(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037763
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】内部チャネルを有する3Dプリントインプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/12 20060101AFI20240312BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240312BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240312BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240312BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240312BHJP
【FI】
A61F2/12 ZBP
B33Y80/00
B33Y50/02
B29C64/118
B33Y10/00
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202360
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2021518991の分割
【原出願日】2019-06-12
(31)【優先権主張番号】18177214.6
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520489628
【氏名又は名称】ベラセノ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BELLASENO GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】チャヤ, モヒット パラシャント
(72)【発明者】
【氏名】デサイ, アルピタ
(72)【発明者】
【氏名】カニ, ネーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ルカロッティ, ザラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者に挿入するためのインプラント(52)を提供する。
【解決手段】インプラントは層の3次元プリント構造を含む。各層は3次元プリント構造の充填パターンを含み、各層の該充填パターンは一連の充填ラインを含む。インプラントは複数の中空チャネル(21)を含む。層は、複数の中空チャネルがインプラント内に形成されるように互いに重ねられて配置され、各チャネルの壁部は、層のプリント構造における複数の層の充填ラインのセクションによって形成される。少なくとも1つの中空チャネル(21)は、インプラントの第1外面とインプラントの第2外面との間に延在する。少なくとも1つの中空チャネルは、インプラントの第1外面に対して垂直の基準軸(37)に対して傾斜する方向に向く。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に挿入するためのインプラント(16、33、52、61、62)であって、該イ
ンプラントは、
層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造と、
複数の中空チャネル(21)とを含み、
それぞれの前記層(71、72)は前記3次元プリント構造の充填パターン(76、7
7)を含み、それぞれの前記層の前記充填パターン(76、77)は一連の充填ラインを
含み、
前記層(71、72)は、前記複数の中空チャネル(21)が前記インプラント内に形
成されるように互いに重ねられて配置され、それぞれの前記チャネル(21)の壁部は、
前記層のプリント構造における複数の層の前記充填ラインのセクションによって形成され
、
少なくとも1つの中空チャネル(21)は、前記インプラントの第1外面と前記インプ
ラントの第2外面との間に延在し、
前記少なくとも1つの中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面に対
して垂直の基準軸に対して傾斜する方向(53)に向く、インプラント。
【請求項2】
前記インプラントの前記第1外面及び前記第2外面は対向する面である、請求項1に記
載のインプラント。
【請求項3】
前記第1外面は、前記3次元(3D)プリント構造の第1層によって形成された2次元平面
に対して平行である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1外面は前記インプラントの最大平板状面である、請求項1に記載のインプラン
ト。
【請求項5】
チャネルの長手方向軸と前記基準軸との角度は10度~85度の間である、請求項1に
記載のインプラント。
【請求項6】
前記層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層
とを含み、
前記第1組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含み、
前記第2組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含み、
前記第1組の層の前記充填ラインは第1方向に向き、前記第2組の層の前記充填ライン
は、前記第1方向と異なる第2方向に向き、
前記第1組の層の前記奇数層における前記充填パターンの部分は、前記第1組の層の第
1充填層における前記充填パターンの部分に対して移動している、請求項1に記載のイン
プラント。
【請求項7】
前記第2組の層の前記偶数層における前記充填パターンの部分は、前記第2組の層の第
1充填層における前記充填パターンの部分に対して移動している、請求項6に記載のイン
プラント。
【請求項8】
第1奇数層の第1充填ライン(10211)と第2奇数層の第1充填ライン(1023
1)との間の横方向オフセット値は、前記第1奇数層の前記第1充填ライン(10211
)と前記第1奇数層の隣接する第2充填ライン(10212)との間の距離の0%~50
%の間である、請求項6又は7に記載のインプラント。
【請求項9】
第1奇数層の第1充填ライン(10211)と第2奇数層の第1充填ライン(1023
1)との間の横方向オフセット値は、前記第1奇数層の前記第1充填ライン(10211
)と前記第1奇数層の隣接する第2充填ライン(10212)との間の距離の50%~1
00%の間である、請求項6又は7に記載のインプラント。
【請求項10】
前記複数の中空チャネルは、前記インプラントの前記第1外面又は前記第2外面の所定
の領域(97)に向かって集中する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記所定の領域(97)は、前記インプラントの前記第1外面又は前記第2外面を超え
て位置する集中点である、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
少なくとも1つの中空チャネルはテーパー状チャネルである、請求項1又は10に記載
のインプラント。
【請求項13】
前記テーパー状チャネルは、前記インプラントの下面における前記チャネルの開口部の
サイズが5~10mmの範囲であり、前記インプラントの上面における前記チャネルの開
口部のサイズが0.5~5mmの範囲であるように構成される、請求項12に記載のイン
プラント。
【請求項14】
前記複数の中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネルは、前記インプラント
の前記第1外面における第1開口部、及び前記インプラントの前記第2外面における第2
開口部を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記複数の中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネルは、傾斜部分及び少な
くとも1つの非傾斜部分を含み、前記チャネルの前記非傾斜部分は前記インプラントの1
つ以上の最外層を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
前記インプラントの前記非傾斜部分は、前記インプラントの前記第1外面又は前記イン
プラントの前記第2外面における前記チャネルの開口部と、前記インプラントの前記傾斜
部分との間に位置する、請求項15に記載のインプラント。
【請求項17】
前記複数の中空チャネルのうちの2つを超える中空チャネルは、前記基準軸に対して同
じ角度だけ傾斜することができる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項18】
前記複数の中空チャネルのうちの少なくとも10%の前記中空チャネルは、前記基準軸
に対して同じ角度だけ傾斜することができる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
前記層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層
とを含み、
前記第1組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含み、
前記第2組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含み、
中空チャネルの第1壁部は、前記第1組の層の複数の奇数層のセクションによって形成
され、
前記中空チャネルの第2壁部は、前記第1組の層の複数の偶数層のセクションによって
形成される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項20】
それぞれの前記層の周囲部(78)は、前記インプラントの投影3Dモデルのスライス
(101)によって定められ、それぞれの前記層の前記充填パターンは、前記層が互いに
重ねられて配置されるとき、前記インプラントが該インプラントの前記3Dモデルに類似
する3D形態を有するように、前記周囲部(78)に接する、請求項1に記載のインプラ
ント。
【請求項21】
それぞれの前記層の前記充填パターンは、前記層の開始点(74)から前記層の終了点
(75)まで連続的に蛇行するプリント材料を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項22】
インプラントを形成する方法であって、該方法は、3次元(3D)プリント構造を形成する
ように、層を順次プリントすることを含み、
それぞれの前記層は充填パターンにしたがってプリントされ、それぞれの前記層の前記
充填パターンは一連の充填ラインを含み、
前記層(71、72)は、複数の中空チャネル(21)が前記インプラント内に形成さ
れるように互いに重ねられてプリントされ、それぞれの前記チャネル(21)の壁部は、
前記層のプリント構造における複数の層の前記充填ラインのセクションによって形成され
、
それぞれの前記中空チャネル(21)は、前記インプラントの第1外面と前記インプラ
ントの第2外面との間に延在し、
それぞれの前記中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面に対して垂
直の基準軸に対して傾斜する方向(53)に向く、方法。
【請求項23】
形成される前記チャネルの傾斜を定めるチャネル方向ベクトルを提供すること、
第1の高さで形成される層の第1孔の孔寸法を特定し、前記第1孔は第1ラインセグメ
ントによって表されること、及び
第2の高さで形成される層の第2孔の孔寸法を特定し、前記第2孔は第2ラインセグメ
ントによって表され、前記第1孔及び前記第2孔は形成される同じチャネルに属すること
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1ラインセグメントの左終了点と第2ラインセグメントの左終了点とを接続すること
で第1方向ラインを計算すること、
前記第1ラインセグメントの右終了点と前記第2ラインセグメントの右終了点とを接続
することで第2方向ラインを計算すること、ここで、前記方向ベクトルは前記第2方向ラ
インに位置し、及び
前記第1方向ラインと前記第2方向ラインとの交点を計算して、形成される前記チャネ
ルの集中点を定めること、によって形成される前記チャネルの集中点を定めることをさら
に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記集中点は、形成される前記インプラントの前記第1外面の外側又は前記第2外面の
外側に位置する、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年6月12日に欧州特許庁に出願した欧州特許出願第1817721
4.6号の優先権を主張し、すべての表、図面、及び特許請求の範囲を含むその全体が言
及によってあらゆる目的のため本明細書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、インプラントの分野、特に内部チャネルを有する3D(3次元)プリントイ
ンプラント及びその製造に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、乳房増大術や乳房再生術は、美容上の理由で最も一般的に行われる手術の1つで
ある。乳房手術において美容上の面は重要な役割を果たすので、手術を受ける女性の最も
大きな関心の1つは最終的な結果におけるその外観である。実際に、美容上の面は、特に
乳がんを経験し、その結果その自然な乳房組織の一部を除去した女性にとって、患者の心
理状態にも重要である。ゆえに、この分野への注目度は大きくなってきている。現在のと
ころ、種々の乳房再建術又は乳房増大術が用いられているが、両手術とも大部分がシリコ
ーンインプラントの挿入に基づくものである。また、脂肪グラフトも一般的な技術であり
、これら2つの手技の組合せは、最終的な結果を向上させるように、特に患者の美容上の
期待に添うように、使用することができる。
【0004】
しかしながら、それらは形成外科手術において一般的であるにもかかわらず、シリコー
ンインプラントは、挿入インプラントの寸法に対応する不自然な見た目又は大きな瘢痕に
関わる手術後の乳房の外観に関与する問題がある場合も多いとして知られる。さらに、シ
リコーンインプラント関わる主な問題は、その寿命が限られることである。シリコーンイ
ンプラントは一生涯の製品ではないため、インプラントは、所与の時間の後、身体内で破
裂することがある。乳房被膜拘縮の形態における異物のインプラント材料に対する身体の
免疫反応によるさらなる合併症が起こることがあり、これは乳房の硬さに影響し、不自然
な触感をもたらし得る。被膜を処置する非手術法が存在するが、患者は、インプラントを
摘出又は交換する第2の手術を受ける必要があることが多い。
【0005】
シリコーンインプラントに関する問題を解決するため、特に患者の安全性を向上するた
め、身体内組織再生を支援することを狙いとする、新しい生体吸収性インプラントの作製
が考えられている。一部の熱可塑性プラスチックなどの生分解性材料は、物体に全体的な
形状を与える型に溶融材料を注入する射出成形と呼ばれる技術を使用して製造することが
できる。残念ながら、複雑で細かい形状を作製する必要があるとき、このプロセスには制
限がある。例えば、再生医学において、組織再生を可能にするために高多孔性構造をテン
プレートとして用いる必要がある。
【0006】
近年、主に3Dプリント技術の急速な発展により、この技術はインプラント製造におけ
る使用に考慮されている。3Dプリンターは、典型的に、アディティブ法によって3D物
体を作製する。より一般的には「3Dプリンティング」としても知られるが、アディティ
ブ製造(AM)は、孔あけ、ミリングなどの材料ブロックのサブトラクションによって最も一
般に行われる従来の機械加工とは本質的に異なるプロセスである、材料の層ごとの押し出
しによって物理的部品を造形する技術群の最上位用語である。
【0007】
前述の乳房インプラントは、3Dプリンティング、特に溶解積層モデリング(FDM)技術
、及びポリカプロラクトン(PCL)などの生分解性材料を用いて製造可能である。この特定
のポリマーは、医療分野で広く使用されており、ゆえに規制機関によって既に承認されて
いることから、有利であり得る。最も重要な点は、PCLが分解を開始すると、新しい組
織/血管構造が成長しインプラント内に定着可能であるというように、PCLが分解要件
を満たすということである。
【0008】
3Dプリンティングによって製造したインプラントの挿入後、脂肪注入を行う必要があ
る。インプラント内で「再成長した」再生組織が自然の乳房組織よりも硬いということが
観察されているため、脂肪注入は必要である。ゆえに、最終的な結果を自然の乳房組織ほ
ど軟らかくするため、適切なパーセンテージの脂肪が、例えば脂肪吸引によって採取され
、特定のニードルを用いてインプラントに注入される。注入の手技は、構造物に数回穿孔
を行う無作為の注入がフィラメントを損傷し、全体的なインプラントの構造の完全性に影
響し得るという意味で問題となる。この問題を解決するため、特許文献1に公開されてい
る脂肪注入を容易にするインプラント設計手法及びインプラント自体を使用することがで
きる。特許文献1に記載される手法は、身体内での組織再生を促進するインプラントの挿
入、及び移植の所定期間後のその後の脂肪注入に関する。インプラントの損傷を避けるた
め、脂肪注入用のニードルを挿入するための空間を設ける必要がある。この目的で、特許
文献1において公開されているインプラントは、3次元スキャフォールド構造に取り外し
可能に取り付けられた空間占有構造で充填した空隙を有する3次元スキャフォールド構造
を含む。空間占有構造は、組織及び/又は個々の細胞の該空隙への侵入を防ぐように設け
られる。第2の手技において空間占有構造を取り外した後、好ましくは相互に接続される
とともに、1つの連続的なチャネル構造を形成し得る得られた空隙を、脂肪又は他の移植
細胞で充填することができる。
【0009】
しかしながら、対応する3Dインプラントの設計は、製造の観点からはかえって困難で
あり、患者や外科医の観点からは理想的ではない。実際に、空間占有構造を取り外した後
に形成されるチャネルを、3Dインプラントのプリントの際に考慮する必要があり、ゆえ
にプリント指示コードに含める必要があり、これは構造を脆弱にすることがある。さらに
、空間占有構造を後に取り外すことはさらなる手技を必要とし、新しく再成長した組織を
損傷し得ることから合併症を引き起こすことがあり、患者の安全性の問題をもたらし得、
また、注入脂肪は壊死し得るか、又は予想される空隙空間容積と実際の注入脂肪の容積と
のずれにより、構造物に十分に包埋されていないと再吸収され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2995278号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、最終的な結果を向上するとともに、欠失した組織の再建、及び/又は組織
/器官機能の回復を目的とした全体的な手技を容易にする改良したインプラントが当該技
術分野おいて求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
種々の実施形態において、本発明は、層の3次元構造を含むインプラントに関し、各層
は充填パターンを含み、該層は、複数の中空チャネルがインプラント内に形成されるよう
に互いに重ねられて配置され、各中空チャネルは、層が互いに重ねられて配置される方向
に対して傾斜する方向に向く。それぞれのチャネルの壁部は、充填パターンのセクション
によって、特にプリント材料のフィラメント又はバーによって形成される。本記載の範囲
内において、層の充填パターンの製造の際、プリンターによって押出される熱可塑性プラ
スチック原材料の部分又はセグメントは、フィラメントという。
【0013】
本発明におけるインプラントは、上述の問題を解決すること、特に、脂肪組織などの生
物学的材料のインプラントへの注入を容易にすること、及び生物学的材料を注入するため
の空隙を作製する第2の手技を必要としなくなることを目的とする。以下において、一般
性を失うことなく、脂肪又は脂肪細胞/組織のみを、インプラントへの注入に使用され得
る生物学的材料の代表的な大きく関連する形態とする。しかしながら、その使用に対応し
て、他の任意のタイプの細胞又は生物学的材料をインプラントに注入できるということが
理解される必要がある。
【0014】
本発明のインプラント構造は、インプラントの製造の際に必然的に生成されて、ゆえに
機械指示(例えばGコード)において既に存在するチャネルを使用する。このようにして
、そのいずれのフィラメントも損傷することなくインプラントに自然に形成されたチャネ
ルに脂肪を注入することができる。この目的で、3Dプリントインプラントは高多孔性構
造を示すので、インプラントは、インプラントを貫通する既存のチャネルが脂肪注入用チ
ャネルと一致するように設計される。従来の3Dプリント物体においてプリント方向に沿
って通常形成される種々の実施形態におけるインプラントのチャネルは方向づけられる。
方向づけたチャネルは、プリント方向と平行に位置する必要はない。好ましくは、以下に
記載されるように、チャネルは、外科医が脂肪をインプラントに注入することができる領
域に向かってさらに集中させることができる。ゆえに、脂肪は、インプラント自体を損傷
することなく、インプラントの必然的な構造、特にインプラントに形成される通路/チャ
ネルを利用して、インプラントに注入することができる。特に、インプラントの設計にお
いて追加又は専用のチャネルを設ける必要はなく、ゆえに、特許文献1において知られる
空間占有構造を用いる必要はない。
【0015】
「インプラント」という用語は、本願において使用するとき、失った生物学的構造を置
換するため、損傷した生物学的構造を支持するため、及び/又は既存の生物学的構造を改
良するために使用される医療装置に関する。特に、本発明のインプラントは、身体組織の
再建、及び/又は組織若しくは器官の機能の回復のためのインプラントである。本記載に
おいて、インプラントは乳房再建又は乳房増大のためのインプラントとして記載されるが
、インプラントは、任意の所望の生物学的材料で充填し、種々の身体の部位に用いること
ができる。好ましくは、インプラントは、生分解性材料でプリントすることができる。こ
の目的のために適切な材料は、任意の熱可塑性プラスチック及び生体適合性又は生分解性
の材料とすることができる。例えば、材料は、限定されるものではないが、ポリカプロラ
クトン(PCL)、ポリグリコリド、ポリラクチド、及び/又はそれらの材料の少なくとも2
つの(コ)-ポリマーを含むことができる又はそれらからなる。
【0016】
種々の実施形態は、患者に挿入するためのインプラントに関する。インプラントは、層
の3次元(3D)プリント構造を含む。各層は、3次元プリント構造の充填パターンを含む。
各層の充填パターンは、一連の充填ラインを含む。インプラントは、複数の中空チャネル
をさらに含む。層は、複数の中空チャネルがインプラント内に形成されるように、互いに
重ねられて配置される。各チャネルの壁部は、層のプリント構造における複数の層の充填
ラインのセクションによって形成される。少なくとも1つの中空チャネルは、インプラン
トの第1外面とインプラントの第2外面との間に延在する。少なくとも1つの中空チャネ
ルは、インプラントの第1外面に対して垂直の基準軸に対して傾斜する方向に向く。
【0017】
種々の実施形態において、インプラントの第1外面及び第2外面は対向する面である。
【0018】
種々の実施形態において、第1外面は、3次元(3D)プリント構造の第1層によって形成
された2次元平面に対して平行である。
【0019】
種々の実施形態において、第1外面はインプラントの最大平板状面である。
【0020】
種々の実施形態において、チャネルの長手方向軸と基準軸との角度は、10度~85度
の間である。
【0021】
種々の実施形態において、層の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層と
を含む。第1組の層は、層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含み、第2組の層は、層
の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含む。第1組の層の充填ラインは第1方向に向き、
第2組の層の充填ラインは、第1方向と異なる第2方向に向く。第1組の層の奇数層にお
ける充填パターンの部分は、第1組の層の第1充填層における充填パターンの部分に対し
て移動している。
【0022】
種々の実施形態において、第2組の層の偶数層における充填パターンの部分は、第2組
の層の第1充填層における充填パターンの部分に対して移動している。
【0023】
種々の実施形態において、第1奇数層の第1充填ラインと第2奇数層の第1充填ライン
との間の横方向オフセット値は、第1奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の隣接する第
2充填ラインとの間の距離の0%~50%の間である。
【0024】
種々の実施形態において、n+2×tの奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の第1充
填ラインとの間の横方向オフセット値は、第1奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の隣
接する第2充填ラインとの間の距離より小さく、式中、t値は2以下である。
【0025】
種々の実施形態において、第1奇数層の第1充填ラインと第2奇数層の第1充填ライン
との間の横方向オフセット値は、第1奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の隣接する第
2充填ラインとの間の距離の50%~100%の間である。
【0026】
種々の実施形態において、n+2×tの奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の第1充
填ラインとの間の横方向オフセット値は、第1奇数層の第1充填ラインと第1奇数層の隣
接する第2充填ラインとの間の距離より大きく、式中、t値は2以上である。
【0027】
種々の実施形態において、複数の中空チャネルは、インプラントの第1外面又は第2外
面の所定の領域に向かって集中する。
【0028】
種々の実施形態において、所定の領域は、インプラントの第1外面又は第2外面を超え
て位置する集中点である。
【0029】
種々の実施形態において、少なくとも1つの中空チャネルは、テーパー状チャネルであ
る。
【0030】
種々の実施形態において、テーパー状チャネルは、インプラントの下面におけるチャネ
ルの開口部のサイズが5~10mmの範囲であり、インプラントの上面におけるチャネル
の開口部のサイズが0.5~5mmの範囲であるように構成される。
【0031】
種々の実施形態において、複数の中空チャネルのうちの2つを超える中空チャネルは、
基準軸に対して同じ角度だけ傾斜する。
【0032】
種々の実施形態において、複数の中空チャネルのうちの少なくとも10%の中空チャネ
ルは、基準軸に対して同じ角度だけ傾斜する。
【0033】
種々の実施形態において、複数の中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネル
は、インプラントの第1外面における第1開口部、及びインプラントの第2外面における
第2開口部を含む。
【0034】
種々の実施形態において、複数の中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネル
は、傾斜部分及び少なくとも1つの非傾斜部分を含み、チャネルの該非傾斜部分はインプ
ラントの1つ以上の最外層を含む。
【0035】
種々の実施形態において、インプラントの非傾斜部分は、インプラントの第1外面又は
インプラントの第2外面におけるチャネルの開口部と、インプラントの傾斜部分との間に
位置する。
【0036】
種々の実施形態において、層の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層と
を含む。第1組の層は、層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含む。第2組の層は、層
の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含む。中空チャネルの第1壁部は、第1組の層の複
数の奇数層のセクションによって形成される。中空チャネルの第2壁部は、第1組の層の
複数の偶数層のセクションによって形成される。
【0037】
種々の実施形態において、各層の周囲部は、インプラントの投影3Dモデルのスライス
によって定められる。各層の充填パターンは、層が互いに重ねられて配置されるとき、イ
ンプラントが該インプラントの3Dモデルに類似する3D形態を有するように、周囲部に
接する。
【0038】
種々の実施形態において、各層の充填パターンは、層の開始点から層の終了点まで連続
的に蛇行するプリント材料を含む。
【0039】
種々の実施形態は、インプラントを形成するための方法に関する。方法は、3次元(3D)
プリント構造を形成するように、層を順次プリントすることを含み、各層は充填パターン
にしたがってプリントし、各層の該充填パターンは一連の充填ラインを含む。層は、複数
の中空チャネルがインプラント内に形成されるように、互いに重ねられてプリントされる
。各チャネルの壁部は、層のプリント構造における複数の層の充填ラインのセクションに
よって形成される。各中空チャネルは、インプラントの第1外面とインプラントの第2外
面との間に延在し、各中空チャネルは、インプラントの第1外面に対して垂直の基準軸に
対して傾斜する方向に向く。
【0040】
種々の実施形態において、方法は、形成されるチャネルの傾斜を定めるチャネル方向ベ
クトルを提供すること、第1の高さで形成される層の第1孔の孔寸法を特定し、第1孔は
第1ラインセグメントによって表されること、をさらに含む。方法は、第2の高さで形成
される層の第2孔の孔寸法を特定し、第2孔は第2ラインセグメントによって表され、第
1孔及び第2孔は形成される同じチャネルに属することをさらに含む。
【0041】
種々の実施形態において、方法は、第1ラインセグメントの左終了点と第2ラインセグ
メントの左終了点とを接続することで第1方向ラインを計算すること、第1ラインセグメ
ントの右終了点と第2ラインセグメントの右終了点とを接続することで第2方向ラインを
計算すること、ここで、方向ベクトルは第2方向ラインに位置し、第1方向ラインと第2
方向ラインとの交点を計算することによって、形成されるチャネルの集中点を定めること
をさらに含む。
【0042】
種々の実施形態において、集中点は、形成されるインプラントの第1外面の外側又は第
2外面の外側に位置する。
【0043】
種々の実施形態において、インプラントを構成する相互接続層の3次元構造は、互いに
積層した個々の層を含むスキャフォールド構造とすることができる。3Dインプラントは
、互いに積層した層の形状を次第に変えることで、その所望の形態を得ることができる。
インプラントの3Dスキャフォールド構造は、互いに隣接して配置されて互いに壁部で隔
てられたチャネル又は孔を実質的に含むことができる。隣接するチャネル同士の間の距離
又は隔たりは、チャネルの下層から上層まで同じとすることができる。例えば、隣接する
チャネルを隔てる距離は、充填ラインの厚みとすることができる。チャネルの壁部は、1
つおき(交互)の層のフィラメント(又はその一部)を含むことができる。例えば、チャ
ネルの第1壁部は、奇数層の第1充填ラインのフィラメントを含むことができる。同チャ
ネルの第2壁部は、奇数層の第2充填ラインのフィラメントを含むことができる。同チャ
ネルの第3壁部は、偶数層の第1充填ラインのフィラメントを含むことができる。同チャ
ネルの第4壁部は、偶数層の第2充填ラインのフィラメントを含むことができる。第1チ
ャネルは、奇数層の第1充填ラインと奇数層の第2充填ラインとの間に形成することがで
きる。隣接する第2チャネルは、奇数層の第2充填ラインと奇数層の第3充填ラインとの
間とすることができる。一般に、層の充填パターンは設計パラメーターとし、例えばイン
プラントの機械的要件に対応して構成することができる。種々の実施形態において、層n
及び層n+2の充填パターンは、それらの層の充填パターンが平行のバー/フィラメント
(すなわち材料の一部)を含むことができるという意味で類似し得る。インプラントの充
填層は、所定の層のバー及び連続する層のバーが、3Dインプラントの個々の設計に対応
して、90°未満(例えば、少なくとも10°、好ましくは少なくとも30°、より好ま
しくは少なくとも45°、より好ましくは少なくとも60°、より好ましくは90°)の
角度を形成するように構成することができる。言い換えると、所定の層のバーは、連続す
る層のバーに所定の角度で重ねることができる。隣接する層のバー同士の間の接続点は、
層同士の相互接続点に対応し、インプラントに構造的完全性を与える。このようにして、
いずれの層もその前の層及びその後の層に相互接続する。
【0044】
層nの充填パターンのバー/部分が層n+2のバー又は部分と平行である、互いに重ね
られた層の配置は、バーが、インプラントのプリント方向から見て、すなわち層が互いに
積層される方向から見て、オフセットするように互いに重ねられて配置されるようになっ
ている。そうした構成により、傾くとともに、プリントの方向と平行にインプラントを貫
通しない孔又はチャネルが形成される。ゆえに、インプラントの下部(面)、すなわちプ
リントされる第1層において開始し、インプラントの上部(面)、すなわちインプラント
の表面の所定の位置において最後にプリントされるその層又は部分において終了する各チ
ャネルは、プリント方向に対して傾斜する方向に向く。
【0045】
種々の実施形態において、チャネルのサイズは一定である、すなわちインプラントの任
意の層のレベルにおけるチャネルの断面は同じとすることができる。その場合、チャネル
の断面は、インプラントの下部におけるチャネルの開口部の幾何学的形状、及びインプラ
ントの上部におけるチャネルの開口部に対応する。これらの実施形態において、傾斜角度
、すなわち第1プリント層の平面と、その壁部それぞれと平行なチャネルを貫く軸との間
の角度は、インプラントの各チャネルにおいて同じとすることができる。言い換えると、
インプラントの各チャネルは、インプラントの下面の開口部とインプラントの上面の開口
部との間の接続を形成する中空チャネルとして認められ、該チャネルは下面に対して垂直
に延びないが、所定の方向に傾斜する。
【0046】
インプラントの種々の実施形態において、実質的に中空チャネルのそれぞれは、インプ
ラントの上面に設けられた対応する第1開口部を含むことができ、該開口部のそれぞれは
チャネルの端部に対応する。チャネルの開口部は、必ずしもインプラントの層と平行であ
る平面に位置するわけではない。チャネルの開口部は、チャネルの開口部を画定するチャ
ネル壁部のプリント材料の最外バー又は線が種々の層に属し得るという意味で、斜めとす
ることができる。本明細書において理解されるように、一部の材料のフィラメント又は線
がその断面にわたるとしても、チャネルは中空であり開口すると考えられる。上部又は下
部から(すなわちチャネルを貫く軸に沿って)見るとフィラメントが散在するチャネルも
なお中空と考えられ、これは、チャネルの隅部同士の間に延在する単一のフィラメントが
、チャネルに注入される脂肪を輸送するチャネルの能力に影響を及ぼさないためである。
【0047】
インプラントの種々の実施形態において、中空チャネルのそれぞれは、インプラントの
上面に設けられた第1開口部と、インプラントの下面に設けられた第2開口部との間に延
在することができる。インプラントの下面は、インプラントの製造時にプリントされる第
1層に対応することができる。インプラントの上面は、(上下に1ずつ、2つの隣接する
層を有する内部の層又は層の部分と対照的に)1つの隣接する層のみを有する層又は層の
部分(例えばフィラメント)によって画定することができる。
【0048】
インプラントの種々の実施形態において、中空チャネルの任意の壁部は、インプラント
を形成する層の配置において、1つおき(交互)の層(例えばプリント材料のバー)のセ
クションによって形成することができる。層の充填パターンは、プリント材料の任意の2
つの隣接する層が交差パターンを形成して、プリント材料の層のフィラメント又はバーが
所定の角度、例えば90°で交差するように設計することができる。ゆえに、チャネルの
壁部は、例えば互いに対して平行であり得る、1つおきの層のフィラメント又はバーを含
むことができる。3Dインプラントを形成するフィラメントの交差パターンにより、フィ
ラメントを所定の壁部に「提供する」2つの層の間に位置する層のフィラメントは、通常
、それら2つの層のフィラメントに対して角度をなして、例えば90°で配置されるので
、壁部の一部を形成しない。所定のチャネルの任意の壁部を形成する層のフィラメントは
、プリント材料の直線ライン又は曲線ラインとすることができる。充填ラインという用語
は、必ずしも直線ラインであることに限定されず、例えば曲線ライン、ジグザグライン、
及び/又幾重にも曲がったラインも含むことができるということが理解され得る。
【0049】
インプラントの種々の実施形態において、少なくとも1つの中空チャネルは、テーパー
状チャネルとすることができる。テーパー状チャネルは、チャネルの下部開口部から上部
開口部へとその断面が次第に増大又は減縮することによって特徴づけられる。言い換える
と、テーパー状チャネルのサイズがその配置方向に沿って変化するので、テーパー状チャ
ネルの上部開口部及び下部開口部のサイズ(領域)は異なる。インプラントの種々の実施
形態において、少なくとも1つのテーパー状チャネルは、インプラントの上面に向かって
集中させることができる。他の種々の実施形態において、少なくとも1つのテーパー状チ
ャネルは、インプラントの上面に向かって拡散させることができる。テーパー状チャネル
の構成(集中又は拡散)に対応して、上面及び下面における開口の量が同じであっても、
下面の領域は上面の領域とサイズに関して異なり得る。インプラントの有利な実施形態に
は、複数のテーパー状チャネルがあるとすることができ、テーパー状チャネルは集中する
、拡散する、又はその混合とすることができる。さらなる実施形態において、インプラン
トのすべてのチャネルは、好ましくは同じ種類(集中又は拡散)のテーパー状チャネルと
することができる。
【0050】
テーパー状チャネルを有するインプラントの実施形態は、最も大きい血管提供源である
、筋肉に対向するインプラントの側に、より大きい開口部を含むことができ、筋肉に対向
するインプラントの側は、一般性を失うことなく、下側又は下面と称する。本発明におけ
るインプラントのそうした構成は、インプラントの血管新生及び脂肪注入を容易にする。
チャネルがインプラントへの脂肪注入に対してガイダンスとなることから、インプラント
表面の特定の領域、例えば乳房インプラントの場合にインプラントの前下位側に集中する
チャネルは、外科医にとってより使用しやすい。特に、インプラントにおけるチャネルの
方向は、脂肪を乳房ひだ下から注入できるように(乳房下部注入)選択することができる
。さらに、脂肪を注入する領域が特定領域に局所的に限定されているので、インプラント
はまた、脂肪注入手技時に外科医にとってより使用しやすい。最後に、手技に関わる切開
及び傷あとの数は、傷あとの数を少なくするため、利用可能であるとき、インプラント挿
入及び脂肪注入/グラフトの同じ乳房下部切開部を使用することにより、少なくすること
ができる。
【0051】
より小さいチャネル開口部を有する領域が、より大きいチャネル開口部を有する領域よ
り硬くなる傾向にあるため、種々のチャネル開口部を有する本発明におけるインプラント
は、プリント方向における不均一な機械的特性を有するインプラントを特に提供するため
にも使用することができる。
【0052】
インプラントの特に有用な実施形態は、チャネルがともにテーパー状であって傾いてい
る/傾斜するものとすることができる。特に、その実施形態において、すべてのチャネル
は集中又は拡散させることができる。インプラントのチャネルにおけるそうした構成によ
り、チャネルの上部開口部を、インプラントの上面における所定の領域に「集中させる」
又は方向づけることができる。
【0053】
種々の実施形態において、テーパー状チャネルを有するインプラントは、インプラント
の上面におけるチャネルの開口部(すなわち、乳房インプラントの場合、胸壁から離れる
方向に向くチャネルの開口部)のサイズを約0.5~5mmの範囲にとすることができ、
インプラントの下面におけるチャネルの開口部(すなわち、乳房インプラントの場合、胸
壁に対向するチャネルの開口部)のサイズを5~10mmの範囲とすることができるよう
に構成することができる。さらなる実施形態において、下面におけるテーパー状チャネル
の開口部のサイズは約6~9mmの範囲とすることができ、上面におけるテーパー状チャ
ネルの開口部のサイズは約1~4mmの範囲とすることができる。またさらなる実施形態
において、下面におけるテーパー状チャネルの開口部のサイズは約7~9mmの範囲とす
ることができ、上面におけるテーパー状チャネルの開口部のサイズは約2~3mmの範囲
とすることができる。またさらなる実施形態において、下面におけるテーパー状チャネル
の開口部のサイズは約8~9mmの範囲とすることができ、上面におけるテーパー状チャ
ネルの開口部のサイズは約3~4mmの範囲とすることができる。特定のサイズは、正方
形断面を有するチャネルに関するものとすることができる。
【0054】
本発明のインプラントは、先行技術において既知のインプラントよりもいくつかの利点
がある。まず、インプラントの「天然の」チャネルは脂肪の注入及び収容に使用され、特
に空間占有構造は必要とされないので、本発明におけるインプラントは、1つの材料のみ
を使用して製造することができる。一方で、これは異なる材料間の汚染のリスクを低減す
る。他方で、最終製品を単一の材料から製造することができるので、異なる材料の線/フ
ィラメント同士の間の結合強度低下に関する問題を退けることができる。得られる構造は
FDM技術を使用して容易にプリントされるので、インプラントの製造における、単一の
材料、ゆえに単一の充填/プリントパターンの使用により、製造の観点から関与する作業
が少なくなる。特に患者の観点からのさらなる利点は、構造物をインプラントから取り除
いて脂肪注入のための空間を作製するさらなる手技の必要性がなくなるので、全体的な外
科的手技が大幅に容易になるということである。ゆえに、組織の外傷を大幅に削減可能で
ある。また、インプラントに必然的に提供されるチャネルに直接注入する脂肪を再生組織
内に良好に包埋するというように、再生組織が障害されない状態になることから、インプ
ラントを患者に挿入した後インプラントから何も取り除く必要はないということは、優れ
た生物学的パフォーマンスを提供する。最後に、インプラントのチャネルの内部構造を使
用部位に適合させることによって、チャネルがインプラント表面の所望の点又は領域に集
中する最適なレイアウトを見つけることができるので、両外科手術(インプラント挿入及
び脂肪注入)において1つの小切開が必要となるのみである。
【0055】
ここで、本発明のさらなる実施形態は、以下の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、3Dプリントインプラントの製造時に行われるステップを示す。
【
図2】
図2は、3Dプリントインプラントの概略平面図(右側)と、インプラント内のチャネルの個別の図(左側)を示す。
【
図3】
図3は、インプラントの一般的な例示形態(左欄)、例示のインプラント(中欄)、及び種々の向きの内部チャネルを有する種々の実施形態におけるインプラント(右欄)の、種々の図を示す。
【
図4】
図4は、種々の実施形態におけるインプラントの個別のテーパー状チャネルの概略図を示す。
【
図5】
図5は、インプラントの一般的な例示形態(左欄)、及び種々の実施形態における傾斜テーパー状チャネルを有する例示のインプラントの、種々の図を示す。
【
図6】
図6は、種々の実施形態における2つの異なるインプラントを示す。
【
図7】
図7は、3Dプリンティングによって製造される種々の実施形態におけるインプラントの2つの例示の層を示す。
【
図8】
図8は、本発明の方法におけるプリントパスの計算に使用されるモデリング空間を示す。
【
図10】
図10の上段は、3Dモデルの層への分割化を示し、
図10の下段は、3Dモデルの層の充填を示す。
【
図13B】
図13Bは、種々の実施形態における傾斜/傾き中空チャネルを含むインプラントの側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1において、3Dインプラント16のプリントプロセスの主要なステップを示す。第
1ステップ11において、インプラント16の3Dモデル10を、コンピュータ支援設計
(CAD)ソフトウエアを使用して設計する。この段階では、3Dモデル10は、主に必要に
応じたインプラント16の外形を設計するために使用される(例えば、特定の患者のため
のインプラントのサイズに調節する)。第2ステップ12において、充填用ソフトウエア
を使用して、設計した3Dモデルを多数の層にスライスする。第2ステップ12は、理論
上の連続3Dモデル10から、連続3Dモデル10の層定義への移行と考えられる。個々
の層は、ここまで、その内部構造について、すなわち層の3Dプリンティングに使用され
る可能な充填パターンについて定義されていない。第3ステップ13において、層状3D
モデルに基づいて、製造用インプットが生成される。この段階において、3Dモデル10
の各層に対して、適切な充填パターンを選択する。製造用インプットは、最終インプラン
ト16を層ごとにプリントするように3Dプリンターのノズル15を制御することができ
る、3Dプリンターが読み取り可能な一連の機械指示を含む。最終の第4ステップ14に
おいて、インプラント16の形態の「リアルライフ」3D物体を、3Dモデル10にした
がって製造する。3Dインプラント16は、3つすべての直交軸(X、Y、及びZ)にお
いて、機械指示にしたがって、3Dプリンターのノズル15を連係動作で移動させ、物体
が下から上に完全に作製されるまで表面において適切なプリント材料の連続する層を設け
ることで製造される。一般に、個々の層はXY平面に平行に製造される。Z軸は、3Dプ
リンターのノズル15が1層を終えた後にそれに沿って移動してその後の層の押し出しを
開始する垂直の軸である。以下において、この3つの軸の定義は、一般性を失うことなく
以下に使用される。プリント材料が押し出されるところを決定する押出し具及びノズル1
5の動き及び3次元移動パターンは、コンピュータ数値制御(CNC)プログラミング言語、
典型的には消費者用及び産業用3DプリンターではGコードによって制御される。
【0058】
図2において、3Dプリントインプラントの概略平面図(右側)と、インプラント内の
チャネルの個別の図(左側)を示す。図の右側におけるインプラント16の平面図におい
て、インプラント16は、該インプラント16のベース部から垂直に延在する複数のチャ
ネル21を含むことが見てとれる。チャネル21は格子状パターンに配置される。インプ
ラント16の縁部に位置していないチャネル21は、矩形状を有する。インプラント16
の縁部に位置するチャネルは、それらの壁部の少なくとも1つがインプラント16の所望
の外形をモデリングするために使用される壁部であるので、種々の形状、例えば三角形状
を有することができる。一部のチャネル21は、その断面にわたって延在するプリント材
料のフィラメント又はバー22を有するもとのとすることができることがさらに示される
。一部のチャネル21の断面にわたって延在することが示されるフィラメント22は、例
えば、インプラント16の所望の外形をモデリングするように、又は機械的安定性の理由
のため、配置することができる。
【0059】
インプラント16の模式的チャネル21(破線円によって示す)を
図2の左側に示し、
矢印30はチャネル21の抽出拡大図を示す。チャネル21は、互いに重ねられて積層さ
れるプリント材料22のフィラメント又はバーによって形成される。この例では、チャネ
ル21は4つの壁部を有し、チャネル21の任意のレベルにおいて、層は2つの平行バー
22を2つの対向壁部に提供し、バー22は所定の厚さ26を有する(これはインプラン
ト16において変化し得る)。任意で、充填ラインは、80μm~250μm(又は例え
ば、100μm~200μm、又は例えば150μm~180μm、例えば170μm)
の平均厚さを有することができる。チャネル21の長さ24及び幅25は、対応する層の
隣接する対のバー22の距離によって与えられる。しかしながら、チャネル21の形状は
任意とすることができ、特に外部パラメーターによって定義することができる(例えば安
定性及び/又は剛性)ので、チャネルが正方形状又は矩形状を有することは必須ではない
。チャネル21は、上部開口部27及び下部開口部28をさらに含む。この均一(テーパ
ー状でない)チャネル21の例において、両開口部27、28は等しい。矢印23は、z
軸と平行であり個々の層と垂直であるプリント方向を示す。異なるように示されるが、傾
いても傾斜してもいない均一チャネル21を有するインプラント設計では、プリント方向
は層が互いに積層される方向と一致する。
【0060】
3Dプリンティングにおいて、プリント材料の層は互いに重ねられて積層される。ゆえ
に、多孔性を作る最も容易で迅速な方法は、z方向に一定のチャネル、すなわちチャネル
の任意のレベル(高さ)で同じ断面を有するチャネルをプリントすることである。そうし
たインプラントの構成は
図1及び
図2に示している。しかしながら、本明細書に記載され
るインプラントの種々の実施形態において、その構造は、インプラントのチャネルを所定
の方向に向けるようになっている。これは、第1段34に示す斜視図、第2段35に示す
平面図、第3段36に示す側面図とともに、インプラントの種々の図を示す
図3において
詳細に説明される。左欄において、例えばCADソフトウエアにて設計したような、製造
されるインプラント16の投影形態31を示す。投影形態31は、審美的観点のもと設計
され、主に製造されるインプラント16外形を描くものとすることができる。中欄におい
て、投影形態31に対応するとともに均一チャネル21を有する形態を有する従来のイン
プラント32を示す。チャネル21は、インプラント16の下面からその上面に向かって
垂直に延在する。従来のインプラント32の斜視
図34に示す第1矢印37は、プリント
方向を示す。従来のインプラントの場合には、しかしながら、第2矢印38で描いたチャ
ネル21の向きがプリント方向と一致する(ゆえに、第1矢印37は従来の設計において
第2矢印38に対応する)。すなわち、チャネル21の中心軸を表す第1矢印37は第2
矢印38と一致する。平面
図35から見てとれるように、従来のインプラント32におい
て、上部開口部27はチャネルの下部開口部28と重なり合う。
【0061】
右欄において、種々の実施形態におけるインプラント33は、投影形態31に対応する
形態で示される。種々の図から見てとれるように、チャネル21は、インプラント33の
下面からその上面に延在し、傾いている/斜めになっている。言い換えると、第2矢印3
8によって示されるチャネル21の向きは、第1矢印37によって示されるプリント方向
と一致せず、プリント方向を表す第1矢印37が、0ではない角度で、チャネル21の向
きを表す第2矢印38に対して角度をなすというようになっている。チャネルの向きは、
必要に応じて、すなわち脂肪注入の好ましい部位に対応して、及び/又はインプラント1
6の機械的要件に対応して、選択することができる従来のインプラント32と種々の実施
形態におけるインプラント33との側面
図36の比較によって見てとれるように、プリン
ト方向、すなわち第1矢印37に対応する方向において平面で見て、後者の上部開口部2
7はチャネル21の下部開口部28と重なり合わない。
【0062】
図4において、種々の実施形態におけるインプラントのさらなる有利な変形の背後にあ
る着想を説明する。
図4は、原則として
図2に示すチャネル21に類似するチャネル21
を形成するプリント材料22のバー又はフィラメントの構成を示す。
図4に示すチャネル
21は、しかしながら、図示される例示の実施形態においてその下部開口部28から上部
開口部27に向かって集中するテーパー状チャネルであるという点で、
図2に示すチャネ
ル21とは異なる。層の1つおきのバー22によって形成される4つの壁部のそれぞれは
内側に傾き、チャネル21の全体的なテーパー状形態をもたらす。
図4に示すように、集
中チャネル、また分散チャネルも、第1矢印37によって示すチャネル21の向きの方向
に沿うその断面の変化によって特徴づけることができる。テーパー状チャネルの向きは、
チャネル21の断面の中間点又は中心点から挿入されるライン又は軸として定義すること
ができる。
【0063】
図5は、左側にインプラントの投影3D形態31、及び右側にさらなる種々の実施形態
における対応するインプラント52の図を示す。
図3に類似して、斜視図を第1段34に
示し、平面図を第2段35に示し、側面図を第3段36に示す。左欄において、
図3の製
造されるインプラントの投影3D形態31を示し、ここでも例として提示する。インプラ
ント52は、そのチャネル21がまた、第1矢印37によって表される、プリント方向と
一致しない方向に傾斜する又は向くという点で、
図3のインプラント33に類似する。
【0064】
傾きに加え、チャネル21はテーパー状である、すなわち
図4に基づいて既に詳細に説
明した形態を有する。インプラント52の構成を示す種々の図から見てとれるように、イ
ンプラント33の下面からその上面及びその上部開口部27に延在するチャネル21は、
インプラント52の上面の所定の領域に向かって集中する(この例示の場合、右上隅部)
。第3矢印53は集中方向を示し、インプラント52の下面/層の中央、及び個々のチャ
ネル21のすべての方向軸の交点である、2点によって定義される軸に対応することがで
きる。下面/層の代わりに、また第1点は、インプラント52のベース部、すなわち下面
/層上のインプラント52の質量部の中心の投影に対応するものとすることができる。あ
るいは、又は任意で、第1点はインプラントのかさ体積内の任意の点とすることができる
。所望の設計に対応して、第3矢印53は実質的に任意の方向を指すとすることができる
。
【0065】
既に上述したように、インプラント52の上面における所定の領域又は方向に向かって
集中する、方向づけた孔/チャネルを有する
図4に示すインプラント52の例示の実施形
態は、外科医にとって脂肪注入手技を容易にし、患者は乳房に1つの傷あとを有するのみ
とすることができる。この理由は、インプラントを挿入するための最も一般に使用される
方法の1つが乳房下部切開に基づくことである。脂肪注入はインプラント挿入後の数週後
に行われるので、種々の実施形態におけるインプラントによって、挿入に使用される切開
部はまた有利に脂肪注入にも使用することができる。そして、方向づけたチャネル21の
パターンは、脂肪注入時に外科医のためのガイドとして使用することができる。ニードル
がチャネル21にアライメントするので、インプラントはニードル自体によって損傷する
ことはない。
【0066】
プリントした多孔性構造であるインプラントにおける方向づけた孔/チャネルは、プリ
ント方向における全体的な構造の硬さを少なくするようにさらに有利に使用することがで
きる。向きの角度、又は集中の角度、すなわちxy平面(プリント平面)と、それぞれ向
きの方向又は集中方向との間の角度は、硬さを調整可能にする。一般に、集中の角度が小
さいと、構造が軟らかくなる。この構想は、両者とも傾いたチャネルを有する、テーパー
状チャネルを有する第1インプラント61と均一チャネルを有する第2インプラント62
とを示す
図6においてさらに例示される。上述の場合のように、第1矢印37は、両方の
例示のインプラント61、62のプリント方向を示し、第1インプラント61に表示され
る第3矢印53は個々のチャネルの集中の方向を示す。第3矢印53の向きから推測でき
るように、チャネルはインプラント61の上部中心に向かって集中する。第2インプラン
ト62において、第3チャネル53はインプラント62の右側に向かって方向づけられる
。第2インプラント61の集中の角度が第2チャネルの集中の角度(90°に近い)より
も著しく小さいので、1つの層から次の層への横方向の移動と、つまり1つのフィラメン
トから次のフィラメントへの横方向の移動とは、第2インプラント62においてより大き
い。このように、第2インプラント62におけるフィラメントは、直接互いに重ねられて
配置されていない。この外観的な効果により、第1インプラント61と比較してより軟ら
かい第2インプラント62となる。
【0067】
既に上述で示したように、種々の実施形態におけるインプラントは層の順次プリントに
よって製造される。
図7において、例示の第1層71と例示の第2層72を示す。3Dプ
リンティングによる層71、72の製造時に、各層は、所定の充填パターン76、77に
したがって、開始点74と終了点75との間にプリント材料のラインの形態でプリントさ
れる。図示されるように、第1層71は第1充填パターン76を含み、第2層72は第2
充填パターン77を含み、両方の充填パターン76、77はジグザク形状を有する。開始
点74及び終了点75は最終製品において必ずしも見えることはなく、理解しやすくする
ため、
図7に示す概略図において強調されている。層71、72のそれぞれの周囲部78
は、インプラントの投影3Dモデルのスライスによって定められる。すなわち、各充填パ
ターン76は、プリントプロセス時に製造される層が互いに重ねられて積層されるとき、
最終3D製品が投影3Dモデルに非常に類似する3D形態を有するように、周囲部78に
接する。対応する層の周囲部78に位置する充填パターンの部分は、周囲部78をたどる
ようにプリントされる。層71、72の内部は、境界条件(硬さ、多孔性、密度)にした
がって選択され得る任意の形状の充填パターンで充填することができる。3Dプリンター
が第1層71の充填パターンを押し出した後、ノズルは第1層71の終了点75で停止し
、ノズルとプリント平面との間の距離を変え(通常、ノズルを矢印73で示す方向に上方
に移動させることによって)、第2層72の開始点74から開始して、第2層72の充填
層が形成される。
【0068】
第2層72を第1層71の上部にプリントした後、第3層が第2層上に堆積される。第
3層(
図7に示さない)は第1層と類似するものとすることができる。
図7に示すように
、第1層71の周囲部78に配置されていない第1充填パターン76の材料のラインは、
第2層の周囲部78に配置されていない第2充填パターン77の材料のラインに対して角
度をなして配置される。この配置は、最終インプラント内のチャネルをもたらす。方向づ
けたチャネル及び/又は傾いたチャネルは、充填パターン76、77の内部構造を所望の
方向に次第に移動させることで形成される。例えば、
図7の右側に方向づけたチャネルは
、
図7に示すような第1層71を製造し、そして、
図7に示す平面斜視から見たとき第3
層の充填パターンの直線バーが第1充填パターンの直線バーに対して右にオフセットする
ように、第3層の充填層の直線バーを第1充填層76に対して右に移動させて、形成する
ことができる。他の奇数層にこのプロセスを継続することで、
図3の右欄に示すようなイ
ンプラントがもたらされる。テーパー状チャネルは、
図4に示すような充填パターンのプ
リント材料のラインを配置することで形成することができる。
【0069】
本明細書に記載される3Dインプラントなどの多孔性物体を貫通するチャネルを含む多
孔性物体をプリントするための、3Dプリンターのプリントパスを生成する方法が、本明
細書においてさらに提供される。多孔性物体のチャネルは、多孔性物体の製造時にプリン
トされる層によって構成される孔によって形成される。生成されたプリントパスは、3D
プリンターのプリントノズルが1つずつ材料の層をプリントするようにそれに沿って移動
して、最終的に3Dインプラントを製造する一連のパス点を含む。
【0070】
第1ステップにおいて、種々の実施形態においてプリントパスを生成するための方法は
、多孔性物体(3D物体)の3Dモデルを一連の層に分解することを含み、各層は、プリ
ント方向と一致する、3Dモデルの対応する高さにおける3Dモデルの外形を含む。この
ように、第1ステップは、3Dモデルの充填部をスライスにすることを含み、各スライス
はプリント層を表すことができる。プリント時に、各層は、プリンターのノズルからプリ
ントパスに沿ってプリント材料を押し出すことで製造される。通常、個々の平面は、xy
平面に対応すると推定される3D物体がプリントされるプリント面と平行である。層は、
z方向に対応すると推定されるプリント方向にプリント材料を互いに重ねるように押し出
すことで製造される。全体的な層の押し出しは、一般に、1つの層のフィラメントが所定
の角度、最も一般的には90°で前の層のフィラメント上に押し出されるように、交差パ
ターンで行われる。設計/計画段階に相当する方法におけるこの第1ステップの目的は層
の生成であり、各層は、3Dモデルの対応する高さにおける3Dモデルの外形を含む。各
層の内部の構造は設計パラメーターであり、それぞれの用途における必要に応じて後に選
択することができる。
【0071】
さらなるステップにおいて、この方法は、一連の層における1つ以上の層を一連の充填
ラインと交差させることを含み、各層の充填ライン同士の間の距離は、充填ラインに対し
て垂直の方向におけるその層の孔の寸法に対応するように設定する。層を一連の充填ライ
ンと交差させることで、2つの対向する側部が単に2つの隣接する充填ラインの部分に対
応し、他の2つの対向する側部が層の外形の部分を表すように、層はストライプ状にセグ
メント化される。充填ラインは、好ましくは、プリントプロセス時に押し出される材料の
部分の表現に相当する。層の外形の部分を表す2つの対向する側部はプリントプロセス時
に直線ラインによって近似し、直線ラインは対応するストライプの縁部同士の間に延在す
ることができる。一部の実施形態において、充填ラインは等距離とすることができるので
、層内に均一のサイズを有する孔を得ることができる。
【0072】
この方法のさらなるステップにおいて、プリントパスは、一連の充填ラインと対応する
層の外形との交点に基づいて、(前のステップでスライスされた)1つ以上の層のために
形成される。この意味において、充填ラインはまた、層の外形とのその交点を探知するた
めに使用されるので、探知ラインとも呼ぶことができる。好ましくは、所定の層のプリン
トパスは、3D物体のプリント時に、ノズルが1つの交点から次の交点に蛇行するように
プリントパスに沿って移動して、層の開始点から終了点まで連続的にプリント材料を押し
出すというような順序で配置される交点からなるとすることができる。それぞれの層は実
質的に外形を含み、計算された交点はすべて層の外形上に配置されるが、計算された交点
に基づいて押し出される3D物体の材料層は、例えば
図7に示すように、層における外形
の不連続な表現、及び(充填ラインに対応する)プリント材料の直線ラインを含む充填部
を含むことができる、ということが留意される。しかしながら、
図7に示す層と対照的に
、層における外形の不連続な表現の部分はまた、通常は直線ラインで移動する3Dプリン
ターノズルのプリントパスを簡素化するため、曲線を有する又は円弧状のラインの代わり
に直線ラインによって近似することができる。
【0073】
この方法のさらなるステップにおいて、前の2つのステップ(層を充填し、プリントパ
スを形成する)は、それまでのところ(以前に)処理した層上に位置する1つ以上の層に
対して、それまでのところ(以前に)処理した層に使用した一連の充填ラインに対して角
度をなして、好ましくは90°で配置した、その目的のための一連の充填ラインを使用し
て行われる。3D物体の層を2組の層に分離することは、プリントプロセスの交差する特
性を反映する。交差パターンは、繰り返して、第1方向に1つ以上の(a)充填ラインを
堆積させ、そして、第1方向に対して角度をなして、好ましくは90°で方向づけた他の
方向に1つ以上の(b)充填ラインを堆積させ、そして、少なくとも1回、好ましくは複
数回プロセスを繰り返して形成される、ということが留意される。そのようにして、各組
における層の数を調節することで、孔の壁部の高さを1つの層から次の層へと変えること
ができる。a=bである特別な場合において、交差パターンは、1つおきの充填ラインが
第1方向に向けられ、単一の充填ラインをその間に配置し、第1方向と異なる第2方向に
向けるようにする、3Dモデルの充填パターンによって形成される(例えば、
図7参照)
。第2方向が第1方向に対して90°である場合、各チャネルは、プリント方向と平行に
見たとき正方形断面を有する。例えば、第1組の層は、3D物体の第1層(下層)から開
始する、奇数を有する3D物体の層を含むことができる。第1組の層において、充填ライ
ンは、プリントされる3D物体の3Dモデルが処理される/表される座標系のx軸に平行
とすることができる。第2組の層は、3D物体の第2層から開始する、偶数を有する3D
物体の層を含むことができる。矩形の孔の場合、第2組の層における層を充填するために
使用される充填ラインは、プリントされる3D物体の3Dモデルが処理される/表される
座標系のy軸に平行とすることができる。テーパー状チャネルの場合、充填ライン同士の
間の距離は、チャネルが集中するか(例えば、
図4、
図5、及び
図6に示すように)又は
拡散するかに対応して、下層から開始して、1つの層から次の層へ次第に小さく、又は大
きくなる。
【0074】
この方法のさらなる実施形態において、一定のチャネルの場合(例えば
図3参照)、ラ
イン同士の間の距離はすべての層において同じとすることができる。
【0075】
この方法のさらなる実施形態において、1つの組の層における層に使用される一連のラ
インの第1ラインは、隣接する層に使用される一連のラインの第1ラインに対して横方向
にオフセットすることができる。また、これは、隣接する層に使用される一連のラインの
他のラインすべてについてもそのようであるとすることができる。それぞれの層における
第1充填ラインの位置は、3Dモデルの境界平面と層が包埋された平面との間の交差ライ
ンに対応することができる。3Dモデルは、3つの境界平面と接することができ、1つの
平面は3Dモデルの下層が包埋された平面に対応することができる。3Dモデルの範囲領
域の断面形状は、例えば、3Dモデル表現座標系のxz平面において見たとき、三角形と
することができる。
【0076】
さらなる実施形態において、この方法は、3Dモデルの範囲領域を定めることを目的と
するステップをさらに含むことができる。つまり、この方法は、作業平面を形成するよう
に、多孔性物体の3Dモデルの表現を平面と交差させること、及び作業平面においてその
後のステップを行うことをさらに含む。作業平面は、一般性を失うことなく、3Dモデル
表現座標系におけるxz平面に対応することができ、座標系の原点は、例えば、下面にお
ける3Dモデルの質量部の中心の投影、又は3Dモデルの下層の中心に位置することがで
きる。この方法は、(作業平面に位置する)第1ラインセグメントで表される、3Dモデ
ルの第1の高さにおける、好ましくはベース部(下面)における層の第1孔の孔寸法を特
定することをさらに含むことができる。この方法は、(これも作業平面に位置する)第2
ラインセグメントで表される、3Dモデルの第2の高さにおける多孔性物体の(異なる)
層の第2孔の孔寸法を特定することをさらに含むことができ、第1孔と第2孔とは同じチ
ャネルに属する。第1孔及び第2孔の孔寸法は、それぞれの層の充填部に使用されるライ
ン同士の間の距離に対応することができる。この方法は、第1ラインセグメントの左終了
点と第2ラインセグメントの左終了点とを接続することで第1方向ラインを計算すること
、第1ラインセグメントの右終了点と第2ラインセグメントの右終了点とを接続すること
で第2方向ラインを計算することをさらに含むことができる。この方法は、第1方向ライ
ンと第2方向ラインとの交点を計算することをさらに含むことができる。その交点は、一
定でないチャネル、すなわち拡散又は集中チャネルの場合、それぞれの孔に関与する壁部
の集中点に対応する。集中点は、集中チャネルではxy平面上方に、拡散チャネルではx
y平面下方に位置し、3Dモデルのベース部又は下層はxy平面に包埋されている。この
方法は、3Dモデルのベース部の中心に対する、又は3Dモデルのベース部における質量
部の中心の投影に対する距離がより小さい第1方向ライン及び第2方向ラインのうちの1
つに対応する、主方向ラインを選択することをさらに含むことができる。この方法は、共
に交点(集中点)を貫き、3Dモデルに接する第1境界ライン及び第2境界ラインを定め
るため、主方向ラインのスロープを変化させることをさらに含むことができる。第1境界
ライン及び第2境界ラインの両方は、それぞれ、xz平面に対して角度をなして、例えば
垂直に配置される対応する境界平面(接線平面)に拡張することができる。最後に、この
方法は、層の外形と一連の充填ラインとの交点が定められる領域を、それぞれの層を含む
平面と第1接線平面及び第2接線平面との交点に接する領域に範囲づけすることを含むこ
とができる。
【0077】
【0078】
【0079】
少なくとも、ユーザー定義のパラメーターのサブセットは、3Dモデル81のチャネル
を定義する壁部の集中点を計算するために使用することができる。これは、
図8Aの座標
系のxz平面における、それぞれチャネルを集中させる場合及びチャネルを拡散させる場
合を示す
図9A及び
図9Bに基づいて説明する。入力データに基づき、アルゴリズムを使
用してチャネルが集中又は拡散かを判定する。Pore
bは、その終了点の1つが座標系
の原点84に対応する第1ラインセグメント91によって表される。Pore
uは、ユー
ザー定義の高さ92における第2ラインセグメント92によって表される。3Dモデル8
1の全体的な高さは、第2の高さ94に対応する。Pore
b及びPore
uは、3Dモ
デル81の同じチャネルに関し、xz平面82における第1ラインセグメント91に対す
る第2ラインセグメント93の位置を方向ベクトル85から導出することができる。一般
に、線形相関が、孔サイズPore
uと対応する孔h
uの高さとの間に存在する。チャネ
ル(又はその壁部)の集中点97は、第1ラインセグメント91の左終了点と第2ライン
セグメント93の左終了点とを接続することで第1方向ライン96を計算すること、及び
第1ラインセグメント91の右終了点と第2ラインセグメント93の右終了点とを接続す
ることで第2方向ライン95を計算することによって定められる。
図9A及び
図9Bに示
すように、方向ベクトル85は、第2方向ライン95上に位置する。第1方向ライン96
及び第2方向ライン95は、チャネルの壁部の1次元表現に相当する。第1方向ライン9
6及び第2方向ライン95の交点を計算することによって、壁部の集中点97が得られる
。3Dモデル81に対する集中点97の位置に対応して、すなわち、集中点97が、
図9
Aに示すように、3Dモデル81上方に、ゆえにxy平面上方に位置するか、又は
図9B
に示すように、3Dモデル81下方に、ゆえにxy平面下方に位置するかどうかに対応し
て、アルゴリズムはチャネルが集中するか又は拡散するかを判定する。一定のチャネルの
場合、第1ラインセグメント96及び第2ラインセグメント95は平行であり、方向ベク
ター85は一定のチャネルの方向を示す第2矢印38に相当する(
図3参照)ということ
が留意される。
【0080】
チャネルの特性を判定した後、
図10の上段に示す多孔性物体の3Dモデル81は一連
の層101に分解され、各層は3Dモデルのそれぞれの高さにおける3Dモデルの外形を
含む。半球の形態における3Dモデル81の例において、各層101は、座標系のxy平
面に平行に配置されたディスクに相当し、単にノズルの2次元移動によってプリント時に
押し出すことができる。
【0081】
図10の下段に示す次のステップにおいて、プリントパスは各層101に対して定めら
れる。これは、各層101を一連の充填ライン102と交差させることによってなされ、
各層101のための充填ライン102同士の間の距離103は、充填ラインに対して垂直
の方向におけるその層101の孔の寸法に対応するように設定する。例えば、ユーザー定
義の高さh
uにおける層では(
図9A及び
図9B参照)、充填ライン102同士の間の距
離103は孔サイズPore
uに対応するものとなる。プリントパスは、一連の充填ライ
ン102と層101の外形との交点104に基づいて定められる。プリントパス105の
セクションを
図10の下段に示す。プリントパスは、順序づけた一連の交点104によっ
て形成され、交点104はプリントパス105を形成する矢印によって示されるように配
置される(すなわち、n番目の充填ラインの下方交点104->n番目の充填ラインの上方
交点104->n+1番目の充填ラインの上方交点104->n+1番目の充填ラインの下方
交点104)。
【0082】
【0083】
一定でないチャネル、すなわち、集中又は拡散チャネルの場合、孔のサイズは1つの層
から次の層へと次第に変化する。同時に、孔の数は、一定のチャネルの場合でも、すべて
の層Lsにおいて等しい。
【0084】
【0085】
集中チャネルの場合は
図11に示すものと類似し、主に、回転軸121がxy平面12
0下方に配置されるのではなく、xy平面120の上方に配置されるという点で
図11に
示すものと異なる。したがって、第1境界平面123及び第2境界平面124のスロープ
は反転する、すなわち、第1境界平面123のスロープは正となり、第2境界平面124
のスロープは負となる。チャネルの方向を表す方向ベクトル85、第1境界ライン、及び
第2境界ラインが平行であるので、対応して集中点97が存在しない一定のチャネルの場
合、第1境界ライン及び第2境界ライン(及び対応する第1境界平面123及び第2境界
平面124)は、3Dモデル81に接するようになるまで第2方向ライン95を移動させ
ることによって得られる。
【0086】
任意のs番目の層101における孔サイズPoresは、まず第1層(下層)における
孔Nの数を計算することで定義することができる。
N=(Xmax-Xmin) /Poreb
【0087】
そして、一貫性の理由から3Dモデルのすべての層で一定である、計算した孔の数Nを
使用して、s番目の層の孔サイズPoresを定めることができる。
Pores=(Xmax-Xmin)s/N
【0088】
図13Aは、種々の実施形態における患者に挿入するためのインプラント1330の側
面断面図を示す。
【0089】
インプラント1330は、層101の3次元(3D)プリント構造を含む。各層101は、
3次元プリント構造の(
図7に関して記載するような)充填パターンを含む。各層の充填
パターンは、一連の充填ライン102を含む。インプラント1330は、複数の中空チャ
ネル21をさらに含む。層101は、複数の中空チャネル21がインプラント1330内
に形成されるように、互いに重ねられて配置される。各チャネル21の壁部134は、層
のプリント構造における複数の層の充填ラインのセクションによって形成される。少なく
とも1つの中空チャネル(21)は、インプラントの第1外面138とのインプラントの
第2外面139との間に延在する。少なくとも1つの中空チャネル(21)は、インプラ
ントの第1外面に対して垂直の基準軸137に対して傾斜する方向(53)に向く。
【0090】
インプラントの第1外面138は、インプラントの最大平板状(平坦)面とすることが
できる。例えば、第1外面138は、インプラントの最も平坦な面、及び/又は湾曲の量
が最も小さい面とすることができる。第1外面138は、患者に挿入後、患者の胸壁に対
向する、又は患者の胸壁に最も近接するインプラントの面であり得る下面とすることがで
きる。インプラントの第1外面は、3次元(3D)プリント構造の第1層(又は1つ以上の層
)によって形成された2次元(x-y)平面に対して平行とすることができる。
図13A
の側面断面図は、第1外面128に対して垂直の、すなわちx-y平面に対して垂直の断
面からのものであり得る。
【0091】
さらに、又は任意で、第2外面139は、第1外面138と一致しない(例えば、交差
しない)面とすることができる。第2外面139は、インプラントの側面、又はインプラ
ントの上面とすることができる。任意で、インプラントの第1外面138及び第2外面1
39は対向する面とすることができる。例えば、インプラントの第1外面は下面とし、第
2外面は上面とすることができる。任意で、第2外面139はインプラントの曲面とする
ことができる。チャネル21(又はチャネル21の投影又は延長線)は第2外面139に
て終端し、チャネル21と第2外面139との交点を定義することができる。チャネル2
1と第2外面139との交点における接線平面は、x-y平面と平行ではないものとする
ことができる。
【0092】
傾斜対基準の角度αは、基準軸137とチャネル21の長手方向中心軸141との角度
として定義することができる。基準軸137は、層のx-y平面に対して垂直(例えば、
大部分の層に対して垂直、例えば50%を超える層に対して垂直)とすることができる。
例えば、基準軸137はz軸と平行とすることができる。例えば、基準軸137は、イン
プラントの第1外面138によって形成される平面に対して垂直とすることができる。傾
斜対基準の角度αは、x-y平面に対して垂直である、インプラント1330の側面断面
図において、10度~85度の間(又は例えば、45度~85度の間)であるとすること
ができる。
【0093】
チャネル21の長手方向中心軸141は、チャネル21の壁部134を形成する充填ラ
インの中央点に位置する直線ラインであり得る長手方向中心対称軸とすることができる。
任意で、テーパー状でないチャネルの場合、長手方向中心軸141は、チャネル21の壁
部134のそれぞれに対して平行とすることができる。
【0094】
少なくとも1つの中空チャネル21(例えば、1つ以上の中空チャネル21)は、イン
プラントの第1外面138とのインプラントの第2外面139との間に延在する。任意で
、30%を超える(又は例えば50%を超える、又は例えば80%を超える、又は例えば
それぞれの)中空チャネル21は、第1外面138と第2外面139との間に延在する。
「第1外面138と第2外面139との間に延在する」とは、チャネル21が直接的に表
面で終端しない、例を含むように理解することができる。例えば、「第1外面138と第
2外面139との間に延在する」とは、チャネル21が第1外面138及び第2外面13
9に到達する前に(1つ以上の層を)終端する、言い換えると、チャネル21の開口部が
インプラントの最外層で必ずしも形成されない、という例を含むことができる。一部の実
施例において、チャネル21が傾いた(傾斜した)部分及び少なくとも1つの非傾斜部分
を含むということが可能である。チャネル21の非傾斜部分は、基準軸に対して平行であ
る部分とすることができる(例えば、傾斜対基準の角度がゼロ)。例えば、(第1)非傾
斜部分は、インプラントの第1外面に開口部を有することができる。チャネル21の傾斜
部分は、第1非傾斜部分と、任意でインプラントの第2外面に開口部を有する第2非傾斜
部分との間に位置することができる。チャネル21の非傾斜部分は、インプラントの第1
外面又はインプラントの第2外面におけるインプラントの1つ以上(例えば、複数)の最
外層から形成することができる。
【0095】
また、「第1外面138と第2外面139との間に延在する」とは、チャネルの少なく
とも1つの端部がインプラントの最外層で終端する、という例を含むことができる。例え
ば、チャネル21は、第1外面138から第2外面139に完全に延在することができる
。例えば、チャネル21は、第1外面138にて開始して第2外面139にて終端する。
さらに、すべての中空チャネル21が第1外面138から開始して第2外面139にて終
端するわけではないということが可能であるということが理解される。例えば、インプラ
ントの側部のチャネル21の一部(又はチャネルの延長線部)が第1外面138にて開始
されないことが可能である。
【0096】
複数の中空チャネルのうちの少なくとも10%(又は例えば少なくとも20%、又は例
えば少なくとも30%、又は例えば少なくとも50%、又は例えばすべて)の中空チャネ
ルは、基準軸に対して同じ傾斜対基準の角度だけ傾斜させることができる。同じ傾斜対基
準の角度を有する中空チャネルは同じ方向にアライメントすることができ、傾斜対基準の
角度の大きさを同じとすることができる。あるいは、又は任意で、複数の中空チャネルの
うちの2つを超える中空チャネル(又は例えば3つを超える中空チャネル、又は5つを超
える中空チャネル)は、基準軸に対して同じ傾斜対基準の角度だけ傾斜させることができ
る。傾斜した一定のチャネルの場合、傾斜対基準の角度は、それぞれのチャネルにおいて
同じとすることができる。言い換えると、インプラントの中空チャネルはすべて、製造の
不具合によるずれを無視して、互いに対して平行とすることができる。
【0097】
任意で、少なくとも1つの中空チャネル(又は例えば1つ以上の若しくはすべての中空
チャネル)は、テーパー状チャネルとすることができる。任意で、複数の中空チャネルは
、インプラントの第1外面又は第2外面の所定の領域に向かって集中させることができる
。一部の実施形態において、所定の領域は、インプラントの第1外面上に直接位置する、
又は第2外面上に直接位置する集中点とすることができる。あるいは、所定の領域は、イ
ンプラントの第1外面を超えて(外側に)、又は第2外面を超えて(外側に)位置する集
中点とすることができる。言い換えると、集中点は、(
図9A及び
図9Bに関して記載す
るように)インプラントの外側に位置することができる。
【0098】
図13Bは、種々の実施形態における傾斜/傾き中空チャネルを含むインプラント13
30の側面断面図を示す。
【0099】
層の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層とを含むことができる。第1
組の層は、層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含むことができ、第2組の層は、層の
3次元(3D)プリント構造の偶数層を含むことができる。
【0100】
第1組の層の充填ラインは第1方向に向けることができ、第2組の層の充填ラインは、
第1方向と異なる第2方向に向けることができる。第1組の層の奇数層における充填パタ
ーンの部分は、第1組の層の第1充填層における充填パターンの部分に対して移動させる
ことができる。さらに、又は任意で、第2組の層の偶数層における充填パターンの部分は
、第2組の層の第1充填層における充填パターンの部分に対して移動させることができる
。
【0101】
3Dプリント構造における複数の層の各奇数層は、第1充填ライン102
y1、及び奇
数層の第1充填ライン102
y1に対して平行で、直接隣接し得る第2充填ライン102
y2を含むことができる。一例として、奇数層は、層1、層3、層5など、又は一般に式
の層n+2×(t)、式中tは0以上の整数であるとすることができる。tは、限定され
るものではないが、例えば30~200の間である整数とすることができる。
図13Aに
示すように、任意の第1奇数層(層1)は、n=1、t=0の層であるとすることができ
る。第1奇数層は、限定されるものではないが、インプラントの第1外面における最外層
とすることができる。
【0102】
横方向の孔寸法(pore1)は、第1奇数層(層1)の第1充填ライン10211と
第1奇数層の隣接する(直後の)第2充填ライン10212との間の距離103とするこ
とができる。距離103は、第1奇数層の第1充填ライン10211の長手方向中心軸1
31に対して、及び/又は第1奇数層の第2充填ライン10212の長手方向中心軸13
2に対して垂直の方向(x方向)において測定することができる。第1奇数層の第1充填
ライン10211の長手方向中心軸131は、第1奇数層の第1充填ライン10211の
長さに対して平行の(例えば、y軸に対して平行の)軸とすることができる。第1奇数層
の第2充填ライン10212の長手方向中心軸132は、第1奇数層の第2充填ライン1
0212の長さに対して平行の軸とすることができる。
【0103】
横方向オフセット値ovは、第1奇数層の第1充填ラインの長手方向中心軸131と、
第2奇数層(例えば、層n+2=3)の第1充填ライン10231の長手方向中心軸13
3との間の最小距離として定義することができる。第2奇数層の第1充填ライン1023
1の長手方向中心軸133は、第2奇数層の第1充填ライン10231の長さに対して平
行の(例えば、y軸に対して平行の)軸とすることができる。横方向オフセット値ovは
、水平方向に、層と平行に(例えば、x軸と平行に)測定した寸法とすることができる。
【0104】
横方向オフセット値ovは、製造の不具合によるずれを無視して、ゼロより大きく、第
1層(層1)の第1孔の孔サイズ103(又はpore1)の50%未満(又は例えば3
0%未満、又は例えば10%未満、又は例えば5%未満、又は例えば1%未満)とするこ
とができる。
【0105】
チャネル21の複数の奇数層の充填ライン102は、中空チャネル21の壁部1341
の部分を形成する奇数層(例えば、層1)の充填ライン10211の部分が、同じ中空チ
ャネル21の同じ壁部1341の部分を形成する隣接する奇数層(例えば、層3)の最も
接近する(又は最も近接する)平行の充填ライン10231に対して横方向オフセット値
ovだけオフセットするように、配置することができる。一例として、n+2×(1)層
の充填ラインの部分は、n層の最も接近する(又は最も近接する)平行の充填ラインに対
して横方向オフセット値ovだけオフセットすることができる。その後の奇数層、n+2
×(2)は、n+2×(1)層の最も接近する平行の充填ラインに対して同じ横方向オフ
セット値だけオフセットすることができる。一定のチャネルの場合、横方向オフセット値
は、製造によるずれを無視して、インプラントの80%を超える層において一定(又は同
じ)とすることができる。
【0106】
同じ中空チャネルの同じ壁部を形成する充填ラインの部分すべては、その壁部を形成す
る第1層の充填ラインに対して、累積(合計)の横方向オフセット値を有することができ
る。一定の傾斜チャネルの場合、累積の横方向オフセット値は、直後の奇数層同士の間の
横方向オフセット値の倍数とすることができる。例えば、壁部1341のn+2×(t)
層の第1充填ラインは、壁部1341の第1層の第1充填ライン10211に対して、(
(t-1)×ov)の累積の横方向オフセット値を有することができる。充填ラインは、
((t-1)×ov)の累積の横方向オフセット値が、2より大きいtの整数値において
、すなわち奇数層7、9、及びそれ以降においてのみ、第1層の第1孔の孔サイズ103
(又はpore1)以上となるように、配置することができる。この場合、tは、限定さ
れるものではないが、2<t<8、又は例えば、4<t<20などの値とすることができ
る。言い換えると、2以下のtの値において、製造によるずれを無視して、累積の横方向
オフセット値((t-1)×ov)は、孔サイズ103(又はpore1)未満とするこ
とができる。あるいは、又は任意で、傾斜対基準の角度が非常に小さい(例えば、5度未
満)場合、累積の横方向オフセット値((t-1)×ov)は、2より大きいtの整数値
でも、孔サイズ103より小さくなることがある。
【0107】
インプラントの上面とインプラントの下面との間に延在する傾いたチャネル21の壁部
1341は、毎奇数層の充填ライン102の部分を含むことができる。壁部1341は、
チャネル21の複数の奇数層の充填ラインによって形成されるので、奇数層(例えば、層
1)の充填ライン10211の部分と、隣接する(又は直後の)奇数層(例えば、層3)
の最も接近する(近接する)平行の充填ライン10231の部分とが、同じ中空チャネル
21の同じ壁部1341の部分を形成することとなる。同様に、隣接する(又は直後の)
奇数層(例えば、層5)の平行の充填ライン10251の部分は、同じ中空チャネル21
の同じ壁部1341の部分を形成する。
【0108】
中空チャネルの任意の壁部は、インプラントを形成する層の配置において、1つおきの
層のセクションによって形成することができる。中空チャネル21の第1壁部1341は
、奇数層の第1充填ラインの部分から形成することができる。中空チャネル21の第2壁
部1342は、奇数層の第2充填ラインの部分から形成することができる。また、第2壁
部1342は、一定の傾斜したチャネルの場合第1中空チャネルと平行であり得る近接す
る(直接隣接する)第2中空チャネルの壁部とすることができる。
【0109】
3Dプリント構造における複数の層の各偶数層(例えば、層2、4、6、...2×t
)は、第1充填ライン、及び偶数層の第1充填ラインに対して平行で、直接隣接し得る第
2充填ラインを含むことができる。中空チャネル21の第3壁部は、偶数層の第1充填ラ
インの部分から形成することができる。中空チャネル21の第4壁部は、複数の層の偶数
層における第2充填ラインの部分から形成することができる。
【0110】
一部の他の実施例において、第1奇数層の第1充填ライン10211と第2奇数層の第
1充填ライン10231との間の横方向オフセット値は、第1奇数層の第1充填ライン1
0211と第1奇数層の隣接する第2充填ライン10212との間の距離の50%~10
0%の間(例えば、55%~95%の間)である。奇数層(例えば、n+2×t層)の第
1充填ライン102t1と第1奇数層の第1充填ライン10211のとの間の累積の横方
向オフセット値は、2以上のtの値において、第1奇数層の第1充填ライン10211と
第1奇数層の隣接する第2充填ライン10212との間の距離より大きくすることができ
る。
【0111】
「奇数層」及び「偶数層」という用語は、単一の(すなわち、1つの)層を指すことが
できる、又はそれぞれ「奇数の一連の層」及び「偶数の一連の層」も指すことができると
いうことが理解される。言い換えると、「奇数層」という用語は、奇数の一連の層内の1
つ以上の層を指すことができる。同様に、「偶数層」という用語は、偶数の一連の層内の
1つ以上の層を指すことができる。
【0112】
図1~
図12の実施形態に関して記載されるインプラントの特徴(層の3Dプリント構
造、充填パターン、充填ライン、複数の中空チャネル、チャネルの壁部、奇数層、偶数層
)はまた、
図13A及び
図13Bのインプラントにも適用することができることが理解さ
れる。
【0113】
図13Cは、プリント方向に対して傾斜していないチャネルの例を示す。
図13Cに示
すように、横方向オフセット値はゼロである。
【0114】
本発明が本目的を実行して、上述の最終形及び利点、並びにその本質的なものを得るこ
とに良好に適応するということが、当業者は直ちに理解することができる。さらに、種々
の代替形及び変形を、本発明の範囲及び趣旨から外れることなく本明細書に開示される発
明に行うことができるということは、当業者にとって直ちに明らかなものとなる。このよ
うに、ここで所定の実施形態を表す、本明細書に記載される構成、方法、手法、処置、及
び特定の材料は例示であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。特許請求の範囲
によって規定される本発明の趣旨内に含まれる、本明細書における変更、及び他の使用は
、当業者によってなされることとなる。本明細書における既に刊行されている文書の列挙
又は記述は、その文書が現状技術の一部である又は技術常識であるということを認めると
して必ずしも受け取られるべきでない。
【0115】
本明細書に例示的に記載される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の
要素、限定がなくとも適切に実施することができる。このように、例えば、「含む」、「
含める」、「包含する」などの用語は、広範に、限定することなく解釈されることとなる
。さらに、本明細書に使用される用語及び表現は、限定ではなく記載するための用語とし
て用いられており、そうした用語及び表現の使用において、提示され記載される特徴の任
意の同等物、又はその一部を排除するという意図は存在しないが、記載の本発明の範囲内
において種々の変形が可能であるということが認められる。このように、本発明は例示の
実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書にて具体化される
本発明の変形及び変化形が当業者によって採用され得、そうした変形及び変化形が本発明
の範囲内にあると考えられるということを理解する必要がある。
【0116】
本発明は、本明細書において広範かつ一般的に記載されている。また、一般的な開示内
に該当する狭義の種及び下位の分類のそれぞれも本発明の一部をなす。これは、実施され
るものが本明細書に具体的に記載されているかどうかに関わらず、その部類から任意の限
定事項を除くという負の限定を前提で一般的な記載を含むものである。
【0117】
他の実施形態は以下の特許請求の範囲内にある。さらに、本発明の特徴又は態様はマー
カッシュ群において記載されるところ、当業者は、本発明がまたそれによってマーカッシ
ュ群の任意の個々の構成物又は下位群の構成物においても記載されるということを認める
こととなる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に挿入するためのインプラント(16、33、52、61、62)であって、該インプラントは、
層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造を含み、
それぞれの前記層(71、72)は前記3次元プリント構造の充填パターン(76、77)を含み、それぞれの前記層の前記充填パターン(76、77)は一連の充填ラインを含み、
前記層(71、72)は、壁部を含む複数の隣接する傾斜した中空チャネル(21)が前記インプラント内に形成されるように互いに重ねられて配置され、
前記隣接する傾斜した中空チャネル(21)は、互いに壁部(134)で隔てられ、第1の中空チャネルの壁部は、隣接する第2の中空チャネルの壁部であり、それぞれの前記傾斜したチャネル(21)は、前記層のプリント構造における複数の交互の層の前記充填ラインのセクションによって形成される傾斜壁部を含み、
前記充填ラインの前記セクションは、第1方向に向けられ、横方向オフセット値をもって上下に互いに重ねられて配置され、
前記横方向オフセット値は、前記インプラントの第1外面に平行な方向の寸法であり、かつ、ゼロより大きく、横方向における前記中空チャネルの寸法の50%未満であり、
前記複数の傾斜した中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面と前記インプラントの第2外面との間に延在し、
前記傾斜した中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面に対して垂直の基準軸に対して傾斜する方向(53)に向く、インプラント。
【請求項2】
前記インプラントの前記第1外面及び前記第2外面は対向する面である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第1外面は、前記3次元(3D)プリント構造の第1層によって形成された2次元平面に対して平行である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1外面は前記インプラントの最大平板状面である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
チャネルの長手方向軸と前記基準軸との角度は10度~85度の間である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層とを含み、
前記第1組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含み、
前記第2組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含み、
前記第1組の層の前記充填ラインは第1方向に向き、前記第2組の層の前記充填ラインは、前記第1方向と異なる第2方向に向き、
前記第1組の層の前記奇数層における前記充填パターンの部分は、前記第1組の層の第1充填層における前記充填パターンの部分に対して移動している、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第2組の層の前記偶数層における前記充填パターンの部分は、前記第2組の層の第1充填層における前記充填パターンの部分に対して移動している、請求項6に記載のインプラント。
【請求項8】
第1奇数層の第1充填ライン(10211)と第2奇数層の第1充填ライン(10231)との間の横方向オフセット値は、前記第1奇数層の前記第1充填ライン(10211)と前記第1奇数層の隣接する第2充填ライン(10212)との間の距離の0%~50%の間である、請求項6又は7に記載のインプラント。
【請求項9】
第1奇数層の第1充填ライン(10211)と第2奇数層の第1充填ライン(10231)との間の横方向オフセット値は、前記第1奇数層の前記第1充填ライン(10211)と前記第1奇数層の隣接する第2充填ライン(10212)との間の距離の50%~100%の間である、請求項6又は7に記載のインプラント。
【請求項10】
前記複数の傾斜した中空チャネルは、前記インプラントの前記第1外面又は前記第2外面の所定の領域(97)に向かって集中する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記所定の領域(97)は、前記インプラントの前記第1外面又は前記第2外面を超えて位置する集中点である、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
少なくとも1つの中空チャネルはテーパー状チャネルである、請求項1又は10に記載のインプラント。
【請求項13】
前記テーパー状チャネルは、前記インプラントの下面における前記チャネルの開口部のサイズが5~10mmの範囲であり、前記インプラントの上面における前記チャネルの開口部のサイズが0.5~5mmの範囲であるように構成される、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記複数の傾斜した中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネルは、前記インプラントの前記第1外面における第1開口部、及び前記インプラントの前記第2外面における第2開口部を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項15】
前記複数の傾斜した中空チャネルのうちの少なくとも1つの中空チャネルは、傾斜部分及び少なくとも1つの非傾斜部分を含み、前記チャネルの前記非傾斜部分は前記インプラントの1つ以上の最外層を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
前記少なくとも1つの中空チャネルの前記非傾斜部分は、前記インプラントの前記第1外面又は前記インプラントの前記第2外面における前記チャネルの開口部と、前記少なく
とも1つの中空チャネルの前記傾斜部分との間に位置する、請求項15に記載のインプラント。
【請求項17】
前記複数の傾斜した中空チャネルのうちの2つを超える傾斜した中空チャネルは、前記基準軸に対して同じ角度だけ傾斜することができる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項18】
前記複数の傾斜した中空チャネルのうちの少なくとも10%の前記傾斜した中空チャネルは、前記基準軸に対して同じ角度だけ傾斜することができる、請求項1に記載のインプラント。
【請求項19】
前記層(71、72、101)の3次元(3D)プリント構造は、第1組の層と第2組の層とを含み、
前記第1組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の奇数層を含み、
前記第2組の層は、前記層の3次元(3D)プリント構造の偶数層を含み、
中空チャネルの第1壁部は、前記第1組の層の複数の奇数層のセクションによって形成され、
前記中空チャネルの第2壁部は、前記第2組の層の複数の偶数層のセクションによって形成される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項20】
前記インプラントは、乳房インプラントである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項21】
それぞれの前記層の前記充填パターンは、前記層の開始点(74)から前記層の終了点(75)まで連続的に蛇行するプリント材料を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項22】
インプラントを形成する方法であって、該方法は、3次元(3D)プリント構造を形成するように、層を順次プリントすることを含み、
それぞれの前記層は充填パターンにしたがってプリントされ、それぞれの前記層の前記充填パターンは一連の充填ラインを含み、
前記層(71、72)は、壁部を含む複数の隣接する傾斜した中空チャネル(21)が前記インプラント内に形成されるように互いに重ねられてプリントされ、それぞれの前記傾斜したチャネル(21)は、前記層のプリント構造における複数の交互の層の前記充填ラインのセクションによって形成される傾斜壁部を含み、
前記充填ラインの前記セクションは、第1方向に向けられ、横方向オフセット値をもって上下に互いに重ねられて配置され、
前記横方向オフセット値は、前記インプラントの第1外面に平行な方向の寸法であり、かつ、ゼロより大きく、横方向における前記中空チャネルの寸法の50%未満であり、
前記傾斜した中空チャネル(21)は、互いに壁部(134)で隔てられ、第1の中空チャネルの壁部は、直に隣接する第2の中空チャネルの壁部であり、
前記複数の中空チャネルのうちの少なくとも1つの傾斜した中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面と前記インプラントの第2外面との間に延在し、
前記傾斜した中空チャネル(21)は、前記インプラントの前記第1外面に対して垂直の基準軸に対して傾斜する方向(53)に向く、方法。
【請求項23】
形成される前記チャネルの傾斜を定めるチャネル方向ベクトルを提供すること、
第1の高さで形成される層の第1孔の孔寸法を特定し、前記第1孔は第1ラインセグメントによって表されること、及び
第2の高さで形成される層の第2孔の孔寸法を特定し、前記第2孔は第2ラインセグメントによって表され、前記第1孔及び前記第2孔は形成される同じチャネルに属することをさらに含む、請求項22に記載の方法。