(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037727
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】検査システム及び検査装置
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20240312BHJP
G07D 5/00 20060101ALI20240312BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20240312BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240312BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240312BHJP
G06K 19/14 20060101ALI20240312BHJP
G06K 7/12 20060101ALI20240312BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
G07D5/00
G06K19/04 070
G06K19/07 230
G06K7/10 264
G06K19/14 050
G06K7/12
G06K7/10 472
G06K19/077 152
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197097
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2022123492の分割
【原出願日】2017-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2016225540
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケースに収容された複数の遊技用貨幣について、ケースに収容されたままの状態で検査することができる検査システム及び検査装置を提供する。
【解決手段】検査システムは、第1貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に光学的に読み取り可能な第2貨幣情報が付与された遊技用貨幣を検査する。複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケース(100)と、ケース(100)に収容された遊技用貨幣を検査する検査装置(200)とを備える。ケース(100)に収容された遊技用貨幣のRFIDタグを読み取って第1貨幣情報を取得するRFIDリーダ(221)と、ケース(100)に収容された遊技用貨幣の側面を光学的に読み取って第2貨幣情報を取得する赤外線カメラ(225)及び可視光カメラ(226)と、取得された第1貨幣情報と取得された第2貨幣情報とに基づいて、ケース(100)ごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がRFIDタグを含む複数の遊技用貨幣が配置されるように構成されたエリアと、
検査装置と、を備え、
前記検査装置は、
RFIDによって、前記エリアに配置された前記複数の遊技用貨幣から第1遊技用貨幣情報を取得する第1検知装置と、
前記エリアに配置された遊技用貨幣の有無を光学的に判定して、前記遊技用貨幣の前記判定された有無を示す第2遊技用貨幣情報を判定する第2検知装置と、
前記第1検知装置によって取得された前記第1遊技用貨幣情報と、前記第2検知装置によって判定された前記第2遊技用貨幣情報とを用いて、(a)前記第1検知装置によって取得された前記第1遊技用貨幣情報と、(b)前記第2検知装置によって判定された前記第2遊技用貨幣情報とを組み合わせることによって、前記エリアに配置された前記遊技用貨幣の破損状態を判定するプロセッサと、
を含む、検査システム。
【請求項2】
前記破損状態を判定するために、前記プロセッサはさらに、前記遊技用貨幣が破損しているか否かを判定する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記破損状態を判定するために、前記プロセッサはさらに、(a)取得された前記第1遊技用貨幣情報、及び(b)前記第2遊技用貨幣情報に基づいて、複数の遊技用貨幣の価値の各々に対して、前記エリアに配置された前記遊技用貨幣のうち、それぞれの前記遊技用貨幣の価値に対応するそれぞれの数を判定する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
各RFIDタグは、前記複数の遊技用貨幣のそれぞれの遊技用貨幣を個別に識別する個別識別情報を記憶する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記個別識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記プロセッサは、前記第1検知装置によって取得された前記個別識別情報が前記記憶部に記憶された前記個別識別情報と一致しない場合に、破損品または偽造品であると判定する、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記RFIDタグの各々は、当該RFIDタグを含む前記遊技用貨幣のそれぞれの価値を示す指定色によって示される情報を記憶する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
前記複数の遊技用貨幣は、前記複数の遊技用貨幣のそれぞれの価値を示す色情報を含み、かつ、前記第1遊技用貨幣情報として、前記複数の遊技用貨幣のそれぞれの価値を識別するそれぞれの価値情報を含み、
前記第2遊技用貨幣情報は、前記遊技用貨幣の第1の色情報を含み、
前記プロセッサは、前記色情報が前記第1遊技用貨幣情報の前記価値情報と一致しない場合に、前記エリア上に配置された前記複数の遊技用貨幣の第1のセットは不良品状態であると判定する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項8】
前記第2遊技用貨幣情報は、前記色情報に加えて、前記遊技用貨幣のそれぞれの価値情報をさらに含み、
前記プロセッサは、それぞれの遊技用貨幣の前記第2遊技用貨幣情報内の前記色情報によって示される前記複数の遊技用貨幣のうちのそれぞれの遊技用貨幣の価値が、前記第2遊技用貨幣情報の前記価値情報、および/または前記第1遊技用貨幣情報の前記価値情報と一致しない場合に、前記エリア上に配置された前記複数の遊技用貨幣の第2のセットは不良品状態であると判定する、
請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記第1遊技用貨幣情報または前記第2遊技用貨幣情報の前記色情報または前記値情報に基づいて、各々の前記価値に対して、前記エリアに配置された前記複数の遊技用貨幣のそれぞれの数、またはすべての前記遊技用貨幣の前記価値の合計量を判定する、請求項8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記第2遊技用貨幣情報は、前記色情報に加えて、前記遊技用貨幣のそれぞれの価値情報をさらに含み、
前記プロセッサは、前記色情報が、(a)前記第1遊技用貨幣情報または第2遊技用貨幣情報の価値情報、(b)前記第1遊技用貨幣情報および前記第2遊技用貨幣情報の共通情報、または(c)前記第1遊技用貨幣情報または前記第2遊技用貨幣情報に含まれる個別識別情報のうちの少なくとも1つと一致しない場合に、前記エリア上に配置された前記複数の遊技用貨幣の第3のセットは不良品状態であると判定する、
請求項7に記載の検査システム。
【請求項11】
前記第1遊技用貨幣情報は、前記遊技用貨幣のそれぞれのRFIDタグに含まれる、請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
前記第1遊技用貨幣情報および/または前記第2遊技用貨幣情報は、前記遊技用貨幣のそれぞれが属するそれぞれのグループを示すグループ情報を含み、前記グループは、前記遊技用貨幣のそれぞれの価値、製造時期、製造業者、および/または使用遊技場に応じて分類される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項13】
前記第2遊技用貨幣情報は、前記遊技用貨幣のそれぞれの側面に前記遊技用貨幣のそれぞれの価値を示すそれぞれの指定色を含み、
前記第2検知装置は、
前記エリア上に配置された前記遊技用貨幣の前記側面を撮影して画像を取得するカメラと、
前記カメラによって取得された画像に対して分析を行い、前記分析に基づいて、前記遊技用貨幣の前記それぞれの指定色を識別して出力し、識別された前記指定色に従って、前記遊技用貨幣のそれぞれの価値を識別して出力する第2のプロセッサと、を含む、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項14】
前記指定色は、前記遊技用貨幣の前記側面の厚さ方向において、異なる価値を有する遊技用貨幣に共通に割り当てられる共通色の間にそれぞれ挟まれる、請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記第2遊技用貨幣情報は、前記遊技用貨幣の側面に光学的に読み取り可能に表記された表記情報であり、
前記第2検知装置は、
積み重ねられ、また、画像を取得するために前記エリア上に配置された前記遊技用貨幣の前記側面を撮影するカメラと、
前記カメラによって取得された前記画像に対して分析を行い、前記分析に基づいて、前記遊技用貨幣のそれぞれの前記表記情報を特定し、特定されたそれぞれの前記表記情報に従って、前記遊技用貨幣の前記第2遊技用貨幣情報を特定して出力する、第2のプロセッサと、
を含む、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項16】
前記表記情報は、赤外線に反応して発光する赤外線反応インク又は赤外線を吸収する赤外線吸収インクを用いて表記され、
前記カメラは、赤外線カメラである、
請求項15に記載の検査システム。
【請求項17】
前記表記情報は、紫外線に反応して発光するインクを用いて表記されており、
前記検査装置は、前記エリアに配置された前記遊技用貨幣の前記側面に紫外線を照射する紫外線照射装置をさらに含む、
請求項15に記載の検査システム。
【請求項18】
前記エリアは、前記遊技用貨幣がケースから取り出し可能に前記ケースが開けられると破壊される封印を有するケースであり、
前記検査装置は、前記封印が未破壊か否かを検出するセンサをさらに備え、
前記プロセッサは、未破壊の前記封印が前記センサによって検出されない場合に、前記遊技用貨幣が不良品状態であると判定する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項19】
前記エリアは容器によって定義される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項20】
前記容器はケース又はチップトレイを含む、請求項19に記載の検査システム。
【請求項21】
前記ケースは持ち運び可能である、請求項20に記載の検査システム。
【請求項22】
前記エリアは三次元空間を含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項23】
前記第1検知装置は、前記エリアに配置された前記遊技用貨幣の前記第1遊技用貨幣情報を取得し、かつ、前記第2検知装置は、前記エリアに配置された前記遊技用貨幣の側面を光学的に読み取る、請求項22に記載の検査システム。
【請求項24】
前記第1検知装置は、前記第2検知装置とは異なる、請求項1に記載の検査システム。
【請求項25】
前記第1検知装置は第1のカメラを含み、前記第2検知装置は第2のカメラを含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項26】
前記第1のカメラは、前記第2のカメラとは異なる、請求項25に記載の検査システム。
【請求項27】
前記第1検知装置は、前記複数の遊技用貨幣を光学的に読み取り、前記遊技用貨幣の光学的読み取りに基づいて前記第1遊技用貨幣情報を取得し、前記第2検知装置は、前記遊技用貨幣の側面の光学的読み取りに基づいて前記第2遊技用貨幣情報を取得する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項28】
前記複数の遊技用貨幣を光学的に読み取るために、前記第1検知装置は前記複数の遊技用貨幣の第1の画像を取得し、前記複数の遊技用貨幣を光学的に読み取るために、前記第2検知装置は前記遊技用貨幣の第2の画像を取得する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項29】
前記第1の画像は、前記第2の画像とは異なる、請求項28に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願では、2016年11月18日に日本国に出願された特許出願番号2016-225540の利益を主張し、当該出願の内容は引用することによりここに組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、遊技用貨幣を検査する検査システム及び検査装置に関し、特に、ケースに収容された複数の遊技用貨幣を検査する検査システム及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0003】
カジノ等の遊技場で用いられる遊技用貨幣は、工場で製造されてから遊技場に運搬されて保管庫に保管され、保管庫から場内のキャッシャやゲームテーブルに移動されるが、この運搬、保管、移動の過程で遊技用貨幣が盗まれ、又は偽物とすり替えられることを防止する必要がある。このために、遊技用貨幣を収容するケースが用いられる。このケースが複数の遊技用貨幣を収容した後に封印されることで、封印後にケースから遊技用貨幣が抜き取られた事態が発見可能となる。
【0004】
遊技用貨幣として、識別情報や種類の情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に識別情報や種類の情報を示す光学的に読み取り可能なコード情報を付与したものが知られている(例えば、特開2009-66172号公報)。
【0005】
特開2009-66172号公報には、遊技用貨幣を用いたシステムが開示されている。このシステムは、遊技テーブルのベット用ボードに置かれた遊技用貨幣について、無線タグに記憶された識別情報に基づいて遊技用貨幣の枚数を算出し、かつ、側面に付与された識別情報に基づいて遊技用貨幣の枚数を算出し、それらを照合する。これにより、ゲームテーブルで不正な遊技用貨幣が用いられた場合に、これを検出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2009-66172号公報に開示されたシステムは、ベットされた(ベット用ボードに置かれた)遊技用貨幣の枚数を算出して不正を検出するものであるので、このシステムによっても、ケースに収容された複数の遊技用貨幣について、ケースに収容されたままの状態で検査をして、不正な遊技用貨幣を検出することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、ケースに収容された複数の遊技用貨幣について、ケースに収容されたままの状態で検査することができる検査システム及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の検査システムは、少なくとも第1貨幣情報と第2貨幣情報とを有する遊技用貨幣を検査する検査システムであって、前記第2貨幣情報は、光学的に読み取り可能な形態で前記遊技用貨幣の側面に設けられており、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースと、前記ケースに収容された遊技用貨幣を検査する検査装置とを備え、前記検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の前記第1貨幣情報を取得する第1読取装置と、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を光学的に読み取って第2貨幣情報を取得する第2読取装置と、前記第1読取装置で取得された第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された第2貨幣情報とを用いて、前記ケースに存在するすべての遊技用貨幣の真贋・破損もしくは価値毎の枚数を判定することで、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0009】
この構成により、第1読取部及び第2読取部は、いずれもケースに収容された遊技用貨幣から第1貨幣情報及び第2貨幣情報を取得するので、ケースに収容された状態の遊技用貨幣に対して検査をすることができる。また、第1貨幣情報と第2貨幣情報という2つの情報を遊技用貨幣から取得して検査を行うので、合否の判定を確実に行うことができる。
【0010】
本発明の第2の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、共通の遊技用貨幣における前記第1貨幣情報と前記第2貨幣情報とは共通の情報を含み、前記判定部は、前記第1読取装置で取得された複数の前記第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された複数の前記第2貨幣情報の共通の情報部分が一致しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0011】
この構成により、第1貨幣情報と第2貨幣情報との共通の情報部分が一致しない不正な遊技用貨幣がケース内に存在しているときに、判定部はそのケースに収容された遊技用貨幣を不合格とすることができる。
【0012】
例えば、無線タグと側面に共通の識別情報が記録されている場合は、複数の無線タグから読み出された複数の識別情報と、複数の側面から読み出された複数の識別情報とが完全に一致しない場合に、不合格となる。また、無線タグと側面に当該遊技用貨幣の価値が記録されている場合は、無線タグから読み出された各価値の数と、側面から読み出された各価値の数とが一致しない場合に、不合格となる。
【0013】
本発明の第3の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記第1貨幣情報と前記第2貨幣情報の両方または一方は、個別に遊技用貨幣を識別する個別識別情報を含む。
【0014】
本発明の第4の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記第2貨幣情報は、前記遊技用貨幣の価値を表す指定色で表現される情報を含み、前記指定色で遊技用貨幣の価値を示す情報である。
【0015】
本発明の第5の態様の検査システムは、第3の態様の検査システムにおいて、前記第1貨幣情報と前記第2貨幣情報の両方が個別識別情報を含み、前記第1読取装置で取得された複数の前記第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された複数の前記第2貨幣情報の個別識別情報とが一致しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0016】
この構成により、第1貨幣情報の個別識別情報と第2貨幣情報の個別識別情報が一致しない不正な遊技用貨幣がケース内に存在しているときに、判定部はそのケースに収容された遊技用貨幣を不合格とすることができる。
【0017】
本発明の第6の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記ケースに収容されているべき複数の遊技用貨幣の少なくとも前記第1貨幣情報または前記第2貨幣情報の個別識別情報を記憶した記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記第1読取装置で取得された複数の前記第1貨幣情報または前記第2読取装置で取得された複数の前記第2貨幣情報の個別識別情報が、前記記憶部に記憶された前記第1貨幣情報または前記第2貨幣情報の個別識別情報と一致しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0018】
この構成により、第1貨幣情報又は第2貨幣情報が不正確である不正な遊技用貨幣がケース内に存在しているときに、判定部はそのケースに収容された遊技用貨幣を不合格とすることができる。
【0019】
例えば、無線タグに文字で表現される個別識別情報が記録されており、側面に数字で表現される個別識別情報が記録されている場合は、記憶部にも、ケースごとに、無線タグ用に文字で表現される複数の個別識別情報が記憶されており、側面用に数字で表現される複数の個別識別情報が記憶されており、複数の無線タグから読み出した複数の個別識別情報がそのケースの無線タグ用として記憶部に記憶された複数の個別識別情報と一致せず、または、複数の側面から読み出した複数の個別識別情報がそのケースの側面用として記憶部に記憶された複数の個別識別情報と一致しない場合に、不合格となる。
【0020】
本発明の第7の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記第1貨幣情報と前記第2貨幣情報との対応関係を記憶した記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記第1読取装置で取得された複数の前記第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された複数の前記第2貨幣情報とが、前記記憶部に記憶された前記対応関係と符合しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0021】
この構成により、第1貨幣情報と第2貨幣情報との対応関係が不正確な遊技用貨幣がケース内に存在しているときに、不合格とすることができる。
【0022】
例えば、無線タグに識別情報が記録されており、側面に価値が記録されている場合には、記憶部には、各識別情報にいずれかの価値が割り当てれられて記憶されており、複数の無線タグから読み出した複数の識別情報について、記憶部を参照して、各価値の個数を求め、側面から読み出した各価値の個数がこれと一致しない場合に、不合格となる。逆に、無線タグに価値が記録されており、側面に識別情報が記録されている場合も同様である。これらの場合に、記憶部では、どのケースにどの識別情報の遊技用貨幣が含まれているかを記憶しておく必要はない。
【0023】
本発明の第8の態様の検査システムは、第1~第7のいずれかの態様の検査システムにおいて、前記判定部は、前記第1読取装置で取得された前記第1貨幣情報及び前記第2読取装置で取得された前記第2貨幣情報の数が所定数でない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0024】
この構成により、ケースから遊技用貨幣が抜き取られ、あるいはケースに遊技用貨幣が追加されているときに、判定部はそのケースに収容された遊技用貨幣を不合格とすることができる。
【0025】
例えば、ケースの収容枚数が100枚である場合は、無線タグから読み出した第1貨幣情報又は側面から読み出した第2貨幣情報のいずれかが100個でない場合に不合格となる。
【0026】
本発明の第9の態様の検査システムは、第1~第8のいずれかの態様の検査システムにおいて、前記遊技用貨幣は、前記第2貨幣情報に前記遊技用貨幣の価値を示す色情報を含み、前記第1貨幣情報に前記遊技用貨幣の価値を識別する価値情報を含み、前記判定部は、前記色情報と前記第1貨幣情報の価値情報とが一致しない場合に当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0027】
本発明の第10の態様の検査システムは、第9の態様の検査システムにおいて、前記第2貨幣情報は前記色情報に加えて前記遊技用貨幣の価値情報を更に含み、前記判定部は、前記第2貨幣情報における色情報による前記遊技用貨幣の価値が、前記第2貨幣情報の価値情報及び前記第1貨幣情報の価値情報の両方あるいは一方と一致しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0028】
本発明の第11の態様の検査システムは、第1~第10のいずれかの態様の検査システムにおいて、前記遊技用貨幣は前記第1貨幣情報を備えた無線タグを有する。
【0029】
本発明の第12の態様の検査システムは、第1~第11のいずれかの態様の検査システムにおいて、前記第1貨幣情報と前記第2貨幣情報の少なくとも一方または両方は前記遊技用貨幣が属するグループを示すグループ情報を含み、前記グループは、前記遊技用貨幣の価値、製造時期、製造者、及び/又は使用遊技場によって分けられるグループである。
【0030】
本発明の第13の態様の検査システムは、第10の態様の検査システムにおいて、前記判定部は、前記色情報と前記第1貨幣情報および前記第2貨幣情報の価値情報または共通の情報または個別識別情報の少なくとも一つとが一致しない場合に当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0031】
本発明の第14の態様の検査システムは、第10の態様の検査システムにおいて、前記判定部は、前記色情報または前記第1貨幣情報または前記第2貨幣情報の価値情報に基づいて、前記ケースに収容された複数の前記遊技用貨幣の価値毎の枚数、またはすべての前記遊技用貨幣の価値の総額を判定する。
【0032】
本発明の第15の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記第2貨幣情報は、前記遊技用貨幣の側面において前記遊技用貨幣の価値を表す指定色で表現される情報を含み、前記指定色で遊技用貨幣の価値を示す情報であり、前記第2読取装置は、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の指定色を特定し、特定した指定色に従って前記複数の遊技用貨幣の価値を特定する識別部とを備える。
【0033】
この構成により、判定部は遊技用貨幣の価値の情報を用いて合否を判定できる。
【0034】
本発明の第16の態様の検査システムは、第15の態様の検査システムにおいて、前記第2貨幣情報を表現する前記指定色は、遊技用貨幣の側面において、価値の異なる遊技用貨幣について共通に付与される共通色によって、前記遊技用貨幣の厚さ方向に挟まれている。
【0035】
この構成により、ケース内で複数の遊技用貨幣が積み重ねられていても、識別部は側面の画像から共通色に挟まれた指定色を抽出することで、ケース内の複数の遊技用貨幣の種類を特定できる。
【0036】
本発明の第17の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記第2貨幣情報は、側面に光学的に読み取り可能に表記された表記情報であり、前記第2読取装置は、前記ケースに積載して収容された複数の遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して前記複数の遊技用貨幣の各々の表記情報を特定し、特定した表記情報に従って前記複数の遊技用貨幣の各々の前記第2貨幣情報を特定する識別部とを備える。
【0037】
この構成により、判定部は遊技用貨幣の表記情報を用いて合否を判定できる。
【0038】
本発明の第18の態様の検査システムは、第17の態様の検査システムにおいて、前記表記情報は、赤外線に反応して発光する赤外線反応インク又は赤外線を吸収する赤外線吸収インクで表記されており、前記カメラは、赤外線カメラである。
【0039】
この構成により、側面に付された識別情報を自然光下で視認できないようにできる。
【0040】
本発明の第19の態様の検査システムは、第17の態様の検査システムにおいて、前記表記情報は、紫外線に反応して発光するインクで表記されており、前記検査装置は、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の側面に紫外線を照射する紫外線照射部をさらに備えている。
【0041】
この構成によっても、側面に付された識別情報を自然光下で視認できないようにできる。
【0042】
本発明の第20の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記ケースには、収容された前記遊技用貨幣を取出し可能に開けると破壊される封印がされており、前記検査装置は、未破壊の前記封印を検出する検出部をさらに備え、前記判定部は、前記検出部にて未破壊の前記封印が検出されない場合に、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0043】
この構成により、封印が破壊されたときに、判定部はそのケースに収容された遊技用貨幣を不合格とすることができる。
【0044】
本発明の第21の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記ケースは、光透過部分を有し、前記第2読取装置は、前記光透過部分を介して前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を光学的に読み取る。
【0045】
この構成により、ケースを閉じたまま第2貨幣情報を読み取ることができる。
【0046】
本発明の第22の態様の検査システムは、第21の態様の検査システムにおいて、前記光透過部分は、透明の部材で構成される、請求項21に記載の検査システム。
【0047】
この構成により、ケースにおいて光透過部分も含めて密閉構造とすることができる。
【0048】
本発明の第23の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記検査装置は、前記ケースを受け入れるケース受入部を備えている。
【0049】
この構成により、ケースをケース受け入れ部に配置することで、第1貨幣情報及び第2貨幣情報を読み取ることができる。
【0050】
本発明の第24の態様の検査システムは、第21の態様の検査システムにおいて、前記ケースは、持ち運び可能である。
【0051】
この構成により、ケースが工場からテーブルやキャッシャまで移動する過程の任意のポイントでケース内の遊技用貨幣の検査を行うことができる。
【0052】
本発明の第25の態様の検査システムは、第1の態様の検査システムにおいて、前記ケースは、ゲームテーブルにおいて前記遊技用貨幣を保持する2段式のチップフロートまたはチップトレイである。
【0053】
本発明の第26の態様の検査システムは、側面に価値を表す指定色及び光学的に読み取り可能に表記された表記情報が付与された遊技用貨幣を検査する検査システムであって、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースと、前記ケースに収容された遊技用貨幣を検査する検査装置とを備え、前記検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色及び前記表記情報を特定する識別部と、前記識別部で特定した前記指定色と前記表記情報とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0054】
この構成により、識別部はケースに収容された遊技用貨幣について指定色及び表記情報を特定するので、ケースに収容された状態の遊技用貨幣に対して検査をすることができる。また、指定色と表記情報という2つの情報を遊技用貨幣の側面から特定して検査を行うので、合否の判定を確実に行うことができる。
【0055】
本発明の第27の態様の検査システムは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に価値を表す指定色が付与された遊技用貨幣を検査する検査システムであって、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースと、前記ケースに収容された遊技用貨幣を検査する検査装置とを備え、前記検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグを読み取って前記貨幣情報を取得する読取部と、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色を特定する識別部と、前記読取部で取得された前記貨幣情報と前記識別部で特定した前記指定色とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0056】
この構成により、読取部は、ケースに収容された遊技用貨幣から貨幣情報を取得するとともに、識別部もケースに収容された遊技用貨幣について指定色を特定するので、ケースに収容された状態の遊技用貨幣に対して検査をすることができる。また、貨幣情報と指定色という2つの情報を遊技用貨幣の側面から特定して検査を行うので、合否の判定を確実に行うことができる。
【0057】
本発明の第28の態様の検査装置は、第1貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に光学的に読み取り可能な第2貨幣情報が付与され、ケースに重ねて収容された複数の遊技用貨幣を検査する検査装置であって、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の無線タグを読み取って第1貨幣情報を取得する第1読取装置と、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の側面を光学的に読み取って第2貨幣情報を取得する第2読取装置と、前記第1読取装置で取得された第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された第2貨幣情報とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0058】
この構成により、第1読取部及び第2読取部は、いずれもケースに収容された遊技用貨幣から第1貨幣情報及び第2貨幣情報を取得するので、ケースに収容された状態の遊技用貨幣に対して検査をすることができる。また、第1貨幣情報と第2貨幣情報という2つの情報を遊技用貨幣から取得して検査を行うので、合否の判定を確実に行うことができる。
【0059】
本発明の第29の態様の検査装置は、側面に価値を表す指定色及び光学的に読み取り可能な表記情報が付与され、ケースに重ねて収容された複数の遊技用貨幣を検査する検査装置であって、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色及び前記表記情報を特定する識別部と、前記識別部で特定した前記指定色と前記表記情報とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0060】
本発明の第30の態様の検査装置は、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に価値を表す指定色が付与され、ケースに重ねて収容された複数の遊技用貨幣を検査する検査装置であって、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の無線タグを読み取って前記貨幣情報を取得する読取部と、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色を特定する識別部と、前記読取部で取得された前記貨幣情報と前記識別部で特定した前記指定色とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0061】
本発明の第31の態様の検査システムは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵する遊技用貨幣を検査する検査システムであって、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースと、前記ケースに収容された遊技用貨幣を検査する検査装置とを備え、前記検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグを読み取って貨幣情報を取得する読取部と、前記読取部で取得された貨幣情報に基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部と、前記ケースに収容されているべき複数の遊技用貨幣の前記貨幣情報を記憶した記憶部とを備え、前記判定部は、前記読取部で取得された複数の前記貨幣情報が前記記憶部に記憶された前記貨幣情報と一致しない場合に、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣を不合格と判定する。
【0062】
本発明の第32の態様の検査装置は、貨幣情報を記憶した無線タグが内蔵され、ケースに重ねて収容された複数の遊技用貨幣を検査する検査装置であって、前記ケースに収容された複数の遊技用貨幣の無線タグを読み取って貨幣情報を取得する読取部と、前記読取部で取得された前記貨幣情報に基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた構成を有する。
【0063】
本発明の第33の態様のケースは、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、第1~27の態様のいずれかの遊技用貨幣を検査する検査システムで使用するためのケースである。
【0064】
本発明の第34の態様のケースは、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、上部、及び下部とが合わさって構成され、前記上部は透明な樹脂で形成され、前記上部を光が透過することで、収容されている遊技用貨幣の側面に付与された価値を表す指定色、もしくは側面に光学的に読み取り可能に表記された表記情報を読み取り可能な構造、または収容されている前記遊技用貨幣に内蔵されたRFIDタグをRFIDリーダで読み取り可能な構造を有する。
【0065】
本発明の第35の態様のケースは、ケースを唯一に特定するためのケース識別情報が付与された第34の態様のケースである。
【0066】
本発明の第36の態様のケースは、前記ケース識別情報は、ケースに収容された遊技用貨幣の、光学的に読み取り可能な貨幣情報またはRFIDリーダにより読み取り可能な貨幣情報と関連付けられている、第35の態様のケースである。
【0067】
本発明の第37の態様のケースは、前記上部の上面が平面で形成されている、第34~36の態様のいずれかのケースである。
【0068】
本発明の第38の態様のケースは、少なくとも第1貨幣情報と第2貨幣情報とを有する遊技用貨幣を検査する検査システムにおいて使用する、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、前記第2貨幣情報は、光学的に読み取り可能な形態で前記遊技用貨幣の側面に設けられており、前記検査システムにおいて使用される検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の前記第1貨幣情報を取得する第1読取装置と、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を光学的に読み取って第2貨幣情報を取得する第2読取装置と、前記第1読取装置で取得された第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された第2貨幣情報とを用いて、前記ケースに存在するすべての遊技用貨幣の真贋・破損もしくは価値毎の枚数を判定することで、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えたケースである。
【0069】
本発明の第39の態様のケースは、側面に価値を表す指定色及び光学的に読み取り可能に表記された表記情報が付与された遊技用貨幣を検査する検査システムにおいて使用する、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、前記検査システムにおいて使用される検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色及び前記表記情報を特定する識別部と、前記識別部で特定した前記指定色と前記表記情報とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えたケースである。
【0070】
本発明の第40の態様のケースは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵するとともに側面に価値を表す指定色が付与された遊技用貨幣を検査する検査システムにおいて使用する、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、前記検査システムにおいて使用される検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグを読み取って前記貨幣情報を取得する読取部と、前記ケースに収容された遊技用貨幣の側面を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像を分析して、前記複数の遊技用貨幣の各々の前記指定色を特定する識別部と、前記読取部で取得された前記貨幣情報と前記識別部で特定した前記指定色とに基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えたケースである。
【0071】
本発明の第41の態様のケースは、貨幣情報を記憶した無線タグを内蔵する遊技用貨幣を検査する検査システムにおいて使用する、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、前記検査システムにおいて使用される検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグを読み取って貨幣情報を取得する読取部と、前記読取部で取得された貨幣情報に基づいて、前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する判定部と、前記ケースに収容されているべき複数の遊技用貨幣の前記貨幣情報を記憶した記憶部とを備えたケースである。
【0072】
本発明の第42の態様の検査システムは、少なくとも第1貨幣情報と第2貨幣情報とを有する遊技用貨幣を検査する検査システムであって、前記第2貨幣情報は、前記第1貨幣情報を読み取る方法とは異なる方法で読み取り可能な形態で前記遊技用貨幣に設けられており、複数の遊技用貨幣を重ねて収容するケースと、前記ケースに収容された遊技用貨幣を検査する検査装置とを備え、前記検査装置は、前記ケースに収容された遊技用貨幣の前記第1貨幣情報を取得する第1読取装置と、前記ケースに収容された遊技用貨幣から第2貨幣情報を取得する第2読取装置と、前記第1読取装置で取得された第1貨幣情報と前記第2読取装置で取得された第2貨幣情報とを用いて、前記ケースに存在するすべての遊技用貨幣の真贋・破損もしくは枚数を判定することで、当該ケースに収容された複数の遊技用貨幣の合否を判定する判定部とを備えた検査システムである。
【0073】
本発明の第43の態様のケースは、前記第1貨幣情報は、前記遊技用貨幣の無線タグに記録されたものであり、複数の前記遊技用貨幣を重ねて収容するケースであって、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグを読み取って貨幣情報を取得する読取部で取得された貨幣情報に基づいて前記ケースごとに遊技用貨幣の合否を判定する前記検査システムによって検査される複数の遊技用貨幣を収納する構成の第42の態様の検査システムに用いるケースである。
【0074】
本発明の第44の態様の遊技用貨幣は、前記第1貨幣情報は、前記遊技用貨幣の無線タグに記録されたものであり、複数の前記遊技用貨幣を重ねて収容する前記ケースに収納され、前記第1貨幣情報は前記遊技用貨幣の無線タグに記録され、前記ケースに収容された遊技用貨幣の無線タグから、貨幣情報が前記読取部で取得され、前記貨幣情報に基づいて前記ケースごとに遊技用貨幣の合否が前記検査システムによって検査される構成を有する、第42の態様の検査システムによって検査される遊技用貨幣である。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、第1読取部及び第2読取部は、いずれもケースに収容された遊技用貨幣から第1貨幣情報及び第2貨幣情報を取得するので、ケースに収容された状態の遊技用貨幣に対して検査をすることができる。また、第1貨幣情報と第2貨幣情報という2つの情報を遊技用貨幣から取得して検査を行うので、合否の判定を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における検査システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態における遊技用貨幣の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における遊技用貨幣の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態における複数の遊技用貨幣を撮影して得られた画像の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態におけるコード情報の構成を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態における検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態におけるケースの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態における変形例のケースの斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態における変形例のケースの平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態における遊技用貨幣の流通とともに検査システムの利用態様の例を説明する図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態における使用管理装置に記憶される情報の内容の例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態における読み出される情報の内容の例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態における第1の合否判定方法を説明する図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施の形態における第2の合否判定方法を説明する図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施の形態における第3の合否判定方法を説明する図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施の形態における第4の合否判定方法を説明する図である。
【
図17】
図17は、本発明の実施の形態における第5の合否判定方法を説明する図である。
【
図18】
図18は、本発明の実施の形態における合否判定の結果(合格)を示す合否結果表示画面の例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態における合否判定の結果(不合格)を示す合否結果表示画面の例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の実施の形態における検査装置のRFIDアンテナの変形例を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の実施の形態における変形例の遊技用貨幣の側面図である。
【
図22】
図22は、本発明の実施の形態における変形例の遊技用貨幣の側断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の実施の形態における変形例の遊技用貨幣の斜視図である。
【
図24】
図24は、本発明の実施の形態における変形例の遊技用貨幣の側面図である。
【
図25】
図25は、本発明の実施の形態における変形例の遊技用貨幣の平面図である。
【
図26】
図26は、本発明の実施の形態における積み重ねられた遊技用貨幣を撮影して得られた画像の例を示す図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施の形態における変形例の検査システムの構成を示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施の形態における変形例の検査システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0078】
<検査システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態における検査システムの構成を示す図である。検査システム1は、遊技用貨幣を重ねた状態で収容するためのケース100と、ケース100に重ねて収容された複数の遊技用貨幣をケース100に収容された状態のまま検査する検査装置200とからなる。
【0079】
ケース100は、概略直方体形状を有し、透明の樹脂で構成されている。ケース100は、円板形状の遊技用貨幣Cを積み重ねた状態で収容する。ケース100には、20枚の遊技用貨幣Cを収容するカラムが5本形成されており、合計で100枚の遊技用貨幣Cを収容することができる。ケース100は、遊技用貨幣Cを収容した状態で持ち運びが可能(ポータブル)である。ケース100は、分離可能な上部101と下部102とからなり、上部101と下部102とを分離することで、ケース100への遊技用貨幣Cの収容及びケース100からの遊技用貨幣Cの取出しが可能となる。
【0080】
検査装置200は、受入部210と本体部220とからなる。検査装置200は、この受入部210にてケース100を受け入れることができる。受入部210は、全体として概略上面と前面が開放された直方体形状をなし、左右の側壁211、底部212、及び奥壁213によって形成され、ケース100がちょうど収まる幅、高さ、奥行きを有する。
【0081】
本体部220は、受入部210の奥壁213の裏側に設けられ、RFIDリーダ221、コンピュータ222、及び表示部223を備えている。本体部220には、さらに赤外線カメラ225及び可視光カメラ226が設けられている。赤外線カメラ225及び可視光カメラ226は、受入部210に収容されたケース100の上面側からケース100に収容された遊技用貨幣Cの側面を撮影するように、アーム227の先に取り付けられている。
【0082】
コンピュータ222には、RFIDリーダ221、表示部223、赤外線カメラ225、及び可視光カメラ226が接続されている。RFIDリーダ221にはRFIDアンテナ224が接続されている。RFIDアンテナ224は、RFIDリーダ221から延びて、左右の側壁211内で渦巻き状に延びている。すなわち、左右の側壁211の各々の内部には、渦巻き状のRFIDアンテナ224が敷設されており、各RFIDアンテナ224はRFIDリーダ221に接続されている。
【0083】
表示部223は、液晶パネルで構成される。なお、この液晶パネルにタッチセンサが設けられ、表示部223がタッチパネルとして構成されてもよい。
【0084】
<遊技用貨幣の構成>
図2は、本発明の実施の形態における遊技用貨幣Cの斜視図であり、
図3は、本発明の実施の形態における遊技用貨幣Cの側面図である。遊技用貨幣Cは、中間に指定色で特徴づけられた指定色層501を備え、この中間の指定色層501の厚さ方向の両側(
図3では上下)に共通色で特徴づけられた共通色層502を備え、側面に(厚さ方向の)縞模様が形成されている。
【0085】
遊技用貨幣Cの指定色層501と一方の共通色層502との間には、無線タグとしてRFIDタグ503が挿入される。RFIDタグ503には、遊技用貨幣Cの貨幣情報として、例えば遊技用貨幣Cを個別に識別する(唯一に特定する)個別識別情報及び価値(種類)の情報が記憶されている。遊技用貨幣Cの最外層には透明層504が設けられる。すなわち、遊技用貨幣Cは、中間層である指定色層501と、指定色層501を両面から挟む共通色層502と、両面の最外層である透明層504とを有している。
【0086】
遊技用貨幣Cは、細長い長尺状の5層(透明層504、共通色層502、指定色層501、共通色層502、透明層504の順)のプラスチック材料を重ねて、その際に指定色層501と一方の共通色層502との間に、所定の間隔でRFIDタグ503を配置し、この5層のプラスチック材料を熱圧着し、その後に、1つの遊技用貨幣Cに1つのRFIDタグ503が含まれるように、プレス等により円形あるいは長方形等に打ち抜くことで形成される。プレスにより打ち抜く際に、打ち抜きのための金型のダイとポンチの寸法を設計して最外層の透明層504の端にR加工(丸い角)が施される。
【0087】
なお、指定色層501と2層の共通色層502からなる3層を熱圧着した後に、表面にニスを塗装することで透明層504を形成してもよい。また、指定色層501と2つの共通色層502とは、別部材でなくてもよく、一体的に形成された後に、側面に指定色(及び共通色)をインクジェットプリント等で塗布することで指定色層501及び共通色層502を形成してもよい。
【0088】
指定色層501は、色(指定色)で遊技用貨幣Cの価値(種類)を表現している。すなわち、指定色層501の色を遊技用貨幣Cの価値ごと異なる色(赤色、緑色、黄色、青色等)とすることにより、遊技用貨幣Cの側面から光学的に読み取れる指定色層501の色を確認することで、その遊技用貨幣Cの価値(10ポイント、20ポイント、100ポイント、1000ポイントなど)を特定できるようにしている。共通色層502には、価値の異なる遊技用貨幣Cについて共通の色(共通色)が付与されている。共通色は、いずれの指定色よりも薄い色が望ましく、本実施の形態では白色である。
【0089】
遊技用貨幣Cの側面には、さらに、側面(具体的には、側面の共通色層502)に、遊技用貨幣Cの貨幣情報を表すコード情報505が表記されている。このコード情報505は、複数の標識(マークと言ってもよく、本実施の形態では四角の標識)の配置によって情報を表現するものである。指定色層501が色で情報(遊技用貨幣Cの価値)を表しているのに対して、コード情報505は側面に表記された標識で情報を表現するものであるので、表記情報ということができる。表記情報の他の例としては、複数の文字列、数字列、バーコード等を挙げることができる。
【0090】
本実施の形態のコード情報505は、遊技用貨幣Cの周方向に60度周期で繰り返し表記さている。これにより、コード情報505は、遊技用貨幣Cの側面を周方向にどの方向から観察したときにも、周方向の120度の範囲内に完全なコード情報505が含まれることになる。なお、遊技用貨幣Cの繰り返し周期は、60度に限られず、周方向に等間隔で少なくとも3回繰り返し表記されていればよい。
【0091】
コード情報505は、不可視インクで表記される。本実施の形態では、不可視インクとして、赤外線を吸収する赤外線吸収インク(具体的には、カーボンブラック)を用いて、インクジェットプリントによって印刷されている。コード情報505の印字部分のみが赤外線を反射しないので、遊技用貨幣Cの側面を赤外線カメラ225で撮影することで、コード情報505が浮かび上がることになる。なお、赤外線カメラ225は、印字部分を明確に浮かび上がらせるために、赤外線ランプを備えて、撮影する遊技用貨幣Cの側面に赤外線を照射するようにしてもよい。
【0092】
なお、不可視インクは、赤外線吸収インクに限られず、例えば、赤外線に反応して蛍光発光する赤外線反応インクや、紫外線に反応して蛍光発光するUVインクであってもよい。UVインクを用いる場合には、赤外線カメラ225に代えて紫外線カメラを用い、さらに、UVインクを蛍光発光させるために、遊技用貨幣Cの側面に紫外線を照射するブラックライトが用いられる。
【0093】
さらに、遊技用貨幣Cには、共通色層502の表面XにUVインクまたはカーボンブラックインクによる標識(マーク)m´が設けられている。この標識m´は遊技用貨幣5の真偽を表すものであり、紫外線(もしくは赤外線)を当てると標識m´が目に見えるようになり、その形や数の組み合わせで真正なものを表す。表面の遊技場特定用の印刷506(100ポイントなど)や標識m´を覆うように最外層には透明層504が熱圧着あるいはコーティング(塗布)されているが、この透明層504にはエンボス加工やニス加工が施され、遊技用貨幣Cが互いに密着するのを防いだり、滑りをよくしたりしている。
【0094】
印刷506(100ポイントなど)が施された最外層の透明層504の端はR加工(R)が施され、遊技用貨幣Cの打ち抜き工程において、共通色層502の表面が変形して側面に現れるのを防止している。また、遊技用貨幣Cの鋭利な端が残り手や他の遊技用貨幣Cを損傷するのを防いでいる。指定色層501は、着色された一層もしくは複数の層により形成されてもよい。さらには指定色層501の層の中の層に重量を増すための金属やセラミックが内装されてもよい。また、RFIDタグ503は、指定色層501の一部にくり抜き、または指定色層501と共通色層502との間に空間が設けられ、その中に内蔵されてもよい。
【0095】
図4は、ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを赤外線カメラ225及び可視光カメラ226で撮影して得られた画像の例を示す図である。この場合のケース100はゲームテーブルにおいて遊技用代用貨幣Cを保持する2段式のチップフロート(2段になっているチップトレイにおいて、特に可動する上のトレイ部分)またはチップトレイであってもよい。遊技用貨幣Cが、ケース100内で、
図4に示すように縦方向に積層されていても、赤外線カメラ225及び可視光カメラ226はコード情報505を撮影可能である。また、指定色層501を縦方向に数えることで、遊技用貨幣Cの枚数のカウントも可能となる。なお、2段式であっても、各段を展開することで赤外線カメラ225及び可視光カメラ226によってケース100に収容されたすべての遊技用貨幣Cの側面を撮影することが可能となる。
【0096】
本実施の形態では、コード情報505は、複数行複数列の標識mの配置によって表現されている。
図5は、コード情報505の構成を説明するための図である。
図5に示すように、上下の標識mがペアになって1つのコード要素が構成される。
図5の例では、1つのコード情報505は10桁のコード要素から構成される。
図5に示すように、上下の標識mがペアになって構成される1つのコード要素のパターンは4種あり、1コード要素で4種類の情報を表現できるので、10桁のコード要素からなるコード情報505は、4の10乗種類の情報を表現できる。10桁のコード要素の横のYの字は、コード情報505の向きを判別するための向き判別マークYである。
【0097】
<検査装置の構成>
図6は、検査装置200の構成を示すブロック図である。検査装置200は、
図1に示したRFIDリーダ221、コンピュータ222、表示部223、RFIDアンテナ224、赤外線カメラ225、可視光カメラ226のほか、バーコードリーダ228及び通信部229を備えている。また、コンピュータ222は、図示しないプロセッサ、メモリ等によって構成され、プロセッサが検査プログラムを実行することで、識別部230及び判定部231が構成される。
【0098】
RFIDリーダ221、RFIDアンテナ224、及び遊技用貨幣Cに埋め込まれたRFIDタグ503によって、RFIDシステムが構成される。遊技用貨幣Cに埋め込まれたRFIDタグ503に記憶された遊技用貨幣Cの貨幣情報は、RFIDリーダ221によって非接触で読み出され、コンピュータ222における処理に用いられる。
【0099】
赤外線カメラ225は、赤外線のみを透過する赤外線透過フィルタを含み、赤外線像を撮像する。赤外線カメラ225の撮影によって生成された赤外線画像はコンピュータ222に送信されて、識別部230の処理に供される。可視光カメラ226は、可視領域の光の像を撮像する。可視光カメラ226の撮影によって生成された可視光画像もコンピュータ222に送信されて、識別部230の処理に供される。
図1に示したように、赤外線カメラ225及び可視光カメラ226は、ケース100の上方からケース100に向けられており、ケース100の上部101越しにケース100内の複数の遊技用貨幣Cの側面を撮影する。
【0100】
バーコードリーダ228は、ケース100に付されたバーコードBCを読み取って後述するケース識別情報を取得する。表示部223は、コンピュータ222の判定部231の判定結果を表示する。通信部229は、工場Fに設置された製造管理装置302や遊技場Pに設置された使用管理装置303との間でデータの通信を行う。
【0101】
<ケースの構成>
図7は、ケース100の斜視図である。ケース100は、上部101と下部102とが合わさって構成される。本実施の形態では、上部101及び下部102は、透明の樹脂でできている。上記のように本実施の形態の検査装置200は、赤外線カメラ225及び可視光カメラ226(以下単にカメラという。)が受入部210の上方に設置されているので、ケース100は少なくとも上面が光を透過する必要がある。すなわち、ケース100には、それが検査装置200の受入部210に受け入れられたときにカメラとの間に位置する部分が光を透過する光透過部分である必要がある。なお、本実施の形態では、ケース100が上部101と下部102とからなる密閉構造であったが、光透過部分が穴あき状態となっていてもよい。
【0102】
ケース100は、上述のように、それぞれ20枚の遊技用貨幣Cが重ねて収容される5本のカラムが並列に形成された形状を有し、
図7の例では、上部101及び下部102が収容される遊技用貨幣Cの形状に概略沿うように、各カラムの断面が多角形(8角形)になっている。
【0103】
図8は、変形例のケース100´の斜視図であり、
図9は、このケース100´の平面図である。ケース100´も透明の樹脂で構成される上部101´と下部102とからなる。本変形例では、カメラに面する上部101´の上面が平面で形成されている。このように、カメラに面する面を平面とすることで、
図9に示すように、カメラには、ケース100´の多角形断面の角による線状の影が映りこまず、カメラの撮影画像に対する画像解析において、遊技用貨幣Cの側面の情報を正確に識別できる。
【0104】
<検査システムの利用態様>
図10は、遊技用貨幣Cの流通とともに検査システム1の利用態様の例を説明する図である。遊技用貨幣Cは、工場Fの製造装置301によって製造されて(s1)、100枚ずつケース100に収容される(s2)。ケース100は、遊技用貨幣Cを収容した後に、工場Fにおいて封印シールによって封印される。また、ケース100には、このケース100を唯一に特定するためのケース識別情報を示すバーコードBCが側面に貼付される(s3)。
【0105】
このとき、工場Fの製造管理装置302には、ケース100に貼付されたバーコードBCのケース識別情報が入力される(s4)。また、遊技用貨幣Cを収容したケース100は、検査装置200にかけられて、遊技用貨幣Cに付与された貨幣情報(詳細は後述する)が読み取られ、合否の検査が行われる。そして、ケース100に収容された遊技用貨幣Cから読み取られた貨幣情報は、製造管理装置302に送られて(s5)、製造管理装置302にてケース識別情報と関連付けられる。なお、製造管理装置302は、パーソナルコンピュータであってよい。
【0106】
工場Fの検査装置200において合格となったケース100は、工場Fから遊技場Pに搬送される(s6)。ケース100は、遊技場Pにおいて、まず保管庫Rに保管される(s7)。保管庫Rには検査装置200が設置されており、工場Fから届いたケース100はこの検査装置200で検査される。
【0107】
一方、工場Fの製造管理装置302からは、ケース識別情報とそれに関連付けられた貨幣情報が遊技場Pの使用管理装置303に送信される。使用管理装置303は、遊技用貨幣Cを収容した複数のケース100の各々について、製造管理装置302からケース識別情報とそれに関連付けられた貨幣情報を取得し、それをケース100ごとに記憶する記憶部を備えている。なお、使用管理装置303は、パーソナルコンピュータであってよい。
【0108】
保管庫Rの検査装置200での検査では、この使用管理装置303に記憶された情報を用いて検査が行われる。保管庫Rでの検査で合格となったケース100は、ゲームテーブルTに運ばれ(s9)、あるいはキャッシャCAに運ばれる(s10)。ゲームテーブルT及びキャッシャCAもそれぞれ検査装置200を備えており、遊技用貨幣Cを収容したケース100は、封印をしたままでそれらの検査装置200によって検査される。また、ゲームテーブルT及びキャッシャCAでは、使用済の遊技用貨幣Cを収容したケース100の検査も行われ、その検査にも検査装置200が用いられる。遊技場Pの3つの検査装置200における検査では、製造管理装置302から送信されて使用管理装置303に記憶されたケース識別情報及びそれに関連付けれられた貨幣情報が参照される。
【0109】
<記憶される情報の構成>
図11は、製造管理装置302にて生成されて使用管理装置303に送信され、使用管理装置303に記憶される情報の内容の例を示す図である。情報は、ケース100ごとに生成され、各ケース識別情報(Ca1、Ca2、Ca3、・・・)には、当該ケース100に収容された複数(本実施の形態では100枚)の遊技用貨幣Cの貨幣情報が関連付けられる。
【0110】
貨幣情報として、RFIDタグ503には、当該遊技用貨幣Cを唯一に特定する個別識別情報(aa、ab、ac、・・・、du、dv)と、当該遊技用貨幣Cの価値(種類)を特定する情報(r、r、r、・・・、b、b)との組み合わせからなる情報が記憶され、側面の表記情報には、当該遊技用貨幣Cを唯一に特定する個別識別情報(00001、00002、00003、・・・、00099、00100)と、当該遊技用貨幣Cの価値(種類)を特定する情報(1、1、1、・・・、2、2)との組み合わせからなる情報が記憶され、側面の色の情報には、当該遊技用貨幣Cの価値(種類)を特定する情報(赤、赤、赤、・・・、青、青)が記憶される。
【0111】
このRFIDタグ503に記憶される情報は、RFIDリーダ221によって電磁的に読み取り可能な情報であって、本発明の第1貨幣情報に該当し、側面に付与される表記情報及び色の情報は、光学的に読み取り可能な情報であって、本発明の第2貨幣情報に該当する。
【0112】
<読み出される情報の構成>
図12は、検査装置200において、1つのケース100からバーコードリーダ228、RFIDリーダ221、赤外線カメラ225、及び可視光カメラ226によってそれぞれ取得される情報の内容の例を示す図である。RFIDリーダ221からは、複数の遊技用貨幣Cに内蔵されているRFIDタグ503に記憶された英文字列が読み出される。赤外線カメラ225からは、側面に表記された表記情報である数字列が読み出される。また、可視光カメラ226からは、側面の色が読み出される。識別部230は、赤外線カメラ225から読み出された数字列(の画像)を解析して、数字を識別して、数字列からなる情報を特定し、可視光カメラ226から読み出された側面の画像から指定色を特定する。
【0113】
ここで、複数の遊技用貨幣Cの側面の表記情報及び指定色の情報は、ケース100における遊技用貨幣Cの並び順に従って取得することができるが、複数のRFIDタグ503から取得した情報は、遊技用貨幣Cの並び順に従って取得することはできない。すなわち、RFIDタグ503の情報が、どの遊技用貨幣Cから得られたものであるかを特定することはできない。
【0114】
<合否判定方法>
次に、検査装置200のコンピュータ222における合否の判定の方法について説明する。上述のように、識別部230は、RFIDリーダ221の読取結果に基づいて、ケース100に収容された複数の遊技用貨幣CのRFIDタグ503に記憶された貨幣情報を特定し、赤外線カメラ225で得られた赤外線像を解析して表記情報が示す貨幣情報を特定し、可視光カメラ226で得られた可視光像を解析して指定色層501の色を特定する。判定部231は、これらの情報に基づいて、ケースに存在するすべての遊技用貨幣の真贋・破損もしくは価値毎の枚数を判定し、当該ケース100の合否を判定する。以下の説明では、RFIDタグ503に記憶された貨幣情報を第1貨幣情報といい、遊技用貨幣Cの側面に付与された表記情報及び指定色層501の色の情報を第2貨幣情報という。
【0115】
(第1の合否判定方法)
第1の合否判定方法では、
図13に示すように、同一の遊技用貨幣Cにおける第1貨幣情報と第2貨幣情報とを同一の情報とする。
図13の例では、第1貨幣情報が各遊技用貨幣Cの個別識別情報と価値の情報からなる情報であり、これと同じ内容が第2貨幣情報として表記情報の形式で側面に表記されている。
【0116】
RFIDリーダ221は、遊技用貨幣CのRFIDタグ503から第1貨幣情報を読み出して、識別部230に出力し、赤外線カメラ225は、遊技用貨幣Cの側面を撮影して、識別部230が第2貨幣情報を特定する。この場合に、識別部230では、複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報との対応関係が不明となっている。
【0117】
判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報とを比較して、それらが一対一で完全に対応する場合、すなわち、すべての第1貨幣情報が、重複することなくいずれかの第2貨幣情報と一致する場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを合格と判定し、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報とが完全には一致しない場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定する。
【0118】
識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報とが完全には一致しない場合としては、ケース100に収容されたいずれかの遊技用貨幣Cが偽造されたものである場合や、いずれかの遊技用貨幣CのRFIDタグ503又は側面が破損している場合が考えられる。すなわち、判定部231は、ケース100に存在するすべての遊技用貨幣Cの真贋・破損を判定することで、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cの合否を判定する。
【0119】
(第2の合否判定方法)
第2の合否判定方法でも、
図14に示すように、同一の遊技用貨幣Cにおける第1貨幣情報と第2貨幣情報とは同一の情報である。
図14の例では、第1貨幣情報が各遊技用貨幣Cの価値の情報であり、各遊技用貨幣Cには側面の指定色層501に第2貨幣情報として指定色が与えられている。
【0120】
RFIDリーダ221は、遊技用貨幣CのRFIDタグ503から第1貨幣情報を読み出して、識別部230に出力し、可視光カメラ226は、遊技用貨幣Cの側面を撮影して、識別部230がこの画像を解析して、第2貨幣情報(指定色層501の色)を特定する。
【0121】
この場合には、識別部230では、複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報との対応関係が不明となっており、また、複数の第1貨幣情報には互いに重複するものがあり、複数の第2貨幣情報にも互いに重複するものがある。なお、
図14の第1貨幣情報及び第2貨幣情報において、「r」は赤色、「b」は青色、「y」は黄色、「g」は緑色をそれぞれ表している。
【0122】
判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報における各指定色(赤色、青色、黄色、緑色)の数と、複数の第2貨幣情報における各指定色(赤色、青色、黄色、緑色)の数とが何れも一致する場合には、合格と判定し、一致しない場合には、不合格と判定する。
【0123】
第1貨幣情報における各指定色の数と、複数の第2貨幣情報における各指定色の数とが一致しない場合としては、ケース100に収容されたいずれかの遊技用貨幣Cが偽造されたものである場合や、いずれかの遊技用貨幣Cの側面が破損している場合が考えられる。すなわち、判定部231は、ケース100に存在するすべての遊技用貨幣Cの価値毎の枚数を判定することで、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cの合否を判定する。
【0124】
(第3の合否判定方法)
第3の合否判定方法では、
図15に示すように、同一の遊技用貨幣Cにおける第1貨幣情報と第2貨幣情報とは異なる情報である。
図15の例では、遊技用貨幣CのRFIDタグ503には、第1貨幣情報として英文字列の情報が記憶され、遊技用貨幣Cの側面には第2貨幣情報として数字列の表記情報が表記されている。
【0125】
RFIDリーダ221は、遊技用貨幣CのRFIDタグ503から第1貨幣情報を読み出して、識別部230に出力し、赤外線カメラ225は、遊技用貨幣Cの側面を撮影して、識別部230が第2貨幣情報を特定する。この場合に、識別部230では、複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報との対応関係が不明となっている。
【0126】
使用管理装置303には、このケース100のケース識別情報に関連付けて、第1貨幣情報及び第2貨幣情報が記憶されている。判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第1貨幣情報とを比較して、それらが一対一で完全に対応するか否かを判断する。また、判定部231は、識別部230で得られた複数の第2貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第2貨幣情報とを比較して、それらが一対一で完全に対応するか否かを判断する。
【0127】
判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第1貨幣情報とが一対一で完全に対応し、すなわち、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報が、重複することなく、使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第1貨幣情報のいずれかと一致し、かつ、識別部230で得られた複数の第2貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第2貨幣情報とが一対一で完全に対応する場合、すなわち、識別部230で得られた複数の第2貨幣情報が、重複することなく、使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第2貨幣情報のいずれかと一致する場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを合格と判定し、複数の第1貨幣情報のいずれかが一致せず、又は複数の第2貨幣情報のいずれかが一致しない場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定する。
【0128】
複数の第1貨幣情報のいずれかが記憶されている情報と一致せず、又は複数の第2貨幣情報のいずれかが記憶されている情報と一致しない場合としては、ケース100に収容されたいずれかの遊技用貨幣Cが偽造されたものである場合や、いずれかの遊技用貨幣CのRFIDタグ503又は側面が破損している場合が考えられる。すなわち、判定部231は、ケース100に存在するすべての遊技用貨幣Cの真贋・破損を判定することで、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cの合否を判定する。
【0129】
(第4の合否判定方法)
第4の合否判定方法では、
図16に示すように、同一の遊技用貨幣Cにおける第1貨幣情報と第2貨幣情報とは異なる情報である。
図16の例では、遊技用貨幣CのRFIDタグ503には、第1貨幣情報として英文字列の情報が記憶され、遊技用貨幣Cの側面の指定色層501は第2貨幣情報として価値に応じた指定色に着色されている。
【0130】
RFIDリーダ221は、遊技用貨幣CのRFIDタグ503から第1貨幣情報を読み出して、識別部230に出力し、可視光カメラ226は、遊技用貨幣Cの側面を撮影して、識別部230に出力し、識別部230はこの撮影画像を分析して第2貨幣情報である指定色を特定する。この場合に、識別部230では、複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報との対応関係が不明となっている。
【0131】
使用管理装置303には、このケース100のケース識別情報に関連付けて、第1貨幣情報及び第2貨幣情報が記憶されている。判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第1貨幣情報とを比較して、それらが一対一で完全に対応するか否かを判断する。また、判定部231は、識別部230で得られた複数の第2貨幣情報における各指定色の数と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第2貨幣情報における各指定色の数とを比較して、各指定色について数が一致するか否かを判断する。
【0132】
判定部231は、識別部230で得られた複数の第1貨幣情報と使用管理装置303に記憶されている当該ケース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第1貨幣情報とが一対一で完全に対応し、かつ、識別部230で得られた複数の第2貨幣情報における各指定色の数と使用管理装置303に記憶されている当該エース100のケース識別情報に関連付けられた複数の第2貨幣情報における各指定色の数とがいずれも一致する場合に、当該ケース100を合格と判定し、複数の第1貨幣情報のいずれかが一致せず、又は複数の第2貨幣情報における各指定色のいずれかの数が一致しない場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定する。
【0133】
複数の第1貨幣情報のいずれかが記憶されている情報と一致せず、又は複数の第2貨幣情報における各指定色のいずれかの数が一致しない場合としては、ケース100に収容されたいずれかの遊技用貨幣Cが偽造されたものである場合や、いずれかの遊技用貨幣CのRFIDタグ503又は側面が破損している場合が考えられる。すなわち、判定部231は、ケース100に存在するすべての遊技用貨幣Cの真贋・破損及び価値毎の枚数を判定することで、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cの合否を判定する。
【0134】
(第5の合否判定方法)
第5の合否判定方法では、
図17に示すように、同一の遊技用貨幣Cにおける第1貨幣情報と第2貨幣情報とは異なる情報である。
図17の例では、遊技用貨幣CのRFIDタグ503には、第1貨幣情報として数字列からなる個別識別情報が記憶され、遊技用貨幣Cの側面には第2貨幣情報として遊技用貨幣Cの価値の情報が指定色層501の指定色の形式で付与されている。
【0135】
RFIDリーダ221は、遊技用貨幣CのRFIDタグ503から第1貨幣情報を読み出して、識別部230に出力し、可視光カメラ226は、遊技用貨幣Cの側面を撮影して、識別部230に出力し、識別部230はこの撮影画像を分析して第2貨幣情報である指定色を特定する。この場合に、識別部230では、複数の第1貨幣情報と複数の第2貨幣情報との対応関係が不明となっている。
【0136】
使用管理装置303には、第1貨幣情報と第2貨幣情報との対応関係が記憶されている。
図17の例では、遊技用貨幣Cを唯一に特定する個別識別情報と、側面の指定色層501の指定色、すなわち遊技用貨幣Cの価値の情報とが対応付けられており、個別識別情報を指定するとその遊技用貨幣Cの価値が分かるようになっている。なお、本例の場合には、使用管理装置303は、第1貨幣情報と第2貨幣情報との組み合わせをケース識別情報ごとに記憶しておく必要はない。換言すれば、本例では、ケース識別情報を用いずにケース100に収容された遊技用貨幣Cの検査を行うことができる。
【0137】
判定部231は、使用管理装置303に記憶された第1貨幣情報から、識別部230が識別した第1貨幣情報に対応する第1貨幣情報を特定し、当該第1貨幣情報に対応付けられた第2貨幣情報、すなわち価値を特定する。判定部231は、これを識別部230にて識別されたすべての第1貨幣情報について行うことで、1ケースについて使用管理装置303から抽出された複数の第2貨幣情報における各価値の数を得ることができる。
【0138】
判定部231は、このようにして得られた各価値の数と、識別部230から当該ケース100について識別された第2貨幣情報における各価値の数とを比較する。判定部231は、各価値の数がいずれも一致する場合には、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを合格と判定し、いずれかの価値の数が一致しない場合には、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定する。
【0139】
使用管理装置303から抽出された複数の第2貨幣情報における各価値の数と、識別部230から当該ケース100について識別された第2貨幣情報における各価値の数とが一致しない場合としては、ケース100に収容されたいずれかの遊技用貨幣Cが偽造されたものである場合や、いずれかの遊技用貨幣CのRFIDタグ503又は側面が破損している場合が考えられる。すなわち、判定部231は、ケース100に存在するすべての遊技用貨幣Cの真贋・破損及び価値毎の枚数を判定することで、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cの合否を判定する。
【0140】
なお、図示は省略するが、第1貨幣情報として遊技用貨幣Cの価値が記憶され、第2貨幣情報として遊技用貨幣Cの個別識別情報が記憶される場合にも、上記と同様にして合否の判定をすることができる。
【0141】
以上、第1~第5の合否判定方法を説明したが、判定部231は、上記の合否判定方法を組み合わせて採用してもよい。また、判定部231は、上記の合否判定方法に加えて、ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cから読み取られた第1貨幣情報及び第2貨幣情報の数がいずれも所定数(本実施の形態では100)でない場合に、当該ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定してもよい。
【0142】
上記の第1及び第2の合否判定方法は、遊技場Pに設置された使用管理装置303に記憶された情報を用いないで実行できる合否判定方法であり、工場F内の検査装置200で実行されるのに適しており、第3~第5の合否判定方法は、遊技場Pに設置された使用管理装置303に記憶された情報を用いる合否判定方法であり、遊技場P内の検査装置200で実行されるのに適しているが、遊技場P内の検査装置200が第1又は第2の合否判定方法を採用してもよい。遊技場P内のすべての検査装置200が第1又は第2の合否判定方法のように使用管理装置303に記憶された情報を用いない合否判定方法を採用する場合には、使用管理装置303は省略することができる。
【0143】
また、遊技場Pの検査装置200では、使用済の遊技用貨幣Cを収容したケース100の検査も行うが、この場合には、当該ケースに収容されているべき遊技用貨幣の情報を記憶しておく必要がない第1、第2、又は第5の合否判定方法を採用することができる。
【0144】
また、上記の実施の形態では、遊技用貨幣Cが第1貨幣情報及び/又は第2貨幣情報として、個別識別情報及び/又は価値の情報を有していた。ここで、個別識別情報は、各遊技用貨幣Cを唯一に特定する情報であるのに対して、価値の情報は複数の遊技用貨幣Cにおいて互いに重複し得る情報であり、各遊技用貨幣が所属するグループを示す情報(グループ情報)ということもできる。本実施の形態は、この所属するグループのグループ情報として、価値に代えて、又は価値に加えて、例えば、遊技用貨幣の製造時期、製造者、及び/又は使用される遊技場の情報を採用することもできる。
【0145】
すなわち、第1貨幣情報及び第2貨幣情報が、いずれも当該遊技用貨幣を識別する個別識別情報を含んでいてよく、第1貨幣情報及び第2貨幣情報が、いずれも当該遊技用貨幣が属するグループを示すグループ情報を含んでいてよく、第1貨幣情報が当該遊技用貨幣を識別する個別識別情報を含み、かつ、第2貨幣情報が当該遊技用貨幣の属するグループのグループ情報を含んでいてよく、あるいは、第1貨幣情報が当該遊技用貨幣の属するグループのグループ情報を含み、かつ、第2貨幣情報が当該遊技用貨幣を識別する個別識別情報を含んでいてよい。
【0146】
<合否判定の結果表示>
図18及び
図19は、判定部231における合否判定の結果を示す合否結果表示画面の例を示す図である。これらの合否結果表示画面は、コンピュータ222が判定部231における合否判定の結果に基づいて生成し、表示部223にて表示される。
図18は、合格の場合の表示画面の例を示しており、
図19は、不合格の場合の表示画面の例を示している。
【0147】
図18及び
図19示すように、合否結果表示画面800には、識別部230が遊技用貨幣Cから読み出した第1貨幣情報と第2貨幣情報との組み合わせの数であるトータル検出数801と、正しい遊技用貨幣Cの枚数802と、不正な遊技用貨幣Cの枚数803と含んでいる。
【0148】
コンピュータ222は、第1貨幣情報の数と第2貨幣情報の数のうちの大きい方をトータル検出数801とする。例えば、ケース100内に遊技用貨幣Cが100枚収容されているが、そのうちの1枚がRFIDタグ503を内蔵していない場合には、識別部230は、複数の遊技用貨幣Cから100個の第2貨幣情報を特定するが、第1貨幣情報は99個しか得られないことになる。この場合には、コンピュータ222は、第1貨幣情報及び第2貨幣情報のうちの大きい方である100をトータル検出数801とする。
【0149】
コンピュータ222は、上記の第1又は第2の合否判定方法の場合には、互いに一致すると判定された第1貨幣情報と第2貨幣情報との組み合わせの数を正しい遊技用貨幣Cの枚数802とし、トータル検出枚数801から正しい遊技用貨幣Cの枚数を引いた数を不正の遊技用貨幣Cの枚数803とする。
【0150】
コンピュータ222は、上記の第3又は第4の合否判定方法の場合には、使用管理装置303に記憶された第1貨幣情報との対応関係が確認された第1貨幣情報の数、及び使用管理装置303に記憶された第2貨幣情報との対応関係が確認された第2貨幣情報の数のうちの小さい方を正しい遊技用貨幣Cの枚数802とし、トータル検出枚数801から正しい遊技用貨幣Cの枚数を引いた数を不正の遊技用貨幣Cの枚数803とする。
【0151】
コンピュータ222は、上記の第5の合否判定方法の場合には、使用管理装置303に記憶された第2貨幣情報との対応関係が確認された第2貨幣情報の数を正しい遊技用貨幣Cの枚数802とし、トータル検出枚数801から正しい遊技用貨幣Cの枚数を引いた数を不正の遊技用貨幣Cの枚数803とする。
【0152】
合否結果表示画面800には、識別部230が遊技用貨幣Cから読み出した貨幣情報を表示する貨幣情報表示部804が含まれる。貨幣情報表示部804では、使用管理装置303に記憶されている貨幣情報が読み取られた場合、又は、第1貨幣情報と第2貨幣情報とが一致している場合には、その貨幣情報が色付きで表示され、使用管理装置303に記憶されているが読み出されなかった貨幣情報が白抜きで表示される(
図19参照)。
【0153】
また、合否結果表示画面800には、使用管理装置303に記憶されていない貨幣情報が読み取られた場合、又は、第1貨幣情報と第2貨幣情報とが一致しなかった場合には、その貨幣情報が不正な貨幣情報805として、貨幣情報表示部804の外に表示される。
【0154】
<変形例>
(検査装置のRFIDアンテナ)
図20は、検査装置200のRFIDアンテナ224の変形例を示す図である。なお、
図20では、アーム227及び赤外線カメラ225及び可視光カメラ226の図示は省略している。上記の実施の形態では、RFIDアンテナ224は、左右の側壁211に内蔵されていたが、RFIDアンテナ224は、底部213に内蔵されていてもよい。この場合にも、RFIDアンテナ224は、底部213の内部で渦巻き状に配置される。
【0155】
(遊技用貨幣)
図21は、変形例の遊技用貨幣C´の側面図である。上記の実施の形態の遊技用貨幣Cは、指定色層501が共通色層502によって挟まれていたが、
図21の例では、遊技用貨幣C´は、中央を共通色層502として、その両側(上下)を指定色層501として構成されている。
図21の例では、遊技用貨幣C´の側面には、コード情報505´として、7桁の数字列で表される個別識別情報が表記(印刷)されている。
図21の例では、表記情報であるコード情報505´を中央の共通色層502に表記されている。この場合のコード情報505´は、10の7乗種類の情報を表現することができる。
【0156】
さらに、上記の実施の形態の遊技用貨幣Cについて説明した、標識mの有無で表現されるコード情報505と、
図21に例示した数字列のコード情報505´のいずれもが、遊技用貨幣Cの側面に表記されていてもよ。この場合に、標識mによるコード情報505と数字列のコード情報505´とが異なるインクで印刷されていてもよい。例えば、標識mによるコード情報505は赤外線反応インクで印刷され、数字列によるコード情報505´は紫外線反応インクで印刷されてもよい。この場合には、遊技用貨幣Cの側面を撮影するために赤外線カメラと紫外線カメラが用意され、赤外線カメラで標識mによるコード情報505を読み取り、紫外線カメラで数字列によるコード情報505´を読み取るようにしてよい。
【0157】
図22は、他の変形例の遊技用貨幣C´´の側断面図である。遊技用貨幣C´´は、複数の色の異なるプラスチックの層が積層され、少なくとも中間に指定色層(着色層)501を備え、この中間の指定色層501の両側に共通色層(白色又は薄色の層)502を積層した多層構造となっている。なお、共通色層502の色は、指定色層501の色より薄いことが望ましい。このように、遊技用貨幣C´´において、指定色層501を備え、この中間の指定色層501の両側に共通色層502を積層した多層構造とすることで、
図23に示すように、側面に積層方向の縞模様を形成し、指定色層501の色を変える(赤色、緑色、黄色や青色等)ことにより遊技用貨幣C´´の種類(10ポイント、20ポイント、100ポイント、1000ポイントなど)を特定できるようにしている。
【0158】
図23は、積み重ねられた遊技用貨幣C´´の斜視図であり、
図24は、遊技用貨幣C´´の側面図であり、
図25は、遊技用貨幣C´´の平面図である。
図23に示すように、遊技用貨幣C´´は、共通色層502の表面(上面と下面)に遊技用貨幣C´´の種類(価値)を表す印刷507(100ポイントなど)が施され、最外層に透明層504が設けられ、各層間が熱圧着されて少なくとも5層構造をなしている。これらの遊技用貨幣C´´は、細長い長尺状のプラスチック材料を用い、長尺の状態で各層(指定色層501、共通色層502、透明層504)の間が熱圧着されて密着した状態(5層構造等)を形成し、その後にプレス等により円形あるいは長方形等に打ち抜いて形成される。プレスにより打ち抜く際に打ち抜きのための金型のダイとポンチの寸法を設計して最外層の透明層504の端にR加工(丸い角)が施される。
【0159】
図23は、積み重ねられた遊技用貨幣C´´の斜視図であり、
図24は、遊技用貨幣C´´の側面図であり、
図25は、遊技用貨幣C´´の平面図である。
図23に示すように、遊技用貨幣C´´は、共通色層502の表面(上面と下面)に遊技用貨幣C´´の種類(価値)を表す印刷507(100ポイントなど)が施され、最外層に透明層504が設けられ、各層間が熱圧着されて少なくとも5層構造をなしている。これらの遊技用貨幣C´´は、細長い長尺状のプラスチック材料を用い、長尺の状態で各層(指定色層501、共通色層502、透明層504)の間が熱圧着されて密着した状態(5層構造等)を形成し、その後にプレス等により円形あるいは長方形等に打ち抜いて形成される。プレスにより打ち抜く際に打ち抜きのための金型のダイとポンチの寸法を設計して最外層の透明層504の端にR加工(丸い角)が施される。
【0160】
印刷507(100ポイントなど)が施された最外層の透明層504の端はR加工(R)が施され、遊技用貨幣C´´の打ち抜き工程において、共通色層502の表面が変形して側面に現れるのを防止している。また、遊技用貨幣C´´は鋭利な端が残り手や他の遊技用貨幣C´´を損傷するのを防いでいる。
【0161】
指定色層501は、
図22に示すように、指定色に着色された複数の層(
図22では3層)により形成されてもよい。指定色に着色された複数の層(
図22では3層)は互いに熱圧着されているので、
図22のように3層構造が目視可能な状態ではなく、
図2は説明上、指定色層501の3層を表している。さらには指定色層501の3層の内真ん中の層には一部くり抜きBが設けられ、RIFDタグ503はその中に内蔵される。
【0162】
図2、
図21、及び
図22に示したように、遊技用貨幣C、C´、C´´は、積層した多層構造になっており、側面に積層方向の縞模様がくっきりと形成されているので、従来チップに比べて、画像分析によって指定色層501の色(遊技用貨幣の種類)及び枚数の測定を容易かつ正確に行うことが可能となる。
図26は、積み重ねられた遊技用貨幣を撮影して得られた画像の例を示す図である。
図26に示すように、可視光カメラ226によって遊技用貨幣Cの側面を撮影することで、指定色層501を明確に識別することができる。さらに、この画像解析に人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術を用いれば、画像の分析、判定がより正確に可能となる。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術は当業者ですでに既知で利用可能であるため、詳細な説明を略する。
【0163】
(封印の検出)
上述のように、ケース100は、所定枚数の遊技用貨幣Cを収容した後に封印シールによって封印される。封印は、収容された前記遊技用貨幣を取出し可能に開けると破壊される。検出装置200は、ケース100に貼られた未破壊の封印を検出する検出部を備えていてよい。検出部は、光学的又は磁気的に封印を検出するものであってよい。この場合には、判定部231は、検出部にて未破壊の封印が検出されない場合には、ケース100に収容された複数の遊技用貨幣Cを不合格と判定する。
【0164】
(検査装置の構成要素の配置)
上記の実施の形態では、
図6に示したように、検査装置200のすべての構成要素が1つの装置に配置されていたが、これらが分散配置されてもよい。例えば、コンピュータ222、表示部223、通信部224の一部又は全部が検査装置200に接続されたパーソナルコンピュータによって実現されてもよい。分散配置された構成要素は、有線又は無線によって通信可能に接続されてよく、間にインターネット等のネットワークを介して接続されてもよい。
【0165】
さらに、
図27、
図28に示すように、赤外線カメラ225及び/又は可視光カメラ226とアーム227とを検査装置200とは別体として、これらのカメラをコンピュータ222と接続するようにしてもよい。
図27は、赤外線カメラ225又は可視光カメラ226のいずれかのみが検査装置200とは別体で設けられる例を示しており、
図28は赤外線カメラ225が検査装置200とは別体で設けられるとともに、可視光カメラ225が検査装置200と一体に設けられる例を示している。なお、赤外線カメラ225及び可視光カメラ226に加えて、第3のカメラとして紫外線カメラが紫外線ランプとともに設けられてもよいし、
図27及び
図28のいずれかのカメラが、紫外線ランプを伴う紫外線カメラであってもよい。
【0166】
(貨幣情報)
上記の実施の形態では、遊技用貨幣Cは、RFIDタグ503に貨幣情報が記憶されており、側面にも貨幣情報としてのコード情報505が表記されており、また、側面の指定色層501の指定色もその遊技用貨幣Cの価値を表す貨幣情報として扱われ、1つの遊技用貨幣Cがこれらの3つの貨幣情報を有していたが、本発明はこれに限られず、遊技用貨幣Cがこれらのうちの2つの貨幣情報のみを有していてもよい。遊技用貨幣Cが2つの貨幣情報を有していれば、第1~第5の合否判定方法を実行可能である。
【0167】
また、上記の第1~第5の合否判定方法では、2つの貨幣情報を用いたが、遊技用貨幣Cが3つの貨幣情報を有している場合に、判定部231は、これらの3つの貨幣情報を用いて合否の判定を行ってよい。
【0168】
(表示部)
上記の実施の形態では、表示部223が液晶パネルで構成される例を説明したが、表示部223は単に合否のみを示すランプであってよく、トータル検出数801、正しい遊技用貨幣Cの枚数802、及び不正な遊技用貨幣Cの枚数803のみをデジタル表示するランプであってもよい。
【0169】
(価値の総額計算)
上記の実施の形態の判定部231は、上述のように、ケース100に収容される複数の遊技用貨幣Cの各価値の数を特定可能である。そこで、判定部231は、さらに、この各価値の数に基づいて、ケース100に収容される複数の遊技用貨幣Cの価値の総額を計算してもよい。算出された総額は、表示部233に表示される合否結果表示画面(
図18、
図19参照)において表示されてよい。