(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037712
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】処理中の部品加工の向きの変更/インデックス
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20240312BHJP
B23Q 1/64 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B23Q1/64 A
B23Q7/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145011
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】63/374,837
(32)【優先日】2022-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/459,648
(32)【優先日】2023-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514079114
【氏名又は名称】ファナック アメリカ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ポール スクルナ
(72)【発明者】
【氏名】グラント グリーン
(72)【発明者】
【氏名】オレー キジーマ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート スタッフォード
(72)【発明者】
【氏名】ルイス レテンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ケレイブ シュランダラー
【テーマコード(参考)】
3C033
3C048
【Fターム(参考)】
3C033HH02
3C033HH03
3C048BC02
3C048DD13
3C048DD16
(57)【要約】
【課題】機械によって加工されている部品を、第1のアクチュエータに固定された第1の治具から、第2のアクチュエータに固定された第2の治具に移送して、部品の未加工面を機械加工のために露出させるためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、部品を第1の治具に固定することと、第1の治具に結合された部品の面を除く面を機械加工できるように第1のアクチュエータを操作することと、部品が第1の治具に固定されている間に部品を機械加工することとを含む。方法は、第1の治具に固定された部品が第2の治具に位置合わせされるように第1及び第2のアクチュエータを操作し、部品を第2の治具に固定し、部品を第1の治具から解放する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械によって加工されている部品を、第1のアクチュエータに取り付けられている第1の治具から第2のアクチュエータに取り付けられている第2の治具に移送する方法であって、
前記部品を前記第1の治具に固定することと、
前記部品の、前記第1の治具に結合された面を除く前記部品の面を機械加工できるように第1のアクチュエータを操作することと、
前記部品が第1の治具に固定されている間に前記部品を機械加工することと、
前記第1の治具に固定された部品が前記第2の治具に位置合わせされるように前記第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを操作することと、
前記部品を前記第2の治具に固定し、前記部品を前記第1の治具から解放することと、
前記部品が前記第1の治具に結合されていたときに機械加工できなかった前記部品の面を機械加工できるように前記第2のアクチュエータを操作することと、
前記部品が前記第2の治具に固定されている間に、前記部品の、前記第1の治具に結合されていて機械加工できなかった面を機械加工することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはロータリアクチュエータである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータは並んで配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の治具に固定された部品が前記第2の治具に位置合わせされるように前記第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを操作することは、前記第1のアクチュエータを直立位置から時計回り又は反時計回りに90°回転させることと、前記第2のアクチュエータを直立位置から反対の時計回り又は反時計回りに90°回転させることとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記部品が前記第1の治具に結合されていたときに機械加工できなかった前記部品の面を機械加工できるように前記第2のアクチュエータを操作することは、前記第2のアクチュエータを直立位置に回転させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部品を機械加工することは、X-Y-Z方向に移動可能な工具を使用することを含み、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはY方向に回転する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記部品を機械加工することは、X-Y-Z方向に移動可能な工具を使用することを含み、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはZ方向に回転する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の治具及び前記第2の治具は、前記部品を保持するための万力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
機械によって部品を加工する方法であって、前記機械は、第1のロータリアクチュエータ、前記第1のロータリアクチュエータに結合された第1の治具、第2のロータリアクチュエータ、及び前記第2のロータリアクチュエータに結合された第2の治具を備え、前記第1のロータリアクチュエータ及び前記第2のロータリアクチュエータは並んで配置されており、前記方法は、
前記部品を前記第1の治具に固定することと、
前記部品の、前記第1の治具に結合された面を除く前記部品の面を機械加工できるように第1のロータリアクチュエータを操作することと、
前記部品が第1の治具に固定されている間に前記部品を機械加工することと、
前記第1の治具に固定された部品が前記第2の治具に位置合わせされるように前記第1のロータリアクチュエータ及び第2のロータリアクチュエータを操作し、前記第1のロータリアクチュエータを直立位置から時計回り又は反時計回りに90°回転させ、前記第2のロータリアクチュエータを直立位置から反対の時計回り又は反時計回りに90°回転させることと、
前記部品を前記第2の治具に固定し、前記部品を前記第1の治具から解放することと、
前記部品が前記第1の治具に結合されていたときに機械加工できなかった前記部品の面を機械加工できるように前記第2のロータリアクチュエータを操作することと、
前記部品が前記第2の治具に固定されている間に、前記部品の、前記第1の治具に結合されていて機械加工できなかった面を機械加工することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記部品を機械加工することは、X-Y-Z方向に移動可能な工具を使用することを含み、前記第1のロータリアクチュエータ及び前記第2のロータリアクチュエータはY方向に回転する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記部品を機械加工することは、X-Y-Z方向に移動可能な工具を使用することを含み、前記第1のロータリアクチュエータ及び前記第2のロータリアクチュエータはZ方向に回転する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の治具及び前記第2の治具は、前記部品を保持するための万力を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
部品を加工する機械であって、
第1のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータに結合され、前記部品を保持するように操作可能な第1の治具と、
第2のアクチュエータと、
前記第2のアクチュエータに結合され、前記部品を保持するように操作可能な第2の治具と、を備え、
前記部品が前記第1の治具から前記第2の治具に移送可能となり、前記第1の治具に結合されていた前記部品の未加工面が、前記部品が前記第2の治具に結合されたときに機械加工のために露出するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータが構成され配置される、機械。
【請求項14】
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはロータリアクチュエータである、請求項13に記載の機械。
【請求項15】
前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータは並んで配置される、請求項14に記載の機械。
【請求項16】
前記部品を前記第1の治具から前記第2の治具に移送するために、前記第1のアクチュエータが直立位置から時計回り又は反時計回りに90°回転し、前記第2のアクチュエータが直立位置から反対の時計回り又は反時計回りに90°回転するように、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータが構成され配置される、請求項15に記載の機械。
【請求項17】
前記機械は、前記部品を加工するためにX-Y-Z方向に移動可能な工具を備え、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはY方向に回転する、請求項14に記載の機械。
【請求項18】
前記機械は、前記部品を加工するためにX-Y-Z方向に移動可能な工具を備え、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータはZ方向に回転する、請求項14に記載の機械。
【請求項19】
前記第1の治具及び前記第2の治具は、前記部品を保持するための万力を有する、請求項13に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年9月7日に提出された、タイトルを「In-Process Part Machining Orientation Change/Index」とする米国仮出願第63/374837号の優先日の利益を主張するものある。
【0002】
本開示は、広くは、機械によって加工されている部品をある治具から他の治具へ移送するシステム及び方法に関し、特には、ある治具に固定された部品の未加工面が加工のために露出するように、整列された回転アクチュエータを使用して、機械によって加工されている部品をある治具から他の治具へ移送するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特定の用途のために部品を機械加工するとき、例えば、部品のブランクから部品に成形するための金属を除去したり、部品に穴を開けたりするときに、部品はCNC機械や旋盤等の機械の治具に、手動で、又は、部品若しくはブランクを例えば部品の容器から取り出すロボットによって配置される。部品は、その1つの面において機械式チャックや空圧装置等の治具によって保持され、これにより、部品の他の全て面(例えば部品が立方体の場合はその5つの面)に機械がアクセス可能となる。部品が治具に保持されている間にその部品を加工するために、X-Y-Z方向に移動可能な工作機械又は複数の工具が使用される。治具は、例えばY方向に部品を時計回り及び反時計回りの双方に回転させるアクチュエータに固定可能であり、これにより別の自由度の軸が加工用に提供される。部品をX方向に回転させるロータリアクチュエータに結合された追加の治具を設けることもできる。コンピュータ制御の操作により、ツール及びアクチュエータが制御され、あらゆる角度から所望の方法で部品を加工する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品の機械加工がここまで完了したら、通常は、治具に保持されている部品の面を次に機械加工する必要がある。これを行うには、部品は手動で又はロボットによって治具から取り外され、裏返され、既に加工済の面が保持されるように治具に戻され、これにより工具は未加工の面にアクセス可能となる。或いは、部分的に機械加工された部品を、工具が未加工の面にアクセスできるように同じ機械内の別の治具に配置したり、別の機械内の治具に配置したりすることもできる。効率、加工時間の短縮、費用の削減等のためには、部品をある治具から別の治具に変更して、ある治具に保持された部品の面を機械加工するステップを簡素化することが望ましい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の議論は、機械によって加工されている部品を第1の治具から第2の治具に移送して、部品の未加工面を機械加工のために露出させるためのシステム及び方法を開示し、説明するものであり、第1の治具は第1のアクチュエータに固定され、第2の治具は第2のアクチュエータに固定される。この方法は、部品を第1の治具に固定することと、第1の治具に結合された部品の面を除く部品の面を機械加工できるように第1のアクチュエータを操作することと、部品が第1の治具に固定されている間に部品を機械加工することとを含む。この方法は、第1の治具に固定された部品が第2の治具に位置合わせされるように第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを操作し、部品を第2の治具に固定し、部品を第1の治具から解放する。次にこの方法は、部品が第1の治具に結合されたときに機械加工できなかった部品の面を機械加工できるように第2のアクチュエータを操作し、部品が第2の治具に固定されている間に部品のその面を機械加工する。
【0006】
本開示の追加の特徴は、添付の図面と併せて、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】回転可能な2つの治具を有する、部品を加工するための機械の切欠き等角図であり、これらの治具は、部品を一方の治具から他方の治具に移送するように構成され、これにより一方の治具に固定された部品の未加工面は、他方の治具に固定されたときに機械加工のために露出され得る。
【0008】
【
図2】機械の切欠き等角図であり、部品を一方の治具から他方の治具に移送するように互いに方向付けされた複数の治具を示す。
【0009】
【
図3】機械の切欠き等角図であり、部品が一方の治具から他方の治具に移送された後を示す。
【0010】
【
図4】機械加工された後の部品の一例を示す等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
機械によって加工されている部品を、位置合わせされた複数のアクチュエータを用いて第1の治具から第2の治具に移送して、部品の未加工面を機械加工のために露出させるためのシステム及び方法を対象とした本開示の実施形態の以下の説明は、本質的に単に例示であり、本開示又はそのアプリケーション若しくは使用を制限することを意図するものではない。
【0012】
図1は、部品、例えば部品12を機械加工するための機械10の切欠き等角図である。機械10は、本明細書の説明に矛盾しない望ましいやり方で部品12を機械加工するのに適した任意のCNC機械、旋盤、ドリル等を表すことを意図している。機械10は、部品12を機械加工するための切削工具、穴開け工具等の種々の工具(図示せず)を保持する複数の工具ホルダ16を周囲に有する回転式工具ホルダアセンブリ14を備え、工具ホルダアセンブリ14はX-Y-Z方向に制御されるように操作可能である。また機械10は、共通のテーブル24に取り付けられ、並んで配置されたロータリアクチュエータ20及び22を備え、これらのアクチュエータは機械10にさらに2つの制御軸を付加する。アクチュエータ20は、円形部材28を時計回り及び反時計回りの両方向に、アクチュエータ22は、円形部材30を時計回り及び反時計回りの両方向に、ここではY軸に沿って回転させる。また機械10は、部材28に取り付けられた治具ホルダ36を有する治具34と、部材30に取り付けられた治具ホルダ40を有する治具38とを備える。また治具34は、治具ホルダ36に取り付けられた万力顎44を有する万力42を備え、治具38は、治具ホルダ40に取り付けられた万力顎48を有する万力46を備え、顎44及び48は、部品12の機械加工中に部品12を保持及び解放するように操作可能である。
図1に示す部品12は、工具による機械加工の準備を整えるべく、治具34に直立位置で固定される。部品12は、手動で又はロボット(図示せず)によってブランク50の容器52から部品ブランク50として治具34内に配置される。
【0013】
部品12が治具34によって保持されている面を除く全ての面において機械加工されると、
図2に示すように、アクチュエータ20は治具34を反時計回りに90°回転させ、アクチュエータ22は治具38を時計回りに90°回転させる。アクチュエータ20及び22は、テーブル24上に配置されて回転するように構成されており、この回転により、部品12はその既に機械加工された面において治具38の万力顎に位置合わせされて接触する。次に、万力顎48が部品12に係合して部品12を保持し、万力顎44は部品12から外れて部品12を解放する。次に、アクチュエータ20は、治具34を時計回りに90°回転させ、アクチュエータ22は、治具38を反時計回りに90°回転させ、これにより部品12は
図3に示すように治具38内で直立状態となる。これにより、部品12の未加工面がアクセス可能となり、工具によって機械加工可能となる。
図4は、機械加工後の部品12の代表的な例の等角図である。
【0014】
上述のように、機械10は、本明細書に記載の目的に適した機械の単なる例示である。積み重ねられた治具、X軸又はZ軸方向に回転可能な治具等、他の向きの治具を有する他の機械も、本開示の範囲内で使用可能であり、既述のように部品を1つの治具から他の治具に移送して未加工面を機械加工するように構成及び配置することができる。例えば、アクチュエータ20及び22を積み重ねてZ軸に沿って配置して5軸の機械を提供し、この方法で部品を移送するように構成することもできる。
【0015】
上述の議論は、本開示の単なる例示的な実施形態を開示し説明する。当業者であれば、そのような議論、添付の図面及び特許請求の範囲から、特許請求の範囲に定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、修正及び変形を行うことができることを容易に認識するであろう。
【外国語明細書】