(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024037798
(43)【公開日】2024-03-19
(54)【発明の名称】無線電力対応の電子棚札
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240312BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240312BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240312BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240312BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240312BHJP
【FI】
G06K19/07 040
G06K19/077 112
G06K19/077 252
G06K19/07 090
H02J50/20
H02J50/80
H02J50/40
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023205806
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2021520913の分割
【原出願日】2019-10-21
(31)【優先権主張番号】62/748,245
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515213630
【氏名又は名称】オシア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼイン,ハテム イブラヒム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線受電システムと電子棚札(ESL)機器とを統合するためのシステム、方法、および装置を提供する。
【解決手段】電子棚札装置に給電するためにエネルギーを蓄積するように構成された多層エネルギー貯蔵モジュールと、エネルギー貯蔵モジュール上に配置され、表示データを提示するように構成された電子表示層と、表示層上に配置された光学的に透明な低損失基板層と、光学的に透明な低損失基板層上に配置されたアンテナ層であって、無線電力供給環境において無線周波数(RF)電力信号およびデータ通信を受信するように構成された1つまたは複数のアンテナを備えるアンテナ層と、層の1つまたは複数の上部または内部に配置された集積回路であって、無線電力送信システムから無線電力を要求し、受信したRF電力信号を直流電力に変換し、直流電力を多層エネルギー貯蔵モジュールに蓄積するように構成される制御回路を含む集積回路とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線給電式電子棚札装置であって、
前記電子棚札装置に給電するためにエネルギーを蓄積するように構成された多層エネルギー貯蔵モジュールと、
前記エネルギー貯蔵モジュール上に配置され、表示データを提示するように構成された電子表示層と、
前記表示層上に配置された光学的に透明な低損失基板層と、
前記光学的に透明な低損失基板層上に配置されたアンテナ層であって、前記アンテナ層は、無線電力供給環境において無線周波数(RF)電力信号およびデータ通信を受信するように構成された1つまたは複数のアンテナを備えるアンテナ層と、
前記層の1つまたは複数の上部または内部に配置された集積回路であって、
前記集積回路は、
無線電力送信システムから無線電力を要求し、
前記受信したRF電力信号を直流電力に変換し、
前記直流電力を前記多層エネルギー貯蔵モジュールに蓄積するように構成される制御回路を含む集積回路と、
を備える無線給電式電子棚札装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数のアンテナは、データ通信を受信するようにさらに構成され、前記制御回路は、
前記表示データを決定するために、前記データ通信を処理し、
前記表示データを提示するために、前記電子表示層に指示する、
ようにさらに構成される、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項3】
前記制御回路は、単一の集積回路を備える、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項4】
前記無線給電式電子棚札装置は、0.50ミリメートル~1.5ミリメートルの厚さである、請求項3に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項5】
前記無線給電式電子棚札装置は、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)をさらに備え、
前記集積回路は、前記PCB上に直接配置され、前記PCBは、前記無線給電式電子棚札装置の前記層のうちの前記1つまたは複数の上部または内部に配置される、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項6】
前記アンテナ層は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの光学的に透明な導電体を使用して形成される、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、インジウム・スズ酸化物(ITO)を備える、請求項6に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、カーボンナノチューブを備える、請求項6に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、インジウム・スズ酸化物(ITO)を備える、請求項6に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、グラフェン層を備える、請求項6に記
載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項11】
前記表示層は、電子インクディスプレイを備える、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項12】
前記表示層は、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイを備える、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項13】
前記多層エネルギー貯蔵モジュールは、積層コンデンサを備える、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項14】
前記積層コンデンサは、前記電子表示層の後側に配置された複数の金属層から形成される、請求項13に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項15】
前記アンテナ層は、前記電子表示層のベゼル内の前記光学的に透明な低損失基板層上に配置される、請求項1に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項16】
無線電力供給環境において通信を提示するように構成された無線給電式電子棚札装置であって、前記装置は、
筐体と、
前記筐体内に位置する、
表示データを提示するように構成された電子表示と、
前記電子棚札装置に給電するためにエネルギーを蓄積するように構成されたエネルギー貯蔵モジュールと、
前記電子表示の前面に配置され、無線電力供給環境において、無線周波数(RF)電力信号、および表示データを含むデータ通信を受信するように構成された1つまたは複数のアンテナと
前記1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、前記表示データを決定するように前記データ信号を処理し、前記表示データを提示するように前記電子表示層に指示するように構成された、制御回路と、
前記1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、前記受信されたRF電力信号を直流電力に変換し、前記直流電力を前記エネルギー貯蔵モジュールに蓄積するように構成された無線受電器回路と、
を備える無線給電式電子棚札装置。
【請求項17】
前記1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、前記制御回路と前記無線受電器回路との間の接続を切り替えるように構成されたスイッチをさらに備える、請求項16に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵モジュールは、前記電子表示の後側に配置された複数の金属層で形成されたコンデンサを備える、請求項16に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項19】
前記表示層は、電子インクディスプレイを備える、請求項16に記載の無線給電式電子棚札装置。
【請求項20】
無線給電式電子棚札装置であって、
前記装置は、
表示データを提示するように構成された電子インクディスプレイと、
前記電子インクディスプレイの後側に配置された積層コンデンサであって、前記電子棚札装置に給電するためにエネルギーを蓄積するように構成された前記積層コンデンサと、
前記電子インクディスプレイ上に配置された光学的に透明な低損失基板と、
前記光学的に透明な低損失基板上に配置された1つまたは複数の光学的に透明なアンテナであって、前記1つまたは複数のアンテナは、無線電力供給環境において無線周波数(RF)電力信号およびデータ通信を受信するように構成される、アンテナと、
無線給電式電子棚札装置の上部または内部に配置された制御回路であって、
前記制御回路は、
無線電力送信システムから無線電力を要求し、
前記受信したRF電力信号を直流電力に変換し、
前記直流電力を前記積層コンデンサに蓄積し、
前記表示データを決定するために、前記データ通信を処理し、
前記表示データを提示するために、前記電子インクディスプレイに指示するように構成された制御回路と、
を備えた無線給電式電子棚札装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月19日に出願された「WIRELESS POWER ENABLED ELECTRONIC SHELF LABEL」と題する米国仮特許出願第62/748,245号の優先権および利益を主張し、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
多くのポータブル電子機器は、バッテリによって給電される。充電式バッテリは、従来の乾電池式バッテリの交換費用を削減し、貴重な資源を節約するために使用されることが多い。しかしながら、従来の充電式のバッテリ充電器でバッテリを充電するには、交流(AC)電源コンセントにアクセスする必要があり、これは時には利用できないか、または都合の良いところに共用されていない。したがって、クライアント機器バッテリ用の充電式バッテリ電力を、電磁(EM)放射から引き出すことが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
したがって、上記で説明された問題を克服する技術、および、追加利点を提供する技術が必要とされている。本明細書で提供されるいくつかの既存システムまたは関連システムの例、および、それらの関連する限定は、例示的であり排他的ではないことが意図されている。既存システムまたは従来システムの他の限定は、以下の詳細な説明を読めば当業者には明らかになるであろう。
【0004】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、限定ではなく例として添付図面の図に示されており、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】いくつかの実施形態による、1つまたは複数の無線電力送信システムから無線電力供給環境内の様々な無線機器への無線電力供給を示す、例示的な無線電力供給環境を含むブロック図である。
【0006】
【
図2】いくつかの実施形態による、無線電力供給を開始するための無線電力送信システムと無線受信器クライアントとの間の例示的な動作を示す、シーケンス図である。
【0007】
【
図3】いくつかの実施形態による、無線電力送信システムの例示的な構成要素を示すブロック図である。
【0008】
【
図4】いくつかの実施形態による、無線受電器クライアントの例示的な構成要素を示すブロック図である。
【0009】
【
図5A】いくつかの実施形態による、例示的なマルチパス無線電力供給環境を示す図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、例示的なマルチパス無線電力供給環境を示す図である。
【0010】
【
図6】いくつかの実施形態による、無線電力対応ESL(Electronic Shelf Label、電子棚札)の例示的な構成要素を示す図である。
【0011】
【
図7】いくつかの実施形態による、無線電力対応ESLの例示的な構成要素を示す図である。
【0012】
【
図8】いくつかの実施形態による、例示的な無線電力対応ESLの多様な層の断面側面図である。
【0013】
【
図9】いくつかの実施形態による、例示的な無線電力対応ESLの正面図である。
【0014】
【
図10】いくつかの実施形態による、携帯(またはスマート)電話またはタブレットコンピュータ機器の形態で、無線受電器またはクライアントを有する代表的な携帯機器またはタブレットコンピュータの例示的な構成要素を示すブロック図である。
【0015】
【
図11】本明細書で説明する方法のうちの1つまたは複数の任意の方法を、機械に実行させる命令セットが実行され得る、コンピュータシステムの例示的形態の機械の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明および図面は例示であり、限定として解釈されるべきではない。本開示の完全な理解を提供するために、具体的詳細が多数記載されている。しかしながら、特定の事例では、説明を分かり易くするために、周知または従来の詳細は説明されていない。本開示における1つの実施形態への参照は、必ずしもそうとは限らないが、同じ実施形態への参照であり得、そして、そのような参照は、実施形態の少なくとも1つを意味する。
【0017】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への参照は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」という語句が出た場合、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではなく、あるいは、他の実施形態と相互排他的な別個のまたは代替の実施形態でもない。さらに、いくつかの実施形態によって示され得るが、他の実施形態によって示され得ない、様々な特徴が記載されている。同様に、いくつかの実施形態の要件であり得るが、他の実施形態の要件ではあり得ない、様々な要件が記載されている。
【0018】
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内、および各用語が使用される特定の文脈内で、当技術分野における通常の意味を有する。本開示を説明するために使用される特定の用語は、本開示の説明に関して、実施者に追加のガイダンスを提供するために、以下、または本明細書の他の箇所で説明される。便宜上、例えばイタリック体および/または引用符を使用して、特定の用語を強調表示することができる。強調表示の使用は、用語の範囲および意味に影響を及ぼさない。用語の範囲および意味は、強調されているか否かにかかわらず、同じ文脈において同じである。同じことが2つ以上の方法で言えることが理解されよう。
【0019】
したがって、代替的な言い回しおよび同義語は、本明細書で論じられている用語のいずれか1つまたは複数に使用されてもよく、用語が本明細書で詳述または議論されているか否かに特別な意味を置くべきではない。特定の用語の同義語が提供される。1つまたは複数の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除しない。本明細書で論じられる任意の用語例を含む、本明細書のどこかにおける例の使用は、例示にすぎず、本開示または任意の例示用語の範囲および意味をさらに限定することを意図するものではない。同様に、本開示は、本明細書で与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0020】
本開示の範囲をさらに限定する意図はなく、本開示の実施形態による機器、装置、方法およびそれらの関連結果の例を以下に示す。本例では、読者の便宜のためにタイトルまた
はサブタイトルを使用してもよく、決して本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が優先される。
【0021】
図1は、いくつかの実施形態による、1つまたは複数の無線電力送信システム(WPTS)101a~101n(「無線電力供給システム」、「アンテナ・アレイ・システム」、および「無線充電器」とも呼ばれる)から、無線電力供給環境100内の様々な無線機器102a~102nへの無線電力供給を示す、例示的な無線電力供給環境100を含むブロック図である。より具体的には、
図1は、無線電力および/またはデータが、1つまたは複数の無線受電器クライアント103a~103n(本明細書では「クライアント」および「無線受電器」とも呼ばれる)を有する利用可能な無線機器102a~102nに供給され得る例示的な無線電力供給環境100を示す。無線受電器クライアントは、1つまたは複数の無線電力送信システム101a~101nから、無線電力を受信して処理するように構成される。例示的な無線受電器クライアント103の構成要素は、
図4を参照してより詳細に示され説明される。
【0022】
図1の例に示すように、無線機器102a~102nは、携帯電話機器および無線ゲームコントローラを含む。しかしながら、無線機器102a~102nは、電力を必要とし、1つまたは複数の統合型無線受電器クライアント103a~103nを介して無線電力を受信することができる任意の機器またはシステムであり得る。本明細書で説明するように、1つまたは複数の統合型無線受電器クライアントは、1つまたは複数の無線電力送信システム101a~101nから電力を受信して処理し、その動作のために無線機器102a~102n(または無線機器の内部バッテリ)に電力を供給する。
【0023】
各無線電力送信システム101は、複数のアンテナ104a~104n、例えば、無線機器102a~102nに無線電力を供給することができる数百または数千のアンテナを含むアンテナアレイを含み得る。いくつかの実施形態では、アンテナは適応的に位相調整されたRFアンテナである。無線電力送信システム101は、干渉性のある電力送信信号を無線受電器クライアント103a~103nに供給するための適切な位相を決定することができる。アレイは、互いに特定の位相で複数のアンテナから信号(例えば、連続波またはパルス電力送信信号)を放射するように構成される。「アレイ」という用語の使用は、アンテナアレイを特定のアレイ構造に、必ずしも限定するものではないことが理解される。すなわち、アンテナアレイは、特定の「アレイ」形態または幾何学的形状で構成される必要はない。さらに、本明細書で使用される場合、「アレイ」または「アレイシステム」 という用語は、無線器、デジタルロジックおよびモデムなどの信号発生、受信および送信のための関連回路および周辺回路を含み得る。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム101は、1つまたは複数のアンテナまたは送受信器を介したデータ通信のための内蔵Wi-Fiハブを有し得る。
【0024】
無線機器102は、1つまたは複数の無線受電器クライアント103を含み得る。
図1の例に示すように、電力供給アンテナ104a~104nが示されている。電力供給アンテナ104aは、無線電力供給環境において無線周波数電力の電力供給を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、電力供給アンテナ104a~104nのうちの1つまたは複数は、無線電力供給に加えて、またはその代わりに、データ通信のために代替的または追加的に構成され得る。1つまたは複数のデータ通信アンテナは、無線受電器クライアント103a~103nおよび/または無線機器102a~102nとの間でデータ通信を送受信するように構成される。いくつかの実施形態では、データ通信アンテナは、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、ZigBee(商標)などを介して通信し得る。他のデータ通信プロトコルも可能である。
【0025】
各無線受電器クライアント103a~103nは、無線電力送信システム101a~101nから信号を受信するための1つまたは複数のアンテナ(図示せず)を含む。同様に、各無線電力送信システム101a~101nは、互いに対して特定の位相で連続波または離散(パルス)信号を放射することができる1つまたは複数のアンテナおよび/またはアンテナセットを有するアンテナアレイを含む。上述したように、無線電力送信システム101a~101nの各々は、干渉性のある信号を無線受電器クライアント102a~102nに送信するための適切な位相を決定できる。例えば、いくつかの実施形態では、干渉性のある信号がビーコン(または較正)信号を送信した特定の無線受電器クライアントに電力を供給するために位相調整されるように、アレイの各アンテナにおける受信ビーコン(または較正)信号の複素共役を計算することによって、干渉性のある信号が決定され得る。
【0026】
図示されていないが、例えば無線機器、無線電力送信システムなどの環境の各構成要素は、例えばデータ通信同期モジュールなどの制御および同期機構を含み得る。例えば、無線電力送信システム101a~101nは、無線電力送信システムを建物内の標準または一次交流電源に接続する電源コンセントまたは電源などの電源に、接続され得る。代替的または追加的に、無線電力送信システム101a~101nのうちの1つまたは複数は、バッテリによって、または他の機構、例えば太陽電池などを介して、給電され得る。
【0027】
無線受電器クライアント102a~102nおよび/または無線電力送信システム101a~101nは、マルチパス無線電力供給環境で動作するように構成される。すなわち、無線受電器クライアント102a~102nおよび無線電力送信システム101a~101nは、例えば、壁または範囲内の他のRF反射障害物などの反射物106を利用して、無線電力供給環境内でビーコン(または較正)信号を送信し、および/または、無線電力および/またはデータを受信するように構成される。反射物106は、遮蔽物が無線電力送信システムと無線受電器クライアント103a~103nとの間の見通し線内にあるかどうかにかかわらず、多方向信号通信に利用し得る。
【0028】
本明細書で説明するように、各無線機器102a~102nは、例示的な環境100内の別の機器、サーバ、および/または他のシステムとの接続を確立し得る任意のシステムおよび/または機器、および/または機器/システムの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、無線機器102a~102nは、ユーザにデータを提示するためのディスプレイまたは他の出力機能、および/またはユーザからデータを受信するための入力機能を含む。例として、無線機器102は、限定ではないが、ビデオ・ゲーム・コントローラ、サーバデスクトップ、デスクトップコンピュータ、コンピュータクラスタ、ノートブック、ラップトップコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、PDA、ブラックベリー機器、トレオ、および/またはiPhone(登録商
標)などの携帯コンピューティング機器であり得る。限定ではなく例として、無線機器102はまた、腕時計、ネックレス、指輪、または顧客の上部または内部に組み込まれた機器などの任意のウェアラブル機器であり得る。無線機器102の他の例には、安全センサ(例えば、火災または一酸化炭素)、電動歯ブラシ、電子ドアロック/ハンドル、電灯スイッチコントローラ、電気かみそりなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
図1の例には示されていないが、無線電力送信システム101および無線受電器クライアント103a~103nはそれぞれ、データチャネルを介して通信するためのデータ通信モジュールを含み得る。代替的または追加的に、無線受電器クライアント103a~103nは、既存のデータ通信モジュールを介して無線電力送信システムと通信するように、無線機器102a~102nに指示できる。いくつかの実施形態では、本明細書で主に連続波形と呼ばれるビーコン信号は、代替的または追加的に、変調信号の形態を取り得る
。
【0030】
図2は、一実施形態による、マルチパス無線電力供給において無線電力供給を確立するための無線電力供給システム(例えば、WPTS101)と無線受電器クライアント(例えば、無線受電器クライアント103)との間の例示的な動作を示すシーケンス
図200を示す。最初に、無線電力送信システム101と受電器クライアント103との間で通信が確立される。初期通信は、例えば、無線電力送信システム101の1つまたは複数のアンテナ104を介して確立されるデータ通信リンクであり得る。説明したように、いくつかの実施形態では、アンテナ104a~104nの1つまたは複数は、データアンテナ、無線電力送信アンテナ、またはデータ/電力の兼用アンテナであり得る。無線電力送信システム101と無線受電器クライアント103との間では、このデータ通信チャネルを介して、様々な情報を交換し得る。例えば、無線電力シグナリングは、無線電力供給環境内の様々なクライアント間でタイムスライスし得る。そのような場合、無線電力送信システム101は、例えばビーコン・ビート・スケジュール(BBS)サイクル、電力供給サイクル情報などのビーコンスケジュール情報を送信することができ、これにより、無線受電器クライアント103がビーコン信号を送信(ブロードキャスト)する時期、および電力を待機する時期などを把握できる。
【0031】
図2の例を続けると、無線電力送信システム101は、電力を受け取るための1つまたは複数の無線受電器クライアントを選択し、選択した無線受電器クライアント103にビーコンスケジュール情報を送信する。無線電力送信システム101はまた、電力送信スケジューリング情報を送信することができ、これにより、無線受電器クライアント103は、無線電力送信システムからの無線電力を期待すべき時期(例えば、時間枠)を把握できる。次いで、無線受電器クライアント103は、ビーコン(または較正)信号を生成し、例えばBBSサイクルなどのビーコンスケジュール情報によって示される割り当てられたビーコン送信ウィンドウ(または、タイムスライス)の間に、ビーコンをブロードキャストする。本明細書で説明するように、無線受電器クライアント103は、無線受電器クライアント103が組み込まれている無線機器102に近接する三次元空間に放射および受信パターンを有する、1つまたは複数のアンテナ(または送受信器)を含む。
【0032】
無線電力送信システム101は、受電器クライアント103からビーコンを受信し、ビーコン信号が複数のアンテナで受信される位相(または方向)を、検出および/または測定する。次いで、無線電力送信システム101は、対応するアンテナの各々における受信ビーコンの検出または測定された位相(または方向)に基づいて、複数のアンテナ103から受電器クライアント103に無線電力を供給する。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム101は、ビーコンの測定位相の複素共役を決定し、この複素共役を使用して、ビーコン信号が無線受電器クライアント103から受信されたのと同じ経路を介して、無線電力を無線受電器クライアント103に供給する、および/または、そうでなければ方向付ける、ためのアンテナを構成する送信位相を決定する。
【0033】
いくつかの実施形態では、無線電力送信システム101は多くのアンテナを含む。多くのアンテナのうちの1つまたは複数を使用して、受電器クライアント103に電力を供給し得る。無線電力送信システム101は、ビーコン信号が各アンテナでの受信位相を、検出、および/あるいは、別の方法で決定または測定、することができる。多数のアンテナは、無線電力送信システム101の各アンテナでの受信ビーコン信号の異なる位相をもたらすことができる。上述したように、無線電力送信システム101は、各アンテナでの受信ビーコン信号の複素共役を決定できる。複素共役を使用して、1つまたは複数のアンテナは、無線電力送信システム101内の多数のアンテナの影響を考慮に入れて、信号を放射できる。言い換えれば、無線電力送信システム101は、ビーコン波形を反対方向にほぼ再現する集約信号をアンテナのうちの1つまたは複数から生成するように、1つまたは
複数のアンテナから無線電力送信信号を放射できる。言い換えれば、無線電力送信システム101は、ビーコン信号が無線電力送信システム101で受信されるのと同じ経路を介して、無線RF電力を無線受電器クライアントに供給できる。これらの経路は、環境内の反射物106を利用できる。さらに、無線電力送信信号がクライアント機器に近接する三次元(3D)空間内のクライアント機器のアンテナ放射および受信パターンと集合的に一致するように、無線電力送信信号を、無線電力送信システム101から同時に送信できる。
【0034】
図示するように、無線電力送信システム101は、無線電力供給環境内の受電器クライアント103の位置について、情報管理できるように、および/または、別の態様では追跡できるように、例えば、BBSに従って電力供給環境内の無線受電器クライアント103は、ビーコン(または較正)信号を周期的に送信できる。無線電力送信システムで無線受電器クライアント103からビーコン信号を受信し、次にその特定の無線受電器クライアントに向けられた無線電力で応答するプロセスは、本明細書ではレトロディレクティブ方式無線電力供給と呼ばれる。
【0035】
さらに、本明細書で説明するように、無線電力は、電力スケジュール情報によって定義された電力サイクルで供給できる。ここで、
図3を参照して、無線電力供給を開始するために必要なシグナリングのより詳細な例について説明する。
【0036】
図3は、一実施形態による、無線電力送信システム300の例示的な構成要素を示すブロック図である。
図3の例に示すように、無線充電器300は、マスタ・バス・コントローラ(MBC)基板と、アンテナアレイを集合的に構成する複数の拡張基板とを含む。MBCは、制御ロジック310と、外部データインターフェイス(I/F)315と、外部電源インターフェイス(I/F)320と、通信ブロック330と、プロキシ340とを含む。拡張基板(またはアンテナアレイ基板350)はそれぞれ、複数のアンテナ360a~360nを含む。いくつかの実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。追加の構成要素も可能である。例えば、いくつかの実施形態では、通信ブロック330またはプロキシ340の一方のみが含まれてもよい。
【0037】
制御ロジック310は、アレイ構成要素に制御および知能を提供するように構成される。制御ロジック310は、1つまたは複数のプロセッサ、FPGA、メモリユニットなどを備え、様々なデータおよび電力通信を指示および制御できる。通信ブロック330は、クロック同期のためのベース信号クロックなどのデータキャリア周波数でデータ通信を指示できる。データ通信は、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、ZigBee(商標)など、それらの組み合わせまたは変形を含んでいてもよい。同様に、プロキシ340は、本明細書で説明するように、データ通信を介してクライアントと通信できる。データ通信は、限定ではなく例として、Bluetooth(商標)、Wi-Fi(商標)、ZigBee(商標)などであってもよい。他の通信プロトコルも可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、制御ロジック310はまた、モノのインターネット(IoT)機器のデータ集約を、容易にし、および/または他の方法で可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、無線受電器クライアントは、無線受電器クライアントが組み込まれている機器に関するIoT情報にアクセスし、追跡し、および/または別の態様では取得し、データ接続を介して無線電力送信システム300に、そのIoT情報を提供することができる。このIoT情報は、外部データインターフェイス315を介して、中央またはクラウドベースのシステム(図示せず)に提供でき、データの集約、処理などをすることができる。例えば、中央システムは、地形、無線電力送信システム、環境、機器などにわたる様々な傾向を識別するために、データを処理できる。いくつかの実施形態では、集約データおよび/または傾向データを使用して、リモート更新などを介して機器の動作
を改善できる。代替的または追加的に、いくつかの実施形態では、集約データは、第三者データ消費者に提供できる。このようにして、無線電力送信システムは、IoT機器のためのゲートウェイまたはイネーブラとして機能する。限定ではなく例として、IoT情報は、無線受電器クライアントが組み込まれている機器の能力、機器の使用情報、機器の電力レベル、例えばセンサを介して機器または無線受電器クライアント自体によって取得された情報など、を含むことができる。
【0039】
外部電源インターフェイス320は、外部電力を受け取り、様々な構成要素に電力を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、外部電源インターフェイス320は、標準の外部24ボルト電源を受け取るように構成されてもよい。他の実施形態では、外部電源インターフェイス320は、例えば、様々な構成要素に電力を供給するために必要な12/24/48ボルト直流を調達する、組み込み直流電源に対する120/240ボルトAC主電源であってもよい。あるいは、外部電力インターフェイスは、必要な12/24/48ボルト直流を供給する直流電源であってもよい。代替の構成も可能である。
【0040】
動作中、無線電力送信システム300を制御するMBCは、電源から電力を受け取り、起動される。次いで、MBCは、無線電力送信システム上のプロキシアンテナ素子を起動し、プロキシアンテナ素子は、無線電力送信システムの範囲内で利用可能な無線受信クライアントを識別するために、デフォルトの「発見」モードに入る。クライアントが見けられると、無線電力送信システム上のアンテナ素子は、電源が入り、列挙され、(任意選択的に)較正される。
【0041】
次いで、MBCは、スケジューリングプロセス中に、ビーコン送信スケジューリング情報および電力送信スケジューリング情報を生成する。スケジューリングプロセスは、受電器クライアントの選択を含む。例えば、MBCは、電力送信のために受電器クライアントを選択し、選択された無線受電クライアントのBBSサイクルおよび電力スケジュール(PS)を生成できる。本明細書で説明するように、受電器クライアントを、それらの対応する特性および/または要件に基づいて、選択できる。
【0042】
いくつかの実施形態では、MBCはまた、クライアント・クエリ・テーブル(CQT)においてその状態を照会させることになる利用可能なクライアントを識別する、および/または、別の方法で選択する、こともできる。CQTに配置されるクライアントは、例えば、充電を受けていない「待機中」のクライアントである。BBSおよびPSは、例えば、バッテリ状態、現在の活動/使用状況、クライアントが電力不足になるまでの時間、使用に関する優先順位など、クライアントに関する重要な情報に基づいて計算される。
【0043】
プロキシアンテナ素子(AE)は、BBSをすべてのクライアントにブロードキャストする。本明細書で説明するように、BBSは、各クライアントがいつビーコンを送信すべきかを示す。同様に、PSは、アレイがいつどのクライアントに電力を送信すべきか、および、クライアントがいつ無線電力を待機すべきか、を示す。各クライアントは、そのビーコンのブロードキャストを開始し、BBSおよびPSごとに、アレイから電力を受信する。プロキシAEは、他の利用可能なクライアントの状態をチェックするためにクライアント・クエリ・テーブルに同時に問い合わせることができる。いくつかの実施形態では、クライアントは、BBSまたはCQT(例えば、待機リスト)にのみ存在することができ、両方に存在することはできない。前のステップで収集された情報は、BBSサイクルおよび/またはPSを、連続的および/または定期的に更新する。
【0044】
図4は、いくつかの実施形態による、無線受電器クライアント400の例示的な構成要素を示すブロック図である。
図4の例に示すように、受電器400は、制御ロジック410と、バッテリ420と、IoT制御モジュール425と、通信ブロック430および関
連するアンテナ470と、電力計440と、整流器450と、結合器455と、ビーコン信号発生器460と、ビーコン符号化ユニット462および関連するアンテナ480と、整流器450またはビーコン信号発生器460を1つまたは複数の関連するアンテナ490a~490nに接続するスイッチ465とを含む。いくつかの実施形態では、構成要素の一部または全部を省略することができる。例えば、いくつかの実施形態では、無線受電器クライアント400は、それ自体のアンテナを含まず、代わりに、無線受電器クライアントが組み込まれた無線機器の1つまたは複数のアンテナ(例えば、Wi-Fiアンテナ)を利用し、および/または別の態様で共有する。さらに、いくつかの実施形態では、無線受電器クライアントは、データ送信機能および電力/データ受信機能を提供する単一アンテナを含むことができる。追加の構成要素も可能である。
【0045】
結合器455は、受電器400が複数のアンテナを有する場合に、電力送信器から受信した電力送信信号を受信して結合する。結合器は、整合状態を維持しながら出力ポート間の分離を達成するように構成された、任意の結合器または分配器回路であり得る。例えば、結合器455は、ウィルキンソン電力分配器回路であり得る。整流器450は、存在する場合には結合器455から合成電力送信信号を受信し、これは電力計440を介して、充電のためにバッテリ420に供給される。他の実施形態では、各アンテナの電力経路は、それ自体の整流器450を有し得、整流器からの直流電力は、電力計440に供給する前に合成される。電力計440は、受信電力信号強度を測定し得、この測定値を制御ロジック410に提供する。
【0046】
バッテリ420は、保護回路および/または監視機能を含み得る。さらに、バッテリ420は、電流制限、温度保護、過電圧/低電圧の警告および保護、ならびにクーロン監視を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の特徴を含み得る。
【0047】
制御ロジック410は、バッテリ420自体からバッテリ電力レベルを受信して処理する。制御ロジック410はまた、クロック同期のためのベース信号クロックなどのデータキャリア周波数でデータ信号を、通信ブロック430を介して、送受信し得る。ビーコン信号発生器460は、ビーコン信号または較正信号を生成し、ビーコン信号が符号化された後にアンテナ480または490のいずれかを使用してビーコン信号を送信する。
【0048】
バッテリ420は、無線受電器クライアント400によって充電され、無線受電器クライアント400に電力を供給するように示されているが、受信器はまた、整流器450から直接その電力を受信し得ることに留意されたい。これは、整流器450がバッテリ420に充電電流を提供することに追加してもよいし、または、充電を提供する代わりであってもよい。また、複数のアンテナの使用は実装の一例であり、構造は1つの共有アンテナに縮小されてもよいことに留意されたい。
【0049】
いくつかの実施形態では、制御ロジック410および/またはIoT制御モジュール425は、無線受電器クライアント400が組み込まれている機器と通信する、および/または別の態様では、その機器からIoT情報を導出する、ことができる。図示されていないが、いくつかの実施形態では、無線受電器クライアント400は、IoT情報を取得できる無線受電器クライアント400が組み込まれた機器との1つまたは複数のデータ接続(有線または無線)を有することができる。代替的または追加的に、例えば、1つまたは複数のセンサを介して、無線受電器クライアント400が、IoT情報を、決定および/または推測することができる。上述したように、IoT情報は、無線受電器クライアント400が組み込まれた機器の能力に関する情報、無線受電器クライアント400が組み込まれた機器の使用情報、無線受電器クライアント400が組み込まれた機器のバッテリの電力レベル、および/または、無線受電器クライアントが組み込まれた機器もしくは無線受電器クライアント自体によって、(例えば、センサなどを介して、取得もしくは推測さ
れる情報を含むことができるが、これらに限定されない。
【0050】
いくつかの実施形態では、クライアント識別子(ID)モジュール415は、無線電力供給環境内の無線受電器クライアント400を一意に識別することができるクライアントIDを格納する。例えば、通信が確立された場合に、1つまたは複数の無線電力送信システムに、IDを送信できる。いくつかの実施形態では、無線受電器クライアントはまた、クライアントIDに基づいて無線電力供給環境内の他の無線受電器クライアントを受信および識別できる。
【0051】
任意選択の動きセンサ495は、動きを検出し、それに応じて動作するように制御ロジック410に信号を送ることができる。例えば、電力を受け取る機器は、運動を検出するために加速度計または同等の機構などの運動検出機構を統合できる。機器が動いていることを検出すると、機器はユーザによって操作されていると仮定することができ、電力送信を停止するか、または、機器に送信される電力を低下させるために、アレイへの信号を起動する。いくつかの実施形態では、機器が車、列車、または飛行機のような移動環境で使用される場合、機器の電力が著しく低くない限り、電力は断続的にまたは低減されたレベルでのみ送信され得る。
【0052】
図5Aおよび
図5Bは、いくつかの実施形態による、例示的なマルチパス無線電力供給環境500を示す図である。マルチパス無線電力供給環境500は、1つまたは複数の無線受電器クライアント503を含む無線機器502を操作するユーザを含む。無線機器502および1つまたは複数の無線受電器クライアント503は、それぞれ
図1の無線機器102および
図1の無線受電器クライアント103、または
図4の無線受電器クライアント400とすることができるが、代替構成も可能である。同様に、無線電力送信システム501は、
図1の無線電力送信システム101、または
図3の無線電力送信システム300とすることができるが、代替構成も可能である。マルチパス無線電力供給環境500は、反射物506と、例えばユーザまたは人間、家具などの様々な吸収物とを含む。
【0053】
無線機器502は、無線機器502に近接する三次元空間内に放射および受信パターン510を有する1つまたは複数のアンテナ(または送受信器)を含む。1つまたは複数のアンテナ(または送受信器)は、全体的または部分的に、無線機器502および/または無線受電器クライアント(図示せず)の一部として含まれてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、無線機器502の、例えばWi-Fi、Bluetoothなどの一または複数のアンテナを、無線電力受信のために利用する、および/または他の様態で共有する、ことができる。
図5Aおよび
図5Bの例に示すように、放射および受信パターン510は、メイン・ローブおよび複数のサイドローブを有するローブパターンを含む。他のパターンも可能である。
【0054】
無線機器502は、複数の経路を介して、ビーコン(または較正)信号を無線電力送信システム501に送信する。本明細書で説明するように、無線電力送信システムによる受信ビーコン信号の強度(例えば、受信信号強度表示RSSI)が、放射および受信パターン510に依存するように、無線機器502は、放射および受信パターン510の方向に、ビーコンを送信する。例えば、ビーコン信号は、放射および受信パターン510にヌル点があり、ビーコン信号が放射および受信パターン510のピーク(例えば、メイン・ローブのピーク)で最も強い場合には、送信されない。
図5Aの例に示すように、無線機器502は、5つの経路P1~経路P5を介して、ビーコン信号を送信する。経路P4および経路P5は、反射物および/または吸収物506によって遮断される。無線電力送信システム501は、経路P1~経路P3を介して、強度が増加するビーコン信号を受信する。太線は、より強い信号を示す。いくつかの実施形態では、ビーコン信号は、例えば、ユーザへの不必要なRFエネルギー露出を回避するために、このようにして指向的に送信さ
れる。
【0055】
受信に使用される場合のアンテナの受信パターン(方向の関数としての感度)が、送信に使用される場合のアンテナの遠視野放射パターンと同一であることが、アンテナの基本的特性である。これは、電磁気学における相反定理の結果である。
図5Aおよび
図5Bの例に示すように、放射および受信パターン510は三次元ローブ形状である。しかしながら、放射および受信パターン510は、例えば、ホーン・アンテナ、単純な垂直アンテナなど、アンテナ設計に使用される種類に応じて任意数の形状とすることができる。例えば、放射および受信パターン510は、様々な指向性パターンを含むことができる。無線電力供給環境における複数のクライアント機器の各々について、任意の数の異なるアンテナ放射および受信パターンが可能である。
【0056】
再び
図5Aを参照すると、無線電力送信システム501は、複数のアンテナまたは送受信器において、複数の経路P1~経路P3を介して、ビーコン(または較正)信号を受信する。図示のように、経路P2および経路P3は見通し線の直接経路であり、経路P1は見通し線ではない経路である。ビーコン(または較正)信号が無線電力送信システム501によって受信されると、電力送信システム501はビーコン(または較正)信号を処理して、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つまたは複数の受信特性を決定する。例えば、他の動作中でも、無線電力送信システム501は、複数のアンテナまたは送受信器の各々でビーコン信号が受信される位相を測定できる。
【0057】
無線電力送信システム501は、複数のアンテナの各々におけるビーコン信号の1つまたは複数の受信特性を処理して、対応するアンテナまたは送受信器で測定されたビーコン(または較正)信号の1つまたは複数の受信特性に基づいて、複数のRF送受信器の各々の1つまたは複数の無線電力送信特性を決定または測定する。限定ではなく例として、無線電力送信特性は、各アンテナまたは送受信器の位相設定、送信電力設定などを含むことができる。
【0058】
本明細書で説明するように、アンテナまたは送受信器が構成されると、複数のアンテナまたは送受信器が、クライアント機器に近接する三次元空間内のクライアント放射および受信パターンと一致する無線電力信号を送信するように動作可能であるように、無線電力送信システム501は、無線電力送信特性を決定する。
図5Bは、経路P1~経路P3を介して無線電力を無線機器502に送信する無線電力送信システム501を示す。有利には、本明細書で説明するように、無線電力信号は、クライアント機器に近接する三次元空間内のクライアント放射および受信パターン510と一致する。換言すれば、無線電力送信システムは、無線受電器が最大利得を有する、例えば最も多くの無線電力を受信する方向に無線電力信号を送信する。その結果、無線受電器が電力を受け取ることができない方向、例えばヌル点および妨害物に信号は送信されない。いくつかの実施形態では、無線電力送信システム501は、受信ビーコン信号のRSSIを測定し、ビーコンが閾値未満である場合、無線電力送信システムはその経路を介して無線電力を送信しない。
【0059】
図5Aおよび
図5Bの例に示されている3つの経路は、簡単にするために示されているが、とりわけ、無線電力供給環境内の反射物および吸収物に応じて、無線機器502に電力を送信するために任意の数の経路を利用することができることが理解される。
図5Aの例は、放射および受信パターン510の方向にビーコン(または較正)信号を送信することを示しているが、いくつかの実施形態では、ビーコン信号は、代替的または追加的に、全方向に送信され得ることが理解される。
【0060】
無線電力対応の電子棚札
【0061】
現在、無線受電器は、2つの別個のシステム、例えば、受電システムおよびESL機器を使用して、電子棚札(ESL)に提供され得る。無線ネットワークのような無線電力は、送信器と受信器との間の接続を制御、管理、および保護するためのデータ接続を必要とする。次に、これは、計算能力、および遠隔給電される機器内の受電器ユニット(受電器クライアント)への接続性を必要とする。ESL機器(または任意のタイプの接続機器)は、それ自体が計算および通信モジュールを有するので、無線受電システムとESL機器の機能ユニットとの間で、様々な構成要素および/または機能が必然的に重複している。複製/重複は、システムの非効率性の原因であり、したがって、無線電力供給システムの有効性を低下させる。
【0062】
したがって、本明細書では、必要となる複製/重複を低減しながら、無線受電システムおよびESL機器を統合するための技術、方法、システムおよび装置について説明する。
【0063】
他の利点の中で、様々な構成要素を統合することは、機器の電力効率向上、機器の全体的なコスト削減、構成要素数の削減(信頼性の向上)、より薄い形状(例えば紙の価格タグとほぼ同等、審美性の向上)、ディスプレイ上に配置されたときのアンテナ効率の向上、およびコネクタがないこと(信頼性の向上)を、もたらす。
【0064】
図6は、いくつかの実施形態による、無線電力対応ESL600の例示的な構成要素を示す。より具体的には、無線電力対応ESL600は、アンテナ605、スイッチ610、ディスクリート無線受電器620、ESL制御回路630、ディスプレイ640、およびエネルギー貯蔵部950を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、ディスクリート無線受電器620は、無線電力対応ESL600によって送信されたビーコン信号に応答して、アクティブ受電モード中に無線電力送信システムによって送信された指向性無線電力を受信して処理する。さらに、いくつかの実施形態では、ディスクリート無線受電器620は、パッシブ収集モード中に、周囲の無線電力、および/または「流出した」無線電力を収集できる。例えば、隣接する無線電力対応ESL(図示せず)に向けられた無線電力の結果として、「流出した」無線電力が、受信および収集できる。本明細書で説明するように、受電器クライアントを含む各機器に、無線電力送信システムから指向性無線電力を受信するための1つまたは複数のタイムスライスが割り当てられる無線電力スケジュールを生成できる。いくつかの実施形態では、アクティブおよびパッシブ無線電力は、異なる経路を介して受信/収集され、例えば、アクティブモードは電力を必要とし、パッシブモードは電力を必要としない。
【0066】
図6の例には示されていないが、ディスクリート無線受電器620は、CPU、通信および制御回路、整流器、電源および電力管理回路、ならびにエネルギー貯蔵モジュール(例えば、1つまたは複数のコンデンサ)を含み得る。同様に、ESL制御回路630は、CPU、通信回路、および電源回路を含み得る。ESL制御回路630は、情報を伝達することができる任意のディスプレイ、例えばデジタル電子インクディスプレイであり得るディスプレイ640を制御する。
【0067】
図6の例に示すように、アンテナ605は、スイッチ610を介してディスクリート無線受電器620とESLとの間で共有される。いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵部650は、ディスクリート無線受電器620から受け取った直流電力を受け取り、蓄積できる。エネルギー貯蔵部650は、バッテリ、コンデンサなどを含むがこれらに限定されない、任意のエネルギー貯蔵モジュールであり得る。
【0068】
図示されていないが、いくつかの実施形態では、エネルギー貯蔵部650を省略できる。そのような場合、ディスクリート無線受電器620は、頻繁に(例えば、各周期に複数
のタイムスライスで)電力を受信することが期待でき、受信間の電荷を維持するために、少なくともコンデンサを含み得る。本明細書で説明するように、ディスクリート無線受電器620は、定期的な間隔で、時折、または各サイクルで電力を受信する前に、ビーコンすることにより、無線電力送信システムに正確な位置を提供できる。あるいは、無線電力送信システムは、無線電力対応ESL600がビーコンするための要件を低減または(少なくとも一時的に)省略できるように、無線電力対応ESL600の指向性情報を維持および格納できる。
【0069】
図6の例には示されていないが、無線電力対応ESL600は、筐体(例えば、機械的筐体)を含み得る。
【0070】
さらに、いくつかの実施形態では、ディスクリート無線受電器620およびESL制御回路630は、構成要素のさらなる共有のために組み合わされる(または統合される)。例えば、他の可能な構成要素の中でも、計算能力を共有でき(例えば、共有CPU)、通信および調整回路を、電源と同様に、共有できる。共有計算能力の例では、プラットフォーム(例えば、CPUプラットフォーム)は、異なる動作のためにプログラムされ、表示コンテンツに十分なデータ容量を有し、データ圧縮および暗号化を効果的かつ効率的に実行し、通信プロトコルを実行し、無線電力が利用可能になると(エネルギーを節約するために)高速起動時間を実行し、電源投入、更新、および電源/スリープサイクルの喪失のために動作するように設計する、ことを可能にする。構成要素の1つの潜在的な統合が、
図7を参照してより詳細に示され説明される。
【0071】
図7は、いくつかの実施形態による、無線電力対応ESL700の例示的な構成要素を示す。より具体的には、無線電力対応ESL700は、PCB740上の一体型構成要素(例えば、共有CPU、通信および調整、ならびに整流器、電力管理および電源回路)を含む。無線電力対応ESL700はまた、エネルギー貯蔵コンデンサ750(バッテリなし)を含む。
【0072】
図示されていないが、いくつかの実施形態では、様々な構成要素が集積シリコンチップに含まれ得る。例えば、集積シリコンチップは、CPU、通信回路、電源回路、および無線電力機能(整流器、ビーコン制御回路など)を含み得る。集積シリコンチップは、無線電力対応ESL800のディスプレイ基板上に組み込まれるか、そうでなければ含まれ得る。そのような場合、装置は、ディスプレイ+CPU+通信、アンテナ、コンデンサ、および筐体(例えば、機械的筐体または外装)を含む。
【0073】
図8は、いくつかの実施形態による、例示的な無線電力対応ESL800の様々な層の断面側面図である。より具体的には、無線電力対応ESL800は、集積シリコン設計と、ディスプレイと一体化されたアンテナおよびコンデンサとを含む。
【0074】
図9は、いくつかの実施形態による、例示的な無線電力対応ESL900の正面図を示す。
【0075】
図10は、一実施形態による、携帯(またはスマート)電話またはタブレットコンピュータ機器の形態の無線受電器またはクライアントを有する代表的な携帯機器またはタブレットコンピュータ1000の例示的な構成要素を示すブロック図である。様々なインターフェイスおよびモジュールが、
図10を参照して示されている。しかしながら、携帯機器またはタブレットコンピュータは、本明細書に記載の機能を実行するためのモジュールまたは機能のすべてを必要とするわけではない。多くの実施形態では、カテゴリコントローラの動作には様々な構成要素が含まれず、および/または必要ではないことが理解される。例えば、GPS無線器、セルラ無線器、および加速度計などの構成要素は、コストおよ
び/または複雑さを低減するためにコントローラに含まれなくてもよい。さらに、ZigBee無線器およびRFID送受信器などの構成要素は、アンテナと共にプリント回路基板を実装し得る。
【0076】
無線受電器クライアントは、
図1の受電器クライアント103とすることができるが、代替の構成も可能である。さらに、無線受電器クライアントは、例えば
図1の充電器101などの充電器から、電力および/またはデータ信号を受信するための1つまたは複数の
RFアンテナを含み得る。
【0077】
図11は本明細書で説明する方法のうちの1つまたは複数の任意の方法を、機械に実行させる命令セットが実行され得る、コンピュータシステムの例示的形態の機械の概略図である。
【0078】
図11の例では、コンピュータシステムは、プロセッサ、メモリ、不揮発性メモリ、およびインターフェイス機器を含む。説明を簡単にするために、様々な共通の構成要素(例えば、キャッシュメモリ)は省略されている。コンピュータシステム1100は、
図1の例に示されている構成要素のいずれか(および、本明細書に記載されている他の任意の構成要素)を実装し得る、ハードウェア機器を示すことを意図している。例えば、コンピュータシステムは、任意の放射物またはアンテナ・アレイ・システムであり得る。コンピュータシステムは、任意の適用可能な既知のまたは便利な種類のものであり得る。コンピュータシステムの構成要素は、バスを介して、または何らかの他の既知のまたは便利な機器を介して、互いに結合され得る。
【0079】
プロセッサは、例えば、インテル・ペンティアム・マイクロ・プロセッサ、または、モトローラ・パワーPCマイクロ・プロセッサなどの従来のマイクロプロセッサであり得る。当業者は、「機械可読(記憶)媒体」または「コンピュータ可読(記憶)媒体」という用語が、プロセッサによってアクセス可能な任意の種類の機器を含むことを認識するであろう。
【0080】
メモリは、例えば、バスによってプロセッサに結合される。メモリは、限定ではなく例として、ダイナミックRAM(DRAM)、およびスタティックRAM(SRAM)などのランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み得る。メモリは、ローカル、リモート、または分散型であり得る。
【0081】
バスはまた、プロセッサを、不揮発性メモリおよびドライブユニットに結合する。不揮発性メモリは、多くの場合、磁気フロッピーもしくはハードディスク、磁気光ディスク、光ディスク、CD-ROM、EPROMもしくはEEPROMなどの読み出し専用メモリ(ROM)、磁気カードもしくは光カード、または、大量データ用の別の形式の記憶装置である。このデータの一部は、コンピュータ1100内のソフトウェアの実行中に、直接メモリ・アクセス・プロセスによってメモリに書き込まれることが多い。不揮発性記憶装置は、ローカル、リモート、または分散型であり得る。不揮発性メモリは、メモリ内で利用可能なすべての適用可能なデータを用いてシステムを作成できるため、任意選択である。典型的なコンピュータシステムは、通常、少なくともプロセッサと、メモリと、メモリをプロセッサに結合する機器(例えば、バス)とを含む。
【0082】
ソフトウェアは、通常、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットに格納される。実際、大規模なプログラムでは、プログラム全体をメモリに格納することさえできない場合がある。それにもかかわらず、ソフトウェアが実行されるために、必要に応じて、ソフトウェアは処理に適したコンピュータ可読位置に移動され、例示目的のために、その位置は本文書ではメモリと呼ばれることを理解されたい。ソフトウェアが実行のためにメモ
リに移動される場合であっても、通常、プロセッサは、ソフトウェアに関連する値を格納するためにハードウェアレジスタと、理想的には実行を高速化するために機能するローカルキャッシュとを利用する。本明細書の使用では、ソフトウェアプログラムは、ソフトウェアプログラムが「コンピュータ可読媒体に実装されている」と表現される場合、(不揮発性記憶装置からハードウェアレジスタまでの)任意の既知のまたは便利な位置に記憶されると想定される。プログラムに関連する少なくとも1つの値がプロセッサによって読み取り可能なレジスタに格納されている場合に、プロセッサは、「プログラムを実行するように構成されている」と見なされる。
【0083】
バスはまた、プロセッサをネットワークインターフェイス機器に結合する。インターフェイスは、モデムまたはネットワークインターフェイスのうちの1つまたは複数を含み得る。モデムまたはネットワークインターフェイスは、コンピュータシステムの一部であると考えることができることが理解されよう。インターフェイスは、アナログモデム、ISDNモデム、ケーブルモデム、トークンリングインターフェイス、衛星送信インターフェイス(例えば、「ダイレクトPC」)、またはコンピュータシステムを他のコンピュータシステムに結合するための他のインターフェイスを含み得る。インターフェイスは、1つまたは複数の入力機器および/または出力機器を含み得る。I/O機器は、限定ではなく
例として、キーボード、マウスまたは他のポインティング機器、ディスクドライブ、プリンタ、スキャナ、ならびにディスプレイ機器を含む他の入力および/または出力機器を含み得る。ディスプレイ機器は、限定ではなく例として、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、または他の適用可能な既知のまたは便利なディスプレイ機器を含み得る。簡単にするために、
図11の例に示されていない任意の機器のコントローラが、インターフェイス内に存在すると仮定する。
【0084】
動作中、コンピュータシステム1100は、ディスク・オペレーティング・システムなどのファイル管理システムを含むオペレーティング・システム・ソフトウェアによって制御され得る。関連するファイル管理システムソフトウェアを有するオペレーティング・システム・ソフトウェアの一例は、ワシントン州レドモンド所在のマイクロソフト社のWindows(登録商標)として知られているオペレーティングシステムのファミリ、および、それらに関連するファイル管理システムである。関連するファイル管理システムソフトウェアを有するオペレーティング・システム・ソフトウェアの別の例は、Linux(登録商標)オペレーティングシステム、および関連するファイル管理システムである。ファイル管理システムは、通常、不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットに格納され、オペレーティングシステムにより要求される様々な動作をプロセッサに実行させ、データを入出力し、メモリにデータを格納する(不揮発性メモリおよび/またはドライブユニットにファイルを格納することを含む)。
【0085】
特定の本発明の態様は、前述の開示から理解することができ、そのうちの以下は様々な例である。
【0086】
実施例1 無線給電式電子棚札装置は、電子棚札装置に給電するためのエネルギーを蓄積するように構成された多層エネルギー貯蔵モジュールと、エネルギー貯蔵モジュール上に配置され、表示データを提示するように構成された電子表示層と、表示層上に配置された光学的に透明な低損失基板層と、光学的に透明な低損失基板層上に配置されたアンテナ層であって、アンテナ層は、無線電力供給環境において無線周波数(RF)電力信号およびデータ通信を受信するように構成された1つまたは複数のアンテナを備えたアンテナ層と、1つまたは複数の層の上部または内部に配置された集積回路であって、集積回路は、無線電力送信システムから無線電力を要求し、受信したRF電力信号を直流電力に変換し、直流電力を多層エネルギー貯蔵モジュールに蓄積するように構成された制御回路を含む、集積回路と、を備える。
【0087】
実施例2実施例1の無線給電式電子棚札装置であって、1つまたは複数のアンテナは、データ通信を受信するようにさらに構成され、制御回路は、表示データを決定するためにデータ通信を処理し、表示データを提示するように電子表示層に指示するように、さらに構成される。
【0088】
実施例3実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、制御回路は、単一の集積回路を備える。
【0089】
実施例4実施例3に記載の無線給電式電子棚札装置であって、無線給電式電子棚札装置は、0.50ミリメートル~1.5ミリメートルの厚さである。
【0090】
実施例5実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、少なくとも1つのプリント回路基板(PCB)をさらに備え、集積回路は、PCB上に直接配置され、PCBは、無線給電式電子棚札装置の層のうちの1つまたは複数の上部または内部に配置される。
【0091】
実施例6実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、アンテナ層は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの光学的に透明な導電体を使用して形成される。
【0092】
実施例7実施例6に記載の無線給電式電子棚札装置であって、少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、インジウム・スズ酸化物(ITO)を備える。
【0093】
実施例8実施例6に記載の無線給電式電子棚札装置であって、少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、カーボンナノチューブを備える。
【0094】
実施例9実施例6に記載の無線給電式電子棚札装置であって、少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、インジウム・スズ酸化物(ITO)を備える。
【0095】
実施例10実施例6の無線給電式電子棚札装置であって、少なくとも1つの光学的に透明な導電体は、グラフェン層を備える。
【0096】
実施例11実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、表示層は、電子インクディスプレイを備える。
【0097】
実施例12実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、表示層は、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイを備える。
【0098】
実施例13実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、多層エネルギー貯蔵モジュールは、積層コンデンサを備える。
【0099】
実施例14実施例13の無線給電式電子棚札装置であって、積層コンデンサは、電子表示層の後側に配置された複数の金属層から形成される。
【0100】
実施例15実施例1に記載の無線給電式電子棚札装置であって、アンテナ層は、電子表示層のベゼル内の光学的に透明な低損失基板層上に配置される。
【0101】
実施例16無線電力供給環境において通信を提示するように構成された無線給電式電子棚札装置は、筐体と、筐体内位置する、表示データを提示するように構成された電子表示と、電子棚札装置に給電するためのエネルギーを蓄積するように構成されたエネルギー貯蔵モジュールと、電子表示の前面に配置され、無線電力供給環境おいて、無線周波数(R
F)電力信号、および表示データを含むデータ通信を受信するように構成された1つまたは複数のアンテナと、1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、表示データを決定するためにデータ信号を処理し、表示データを提示するために電子表示層に指示するように構成された制御回路と、1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、受信されたRF電力信号を直流電力に変換し、直流電力をエネルギー貯蔵モジュールに蓄積するように構成された無線受電器回路とを、備える。
【0102】
実施例17実施例16に記載の無線給電式電子棚札装置は、1つまたは複数のアンテナに動作可能に結合され、制御回路と無線受電器回路との間の接続を切り替えるように構成されたスイッチをさらに備える。
【0103】
実施例18実施例16の無線給電式電子棚札装置であって、エネルギー貯蔵モジュールは、電子表示の後側に配置された複数の金属層で形成されたコンデンサを備える。
【0104】
実施例19実施例16の無線給電式電子棚札装置であって、表示層は、電子インクディスプレイを備える、
【0105】
実施例20無線給電式電子棚札装置は、表示データを提示するように構成された電子インクディスプレイと、電子インクディスプレイの後側に配置された積層コンデンサであって、電子棚札装置に給電するためにエネルギーを蓄積するように構成された積層コンデンサと、電子インクディスプレイ上に配置された光学的に透明な低損失基板と、光学的に透明な低損失基板上に配置された1つまたは複数の光学的に透明なアンテナであって、1つまたは複数のアンテナは、無線電力供給環境において無線周波数(RF)電力信号およびデータ通信を受信するように構成される、アンテナと、無線給電式電子棚札装置の上部または内部に配置された制御回路であって、制御回路は、無線電力送信システムから無線電力を要求し、受信したRF電力信号を直流電力に変換し、直流電力を積層コンデンサに蓄積し、表示データを決定するためにデータ通信を処理し、表示データを提示するために、電子インクディスプレイに指示するように構成された制御回路を備える。
【0106】
詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現に関して提示されてもよい。これらのアルゴリズムの記述および表現は、データ処理技術の当業者によって、それらの研究の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは、一般に、所望の結果をもたらす自己矛盾のない一連の動作であると考えられる。動作は、物理量の物理的操作を必要とするものである。通常、必ずしもそうとは限らないが、これらの量は、格納、転送、結合、比較、および他の方法で操作することができる電気信号または磁気信号の形態をとる。これらの信号をビット、値、要素、シンボル、文字、用語、数字などとして参照することは、主に一般的な使用の理由から、時には便利であることが判明している。
【0107】
しかしながら、これらおよび類似用語の全ては、適切な物理量に関連付けられるべきであり、これらの量に適用される便利なラベルにすぎないことに留意されたい。特に明記しない限り、以下の説明から明らかなように、説明全体を通して、「処理する」または「計算する」または「算出する」または「決定する」または「表示する」などの用語を利用する説明は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリまたはレジスタまたは他のそのような情報記憶装置、送信装置または表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステムまたは同様の電子コンピューティング機器の動作およびプロセスを指すことが理解される。
【0108】
本明細書に提示されるアルゴリズムおよびディスプレイは、いかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも本質的に関連しない。様々な汎用システムは、本明細書の教示に従ってプログラムと共に使用されてもよく、またはいくつかの実施形態の方法を実行するためのより特殊化された装置を構築することが好都合であることが判明してもよい。様々なこれらのシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかになるであろう。加えて、技術は、いかなる特定のプログラミング言語を参照しても説明されず、したがって、様々な実施形態は、様々なプログラミング言語を使用して実施され得る。
【0109】
代替的な実施形態では、機械はスタンドアロン機器として動作するか、または他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。ネットワーク化された配置では、機械は、クライアント・サーバ・ネットワーク環境におけるサーバまたはクライアントマシン(機械)の能力で、またはピア・ツー・ピア(または分散型)ネットワーク環境におけるピアマシン(機械)として動作できる。
【0110】
機械は、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、ラップトップコンピュータ、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、iPhone(登録商標)、ブラックベリー、プロセッサ、電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によって行われるべき動作を指定する命令セット(シーケンシャルまたはその他)を実行することができる任意の機械であってもよい。
【0111】
機械可読媒体または機械可読記憶媒体は、例示的な実施形態では、単一媒体であるように示されているが、「機械可読媒体」および「機械可読記憶媒体」という用語は、1つまたは複数の命令セットを格納する単一媒体または複数媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「機械可読媒体」および「機械可読記憶媒体」という用語はまた、機械による実行のための命令セットを格納、符号化、または搬送することができ、現在開示されている技術および革新の方法のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させる任意の媒体を含む、と解釈されるべきである。
【0112】
一般に、本開示の実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムまたは特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、または「コンピュータプログラム」と呼ばれる命令シーケンスの一部として実施されてもよい。コンピュータプログラムは、通常、コンピュータ内の様々なメモリおよび記憶機器に様々な時点で設定される1つまたは複数の命令を含み、コンピュータ内の1つまたは複数のプロセッサユニットまたはプロセッサによって読み取られ実行されると、コンピュータに、本開示の様々な態様を含む要素を実行する動作を実行させる。
【0113】
さらに、実施形態は、完全に機能するコンピュータおよびコンピュータシステムの文脈で説明されているが、様々な実施形態が様々な形態のプログラム製品として配布されることが可能であり、本開示が、実際に配布を行うために使用される特定種類の機械またはコンピュータ可読媒体に関係なく等しく適用されることを、当業者は理解するであろう。
【0114】
機械可読記憶媒体、機械可読媒体、またはコンピュータ可読(記憶)媒体のさらなる例には、とりわけ、揮発性および不揮発性メモリ機器、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、光ディスク(例えば、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)など)などの記録可能型媒体、ならびに、デジタルおよびアナログ通信リンクなどの送信型媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
文脈が明らかにそうでないことを要求しない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」 などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈されるべきである。すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味である。本明細書で使用される場合、「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはそれらの任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味する。要素間の接続の結合は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであり得る。さらに、「本明細書において(herein)」、「上記の、上述の(above)」、「下記の、以下の(below)」という単語および同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指すものとし、本出願の特定の部分を指すものではない。文脈が許す場合、単数または複数の数字を使用する上記の発明を実施するための形態の単語はまた、それぞれ複数または単数を含み得る。2つ以上の項目のリストに関連する「または」という単語は、その単語の以下の解釈のすべて、すなわち、リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、を網羅する。
【0116】
本開示の実施形態の上記の詳細な説明は、網羅的であること、または上記に開示された正確な形態に教示を限定すること、を意図するものではない。本開示の特定の実施形態および実施例は、例示目的のために上述されているが、当業者が認識するように、本開示の範囲内で様々な同等の修正が可能である。例えば、プロセスまたはブロックは所与の順序で提示されるが、代替的な実施形態は、異なる順序で、ステップを有するルーチンを実行したり、または、ブロックを有するシステムを使用したりしてもよい。また、いくつかのプロセスまたはブロックは、代替的または部分的な組み合わせを提供するために、削除、移動、追加、細分化、組合せ、および/または修正されてもよい。これらのプロセスまた
はブロックの各々は、様々な異なる方法で実施することができる。また、プロセスまたはブロックは、時々、連続して実行されるように示されているが、これらのプロセスまたはブロックは、代わりに並列に実行されてもよく、または異なる時間に実行されてもよい。さらに、本明細書に記載された任意の特定の数は単なる例であり、代替の実施態様は異なる値または範囲を使用してもよい。
【0117】
本明細書で提供される開示の教示は、必ずしも上述のシステムではなく、他のシステムに適用できる。上述した様々な実施形態の要素および動作を組み合わせて、さらなる実施形態を提供できる。
【0118】
添付の出願書類に列挙され得るものを含む、上記の任意の特許および出願および他の参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本開示の態様は、必要に応じて、上述の様々な参考文献のシステム、機能、および概念を使用して、本開示のさらに別の実施形態を提供するように修正することができる。
【0119】
上記の実施するための形態に照らして、これらおよび他の変更を本開示に対して行うことができる。上記の説明は、本開示の特定の実施形態を説明し、企図される最良の形態を説明しているが、上記がいかに詳細に記載されていても、教示は多くの方法で実施することができる。システムの詳細は、本明細書に開示される主題によって依然として包含されているが、その実装の詳細においてかなり変化し得る。上述したように、本開示の特定の特徴または態様を説明するときに使用される特定の用語は、その用語が関連する本開示の任意で特定の特性、特徴、または態様に限定されるように本明細書で再定義されていることを意味する、と解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の発明を実施するための形態の節がそのような用語を明示的に定義しない限り、本開示を本明細書に開示された特定の実施形態に限定する、と解釈されるべきではない。したがって、本開示の実際の範囲は、開示された実施形態だけでなく、特許請求の範
囲の下で本開示を実施または実装するすべての同等な方法も包含する。
【0120】
本開示の特定の態様は、特定の請求項の形態で以下に提示されるが、本発明者らは、任意の数の請求項の形態で本開示の様々な態様を企図している。例えば、本開示の一態様のみが米国特許法第112条第6項の下で、ミーンズ・プラス・ファンクション請求項として記載されているが、他の態様も同様にミーンズ・プラス・ファンクション請求項として、またはコンピュータ可読媒体で実施されるような他の形態で実施されてもよい(米国特許法第112条第6項の下で扱われることが意図されている請求項はいずれも、「のための手段(means for)」という言葉で始まる。)。したがって、本出願人は、本開示の他の態様についてのそのような追加の請求項形式を追求するために、出願後に追加の請求項を追加する権利を留保する。
【0121】
本明細書で提供される詳細な説明は、必ずしも上述したシステムだけでなく、他のシステムにも適用することができる。上述した様々な例の要素および動作を組み合わせて、本発明のさらなる実施態様を提供することができる。本発明のいくつかの代替的な実施態様は、上記の実施態様に対する追加の要素を含むだけでなく、より少ない要素を含んでもよい。上記の発明を実施するための形態に照らして、本発明に対してこれらおよび他の変更を行うことができる。上記の説明は、本発明の特定の例を定義し、企図される最良の形態を説明しているが、上記がいかに詳細に記載されていても、本発明は多くの方法で実施することができる。システムの詳細は、本明細書に開示されている発明に依然として包含されているが、その具体的な実装においてかなり変化し得る。上述したように、本発明の特定の特徴または態様を説明するときに使用される特定の用語は、その用語が関連する本発明の任意で特定の特性、特徴、または態様に限定されるように本明細書で再定義されていることを意味すると解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、上記の発明を実施するための形態の節がそのような用語を明示的に定義しない限り、本発明を本明細書に開示された特定の例に限定すると解釈されるべきではない。したがって、本発明の実際の範囲は、開示された例だけでなく、本発明を実施または実施するすべての同等な方法も包含する。
【外国語明細書】