所で生成されたエネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵装置と、
前記新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングし、前記新再生可能エネルギー発電所と連結された線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御する電力管理装置と、
前記電力管理装置から前記動作モードに対応する命令を受信し、前記命令によって前記エネルギー貯蔵装置の動作を制御する電力変換装置と、を含み、
前記電力管理装置は、
前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得し、
前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測し、
前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成するエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記電力管理装置は、
前記新再生可能エネルギー発電所の電力量が前記線路の基準容量を超える場合、前記エネルギー貯蔵装置の前記動作モードを充電モードに決定し、
前記新再生可能エネルギー発電所の電力量が前記線路の基準容量を超えない場合、前記エネルギー貯蔵装置の前記動作モードを放電モードに決定する、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記新再生可能エネルギー発電所が複数の発電所である場合、
前記電力管理装置は、
前記複数の発電所で生産された電力量をモニタリングし、前記複数の発電所別に前記エネルギー貯蔵装置に対する充電モードの可否を決定する、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記動作モードが充電モードに決定された場合、前記電力管理装置は、
前記線路の前記基準容量を超える前記電力量の超過電力が前記エネルギー貯蔵装置に蓄えられるように制御する第1命令を前記電力変換装置に伝達する、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記動作モードが放電モードに決定された場合、前記電力管理装置は、
前記線路に流れる電力容量が前記基準容量分となるように、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置に充電された電力を放電する第2命令を前記電力変換装置に伝達する、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム 。
【請求項6】
前記新再生可能エネルギー発電所に加えて新規設置された新再生可能エネルギー発電所が前記エネルギー貯蔵システムおよび前記線路に連結される場合、
前記電力管理装置は、
前記新再生可能エネルギー発電所および前記新規設置された新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングした結果および前記線路の基準容量に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記モデリング情報を運営者の管理装置に送信する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記電力管理装置は、
前記新再生可能エネルギー発電所で予め設定された期間中に生産された電力量の情報を取得し、
前記電力量の情報に基づいて、前記予め設定された期間中の平均電力量を算出し、
前記新再生可能エネルギー発電所の平均電力量および前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量および前記線路の前記基準容量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測する、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム 。
【請求項9】
前記エネルギー貯蔵装置は、
前記動作モードによって、前記電力変換装置を介して充電された電力を放電するか、または電力を充電するバッテリーと、
前記バッテリーの状態情報を管理するバッテリー管理モジュールと、を含む,
請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
エネルギー貯蔵システムの動作方法において、
新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングするステップと、
前記新再生可能エネルギー発電所と連結された線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定するステップと、
前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御するステップと、を含み、
前記エネルギー貯蔵システムの動作方法は、
前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得するステップと、
前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測するステップと、
前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成するステップと、をさらに含むエネルギー貯蔵システムの動作方法。
【請求項11】
前記エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定するステップは、
前記新再生可能エネルギー発電所の電力量が前記線路の基準容量を超えると、前記エネルギー貯蔵装置の前記動作モードを充電モードに決定するステップと、
前記新再生可能エネルギー発電所の電力量が前記線路の基準容量を超えない場合、前記エネルギー貯蔵装置の前記動作モードを放電モードに決定するステップと、を含む,
請求項10に記載のエネルギー貯蔵システムの動作方法。
【請求項12】
前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御するステップは、
前記動作モードが充電モードに決定された場合、前記線路の前記基準容量を超える前記電力量の超過電力が前記エネルギー貯蔵装置に蓄えられるように制御する第1命令を電力変換装置に伝達するステップと、
前記動作モードが放電モードに決定された場合、前記線路に流れる電力容量が前記基準容量分となるように、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置に充電された電力を放電する第2命令を前記電力変換装置に伝達するステップと、を含む,
請求項10に記載のエネルギー貯蔵システムの動作方法。
【請求項13】
電力システムにおいて、
新再生可能エネルギー発電所と、
前記新再生可能エネルギー発電所と連結され、生成された電力を電力系統に供給するための線路と、
前記線路と連結され、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングし、前記線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御するエネルギー貯蔵システムと、を含み、
前記エネルギー貯蔵システムは、
前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得し、
前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測し、
前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成する電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統とは、発電所、変電所、送配電線および負荷が一体となって電力の発生および利用が行われるシステムを意味する。発電所は、電気を生産して送電端変電所に電気を送電する。送電端変電所は、電気を配電端変電所に送電する。配電端変電所は、最終消費先に電気を分けて配電する。
【0003】
一方、最近二酸化炭素排出なしで電力発電が可能な新再生可能エネルギーについての関心が多く、新再生可能エネルギー発電所の増設が避けられない状況である。新再生可能エネルギー発電所が増設されるにつれて、既存の設備を効率的に使用しながら電力を安定して供給できる技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新再生可能エネルギー発電所が増設されても、線路の増設なしにエネルギー貯蔵システムを通じて電力系統の安定化に寄与しようとする。
【0005】
新再生可能エネルギー発電所が増設されても、エネルギー貯蔵システムを用いた線路の負荷調整により、線路の増設なしに線路を運営することができる。
【0006】
エネルギー貯蔵システムの充電動作または放電動作を制御することによって、線路の利用率を向上させようとする。
【0007】
既存の施設で新再生可能エネルギー発電所を増設することによって、二酸化炭素削減目標を達成しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によると、新再生可能エネルギー発電所で生成されたエネルギーを蓄えるエネルギー貯蔵装置と、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングし、前記新再生可能エネルギー発電所と連結された線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、前記エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御する電力管理装置と、前記電力管理装置から前記動作モードに対応する命令を受信し、前記命令によって前記エネルギー貯蔵装置の動作を制御する電力変換装置と、を含むエネルギー貯蔵システムが提供され、前記電力管理装置は、前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得し、前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測し、前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成し得る。
【0009】
他の態様によると、新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングするステップと、前記新再生可能エネルギー発電所と連結された線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定するステップと、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御するステップと、を含むエネルギー貯蔵システムの動作方法が提供され、前記エネルギー貯蔵システムの動作方法は、前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得するステップと、前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測するステップと、前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成するステップと、をさらに含み得る。
【0010】
また他の態様によると、新再生可能エネルギー発電所と、前記新再生可能エネルギー発電所と連結され、生成された電力を電力系統に供給するための線路と、前記線路と連結され、前記新再生可能エネルギー発電所の電力量をモニタリングし、前記線路の基準容量および前記電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、前記動作モードによって前記線路に流れる電力容量を制御するエネルギー貯蔵システムと、を含み、前記エネルギー貯蔵システムは、前記新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得し、前記エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量と前記線路の前記基準容量に基づく条件および前記履歴情報を用いて新規設置される新再生可能エネルギー発電所の前記条件に対応する電力量を予測し、前記予測された電力量に基づいて、前記新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび前記タイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成する電力システムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
新再生可能エネルギー発電所が増設されても線路の増設なしにエネルギー貯蔵システムを通じて電力系統の安定化に寄与することができる。
【0012】
新再生可能エネルギー発電所が増設されても、エネルギー貯蔵システムを用いた線路の負荷調整によって線路の増設なしに線路を運営でき、線路増設の投資コストを削減することができる。
【0013】
エネルギー貯蔵システムの充電動作または放電動作を制御することによって、線路の利用率を向上させることができる。
【0014】
既存の施設で新再生可能エネルギー発電所を増設することによって、二酸化炭素削減目標を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、以下の詳細な説明とそれに付随する図面との結合で簡単に理解することができ、参照番号(Reference Numerals)は、構造的構成要素(Structural Elements)を意味する。
【0016】
【
図1】一実施形態による新再生可能エネルギー発電所で生成された電力を電力系統に供給するための線路の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0017】
【
図2】一実施形態によるエネルギー貯蔵システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
【
図3】一実施形態による電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【0019】
【
図4】一実施形態によるエネルギー貯蔵システムの動作方法を示すフローチャートである。
【0020】
【
図5】一実施形態によるエネルギー貯蔵装置の動作モードを決定し、動作モードに応じて線路に流れる電力容量を制御するエネルギー貯蔵システムの動作方法を示すフローチャートである。
【0021】
【
図6】一実施形態による新再生可能エネルギー発電所で生成された電力量に応じてエネルギー貯蔵システムの動作を説明するためのグラフである。
【0022】
【
図7】一実施形態による新再生可能エネルギー発電所が複数である場合に、エネルギー貯蔵システムで新再生可能エネルギー発電所別に運営する動作を説明するための図である。
【0023】
【
図8】一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所の需要電力量を予測し、新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成するエネルギー貯蔵システムの動作方法を示すフローチャートである。
【0024】
【
図9】一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所の需要電力量を予測するエネルギー貯蔵システムの動作方法を示すフローチャートである。
【0025】
【
図10】一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成する過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して様々な実施形態を詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、様々な異なる形態に変形されて実施され得る。実施形態の特徴をより明確に説明するために、以下の実施形態が属する技術分野における通常の知識を有する者に広く知られている事項についての詳細な説明は省略する。
【0027】
一方、本明細書においてある構成が他の構成と「連結」されているとする場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、「その中間に他の構成を挟んで連結」されている場合も含む。また、ある構成が他の構成を「含む」と言う場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成を除外するものではなく、他の構成をさらに含み得ることを意味する。
【0028】
なお、本明細書で使用される「第1」または「第2」などの序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるべきではない。この用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0029】
本明細書全体において、「新再生可能エネルギー」とは、新エネルギーと再生可能エネルギーとを組み合わせたことを意味する。「新エネルギー」とは、従来の化石燃料を変換して用いたり、水素、酸素などの化学反応を介して電気または熱を用いたりするエネルギーを意味する。例えば、新エネルギーの種類には、水素エネルギー、燃料電池、石炭液化ガスなどがあり得る。「再生可能エネルギー」とは、太陽光、水、地熱、降水、生物有機体などを含む再生可能エネルギーを変換して用いるエネルギーを意味する。例えば、再生可能エネルギーの種類には、太陽光、太陽熱、風力、水力、海洋エネルギー、地熱、バイオエネルギー、廃棄物エネルギーなどがあり得る。
【0030】
本明細書全体において、「新再生可能エネルギー発電所」とは、新再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発生させる場所を意味する。
【0031】
本明細書全体において、「エネルギー貯蔵システム(Energy Storage System)」とは、超過する電力を蓄えて不足したときに使用するか、または必要な場所に伝達する方式を意味する。エネルギー貯蔵システムは、発電所から供給される電力の一部を充電し、電力が不足したときに充電された電力を放電することができる。
【0032】
本明細書全体において、「線路」とは、新再生可能エネルギー発電所およびエネルギー貯蔵システムと連結され、新再生可能エネルギー発電所またはエネルギー貯蔵システムから伝達された電力を負荷に供給する通路を意味する。線路の「基準容量」とは、線路を介して送電できる電力量を意味する。基準容量は、最大送電容量であってもよいし、予め設定された送電容量であってもよい。
【0033】
図1は、一実施形態による新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力を電力系統に供給するための線路300の電力容量を制御する電力システムを示す。
【0034】
図1を参照すると、電力システムは、新再生可能エネルギー発電所100、エネルギー貯蔵システム200、線路300、および負荷400で構成される。例えば、負荷400は、変電所、配電線路、産業団地、都心負荷などであり得る。
【0035】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、太陽光発電所、風力発電所、潮力発電所、波力発電所、燃料電池発電所、バイオ発電所などであり得、前記の例に限定されない。
【0036】
エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力の一部をエネルギー貯蔵装置250に充電し、線路300または負荷400の状態に応じてエネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。例えば、線路300では、基準容量だけの電力を送電できると仮定する。新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が基準容量を超えると、超過する電力を蓄える貯蔵空間または超過する電力を収容するための追加線路が必要になる。エネルギー貯蔵システム200は、追加の線路を設置しなくても、超過する電力を蓄えて電力が必要な場合に供給することができる。
【0037】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が線路300の基準容量を超える場合、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力に対して線路300の基準容量を超過する電力分だけ充電することができる。超過電力をエネルギー貯蔵システム200に充電することによって、線路300の容量を基準容量だけ維持することができる。
【0038】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力が線路300の基準容量を超えない場合、線路300は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力以外の電力を追加的に収容できる。この場合、エネルギー貯蔵システム200は、充電された電力の一部を線路300に放電することができる。エネルギー貯蔵システム200は、線路300に流れる電力容量が基準容量分となるようにエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0039】
図2は、一実施形態によるエネルギー貯蔵システム200の構成を示すブロック図である。
【0040】
図2を参照すると、エネルギー貯蔵システム200は、遮断器およびMOF210、系統連系変圧器220、電力変換装置230、エネルギー貯蔵装置250、および電力管理装置240を含み得る。しかし、図示の構成要素のすべてが必須構成要素であるわけではない。図示の構成要素よりも多くの構成要素によってエネルギー貯蔵システム200を実施することができ、より少ない構成要素によってもエネルギー貯蔵システム200を実施することができる。以下、前述の構成要素について説明する。
図2に示すエネルギー貯蔵システム200は、
図1に示すエネルギー貯蔵システム200と同様に対応し得る。
【0041】
遮断器およびMOF210は、エネルギー貯蔵システム200の保護のために、エネルギー貯蔵システム200上に異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度が検知されるかをモニタリングし、異常発生時にエネルギー貯蔵システム200の運転を停止することができる。
【0042】
系統連系変圧器220は、電力系統側に電力を供給するために電圧の大きさを調整することができる。線路300の抵抗によって電力損失が発生するため、系統連系変圧器220は、電圧の大きさを増加させて電力を供給することができる。
【0043】
エネルギー貯蔵装置250は、新再生可能エネルギー発電所100で生成されたエネルギーを蓄えることができる。例えば、エネルギー貯蔵装置250は、バッテリーおよびバッテリー管理モジュールを含み得る。バッテリーは、エネルギー貯蔵装置250の動作モードに応じて電力変換装置230を介して充電された電力を放電したり、電力を充電したりすることができる。バッテリー管理モジュールは、バッテリーの状態情報を管理することができる。
【0044】
電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることができる。電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100と連結された線路300の基準容量および電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し得る。電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードに応じて、線路300に流れる電力容量を制御できる。
【0045】
電力変換装置230は、電力管理装置240からエネルギー貯蔵装置250の動作モードに対応する命令を受信し、命令によってエネルギー貯蔵装置250の動作を制御できる。
【0046】
例えば、電力管理装置240は、電力変換装置230から電力変換装置230の状態情報、運用情報、運転情報、動作可能情報を取得することができる。電力変換装置230の状態情報は、運転状態、遮断器情報、ネットワークなどの情報であり得る。電力変換装置230の運用情報は、電圧、電流、電力、周波数、インバータなどの情報であり得る。電力変換装置230の運転情報は、運転モード、充電量、放電量、累積充電量、累積放電量などの情報であり得る。電力変換装置230の動作可能情報は、電力変換装置230の保護のための異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度などの情報であり得る。
【0047】
例えば、電力管理装置240は、バッテリー管理モジュールと通信を行うことによって、バッテリー遮断器の状態、温度、電圧、電流、電力、充電量、放電量、累積充電量、累積放電量などの情報およびバッテリー動作可能情報を取得することができる。
【0048】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し得る。電力管理装置240は、線路300の基準容量を超える電力量の超過電力がエネルギー貯蔵装置250に蓄えられるように制御する第1命令を電力変換装置230に伝達し得る。電力変換装置230は、第1命令によってエネルギー貯蔵装置250に超過電力を蓄えることができる。エネルギー貯蔵装置250は、直流に変換された直流電力を蓄えることができる。
【0049】
他の例として、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えない場合、電力管理装置240は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを放電モードに決定し得る。電力管理装置240は、線路300に流れる電力容量が基準容量分となるように、新再生可能エネルギー発電所100の電力量に基づいて、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電する第2命令を電力変換装置に伝達し得る。電力変換装置230は、第2命令によってエネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。
【0050】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100が複数の発電所であり得る。電力管理装置240は、複数の発電所で生産された電力量をモニタリングし、複数の発電所別にエネルギー貯蔵装置250に対する充電モードの可否を決定し得る。具体的に、電力管理装置240は、複数の発電所で生成された電力容量および線路300の基準容量に基づいて、発電所別にエネルギー貯蔵装置250に対する充電モードの可否を決定し得る。
【0051】
例えば、複数の発電所で生成された電力容量が線路300の基準容量を超え、第1新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力容量が線路300の基準容量を超えない場合、電力管理装置240は、第1新再生可能エネルギー発電所100に対するエネルギー貯蔵装置250の動作モードを非活性化し、第1新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力が線路300に送電できるように制御できる。また、電力管理装置240は、第2新再生可能エネルギー発電所100に対するエネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し、第2新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力をエネルギー貯蔵装置250に充電することができる。
【0052】
例えば、複数の発電所で生成された電力容量が線路300の基準容量を超えない場合、電力管理装置240は、複数の発電所に対するエネルギー貯蔵装置250の動作モードを非活性化し、複数の発電所で生成された電力を線路300に送電できるように制御できる。
【0053】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100に加えて新規設置された新再生可能エネルギー発電所100がエネルギー貯蔵システム200および線路300に連結される場合、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100および新規設置された新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングした結果および線路300の基準容量に基づいて、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し得る。すなわち、新再生可能エネルギー発電所100が追加設置されても、線路300の基準容量を超える電力については、エネルギー貯蔵装置250に充電されることによって、線路300の増設がなくても電力系統安定化に寄与することができる。
【0054】
例えば、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量についての履歴情報を取得することができる。電力管理装置240は、履歴情報、エネルギー貯蔵装置250の貯蔵容量および線路300の基準容量に基づいて、新規設置される新再生可能エネルギー発電所100の需要電力量を予測することができる。例えば、電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100で予め設定された時間中に生産された電力量の情報を取得することができる。電力管理装置240は、電力量の情報に基づいて、予め設定された期間中の平均電力量を算出することができる。電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の平均電力量およびエネルギー貯蔵装置250の貯蔵容量および線路300の基準容量に基づいて需要電力量を予測することができる。
【0055】
例えば、電力管理装置240は、需要電力量に基づいて、新規設置される新再生可能エネルギー発電所100のタイプおよびタイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成し得る。
【0056】
例えば、エネルギー貯蔵装置250は、バッテリーおよびバッテリー管理モジュールを含み得る。バッテリーは、新再生可能エネルギー発電所100の電力を電力変換装置230を介して交流から直流に変換された直流電力を蓄えることができる。例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、バッテリーは、直流変換装置を介して電力を蓄えることができる。また、バッテリーは、電力変換装置230を介して充電された電力を電力系統に放電することができる。例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えないか、または電力系統線路300の故障復旧時に、バッテリーは、充電された電力を電力系統に放電することができる。
【0057】
バッテリー管理モジュールは、バッテリーの運転状態、バッテリーの残存容量、バッテリーの耐久性、温度、電圧、電流、充電量、放電量などの状態情報を取得することができる。バッテリー管理モジュールは、バッテリーで異常状態が検出された場合に遮断器を遮断することができる。
【0058】
バッテリー管理モジュールは、電力管理装置240と通信を行うことによって、バッテリーの状態情報を電力管理装置240に提供し得る。電力管理装置240は、バッテリー管理モジュールから提供されたバッテリーの状態情報を用いてバッテリーを効率的に管理することができる。
【0059】
また、エネルギー貯蔵装置250は、電力変換装置230から異常発生時に直流電源を遮断する遮断器と、過電流発生時にバッテリーを保護するヒューズと、を含み得る。
【0060】
電力管理装置240は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることによって、エネルギー貯蔵システム200の充電または放電の運営を効率的に制御できる。したがって、新再生可能エネルギー発電所100が新設されても、エネルギー貯蔵システム200によって線路300の負荷を調整することによって、線路300の増設なしに線路300を運営することができる。
【0061】
一方、スキャダ制御器500は、変電所410と通信を行うことによって、電流、電圧などの運営中の電力情報を取得することができる。また、スキャダ制御器500は、送電端変圧器の故障情報および送電線路300の故障情報を取得してモニタリングすることができる。電力管理装置240は、スキャダ制御器500と通信を行うことによって、電力系統の運営情報、送電端変圧器の故障情報および送電線路300の故障情報を取得することができる。
【0062】
図3は、一実施形態による電力変換装置230の構成を示すブロック図である。
【0063】
図3を参照すると、電力変換装置230は、制御器310、AC遮断器320、EMCフィルター330、ACフィルター340、インバータ350、DCリンク360、EMCフィルター370、DC遮断器380を含み得る。
【0064】
制御器310は、AC遮断器320、EMCフィルター330、ACフィルター340、インバータ350、DCリンク360、EMCフィルター370、およびDC遮断器380の動作を制御できる。
【0065】
AC遮断器320は、電力系統の異常発生時に電力系統側を遮断することができる。EMCフィルター330は、インバータで発生するノイズを低減することができる。ACフィルター340は、正弦波化のために高調波を低減することができる。インバータ350は、交流電力を直流電力に変換するように制御できる。DCリンク360は、変換された脈流を直流に平滑化することができる。EMCフィルター370は、直流側のノイズを低減することができる。DC遮断器380は、エネルギー貯蔵装置250の直流電源の異常発生時に直流電源を遮断することができる。
【0066】
図3に示す構成要素のすべてが必須構成要素であるわけではない。
図3に示す構成要素よりも多くの構成要素によって電力変換装置230を実施することができ、それよりも少ない要素によっても電力変換装置230を実施することができる。
図3に示す電力変換装置230は、
図2に示す電力変換装置230と同様に対応し得る。電力変換装置230の構成要素の動作により、以下の動作を行い得る。
【0067】
電力変換装置230は、電力管理装置240からエネルギー貯蔵装置250の動作モードに対応する命令を受信し、命令に応じて新再生可能エネルギー発電所100の電力をエネルギー貯蔵装置250に充電するか、またはエネルギー貯蔵装置250に蓄えられた電力を放電するようにエネルギー貯蔵装置250の動作を制御できる。
【0068】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えると、電力変換装置230は、電力管理装置240と通信を行うことによって、充電モードに対応する命令を受信し、エネルギー貯蔵装置250に新再生可能エネルギー発電所100の電力を充電することができる。
【0069】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100の電力量が線路300の基準容量を超えない場合、電力変換装置230は、電力管理装置240と通信を行うことによって、放電モードに対応する命令を受信し、エネルギー貯蔵装置250に蓄えられた電力を線路300を介して電力系統に放電することができる。
【0070】
例えば、電力変換装置230は、電力変換装置230の状態情報、運用情報、運転情報、動作可能情報を電力管理装置240に提供することによって、エネルギー貯蔵システム200が効率的に運転されるようにすることができる。
【0071】
例えば、電力変換装置230は、エネルギー貯蔵システム200で異常電圧、異常電流、異常周波数、異常温度などが検知されたかをモニタリングし、異常状態が検知されると、エネルギー貯蔵システム200の運転を停止することができる。
【0072】
図4は、一実施形態によるエネルギー貯蔵システム200の動作方法を示すフローチャートである。
【0073】
図4を参照すると、ステップS410において、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることができる。例えば、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100から新再生可能エネルギー発電所100から生産された電力量の情報を取得することができる。
【0074】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、複数であってもよい。エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100別に電力量をモニタリングすることができる。例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、太陽光発電所、風力発電所、潮力発電所、波力発電所、燃料電池発電所、バイオ発電所などであり得る。
【0075】
ステップS420において、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100と連結された線路300の基準容量および電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し得る。例えば、エネルギー貯蔵装置250は、新再生可能エネルギー発電所100で生成されたエネルギーを蓄える装置であり得る。エネルギー貯蔵装置250は、バッテリーおよびバッテリー管理モジュールを含み得る。
【0076】
線路300に流れる電力量が基準容量を超えると、線路300が不安定になり、線路300または変圧器の故障を招く可能性がある。したがって、線路300に流れる電力量が基準容量を超えないように調整する必要がある。エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力量をモニタリングした結果に基づいて、エネルギー貯蔵システム200を通じて流れる線路300の電力容量を制御できる。
【0077】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力量が十分であれば、エネルギー貯蔵システム200は、線路300の基準容量を超える電力量を充電するための充電モードとして動作することができる。
【0078】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力量が線路300に基準容量だけ供給するのに不足すれば、エネルギー貯蔵システム200は、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電するための放電モードとして動作することができる。
【0079】
ステップS430において、エネルギー貯蔵システム200は、動作モードに応じて線路300に流れる電力容量を制御できる。
【0080】
例えば、エネルギー貯蔵装置250の動作モードが充電モードである場合、エネルギー貯蔵システム200は、線路300の基準容量を超える電力量をエネルギー貯蔵装置250に蓄え、線路300に流れる電力が基準容量を超えないように制御できる。
【0081】
他の例として、エネルギー貯蔵装置250の動作モードが放電モードである場合、エネルギー貯蔵システム200は、エネルギー貯蔵装置250に蓄えられた電力を放電し、線路300に流れる電力が基準容量を超えないように制御できる。
【0082】
図5は、一実施形態によるエネルギー貯蔵装置250の動作モードを決定し、動作モードに応じて線路300に流れる電力容量を制御するエネルギー貯蔵システム200の動作方法を示すフローチャートである。
【0083】
図5は、
図4で説明したステップS420およびステップS430を説明するための図である。
【0084】
図5を参照すると、ステップS510において、エネルギー貯蔵装置250は、新再生可能エネルギー発電所100の電力量をモニタリングすることによって、新再生可能エネルギー発電所100の発電量が線路300の基準容量を超えるかを確認できる。
【0085】
新再生可能エネルギー発電所100の発電量が線路300の基準容量を超えると、ステップS520により、エネルギー貯蔵装置250は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し得る。
【0086】
エネルギー貯蔵装置250の動作モードが充電モードとして動作すると、ステップS540において、エネルギー貯蔵システム200は、線路300の基準容量を超える電力量の超過電力がエネルギー貯蔵装置250に蓄えられるように制御できる。例えば、エネルギー貯蔵システム200は、超過電力をエネルギー貯蔵システム200内の電力変換装置230を介して交流から直流に変換された直流電力をエネルギー貯蔵装置250に蓄えることができる。
【0087】
一方、新再生可能エネルギー発電所100の発電量が線路300の基準容量を超えない場合、ステップS530において、エネルギー貯蔵装置250は、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを放電モードに決定し得る。
【0088】
エネルギー貯蔵装置250の動作モードが放電モードとして動作すると、ステップS550において、エネルギー貯蔵システム200は、線路300に流れる電力容量が基準容量分となるように、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。
【0089】
図6は、一実施形態による新再生可能エネルギー発電所100で生成された電力量に応じてエネルギー貯蔵システム200の動作を説明するためのグラフである。
【0090】
例えば、新再生可能エネルギー発電所100は、太陽光発電所、第1風力発電所、第2風力発電所があると仮定する。また、線路300の基準容量は、80MWであると仮定する。また、第1風力発電所および第2風力発電所は、既存にあった新再生可能エネルギー発電所100であり、太陽光発電所は、新規に増設された新再生可能エネルギー発電所100であると仮定する。また、第1風力発電所および第2風力発電所間の合算された最大容量は、80MWであり、太陽光発電所の最大容量は、20MWであると仮定する。
【0091】
図6を参照すると、第1グラフ610は、太陽光発電所の電力量を示し、第2グラフ620は、第1風力発電所の電力量を示し、第3グラフ630は、第2風力発電所の電力量を示し、第4グラフ640は、太陽光発電所、第1風力発電所および第2風力発電所の全体の電力量を示し、第5グラフ650は、線路300の基準容量を示す。
【0092】
図6を参照すると、t0からt1までの区間601において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超えない。t1からt2までの区間602において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超える。t2からt3までの区間603において、全体の電力量は、線路300の基準容量を超えない。
【0093】
例えば、エネルギー貯蔵システム200は、全体の電力量が線路300の基準容量を超えない区間については、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを放電モードに決定し、エネルギー貯蔵装置250に充電された電力を放電することができる。すなわち、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量が線路300の基準容量未満であれば、線路300の容量に余裕があるため、エネルギー貯蔵システム200は、充電された電力を線路300に放電することができる。この場合、各新再生可能エネルギー発電所100は、線路300を介して生産された電力を送電することができる。
図6に示すように、エネルギー貯蔵システム200は、t0からt1までの区間601およびt2からt3までの区間603における放電スケジュールによってエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0094】
例えば、エネルギー貯蔵システム200は、全体の電力量が線路300の基準容量を超える区間については、エネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し、エネルギー貯蔵装置250 に電力を充電できる。この場合、エネルギー貯蔵システム200は、基準容量を超える超過電力分をエネルギー貯蔵装置250に充電することができる。
図6に示すように、エネルギー貯蔵システム200は、t1からt2までの区間602における充電スケジュールによってエネルギー貯蔵システム200の動作を制御できる。
【0095】
図7は、一実施形態による新再生可能エネルギー発電所が複数である場合に、エネルギー貯蔵システムで新再生可能エネルギー発電所別に運営する動作を説明するための図である。
【0096】
図7を参照すると、新再生可能エネルギー発電所100が複数の発電所である場合、エネルギー貯蔵システム200は、複数の発電所で生産された電力量をモニタリングし、複数の発電所別に、エネルギー貯蔵装置250に対する充電モードの可否を決定し得る。
【0097】
例えば、第1新再生可能エネルギー発電所110、第2新再生可能エネルギー発電所120、および第3新再生可能エネルギー発電所130で生産された電力についての全体の電力量が線路300の基準容量を超え、第1新再生可能エネルギー発電所110および第2新再生可能エネルギー発電所120で生産された電力量が線路300の基準容量を超えないと仮定する。エネルギー貯蔵システム200は、第1新再生可能エネルギー発電所110および第2新再生可能エネルギー発電所120の動作モードを非活性化し、第3新再生可能エネルギー発電所130についてのエネルギー貯蔵装置250の動作モードを充電モードに決定し得る。この場合、第1新再生可能エネルギー発電所110および第2新再生可能エネルギー発電所120で生成された電力は、線路300を介して負荷に送電され、第3新再生可能エネルギー発電所130で生成された電力は、エネルギー貯蔵システム200に充電することができる。他の例として、線路300に流れる電力量が基準容量を超えない範囲内で、第3新再生可能エネルギー発電所130で生成された電力のうちの一部の電力のみがエネルギー貯蔵システム200に充電されることができる。
【0098】
新再生可能エネルギー発電所別にエネルギー貯蔵装置250に対する充電モードの可否を決定することによって、線路300に流れる電力量が基準容量を超えないように線路300の負荷を調節することができ、線路300の利用率を高めることができる。
【0099】
図8は、一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所の需要電力量を予測し、新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成するエネルギー貯蔵システムの動作方法を示すフローチャートである。
【0100】
図8を参照すると、ステップS810において、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量についての履歴情報を取得することができる。例えば、履歴情報は、予め設定された期間中の新再生可能エネルギー発電所で生産された電力量に関する情報であり得る。
【0101】
ステップS820において、エネルギー貯蔵システム200は、履歴情報、エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量、および線路300の基準容量に基づいて、新規設置される新再生可能エネルギー発電所の需要電力量を予測することができる。
【0102】
例えば、履歴情報は、新再生可能エネルギー発電所100で生産された電力量が50MWであり得る。エネルギー貯蔵装置の貯蔵容量は、300MWであり、線路300の基準容量は、120MWであり得る。この場合、需要電力量の範囲は、線路300に基準容量だけ電力が流れるようにする第1条件に対応する第1需要電力量からエネルギー貯蔵装置にフルに電力を充電させる第2条件に対応する第2需要電力量までであり得る。ここで、第1需要電力量は、70MWであり、第2需要電力量は、370MWであり得る。
【0103】
ステップS830において、エネルギー貯蔵システム200は、需要電力量に基づいて、新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよびタイプに対応する運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成し得る。
【0104】
例えば、新再生可能エネルギー発電所のタイプ別に、生産可能な電力量は、発電所の規模、位置に応じて予め設定できる。エネルギー貯蔵システム200は、需要電力量に基づいて、新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび新再生可能エネルギー発電所で需要電力量を生産するための運営スケジュールの情報を含むモデリング情報を生成し得る。また、モデリング情報は、新再生可能エネルギー発電所の規模、位置などに関する情報も含まれ得る。
【0105】
図9は、一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所の需要電力量を予測するエネルギー貯蔵システム200の動作方法を示すフローチャートである。
【0106】
図9を参照すると、ステップS910において、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所で予め設定された期間中に生成された電力量の情報を取得することができる。
【0107】
ステップS920において、エネルギー貯蔵システム200は、電力量の情報に基づいて、予め設定された期間中の平均電力量を算出することができる。
【0108】
ステップS930において、エネルギー貯蔵システム200は、新再生可能エネルギー発電所の平均電力量およびエネルギー貯蔵装置の貯蔵容量および線路300の基準容量に基づいて需要電力量を予測することができる。また、エネルギー貯蔵システム200は、需要電力量を平均電力量に変更して予測することもできる。
【0109】
図10は、一実施形態による新規設置される新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成する過程を説明するための図である。
【0110】
図10の画像1010を参照すると、管理装置は、新規設置される新再生可能エネルギー発電所をモデリングするために用いられる情報を表示し得る。 例えば、管理装置は、需要電力量に関する情報および新再生可能エネルギー発電所のタイプ情報を表示し得る。管理装置は、新再生可能エネルギー発電所のタイプ情報を選択する入力情報を受信し得る。
【0111】
例えば、管理装置は、太陽光発電所1011、風力発電所1012、バイオ発電所1013、燃料電池発電所1014を新再生可能エネルギー発電所のタイプ情報として表示し得る。管理装置は、太陽光発電所1011および風力発電所1012を選択する入力情報を受信し得る。
【0112】
例えば、管理装置は、入力情報をエネルギー貯蔵システム200に送信することができる。エネルギー貯蔵システム200は、入力情報に基づいて、新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成し得る。他の例として、管理装置は、入力情報に基づいて新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を生成し得る。
【0113】
図10の画像1020を参照すると、管理装置は、新規設置される新再生可能エネルギー発電所のモデリング情報を表示し得る。例えば、管理装置は、太陽光発電所と風力発電所を組み合わせて少なくとも1つのモデリング情報1021、1022を生成し得る。管理装置は、少なくとも1つのモデリング情報1021、1022を表示し得る。モデリング情報1021、1022には、新規設置される新再生可能エネルギー発電所のタイプおよび発電所別に生産可能な電力量の情報が含まれ得る。
【0114】
図10の画像1020に示すように、モデリング情報が複数である場合、管理装置は、予め設定された優先順位によってモデリング情報を表示し得る。例えば、予め設定された優先順位は、発電所の関心順位、所要の増設費用、増設位置、および増設規模のうち、少なくとも1つに基づいて設定できる。
【0115】
本開示で説明されるエネルギー貯蔵システム200および電力システムは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素の組み合わせで実施できる。また、本開示は、エネルギー貯蔵システム200および電力システムの動作方法を実行することができるようにコンピュータ読み取り可能な格納媒体に格納されたコンピュータプログラムの形で提供され得る。また、本開示は、コンピュータで実行できるプログラムとして作成可能であり、コンピュータ読み取り可能な格納媒体を用いてこのようなプログラムを作動させる汎用のデジタルコンピュータで具現できる。
【0116】
このようなコンピュータ読み取り可能な格納媒体は、Read-Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)、Flash Memory、CD-ROMs、CD-Rs、CD+Rs、CD-RWs、CD+RWs、DVD-ROMs 、DVD-Rs、DVD+Rs、DVD-RWs、DVD+RWs、DVD-RAMs、BD-ROMs、BD-Rs、BD-RLTHs、BD-REs、磁気テープ、フロッピーディスク、光磁気データ格納装置、光データ格納装置、ハードディスク、ソリッドステートディスク(SSD)であり得、命令またはソフトウェア、関連データ、データファイル、およびデータ構造を格納することができ、プロセッサまたはコンピュータが命令を実行できるようにプロセッサまたはコンピュータに命令またはソフトウェア、関連データ、データファイル、およびデータ構造を提供できる任意の装置であり得る。
【0117】
以上、実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた技術分野における通常の知識を有する者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。