(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003777
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】CO2を吸着する吸着装置、元素分析装置及び流体の流れからCO2を除去する方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20240105BHJP
G01N 31/12 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B01D53/04 220
G01N31/12 Z
B01D53/04 110
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023102373
(22)【出願日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】22181260.5
(32)【優先日】2022-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516190297
【氏名又は名称】シー.ゲルハルト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ジューブ、 ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】アダメク、 タチアナ
(72)【発明者】
【氏名】ヌル、 ナディーン
【テーマコード(参考)】
2G042
4D012
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA20
2G042DA04
2G042HA10
4D012BA02
4D012CA03
4D012CB05
4D012CD04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】元素分析装置の試料ガスからCO
2を除去するための吸着装置において、吸着材の再生を効果的かつ効率的に行える吸着装置を提供する。また、前記吸着装置を備える元素分析装置、及びガス流からCO
2を除去する方法を提供する。
【解決手段】流体の流入口111、流体の流出口112及び流体が流れ得る吸着材を有するフィルタ11と、吸着材を加熱する加熱装置12とを含む元素分析装置に用いるCO
2吸着装置1であって、加熱装置が長手方向軸Xに沿って延び、フィルタが長手方向軸と同軸に配置され、少なくとも部分的に加熱装置を径方向に取り囲んでいることを特徴とする、CO
2の吸着装置である。さらに、試料を燃焼させる燃焼反応器と、任意の還元反応器と、任意の水分離器と、検出器とを含む元素分析装置を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素分析装置に用いるCO2を吸着する吸着装置(1、2)であって、
流体の流入口(111、211)、前記流体の流出口(112、212)及び前記流体が通過可能な吸着材を有するフィルタ(11、21)と
前記吸着材を加熱する加熱装置(12)と
を含み、
前記加熱装置(12)は、長手方向軸(x)に沿って延び、
前記フィルタ(11、21)は、前記長手方向軸(x)と同軸に配置され、少なくとも部分的に径方向に前記加熱装置(12)を取り囲むことを特徴とする吸着装置(1、2)。
【請求項2】
前記フィルタは、前記長手方向軸に沿って延びるレセプタクルを形成し、前記加熱装置が、直線状の前記長手方向軸に沿って延び、前記レセプタクル内に取り外し可能に挿入可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置(1)。
【請求項3】
フィルタ(11)は、長手方向に沿って、加熱装置(12)の周りに螺旋状に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置(1)。
【請求項4】
前記流入口(111)及び前記流出口(112)は、前記フィルタ(11)の前記長手方向軸(x)について反対側に配置されたことを特徴とする請求項3に記載の吸着装置(1)。
【請求項5】
前記フィルタ(21)は第1のチャンバ(214)を含み、前記吸着材は前記第1のチャンバ内に配置され、前記第1のチャンバ(214)は前記長手方向軸(x)に沿って延びる空洞(25)を取り囲み、前記加熱装置は前記空洞(25)内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置(2)。
【請求項6】
前記フィルタ(21)は、前記第1のチャンバ(214)に流体的に接続され、前記空洞(25)を取り囲み、前記第1のチャンバ(214)と前記空洞(25)との間に配置された第2のチャンバ(213)をさらに含み、前記吸着材は、前記第1のチャンバ(213)及び/又は前記第2のチャンバ(214)内に配置されたことを特徴とする請求項5に記載の吸着装置(2)。
【請求項7】
前記吸着装置(1、2)は、前記吸着材を冷却する冷却装置(13)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項8】
前記冷却装置(13)は、ファンによって形成されたことを特徴とする請求項7に記載の吸着装置(1、2)。
【請求項9】
加熱装置(12)は、棒状の基部(122)の周囲に螺旋状に配置された電熱線(121)によって形成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置(1、2)。
【請求項10】
前記棒状の基部(122)は、温度センサ(123)を含むことを特徴とする請求項9に記載の吸着装置(1、2)。
【請求項11】
前記吸着装置(1、2)は、前記流入口(111、211)に接続され、第1流体と第2流体とを交互に前記フィルタ(11、21)内に導くことができる第1弁を含むことを特徴とする請求項1に記載の吸着装置(1、2)。
【請求項12】
試料を燃焼させる燃焼反応器と、オプションの還元反応器と、オプションの水分離器と、検出器とを含む元素分析装置であって、
CO2を吸着する請求項1から11のいずれか一項に記載の吸着装置(1、2)を含み、
前記元素分析装置は、前記燃焼反応器からの分析流体を前記CO2を吸着する吸着装置(1、2)を通過させて前記検出器に送るか、又はフラッシング流体を前記CO2を吸着する吸着装置(1、2)を通過させて送るかを交互に行う弁制御部を含む
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の元素分析装置。
【請求項13】
前記フラッシング流体も、前記検出器を通過させるか、又は前記フラッシング流体中のCO2又は炭素を検出する別の検出器を通過させることができることを特徴とする請求項12に記載の元素分析装置。
【請求項14】
少なくとも2つのCO2を吸着する吸着装置(1、2)を含み、前記弁制御部は、前記分析流体を2つ以上の吸着装置に並列に通すことができるように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の元素分析装置。
【請求項15】
少なくとも2つのCO2を吸着する吸着装置(1、2)を含み、前記弁制御部は、同様の試料の分析流体を同じ吸着装置に通すことができるように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の元素分析装置。
【請求項16】
流体の流れからCO2を除去する方法であって、
CO2を吸着する請求項1から11のいずれか一項に記載の吸着装置(1、2)を提供する工程と、
CO2を含む流体の流れを前記吸着装置(1、2)に通して、CO2が吸着材によって前記流体の流れから吸着されるようにする工程と、
前記CO2を含む流体の流れを止める工程と、
加熱装置(12)により前記吸着材を加熱し、フラッシング流体の流れを前記吸着装置に通して、吸着されたCO2が前記吸着材から洗い流されるようにする工程と、
前記フラッシング流体の流れを止める工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CO2を吸着する吸着装置、吸着装置を備える元素分析装置、及び流体の流れ、特にガス流からCO2を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、元素分析装置の分野に関する。元素分析装置は、試料中の特定の化学元素の含有量を測定するために使用される。このような装置は、例えば、有機試料、特に食品試料中の窒素含有量を測定するために使用される。窒素含有量は、例えば食品サンプルのタンパク質含有量に関する結論を導き出すために使用することができる。
【0003】
有機試料の元素分析では、まず有機試料を燃焼によって元素ガス成分に分解する。これにより、試料によってガス物質の組み合わせが異なる組成の燃焼ガスが生成される。主なガスは、COx、水蒸気、元素状窒素、窒素酸化物である。COxとNOxの組み合わせを分解し、より扱いやすい組み合わせになるように反応させるため、燃焼ガス(試料ガスとも呼ばれる)はまず触媒に通され、次に第2段階として、通常は還元反応器に通される。その後、通常、1つ以上の水トラップによって試料ガスの流れから水が除去される。さらなるステップでは、CO2を吸着する吸着装置によって、試料ガス流からCO2が除去される。このようにして得られた試料ガス流は、本質的に元素状窒素のみを含み、試料ガス流中のその濃度は、最終段階で、検出器、通常は熱伝導率検出器によって測定することができる。
【0004】
既知の吸着装置には、試料ガス流からCO2を結合する吸着材が含まれている。例えば、モレキュラーシーブとしても知られる天然ゼオライトや合成ゼオライトが吸着材として使用される。CO2は室温で吸着材の表面に結合する。吸着材にCO2が完全に吸着されると、次に使用する前に再生する必要がある。再生は、吸着材を、好ましくは220℃以上の温度に加熱することによって達成される。高温になると、吸着材は結合したCO2を放出する。CO2を完全に除去するために、パージガスの流れも吸着材に通す。再生後、吸着材は冷却され、再装填することができる。
【0005】
特許明細書EP2013615B1には、吸着材からなるフィルタと、吸着材を加熱する加熱装置とを備えたCO2吸着装置が開示されている。フィルタはU字型の管で形成され、その内部に吸着材が配置されている。加熱装置は、U字管の外側に螺旋状に巻かれた電熱線で構成されている。したがって、吸着材は、再生のために加熱装置によって外部から加熱することができる。吸着装置はさらに、弁装置を備えており、この弁装置によって、試料ガス流とパージガス流とを交互にフィルタに通すことができ、パージガス流は、試料ガス流とは逆方向にフィルタに通される。
【0006】
本発明の目的
本発明の目的は、CO2を吸着する改良された吸着装置であって、特に吸着材の再生がより効果的かつ効率的に行われるような吸着装置を提供することである。これにより、結合したCO2を吸着材から可能な限り完全に、最小限のエネルギーと時間で洗い流すことができる。さらに、吸着装置は、試料ガス流からのCO2の完全な吸着を可能にする必要がある。最後に、吸着装置は、製造及び維持が簡単で安価であることが望ましい。
【0007】
本発明の詳細な説明
この問題を解決するために、本発明は、元素分析装置に用いるCO2を吸着する吸着装置、元素分析装置、及び流体の流れからCO2を除去する方法を開示する。
【0008】
吸着装置
本発明に係る元素分析装置に用いるCO2吸着装置は、流体の流入口、流体の流出口及び流体が通過可能な吸着材を有するフィルタと、吸着材を加熱する加熱装置とを備える。この吸着装置は、加熱装置が長手方向軸に沿って延び、フィルタが長手方向軸と同軸に配置され、少なくとも部分的に加熱装置を径方向に取り囲んでいることを特徴とする。
【0009】
フィルタ、したがってフィルタ内に存在する吸着材も、少なくとも部分的に径方向に加熱装置を取り囲むということの結果として、加熱装置によって径方向外側に放出される熱、したがって加熱力が、より良好に利用される。このことは、本発明による吸着装置を、加熱装置がフィルタの径方向外側に配置され、径方向外側に放出される熱が吸着材の加熱に使用できないEP2013615B1に開示された吸着装置と差異をもたらす。
【0010】
また、本発明による吸着装置は、吸着材内の高度に均質な熱分布を実現する。これにより再生性能が向上する。本発明による吸着装置では、吸着材の再生が迅速かつ完全に行われる。
【0011】
本発明による吸着装置の設計はまた、加熱装置及びフィルタの組立及び保守を容易にする。例えば、加熱装置は、フィルタの対応する軸方向のレセプタクルに挿入することができ、このようにして再びフィルタから分離することができる。一方、EP2013615B1による吸着装置では、加熱装置は、U字形チューブに螺旋状に巻かれた電熱線から構成されているため、加熱装置をフィルタから分離するには多大な労力を要する。
【0012】
「流入口」及び「流出口」という用語は、それぞれ、流体がフィルタに流入し、フィルタから流出することができるフィルタの開口を表すために使用される。本明細書では、明示的な記載がない限り、これらの用語は、流れの方向に関する制限を意味するものではない。したがって、吸着装置の作動中に、流体を「流出口」として指定された開口から「流入口」として指定された開口に導くことも可能であり、その逆もまた可能である。
【0013】
フィルタは少なくとも部分的にヒータを径方向に取り囲み、径方向は長手方向軸に対して規定される。フィルタがヒータの径方向表面を完全に覆うことは必須ではなく、フィルタが例えば空気がフィルタの径方向外側とヒータの径方向表面との間を循環できる隙間を残すことも可能である。
【0014】
フィルタは、加熱装置を径方向に部分的に又は完全に囲むことができる。好ましくは、フィルタは、長手方向軸に垂直な投影面において少なくとも45°、より好ましくは少なくとも90°、さらに好ましくは少なくとも180°の角度範囲をカバーする。ここで、投影面が考慮される、すなわち、フィルタの断面は、径方向の囲みの程度を決定するために、長手方向軸に垂直な平面に投影される。最も好ましくは、フィルタは360°の角度範囲をカバーし、すなわちヒータを完全に囲む。
【0015】
加熱装置は、好ましくは、真っ直ぐな長手方向軸に沿って延び、例えば棒状である。この場合、真っ直ぐな長手方向軸は、加熱装置の長手方向軸でもある。この実施形態は、棒状の長手方向軸をフィルタ内の対応するレセプタクルに容易に挿入し、再び引き出すことができるという利点を有する。
【0016】
一実施形態では、フィルタは、長手方向軸に沿って延びるレセプタクルを形成し、加熱装置は、真っ直ぐな長手方向軸に沿って延び、レセプタクル内に取り外し可能に挿入可能に構成される。
【0017】
しかし、加熱装置が湾曲した棒の形状を有することも可能である。例えば、ヒータはU字型であってもよい。このような湾曲した棒は、湾曲した長手方向軸を有する。この場合、ヒータが延びる長手方向軸は湾曲しており、フィルタの形状は長手方向軸の曲率に従う。
【0018】
一実施形態では、フィルタは、長手方向に沿って加熱装置の周りに螺旋状に配置される。螺旋状のフィルタは、加熱装置が配置される軸方向の空洞を囲む。この実施形態では、フィルタは、径方向において加熱装置を完全に取り囲む。この実施形態では、螺旋状のフィルタのターン間に隙間があり、この隙間を通って空気がフィルタの径方向外側と加熱装置の表面との間を循環することができる。これにより、使用する吸着材の量に比例して、熱交換に利用できるフィルタの表面積を増やすことができる。これにより、加熱装置から放出される熱の吸収が促進され、吸着材内の均一な温度分布が可能になる。さらに、この実施形態では、再生が行われた後の吸着材の冷却をより迅速に行うことができる。
【0019】
この実施形態において、フィルタは、好ましくは、螺旋管の形態であり、その端部に流入口と流出口が配置される。好ましくは、流入口と流出口は、このようにフィルタの長手方向軸について反対側の端部に配置される。
【0020】
管は、吸着材を保持する容器である。管は、例えば、ガラス、ステンレス鋼又はプラスチックで作製することができ、ガラスが最も好ましい材料である。プラスチックの場合、吸着材の再生のために、耐熱性の材料を選択するか、温度を適宜下げるように注意する必要がある。螺旋管は、吸着材がヒータで加熱できる程度に吸着材で充填されるが、吸着材で完全に充填する必要はない。湾曲したヒータ、例えばU字形の棒状のヒータの場合、螺旋状のフィルタも湾曲し、ヒータの曲率に沿う。
【0021】
管の直径は、好ましくは5mmから50mm、特に好ましくは6mmから15mmである。この直径により、最適な熱分布が吸着材内で達成される。
【0022】
好ましくは、本実施形態における加熱装置は、長手方向軸が直線となるように棒状である。このようにして、加熱装置を螺旋状フィルタの軸方向空洞に挿入することが可能になる。これにより、吸着装置全体の組み立てが容易になる。吸着装置は、対応する方法で容易に分解することができ、その際、加熱装置は単に螺旋状フィルタから引き抜かれる。これにより、吸着装置全体の保守が容易になる。
【0023】
別の実施形態では、フィルタは第1のチャンバを備え、吸着材は第1のチャンバ内に配置される。この実施形態では、第1のチャンバは、長手方向軸に沿って延びる空洞を取り囲んでいる。加熱装置は空洞内に配置される。この実施形態において、フィルタは、径方向において加熱装置を完全に取り囲む。
【0024】
この実施形態では、フィルタが加熱装置の径方向の表面を完全に覆うことは可能であるが、必須ではない。これは、フィルタが径方向に空気が循環できる隙間を残さないことを意味する。したがって、径方向に放射される熱は、フィルタによってほぼ完全に吸収され、吸着材の加熱に利用できる。このようにして、吸着装置のエネルギー効率を高めることができる。
【0025】
この実施形態の一変形例では、フィルタは、吸着材が配置される第1のチャンバのみを有する。このチャンバは、好ましくは、長手方向軸に沿って延びている。このチャンバは、加熱装置が配置される軸方向空洞を取り囲む。好ましくは、この変形例において、流入口及び流出口は、流体が吸着材を通って一方向に流れることができるように、長手方向軸に対してチャンバの反対側の端部に配置される。
【0026】
さらなる変形例では、フィルタは、第1のチャンバに加えて、第1のチャンバに流体連通する第2のチャンバを有する。第2のチャンバは、加熱装置が配置される軸方向空洞を取り囲み、第1のチャンバと空洞との間に径方向に配置される。好ましくは、第1のチャンバと第2のチャンバは共に、長手方向軸線に対して同軸に配置され、共に軸方向空洞を取り囲み、第2のチャンバは径方向内側に配置され、第1のチャンバは径方向外側に配置される。
【0027】
この実施形態では、吸着材は、外側の第1のチャンバ、内側の第2のチャンバのいずれか、又は両方のチャンバに配置することができる。好ましい実施形態では、吸着材は、外側の第1のチャンバのみに配置される。
【0028】
この実施形態では、流入口は2つのチャンバの一方に接続され、流出口は2つのチャンバの他方に接続される。例えば、流入口は外側の第1のチャンバに接続され、流出口は内側の第2のチャンバに接続されるか、又は、流入口は内側の第2のチャンバに接続され、流出口は外側の第1のチャンバに接続される。この場合、流入口と流出口は、好ましくは、長手方向軸に対してフィルタの同じ端部に配置される。第1のチャンバと第2のチャンバとの間の流体接続は、好ましくは、長手方向軸に対してフィルタの反対側の端部にある。従って、流体の流れが、まず一方のチャンバを一方向に流れ、次に他方のチャンバを逆方向に流れることが可能である。
【0029】
好ましい実施形態では、吸着材は外側の第1のチャンバにのみ配置され、フィルタの流入口と流出口は、流体の流れが最初に内側の第2のチャンバを流れ、その後に初めて外側の第1のチャンバを流れるように配置される。このようにして、流体の流れは、まず、加熱装置に近い内側の第2のチャンバで加熱装置によって加熱される。その後、加熱された流体の流れが外側の第1のチャンバを流れ、吸着材を加熱する。こうして、流体の流れによって吸着材に均一な温度分布が形成される。
【0030】
すべてのフィルタ変形例の好ましい実施形態では、吸着装置は、吸着材を冷却する冷却装置をさらに備える。冷却装置の助けを借りて、再生が行われた後、短時間でCO2の吸着に必要な温度まで吸着材を冷却し、運転可能な状態にすることができる。
【0031】
冷却装置は、好ましくはファンである。ファンは、フィルタ内の吸着材が冷却されるように、フィルタの方向に空気を送風する。冷却に使用される空気は、好ましくは室温である。しかし、ファンは、冷却に使用される空気を室温以下の温度に冷却できるように、追加の冷却ユニット、例えば水冷ユニット、及び熱交換器を備えることもできる。好ましくは、ファン及びフィルタは、空気が長手方向軸に対して径方向にフィルタ上に導かれるように配置される。
【0032】
ファンの使用は、冷却に使用される空気が螺旋状フィルタのターン間を循環することができるため、上述の螺旋状フィルタとの組み合わせにおいて特に好ましい。これにより、冷却に使用される空気とフィルタとの間の熱交換が改善され、吸着材の冷却がより迅速に行われる。この効果は、冷却に使用される空気が径方向にフィルタに向けられる場合に特に顕著である。
【0033】
好ましくは、冷却に使用される空気は、ファンから流路を通ってフィルタ上に導かれる。流路は必ずしも一直線に走る必要はなく、冷却に使用される空気が1つ又は複数のコーナーを回って導かれるように設計することができる。例えば、ファンをフィルタの上方又は下方に軸方向に配置し、冷却に使用される空気がまず長手軸に平行な方向にファンを出るようにすることが可能である。その後、冷却に使用される空気は、流路を通って偏向され、径方向からフィルタに当たる。
【0034】
流路は、好ましくは、フィルタと加熱装置とを少なくとも部分的に囲むハウジングによって形成される。冷却装置は、ハウジングによって少なくとも部分的に囲まれているか、又はハウジングの外側に配置されることもできる。好ましくは、ハウジングは、1つ又は複数の流路が形成される複数の内部薄板壁からなる。
【0035】
吸着材を加熱する加熱装置は、好ましくは電熱装置である。電熱装置を使用すると、迅速に加熱及び冷却できるという利点がある。これにより、吸着材の再生におけるサイクル時間の短縮が可能になる。
【0036】
一実施形態では、加熱装置は、棒状の基部の周りに螺旋状に配置された電熱線によって形成される。螺旋状の電熱線により、吸着材への加熱の均一な供給が可能になる。
【0037】
上述したように、ヒータは、長手方向軸線が直線となるように棒状であってもよいし、長手方向軸線も湾曲するように湾曲した棒状であってもよい。従って、棒状の基部は直線であってもよいし、湾曲した形状を有していてもよい。湾曲した棒状の基部の場合、伝熱線の螺旋も棒状の基部の湾曲に沿う。しかしながら、真っ直ぐな棒状基部の使用が好ましい。
【0038】
棒状の基部は、好ましくは電気的に非導電性の材料から形成される。棒状の基部が少なくとも1つの電気的に非導電性の表面を有することも可能である。棒状の基部は好ましくは管状であり、特に好ましくは雲母管によって形成される。
【0039】
管状の棒状の基部の使用は、棒状の基部内にさらなる機能要素を配置できるという利点を有する。好ましい実施形態では、温度センサが棒状の基部内に配置され、これは加熱装置を制御するために使用される。
【0040】
好ましい実施形態において、吸着装置は、流入口に接続された第1の弁ユニットを備える。このユニットにより、第1の流体と第2の流体とを交互にフィルタに供給することができる。好ましくは、弁ユニットは少なくとも2つの弁からなる。これにより、1つの弁を介して分析流体をフィルタに供給し、別の弁を介してフラッシング流体をフィルタに供給することが可能になる。
【0041】
さらなる実施形態では、吸着装置はさらに、流出口に接続され、フィルタからの流体を異なる使用対象に交互に通すことができる第2の弁ユニットを有する。これにより、例えば、フィルタからの流体を交互に下流の検出器又はさらなる流出口に導くことが可能になる。
【0042】
第1及び第2の弁ユニットによって、交互に分析流体をフィルタに通し、それを下流の検出器に通したり、フラッシング流体をフィルタに通し、それをさらなる流出口に通したりすることが可能である。さらに、例えば結合したCO2の量を測定するために、フラッシング液を検出器にも通すことも可能である。
【0043】
分析流体とフラッシング流体が同じ方向にフィルタを通って流れる必要はない。また、フラッシング流体を分析流体とは反対方向にフィルタを通して流すことも可能である。この場合、フラッシング流体は、吸着装置の流出口を経由してフィルタに導かれ、吸着装置の流入口を経由してフィルタから導出され、分析流体は、吸着装置の流入口を経由してフィルタに導かれ、さらに吸着装置の流出口を経由して検出器に導かれる。しかし、分析流体とフラッシング流体の両方が、吸着装置の流入口から吸着装置に導入され、流出口から吸着装置から排出され、フィルタを同じ方向に通過することも同様に可能である。
【0044】
さらなる実施形態では、フィルタの流入口及び流出口はそれぞれ、流入口及び流出口がそれぞれ弁又は弁ユニットに流体密封に接続可能な接続要素を有する。この実施形態では、それぞれの弁又は弁ユニットは、それ自体が吸着装置の一部ではない。好ましくは、2つの接続要素は、それぞれの弁又は弁ユニットへの着脱可能な接続を可能にする。このようにして、吸着装置を、吸着装置の外部に設けられた弁ユニットに簡単な方法で接続することができる。このようにして、吸着装置は、既存の元素分析装置に容易に組み込むことができるモジュールの形態で製造することができる。
【0045】
流体の流れからCO2を吸着できる材料であれば、吸着材として使用することができる。好ましくは、モレキュラーシーブが吸着材として使用される。特に好ましくは、吸着材は天然又は合成ゼオライトからなる。吸着特性を向上させるために、吸着材をコーティングすることもできる。好ましくは、吸着材は顆粒の形態である。顆粒の平均粒径は、好ましくは、吸着材の比表面積を最大にするためにできるだけ小さくなるように選択される。しかし、小さすぎる粒径は、吸着材の耐用年数に悪影響を及ぼす。好ましくは、吸着材の粒径は1mmから3mmの範囲である。好ましくは、ゼオライト構造の測定サイズは、8μmから15μmの範囲である。この粒径範囲では、耐用年数に対する吸着容量の特に有利な比が達成される。
【0046】
CO2を吸着する吸着材に加えて、フィルタは、特に水及び硫黄含有化合物、特にSO2を吸着するさらなる吸着材を含むことができる。これらは、好ましくは、CO2吸着用吸着材から分析流体の流れ方向に対して上流側に配置される。これらの追加吸着材により、CO2吸着用吸着材の損傷につながる不純物を分析流体から除去することができる。例えば、水を吸着するためにシリカゲルや酸化アルミニウムを使用することができる。硫黄含有化合物、特にSO2の吸着には、例えばシリカゲルや活性炭を使用することができる。
【0047】
吸着装置は、好ましくは、元素分析装置、好ましくは、有機試料を分析する元素分析装置、最も好ましくは、食品試料を分析する元素分析装置、最も好ましくは、食品試料中の窒素含有量を決定する元素分析装置での使用を意図している。しかしながら、吸着装置は、CO2を流体から除去する必要がある他の用途にも適している。
【0048】
吸着装置は、あらゆる流体からCO2を吸着するように設計されています。流体は液体及び気体成分を含んでいてもよい。さらに、流体は、固体粒子の粒径及び量が吸着材の障害につながらない限り、固体粒子、例えばすす粒子を含んでもよい。好ましくは、流体は気体又は気体混合物であり、特に好ましくは水蒸気を含んでもよい気体混合物である。特に好ましくは、流体は気体成分のみからなる。
【0049】
元素分析装置
本発明による元素分析装置は、試料を燃焼させる燃焼反応器と、任意の還元反応器と、任意の水分離器と、検出器とを備える。元素分析装置は、CO2を吸着する上述の吸着装置と、分析流体を燃焼反応器から吸着装置を通って検出器へ、又は吸着装置を通ってフラッシング流体へ交互に導く弁制御部とを備えることを特徴とする。
【0050】
好ましい実施形態では、元素分析装置は有機試料、特に食品試料を分析する装置である。食品試料は、例えば、人間が消費する食品であっても、動物が消費する飼料であってもよい。好ましくは、元素分析装置は、試料中の窒素含有量を測定するために使用される。特に好ましくは、食品試料中の窒素含有量を測定する分析器である。
【0051】
好ましくは、還元反応器は、燃焼反応器の下流に配置され、吸着装置の上流に配置される。好ましくは、銅反応器が還元反応器として使用され、銅が還元反応の触媒として機能する。任意に、還元反応器内又は還元反応器の上流に配置される別の触媒を使用することもできる。還元反応器によって、燃焼反応器で生成された分析流体中の窒素酸化物は、元素状窒素に還元される。
【0052】
オプションの水分離器は、燃焼反応器の下流に配置され、存在する場合には、好ましくは還元反応器の下流に配置される。水分離器は吸着装置の上流に配置される。水分離器は、分析流体中に存在する水分を分析流体から除去するために使用される。
【0053】
元素分析装置は、上述した少なくとも1つの吸着装置を備える。好ましくは、元素分析装置は2つ以上の吸着装置からなり、より好ましくは2から12個の吸着装置、最も好ましくは4から8個の吸着装置からなる。特に好ましい実施形態では、元素分析装置は6つの吸着装置からなる。複数の吸着装置により、元素分析装置のサイクルタイムを短縮することが可能である。例えば、まず第1の試料を燃焼させ、得られた分析液を第1の吸着装置に通すことができる。その後、第2の試料を燃焼させ、得られた分析流体を第2の吸着装置に通し、その間に第1の吸着装置を再生させることができる。
【0054】
元素分析装置は、燃焼反応器で形成された分析流体とフラッシング流体とを交互に吸着装置に導くことができる弁制御部を含む。好ましくは、弁制御部は、複数の動作状態の間で交互に行うことができる。例えば、第1の動作状態では、弁制御部は、分析流体を燃焼反応器から吸着装置を通って検出器に導く。第2の動作状態では、弁制御部は、例えばフラッシング流体を吸着装置に通し、フラッシング流体の流出口に導く。好ましくは、フラッシング流体は検出器を通さない。第3の動作状態では、例えば、吸着装置の流入口と流出口が閉じられ、吸着装置と元素分析装置の残りの機能ユニットとの間の流体連通が遮断される。
【0055】
一実施形態では、フラッシング液は、CO2又は炭素を検出するために、検出器又は別の検出器を通過させることもできます。このようにして、結合したCO2又は炭素の量を測定し、分析流体及び試料中の炭素含有量に関する結論を導き出すことができる。
【0056】
一実施形態では、元素分析装置は、少なくとも2つの吸着装置を備え、弁制御部は、2つ以上の吸着装置上に分析流体を並列に通過させるように構成される。このようにして、吸着能力を倍増させることが可能である。
【0057】
更なる実施形態では、弁制御部は、複数の吸着装置が存在する場合、類似したサンプルの分析流体が常に同じ吸着装置上を通過するように構成される。このようにして、吸着装置間の個体差に起因して発生し得る系統的な測定誤差を最小化又は完全に除去することが可能となる。好ましくは、この目的のために、弁制御部は、試料及び吸着装置の識別データを記憶する電子記憶装置を備える。したがって、試料の識別データに基づいて、試料を特定の吸着装置に割り当てることが可能である。
【0058】
好ましくは、元素分析装置は、吸着装置の弁制御部及び加熱装置を制御する制御ユニットを備える。好ましくは、制御ユニットは、吸着装置の吸着材を冷却する冷却装置が存在する場合には、それも制御する。このようにして、弁制御部は、好ましくは、分析流体が吸着装置を通過しない場合にのみ加熱装置が作動するように、加熱装置に連結される。さらに、弁制御部は、好ましくは、フラッシング流体が吸着装置に通された後にのみ冷却装置が作動するように、吸着材を冷却する冷却装置(もしあれば)に連結される。
【0059】
元素分析装置は、分析流体の少なくとも1つの成分を検出する検出器を備える。好ましくは、分析流体のガス状成分を検出する検出器である。特に好ましくは、分析流体中の元素状窒素及び/又は炭素を検出する検出器である。一実施形態では、検出器は熱伝導率検出器である。好ましくは、検出器は、分析流体の残りの成分を分離するクロマトグラフィー装置からなる。特に好ましくは、ガスクロマトグラフィー装置である。
【0060】
流体からCO2を除去する方法
本発明による流体の流れからCO2を除去する方法は、以下の工程を有する:
CO2を吸着する上述の吸着装置を提供する;
CO2を含む流体の流れを吸着装置に通し、CO2が吸着材によって流体の流れから吸着されるようにする;
CO2を含む流体の流れを止める;
加熱装置により吸着材を加熱し、吸着材にフラッシング流体を流し、吸着されたCO2を吸着材から洗い流す;及び
フラッシング流体の流れを止める。
【0061】
この方法は、あらゆる流体の流れからCO2を除去するのに適している。流体の流れは液体及び気体成分を含んでいてもよい。さらに、流体の流れは、固体粒子の粒径及び量が吸着材の障害につながらない限り、固体粒子、例えばすす粒子を含んでもよい。好ましくは、流体の流れは気体又は気体混合物であり、特に好ましくは水蒸気を含んでもよい気体混合物である。特に好ましくは、流体の流れは気体成分のみからなる。
【0062】
一実施形態では、流体の流れは、試料、好ましくは有機試料、より好ましくは食品又は飼料試料の燃焼によって得られる分析流体である。好ましくは、流体の流れは以下のステップによって得られる:
燃焼反応器内で試料を燃焼させて分析流体を得る;
分析流体を還元反応器に通して分析流体の酸化成分を還元する;
分析流体を水分離器に通して分析流体から水を除去する。
【0063】
好ましくは、CO2を含む流体の流れは、CO2が吸着材によって流体の流れから吸着されるように、10℃から40℃の温度、好ましくは15℃から30℃の温度、より好ましくは18℃から25℃の温度で吸着材装置に通される。
【0064】
CO2含有流体の流れが吸着装置に通された後、吸着されたCO2は、加熱装置によって吸着材を加熱し、フラッシング流体の流れを吸着装置に通すことによって、吸着材から洗い流される。好ましくは、吸着材は、それによって100℃から300℃、好ましくは150℃から250℃、より好ましくは180℃から220℃の間の中心温度に加熱される。特に好ましい実施形態では、吸着材はまず所定のコア温度まで加熱され、次いでフラッシング流体の流れが吸着装置を通過し、吸着材を通過する。
【0065】
使用されるフラッシング流体は、好ましくは、吸着材によって吸着される成分又は吸着材と化学反応する成分をそれ自体含まない流体である。好ましくは、フラッシング流体は希ガス、例えばヘリウム又はアルゴンである。好ましい実施形態では、ヘリウムがフラッシング流体として使用される。
【0066】
好ましい実施形態では、吸着材装置は、上述の冷却装置を備える。この場合、本方法は、吸着されたCO2が吸着材からパージされた後、冷却装置によって吸着材を冷却する追加の工程を含む。冷却装置による吸着材の冷却中、フラッシング流体の流れは遮断されてもよいし、吸着材を通過し続けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
本発明のさらなる特徴を、以下に説明する図面を参照して説明する。
【
図1】
図1は、第1の実施形態による吸着装置の透視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態による吸着装置の透視断面図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る吸着装置の側断面図である。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る吸着装置の透視断面図である。
【0068】
図1及び
図2は、吸着装置1の第1の実施形態を示す。吸着装置1は、フィルタ11と、加熱装置12と、冷却装置13とを有する。
【0069】
フィルタ11は、棒状の加熱装置12の周囲に螺旋状に巻かれた管形状を有する。フィルタ11は、棒状の加熱装置12を径方向に完全に取り囲んでいる。チューブの両端には、フィルタ11の流入口111と流出口112がある。
【0070】
それ自体は図面に示されていない吸着材は、管の内腔113内に配置されている。
【0071】
加熱装置12は、長手方向軸xに沿って延びており、直線状の棒状の加熱装置であるため、螺旋状のフィルタ11を棒状の加熱装置12に簡単な方法で差し込むことができる。このようにして、加熱装置12は、螺旋状フィルタ11の軸方向の空洞に収容される。
【0072】
加熱装置12は、棒状の基部122に螺旋状に巻かれた電熱線121からなる。棒状の基部122は管、好ましくは雲母管からなり、その内部に温度センサ123が配置されている。温度センサ123によって、加熱装置12の温度を決定し、制御することができる。
【0073】
冷却装置13は、加熱装置12及びフィルタ11の下方に、長手方向軸xに対して軸方向に配置されている。ファン13は、冷却に使用される空気を長手方向軸xに対して軸方向に排出することができる流出口131を有する。
【0074】
吸着装置1は、加熱装置12及びフィルタ11が配置されるハウジング14をさらに有する。ファン13は、ハウジング14の外側でハウジング14に接続されている。ハウジング14は、加熱装置12及びフィルタ11を完全に取り囲んでいるわけではなく、
図1及び
図2において見る人に面する側で開口している。背面側において、ハウジング14は外壁142を有する。ハウジングの内部には、複数の薄板状の内壁141が形成されており、その内壁141には複数の流路143が形成されている。流路143を通じて、ファン13から吐出された空気は、フィルタ11に、長手方向軸xに対して径方向に衝突するように、フィルタ11に導かれる。
【0075】
接続手段144は、内壁144のそれぞれに形成されている。これらの接続手段144は、ハウジング14を第2の吸着装置に結合するために使用することができる。この目的のために、突起144は、第2の吸着装置の外壁142に設けられた対応するレセプタクルに係合することができる。このようにして、複数の吸着装置1を互いに機械的に結合することができる。
【0076】
図示の実施形態では、フィルタ11の流入口111と流出口112はそれぞれ接続手段を有している。これらの接続手段により、流入口111及び流出口112はそれぞれ、図示しない弁装置に流体密封に接続することができる。
【0077】
図3及び
図4は、第2の実施形態による別の吸着装置2を示している。
【0078】
吸着装置2は、フィルタ21と、
図3及び
図4には個別に示されていない棒状の加熱装置とを有している。加熱装置は、
図1及び
図2に描かれているように、棒状の基部と、棒状の基部の周囲に螺旋状に配置された伝熱線とから構成することができる。
【0079】
フィルタ21は、外側の第1のチャンバ214と内側の第2のチャンバ213とを含む。第1のチャンバ214と第2のチャンバ213は、ヒータを配置することができる軸方向の空洞25を取り囲んでいる。空洞25は底部が開口しており、棒状の加熱装置を空洞25に挿入することができる。
【0080】
加熱装置及びフィルタ21は、共に長手方向軸xに沿って延びている。第1のチャンバ214と第2のチャンバ213はそれぞれ、この長手方向軸xに対して同軸に配置されている。フィルタ21の長手方向軸xに対する上端には、流入口211と流出口212がある。流入口211は、内側の第2のチャンバ213の上部開口を形成する。流出口212は、外側の第1のチャンバ214の上部開口を形成する。内側の第2のチャンバ213は、フィルタの下端215において、隙間を介して外側の第1のチャンバ214と流体連通している。このようにして、流体は、流入口211及び内側の第2のチャンバ213を通って外側の第1のチャンバ214に入り、最終的に流出口212を通ることができる。
【0081】
この実施形態では、吸着材は、外側の第1のチャンバ214及び/又は内側の第2のチャンバ213のいずれかに配置されてもよく、好ましくは、吸着材は、外側の第1のチャンバ214に配置される。
【0082】
この実施形態において、流入口211及び流出口212はそれぞれ、流入口211及び流出口212がそれぞれ流体密封な方法で弁に接続され得る接続手段を有する。
【符号の説明】
【0083】
1, 2 吸着装置
11, 21 フィルタ
111, 211 流入口
112, 212 流出口
113 内腔
213 第2のチャンバ
214 第1のチャンバ
12 加熱装置
121 電熱線
122 棒状の基部
123 温度センサ
13 冷却装置
131 流出口の開口
14 ハウジング
141 内壁
142 外壁
143 流路
144 接続手段
25 空洞
x 縦軸
【外国語明細書】