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特開2024-3771狭帯域干渉管理のための無線通信方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003771
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】狭帯域干渉管理のための無線通信方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/10 20060101AFI20240105BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H04B1/10 L
H04B1/10 U
H04L27/26 410
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098006
(22)【出願日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】2022901788
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】522328389
【氏名又は名称】モース マイクロ ピーティーワイ. リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ミサラガンダ・スレンドラ・ラジュ
(72)【発明者】
【氏名】スラウェラ、ナヴォド・デヴィンダ
【テーマコード(参考)】
5K052
【Fターム(参考)】
5K052AA01
5K052BB02
5K052DD02
5K052EE06
5K052EE12
5K052EE13
5K052FF05
5K052FF33
5K052GG31
5K052GG48
(57)【要約】      (修正有)
【課題】無線信号の受信中の狭帯域干渉検出及び軽減方法及び狭帯域干渉検出並びに軽減機能を有する無線通信デバイスを提供する。
【解決手段】方法は、受信した無線信号の周波数領域表現を観察して、電力関連値を測定し、最大電力値及び関連するサブキャリアを識別し、電力関連値が閾値電力値未満であるサブキャリアをカウントし、カウントされたサブキャリア数に基づいて狭帯域干渉を検出し、特定する。時間領域、周波数領域、または時間領域と周波数領域の両方で、狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアに基づいて無線信号を修正する。時間領域で1つ以上のノッチフィルタによって無線信号を処理して、狭帯域干渉位置に関連する周波数を抑制し、その後、周波数領域で狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアに関連する電力関連値を修正する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信デバイスによって無線通信媒体の動作周波数帯域で無線信号を受信するステップと、
前記無線信号の周波数領域表現を観察し、前記周波数領域表現の複数の電力関連値を測定するステップと、
前記電力関連値の最大電力値と前記最大電力値に関連するサブキャリアを識別するステップと、
前記最大電力値とスケール係数に基づいて閾値電力値を計算するステップと、
電力関連値が前記閾値電力値未満であるサブキャリアの数をカウントするステップと、
カウントされたサブキャリア数に基づいて狭帯域干渉が存在するかどうかを判定するステップと、
前記動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在することに応答して、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアを決定し、決定された狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアに基づいて前記無線信号を修正するステップと、
を含む、無線信号の受信中の狭帯域干渉検出及び軽減方法。
【請求項2】
狭帯域干渉検出のための前記周波数領域表現の電力関連値の観察及び測定は、前記無線通信媒体の動作周波数帯域にデータパケットが存在しないアイドル期間中にのみ実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アイドル期間は、分散調整機能フレーム間隔(DIFS)期間を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
狭帯域干渉検出のための前記周波数領域表現の電力関連値の観察及び測定は、データパケットの検出中に実行され、前記データパケットのロングトレーニングフィールド(LTF)は狭帯域干渉検出のために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高速フーリエ変換(FFT)を使用して前記無線信号を前記周波数領域表現に変換することをさらに含み、前記電力関連値はFFT出力の振幅に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアは、前記最大電力値に関連するサブキャリア及び1つ以上の隣接サブキャリアを含み、
前記狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアは、時間領域処理、周波数領域処理、または時間領域処理と周波数領域処理の両方においては、消去されるものとして宣言される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの数は、予め定義され、または適応的に決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記狭帯域干渉が存在するかどうかを判定するステップは、前記カウントされたサブキャリア数を閾値カウント値と比較することと、前記カウントされたサブキャリア数が前記閾値カウントよりも大きい場合に狭帯域干渉が存在すると判定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記狭帯域干渉が存在するかどうかを判定するステップは、サブキャリアの総数に対するカウントされたサブキャリア数の割合を決定することと、前記割合が所定の割合より高い場合に狭帯域干渉が存在すると判定することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記無線信号を修正するステップは、周波数領域で狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの電力関連値を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記周波数領域で電力関連値を修正することは、前記狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアのサブキャリアインデックスを周波数復調プロセッサに伝達することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記周波数領域で電力関連値を修正することは、前記狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの電力関連値をゼロにする、無効にする、または抑制することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記無線信号を修正するステップは、時間領域で無線信号を処理して前記狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアに関連する1つ以上の周波数を抑制することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記時間領域で無線信号を処理することは、1つ以上のノッチフィルタを使用して前記無線信号をフィルタリングすることを含み、各ノッチフィルタのゼロは、狭帯域干渉の影響を受けると判定された1つ以上のサブキャリアに対応する周波数に設定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のノッチフィルタは、カスケード型一次無限インパルス応答(IIR)ノッチフィルタである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記無線信号を修正するステップは、前記時間領域で無線信号を処理した後、周波数領域で無線信号を処理して狭帯域干渉をさらに軽減することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
無線通信デバイスによって無線通信媒体の動作周波数帯域で無線信号を受信するステップと、
前記無線信号の周波数領域表現を観察して、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアを検出するステップと、
前記動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在する場合、1つ以上の狭帯域干渉位置を生成し、1つ以上のサブキャリアインデックスを識別するステップと、
時間領域で前記無線信号を処理して、前記1つ以上の狭帯域干渉位置に関連する1つ以上の周波数を抑制するステップと、
周波数領域で前記1つ以上のサブキャリアインデックスに従って、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアに関連する電力関連値を修正するステップと、
を含む、無線信号の受信中の狭帯域干渉検出及び軽減方法。
【請求項18】
前記周波数領域表現を観察するステップは、
前記周波数領域表現の複数の電力関連値を測定することと、
最大電力値と前記最大電力値に関連するサブキャリアを識別することと、
前記最大電力値とスケール係数に基づいて閾値電力値を計算することと、
電力関連値が前記閾値電力値未満であるサブキャリアの数をカウントすることと、
カウントされたサブキャリア数に基づいて狭帯域干渉の存在を判定することと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記周波数領域表現を観察するステップは、前記動作周波数帯域内にデータパケットが存在しないアイドル期間中にのみ狭帯域干渉を検出することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
無線信号の周波数領域表現を観察して、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアを検出し、動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在する場合、1つ以上の狭帯域干渉位置を生成し、1つ以上のサブキャリアインデックスを識別する、干渉検出モジュールと、
前記干渉検出モジュールに結合されて前記1つ以上の狭帯域干渉位置を受信し、時間領域で前記無線信号を処理して前記1つ以上の狭帯域干渉位置に関連する1つ以上の周波数を抑制する、時間領域処理モジュールと、
前記干渉検出モジュールに結合されて前記1つ以上のサブキャリアインデックスを受信し、前記時間領域処理モジュールに結合されて処理された無線信号を受信し、周波数領域で前記1つ以上のサブキャリアインデックスに従って、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアに関連する電力関連値を修正する、周波数領域処理モジュールと、
を含む、狭帯域干渉検出及び軽減機能を有する無線通信デバイス。
【請求項21】
前記時間領域処理モジュールは、1つ以上のノッチフィルタを含み、各ノッチフィルタのゼロは、前記狭帯域干渉位置の1つに従って設定される、請求項20に記載の無線通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年6月27日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2022901788号に基づく優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に無線通信に関する。具体的には、本開示の態様は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)における狭帯域干渉管理に関するものである。
【背景技術】
【0003】
無線ネットワーク、例えば、Wi-Fi(登録商標)(電気電子学会(IEEE)802.11規格に基づく)ネットワークなどの無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)は、1つ以上のステーション(STAs)と通信する1つ以上のアクセスポイント(APs)を含む。APsは、特定の周波数帯域上で共有無線通信媒体によってSTAsにサービスを提供する。例えば、Wi-Fi Halowとも呼ばれるIEEE 802.11ah規格は、サブ1GHzライセンス免除周波数帯域を使用して、拡張範囲Wi-Fiネットワークを提供する。802.11ahは、低エネルギー消費の利点もあり、信号を共有するために協力するステーションやセンサーの大規模なグループを作成でき、モノのインターネット(IoT)の概念をサポートする。テレビのホワイトスペースを除く、Wi-Fi Halowのサブ1GHzライセンス免除周波数帯域は、国によって異なる。動作周波数帯域の例としては、ヨーロッパでは863-868.6MHz、日本では915.9-928.1MHz、オーストラリアでは915-928MHz、中国では755-787MHz、韓国では917-923.5MHz、シンガポールでは866-869MHz及び920-925MHz、米国では902-928MHzがある。Wi-Fi Halowの周波数帯域は、LoRaなどの他のいくつかの無線テクノロジーと共有されているため、Wi-Fi Halowデバイスは、通信チャネル上で頻繁に干渉に遭遇する。
【0004】
任意の国における無線通信デバイスの動作周波数帯域は、一連のサブチャネルに細分化することができる。APとSTAとの間の通信は、これらのサブチャネルの1つで行われる。STAは、選択されたサブチャネル上で様々なタイプの干渉に遭遇する可能性があり、その結果、無線サービスの品質が低下する。干渉のタイプは、周波数と帯域幅によって分類でき、例えば、帯域外干渉は、動作周波数帯域外の他の信号を指し、帯域内チャネル外干渉は、動作周波数帯域内で異なるサブチャネル上で送信される他の信号を指す。チャネル内広帯域干渉は、サブチャネル全体を覆う広帯域ノイズに似ており、チャネル内狭帯域干渉は、同じサブチャネルで送信される、より狭い帯域幅を持つ他の信号を指す。Wi-Fi Halowデバイスのチャネル内狭帯域干渉の例としては、LoRa、狭帯域シグナリングラジオ、477MHzウォーキートーキーなどの他の無線送信機からのスプリアスなどがある。大きな干渉信号により、無線通信デバイスの増幅器段がオーバードライブされる可能性がある。オーバードライブされた信号がクリップすると、干渉源と希望信号の両方が歪む。信号スペクトル内の狭帯域干渉の電力レべルと位置に応じて、狭帯域干渉が存在する場合、干渉の周囲のサブキャリアでは信号対干渉プラスノイズ比(SINR)が減少し、無線ネットワークの性能が低下する。
【0005】
エラー訂正により多くの冗長コードが使用されたり、ノイズの影響を受けにくい変調タイプを使用したりする変調コード方式(MCS)では、狭帯域干渉による性能への影響は少なくなるが、符号化冗長性が低い変調コード方式やノイズの影響を受けやすい変調タイプを使用する変調コード方式では、狭帯域干渉による性能の低下は非常に深刻である。狭帯域干渉がパイロットサブキャリアに及ぶ場合、APとSTAの間の同期が不正確になり、トラッキングが低下し、重大な劣化が生じる。チャネル内狭帯域干渉の影響を管理し、軽減することが重要であり、本開示では、チャネル内狭帯域干渉は狭帯域干渉として簡略化されている。無線通信デバイスは、受信したデータがパケットを正常に受信したものと見なすのに十分な品質であるかどうかを判断する必要がある。従来、APからの干渉を集中管理するための技術が使用されてきたが、受信信号のデコード段階での干渉のリアルタイム管理は困難であることが判明した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の概要は、本明細書に開示される1つ以上の態様に関する技術的特徴を示すものであり、企図されるすべての態様に関する広範な概観として考慮されるべきではなく、また、企図されるすべての態様に関する主要または不可欠な要素を特定するため、あるいは何らかの特定の態様に関連する範囲を描写するためのものとみなされるべきでもない。従って、以下の概要は、以下で提示される詳細な説明に先行して、本明細書で開示されるアルゴリズムに関する1つ以上の態様に関連する特定の概念を簡略化した形式で提示するという唯一の目的を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
狭帯域干渉を検出し、軽減するために無線通信を実行するシステム及び方法が開示される。少なくとも1つの例示的な例によれば、無線信号の受信中の狭帯域干渉検出及び軽減方法が提供される。前記方法は、無線通信デバイスによって無線通信媒体の動作周波数帯域で無線信号を受信することと、無線信号の周波数領域表現を観察し、周波数領域表現の電力関連値を測定することと、電力関連値の最大電力値と最大電力値に関連するサブキャリアを識別することと、最大電力値とスケール係数に基づいて閾値電力値を計算することと、電力関連値が閾値電力値未満であるサブキャリアの数をカウントすることとを含む。前記方法は、カウントされたサブキャリア数に基づいて狭帯域干渉が存在するかどうかを判定することと、動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在することに応答して、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアを決定し、決定された狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアに基づいて無線信号を修正することとをさらに含む。
【0008】
本方法の一態様では、狭帯域干渉検出のための周波数領域表現の電力関連値の観察及び測定は、無線通信媒体の動作周波数帯域内にデータが存在しないアイドル期間中にのみ実行される。アイドル期間の一実施形態は、分散調整機能フレーム間隔(Distributed Coordination Function Inter-Frame Space、DIFS)期間である。他の実施形態では、狭帯域干渉検出のための周波数領域表現の電力関連値の観察及び測定は、データパケットの検出中に実行され、例えば、データパケットのロングトレーニングフィールド(LTF)が狭帯域干渉検出のために使用される。
【0009】
一実施形態によれば、前記方法は、高速フーリエ変換(FFT)を使用して無線信号を周波数領域表現に変換することをさらに含む。本実施形態では、電力関連値はFFT出力の振幅に対応する。狭帯域干渉検出方法の一態様では、狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアは、最大電力値に関連するサブキャリア及び1つ以上の隣接サブキャリアを含む。狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアは、様々な実施形態において、時間領域処理、周波数領域処理、または時間領域処理と周波数領域処理の両方においては、消去されるものとして宣言される。狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの数は、いくつかの実施形態では予め定義され、または他の実施形態では適応的に決定される。一実施形態では、狭帯域干渉が存在するかどうかを判定するステップは、カウントされたサブキャリア数を閾値カウント値と比較することと、カウントされたサブキャリア数が閾値カウントよりも大きい場合に狭帯域干渉が存在すると判定することとを含む。他の実施形態では、狭帯域干渉が存在するかどうかを判定するステップは、サブキャリアの総数に対するカウントされたサブキャリア数の割合を決定することと、前記割合が所定の割合より高い場合に狭帯域干渉が存在すると判定することとを含む。
【0010】
干渉軽減の一態様では、無線信号を修正するステップは、周波数領域で狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの電力関連値を修正することを含む。一実施形態では、狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアのサブキャリアインデックスは、周波数復調プロセッサに伝達される。いくつかの実施形態では、狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアの電力関連値は、ゼロにされる、ヌルアウトされる、または抑制される。
【0011】
干渉軽減の別の態様では、無線信号を修正するステップは、時間領域で無線信号を処理して狭帯域干渉の影響を受けると判定されたサブキャリアに関連する1つ以上の周波数を抑制することを含む。いくつかの実施形態では、時間領域で無線信号を処理することは、1つ以上のノッチフィルタを使用して無線信号をフィルタリングすることを含む。各ノッチフィルタのゼロは、狭帯域干渉の影響を受けると判定された1つ以上のサブキャリアに対応する周波数に設定される。一実施形態によれば、ノッチフィルタはカスケード型一次無限インパルス応答(IIR)ノッチフィルタである。
【0012】
干渉軽減の別の態様では、無線信号を修正するステップは、時間領域で無線信号を処理して狭帯域干渉を抑制し、次に周波数領域で無線信号を処理して狭帯域干渉をさらに軽減することを含む。
【0013】
狭帯域干渉検出及び軽減方法の一態様では、前記方法は、無線通信デバイスによって無線通信媒体の動作周波数帯域で無線信号を受信することと、無線信号の周波数領域表現を観察して、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアを検出することと、動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在する場合、1つ以上の狭帯域干渉位置を生成し、1つ以上のサブキャリアインデックスを識別することとを含む。前記方法は、時間領域で無線信号を処理して1つ以上の狭帯域干渉位置に関連する1つ以上の周波数を抑制することと、周波数領域で1つ以上のサブキャリアインデックスに従って、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアに関連する電力関連値を修正することとをさらに含む。一実施形態では、周波数領域表現を観察するステップは、周波数領域表現の電力関連値を測定することと、最大電力値と最大電力値に関連するサブキャリアを識別することと、最大電力値とスケール係数に基づいて閾値電力値を計算することと、電力関連値が閾値電力値未満であるサブキャリアの数をカウントすることと、カウントされたサブキャリア数に基づいて狭帯域干渉の存在を判定することとを含む。いくつかの実施形態では、周波数領域表現を観察するステップは、動作周波数帯域内にデータパケットが存在しないアイドル期間中にのみ狭帯域干渉を検出することを含む。
【0014】
本発明の一態様では、狭帯域干渉検出及び軽減機能を有する無線通信デバイスが提供される。前記無線通信デバイスは、干渉検出モジュールと、時間領域処理モジュールと、周波数領域処理モジュールとを含む。干渉検出モジュールは、無線通信デバイスによって受信された無線信号の周波数領域表現を観察して、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアを検出し、動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在する場合、1つ以上の狭帯域干渉位置を生成し、1つ以上のサブキャリアインデックスを識別する。時間領域処理モジュールは、干渉検出モジュールに結合されて狭帯域干渉位置を受信し、時間領域で無線信号を処理して狭帯域干渉位置に関連する1つ以上の周波数を抑制する。周波数領域処理モジュールは、干渉検出モジュールに結合されてサブキャリアインデックスを受信し、時間領域処理モジュールにも結合されて処理された無線信号を受信する。次に、周波数領域処理モジュールは、周波数領域内のサブキャリアインデックスに従って、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアに関連する電力関連値を修正する。一実施形態では、時間領域処理モジュールは、1つ以上のノッチフィルタを含み、ノッチフィルタのゼロは、1つ以上の狭帯域干渉位置に従って設定される。
【0015】
本明細書に開示される態様に関連する他の目的及び利点は、添付の図面及び詳細な説明に基づいて当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本出願の例示的な態様は、以下の図面を参照して詳細に説明される。
【0017】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、1つ以上のWi-Fi(IEEE 802.11)規格に従って動作するステーション(STA)またはアクセスポイント(AP)を実装することができる無線通信デバイスのハイレベル・ブロック図である。
【0018】
図1B】いくつかの実施形態による、ネットワークを介してWi-Fiパケットを受信するための、図1Aの無線通信デバイスの受信機データフローアーキテクチャの概略ブロック図である。
【0019】
図2A】2MHz帯域幅の動作周波数帯域で観察される狭帯域干渉の一例を示す電力スペクトル密度(PSD)プロットである。
【0020】
図2B】サブキャリアインデックスが39のサブキャリアに影響を及ぼす狭帯域干渉の観察例を示す。
【0021】
図3】本発明の一実施形態による狭帯域干渉検出及び軽減システムのブロック図である。
【0022】
図4】本発明の一実施形態による狭帯域干渉検出への周波数領域アプローチのフロー図を示す。
【0023】
図5】4MHz MCS0設定の固定パイロットケースにおける狭帯域干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態によって得られる性能改善をPER%で示すグラフである。
【0024】
図6】4MHz MCS0設定のトラベリングパイロットケースにおける狭帯域干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態によって得られる性能改善をPER%で示すグラフである。
【0025】
図7A】例示的なノッチフィルタのポールゼロプロットを示す。
【0026】
図7B】本発明の一実施形態による、狭帯域干渉の影響を低減するために使用できる例示的なノッチフィルタの周波数特性を示す。
【0027】
図8】本発明の一実施形態による、LoRa信号のPSDと、LoRa干渉を軽減するために使用される適応ノッチフィルタの出力を示す。
【0028】
図9】SIRが0dBのLoRa信号によって干渉される802.11ahパケットのPSDと、適応ノッチフィルタの一実施形態が狭帯域干渉を効果的に抑制することを示す。
【0029】
図10】干渉信号が存在しない場合の推定狭帯域干渉周波数を示す。
【0030】
図11A】本発明の一実施形態による、狭帯域干渉を低減するための適応ノッチフィルタを備えた受信機チェーンを示すブロック図である。
【0031】
図11B】LoRa信号によって干渉される802.11ah信号の場合の、干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態を実装した場合と実装しない場合のサブキャリアにわたるEVMを示す。
【0032】
図11C】LoRa干渉の存在下で干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態を実装しない場合と実施した場合の、MCS0によって符号化された802.11ah信号を受信する場合のPER性能の比較を示す。
【0033】
図12】狭帯域干渉によって干渉される無線信号の受信性能を向上させるための狭帯域干渉検出及び軽減方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の特定の態様及び実施形態は、以下に記載される。当業者には明らかなように、これらの実施形態のいくつかは独立して適用することができ、またそれらのいくつかは組み合わせて適用することができる。以下の記載では、説明の目的で、本出願の態様を完全に理解できるように、具体的な詳細が述べられる。しかしながら、さまざまな実施形態は、これら特定の詳細なしに実現されうることが明らかである。図面及び説明は、本発明を限定することを意図したものではない。
【0035】
以下の説明は、例示的な態様のみを提供するものであり、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、例示的な態様の以下の説明は、例示的な態様を実装するための有効な説明を当業者に提供することになる。特許請求の範囲に記載される本発明の精神や範囲から逸脱することなく、要素の機能や配置に変更を行うことができることを理解されたい。
【0036】
図1Aは、いくつかの実施形態による、STAまたはAPを実装するために使用できる無線通信デバイス100のハイレベル・ブロック図である。無線通信デバイス100は、1つ以上のIEEE 802.11規格に準拠する媒体アクセス制御(MAC)層及び物理(PHY)層を含む。いくつかの例では、無線通信デバイスは、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、拡張現実デバイス(例えば、仮想現実(VR)デバイス、拡張現実(AR)デバイス、または複合現実(MR)デバイス)、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ビデオサーバ、車両(または車両上の通信デバイス)、モノのインターネット(IoT)デバイス、またはその他のデバイスを含む。
【0037】
無線通信デバイス100は、無線周波数(RF)送信機モジュール102、RF受信機モジュール104、アンテナユニット106、1つ以上のメモリバンク108、入出力インターフェース110、及びシステムバス112を含む。図示されるように、無線通信デバイス100は、MACプロセッサ114、PHYプロセッサ116、及びHOSTプロセッサ118をさらに含む。これらのプロセッサは、汎用処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、または縮小命令セットコンピュータ V(RISC-V)ベースのICなどを含む、任意のタイプの集積回路(IC)にすることができる。
【0038】
メモリバンク108は、MAC層の少なくとも一部の機能を実装するために使用できるソフトウェア(及び/またはコンピュータ可読命令)を含む、ソフトウェア及び/またはコンピュータ可読命令を記憶する。メモリバンク108は、異なる性能特性を有する複数の異なるタイプのメモリを含むことができる。無線通信デバイス100に含まれる各プロセッサ(例えば、MACプロセッサ114、PHYプロセッサ116、またはHOSTプロセッサ118)は、それぞれのソフトウェアを実行して、それぞれの通信/アプリケーション層の機能を実装する。各プロセッサは、汎用プロセッサと、プロセッサを制御するように構成されたハードウェアまたはソフトウェアサービス、またはソフトウェア命令がプロセッサ設計に組み込まれている専用プロセッサを含むことができる。
【0039】
PHYプロセッサ116は、送信信号処理ユニットと受信信号処理ユニット(図示せず)を含み、無線媒体(WM)とのインターフェースを管理するために使用される。PHYプロセッサ116は、RF送信機102、RF受信機104、アナログデジタル変換器(ADCs)、及びデジタルフィルタを含む無線モジュールとデジタルサンプルを交換することにより、物理層プロトコルデータユニット(PPDUs)上で動作する。MACプロセッサ114は、MACレベルの命令を実行し、PHYプロセッサ116を介して、STAアプリケーションソフトウェアとWMとの間のインターフェースを管理する。MACプロセッサ114は、範囲内のAPとSTAが効果的に通信できるように、WMへのアクセスを調整する役割を担う。MACプロセッサ114は、STAの上位レベルによって提供されるデータのユニットにヘッダバイト及びテールバイトを追加し、送信のためにそれらをPHY層に送る。PHY層からデータを受信する場合は、その逆のことが起こる。フレームが誤って受信された場合、MACプロセッサ114は、フレームの再送信を管理する。HOSTプロセッサ118は、MAC層とインターフェースし、無線通信デバイス100のより高いレベルの機能を実行する役割を担う。
【0040】
PHYプロセッサ116、MACプロセッサ114、HOSTプロセッサ118、周辺バス120、メモリ108、及び入出力インターフェース110は、システムバス112を介して相互に通信する。周辺バス120は、タイマー、割り込み、無線/フィルタ/システムレジスタ、カウンタ、汎用非同期送受信器(UART)、汎用入出力(GPIO)インターフェースなどを含む、無線通信デバイス100のコア機能をサポートする複数の周辺機器に接続する。メモリバンク108は、オペレーティングシステム及びアプリケーションをさらに記憶することができる。いくつかの実施形態では、メモリには、キャプチャされたフレームとパケットに関する記録情報が記憶される。入出力インターフェースユニット110は、無線通信デバイス100のユーザとの情報交換を可能にする。アンテナユニット106は、多入力多出力(MIMO)技術を実装するために使用できる単一のアンテナ及び/または複数のアンテナを含む。
【0041】
図1Bは、ネットワークを介してWi-Fiパケットを受信するために使用できる受信機データフローアーキテクチャ150の概略ブロック図を示す。例示的な一実施形態では、図1Bに示される受信機データフローアーキテクチャ150は、図1Aに示される無線通信デバイス100に対応する、または関連する。いくつかの実施形態では、無線信号は、WMを介して受信され、受信アンテナ152を介して電気信号に変換される。受信アンテナ152は、図1Aのアンテナ106と同一または類似していてもよい。受信信号は、アナログデジタル変換器(ADC)156を使用して等価なデジタル信号に変換される前に、一連のアナログフィルタ154(例えば、アナログRF受信(Rx)フィルタとして示されている)を使用して調整される。ADC156のサンプリングされた信号出力は、サンプルが非同期受信先入れ先出し(FIFO)データ構造160で収集される前に、1つ以上のデジタルRFフィルタ及び/またはファロー(farrow)を含むことができるデジタルフィルタバンク158を使用して再び調整される。
【0042】
非同期受信FIFO構造160内のサンプルは、複数のモジュールによってアクセス可能である。例えば、FIFO160は、パケット検出モジュール及びサブ帯域モジュールによってアクセスすることができ、それらの両方は、図1Bに示される下位レベルのPHY部162に含まれ得る。いくつかの実施形態では、下位レベルのPHY部162自体は、図1Aに示されるPHYプロセッサ116に含まれる。
【0043】
下位レベルのPHY部162に含まれるパケット検出モジュールは、時間領域でPHYプロトコルデータユニット(PPDU)の初期セクションを分析するために使用できるハードウェア及び/または実装アルゴリズムを含むことができる。分析に基づいて、パケット検出モジュールを使用して、受信した802.11フレームを認識し、STAの周波数とタイミングを受信中のパケットと同期させることができる。下位レベルのPHY部162に含まれるサブ帯域モジュールは、割り当てられた周波数帯域内のどのサブチャネルが受信中のパケットのためにAPによって使用されているかを検出するために使用できるハードウェア及び/または実装アルゴリズムを含む。
【0044】
パケットが検出され、関連するサブチャネルが確立されると、サンプルは上位レベルのPHY部164に転送することができる。上位レベルのPHY部164は、下位レベルのPHY部162とともに、図1Aに示されるPHYプロセッサ116に含まれることができる。いくつかの実施形態では、上位レベルのPHY部164は、コプロセッサモジュールのサポートにより直交周波数分割多重(OFDM)シンボルを処理及び復号し、完全なPPDUを再構成するために使用できる。再構成されたPPDUは、上位レベルのPHY部164によって出力され、その後MAC層プロセッサ166によって処理される。MAC層プロセッサ166は、PPDUからデータペイロードを抽出し、消費するために関連情報をHOST層168に提供することに使用できる。いくつかの実施形態では、図1Bに示されるMAC層プロセッサ166は、図1Aに示されるMACプロセッサ114と同一または類似していてもよい。場合によっては、図1Bに示されるHOST層168は、図1Aに示されるHOSTプロセッサ118を含むことができ、またはそれと同一または類似していてもよい。
【0045】
Wi-Fi Halowデバイスが使用する信号スペクトルは、31.25kHz間隔の複数のサブキャリアに分割されることができ、各サブキャリアはシンボル情報を搬送する。802.11ah規格のシンボル期間は802.11ac規格の約10倍であるため、802.11ahシンボルは干渉信号の影響を受けやすくなる。周波数スペクトルが、LoRa、SigFox、アラーム及び監視システムを含む、ガウス最小シフトキーイング(GMSK)変調を使用する多数の非WLAN無線プロトコルによって共有されるため、狭帯域干渉、またはいわゆる帯域内非WLAN干渉は、802.11ahネットワークにおける主要な問題である。狭帯域干渉が存在すると、802.11ahの性能が大幅に低下する可能性がある。この性能は、信号対雑音比(SNR)の代わりに、信号対干渉比(SIR)とも呼ばれる信号電力対干渉電力の関数として特徴付けられる。
【0046】
本発明の実施形態は、Wi-Fiデバイスの物理処理レベル内で動作する狭帯域干渉の影響を管理及び低減する方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記方法は、狭帯域干渉検出ステップと軽減ステップを含む。狭帯域干渉検出は、周波数領域で動作し、受信した無線信号の周波数領域表現を調査することによって、狭帯域干渉が存在するかどうかを判定する。例えば、周波数領域表現は高速フーリエ変換(FFT)出力である。狭帯域干渉軽減ステップは、時間領域、周波数領域、または時間領域と周波数領域の両方で実行できる。軽減ステップには、狭帯域干渉の位置周辺のサブキャリアを変更または修正する、または場合によっては無効にすることが含まれる。本特許明細書における「狭帯域干渉位置」という用語は、周波数スペクトル全体にわたる周波数値または周波数範囲の表現として定義され、例えば、狭帯域干渉位置はサブキャリアインデックスによって示される。
【0047】
本方法の実施形態では、受信機チェーン、FFTモジュール、及びPHYプロセッサを使用して狭帯域干渉を管理及び低減し、前記方法は定期的に実行することができ、例えば、前記方法は、各パケットまたはアイドル期間において狭帯域干渉を検出及び軽減する。本発明のいくつかの実施形態では、干渉検出ステップはパケット間のアイドル時間に実行され、この期間中に干渉と重複するデータパケットがないため、精度が向上する。他のいくつかの実施形態では、干渉検出ステップは、データパケットの検出中、またはデータパケットが無線通信媒体上に存在するときに、例えば、パケットのロングトレーニングフィールド(LTF)シンボルを使用して実行される。ただし、この場合、信号電力が干渉に比べて高いとき、例えば、SIRが5dBより大きいとき、検出精度が低下する可能性がある。アイドル時間干渉検出の一実施形態では、狭帯域干渉は分散調整機能フレーム間隔(DIFS)期間で検出される。検出出力は、狭帯域干渉が存在するかどうか、及び周波数スペクトルにおける狭帯域干渉の位置である。例えば、検出出力は、干渉と重複するサブキャリアに対応する1つ以上のサブキャリアインデックスを含む。干渉検出出力は、等化フェーズ中に干渉を処理するためにコプロセッサに渡される。例えば、コプロセッサは、狭帯域干渉と重複するサブキャリアを含む所定数のサブキャリアのエネルギーを抑圧する周波数復調プロセッサである。
【0048】
図2A及び図2Bは、サブキャリアインデックスが39のサブキャリアの周囲に存在する狭帯域干渉によって平均化された受信信号の電力スペクトル密度(PSD)の例を示す。SIRが増加し始めると、性能が低下する。SIRが8-10dBを超えると、干渉はほとんど信号に埋もれ、強いパケットの存在下で検出が困難になる。10-30dBのSIRでは、干渉は性能の低下を引き起こすほど十分に高くなる。信号が存在する場合の狭帯域干渉検出に関するもう1つの問題は、チャネルの周波数選択性が高い場合、スペクトルの大部分が平均信号レベルを下回ることである。このような状況では、干渉検出アルゴリズムがあまり堅牢ではない可能性がある。所望の信号の存在下または周波数選択チャネルにおける狭帯域干渉検出の問題に対処するために、干渉検出アルゴリズムのいくつかの実施形態では、チャネル上の干渉シグネチャが明確になるように、アイドル期間または沈黙期間においてのみ検出を実行する。測定プロセス中にステーションがWLAN信号を送信しないことを保証するために、干渉検出アルゴリズムの実施形態は、DISF期間中に干渉検出を実行する。理想的には、DISF期間中には、すべてのステーションがデータの送信を停止する。いくつかのWi-Fi規格には、スケジュールされたアイドルタイムスロットがあり、例えば、確認応答(ACK)パケットが受信された後にアイドル期間が割り当てられる。アイドル期間または沈黙期間に干渉を測定するこの方式は、所望の信号強度またはチャネルの性質に影響されない。
【0049】
図3は、本発明の一実施形態による、STAに実装された狭帯域干渉検出及び軽減システムを示すブロック図である。STAの一例は、図1Aに示す無線通信デバイスである。システムは、時間領域処理部300と周波数領域処理部320の2つの部分に分類することができる。FFT302は、時間領域ベースバンドサンプルを受信し、周波数領域表現に変換する。アイドル時間干渉検出の一実施形態では、FFT302の入力は、アイドル期間間隔に対応する時間領域ベースバンドサンプルである。干渉検出モジュール322は、周波数領域表現を観察することによって、動作周波数帯域に狭帯域干渉が存在するかどうかを決定する。干渉検出モジュール332の実施形態は、検出された干渉位置に関する情報を出力する。例えば、干渉検出モジュール322の一実施形態は、検出された狭帯域干渉の1つ以上の位置と、狭帯域干渉の影響を受ける1つ以上のサブキャリアを示す1つ以上のサブキャリアインデックスとを出力する。無線通信デバイスは、これらのサブキャリアを消去されるものとして宣言するように設定する。その後、本実施形態では、検出された狭帯域干渉は、時間領域アプローチと周波数領域アプローチの両方によって軽減される。時間領域アプローチでは、無線通信デバイスは、1つ以上のノッチフィルタを使用して、狭帯域干渉を適応的に追跡し、除去する。図3に示す実施形態では、2つのノッチフィルタ304と306は、時間領域干渉軽減を実行するためにカスケード接続されているが、1つのノッチフィルタ、または3つ以上のノッチフィルタを使用して、干渉検出モジュール322によって検出された狭帯域干渉を低減することができる。ノッチフィルタ304と306は、時間領域サンプルを受信し、干渉検出モジュール322から導出された干渉位置に従ってノッチフィルタ304のゼロを設定し、干渉検出モジュール322から導出された別の干渉位置に従って別のノッチフィルタ306のゼロを設定することによって、狭帯域干渉を軽減する。最後のノッチフィルタ、例えば、本実施形態のノッチフィルタ306の出力は、周波数復調プロセッサ324に供給される。本実施形態では、周波数復調プロセッサ324は、干渉検出モジュール322から出力されたサブキャリアインデックスに従って周波数領域干渉軽減を実行する。例えば、周波数復調プロセッサ324は、消去されるものとして宣言されたサブキャリアを無効にするまたは抑制する。本実施形態における周波数復調プロセッサ324は、OFDM復調器とデコーダを含む。周波数復調プロセッサ324は、所望の信号を復号して、復号ビットを出力する。
【0050】
狭帯域干渉検出アルゴリズムのいくつかの実施形態では、チャネル推定フェーズ中にFFT出力の振幅が観察される。まず、FFT出力の最大振幅(absFFT)と、この最大FFT振幅値が発生する対応するサブキャリアインデックス(max_psd_index)とを特定する。次に、各サブキャリアのFFT出力の振幅を閾値電力値と比較する。閾値電力値の一例は、スケール係数(SF)に最大FFT振幅値を乗算することによって導出される。例えば、SFは0.5~0.8である。一実施形態では、この閾値電力値を下回るサブキャリアのカウント数が閾値カウント値よりも大きい場合、狭帯域干渉が検出されたと見なされる。他の実施形態では、この閾値電力値を下回るサブキャリアの割合が所定の割合よりも高い場合、狭帯域干渉が検出されたと見なされる。例えば、所定の割合は50%~85%である。この情報は、ポストFFT領域処理で狭帯域干渉の周囲の1つ以上のサブキャリアを修正する、場合によってはゼロにするために使用できる。サブキャリアの抑制または無効は、例えば、これらのサブキャリアのソフト出力の消去を宣言し、これらのサブキャリアに対応する対数尤度比の低信頼度を考慮してデコーダに適切な動作を実行させることに似ている。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態による狭帯域干渉検出の周波数領域アプローチを示すフローチャートである。複素数の大きさを計算するために、本実施形態では次の近似式が使用される。
【0052】
図4において、振幅近似402は、各サブキャリアに対応するFFT出力の絶対振幅を推定し、MAX関数404は、絶対振幅を比較して、最大FFT振幅値(max_abs_fft_out_ltf)及び対応するサブキャリアインデックス(max_psd_index)を決定する。決定ステップ406では、各絶対振幅をスケール係数及び最大FFT振幅値から導出された閾値と比較する。カウンタ408は、絶対振幅が閾値未満のサブキャリアの数をカウントし、決定ステップ410において、最終カウントを電力スペクトル密度(PSD)カウント閾値と比較して、狭帯域干渉が存在するかどうかを判定する。最終カウントがPSDカウント閾値より大きい場合、狭帯域干渉が正常に検出される。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、狭帯域干渉位置が決定されると、周波数領域で影響を受けるサブキャリアを修正して、検出された狭帯域干渉による影響を軽減することができる。一部のサブキャリアの狭帯域干渉の存在は、ソフトビタビ復号モジュールに通知されるため、ソフトビタビ復号モジュールは、復号中に狭帯域干渉を考慮する。いくつかの実施形態では、狭帯域干渉軽減アルゴリズムは、周波数領域で狭帯域干渉の位置周辺のサブキャリアを無効にすること(消去を作成することとも呼ばれる)を含む。狭帯域干渉の影響を受け、狭帯域干渉検出及び軽減アルゴリズム(NSub)によって修正されるサブキャリアの数は、変更することができる。例えば、一実施形態によれば、5つのサブキャリアは干渉軽減アルゴリズムで修正されるが、125kHzを超える帯域幅を有する干渉源の影響がある場合には、干渉を完全には軽減できない可能性がある。この例では、5つのサブキャリアには、狭帯域干渉と重複する最大振幅値のサブキャリアと、隣接する4つのサブキャリアが含まれる。
【0054】
周波数領域干渉検出及び軽減アルゴリズムを適用したいくつかのシミュレーション結果を以下に示す。これらのシミュレーションでは、帯域幅125kHz、デューティサイクル100%の単一のLoRa帯域内干渉源が動作周波数帯域に存在する。干渉モデルは、LoRaWAN伝送プロトコルとは異なる。さらに、一部のサブ1GHz干渉源の帯域幅は125kHzを超える。単一の干渉源セットアップは初期実験にのみ使用され、干渉セットアップの複雑さは実際の環境に合わせて徐々に増加する。例えば、サブ1GHz帯域で動作する2つの干渉源または複数の警報システムが実験セットアップに追加される。
【0055】
LoRaの影響を受けるWi-Fi Halow信号(802.11ah信号)のパケット誤り率(PER)性能は、LoRa干渉源がパイロットサブキャリアまたはデータサブキャリアと重複するかどうかに依存する。LoRaがパイロットサブキャリアと重複することによる影響は、LoRaがデータサブキャリアのみと重複することによる影響よりも深刻である。干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態を実装することにより、両方の場合において、変調符号方式(MCS)0で符号化された2または4MHzチャネル上で送信されるWi-Fi Halow信号のPER性能を改善することができる。干渉検出及び軽減アルゴリズムによって達成される性能改善は、LoRaが全データサブキャリアと重複する場合に達成される性能改善と比べて、LoRaがパイロットサブキャリアと重複する場合の方が高い。MCS0を使用して2MHz帯域幅上で802.11ah信号を送信する場合、LoRaがパイロットサブキャリアと重複するとき、干渉検出及び軽減アルゴリズムによって約6dBのPER性能改善が達成できる。MCS0を使用して4MHz帯域幅上で802.11ah信号を送信する場合、LoRaがパイロットサブキャリアと重複するとき、PER性能改善はほぼ10dBになる。ただし、LoRaがデータサブキャリアのみと重複する場合、PER性能改善は2dB未満である。
【0056】
図5は、固定パイロットが使用され、LoRaがパイロットサブキャリアと重複する場合の、干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態を実装するPER性能比較のシミュレーション結果を示す。LoRaがパイロットサブキャリアに干渉することによる性能低下は、固定パイロットが使用される場合により大きくなる。周波数領域干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態では、LoRaによって干渉される6つのサブキャリアを無効にする。図5は、4MHz MCS0設定で802.11ah信号を送信する場合の、周波数領域干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態によって達成されるPER性能改善を示し、ここで、太線は、干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態を実装するシステムの結果を表し、細線は、干渉検出及び軽減アルゴリズムを実装しない従来のシステムの結果を表す。図5に示すように、4MHz MCS0設定の固定パイロットでは、7dB近くのPER性能改善が達成される。
【0057】
デフォルトでは、802.11ah通信システムは、802.11ah規格のセクション23.3.9.10に規定されているように、パイロットサブキャリアインデックスが時間とともに変化するトラベリングパイロットモードで動作する。LoRa干渉による性能影響は、パイロットサブキャリアにLoRaが重複する固定パイロットの場合よりも低いと予想される。トラベリングパイロットの場合、4MHz MCS0設定の干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態によって得られる性能改善は、図6に示される。図6の太線は、干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態を実装するシステムの結果を表し、細線は、干渉検出及び軽減アルゴリズムを実装しない従来のシステムの結果を表す。トラベリングパイロットでは、4MHz MCS0設定で6dB近くの性能改善が達成される。干渉検出及び軽減アルゴリズムを適用した後のPER性能は、固定パイロットとトラベリングパイロットで同様になるべきである。
【0058】
提案された狭帯域干渉検出及び軽減システム及び対応するアルゴリズムの目的は、狭帯域干渉の存在下で観察されるレート低下を軽減することである。干渉検出及び軽減アルゴリズムのいくつかの実施形態では、パケットが検出された後にのみ、干渉と重複するサブキャリアのチャネル推定値を検出し、無効にする。干渉検出及び軽減アルゴリズムによって達成される性能改善は、パケット検出の性能によって制限されることが予想される。性能改善がパケット検出の性能によって制限されるかどうかを確認するために、いくつかのシミュレーションが実行される。2MHzまたは4MHzチャネルで送信する場合のLoRa干渉が存在する場合のパケット検出の失敗率を、PERが最も低いMCS0設定のPER曲線と比較する。データサブキャリアのみと重複するLoRa干渉のPER曲線は、干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態によって達成される性能改善の推定値として使用される。2MHzと4MHzの両方の場合で、SIRが5dB未満に低下すると、パケット検出が失敗し始める。現在、パケット検出失敗曲線と、干渉検出及び軽減アルゴリズムの実施形態を使用して得られるPER結果との間には、約5~6dBの性能ギャップがある。
【0059】
いくつかの実施形態では、Wi-Fi信号は、指定されたサブキャリアの関連性が干渉軽減の時間領域アプローチによって低減されるように修正される。狭帯域干渉軽減のための時間領域アプローチの実施形態は、1つ以上のノッチフィルタを使用して、狭帯域干渉の影響を受ける周波数に関連する出力電力を低減する。例えば、ポールゼロ構成を備えた1次無限インパルス応答(IIR)ノッチフィルタの伝達関数は次のようになる。
一実施形態では、ノッチフィルタは、狭帯域干渉検出アルゴリズムによって検出された干渉位置に対応するゼロを有する適応ノッチフィルタである。例えば、1次IIRノッチフィルタのゼロは、狭帯域干渉検出アルゴリズムから出力されるサブキャリアインデックス(max_psd_index)で示される電力関連値の最大値に関連するサブキャリア周波数に対応する。
【0060】
図7A及び図7Bは、一実施形態による干渉軽減に使用されるノッチフィルタの周波数特性を示す。ゼロは、角周波数
の単位円上にあり、ゼロの値は次のとおりである。
ポールは同じ角周波数にあるが、ノッチフィルタの安定性を確保するために単位円の内側にある。ポールの値は次の式で導出され、ここで、rは収縮率である。
通常、rは1単位に近くなるように選択され、rの値は、ノッチフィルタの帯域幅も決定する。入力x[n]と出力y[n]に関連する微分方程式は次のようになる。
【0061】
干渉を除去するには、干渉周波数を推定してノッチフィルタを所望の位置に配置する必要がある。ゼロに対応するノッチフィルタ周波数がトーンの周波数と一致する場合、ノッチフィルタの出力電力は最小になる。この目的を使用して、干渉周波数に対応する周波数に収束するようにノッチフィルタのゼロを適応的に追跡することができる。コスト関数Jは、ノッチフィルタの出力電力|y[n]|を最小化する。角周波数
の最小二乗平均(LMS)更新は、次の式になる。
ここで、
は角周波数
に関する複素勾配演算子を表す。
角周波数
のLMS更新は次の式になる。
を表すことにより、上記の方程式を次のように書き換えることができる。
【0062】
時間領域干渉軽減のためのノッチフィルタを実装するシミュレーションでは、LoRa干渉が唯一の狭帯域干渉と見なされ、802.11ah信号が存在しないと仮定される。LoRaは基本的に、線形周波数変調されたチャープパルスを使用して情報を符号化するチャープスペクトラム拡散変調技術を採用している。このような信号の場合、瞬間周波数は時間とともに直線的に変化する。上記のLMS更新アルゴリズムを採用した適応ノッチフィルタは、電力がLoRa信号の電力より20dB低いノイズを含むLoRa信号の周波数を正確に追跡することができる。LoRa信号の帯域幅は125kHzで、DCからのオフセットは0.25MHzである。適応ノッチフィルタは、たった約100サンプルで定常状態になり、干渉信号にロックする。時間領域干渉軽減のためのノッチフィルタを実装する別のシミュレーションでは、所望の802.11ah信号とLoRa干渉の両方が考慮される。
【0063】
図8は、LoRa干渉が唯一の狭帯域干渉である場合の、動作周波数帯域にわたるLoRa信号のPSDと適応ノッチフィルタの出力を示す。図8のプロットから、適応ノッチフィルタは、このシミュレーションにおいてLoRa信号による狭帯域干渉を抑制するのに効果的である。図9は、所望の802.11信号とLoRa干渉の両方が存在する場合の、LoRa信号によって干渉される802.11ahパケットのPSDと適応ノッチフィルタの出力を示す。また、このシミュレーションにおける適応ノッチフィルタは、LoRaからの狭帯域干渉を効果的に抑制している。図10は、干渉がなく、動作周波数帯域に802.11ah信号のみが存在する場合の狭帯域干渉の推定周波数を示す。平均周波数推定値は0Hzに近い。
【0064】
図11Aは、本発明の一実施形態による狭帯域干渉検出及び軽減を実装する受信機チェーンを示すブロック図である。ダウンサンプリングチェーンの出力信号は、時間領域処理モジュール1102によって処理される。適応ノッチフィルタ1104は、狭帯域干渉が位置する周波数に関する情報を周波数領域処理モジュール1106に提供する。この情報は、周波数領域で狭帯域干渉の周囲のサブキャリアを無効にするまたは抑制するために使用できる。適応ノッチフィルタ1104は、トリガ、開始サブキャリアインデックス、及び終了サブキャリアインデックスを周波数領域処理モジュール1106に提供する。本実施形態によれば、周波数領域処理モジュール1106は、開始サブキャリアインデックスと終了サブキャリアインデックスとの間のインデックスを有するサブキャリアに関連付けられたサブキャリアを無効にする。サブキャリアの無効は、影響を受けるサブキャリアのチャネル推定値をゼロにすることによって実行される。これを行うことの利点は2つある。第1に、無効操作は、影響を受けるサブキャリアの重み付けを解除するのに役立ち、これにより、干渉がパイロットサブキャリアに及んだ場合に、顧客宅内機器(CPE)の推定に影響を与えなくなる。第2に、影響を受けるサブキャリアのソフト出力は、信頼度が低いことが判明するため、これらのサブキャリアを消去されるものとして宣言することに相当する。これにより、ビタビデコーダがより正確な決定を下す。周波数領域処理モジュール1106は、復号化されたデータを出力する。
【0065】
図11Bは、LoRa信号によって干渉される802.11ah信号の場合の、干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態を実装した場合と実装しない場合のサブキャリア全体の誤差ベクトル振幅(EVM)を示す。この例では、SIRは0dBで、LoRa干渉はDCからのオフセットが0.25MHzである。この例のLoRa干渉は、サブキャリアインデックスが7のパイロットサブキャリアに影響を与える。
【0066】
図11Cは、LoRa干渉の存在下で干渉検出及び軽減アルゴリズムの一実施形態を実装しない場合と実施した場合の、MCS0で送信される802.11ah信号の性能比較を示し、ここで、SNRは30dBであり、チャネル帯域幅は2MHzである。LoRa信号の帯域幅は125kHzで、オフセットは0.25MHzである。図11Cに示すように、干渉検出及び軽減アルゴリズムを実装することにより、約8dBの改善が達成される。
【0067】
図12は、本発明の実施形態による干渉検出及び軽減方法のステップを示すフローチャートである。ステップS1202において、無線通信デバイスは、動作周波数帯域で無線信号を受信する。例えば、無線通信デバイスは、802.11ah規格に準拠したデータパケットを受信して復号することができる。ステップS1204において、無線通信デバイスは、無線信号の周波数領域表現を観察して、動作周波数帯域内の狭帯域干渉を検出する。一実施形態では、周波数領域表現は、時間領域からの無線信号を周波数領域の表現に変換するFFTからの出力である。ステップS1206において、無線通信デバイスは、ステップS1204の観測結果から、動作周波数帯域内に狭帯域干渉があるかどうかを検出する。本発明のいくつかの実施形態では、無線通信デバイスは、アイドル期間または沈黙期間中にのみ狭帯域干渉を観察及び検出する。アイドル期間中に、無線通信媒体の動作周波数帯域にはデータパケットが存在しない。無線信号の周波数領域表現を観察し、狭帯域干渉を検出する一実施形態は、1つ以上のサブキャリア周波数に関連する電力関連値を測定することと、最大電力関連値を識別すること、最大電力関連値とスケール係数に基づいて閾値電力値を計算することと、閾値電力値未満の電力関連値に関連するサブキャリアの数をカウントすることと、カウントされたサブキャリア数に応じて狭帯域干渉が存在するかどうかを判定することとを含む。無線通信デバイスがステップS1206において狭帯域干渉の存在を検出した場合、無線通信デバイスは、ステップS1208において動作周波数帯域内で狭帯域干渉を特定し、次に様々な実施形態に従って、ステップS1210において、時間領域、周波数領域、または時間領域と周波数領域の両方で無線信号を修正することによって、狭帯域干渉を軽減する。時間領域で狭帯域干渉軽減を実行するいくつかの実施形態では、無線信号は1つ以上のノッチフィルタによって修正される。例えば、無線通信デバイスは、ステップS1208で検出された狭帯域干渉位置に従って各ノッチフィルタタのゼロを設定して、時間領域で狭帯域干渉を低減する。周波数領域で狭帯域干渉軽減を実行するいくつかの実施形態では、無線信号は、指定された1つ以上のサブキャリアの関連性を低減することによって修正される。例えば、無線通信デバイスは、狭帯域干渉を除去するために、周波数領域で指定されたサブキャリアを抑制または無効にする。指定されたサブキャリアは、ステップS1208で導出された狭帯域干渉位置から導出され、狭帯域干渉の影響を受けるサブキャリアに対応する。指定されたサブキャリアのいくつかの実施形態は、最大電力関連値に対応するサブキャリア及びその隣接するサブキャリアを含む所定数のサブキャリアを含み、例えば、指定されたサブキャリアは、電力関連値が最大のサブキャリア及びその隣接する2つのサブキャリアを含む3つのサブキャリアである。他のいくつかの実施形態では、指定されたサブキャリアの数は適応的に決定される。例えば、電力関連値の高いサブキャリアがより多くある場合、より多くのサブキャリアが狭帯域干渉の影響を受けるように指定される。いくつかの実施形態では、無線通信デバイスは、時間領域と周波数領域の両方で無線信号を修正して狭帯域干渉を軽減する。ステップS1212において、無線通信デバイスは無線信号を復号する。
【0068】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を図示し説明したが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図したものではない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲及び均等物の範囲内で詳細に様々な修正を行うことができる。上記の説明は本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。当業者であれば、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態の様々な修正、応用、及び/または組み合わせを行うことが可能である。
【0069】
当業者であれば、上述した本発明は、開示されたものとは異なる構成のハードウェア要素を用いて実施できることを容易に理解する。従って、本発明をこれらの好ましい実施形態に基づいて説明したが、当業者には、本発明の範囲内にある限り、特定の修正、変形、及び代替構成は明らかであることは明白である。
【0070】
本明細書全体を通じて、文脈上明らかに別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という用語、あるいは「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変形は、記載された要素、整数、またはステップ、あるいは要素、整数、またはステップのグループを包含することを意味するが、他の要素、整数、またはステップ、あるいは要素、整数、またはステップのグループを除外することはないと理解される。
【0071】
「デバイス」または「モジュール」という用語は、1つまたは特定の数の物理的オブジェクト(1つのスマートフォン、1つのコントローラ、1つの処理システムなど)に限定されない。本明細書で使用されるように、デバイスは、本開示における本発明の少なくとも一部を実装することができる1つ以上の部品を備えた任意の電子デバイスであってもよい。説明及び例では、本開示の様々な態様を説明するために、「デバイス」または「モジュール」という用語を使用するが、「デバイス」または「モジュール」という用語は、オブジェクトの特定の構成、タイプ、または数に限定されない。さらに、「システム」または「モジュール」という用語は、複数の構成要素または特定の態様に限定されない。例えば、システムは、1つ以上のプリント回路基板または他の基板に実装され、動的または静的な構成要素を有することができる。説明及び例では、本開示における本発明の様々な態様を説明するために、「システム」という用語を使用するが、「システム」という用語は、オブジェクトの特定の構成、タイプ、または数に限定されない。
【0072】
上記の説明では、本明細書で提供される態様及び例の完全な理解を提供するために、特定の詳細が記載されている。しかしながら、これらの態様は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが当業者には理解される。説明を明確にするために、いくつかの場合において、本技術は、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現される方法におけるデバイス、デバイス構成要素、ステップまたはルーチンを含む機能ブロックを含む個々の機能ブロックを含むものとして提示され得る。図示及び/または本明細書に記載されているもの以外の追加の構成要素を使用することもできる。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、及び他の構成要素は、不必要な詳細で態様を不明瞭にすることを回避するために、ブロック図形式の構成要素として示される場合がある。他の例では、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、態様を不明瞭にすることを回避するために、不必要な詳細なしで示される場合がある。
【0073】
個々の態様は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスまたは方法として説明され得る。フローチャートでは、操作が順次プロセスとして記述されている場合があるが、操作の多くは並列または同時に実行することができる。さらに、操作の順序を再設定することもできる。プロセスは操作が完了すると終了するが、図には含まれていない追加のステップが含まれる場合がある。プロセスは、方法、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の復帰に対応することができる。
【0074】
上記の例によるプロセス及び方法は、コンピュータ可読媒体に記憶されている、またはコンピュータ可読媒体から入手可能なコンピュータ実行可能命令を使用して実装することができる。このような命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または処理デバイスに特定の機能または機能グループを実行させる、または別の方法で構成する命令及びデータを含むことができる。使用されるコンピュータリソースの一部は、ネットワーク経由でアクセスできる。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語などの中間フォーマット命令、ファームウェア、ソースコードなどであってもよい。これらの開示によるプロセス及び方法を実装するデバイスは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、様々フォームファクタのいずれかを採用することができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメント(例えば、コンピュータプログラム製品)は、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体に記憶され得る。コンピュータ可読媒体は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データ記憶媒体などのメモリまたはデータ記憶媒体を含むことができる。技術は、追加的に、または代替的に、命令またはデータ構造の形でプログラムコードを搬送または通信し、コンピュータによってアクセス、読み取り、及び/または実行できる、伝播信号または波のようなコンピュータ可読通信媒体によって少なくとも部分的に実現され得る。
【0075】
プログラムコードは、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSPs)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASICs)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGAs)、または他の同等の集積論理回路または離散論理回路のような1つ以上のプロセッサを含み得るプロセッサによって実行され得る。このようなプロセッサは、本開示で説明される技術のいずれかを実行するように構成され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替的には、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のそのような構成として実装されてもよい。従って、本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、前述の構造のいずれか、前述の構造の任意の組み合わせ、または本明細書で説明される技術の実装に適した他の任意の構造または装置を指し得る。
【0076】
本明細書に開示される態様に関連して記載される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、エンジン、回路、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、エンジン、回路、及びステップを、その機能の観点から上記で一般的に説明されている。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定のアプリケーションとシステム全体に課せられる設計上の制約に依存する。当業者は、説明された機能を特定のアプリケーションごとに様々な方法で実装することができるが、そのような実装の決定は、本発明の範囲から逸脱するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12